緑の獣を狩れ

作者:坂本ピエロギ

 八月某日、早朝。
 ユグドラシル・ウォーの決着から2か月が経過し、徐々に平和が戻り始めた大阪緩衝地帯の一角で、巨大な重機が瓦礫の撤去を行っていた。
「オーライ、オーライ! そっち運んで!」
 工事業者の指示に従って、あちこちで山を為した鉄骨やコンクリートの破片が、次々に除去されていく。人の手では運べないような巨大な瓦礫も、頑丈な鋼鉄の機械ならば取り除くのは造作もない。
「よし、このエリアはこんなものかな……ん?」
 ビル跡地の一角、最後に残った瓦礫を掬おうと、ショベルカーのレバーを操る手に作業員が力を込めた時である。それまで瓦礫と思っていた『何か』が、もぞりと動いた。
 攻性植物スロウン――人を襲うために擬態していたデウスエクスだ。
『ギギギ!』『ギギギギ!』『ギギギギギー!!』
「な、何だあれは――うわああ!!」
 悲鳴があがると同時、スロウンは口から紫色の殺人光線を発射。作業員を重機もろとも塵も残さず消し飛ばすと、逃げ惑う工事業者を次々手にかけて行ったのである――。

「ユグドラシル勢力の対応ご苦労である。これまでの戦果が実を結び、大阪城周辺の残党達は順調に数を減らしているようだ。大阪市を1日でも早く復興できるよう、お前達には引き続き攻性植物勢力の排除を行って貰いたい」
 ザイフリート王子はそう言って、依頼の要件をケルベロスに説明していく。
 依頼の目的は攻性植物『スロウン』の排除だ。敵は現在、大阪城周辺の再開発地区に集団で潜伏しており、彼らを排除しなければ地区の開発は頓挫したままだと王子は言う。
「工事業者には私から作業中止の要請を送っておいた。現場周辺は無人で人払いも不要故、存分に戦って来るがよい」
 そうして王子は、スロウンの能力に関する説明を始めた。
 スロウンはいずれも非戦闘状態――いわゆる「休眠状態」となって当該区域の各所に潜伏しており、人が近くを通りかかると休眠から目覚めて奇襲をかけて来る。休眠の偽装は非常に精巧で、目で見た程度で見破ることはまず不可能だという。
「敵の頭数は30体。いずれもエリア内に1体から3体の集団で散らばっている状況だな。スロウンの戦闘力はさほど高くないが、なにぶん数が多い。探索より奇襲を避けて撃破する方が、損害は少なくなるだろう」
 一人で動くか、集団で動くか。
 時間をかけて慎重に行くか、被弾覚悟で強引に進めるか。
 それ以外にも、作戦は無数に存在するだろう。全てはケルベロス次第だと王子は言った。
「今回の作戦ではヘリオンデバイスの使用が許可されている。新しい力を使いこなせるよう色々と試してみるのも良いかもしれぬな」
 王子はヘリオンの搭乗口を開放すると、今一度ケルベロス達に向き直った。
「この戦いは、けして華やかなものではなかろう。だが地味な仕事なくして、大阪市の復興は為し得ぬ。どうか確実な遂行を頼んだぞ!」


参加者
立花・恵(翠の流星・e01060)
ベルベット・フロー(紅蓮嬢・e29652)
カロン・レインズ(悪戯と嘘・e37629)
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)
ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)
シャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456)
リリス・アスティ(機械人形の音楽家・e85781)
メロゥ・ジョーカー(君の切り札・e86450)

■リプレイ

●一
 無人の廃墟に、夏の日差しが降り注ぐ。
 大阪緩衝地帯――ユグドラシル・ウォーに勝利し、人類が取り戻した場所。
 その一角にある廃墟区画を、リリス・アスティ(機械人形の音楽家・e85781)はヘリオンの機内から見下ろしていた。
「もうじき降下ポイントですわね」
「ええ。復興を邪魔するスロウンは、残らず排除しましょう」
 ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)は降下準備を終え、ふと思う。
(「ユグドラシル・ウォーから二ヶ月……早いものだ」)
 開放されたハッチから一望する大阪市、その景色は戦争直後とは随分様変わりしていた。散乱していた瓦礫は撤去され、更地になった区画は整備され、攻性植物勢力が残した爪痕は目に見えて減ってきている。
「スロウン掃討作戦……これが最後になると良いのですが」
「うん。きっちりカタつけないとね!」
 地獄の炎をメラメラと燃やし、ベルベット・フロー(紅蓮嬢・e29652)が笑った。
 大阪の地は、今まさに生まれ変わる途上。その障害となる敵は、取り除かねばなるまい。人々から託された、新たなる力をもって。
「さあ皆、行こう!」
 降下開始のブザーを背に、大空へと飛ぶ。降り立った先は、瓦礫が山積する区画の片隅。発動されるコマンドワードが、光となってケルベロス達を包み込んだ。
 ――ヘリオンデバイス、起動。
 シャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456)の全身を光が流れ、背中で凝縮。ジェットパック・デバイスへと姿を変え、彼を大空へと飛翔させる。
「うひゃー、凄いっす! 気分はペガサスっすね!」
「空飛ぶデバイス……面白いですね……」
 シャムロックの牽引ビームで浮上した死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)は、傍を飛ぶ相棒を指先でつつく。レスキュードローン・デバイス――救助と囮を兼ねる、回復支援用の飛行ドローンだ。
「これ……ちゃんと思念で動きますね……」
「頼もしい僚機ですわね。実戦が楽しみですわ」
 刃蓙理とリリスがドローンを操作する傍ら、カロン・レインズ(悪戯と嘘・e37629)は宙を跳んでいた。靴型デバイスの使い心地を試すように、大事な友達を胸に抱えながら。
「これがチェイスアート・デバイスか。凄いねフォーマルハウト」
 追跡・逃走に特化した靴型デバイスは、高い命中補正のサポート付きだ。デバイスを装着できないサーヴァントの分まで、しっかり戦おうとカロンは決意を新たにする。
「さて、敵の居所は……と」
 立花・恵(翠の流星・e01060)は耳にかけた小型デバイスを操作し、変形したゴーグルで戦場を俯瞰した。彼のゴッドサイト・デバイスが映し出すのは、周囲1km――作戦領域全域に存在するスロウンの居所である。
「このエリアは全部で12体だな。すぐ先に3体隠れてる」
「了解です。では位置情報を共有しましょう」
 同時、8名の視界にエリア一帯のMAPが表示された。
 ローゼスのマインドウィスパー・デバイスを介して、ネットで検索された地形情報が共有されたのだ。潜伏地点にはローゼスの処理によってフラッグが添えられ、一目で分かる処理が施されている。
「凄いね、こうも色々出来るんだ。じゃあ早速瓦礫の撤去といこうかな」
 メロゥ・ジョーカー(君の切り札・e86450)は思念通話で返事を送ると、タキシードの袖から出現させたアームをショベルに変形させた。そこにベルベットもアームで合図を送る。ウイングキャットのビーストともども準備は万端だ。
「用意はいい? 行くよ!」
 ベルベットの言葉に、7人が頷きを返す。
 これから臨む任務は、けして華やかなものではない。スリルに満ちたものでもない。
 しかし日常を取り戻すために、絶対に避けては通れないものだ。
 ――さあ始めよう。ケルベロスの戦いを。

●二
 重々しい駆動音が、廃ビルの谷間で響いていた。
 メロゥとベルベット、二人の装着したアームドアーム・デバイスが、スロウンの潜伏するエリアの瓦礫を軽々と取り払っているのだ。除去と警戒を交代で行うツーマンセルながら、その作業ペースは驚異的な速さだった。
「このデバイス、凄くいい感じ。もうそろそろ片付くよ」
「OK。残りもササッと終わらせちゃおう!」
 メロゥと作業をバトンタッチしたベルベットは、新たな瓦礫に取り組み始めた。
 鉄骨、木片、コンクリート片……どんな廃材も、デバイスの前には全く困難にならない。アームの排熱孔から景気よく蒸気を噴き出しながら、道端の紙屑でも掃除するかのように、軽々と瓦礫を撤去していく。
 程なくして撤去が全て終わると、戦闘準備が完了した。ケルベロスは飛行状態で後衛へ。前中衛はビーストとフォーマルハウトだ。
「危なさそうなら、隊列の方も考えようぜ。時間はたっぷりあるしな」
「了解っす、恵さん。それじゃ突撃っすよ!」
 シャムロックがセントールランスを高々と掲げ、戦闘開始の合図と為した。
 瓦礫の小山を挑発するように旋回。すぐさまスロウンが3体飛び出てくる。間を置かずに降り注ぐのは、ケルベロスの容赦ない猛攻だ。
「一番槍、貰いました!」
 カロンが輝く星を生成、一思いに蹴飛ばした。
 デバイスの命中強化を受けたフォーチュンスターが、流星のごとくスロウンへ直撃。一撃で標的を粉砕する。
「うわ、すっごい威力……! シャムロック君、命中はどう?」
「問題ないっす、ベルベットさん。撃てば当たる感じっすね」
 そうして急降下から繰り出すのは、セントールランスによる超高速突撃。
 瓦礫ともども微塵に消し飛ぶスロウンを見下ろし、シャムロックは小さく口笛を吹いた。デバイスの使い心地は快適そのものだ。使い慣れたガジェットとはまた違う感覚だが、全くもって悪くない。
「パワーも十分、ガンガン攻めた方が良さげっす!」
「了解。なら全力で行っちゃうよ!」
 空中で降下態勢を取り、ブレイズクラッシュを構えたベルベットが強襲をかける。
 地上から放たれる迎撃の重力光線は、機械腕をクロスさせてガード。そのまま重量と速度を載せた地獄炎の剛腕を、隕石のごとく叩きつける。
「くらええぇぇぇっ!!」
『ギギイィィッ!!』
 轟音、そして断末魔。炭化したスロウンから引き抜く機械腕、そこから蒸気の尾を引いて排出されるカートリッジが地面を叩き、勝利の合図と為した。そしてケルベロスはリリスの紅瞳覚醒で回復を完了すると、新たな敵をいぶり出して排除を開始する。
 危険と隣り合わせだったスロウンの索敵が、排除が、安全かつ速やかに進んでいく。その光景を上空で眺めながら、ローゼスは静かな感慨に浸っていた。
(「まさしく進歩ですね、これは――」)
(「ローゼス様、『回復完了ですわ』」)
(「『3体撃破、次行くぜ!』」)
(「おっと失礼、今繋ぎます」)
 リリスと恵からの連絡を、ローゼスは急ぎ共有する。
 マインドウィスパー・デバイスは、仲間同士での意思を交換する時に、必ず装着者であるローゼスを介さねばならないのだ。リアルタイムでの相互会話は同時通訳の要領でこなせるものの、その忙しさたるや半端ではない。
「さて――次は戦闘の性能を見せて貰いましょう」
 デバイスの力を漲らせ、ローゼスが宙を蹴る。
 ペガサスランページのもたらす突撃は、中衛のそれとは思えぬ威力を纏いながら、地上のスロウン3体を捉え、攻撃の暇さえ与えずに粉砕した。敵の戦闘力が低い点を加味しても、恐るべき威力である。
「これは凄まじい。キャスターの運用も、大きく変わりそうですね」
「次で最後ですね……注意を……」
 番犬鎖の魔法陣で治療を終えた刃蓙理は注意を促しつつ、敵の群れを出現させた。
 同時、恵のリボルバー銃が標的を捉える。復興の障害は残さず排除あるのみだ。
「さあ行くぜ。大阪の日常を取り戻す!」
 斉射される、制圧射撃の銃弾。
 神眼たるデバイスの狙いが、的を逸れる事はない。1体、2体、スロウンが直撃を浴びて斃れていく。辛くも直撃を逸れた最後の1体は鞭の腕で回復を図るも、メロゥの攻撃が一手早かったようだ。
「進もう。光溢れる未来へ――♪」
 歌声が光の矢に変じ、スロウンの眉間を貫いた。
 ぴたりと止む絶叫。恵が索敵モードに戻ったデバイスを起動し、敵の殲滅を確認する。
「掃討完了。よし、次だなっ」
 奇襲の被害はなく、仲間とサーヴァントの傷も軽微。隊列は現状維持で良さそうだ。
 頼もしい仲間、そして新たな力。二つ揃えば恐れるものはない――恵はくるくると回したリボルバー銃をホルスターに収め、次なる戦場へ進むのだった。

●三
 ひび割れた車道の上を、二機のドローンが行く。
 レスキュードローン・デバイス――分厚い装甲を誇る相棒を、やや離れた上空から眺めるのは刃蓙理とリリスだった。
「わたくし達が接近しないと、駄目なようですわね」
「誘い出せればと思いましたが……止むを得ませんね……」
 刃蓙理とリリスのドローンは、先程からスロウンの潜伏する路上を飛行している。救助用アームで地面を叩き、潜伏場所の真上を旋回するも敵が現れる気配はない。二人は誘き出しを断念し、仲間と共に攻撃準備を整えた。
「やって……下さい……」
「了解っす。うおりゃあぁぁ、っす!!」
 そうしてシャムロックがセントールランを発動、出現ポイントの真上を全力で駆ける。
 刹那、吹き飛ぶアスファルト。飛び出たスロウン3体の頭上めがけ、ケルベロスが猛禽のごとき急襲を我先にと仕掛けていく。
「皆、一気に片付けるよ!」
 ベルベットのサイコフォースが号砲となり、中央の1体を跡形もなく吹き飛ばした。
 続くカロンが、魔力を込めたファミリアを射出。ビーストのキャットリングを浴びた敵を狙い定め、その頭部を粉砕する。流れるような淀みない動きによって、スロウンは瞬く間に排除されていった。
「何と言うか……圧倒的、って感じですね」
「少しばかり敵が気の毒だね……油断する気はないけれど」
 言うが早いかメロゥは上空から急降下、最後に残った1体へと肉薄した。
 微笑みを送り、くるりと旋回。フォーマルハウトのガブリングで身動きを封じられていたスロウンの体が、猛毒に冒され瞬く間に崩れ去る。
 撃っては倒し、防いでは撃ち――ケルベロス達はそれからも潜伏地点へ向かっては殲滅を行い、敵の巣を潰していった。油断を排し、機先を制し、デバイスの力をフルに駆使しての各個撃破である。負ける要素は何処にもない。
「一撃をッ! ぶっ放す!!」
 恵が急降下からの零距離射撃を見舞えば、スロウンは木っ端微塵に破裂した。
「伐採してあげます……」
 刃蓙理がチェーンソー剣を振るえば、スロウンはスライスされた切株と化した。
「これで終いっす!」
 シャムロックが背蹄脚を繰出せば、それは難なく命中してスロウンを粉々にした。
 3つ、2つ……次第に数を減らしていく潜伏場所。そこから飛び出るスロウンの動きは、いずれも単調で読み易い。一方ケルベロスは経験を重ねるにつれ、その動きを更に緻密なものに変えていく。
 ローゼスは最後の群れを狙い定め、ふと過去の依頼を思い出す。仲間のテレビウムを背に道を駆けたあの戦い。危険な斥候役も、今ではいい思い出だ。
「こうなれば最早潜む利も無きが如し。この地より疾く追い散らさん!」
 デバイスの力を全身に漲らせ、大空を駆け降りる。
 仕損じる恐れはゼロだ。超加速の突撃で敵群を難なく粉砕し、道路エリアの敵を殲滅。
 そうしてローゼスと仲間達は自然公園――最後のエリアへと到着する。と言っても、やる事は変わらない。これまでに重ねてきた実戦経験も手伝って、索敵から撃破までの手際は、いっそう洗練の度合いを増していた。
「その奥に3体擬態してる。3本枝の木だ」
「ふむ、効果的な攻撃ポイントはこの辺ですね」
「潜伏場所の目印に……ドローンを向かわせますね……」
「回復準備も万端ですわ。いつでも行けます」
 恵が索敵し、ローゼスが潜伏ポイントを特定。刃蓙理とリリスのドローンが、周囲の樹木を守るように展開。然るのちに集中攻撃でいぶり出し、屠る。ケルベロス達の無駄を排した行動の前に、スロウンは成す術もなく溶けるように消えていった。
「周りは燃やさないように……っと!」
 奇襲に失敗した敵を、ベルベットの拳が消し炭に変える。
「もうひと頑張りですね。大阪の人達が平和に暮らせるように」
 擬態を見抜かれた敵を、カロンの蹴飛ばす星が打ち砕く。
 そして――辛うじて猛攻を生き延びたスロウンが振り被った鞭の腕、その狙いを察知したメロゥが大きな布を被り、消えた。
『ギギッ!?』
「残念、ここだよ」
 フォーマルハウトの眼前に突如現れたメロゥが、鞭の腕を受ける。同時、ショーの終わりを告げるように流れる希望の歌が、光の矢に変じて敵の心臓を貫いた。
「トリは任せるよシャムロック。そいつで最後だ」
「了解っす!」
 シャムロックの視線が、残る1体を狙い定める。
 スロウン。策謀術士リリー・ルビーの遺産。ブービートラップに残された実験材料達も、随分と復興の邪魔をしてくれたと思う。
「けどそれも、もう終わりっす」
 何故なら、戦争は終わったのだから。大阪の人々には未来が待っているのだから。
 デウスエクスが幾ら襲って来ようとも、何度だって勝利して見せる。
 戦う意志と、多くの仲間と、そして――このヘリオンデバイスの力で。
「さぁ、派手にいくっすよ!」
 ジェットパック・デバイス。新たに得た力、その一つの形。
 推力を背に宙を駆け、戦場の操者となって奏でる蹄の音色が、獰猛な嵐と化してスロウンを消滅させた。

●四
 戦いが終わり、後には静寂だけが残された。
 潜伏していたスロウンは全て討たれ、じきこの地も人々の営みを取り戻す事だろう。
「お疲れ様です。中々に得るものの多い戦いでした」
 ローゼスは鎧装のバイザーをあげ、新鮮な空気で肺を満たす。
 仲間の損害は軽微、公園の被害は皆無。そして掃討に要した時間も想定より早い。大成功と言っていい戦果だった。
「ふむ。帰りがてら、ワインのツマミを探す余裕もありそうですね?」
 任務を終えた情報処理官は、役割を終えて消滅していくデバイスを見ながらふと思う。
 勝利の杯には、心からの祝いを捧げよう。スロウンと戦った全ての仲間達、そしてこの地で未来を築いていく人々のために。
「さあ皆さん。戻りましょう」
 フォーマルハウトを抱きかかえ、カロンが仲間達に声をかける。
 ケルベロスが果たす仕事は無事終えた。ここから先は、この地に生きる人々の仕事だ。
「よしっ、お疲れ様。任務完了だね!」
 そうして仲間と歩み出した帰途、ベルベットは透き通った青空に祈りを捧げる。
 戦争が終わり、拓かれていく未来。願わくば、それが平和でありますようにと――。
 8月29日、晴天。
 大阪緩衝地帯のスロウン掃討依頼は、この日をもって完了した。

作者:坂本ピエロギ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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