天風の槌

作者:崎田航輝

 地を削るような雨と、殴りつけるような風。
 そして轟々と響く建物の破砕音の中で、人々は呆然と立ち尽くしていた。
 一瞬前まで存在した晴天の平穏が、嘘だったかのように、淀んだ景色の中心に──暗い影を落として立っているのは仰ぐの程の巨影。
 金属の躰に巨大な槌を握り、総ての存在を見下ろすかのような人型──ダモクレス。
『小さき命の抵抗は無為。静かに、ただ為すがままに糧と成れ』
 声音は機械的な平坦さを保ったまま、振り上げる槌は高々と雄々しく。
 まるで怒れる神が、愚かにも楯突く人間を罰するかのように。打ち下ろした衝撃で人々を押しつぶし、その命を絶ってゆく。
 何人の抵抗も赦しはしない。
 遥かな威容を持った存在が、小さな灯火を見下ろすように。蹂躙し、破壊を続けたその人型は──そのうちに、現れた魔空回廊へと消えてゆく。
 雨も風も止んでゆく。けれど陰惨な傷跡ばかりが、街にはいつまでも残っていた。

「集まって頂きありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、ダモクレスの出現が予知されました」
 現れるのは巨大ロボ型の個体。大戦末期に封印されたもので、仲間のダモクレスによって復活させられるようだ。
「魔空回廊を通じて、その仲間達に回収される予定なのでしょう。放置すれば街は破壊され、死者が多数出てしまいます」
 だけでなく、ダモクレス勢力の戦力増強にも繋がってしまうことになるだろう。
「それを防ぐために、撃破をお願いします」
 出現場所は市街地の中心。
 敵は出現から7分後に魔空回廊によって撤退する。こうなると追うのは困難になるため、撃破はその時間までに行う必要があると言った。
「人々は、事前に警察によって避難させられます。皆さんは撃破に集中できるでしょう」
 ダモクレスの全長は7メートル。巨大な槌や、遠距離の攻撃方法も有している。
 こちらも高所を利用して戦うと良いかも知れません、と言った。
「敵は戦闘中、一度だけフルパワーの攻撃を行ってくるようです」
 敵自身も反動で傷を負うようだが、その分威力は高いだろう。
「おそらくは広範囲の攻撃と思われます。警戒を欠かさないようにしてください」
 皆さんならば勝利を掴めるはずですから、とイマジネイターは声音に力を込める。
「健闘をお祈りしていますね」


参加者
武田・克己(雷凰・e02613)
バジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)
スズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079)
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)
地留・夏雪(季節外れの儚い粉雪・e32286)
モヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)
ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)
ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)

■リプレイ

●楔
 叩きつける雨粒が、無人の街にも騒々しく響く。
 その只中で、摩天楼を打ち砕いて現れた巨影を──武田・克己(雷凰・e02613)はビル上から見下ろしていた。
「巨大ロボ型のダモクレスか」
 ゆらりと立ち上がるそれは、人型の金属塊。槌を手にした、巨大な破壊兵器。
「ロボットっていうと合体が定番なんだが、こいつはしそうにないな」
 まぁいい、と呟きながら、克己はその手に刃を構えている。
「回収される前に確実に仕留めさせてもらうか」
「そうだね」
 風雨に髪を靡かせながら、マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)も真っ直ぐに見据えていた。
「巨大ロボはロマンだと思うけど……そろそろダモクレスもなんとかしたいし」
 衰えぬ勢力に抗う、この戦いもその重要な一歩。
 故に傍らの匣竜にも視線を注いで。
「ラーシュも頼んだからね、踏ん張ってよ!」
 明朗な鳴き声をラーシュが返すのが戦いの狼煙。
 巨影が此方を察知して視線を向けてきていたが──それよりも疾く、その懐に飛び込む銀色の影がある。
 耳と尻尾をふわりと揺らし、潜んでいた陰から飛び出るスズナ・スエヒロ(ぎんいろきつねみこ・e09079)。
 仰ぐ巨体は遥かな威容、それでも。
「小さいなりに、抵抗させてもらいますよ!」
 くるんと軽やかに廻ると、月白色の軌跡を輝かせて鮮烈な蹴撃を叩き込んでいた。
 追随して木箱のミミック、サイも噛み付いて金属の膚に痕を刻む。その衝撃で巨体の挙動が微かに淀めば──。
「お願いしますっ!」
「了解しました」
 建物上より跳躍するのがバジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)。宙で翻る所作は静やかに、けれど狙いは正確に。
「その動きを、まずは封じさせて貰いますよ!」
 纏う風に、仄かな花の香りを薫らせながら──鋭い飛び蹴りで巨影を静止させた。
 その間隙に地留・夏雪(季節外れの儚い粉雪・e32286)が真っ直ぐに手を翳し。白妙の細雪を渦巻かせて冷気の輝きを明滅させている。
 これは猶予のない戦いだ、だからこそ。
「急ぎましょう。あの槌で暴れ回られたりしたら大変ですし……!」
「ああ。だから、やらせないさ」
 同時、言ってビルの縁を蹴るのが克己。
 躊躇いもなく、巨影の至近に飛び込むと──。
「悪いな。お前に恨みがあるわけじゃないが、暴れさせるわけにはいかねぇんだ」
 一切の手加減なく。弾ける雷光を刃先に纏わせ、稲妻の如き刺突で装甲を穿つ。
 そこへ夏雪が冷気を解放。雨空に光条を描くように、眩い雪崩を飛翔させて重い衝撃で巨影を後退させた。
『小さき命──無為な、抵抗を』
 見下ろす巨影は、明確に此方を敵と見取ったろう、楔の如き雨滴を降らせる。
 だが仲間を襲う雫を──前線へと跳ぶラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)が受け止めていた。
「……そんなので、やられやしないよ」
 狂気の“ガス抜き”が永らく出来ていないから、昏い声音と共にその一端が零れ出る。けれどそれ故に痛みも意に介さぬように、決して斃れない。
 直後には、マイヤがラーシュに光を注がせて治癒。隣へアイコンタクトを送ると──。
「では助力致しマス」
 頷くモヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)も杖を魔力で輝かせていた。
 多重円の形に広がった電子鍵は、仮想魔法空間へのアクセスを実現して治癒の力を引き出させる。刹那、燦めく雷光が雨を吹き飛ばし、暖かな感覚と共に前衛を身を護っていた。
 足元のミミック、収納ケースは敵へと奔って噛みつくことでその動作を僅かに遅らせている。
「今のうちデス」
「ありがとう」
 その隙を活かすよう、ラグエルも氷の鎖で魔法陣を描いて治癒と防衛を兼ね──さらにマイヤも斧からルーンの力を引き出して、スズナを万全に保ちながら破魔の力をも与えていた。
 ただ、ダモクレスも連撃を狙い此方に踏み寄っている。
 その一歩一歩が伝える巨影の脅威を、ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)は肌に感じるように仰いでいた。
 地にいる者は等しく押し潰し。何より、地すら震えている。
「中々に難儀なものだ」
 地を征くセントールには、その地を揺らされるほど辛いものはない。足元が揺らげば、踏みしめることとて容易でないのだから。
 とはいえ、ローゼスの意気は挫けない。宇宙で戦った事もあるから今更ではあるし──。
「──難儀だが、だとしても戦えぬ理由にはならぬ」
 ならば退く意志もなく。
「この槍、貴様に届かせてみせよう」
 蹄鉄の音は高らかに、槍を差し向けいざ参らんと。
 瓦礫を坂に駆け上がると、敵が振るう槌の上へ跳び一撃、先ずは蹴りを打ち込む。
 そのまま地に落ちず、敵の槌を踏んで『Giino deos』。強烈な震脚で槌伝いに敵を怯ませると、自身は反動で上へ昇り刺突を与えた。
 巨影がのけぞる、その機を逃すバジルではなく、揺らめく陽炎をその手に凝集して。
「吹き飛んでしまいなさい!」
 放つ空圧を爆裂させて体勢を崩しにかかる。
 ダモクレスが傾ぎ始めれば、夏雪も敵の上方の空をきらりと煌めかせていた。
 瞬間、雪白の髪を揺らす冷風が吹く。それは『冠花』──グラビティの乗った雪を降らせる白き魔法。
 滂沱の如く注ぐ雪塊は、見る間に巨体へ積もって自由を奪う。
 それを好機に、ラグエルは手を払う動作で氷の結晶を振り撒いていた。
 すると宙に踊ったそれらは光の反射を繰り返して虹色に煌めいて──魂を鼓舞するように仲間の力を高めていく。
「後は頼むよ」
「はいっ!」
 力を受け取ったスズナは、それを光線に乗せて一撃。閃く衝撃で金属の体を貫いた。

●嵐
 二分の経過を、番犬達の時計が告げる。
 巨影は微かな煙を上げて膝をついていた。
 だが未だ斃れる様子はなく、即座に直立している。風雨も未だ強く、それが敵の隆盛を伝えてもいるようで。
「まだまだ、といったところでしょうか……」
 夏雪は観察しながら呟いた。
 モヱも頷き、今一度その巨影を見上げている。ある種の荘厳ささえ同居した、金属の躰。
「……今なお残る旧き祖先、デスカ」
 レプリカントの身として、その強大さは本能的に理解できるから。
「敵性として復活させられずに我等と同じ道を歩む運命は無かったのでショウカ……」
 どことなく惜しいものデス、と。声を零すも、それが叶わぬのは己の心が一番よく理解していた。
 それを証明するかのように、巨影は愚者を見る瞳で番犬を見下ろす。
『理解出来ないか、己の矮小さを。その命を無為さを……』
「──無為で矮小、ならば好きにしてもいいのですか? そんなことを、認めるわけにはいきませんよ」
 故にこそ、バジルは退かず声に力を込めた。
「それに、人々の命はそんなに小さいものでは無いですよ。神様気分で人の命を絶つその愚行、絶対に許せません」
「ま、そういうわけだ。こっちにも、譲れねえもんがあるんだよ」
 言葉と共に、克己は既に奔り出していた。
 巨影は槌を振り下ろす、が、克己は僅かに先んじて横に逸れる。そのまま槌が地を割った風圧を利用して跳躍し、壁を蹴って前進。
 一瞬後には巨体の懐へ入り──斬撃。弧を描いて傷を刻むと、螺旋を描くように廻って足元まで剣撃を重ねていた。
 よろめく巨影は、建物へ衝突して倒れるのを免れる。だがそこから零れた瓦礫をも、飛び石を渡るように足場にして──ローゼスが駆けていた。
「狙い定めた敵なれば、何度でも刻んでみせよう」
 宙を翔けるように、落ちる瓦礫を跳び、渡り。巨影へ迫ると光を帯びた穂先で苛烈な突きを喰らわせる。
 ダモクレスはそれでも槌を再度振るうが──それを受け止めるのがラグエル。痛烈な打撃に地を滑りながらも、痛みの声の一つさえ零さないのは。
「……全く、困るな」
 溢れる自身の殺戮衝動を自覚するからから。
 闇色の霧の如く揺蕩うそれは、いつもよりも濃く、強く、己の傷を祓うと共に仲間にも砕魔の力を宿していく。
 同時、モヱも雨天に眩いエナジーを輝かせてラグエルへ投下。痛みと苦しみを拭い去りながら、防護を一層強く保っていた。
「これで問題はないデショウ」
「では、僕は攻撃を続けます……!」
 夏雪は言葉と共に、既に巨体の足元へと接近している。
 敵の動きも鈍りつつある。それが判れば至近から有効打を放つのも不可能ではなく──きらりと白色を瞬かせると、雪の結晶による刃を具現して。
「えいっ……!」
 瞬間、横一閃に振るって深々と機械の膚を抉ってみせた。
「お願いしますっ……!」
「はいっ!」
 同時、飛び退く夏雪と入れ替わりに迫るのがスズナ。
 すらりと日本刀を抜き放つと、一息に距離を詰めていく。仰ぐ機体はやはり巨大だけれど、怯まず惑わず、美しい剣閃を奔らせて。
「斬れる装甲なら、怖くはありません!」
 暗い雨模様の中に眩い三日月を象るように。燦めく斬撃で装甲を斬り開き、巨影に膝をつかせていた。
 ただ、そこから即座に這い上がらぬ敵の様相を見て──ひらり、ひらり。モヱがスカートの裾をつまみながら、優雅に高台から飛び降りてくる。
「予備動作をしているようデスネ」
「力を溜めているのかも知れません。やはり、フルパワー攻撃でしょう」
 バジルも気づくと、皆へとハンドサインを送り危険を知らせていた。
 皆が隠れ始めれば──ローゼスもそれに続く。短い猶予でたどり着ける、遮蔽となる建物の陰だ。
 皆の移動が済むと、ラグエルは面々を守る立ち位置につく。
 サイと収納ケースもそこに居並ぶと、マイヤは翼から清らかな光を燦めかせて前線を治癒、受けの態勢を万全に整えた。
「これで大丈夫──いつでも来い!」
 そしてマイヤの気合の言葉が響くと、同時。ダモクレスは槌を振るう衝撃波に、暴風と雨滴を乗せて濁流の如き波状攻撃を繰り出した。
 ビルを破砕し、瓦礫をも飲み込む衝撃の塊。
 轟音が訪れて、総てが消えたかのように静寂に覆われる、だが。
 その粉塵の中で番犬達は斃れていない。ラグエルはしかと地を踏みしめて、サイと収納ケースも僅かな体力を残し立っていた。
「守護に感謝ヲ。治療はすぐに行いマス」
 直後にはモヱが雫を晴らすよう、眩い雷光を燦めかせて盾役を癒やしていく。
 マイヤも再び光のヴェールで皆を撫ぜて治癒。戦線の体力をしかと保ってみせた。
「全員、無事だな」
 克己の言葉に、皆の声が返る。無事が確認できれば、バジルは瓦礫の中に立つ巨影を見上げていた。
「次はこちらの番ですね」
 最大火力を駆使したダモクレスは、大きくエネルギーを損失して自己に被害を齎している。それでも己が威光を失わぬようにと、自身を回復していたが──。
「無駄なことです。すぐに、打ち砕きますから」
 既にバジルが疾駆。
 風を縫うように一息に迫ると──鎖状に連なる薔薇の蔦を波打たせて一撃。花の魔力を込めた棘で巨体を穿ち、その身に宿されていた加護を破壊した。

●空
 アラームが雨中に反響する。
 残り二分を告げる音色の中で、地に手をついているダモクレスは──既に直立することも覚束なくなっていた。
 それでも、ただ自身の役目を果たそうと槌を取る、が。
「遅いですよ」
 反撃の暇すら取らせず、バジルは巨影の躰を蹴り上がっていた。
 軽やかに、素疾く──巨体の頭上にまで昇るとそのまま一撃、光棚引く蹴撃を喰らわせて体勢を斜めにさせる。
「このまま畳み掛けていきましょう」
「分かりました……!」
 頷く夏雪はひらりと宙へ翔けると、巨体とすれ違いざまに一閃、雪を薄く連ねた刃を振り抜いて機械の片腕を斬り飛ばしていた。
 生まれた隙に、モヱも横合いから巨影へ。
 “鋼鉄の貴婦人”、その二つ名に相応しく所作はゆるりと緩やかながら──冷静に凛然と。放つ打突は重く的確に鋼の胸部を打ち破る。
「次の攻撃をお願いしマス」
「ええ」
 応えるローゼスは、雨滴も追いつかぬ速度で奔りゆく。
 吹き下ろす風も、そこに交じる塵すらも縫うように。駆けて跳び、巨体に迫ると一撃、豪速を乗せた穂先で突き上げて半身の装甲を砕いた。
 そこへスズナは護符を飛ばし、巨体の動きを鈍らせる。
 先刻やられた分は──。
「──やり返します!」
 そのスズナの意志を汲むように、サイが具現化した刃で切り込んだ。『即興連携:影刃』──絆が実現する無拍子での合わせ技は、機械の体を深くまで抉る。
 ノイズを零しながらも、巨影は足掻くように槌を振り翳す。だから克己は敢えてそこへ飛び込んだ。
 分が悪い方に好んで賭け、獰猛に笑って闘いを楽しむ──その性格の一端を垣間見せるように。
「いいぜ、最後までやってやる」
 だが、と刃を掲げ。
「風雅流千年。神名雷鳳。この名を継いだ者に、敗北は許されてないんだよ」
 故に斃れるのはそちらだと、『森羅万象・神威』──大地の気を集約した斬撃で残る腕も斬り落としてみせる。
 ラグエルはそこへ吹雪の如き氷気を吹かせていた。
「そろそろ、終わりにしないとね」
 狂気を陽炎の如く溢れ出させ。
 瞳だけが笑っていない笑みを、張り付かせて。斬りたくて仕方のないその欲を、抑えきれぬというように。
 それでもお守り代わりに腰に佩く喰霊刀は抜かず、最後の一線は越えぬまま──風雨の全てを吹き飛ばす冷風で巨体を瓦解させる。
 晴れた空に、マイヤが星の群れを輝かせていた。
「これで、最後だよ」
 踊り、弾け、連なって輝く流星は『Hexagram』。眩く美しく、降り注ぐその光がダモクレスを消滅させた。

「終わりましたね」
 静寂の戻った街で、ローゼスは槍を収めて見渡す。
 そこには敵の残骸はなく──澄んだ空と、瓦礫があるばかりだ。
 モヱは頷き仲間達へ視線を巡らす。
「ご無事でショウカ」
「ああ」
 克己が剣を下げて応えると、皆もまた健常な言葉を返していた。
 無事に終われた、その実感と共にマイヤはラーシュを胸に抱く。今日も頑張れた、それが嬉しくて。
「ラーシュも心強かったよ、ありがとう」
 小さくラーシュが鳴き声を返すと、マイヤも微笑んでいた。
 夏雪は周囲を見回している。
「しかし、巨大な敵さんはそれだけで被害範囲が甚大ですね……」
「ええ。後はここを修復しましょう。作業は大変ですけど」
 言いながらも、バジルはヒールをかけて少しずつ景観を美しく直していく。
 夏雪も手伝い始めると、ラグエルもまた助力。深呼吸して、狂気が落ち着いていることを確認できれば……すぐに景色を修復していった。
 スズナも、荒れた地面を綺麗にして──くるりとその場で回ってみせる。
「これでもう、大丈夫ですねっ」
「うん。平和が一番だね!」
 マイヤはふわりと翔んで、人通りの戻り始めた街を眺めていた。
 平和な風が吹き、陽光の注ぐ景色。その明るさを瞳に映したマイヤは、再び降り立って──皆と共に帰路についていく。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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