夏祭りよ永遠に!

作者:ハル


「美味しいね!」
 夏祭り――神社の通りに居並ぶ屋台が提供する食べ物は、普段口にするそれと同じものであっても、一味も二味も変わって感じる。
 それこそが、風情というもの。今、この瞬間にだけ感じられる、一年の大事な行事。
 そして……。
「もうすぐだー!」
 どこかで時計を眺め、子供が歓声を上げた。
 夏祭りの最大の楽しみ。花火の打ち上げ時間が迫っている。
 この時ばかりは子供のみならず、大人も童心に帰り、その瞬間を今か今かと待ち侘びる様に空を見上げていた。
「……お待ちかねなら、今すぐにでも血の花火を打ち上げてやるぜぇー?」
 しかし、この世……宇宙には、そんな人々の幸せを打ち壊す事に至福を感じる輩が存在する。
 地球に送り込まれた罪人エインヘリアルも、その内の一体。
「まずは、そこのガキからだ!!」
 人々の楽しみを台無しにしようと、鳥居の上からエインヘリアルは飛び掛かると、夏祭りを凄惨な地獄へと変えるのであった……。


「エインヘリアルによる人々の虐殺を事前に予知する事ができました」
 集まったケルベロスに、山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)が説明する。
「そしてこれは、植田・碧(紅き髪の戦女神・e27093)さんより齎された情報を元にしたものです。植田さん、ありがとうございました!」
 桔梗が碧に頭を下げると、碧は真剣な表情で礼を受け取りつつ、先を促した。
「では、続きを。出現したエインヘリアルは過去にアスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者のようです。当然、放置すれば多くの命の灯が潰えるだけでなく、人々の心に恐怖と憎悪といった感情が芽生え、地球で活動するエインヘリアルさんらの定命化の進行にまで波及する恐れがあります」
 見逃すという選択肢はない。急ぎ現場に向かい、エインヘリアルの撃破を願いたい。

「その現場というのが、盛大な夏祭りが行われている最中の神社……という、少々皆さんにとっては大変かもしれないロケーションとなっております」
 老若男女問わずの混雑が予想される。真っ向から戦ってもケルベロスならば勝利を収められるだろうが、それでも戦闘序盤は人々を守りながらの戦いを強いられる事となるだろう。
「そこで、可能ならばエインヘリアルが皆さんを狙うよう誘導する――そんな策があれば望ましいでしょうか。幸いにして、出現したエインヘリアルはお世辞にも知能が高いとは言えません。夏祭りで皆さんが心から楽しむ姿を見せつけることができたなら、皆さんの有する豊富なグラビティ・チェインで誘引できるかもしれません! 予知で垣間見たエインヘリアルの下劣な性格からして、楽しんでいる人程、狙われそうだと判断できます」
 現れたエインヘリアルは一体。ゾディアックソードで武装している。性格通り、力押しで攻めてくるだろうし、不利になったからと撤退するような引き際を知る相手ではないため、その点は安心して欲しい。
「同胞にも見放された危険なエインヘリアルです。ここで、確実に撃破してください!」


参加者
楡金・澄華(氷刃・e01056)
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)
ルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
植田・碧(紅き髪の戦女神・e27093)
ペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)

■リプレイ


「……血の花火とか、なんとも悪趣味ですね」
 とある神社。人ごみの中、ルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)は夜空を見上げて呟いた。
「花火は夜空に綺麗に咲くから、趣があるという物ですよ」
 この場に集まったほとんどの人々が、ルピナスに同意してくれるに違いない。彼女の可愛い弟が傍にいれば、きっと自分の後をついて花が咲くような笑みを見せてくれるはずだ。夏祭りの夜とは、そんな楽しみに満ちた時でなければならない。
「そのためにも、一般人に対するエインヘリアルの被害を出す訳にはいきませんね」
 ルピナスは周囲の状況に気を配り、同時に今の雰囲気を壊させない事を誓うと、避難誘導に最適なルートの下見に赴くのだ。

(「折角の夏祭りだ。仕事を終えたら参加したいものだな」)
 気配を消して周囲に溶け込んだ楡金・澄華(氷刃・e01056)の視界の映っていたのは、華やかな浴衣で着飾った女性達の姿だ。忍としての自制心を持ち合わせている澄華であっても、祭り会場というものはその場にいるだけで心躍らせる魔力のようなものがあるのだろう。
「射的、型抜き、ヨーヨー釣り、金魚すくいにクジ引きか」
 直接的には参加していなくとも、人々が楽しんでいる姿に強く惹き寄せられる感情があった。
 澄華はそれらを眺めながら、少し冷めたタコ焼を頬張る。
「腹が減ってはなんとやら、と言うしな。それに私達がいる限り、この夏祭りは終わらない」

「協力感謝する」
「い、いえいえ! とんでもございません! 市民の安全のためですので!」
「話が早くて助かる。それじゃあパニックが起きないよう、避難者の整理は頼んだ」
 夏祭りの実行委員へ協力要請を無事とりつけた相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)は、ホッと安堵を浮かべていた。荒い言動ゆえに勘違いされるのではと危惧していたのだが、ケルベロスという肩書が持つ効力は甚大だ。何より、竜人はこれまでに積み上げてきた功績の賜物として、顔もある程度知られている。
「一先ず、連絡だけはしておくか」
 竜人は、囮役の連絡を担うエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)に主催者側の協力を取り付けられた事を報告する。
 そして、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)らにも同じ情報を伝えた後、ふと妹分の生意気な顔を思い浮かべた。

「――主催者側の助力を得られたのか。……ああ、私の方でもそれを踏まえた行動をしよう」
 報告を受けたハルは、隠密気流を使いつつも人混みに飲まれる事なく自然とそこにあった。
(「とはいえ、重要なのは囮の彼らだから、俺にできる事は限られている、か。それでも信頼できる彼らなら必ずうまくやるはずで、何の問題もないだろう。事が起こった時に、俺もしっかりと役割を果たさなくては」)
 彼が信頼する相手に信頼してもらえるだけの仕事を為さなければならない。
 ――と。
「……動いたか」
 ハルは異変を察し、顔を上げた。

 少し時間は遡り、瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)は内心で大量の冷や汗を掻いていた。
 それというのも――。
「フランクフルトと焼き鳥10人前ずつくっださいな♪ あー、食べたいものいっぱいありすぎるー! じゃがバタは絶対食べなきゃだしー!」
「碧おねーちゃん! 右院おにーちゃん! あのりんご飴食べたーい! あっ、エヴァリーナおねーちゃん、それ一口ちょうだーい?」
「ペルちゃん、もっちろんだよー! じゃあせっかくだし、もう一人前追加しちゃおうかな?!」
「えへへ、ありがとう! わぁ、これ美味しい!」
 右院はエヴァリーナとペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)のお兄さん役……もとい財布と化していたからだ。
(「くっ……何たる臨時出費……!」)
 右院の視線がおずおずと隣を向く。
「ねぇ、見て? 射的でお菓子の詰め合わせがゲットできたわよ? 後で皆で食べましょうよ。右院さんもやってたわよね? 何か取れたの? あっ、ゲームソフトとかかしら?」
 そこでは浴衣姿の植田・碧(紅き髪の戦女神・e27093)が、素晴らしい笑顔を浮かべていた。
「ゲームはさすがに……。でも俺もケルベロスだからね。お菓子とかヌイグルミとかはゲットできたかな」
「それは何よりね! さぁ、もっと楽しまなきゃ!」
「だねー! わっ、碧おねーちゃん型抜きやるんだ!? ペルもやるー!」
 碧とペルは浴衣を軽く腕まくりして、真剣な表情で型抜きに勤しむ。
 もちろん、碧は右院の出費が洒落になっていない事には気づいているのだろう。時折心配そうな視線と言葉をかけてくれるが、右院はその度に爽やかな笑顔を共に「男だからね」そう胸を張って格好つけていた。
「そろそろ穴場の花火スポットに移動しようか?」
「ええ、いい時間だものね」
 提案する右院に合わせ、碧が同意を示すと、彼女はそれとなくペルとエヴァリーナに視線をやる。
 だが、その辺は二人共が十分に心得ていた。
「花火やるんだっけ? 見よう見よう! 秘密の場所なんだ、楽しみー!」
「同じメニューでも屋台によって個性があってね、こっちのたこ焼きはタコが大きくて美味しいよー! そのたこ焼きをお供に花火鑑賞しよー」
 自然な様子で右院が先導するスポットへと着いて来てくれる。
(「さぁ、来るなら来い」)
 しばし歩いて、予定通り周囲に人気がない事を確認した右院は、どこか晴れやかな気分で罪人エインヘリアルを待つ。
「楽しみね」
 フワフワのわたあめを手に、碧が夜空を見上げる。その一言は、心からのものだっただろう。
 そして花火が打ち上げられる直前というタイミングで、その外道は姿を現した。
「貴様ら自身で血の花火を打ち上げろやぁァアアアーー!!」
 ゾディアックソードが宿した星座のオーラが、後衛の二人を薙ぎ払う様にして放たれる。エインヘリアルが浮かべるは歓喜の凶相。他者の幸福な時間を永遠に奪い、してやったりのそれだ。女二人を切り裂く確信を得ているのだろう。
 しかし――。
「お祭りを台無しになんてさせないわよ?」
「あ゛?」
 次にエインヘリアルが状況を理解した時、エヴァリーナもペルも健在であり、オーラは眼前の碧が纏うオーラと、カラフルな爆風の後押しによって弾かれていた。
 どころか、
「お前は無粋だ、死ぬがいい」
 ペルの白い如意棒がエインヘリアルに強かに叩きつけられ、スノーの清浄の翼、そして右院によって寂寞の調べが前衛の碧に向けて奏でられる。
「食べ物の恨みは恐ろしいんだよ!」
「クソ共が!!」
 エヴァリーナがサキュバスミストを放出した頃、ようやくエインヘリアルは事態を悟り、怒りを露わにするのであった。


「――やったか。今度は私達の番だな」
 最初は激しい戦闘が始まった事を知った少数の人々だった。その恐怖が伝染するのにそう長い時間はかからず、波のように人が押し寄せてくる。
 しかし、ハルの表情の焦りの色はない。囮としての役割を果たした仲間はもちろん、避難誘導を担う仲間も同じく信頼しているからだ。
「不安がる必要はない。この場には私も含め、歴戦のケルベロスが揃っている!」
 隠密気流を解除したハルが進み出て、混乱する群衆に告げた。
「避難先はこちらです! 皆さん、わたくしが誘導しますので、どうか落ち着いて行動なさってください!」
 別の地点では、ルピナスが穏やかながらハッキリと声を張り上げていた。
「大丈夫です! 安全な場所を確保してありますから!」
 ルピナスは、時折人々を安心させる笑みさえ浮かべながら伝える。
 そんな中、ルピナスの笑みを見た者、彼女達がケルベロスである事を知った者が僅かながらではあるが平静を取り戻し始める。
「私達がいる! 安心して欲しい! 巻き込まれないよう、避難先へ!」
 澄華がこれ以上の恐怖を人々が感じる事のないよう、努めて落ち着いて誘導する。
 また、それに加え、
「ケルベロスの皆さん! 実行委員の人員に加え、警察、消防共に配置済みです!」
「相馬さんから連絡があった例の応援か! ありがたい!」
 澄華達の元へ、竜人が要請した人員が送られてきた。
「おぅ、待ってたぜ。早速で悪りぃが、俺達が誘導した避難者の引継ぎを頼む」
 もちろんだと気勢を上げる応援に満足した竜人は、手早く現状を告げる。
「こっちだ、焦らず行動しろ! …………さァ、て。確認する必要はあるが、一先ずの避難は完了か」
 周囲を警戒するテレビウムのマンデリンと共に目を凝らし、これ以上の避難者がいなくなったのを見て取った竜人が判断を下し、戦意を高める。
 やがてハルが殺界形成を行ったという報告を受けた一同は、囮組の待つ戦場へと急行した。

 右院がエインヘリアルの放つ星天十字撃を月下美人を盾に捌き、部位破壊を狙った一撃で反撃を加える。
 バランスが崩れたエインヘリアルに、全身を光の粒子と化した碧の突撃、ペルの月光斬が追撃を加え、エヴァリーナが負傷した右院にすかさずウィッチオペレーションを施す。
 4人なれど、罪人エインヘリアルに後れを取る人材ではない。
「――来たか、竜人。我等で始末してしまう所だったぞ?」
 と、エインヘリアルに退屈そうな冷めた視線を向けていたペルが、ふいに愉快気な笑みを見せる。
「そりゃ困るな。お呼びじゃねえデウスエクスを俺の手でもぶん殴って、ぶっ殺してやらないと気がすまねえからよ!」
 返答は刹那の間隙を縫う様に。竜人の右腕が竜のそれへと姿を変え、強化される。
「次から次へと邪魔しにきやがって、ケルベロスが!」
「邪魔はテメェの方だろうがよ。かかって来な挑戦者、咬み千切ってやるからよ」
「……がはっ!」
 喚くエインヘリアルに、瞬く間に間合いを詰めた竜人の剛腕が突き刺さる。
 マンデリンが、負傷者に向けて応援動画を流した。
「ご安心を! 一般の方々に被害は出ていません! 後はエインヘリアルを撃破するだけです!」
「ルピナスちゃん達もさすがだねー!」
 ルピナスが朗報を伝えると、エヴァリーナを筆頭に囮組の表情が和らぎ、より一層の戦意に満ちる。
「交戦開始。夏祭りを再開するためにも速やかに殲滅するぞ」
 ハルの髪色が白く染まる。それは彼の内包する『領域』が展開された証。実体なき朱光がその領域内で踊り狂うように、呪詛を乗せた斬撃がエインヘリアルに刻む。
「くっ!」
 火力に秀でた増援に、エインヘリアルが思わず怯む。
「逃がさない。貴様が必ずここで仕留める、覚悟しろ!」
 澄華はエインヘリアルが後退した分だけ前へ。
「凍雲、仕事だ…!」
 雪のような刃紋と蒼く輝く刀身が美しい大太刀――斬龍之大太刀【凍雲】。その力を解放した澄華が、冷気を纏った空の如き斬撃を刻む。
「無限の剣よ、我が意思に従い、敵を切り刻みなさい!」
 隙を見逃さないルピナスが、無数に創造したエナジー状の剣で総攻撃を仕掛けた。
「さぁ、全員揃った事だし、一気に片をつけるわよ!」
(「俺も騎士として、格好いい登場をした相馬さん達には負けていられないな!」)
 碧の戦乙女の歌が夜空を彩り、右院の花いかだから竜を象った稲妻が轟いた。
 スノーが、尻尾の輪を飛ばす。
「お祭りと食べ物屋さんの屋台は私が守る……!」
 すぐ傍から食欲をそそる香りが漂ってくるこの場で、エヴァリーナに容赦などあるはずもない。
「星の雫を纏いて生命を歌う、風と光に舞う薄羽、小さき友よ。水面に落ちる花弁の様に祝福のキスを降らして……」
 足元に描かれた魔法円が輝き、召喚された小妖精から迸った光が前衛を守護すると、彼女の鬼気迫る様子に応えるように前衛の面々も攻勢に出るのだった。

「なまくらだな……!」
 澄華は最小限の挙動で、振り下ろされた星座の重力を宿したゾディアックソードを回避し、代わりに死の淵で会得した拳を叩き込む。
「宣言通りだ。花火と化し、爆ぜろ」
 ペルの手に白い魔力が収束し、掌底と同時にエインヘリアルの体内へと流し込む。
「――ぎぁ゛!!??」
 数瞬後、体内で爆ぜた魔力の花火にエインヘリアルは目を見開き、身悶えた。
「その傷口を、更に広げてあげますよ!」
 星空の下、ここが攻め時と見たルピナスが、今日の夜空の如き聖なる加護を受けたナイフをエインヘリアルに突き立てる。
「よし殺す。死ね」
 竜人が構える変形した竜鳴から放たれた竜砲弾が、エインヘリアルに最後の抵抗さえ許さない。
「ぐぅうううっ!!」
 瞳だけは野獣のように血気盛んにこちらを睨みつけてくるエインヘリアル。
 しかしハルの金の瞳はその様子に何ら感慨を浮かべないまま、静かに最後だけを告げる。
 領域内に具現化した無数の刀剣が舞う。それらが、一斉にエインヘリアルを貫いた。
「さよならだ」
 そして、ハルの霊剣と境界剣の二振りが、エインヘリアルの巨躯を永遠に二つに別った。


「ん~♪ 美味ひぃ……!」
 唐揚げにポテト、ベビーカステラをエヴァリーナは次々と、際限なく消費していく。その様はまるで、解き放たれた獣。
「私も食べるのは好きだが……エヴァリーナさんの喰いっぷりは凄まじいな」
 そんなエヴァリーナと一緒に、浴衣に着替えた澄華達も食を。そして出店を満喫していた。
「……大変だったんだな」
「そんな事はない。このくらい、なんてことはないさ」
 年頃の女性陣に付き添うのは、右院とハル。右院はハルや女性の手前、騎士らしく振る舞った結果、食に関しては容赦のないエヴァリーナに翻弄されて頬を引き攣らせる事態に。それをハルがそれとなく慰める。
 ともかく、ご馳走を両手に屋台巡りをするケルベロス達。

「喜べ、浴衣を着た麗しの美少女とお祭りデートだぞ? なんてな……クク」
「俺の知ってる美少女は自分で美少女って言わねえよ」
 白地にピンクの紫陽花の浴衣をした少女――ペルに手を引かれ、竜人も夏祭りに顔を出していた。
「竜人ー、我に綿飴買って欲しいな?」
 と、ふいにペルがそれまでに不遜な態度を潜め、あざとさ全開で竜人に擦り寄る。
「お前さんの地を知ってんだからそういうツラしてもダメなもんはダメだぞ」
 溜め息一つ。なんだかんだと綿飴を買ってやれば、ペルの表情が華やいだ。
「ほれ、竜人にもくれてやろう」
「おいっ……はぁ、他になんか食いたいのあるか。もう一個くらい買ってやるよ」
 ぶっきら棒に竜人が呟けば、ペルは思惑通りとでも言いたげな笑みを浮かべ、より強く手を引いた。

「わぁ、夜空に満開に咲く花畑みたいですね」
「本当。無事にこうして花火を見られて何よりね」
 実行委員に教えてもらった穴場で、ルピナスや碧達は夜空一面に咲いた花火を見上げる。
「色とりどりの花火、本当に素敵ですね」
「ね~。あっ、そうだ、射的屋の景品でお菓子の盛り合わせをゲットしたのよ。一緒にどうかしら?」
「是非頂きます!」
 どこにでもあるお菓子も、花火を見上げて食べれば格別だ。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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