映画館といえばアレ

作者:星垣えん

●寂しげな背中
 物音ひとつ聞こえない、小さな映画館。
 すでに廃館が決まっているそこは時が止まったかのような静けさが流れていた。
 ホールにも、ロビーにも、チケットカウンターにも、人の姿はひとつとない。
 そして当然ながら館内の一角を占める売店も無人だ。もぬけの殻だ。
 だが、人がいないにも関わらず、蠢く影があった。
「ポップコォォォン」
 ガタンガタン、と四足で歩く巨大機械が徘徊していた。
 どこか寂しげな鳴き声を発するそれは縦長の四角いボディを持っていて、大部分が透明板で内部が見えるようになっている。
 てゆーか、ポップコーンメーカーだった。
 赤と黄色という賑やかなカラーリングを施されたそれは、どー見てもダモクレスと合体しちゃったポップコーンメーカー(業務用)だった。
「ポップコォォォォォンン…………」
 四足を緩慢に動かして、のそのそ歩きまわるポップコーンメーカー。
 なぜそんな元気がないのだろう――と一瞬思いそうなほどしょんぼりしているが、その理由はすぐにはっきりと察することができた。
 何も入っていないのだ。立派な透明ボディの中には何も入っていない。
 ポンポンと爆裂して客の目と耳を楽しませ、香ばしさと美味しさで嗅覚と味覚を満足させてくれるポップコーンが、入っていない。
 つまりそう! コーン不足!
「コォォォォォォォォンンンン…………」
 材料たるコーンを求めて館内を徘徊するダモさん。

 これはいけない! すぐにお求めのコーンを届けてあげなくては!

●おかしい
「――ということで、もうコーンは用意してあるよ」
「しっかりポップコーン用のものです!」
 山積みになった大量の段ボール箱を挟んで、アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)と笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)はとても真面目な顔で猟犬たちに言ってきた。
 おかしい。何かおかしい。
 ヘリポートに急行した一同は、ついさっきまでアンセルムとねむから『潰れた映画館に出現したダモクレスを破壊してほしい』という旨の説明を聞いていたのだ。
「塩とかキャラメル、バターなんかも買っておいた」
「ねむはチーズとかカレー粉とか買ってきました!」
 それが一瞬でポップコーンを食う話にすり替わっている。
 おかしい。何かおかしい。
「巨大化してるポップコーンメーカーさんには、こうボディの横のほうにパカッとひらける投入口があります! そこにコーンを入れればあとは勝手に作ってくれるはずです!」
「たくさん作って、最期に一花咲かせてあげようか」
 もうポップコーンの話しかしてこないねむちゃんとアンセルムさん。
 ダモクレスを放っておいてはいずれ一般人を襲うかもしれない、とかこういう手合いに付き物の話をまったくしてこない。ポップコーンに意識奪われすぎてる。
「現地にドリンクはないだろうから、ドリンクもボクたちで用意してある」
「ヘリオンに積み込んでありますから安心して下さい! さぁ、みんなで映画館に行きましょう! コーンが入った段ボール箱を運んでもらえると助かります!」
「箱、全部入るかな」
 腕をくるくる回して猟犬たちを急かしてくるねむちゃん。アンセルムは攻性植物の蔦で段ボール箱を持ちあげて搬入作業を始めた。
 これはもう受け入れるしかないな、と納得する猟犬たち。
 美味しいポップコーンを食べるため、もちろん皆で段ボール箱を運びました。


参加者
立花・恵(翠の流星・e01060)
朱藤・環(全ゴリラの推し・e22414)
一之瀬・白(龍醒掌・e31651)
アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)
霧山・和希(碧眼の渡鴉・e34973)
エルム・ウィスタリア(薄雪草・e35594)
クロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)
大森・桔梗(カンパネラ・e86036)

■リプレイ

●戦いの準備はできている
 無人の映画館。
 そこに怪しげな人たちが出没していた。
「ポップコォォォォォンン!!」
「ヒャッハー! ポップコーン食べ放題だー!」
 朱藤・環(全ゴリラの推し・e22414)とクロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)である。
「いっぱいポップコーン作ろうね、ワカクサ!」
「――!」
 にぱっと笑うクロウに敬礼するワカクサ(ボクスドラゴン)。なんかもう翼の動きがすごい。すごすぎてパタパタうるさい。
「あのぽこぽこ爆ぜる様子って面白そうなんですけど、なかなか見る機会ないんですよね。すごくすごく楽しみですー!」
「あれ僕も凄く好きなんだよね。何か食欲をそそられるし……あと匂いが堪らないよね!」
 環も夢見る少女の顔になっとるし、すぐ後ろを歩いてる一之瀬・白(龍醒掌・e31651)も明らかにキャッキャしてる。
「ダモさんはどこかなぁ」
「あっ、あれじゃないですか!?」
 きょろきょろ目当てのブツを探していた白の肩をばしばし叩き、前方を指差す環。
 その先には――。
『ポップコォォォォォンン……』
 見るからにしょげ返っているダモさんがいた。赤と黄色でカラーリングされたボディはポジティブ感が半端ないのに、とぼとぼ歩く姿には寂寥感しか感じられねえ。
「あんなに寂しそうに……」
「まるで親を求める迷子じゃないか……」
「こうしてはいられません。慰めてあげましょう」
 憐れんで眉根を寄せる2人の背後に、エルム・ウィスタリア(薄雪草・e35594)が無音で現れる。
 ダモさんを見る彼の目は真剣だ。キャラメルフレーバーの瓶を握り、クーラーボックスをたすき掛けにしているとはとても思えない。
「よし、行こうみんな!」
「「おー」」
 白の合図で駆けてく3人。
 一方、アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)はせっせと外と館内を往復している。
「コーンは全部持ってきたかな。あとはドリンク」
 体にまとわりつく攻性植物をうねうねさせながら外に出てくアンセルム。
 そう! 彼は材料とかそーゆーのを搬入していた!
「ほらもっと持てるでしょ。あと一箱」
 しかも基本的に攻性植物とオウガメタルをこき使っているため本人は汗ひとつかいていない! いつ労働環境を不服とした二者に寝首をかかれてもおかしくない!
 と、一抹の不安がよぎる光景を横目に。
「俺はとりあえずこういうの持ってきたよ」
「私もたくさん持ってきました。えぇと、全部で何本でしょう……」
 館内の一角では、立花・恵(翠の流星・e01060)と大森・桔梗(カンパネラ・e86036)が持参した映画のDVDを見せあっていた。恵は名作と評されているアニメ映画を、桔梗はアイテムポケットから無数のDVDを取り出している。
「これだけあれば十分ですね」
「でも大丈夫かな、映写の機材とか……」
「あ、たぶん問題ないと思いますよ。朱藤さんとリトルラウンドさんが機材を持ってきてましたから」
 数本のDVDを小脇に抱えた霧山・和希(碧眼の渡鴉・e34973)がもたらすプチ情報。
 あの2人完全にやる気やで。
「ポップコーンと飲み物をお供にみんなで映画を楽しむ……こういうのも良いですね」
「しかもポップコーンは食べ放題だもんなー。今からわくわくが止まらないぜ……早く冷たいコーラで乾杯したい!」
 足元に置いていたクーラーボックスを、ぼんっと叩く恵。
 映画を見終わったあたりで彼らが満足して帰ってしまわないことを、祈るばかりだぜ。

●自由
 ポン、ポン、と連続する破裂音。
「ポップコォォォォォォォン!!!」
「ポップコーン用のコーンにも二種類あるんだって。形の違いからバタフライタイプとマッシュルームタイプって呼ばれてて、それぞれフレーバーとの相性があるみたいだね」
 ざざーっとクロウの手でコーン粒を流しこまれ、猛るダモさん。投入されるそばからコーン粒は加熱されて膨れ上がり、ぽこぽこ小気味よい音を発する。
 ケースの中で積みあがる山を、恵は夢中になって眺めた。
「わぁ~、よくはぜるな~」
「おお、もこもこーって吹き出してくる……」
 ひとしきりコーン粒の投入を終えたクロウも、ワカクサと一緒に透明板に張り付く。
「もうそろそろ食べてもいいかな?」
「いいんじゃないですか?」
「ようし、それじゃあ食べるぞ!」
 ケースに両手をついたままチラリと訊いてきたクロウに、売店から大容量の紙カップとスクープを回収してきた和希が微笑む。ゴーサインを頂くなり恵はケースをひらいた。
 1分後、3人はポップコーン(塩味)が溢れてる紙カップを抱いていました。
「よーし、できたてを実食だ!」
「これを腹いっぱい食べてみるのって夢だったんだよ!」
「ほかほかサクサクで美味しいです……!」
「皆さん先に食べてしまうなんてズルいです。僕にもお願いします」
 片手いっぱいに握ったポップコーンを食う恵たちに気づくなり、エルムもせっせと紙カップにブツを移す。そして食べる。
「とても美味しいですね……」
 ほわんと顔を緩ませるエルムの紙カップに、ふわふわシマエナガ『シュネー』が着地。ちょんと1個ついばんだ彼女はたちまち主人と同じほわん顔になる。
 一方、環はポップコーンを頬張って猫耳をぴこぴこさせていた。
「軽いからポイポイ食べられるー。ね、アンちゃん?」
「うん、本当に手が止まらない。だから一之瀬にはコーンの補充を頑張ってもらいたい」
「いつの間にか係に任命されてる!? ちょっと! 僕も食べるからね!」
 妹の百火(ビハインド)とダモさんにコーンを入れていた白が、断固として雑用にはならないと告げる。百火はくすくすと笑うとカップにポップコーンを盛りこんで、兄の袖を引いた。
「――」
「これ僕の分……? ありがとうね、百火」
「――」
「あ、コーラも。うん、やっぱり映画館ならポップコーンとコーラだよね!」
 妹からポップコーンとコーラを渡され、にんまりご満悦の兄。
 そしてそれをポップコーンぼりぼりしながら見物してた環とアンセルム。
「堂々とシスコンしてる……」
「悪いことは言わない。今すぐ一之瀬から逃げるんだ」
「はいそこ変なこと言わない。それと百火も一之瀬だから!」
「聞き捨てなりませんね、一之瀬団長」
「和希殿!? 和希殿も僕をシスコンだなんて――」
「ポップコーンにはメロンソーダですよ」
「そこ!!?」
 あらぬ嫌疑をかけてくる環たちにツッコむ白に、メロンソーダ飲みながら割りこんでくる和希。己が頭を務める旅団ながら『番犬部』のフリーダムっぷりに白くんは頭を抱えた。
 しかも、自由なのは彼らだけじゃないってのがまた悩ましい。
「何言ってんだ。ポップコーンには冷えたコーラ一択だぜ!」
「恵殿まで!? いや僕も同意見だけどさ……」
 2Lコーラをぎちぎちに詰めたクーラーボックスをひらいて悪乗りしてくる恵。
「僕はお茶です」
「さすがエルム殿、渋い! ってそうじゃなくて!」
 ジャンクな空気に流されずお茶を持って微笑むエルム。
「あ、自分もコーラ貰っていい?」
「クロウ殿もマイペース!」
 番犬部じゃないけど普通にフリーダムしてくるクロウ。
 どいつもこいつも、白のツッコミ体力とか考えないぐらい自由だった。
「みんなまったく好き勝手するんだから……」
「大変ですね、一之瀬さん」
 はぁ、と肩を落とす白の背中をポンポンする桔梗。
 そんな彼の腕にはふたつの紙カップが抱えられていて、それぞれ違うフレーバーとなっていた。塩キャラメルとコンソメバター醤油だ。猟犬たちが飲み物論争してた間にちゃっかりダモさんを使ってたとなると彼も相当フリーダムだよね。
 塩キャラメルからは強烈な甘い香りが漂い、コンソメとバター醤油で味付けされたほうからは食欲をそそる香ばしさが溢れている。そしてそれを桔梗は交互にサクサクもぐもぐ食べていた。
「甘さとしょっぱさを交互にするのはいいですね」
「塩キャラメル……バター醤油……」
 黙々と食べる桔梗のポップコーンを、食い入るように見つめる白。
 その距離、5センチ。
 紙カップまで5センチに顔を寄せた白くんは、涎を垂らさんばかりに開口していた。
 彼の顔とポップコーンとを交互に見て、少し考えて、桔梗は紙カップの口を白のほうへと向けてあげた。
「食べますか?」
「いいの!? ありがとう、桔梗殿!」
「あ、僕もキャラメルフレーバーを用意してきてたんです」
「僕も抹茶とかきな粉とか持ってきてたんだった」
 ぱぁっと顔を明るくして桔梗のポップコーンをつまむ白。その横をエルムとアンセルムがぱたぱた小走りで通過してゆく。
 ポップコーン祭りは、まだまだ終わりそうもないっす。

●上映
 大画面いっぱいに映る、徒手空拳でやりあう男たち。
 見る者を魅了してやまぬ激しいカンフーシーンに、シートに座っていた白は思わず身を乗り出していた。
「ん~! やっぱりいいなぁ、カンフー映画は!」
「確かになー。なんか独特の魅力があるよな、カンフーって」
「だよね!!」
 隣でもぐもぐとキャラメルポップコーンを食っていた恵を、白が興奮気味に振り返る。
 猟犬たちは上映ホールに籠っていた。映画館だし映画観ないと、と白や環が言い出したのをきっかけにして、一同は至福の映画タイムに突入していたのだ。
 カンフー映画が終わると、ジンジャーエールを飲み干した環が立ち上がった。
「じゃあ次に映画に変えてきますね! 何にしますか?」
「「はい! はい!」」
 環の声を聞くなり、ばばっと挙手したのは和希とクロウ。
「僕はこの『レディ・プレイ――」
「おっと霧山さん! ストップです!」
「自分はこの吹替版の『コマンド――」
「おぉっとクロウさん! それもそこまでです!」
 何かを察知したように二人の言葉を牽制する環。大人の事情とか言わない。
 背もたれにぐっと体重を預けた恵が、脚をぴーんと伸ばす。
「こんな贅沢な時間が楽しめるなんて、良いこともあるもんだなぁ~」
「ねー」
「これが仕事でいいんでしょうか……」
 まったりしながら恵に頷く白と和希。もちろんもぐもぐとポップコーンを食っている。香ばしいバター醤油味を頬張ってコーラやメロンソーダを喉に流し、得も言われぬ幸福感にずるずる沈む二人。
 そうこうしているうちに次の映画が始まる。
 上映されたのはクロウの持ってきたアクション映画だ。筋肉がゴイスーな主人公が痛快に活躍するさまを観賞しながら、クロウは段々とテンションを上げてゆく。
「出た! 究極のエコカー、位置エネルギー車だ!」
「エコカー……なんだか凄そうですね」
「そうなんだよ!」
 持ちこんだアイスコーヒーを飲んでいた桔梗の隣に、一瞬で飛んでくるクロウ。
 映画の良さを語ると彼女は「はぁー」と満足そうに息をついて、抱えていたポップコーンを口に放った。塩気が蜂蜜の甘さを引き立てるハニーソルトで味付けしたそれは、思わず脚をぱたぱたさせてしまうほど美味い。
「んー! 美味しい!」
「……私のと、少し交換こしませんか?」
「桔梗のは……わっ、キャラメルにチョコソースがかかってる!」
 桔梗のポップコーンを覗いたクロウが驚いた声をあげる。キャラメルフレーバーにミント味のチョコソース、粒ゼリーがトッピングされたそれはもはやポップコーンと呼んでいいかもわからない迫力である。カロリー的に。
「じゃあ貰おうかな……!」
「どうぞ。私もハニーソルト、食べさせてもらいますね」
「あーいいなー。私も混ぜてください!」
 互いのを食べ比べる二人の後ろの席から、環がぐっと割って入ってくる。
 ジンジャーエールを分けることで二種のポップコーンをゲットした環は、甘ぁいそれを思いっきり頬張った。
「映写室との往復で疲れた体に染みわたります……!」
「環、ご苦労様」
「朱藤さんがいて本当によかったです」
「いやいやどういたしましてー」
 声をかけてきたアンセルムと和希に、手をふりふりする環。
「ところで次の映画はどうします?」
「あ、じゃあこの『サメが飛んでくる』映画とかどうかな? ネットで話題になっていて、どうせ見るなら皆で賑やかに見たいなーって。何だかクセになるらしいよ」
 怪しげなDVDを環に見せるアンセルム。
「何だか低予算な感じがすごいですね……」(和希)
「サメ映画! とても気になります!」(超乗り気のエルム)
「オッケーです! じゃあ次はサメ映画で!」
 DVDを受け取った環がダッシュで映写室に向かう。
 ドアをひらいて消えてゆく彼女の背を見送ると、エルムはわくわくした顔で、スクリーンに向き直った。
 そして、膝の上にバニラアイス(2L)を置く。
 で、アイスにキャラメルをふりかける。
「~♪」
「エルム、それは……」
「明らかに映画館で食べるものでは……」
「え? 何ですか?」
 言いづらそうに見てくるアンセルムと和希に、純粋な笑顔で振り返るエルムさん。
 2Lのアイスクリームは映画館ではあまりに非常識――。
 そう教えてあげたかった二人だけど、アイスにスプーン突っこむ彼の笑顔はあまりに眩しくってね、結局完食するまで何も言えませんでしたよ。

●回収屋さん
 数十分後。
「はー。旨いポップコーンだったなー」
「今日は楽しかったー」
 映画館の正面口から外に出てきた恵と白が、ぐぐっと体を伸ばす。
 上映会を終えた猟犬たちはサクッとダモさんを破壊していた。あれだけ働いてくれたダモさんを壊すのは忍びなかったが、やるとなったら仕事は早かった。
「テイクアウトもいっぱい作ってもらえましたし、ダモさんには頭が上がりませんね」
「そうですね」
「これから食べたいときにいつでも食べられるポップコーン生活の始まりです!」
 蓋をしたポップコーン入りの紙カップを大量に袋に収めて、桔梗が満足げに笑う。同じく土産を大量に確保することに成功したエルムと環も、両手に抱えたポップコーンを見てほっくほくである。
「僕も食べきれなかったので、いくらか持ち帰りですね」
「生真面目だなぁ、和希は」
 仲間たちに比べて小ぶりの袋を持つ和希を横目に、身に纏った攻性植物に食べ残しのポップコーンをぐりぐり突っこむアンセルム。「今日の晩御飯」と言いきる彼は果たして晩御飯まで無事でいられるのだろうか。ワンチャン反乱されてんじゃね?
 ともあれ、腹を満たして帰路につく猟犬たち。
 だが一同が映画館前から去ってから、ひとりの人影が中から出てきた。
「あとで自分が直してやるからな!」
 クロウだった。壊れたポップコーンメーカーに同情した彼女は、でかくて重いそれを台車に乗せて、汗を浮かべながら運んでいた。
 そこへワカクサが横付け。
 ぱたぱた翼を動かしながら何事かをクロウに訴えてきた。
「え? 直ったらバニラフレーバーが食べたい? ワカクサは本当にバニラ好きだなー!」
 はははは、と笑って。
 クロウとワカクサは、がらがら台車を押しながら家路を行くのだった。

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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