●都内某所
オシャレなデザインのメトロノームがあった。
このメトロノームは一定の間隔で音を刻み、テンポを合わせる事が出来るだけでなく、デザイン性も優れていたため、人気の商品であった。
だが、スマホのアプリでも代用する事ができ、そのうえ場所も取らなかったため、次第に必要とされなくなった。
その後、メトロノームがあった学校が廃校になり、そのまま放置されてしまったようである。
それから、しばらくして、小型の蜘蛛型ダモクレスが現れた。
小型の蜘蛛型ダモクレスは、メトロノームの残留思念に導かれるようにして、隙間から中に入っていった。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォオム!」
そして、機械的なヒールをかけ、メトロノームを蜘蛛型のダモクレスに変化させた。
●セリカからの依頼
「アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)さんが危惧していた通り、廃墟と化した音楽室で、ダモクレスの発生が確認されました。幸いにも、まだ被害は出ていませんが、このまま放っておけば、多くの人々が虐殺され、グラビティチェインを奪われてしまう事でしょう」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
ダモクレスが確認されたのは、都内某所にある廃墟と化した学校。
この学校は肝試しスポットとして知られており、音楽室で少女の霊を見たという噂もあるようだ。
「ダモクレスと化したのは、メトロノームです。このままダモクレスが暴れ出すような事があれば、被害は甚大。罪のない人々の命が奪われ、沢山のグラビティチェインが奪われる事になるでしょう」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
資料にはダモクレスのイメージイラストと、出現場所に印がつけられた地図も添付されていた。
ダモクレスは蜘蛛のような姿をしており、一定の音を刻みながら、ケルベロス達に攻撃を仕掛けてくるようである。
「とにかく、罪もない人々を虐殺するデウスエクスは、許せません。何か被害が出てしまう前にダモクレスを倒してください」
そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ダモクレス退治を依頼するのであった。
参加者 | |
---|---|
雪城・バニラ(氷絶華・e33425) |
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743) |
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969) |
霧矢・朱音(医療機兵・e86105) |
●都内某所
「まさか私の予想していたダモクレスが本当に現れるとは……。でもこれも不幸中の幸いですね、人に危害が出る前に倒してしまいましょう」
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)は仲間達と共に、廃墟と化した学校にやってきた。
この学校は以前まで小学校として利用されていたが、少子化問題の影響をモロに受け、廃校になってしまったようである。
そのため、肝試しスポットとして知られており、何とも言えない不気味な雰囲気が漂っていた。
それでも、怯む事なくアクアがハンズフリーライトでスイッチを入れ、警戒した様子で足を踏み入れた。
廃校の中は空気が重く、漆黒の闇がすべてを飲み込む勢いで広がっていた。
その闇を消し去るようにして、ハンズフリーライトの明かりを照らしつつ、警戒した様子で廊下を歩いて行った。
「何だかメトロノームって、SFっぽい響きね。まるで、どっかの惑星みたい」
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)が、事前に配られた資料に目を通した。
資料を見る限り、メトロノームは、一般的なモノと比べて、オシャレなデザイン。
そのため、子供達にも大人気であったようだが、スマホの手軽さと比べて不便だったため、必要とされなくなってしまったようである。
「……メトロノームか。音楽の授業では重宝したわね。今や、それもスマホで代用できる時代になったのは寂しい気持ちもあるけれど……」
雪城・バニラ(氷絶華・e33425)が複雑な気持ちになりながら、ランプで辺りを照らしながら、殺界形成を発動させた。
そんな中、音楽室がある方から、カチコチ、カチコチと規則正しく音が聞こえてきた。
「メトロノームって、ジーっと見ていると、私って眠くなっちゃうのよね。まぁ、今回は寝ている暇なんてないでしょうけど……」
その音を聞きながら、霧矢・朱音(医療機兵・e86105)がハンズフリーライトで辺りを照らした。
「かちこち、かちこち、いーリズムね♪ なんか…とっても……眠く……って、寝てない、寝てないわよ! 絶対に眠ったりしないんだか……ぐう……って、違う、違う! 絶対に寝てないから! 寝る気もないから、本当に……!」
レイがハッとした表情を浮かべ、激しく首を横に振った。
だが、睡魔はカッコイイお兄さんタイプ。
そのため、油断していると、沼に沈んでいくような感じで、沼に沈んでいくような感じであった。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
その眠気を覚ますようにして、ダモクレスが耳障りな機械音を響かせ、ケルベロス達に襲い掛かってきた。
●ダモクレス
「いきなり襲い掛かってくるなんて礼儀知らずね。せめて挨拶くらいしたら、どうなの? まぁ、礼儀正しくされたところで、やる事は変わらないけど……」
バニラが不機嫌な表情を浮かべ、ダモクレスと距離を取った。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」
次の瞬間、ダモクレスが一定の音を刻みながら、超強力なビームを放ってきた。
そのビームは床をガリガリと削りつつ、ケルベロス達に迫ってきた。
「それとも、これが挨拶のつもり……? だったら、こっちも手加減をする必要がなさそうね」
すぐさま、バニラがエナジープロテクションを展開し、ダモクレスのビームを防いだ。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオム!」
その間も、ダモクレスは規則正しく音を響かせ、再びビームを放とうとした。
「これはスナイパーの腕の見せ所♪ 狭い空間だから、よーく狙って……」
それと同時に、レイがバスターライフルを構え、ダモクレスの発射口を撃ち抜いた。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」
そのため、ダモクレスはビームを発射する事が出来ず、イラついた様子で足踏みし始めた。
だが、それ足踏みも、リズミカル。
まるでタップを踏むようにして、リズムを刻んでいるせいで、ケルベロス達も釣られて、踊りそうになった。
「少し大人しくしてもらえますか」
その衝動から逃れるようにして、アクアがケイオスランサーを発動させ、槍の如く伸ばしたブラックスライムで、ダモクレスの身体を貫いた。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォムゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ!」
その苦しみから逃れるようにして、ダモクレスがケルベロス達に体当たりを仕掛けてきた。
「だったら、周囲の地面ごと、貴方を叩き潰してあげるわ!」
それを迎え撃つようにして、朱音がグラウンドブレイカーを仕掛け、グランドロンの強靭な腕力で、ダモクレスに腕を振り下ろした。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」
その一撃を喰らったダモクレスが、耳障りな機械音を響かせ、圧し潰されるようにして床にガクンと沈んだ。
「綺麗な花びらよ、仲間を癒す力を与えてね」
その間に、バニラがフローレスフラワーズを発動させ、カチカチという音に合わせて、美しく舞い踊り、癒しの力を宿した花びらを降らせた。
「メ・メ・メトロ……ノームゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
次の瞬間、ダモクレスがブチ切れた様子で、耳障りな機械音を響かせ、メトロノーム型のアームを伸ばしてきた。
メトロノーム型のアームは、カチカチ、カチカチ、規則正しく音を響かせながら、ケルベロス達に殴りかかってきた。
「……さすがに鬱陶しいですね。少し大人しくしてもらいましょうか」
アクアが嫌悪感をあらわにしながら、クリスタルファイアを発動させた。
それと同時に、熱を持たない水晶の炎が放たれ、ダモクレスの身体に切り刻んだ。
「メトロノームゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
だが、ダモクレスは全く怯んでおらず、メトロノーム型のアームを振り回し、ジリジリと距離を縮めてきた。
「何だか、これって催眠術みたい。だからと言って、寝たりしな……ぐう……」
その途端、レイが激しい睡魔に襲われ、夢の世界に旅立った。
それは、まるで背中から翼が生えたような感覚。
そのまま大空に飛び立ち、街を見下ろしているような感じであった。
故に、抵抗する理由はなければ、その必要もなかった。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオム!」
その隙をつくようにして、メトロノームがカチカチ、カチカチと音を立てながら、ダモクレスに迫ってきた。
「これ以上、近づくのであれば、こちらも容赦しませんよ! 虚無球体に飲まれて、消滅しなさい!」
その行く手を阻むようにして、朱音がディスインテグレートを仕掛け、ダモクレスに虚無球体を放った。
それは触れたもの全てを消滅させる不可視の球体。
そさの球体がまわりのモノを消滅させながら、ダモクレスに迫っていった。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォム!」
その事に危機感を覚えたダモクレスが、身を守るようにして、自らのアームを盾代わりにした。
しかし、すべての攻撃を防ぐ事が出来ず、盾代わりにしていたアームが、跡形もなく消滅した。
「メェェェェェェェェェェェェェェェェトロノォォォォォォォオム!」
次の瞬間、ダモクレスが怒り狂った様子で、メトロノーム型のミサイルを飛ばしてきた。
メトロノーム型のミサイルは、音楽室の床に落下すると、順序良く爆発していき、大量の破片を飛ばしてきた。
その破片は刃物のように鋭く、ひとつひとつが刃のようでもあった。
それがケルベロス達の命を狙って、次々と飛んできた。
「なかなか強力な攻撃ですね。次のミサイルが撃たれる前に、倒してしまいましょうか」
アクアがブロック塀の後ろに隠れ、刃の如く鋭くなった破片を防いだ。
「だったら、このナイフに貴方のトラウマを映してあげるわ!」
それに合わせて、朱音がナイフの刀身に、ダモクレスのトラウマを映し出した。
それはダモクレスがメトロノームであった頃、大事に使ってくれた音楽教師の姿。
だが、廃校が決まった途端、見向きもされなくなって、ポイッ!
その時の表情を浮かべた音楽教師が、ダモクレスの前に立っていた。
「メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」
それは魂の叫び。
そのため、後先考えずに、音楽教師めがけて、ツッコんだ。
しかし、そこにあったのは、ブロック塀。
そこに頭から突っ込んだダモクレスが、無防備な背中をあらわにした。
「……って、寝てないから! だ、だから、別に爆音で目を覚ましたわけじゃなわよ!」
その音でレイがビクッと飛び起き、必死になって言い訳をし始めた。
いつの間にか、ウトウトっとしてしまったが、眠っていた事がバレるとマズイ。
それを誤魔化すようにして、しれっと起きているフリをしたものの、状況がまったく分からない。
一体、何が正解で、何が不正解なのか分らぬまま、頭の上にハテナマークを浮かべていた。
それでも表面上は『ぜ、全部、分かっているけど、何かっ!?』と言わんばかりの表情を浮かべているため、何とも言えない微妙な空気が、辺りにもわんと漂っていた。
「だから、こっちを見ないでよ!」
そんな空気を振り払う勢いで、レイがスーパー神風デリンジャーアタック!(イザノトキノゴシンジュツ)を繰り出した。
それと同時に、レイが空高く舞い上がり、懐から取り出したデリンジャーをダモクレスめがけてブン投げた。
「メ、メトロノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォム!」
それは完全な、とばっちり。
ダモクレス自身も、そう感じていたようだが、地味に痛い一撃がコア部分に命中し、納得がいかぬまま完全に機能を停止させた。
「……何とか無事に終わったようね」
その途端、バニラがホッとした様子で、ダモクレスだったモノを見た。
ダモクレスだったモノは、完全に機能を停止させており、二度と動きそうにない。
それでも、ダモクレスの元になったメトロノームだけは、カチコチ、カチコチと規則正しく音を刻んでいた。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年7月29日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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