人斬りゾーイ

作者:紫村雪乃


 刃が唸りをあげて疾った。風の慟哭のような音とともに人間が両断され、血の海に沈む。
 が、血刀を引っさげた男には何の感慨もないようであった。昏い目でじっと骸を見下ろしている。
 そこは市街地の中心であった。雨上がりの澄んだ空は雲ひとつ無い。
 先刻まで街路は往来の人々で賑わっていた。この日もいつもと変わらない一日である、はずだった。
 そこにこの男が現れた。
 人間ではない。甲冑をつけた巨躯は三メートルほどもあった。手に握る直剣からは鮮血が垂れ落ちている。
 この場に現れてから、男は殺戮を続けていた。楽しくとも悲しくともないことは、男の陰鬱な顔を見ればわかる。
 男は、かつて命を受け殺戮を行ってきた。斬って、斬って、斬りまくった。そして、斬ることが男の性となった。
 人々の悲鳴がこだまする中、男は歩を踏み出した。逃げ遅れた人を見つけると、迷いなく一閃に斬り捨てる。彼は人斬りと呼ばれたエインヘリアルであった。


「エインヘリアルによる人々の虐殺事件が予知されました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はいった。
「このエインヘリアルの名はゾーイ。過去にアスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者です。放置すれば多くの人々の命が無残に奪われるばかりか、人々に恐怖と憎悪をもたらし、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせることも考えられます。急ぎ現場に向かい、このエインヘリアルの撃破をお願いします」
「ゾーイの武器は何なの?」
 問うたのは妖艶な女である。ほとんど裸といっていい身なりで、輝くばかりの肌を惜しげもなくさらしていた。和泉・香蓮(サキュバスの鹵獲術士・en0013)である。
「その身にあった巨大な直剣です。グラビティはゾディアックソードのそれ。威力は桁違いですが」
「アスガルドで凶悪犯罪を起こしていたような危険なエインヘリアルを野放しにするわけにはいかないわ。皆、必ずこいつを倒してね」
 艶然と笑うと、香蓮はウインクした。


参加者
リィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)
皇・絶華(影月・e04491)
烏羽・光咲(声と言葉のエトランジェント・e04614)
メレアグリス・フリチラリア(聖餐台上の瓔珞百合・e21212)
刈安・透希(透音を歌う黒金・e44595)
空鳴・熾彩(ドラゴニアンのブラックウィザード・e45238)
ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)
ベルテ・エスリドゥサ(グランドロンの鎧装騎兵・e85767)

■リプレイ


 輸送へりのパイロットが、もうすぐ目標域だと告げた。
 すると、キャビン内の一人の女がシュシュをはずし、それを用いて鮮やかに輝く蒼髪をポニーテールに結い上げた。
 その行為は、女ーーリィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)にとってある種の儀式だ。己を臨戦態勢にすべりこませるための。今回の場合、彼女はいつもより強めにくくった。
「誰彼構わず斬ることができればいい。それでも心が満たされることがない人斬り…ですって? 迷惑極まりないわね」
 烏羽・光咲(声と言葉のエトランジェント・e04614)はオラトリオらしい玲瓏たる美貌をしかめた。それからリィンに視線をむける。
 リィンの刀さばきの凄絶さは承知していた。全幅の信頼を寄せた眼差しである。
 光咲は左翼から蒼く燃える羽根を一枚抜き取った。
「この碧い炎は、皆を護るためのもの…」
 独語すると、光咲はドアを開いた。吹き込む豪風に光咲の黒髪が翻る。
「先にいくわね」
 光咲は空に身を躍らせた。

 ビル風が吹く中、その男は足をとめた。
 三メートルはある巨躯。手には巨剣をひっさげている。
 彼の名はゾーイ。人斬りと呼ばれたエインヘリアルであった。
 ケルベロスたちは素早く散開。ゾーイが逃走できぬよう包囲陣を敷く戦法に出た。
 ゾーイは自らを囲む者達に気づき、口を開いた。
「何だ、お前ら?」
「ケルベロスだ」
 落ち着いた、というより冷然とした物腰の女が答えた。刈安・透希(透音を歌う黒金・e44595)である。中性的な顔立ちで、男装の麗人を思わせた。
「血の海なんて作らせない、絶対にだ」
「できるか、お前らごときに」
 昏い目でゾーイはケルベロスたちを見返した。すると眩い光が散った。光咲が翼を広げたのだ。
「数多の人の命を奪ったその刃、私たちが食い止めてみせる!」
「くだらん」
 呟くと、巨躯はゆっくりと剣をかまえた。
「まあ、どうでもいい。斬るだけだ」
「妙な奴もいるものだな」
 皇・絶華(影月・e04491)が、ふと呟いた。女と見紛うばかりに美しい顔が怪訝そうにしかめられている。
「珍しいな貴様のような奴は。大抵の奴らは多くの感情を刃に込める」
 愉悦、歓喜、憤怒。込めるものは様々だ。いや、むしろ斬るという行為は、込めたものの発露であるかもしれない。
「だが貴様からは何も感じない」
 絶華はいった。驚くべきことに、この時、絶華はゾーイの剣の本質ーーいや、ゾーイそのものの本質を見抜いていた。
 虚無。それがゾーイの本質であった。殺人機械よりも、なお昏く禍々しい存在である。
 絶華はいった。
「…貴様の斬るという仕事は終わりだ。何か言いたいことはあるか…?」
 ゾーイは答えない。そのゾーイのかまえを見て、小麦色の肌の少女がうんざりしたように声をもらした。
「まったく、本当にエインヘリアルは好戦的なんだから…静かに過ごせばいいのに」
 肌に良く映える銀髪をゆらし、ベルテ・エスリドゥサ(グランドロンの鎧装騎兵・e85767)もまた身構えた。穏やかな日々と世界。それをベルテは愛していた。その宝物を壊す者をベルテは許さない。
「人々を殺戮しようとしているなら、容赦する必要はないよね」
 ベルテはいった。恐い眼差しをゾーイにむける。反射的にゾーイが剣の柄を強く握り込み、戦闘態勢に滑り込んだ。
 時を同じく、蒼髪の端麗な美貌の青年ーーラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)もまた腰におとした喰霊刀に手をのばした。
 が、ラグエルに喰霊刀を使うつもりはない。彼の裡にひそむ狂気の元凶であるはずのそれは、同時に彼の守り刀でもあった。
「…人斬り、ね…。野放しにするわけには行かないから、消えて貰おうか」
 瞬間、ラグエルの身から悽愴の鬼気が放たれた。通常人ならば卒倒しかねぬほどの凄絶の妖気である。
 同時、メレアグリス・フリチラリア(聖餐台上の瓔珞百合・e21212)は仲間を見回し、その妖艶な顔に不敵な笑みをにじませた。
「逃走を阻む自配置ーー戯れに名付けるなら重殺蜂球陣ってトコかな!」
 優雅にメレアグリスは扇を舞わせた。素肌の上に直接まとったベストやタイトミニが翻り、むっちりと張りつめた乳房や尻肉が揺れる。引き締まった腹やすらりとのびた足が陽光に輝き、淫らな女神のように見えた。
「おい」
 メレアグリスは足を踏みおろした。拍車付きのブーツがカッと音をたてる。
「お前なんかに一人も殺させはしねーぞ。怪我だけならまだしも、死んじゃったらもー治せないからな。お前、あたしにケンカ売ってんだよな。ちくしょう!」
「つまらん」
 つぶやくと、するするとゾーイが踏み込んだ。目にもとまらぬ横薙ぎの一閃をくれる。
 咄嗟に絶華は跳び退った。地に降り立った彼らの胸が裂け、たらりと鮮血が滴り落ちる。絶華の口から愕然たる呻きがもれた。
「は、速い!」
「ほう」
 初めてゾーイの声に感情らしき響きが滲んだ。


「多少は感情があるようだな」
 黒衣の、毅然とした少女ががいった。空鳴・熾彩(ドラゴニアンのブラックウィザード・e45238)である。
「人斬りなどと呼ばれながら、虚無的でさらには臆病なエインヘリアルと聞いていたが……剣にはやはり思い入れがあるようだな。が、そうであろうと危険なエインヘリアルであることに変わりないからな。倒すしかないだろう」
 熾彩の口から人間には発生不可能な言語が発せられた。ドラゴニアンである彼女なればこそ発生し得る竜の言霊である。意味は、『凍てつき、眠れ』というところであろうか。
 次の瞬間、ゾーイの身が凍りついた。この機をラグエルは見逃さない。閃光の如き刺突で巨躯の腹に傷を刻む。
「良い腕をしているな」
 ゾーイの剣が疾った。が、そこへ疾駆した熾彩が敵の剣撃を腕で防御。強烈な痛みを耐え抜いて留まった。一瞬だが、熾彩の顔に本来の少女のものらしい表情がよぎった。
「倒れるわけにはいかない。危険なエインヘリアルを倒すまではな」
「そうだな」
 応えて、目の覚めるような蒼髪をひるがえらせて肉迫したのはリィンだ。飛鳥のように跳ぶと、風の唸るような跳び蹴りを放った。流星の煌めきをやどした足が突き刺さり、巨体を数メートル吹き飛ばす。
「まだだ!」
 跳ね起きたゾーイめがけ、絶華もまた流星のごとき速さと重さをあわせもつ蹴りを放った。が、咄嗟に巨躯は巨剣で受け止めた。解放された破壊力が路面に亀裂をはしらせる。
「くっ」
 刃を蹴り、絶華が距離をとる。が、同じ距離をゾーイが跳んだ。巨大な魔星剣で繰り出された無造作な一撃が、絶華の骨肉を確かに斬り裂いた。
「大丈夫? 今、元気にしてあげるよ!」
 メレアグリスの手が素早く動いた。リィンの傷を魔術的に切開、次いで再生する。
 その時、ゾーイの背を取ったベルテが跳んだ。仲間と同じ規格外の破壊力を秘めた蹴りをゾーイに叩き込む。
 ふらついた巨躯に、獣の速度で透希が迫った。強靭な脚が爆散させた地を後に残しつつ。
「ぬっ」
 透希の接近にゾーイが気づいた時は遅かった。獣化させた手の一撃をゾーイにぶち込む。
「なんだ、人斬りの名もたいしたことないな」
 透希が告げると、ぐらりとゾーイの巨躯が揺れた。
 瞬間、空を火線が貫いた。光咲が放った炎弾である。ゾーイの鋼の筋肉が穿たれた。


 ゾーイが視線を走らせた。そして身をかがめ、地を蹴った。砲弾と化して熾彩に迫る。
 ギィン。
 噛み合った刃が雷火を散らした。走り込んだラグエルが巨槍でゾーイの一閃を受けとめたのである。
「やらせはしないよ」
「そうかな」
 ゾーイが力を込めた。鍔迫り合いの刃がぐぐうと下がる。
 さすがにラグエルの顔色が変わった。刹那だ。ゾーイが一気にラグエルを斬り下げた。
「どけ!」
 リィンが跳躍。彼女の守護星座である蟹座のシンボルを刻んだ美しい星剣を抜き放った。咄嗟にゾーイが跳び退る。
「見せてもらうぞ。お前の真実を。さぁ、愛に飢えしモノよ…踊り狂え」
 透希の口から低音の歌声が響き出た。世界そのものを震わせるかのような歌唱だ。
 世界の仮面が壊れていく。なんでゾーイが耐えられようか。
「あ……ああ」
 ゾーイの動きがとまった。喘ぐように呻く。
 その時、絶華が霊剣である『Durandal Argentum』を繰り出した。刃に無数の霊体をのせて。
 が、その一撃ははじかれた。ゾーイの一閃によって。
「やってくれる」
 透希の口から感嘆の響きの滲んだ声がもれた。彼の『Masquerade』の呪縛をうけながら、動ける者は多くない。
「けれど弱点はわかったよ」
 ベルテの瞳が赤光を放った。ゾーイのデータを取得、高速演算による解析でベルテはゾーイの防御の弱点をはじき出したのだった。
 ベルテの一撃が的確にゾーイをうち、彼の星霊甲冑の一部を砕く。
「やったな」
 ゾーイの目がケルベロスたちを見回した。底無しの沼を思わせる昏く怖い目だ。ぞくりとケルベロスたちの背を寒気がはしった。
 刹那だ。ゾーイの刃が横殴りに疾った。唸り飛んだのは星座の輝きを秘めたオーラである。
 光が爆発した。凄まじい衝撃にケルベロスたちが吹き飛ばされる。
「まだだ」
 口の端を吊り上げ、ゾーイがさらに剣をかまえた。その眼前、天使のごとく飛翔する者がある。光咲だ。
「私もかつてエインヘリアルの襲撃で母や友人と故郷を奪われた。片翼も折られ飛ぶこともできなくなり、希望を失っていたあの頃…この旋律が私にケルベロスとしての力と再び飛ぶための勇気をくれた。いま、声高らかに唄おう」
 光咲の口から荘厳とも呼ぶべき歌声が流れ出た。聞く者全ての魂を震わせる歌声だ。あろうことか、ゾーイすら耳を傾けている。
 光咲が輝く翼で羽ばたいた。散る光が火の粉のように降り注ぎ、ケルベロスたちを癒やした。


 幾度たなく繰り返される攻防。ケルベロスだけでなく、ゾーイもまた満身創痍となっている。
 ちらりとゾーイの目が動いた。その意図を察し、ラグエルが叫んだ。
「逃走する気だ!」
 ラグエルは、しかしこの場合、苦く笑った。
「斬る事が性のエンへリアル、斬りたい衝動を秘める自分…本質は同じなのかも知れない。……氷に裂かれ、紅い美しい花を咲かせてくれないかな?」
 戒めを胸に、ラグエルはグラビティを発動させた。
 次の瞬間、ゾーイを氷が包み込んだのだがーー蒼白のそれが真紅に染まっていく。茨の鎖のように、氷がゾーイの身を浸蝕しているのだった。
「ぬうっ」
 筋肉と闘気により氷を粉砕すると、ゾーイは破壊のオーラを飛ばした。滅殺の星座がケルベロスたちを灼く。
「やっぱり凄い威力ね」
 メレアグリスは笑った。
 チリチリと肌が痛む。戦場に吹き荒れる殺気のためだ。他者のために戦う時、鈍いはずの肌感覚が著しく鋭敏化するのであった。
「めっちゃくちゃイタイ…もー泣きそぉー…だけど、生きてるって感じが…するなぁ!」
 生への賛歌。
 不敵に笑みを深くすると、メレアグリスは何度めかの治癒を仲間に施した。
 この時、ベルテはゾーイの顔をよぎった陰鬱な翳を見とめた。焦り、そして恐怖である。恐るべき戦闘力を誇るエインヘリアルが今、見下しているはずの番犬を恐れているのであった。
 勝てる。
 そう確信したベルテは叫んだ。
「一気にいくよ!」
 ベルテが跳んだ。舞うように身を旋回させる。跳ね上がった彼女の踵からのびた漆黒の刃が光を散らし、ゾーイを薙いだ。
 が、驚くべきはゾーイであった。旋風のような刃の乱舞を、悉く剣ではじいてのけたのである。
 とはいえ、はじくのがやっとであった。ベルテの刃の衝撃が巨体を後退させてゆく。
「エインヘリアル…」
 絶華の口から嘆声がもれた。ゾーイの姿に重なる面影があるのだ。
「私の弟も気づけばそうなってしまっていた。本来なら勇者足りえる存在の筈なのにな。貴様らは何処でこうなってしまったのだろうな」
「絶華ちゃん」
 儚げに見えた絶華を気づかい、メレアグリスが思わず声んかけた。すると絶華は自嘲ぎみに笑った。
「ああ、唯の戯言だ。どんな考えがあろうとも、彼は切り裂き殺戮を行うしかできず、私たちも結局は彼を止める事しかできない。故にやることは一つだ」
 絶華はいった。そして異変が起こった。瘴気の如きどす黒い闘気が絶華の身から噴きこぼれたのである。
「我が身…唯一つの凶獣なり……四凶門…窮奇……開門…! …ぐ…ガァアアアアアア!」
 絶華が吼えた。いや、吼えたのは彼の宿った古代の魔獣であったかもしれない。
 それは皇家に伝わる奥義であった。古代の魔獣の力をその身に宿し、一瞬間ではあるが身体を超強化、狂戦士と化すというものである。
 絶華が地を蹴った。一瞬後、彼の身はゾーイの眼前に現出している。
 まさに迅雷。絶華の一閃がゾーイを切り裂いた。
 しぶく鮮血。その真紅の雨をくぐり抜け、透希が刃をたばしらせた。がーー。
 透希の一撃は空をうった。ゾーイが跳び退り、逃走したからだ。さしもの透希も、ゾーイがこれほど不様に逃げるとは思っていなかった。それ故の不覚である。
「逃がさん!」
 熾彩の手から戦輪が飛んだ。それは蒼い氷風の尾をひいて疾り、敵の足を切り裂いた。
「あっ」
 呻くエインヘリアルがたたらを踏んだ。さらにゾーイの口から愕然たる声がもれた。切られた足が凍りついている!
「それほどの腕をもちながら、逃げるとはーー」
 侮蔑を込めて熾彩が呟いた。が、その声はゾーイの耳には届かない。ゾーイは足を凍てつかせている氷に狂ったように剣を叩きつけていた。
「やったぞ」
 氷を叩き割り、ゾーイが立ち上がった。
「ここまでだ」
 ハサミを思わせる二枚刃の剣がゾーイに突きつけられた。ゾーイの目は、刃のむこうでうっそりと佇むリィンの姿をとらえている。
「生憎だがお前の退路はここには無い。否、ここに来た時点で退路など存在せん! 身の丈に合わぬ力振るおうとしたその罪。我等地獄の番犬……此処で断ち切る!」
 リィンの剣が唸りをあげて舞った。炎をまとわせた乱刃から噴き零れる紅蓮の火の粉は、さながら真紅の花吹雪のよう。
 高々と飛び上がり、リィンは刃を振り下ろした。そうと知りながら、連撃をうけたゾーイには、もはやその一撃を躱す余力はない。
 案山子のように立ち竦むゾーイを、一気にリィンは斬り下げた。


「終わった、か」
 ゾーイの骸を見下ろし、透希はほっと息をもらした。
「ええ」
 頷いたのは光咲。周囲を見回すと、
「少しばかり荒れたわね」
 といった。到着が早かったため、一般人の犠牲者はいない。
「うん。ヒールくらいはしておこうよ」
 ラグエルは応えると、歩み出して周囲の修復を始めた。
「そうだな」
 髪を結っていたシュシュを解き、リィンもまたラグエルに続いた。
 雨上がりの蒼空の下。街に静寂が降りた。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年7月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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