ビルシャナは十代の少女を至高と断ずる

■リプレイ

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「この十代の少女シリーズは三回目です。ここまで来たら是非とも長編化を望みたくなりますね」
　冗談とも本気ともつかぬ声でラインハルト・リッチモンド（紅の餓狼・e00956）はいった。ウェアライダーである彼の、穏やかな美貌はしかし笑ってはいない。
「え？」
　巫女服の少女が、眠たそうなわずかに目を見開いた。ラインハルトと同じウェアライダー。平坂・穣子（ウェアライダーの巫術士・e25580）であった。
「三回目なの、これ。めんどい。マジめんどい」
　不服そうに穣子は頬を膨らませた。するとメレアグリス・フリチラリア（聖餐台上の瓔珞百合・e21212）が月光に浮かび上がる倉庫を見つめ、苦笑をもらした。
「この前の信者さんには悪いコトしちゃったなー。今日は大丈夫かな？」
　メレアグリスの笑みに淫らなものが混じった。

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「十代の女性こそ至高！」
　ビルシャナが叫んだ。
　刹那である。
「違うよ！」
　高らかな叫びがその場に響いた。
「何だ、お前らは？」
　ビルシャナが視線を転じた。そこには八人の男女の姿があった。いうまでもなくケルベロスたちである。
「ティセラ・エルラレア（妖精剣舞・e84744）だよ」
　声の主がこたえた。快活で愛らしい美貌の少女である。が、人間ではなかった。
　十代らしい瑞々しく豊満な肉体。その背には蝶のもののような羽があった。タイタニアなのである。
「個人的に好きなだけなら全然いいと思うんだけど、不要とまで言い切っちゃったらダメだよね」
　呆れたようにティセラは首を小さく振った。
「黙れ！」
　ビルシャナが怒鳴った。
「黙らないよ。それにしても、産まれてから十代に入るまでの十年間、どうするんだろう？　殺しちゃったら元も子もないというか、新しく十代になる子がいなくなるんだけど」
「黙れ！」
　ビルシャナは再び怒鳴った。はっきりいって怒鳴るしかなかった。
「十代の女性の至高さがわからない連中がそんな戯言をほざく」
「……主張は分かった」
　日柳・蒼眞（うにうにマスター・e00793）がうんざりした声を発した。蛍光灯の光ですら鮮やかに輝く蒼髪を苛立たしげに手でかきあげると、
「ところで実際に十代の娘や妹がいる、或いは知人でもアイドルとかの推しや二次元嫁みたいなのでも良いけど大切に想う十代の少女はいないのか？　……そう、今実際に顔や名前が浮かんだ相手だよ。その大切に想う相手が、今の自分や隣にいる信者達が十代の少女に向けているような欲望に満ちた視線に晒されたり性欲の捌け口にされたりすればどう感じるんだ…？　少なくとももう二度と笑いかけてはくれなくなるだろうけどそれで満足か…？　……それと、もし今誰の顔や名前も浮かばなかったなら、何をもって十代の少女は至高だと主張しているんだ…？」
　蒼眞は問いかけた。が、ビルシャナに答えがないのはわかっている。ぼそりと蒼眞は呟いた。
「……十代の少女が至高というよりも、嗜好が十代の少女だというだけだろうに…」
　倉庫内に沈黙が満ちた。が、それはすぐにざわめきによって破られた。そこの毛むくじゃやら、と穣子がどすのきいた声でビルシャナに呼びかけたからだ。

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「な、何だと」
　さすがにビルシャナの顔が怒りに歪んだ。が、かまわず穣子は続けた。
「今すぐコロッケパン買ってこい」
　尊大な口調で穣子は命じた。
「な、何？」
「なんだ、お前ら。十代女子に憧れているくせに、パシリも知らないのか」
　小馬鹿にしたように穣子は鼻を鳴らした。
「十代女子グループってのは、カーストなんだよ。十代女子の俺はお前らより偉い。その俺がパン買って来いっつったら、光の速さで買って来んだよ」
「ば、馬鹿め。そのようなこと、この俺がするものか」
　ビルシャナが呻くようにいった。すると穣子は禍々しく口をゆがめると、信者たちに目を転じた。
「こいつ生意気だからハブろうぜ」
　と、いった。さすがに信者たちには声もない。どころか、信者たちは毒蛇を前にしたように後退った。穣子の背後のテレビウムの田中くんの画面には女子高生たちによる陰湿、凄絶無惨な虐め行為が映し出されていた。
　穣子は魔的に笑うと、
「なんだ、お前。十代女子に憧れてるくせに、弱い者いじめも知らないのか。十代女子グループの苛めってのはそりゃあ苛烈で陰湿なもんだぞ。些細なことで、シカトしたり物を隠したり、SNSに個人情報晒したりして、登校拒否や自殺にまで追い込むんだ。昨日までの上辺だけの友情なんてゴミみたいなもんだ。それが十代女子だ。わかったか」
　不気味な怪物のように告げた。
　この場合、青ざめた顔でごくりと生唾を飲み込んだのは少年のように見える男であった。コクマ・シヴァルス（ドヴェルグの賢者・e04813）である。
「ワシまでびくびくしちゃったわ！　十代って容赦のなさがやはり恐ろしい」
　次の瞬間だ。ビルシャナの目から怪光が迸り出た。撃たれたテレビウムが吹き飛ぶ。
「馬鹿め。邪魔をするな！」
「それはこっちの台詞よ！」
　ビルシャナの前に女が立ちはだかった。
　二十九歳。が、童顔のためか二十歳そこそこにしか見えない。モデルなみの肉体の持ち主である彼女の名はアーシャ・シン（オウガの自称名軍師・e58486）といった。
「十代の女性が至高……つまりはロリコンで、ノータッチを我慢できない自制心欠如野郎ってことよね？　じゃあ、思いっきりぶん殴れるわね」
　ニンマリ笑うと、アーシャは拳を握りしめた。が、すぐにビルシャナの目つきに気づき、照れくさそうに身をよじった。彼女は体操服を身につけているのだが、ブルマから白くなめらかな素足がのびているのである。
「この格好？　ああ……一番性能がいい防具がこれだったのよ。さすがに体操服にブルマは、この歳じゃ恥ずかしいけど。でも、私もまだまだイケるでしょ？」
「貴様等の好みは理解したが、果たして現実は帰る事を望んで在る」
　ユグゴト・ツァン（パンの大神・e23397）がいった。見返したビルシャナがぎくりとする。その禍々しい美しさを見とめて。
「即ち我々は私の胎内に抱かれるべきで、神は此処だと認識するが好い。減った胎を満たす為に。嗚呼。私の仕置きを受け給え」
　ユグゴトはいった。呆然とビルシャナと信者たちがユグゴトを見つめている。何をいっているのか良くわからないからだ。
　が、ユグゴトは彼らを愚かだとは思わない。宇宙の深淵の奥に横たわる真理が愚かな仔らにわかるはずがないからである。
　だからこそ導かねばならない。総ての生命の母ある私自らが。
　その時だ。一人の女が信者たちの前に進み出た。

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　腰に手をあて、メレアグリスは微笑んだ。
　ぴったりとフィットしたブラウスと窮屈なタイトミニのスカートといういでたちが、いやがおうにも彼女の肉体の線を浮き上がらせている。引き締まった腰とは不釣り合いな大きな乳房と尻が存在を主張していた。
「どしたの？」
　微笑みながはメレアグリスが首を傾げた。
「怖くなっちゃった？　大丈夫だよー。安心して、お姉さんが慰めてあげるね。そうだね、例えば…こういうのはどーお？」
　メレアグリスがコクマに歩み寄っていった。まるで童子にたいするように頭を撫で、それから抱きしめる。
　とーー。
　メレアグリスはするすると衣服を脱ぎ捨てた。驚くべきことにメレアグリスは下着をつけていなかった。輝くばかりの裸身が露わとなる。
「コクマくんも、ね」
　艶然と微笑むと、コクマの前にしゃがみ込み、メレアグリスはパンツを下げた。
「ふふふ。おっきいね」
　うっとりと見つめると、メレアグリスはコクマの肉棒を口に含んだ。小便の味が口中に広がる。
「うっ」
　ナメクジが這いまわるような快感にコクマが呻いた。メレアグリスが濡れた舌でコクマの肉棒を舐めまわしたからだ。
「ふふふ。美味しい。もっと気持ち良くしてあげるね」
　メレアグリスがより深くコクマの陰茎を咥え込んだ。

「信者たちよ。悪魔から目をそらすのだ！」
　怪鳥のような声でビルシャナが叫んだ。が、信者たちの目はコクマと蒼眞、そしてメレアグリスの痴態に吸い寄せられていた。
「もう、お前の声は届かないってよ」
　アーシャが嘲笑った。その指がブルマの中にもぐり、布を引っ張る。
「しっかし……このブルマってのは面倒ね。脚上げたり激しく動くと食い込んで、下着がはみ出ちゃうじゃない」
　アーシャはごちた。
　次の瞬間、アーシャの身から月光のごとき銀光が放たれた。ケルベロスたちの感覚を超人域に導くオウガ粒子である。さらに穣子が御業の守りをラインハルトに与える。
「今回の女性陣は元気だな～」
　感嘆しつつ、しかし目には冷たい光をやどし、ラインハルトは襲った。たばしらせた刃に無数の霊体をのせ、切りつける。切り裂かれたビルシャナの肉体の断面が呪詛で汚染された。
「くっ」
　鮮血にまみれながら、ビルシャナは炎を放った。業火の奔流がラインハルトにのび――。
　立ちはだかったミミックーーエイクリィが火流を受け止めた。
「全く。抱擁せねば抑え込めない連中だ。脳髄を晒し給え。愛こそが私で私こそが愛なのだ。さあ。おいで」
　ユグゴトの手中のパズルがカチリと鳴り、解放された。現れたのは怒りの神である。カーリーだ。さしものビルシャナも恐怖に混乱する。
　なんでその隙を見逃そう。ティセラは蹴りを放った。摩擦熱により赤熱化した足がビルシャナを直撃する。凄まじい衝撃に、ビルシャナが仰け反った。

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「あうっ」
　コクマは喘いだ。メレアグリスが頬の内側でこするだけでなく、喉の奥で肉棒を締めつけたからだ。膣性交に勝るとも劣らぬ口による奉仕であった。
「た、たまらぬ」
「うっ」
　突然メレアグリスが口を肉棒からはなした。秘肉の中にいきなり肉棒が突き入れられたからだ。
「だめえ、お口でご奉仕している時にいきなりなんてえ」
　子供の悪戯を叱るようにメレアグリスが睨みつけた。
「す、すまん。が、女性を抱くなら素直に快楽を愉しむべき…なんてな」
　濡れた膣襞を肉棒でこすりながら、蒼眞はいった。
「ああん。あそこ、気持ちいいの。もっと突いてぇ！」
　膣から全身に広がる快感にメレアグリスが悶えた。が、まだ足りない。
　尻の柔肉を両手で掴み、パンを裂くようにメレアグリスは開いた。薄茶色の尻穴の奥まで露わとなる。
「ああん。あそこだけじゃ嫌ぁ。もっと欲しいの。お尻も犯してぇ！」
「よし。後ろのおちょぼ口はわしがもらうぞ」
　ニンマリすると、コクマはメレアグリスの尻のすぼまりに猛り立ったものを突き刺入れた。
「これが二十代の魅惑…！　素晴らしすぎる…！」
「ああ、いい。前と後ろ、同時に犯されるの、いい。中でこすれてるぅん」
　あまりの快感にメレアグリスが悲鳴に似た声を発した。
「どっちがいいんだ？」
　肉棒でメレアグリスの尻を突きながら、コクマが問うた。膣襞が微妙に蠢き、コクマの肉棒を刺激する。
「いいの、どっちも。はあん」
　身悶えると、メレアグリスは前の蒼眞にしがみつき、口づけした。
「ああん。もう、だめぇ。いきそう。お願い、いかせてぇ」
「しょうがないな」
　薄く笑いながら、蒼眞は腰の動きを速めた。コクマもまた。膣と尻をこする快感が二人の身体を電撃のように走り抜ける。
「来てぇ。膣中に。おねがい！」
　メレアグリスは膣と尻穴を締め上げた。今日は危険日だが、もうどうでもよくなっている。膣内射精してもらえるなら妊娠してもよかった。
　刹那だ。コクマと蒼眞の欲望が爆発した。白濁液をメレアグリスの中にぶちまける。
「ああん。いくぅ！」
　絶頂にのぼりつめ、メレアグリスはがくりと崩折れた。その口からうっとりとした甘い声がもれる。
「おなか、いっぱぁい」

　まさに死闘。攻防がどれほど続いたか。
　穣子は御業を召還した。ユグゴトの身を半透明の鎧が包み込む。
　ほぼ同時。テレビウムが襲った。が、その手の凶器は空をうっている。
「無駄じゃないよ！」
　回避のために生まれた隙を見逃さず、ティセラはビルシャナに肉薄した。疾る彼女の優美な細剣には霊力がやどっている。
　舞いにも似た精妙華麗な一閃。ティセラの刃は正確に傷をえぐり、ビルシャナの口から気味悪い悲鳴がもれた。
「やってくれたな」
　ビルシャナは光を放った。細胞そのものを滅殺する光線が周囲を薙ぐ。
　すると、またもやエイクリィが飛び出した。さすがに此度は光に灼かれ、地に転がる。
「馬鹿め。いいざまだ」
　エイクリィを見下ろし、ビルシャナが哄笑をあげた。が、すぐに笑いが凍結した。
　ビルシャナの耳元で囁く者があった。林の乙女である。
「殺せ。殺せ。殺して終え。奴が我等を滅ぼすものだ。殺される前に殺して終え」
　風の慟哭に混じり、そんな声がビルシャナの耳から忍び入る。
「だ、黙れ！」
　懊悩し、ビルシャナは後退った。脳が悲鳴をあげている。おかしくなりそうであった。
　何がおこっているのが、良くわからない。知る者はただユグゴト独りであった。
　つかみかかろうとする虚無の手から逃れようとするかのように、ビルシャナはティセラを襲った。正気にとどまるには十代の女性の肉体が必要であった。
「くくく。犯してから、殺してやる」
　ティセラを押し倒し、彼女の股間にビルシャナは屹立したものを押し当てた。
「させるか、馬鹿が」
　アーシャの絶叫。彼女が蹴り放った流星が床を削りつつ疾り、ビルシャナの顔面に突き刺さる。
「まあ……若い方がいいってのはわからねえじゃねえ。俺も、鶏ガラとかに脂の回りすぎた廃鶏よりは、ぷりっぷりの若鶏の方が好みだしな！」
　かわいい顔には似つかわしくない台詞を吐き、アーシャはニヤリとした。
「く、くそがっ！」
　アーシャの攻撃によろけて倒れたビルシャナが、なんとか身を起こした。そして、気づいた。背後にラインハルトが佇んでいることに。
「貴方方も、十代の少女に色々と幻想を持たれたのですよね…」
　と呟くようにラインハルトはいった。
「ですが、理想と現実は違う…だからこそ、辛い現実は見ないで幻想の華やかな十代少女に思いをはせたのでしょう」
　ラインハルトは喰霊刀の鯉口を切った。
　来る。
　そう悟ったビルシャナであるが、どさりと尻餅をついた。ラインハルトが踏み込んできたからだ。
「でも…人の夢と書いて儚い…夢とはいつか、淡く覚めるものなんです」
　ラインハルトの腰から白光が噴出した。もはや案山子と化したビルシャナに避け得る術はない。
　ぽとりとビルシャナの首が地に転がった時、ようやく思い出したかのように残された首の切断面より鮮血が噴き上がった。

●
　戦いは終わった。が、まだケルベロスたちには辺りの修復という仕事が残されている。
　すでに信者たちの姿はない。果てたメレアグリスたちのみ、床に総裁選倒れている。
「用意してきたんですよね」
　そういうと、ラインハルトはバスローブをメレアグリスの裸体にそっとかけた。

作者：紫村雪乃	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年7月17日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 1／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 1
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