●千葉県某所
「これさえあれば、俺は負けない!」
狙った獲物は百発百中!
これさえあれば、負け知らずと言われた電動水鉄砲があった。
実際には、狙いやすいだけで、絶対に当たる保証はなかったものの、デザインが格好良かったため、馬鹿売れ。
だが、あまりにも威力が強かったため、『これは玩具じゃないよ、武器よ、武器!』という声が高まり、販売が中止になったようである。
この場所に捨てられてしまった電動水鉄砲も、そのうちの一丁。
それは持ち主の意志に反して、捨てられたモノ。
その無念が小型の蜘蛛型ダモクレスを呼んだのか、機械的なヒールによって電動水鉄砲が多脚型の戦車のような外見をしたダモクレスになった。
●セリカからの依頼
「笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)が危惧していた通り、千葉県某所にある海水浴場で、ダモクレスの発生が確認されました。幸いにも、まだ被害は出ていませんが、このまま放っておけば、多くの人々が虐殺され、グラビティチェインを奪われてしまう事でしょう。そうなってしまう前に、何としてもダモクレスを撃破してください」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
ダモクレスが確認されたのは、千葉県某所にある海水浴場。
この場所には海水浴客もいるため、必ず避難をさせておく必要があるようだ。
またダモクレスは海の中から現れるため、警戒を怠る事が無いようにして欲しいという事だった。
「ダモクレスと化したのは、電動水鉄砲です。このままダモクレスが暴れ出すような事があれば、被害は甚大。罪のない人々の命が奪われ、沢山のグラビティチェインが奪われる事になるでしょう」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
資料にはダモクレスのイメージイラストと、出現場所に印がつけられた地図も添付されていた。
ダモクレスは多脚型の戦車のような姿をしており、キャッキャウフフと楽しむ海水浴客を狙って、攻撃を仕掛けてくるようである。
そのため、わざとキャッキャウフフとやっておくのも、ひとつの手だったりするようだ。
「とにかく、罪もない人々を虐殺するデウスエクスは、許せません。何か被害が出てしまう前にダモクレスを倒してください」
そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ダモクレス退治を依頼するのであった。
参加者 | |
---|---|
アリア・ハーティレイヴ(武と術を学ぶ竜人・e01659) |
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716) |
花見里・綾奈(閃光の魔法剣士・e29677) |
伊礼・慧子(花無き臺・e41144) |
笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390) |
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743) |
綾辻・翡翠(戦銃士・e56530) |
霧矢・朱音(医療機兵・e86105) |
●千葉県某所
「まさか私が危惧していたダモクレスが本当に現れるとは驚きだね」
笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)は仲間達と共に、ダモクレスが確認された海水浴場にやってきた。
海水浴場には何の事情も知らない一般人達が集まっており、キャッキャウフフと楽しそうな笑い声を上げていた。
そのため、氷花は隣人力を駆使して、一般人の避難を優先した。
一般人達の中には、遊び足りない者もいたが、ダモクレスが現れる事を知って、渋々納得した。
「それでも、季節が初夏で良かったです。これが冬場に出没した日には目も当てられませんからね……」
伊礼・慧子(花無き臺・e41144)がスタイリッシュモードで、格好良くスポーティーな水着姿に変化した。
その途端、まわりにいた男達が『ヒゥ~ッ♪』と口笛を吹いて近づいてきたが、慧子はまったく気にせず殺界形成を使い、回れ右をして家に帰るように促した。
「普通のおもちゃの水鉄砲なら威力も弱そうですけど、電動だと水圧が強すぎて危ないですね」
一方アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)はプリンセスモードを使い、まわりにいた一般人達を励まし、ダモクレスが現れたのと同時に、その場から逃げ出せるように元気づけた。
「確かに、水鉄砲も電動にしてしまうと、まるで凶器みたいになっちゃうものね。それがダモクレス化したら、その威力も桁違いだろう」
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)が、警戒心をあらわにした。
そんな中、ケルベロス達はダモクレスを挑発するようにして、キャッキャウフフと笑い声を響かせた。
「ミズミズミズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
次の瞬間、ダモクレスが耳障りな機械音を響かせ、勢いよく海の中からザバァァァァァァンと姿を現した。
ダモクレスの狙いは、海辺で遊ぶカップル達。
何か恨みでもあるのか、カップル達にロックオン!
「そう言えば、ダモクレス相手は久しぶりかな?」
すぐさま、アリア・ハーティレイヴ(武と術を学ぶ竜人・e01659)が、ダモクレスの攻撃に備えて間合いを取った。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァァァ!」
その事に気づいたダモクレスが、大量の水をビーム状に射出した。
それと同時に海の家を勢いよく弾け飛び、その店の所有者が膝をつくようにして崩れ落ちた。
「う、うわあああああああああ!」
その途端、まわりにいた一般人達が、蜘蛛の子を散らすようにして逃げ出した。
「やっぱり、水鉄砲はおもちゃが一番だね。電動式にしてしまったら、威力が高すぎて……」
それと同時に綾辻・翡翠(戦銃士・e56530)が、一般人達を護るようにして陣取った。
「ミ、ミズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
だが、ダモクレスの狙いは、一般人。
キャッキャウフフと楽しむ一般人達を狙って、再び大量の水をビーム状にして放ってきた。
「……水鉄砲も、性能はほどほどが一番、ですね」
その一撃を喰らった花見里・綾奈(閃光の魔法剣士・e29677)が砂で作った城を守りつつ、ウイングキャットの夢幻と一緒に複雑な気持ちになった。
二人で一緒に浴びたため、大して痛くはなかったが、気持ちがどんより沈むほど、ブルーな感じになっていた。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァ!」
その事で調子に乗ったダモクレスが、再び綾奈を狙ってビームを放とうとした。
「とにかく、人々に危害を加える前に、倒してしまいましょう」
それと同時に、霧矢・朱音(医療機兵・e86105)が仲間達に声を掛け、ダモクレスに攻撃を仕掛けるのであった。
●ダモクレス
「さぁ、行きますよ、夢幻。サポートは、任せますね……!」
綾奈が夢幻と連携を取りつつ、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
それに合わせて、夢幻がキャッキャウフフとばかりに飛び回り、ダモクレスの注意を引いた。
「雷の障壁よ、仲間を護る盾となれ!」
その間に、カシスが仲間達を護るようにして、ライトニングウォールを展開した。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァ!」
ダモクレスがケモノの如く耳障りな咆哮を響かせ、ケルベロス達に再びビーム状の水を放ってきた。
「そんな水……氷漬けにしてあげるよ!」
それを迎え撃つようにして、氷花がイガルカストライクを仕掛け、杭(パイル)に『雪さえも退く凍気』を纏わせ、突き刺す事でビーム状の水を凍りつかせた。
「ウォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァァァア!」
その事に腹を立てたダモクレスが、バシャバシャと海水を掻き分け、再びビーム状の水を放ってきた。
「……クッ!」
その一撃を喰らった慧子が、グッと唇を噛み締め、崩れ落ちるようにして膝をついた。
致命傷には至らなかったものの、地味に痛くて、微妙に痺れた。
それでも、ダモクレスの攻撃を警戒するようにして、海の家だったモノの後ろに隠れ、エナジープロテクションを発動させ、『属性』のエネルギーで盾を形成した。
「私は、ここよ。悔しかったら、ここまで来なさい」
すぐさま、朱音がダモクレスを挑発しながら、砂浜をロマンチックに駆け回った。
それはまるで恋人達との駆け引き。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァ!」
その挑発に乗ったダモクレスが、海の中から飛び跳ね、朱音の前に降り立った。
「……竜砲弾よ。敵の動きを止めてしまいなさい」
それと同時に、アクアが轟竜砲を仕掛け、ハンマーを『砲撃形態』に変形させ、竜砲弾でダモクレスの装甲をヘコませた。
「海の中じゃなくてよかったね。……でも、二度と海には帰れないよ」
アリアがダモクレスの背後に回り込み、魔法弾・雷(マホウダン・イカヅチ)を仕掛け、魔法で形成した弾丸を容赦なく撃ち込んだ。
「ウォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァア!」
その途端、ダモクレスの身体がビリビリと痺れ、真っ黒な煙が幾つも上がった。
「……霊体よ、ボクの刀に宿り、敵を切り刻め!」
その隙をつくようにして、翡翠が憑霊弧月を繰り出し、ダモクレスのボディを斬りつけた。
「内部から、汚染させてあげますよ」
それに合わせて、アクアがケイオスランサーを仕掛け、鋭い槍の如く伸ばしたブラックスライムでダモクレスを貫いて汚染した。
「ウ・ウ・ウォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァァァァァ!」
次の瞬間、ダモクレスが電動水鉄砲型のアームを伸ばし、再びケルベロス達に攻撃を仕掛けてきた。
「命中率は高いようだけど、命を奪う程ではないね」
その攻撃を喰らったカシスが、赤く腫れた腕を見た。
だが、治療する程の怪我とは言えず、我慢の出来る痛みであった。
「ウォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァァ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、ダモクレスが再び水を飛ばしてきた。
「無駄だよ。そんな攻撃じゃ……」
氷花が即座にグラインドファイアを仕掛け、ダモクレスが放った大量の水を蒸発させた。
「今のうちに、突撃、しますよー……!」
その隙をつくようにして、綾奈が夢幻にアイコンタクトを送り、ヴァルキュリアブラストで光の翼を暴走させ、全身を『光の粒子』に変えて、ダモクレスに突撃した。
その間に、夢幻が清浄の翼を使い、仲間の傷を癒した。
「エクトプラズムよ、敵の動きを止めなさい!」
一方、朱音はプラズムキャノンを仕掛け、圧縮したエクトプラズムで大きな霊弾を作って、ダモクレスにぶち当てた。
「ウ、ウ、ウォォォォォォォォォォォォォォォタァァァァァァァァァ!」
しかし、ダモクレスは諦めておらず、電動水鉄砲型のアームから大量の水を飛ばして、ケルベロス達に襲い掛かった。
「……そう何度も同じ手は喰いませんよ!」
その事に気づいた慧子が素早い身のこなしで水を避け、シャドウリッパーを仕掛けて、ダモクレスのアームを斬り落とした。
「このまま全部、斬り落とそうか」
それに合わせて、アリアがチェーンソー斬りを繰り出し、次々と電動水鉄砲型のアームを斬り飛ばした。
「そうだね。こんなものがあっても、邪魔なだけだし……」
続いて、翡翠が一気に間合いを詰め、シャドウリッパーを放って、残っていたアームを刈り取った。
「薬液の雨夜、皆を清めてくれ!」
すぐさま、カシスがメディカルレインで、戦場に薬液の雨を降らせた。
「ウ、ウ、ウ、ウォォォォォォォォォォォォォォォォオタァァァァァ!」
それを邪魔するようにして、ダモクレスが耳障りな機械音を響かせ、電動水鉄砲型のミサイルを飛ばしてきた。
砂浜に落下したミサイルは大爆発を起こすと、大量の水が勢いよく飛び散った。
「まさか、これだけですか……?」
慧子が拍子抜けした様子で間合いを詰め、武器に無数の霊体を憑依させ、ダモクレスを斬りつけ汚染した。
「この斧で、真っ二つに、してあげます……!」
それに合わせて、綾奈が間合いを詰め、ルーンディバイドを仕掛け、光り輝く呪力と共に斧を振り下ろし、ダモクレスの装甲を破壊した。
「ミ、ミズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
その途端、ダモクレスが苦しそうにしながら、どす黒い血にも似たオイルを撒き散らした。
「あはは♪ そんな状態で塩水が入ったら、どうなるのかな?」
そこに追い打ちをかけるようにして、氷花は血祭りの輪舞(チマツリノロンド)を仕掛け、輪舞を舞うかのように踊り、ダモクレスのボディを斬りつけた。
そのたび、ダモクレスの装甲が弾け飛び、コア部分があらわになった。
「さぁ、スライムよ。敵を丸呑みにしてあげて!」
次の瞬間、翡翠がレゾナンスグリードで、ブラックスライムを捕食モードに変形させ、ダモクレスを丸呑みさせようとした。
だが、ダモクレスは近距離からミサイルを放ち、間一髪のところでブラックスライムから逃れた。
「虚無球体に飲まれて、消えてしまいなさい」
それと同時にアクアがディスインテグレートを仕掛け、触れたもの全てを消滅させる、不可視の『虚無球体』を放って、ダモクレスを消滅させた。
「みんな怪我はない? 何処か痛むところがあったら言ってね」
そんな中、アリアが周囲の被害状況を確認しつつ、心配した様子で仲間達に声を掛けた。
幸か不幸か、被害があったのは、海の家だけ。
それもヒールで修復する事が出来たため、大きな被害とは言えなかった。
「折角だから、海辺を走ったりして楽しみたいわね」
そう言って朱音が物思いに耽ながら、青々とした海を眺めるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年6月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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