海に入れない人もいるんですよ!?

作者:久澄零太

「何が水着だバッキャロー!!」
 とある北海道の海岸線。浜辺でキャンプを張る鳥さんが吠えた。
「どいつもこいつも水着水着……誰がんなもん着るか!!」
 完全にご当地ネタだが、今回はそーゆー教義なんですって。
「海といえばキャンプ! バーベキュー!! ジンギスカン!! 夏の海と言えば肉だ!!」
 ほら、あの辺の海、夏でも寒いらしいから。鳥さんもそういう影響受けちゃったんだね。
「行くぞ同士達! ジャンジャン焼くのだ!!」
『イェスビーチ! ゴージンギスカン!!』

「みんな大変だよ!」
 大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とある北海道の浜辺を示す。
「ここに夏といえば水着よりもバーベキューってビルシャナが現れて、信者を増やそうとするの!」
 何がどうしてそうなったのか、番犬から飛来する質問に白猫がニコリ。
「ビルシャナだから」
 番犬達は悟りを開いた……つまり、気にしたら負けなのだと。
「水着姿を披露して、水着の良さを語ると信者が目を覚ましてくれるから、これから先の夏本番に向けて、水着選びの練習にしてもいいかもね」
 仕事なのに私服選びとか言い出すあたり、油断さえしなければ楽に片付くだろう。
「話は分かったが、何故私が呼ばれたんだ?」
 首を傾げるブリジット・レースライン(セントールの甲冑騎士・en0312)に、ユキはどこか遠くを見つめて。
「こういう依頼の時ってね、みんなして戦闘そっちのけな事があるから……」
 つまり、ブリジットはフォローとして呼ばれたらしい。
「とにかく! ビルシャナは許せないからやっつけちゃって!!」
 理不尽に見えなくもないが、仕方ないよね、ビルシャナだもの。


参加者
ユーフォルビア・レティクルス(フロストダイア・e04857)
アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)
曽我・小町(大空魔少女・e35148)
クロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)
薬袋・あすか(彩の魔法使い・e56663)
アーシャ・シン(オウガの自称名軍師・e58486)

■リプレイ


「水着依頼と聞いて、俺が来ない訳がないよねん!そんな訳でお久しぶりのおっぱ……」
 迫りくる白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)に対し、ユキは跳躍、回し蹴り。その一撃は命中の寸前に膝を折り、急加速しながら永代の側頭部を腑飛ばし、壁に打ち付けた。
「相変わらずなんだから……」
「ユキちゃんだー!お久のだっきゅー」
「うにゃっ!?」
 凍結の視線を向けるユキに、ユーフォルビア・レティクルス(フロストダイア・e04857)が背後からだきゅむ。肩越しに頬を重ねて。
「スリスリぺろぺろ……いや、ぺろぺろはしないけど」
「されたらどうしたらいいのか分からなくなるところだったよ……」
「つまり、ユキちゃんを止められる!?」
 復帰した永代がユキの腰を掴んで平坦な胸に頬をすりすり。
「あー、実家に帰ってきたかのような感触……んー、これはこれでやっぱり良いものだねん!あ、ユキちゃん元気してた?」
 笑顔を向ける永代に対して、ユキはゆっくり、深呼吸。永代は「あ。これガチな奴だ」と逃走を図るが。
「飛び降りればワンチャ……」
「この……」
 背を向けたのが間違い。背後から首元に手を回されて、膝裏に蹴りを打ちこまれコケた直後、脚を踏みつけて顎を掴み、背筋を強引に伸ばされた所でユキは永代と言う名の弓に拳の矢を番える。
「ド変態ッ!!」
「ゴブッ!?」
 貫通する衝撃、圧迫される肉体……自らの背骨で内臓をブッタ斬られたような鈍い痛みの中、永代は意識を手放した。
「相変わらず大変だね~そんなユキちゃんに、今回はお土産持ってきたよ」
 ドン、ユーフォルビアが取り出したのはクーラーボックス。
「お肉詰め合わせ~ユキちゃんは現場に降下できないし、撤収した後にでも食べてね」
「いいの!?ありがとー!!」
 きゃっきゃとはしゃぐ二人だが、それを狙う影が……。
「お肉……じゅるり」
 食欲の権化、エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)さんです。
「はっ!いけないいけない……」
 頬を張り、食欲より仕事を優先……してないな?お前番犬であってブランドの営業じゃないだろ!?
「SNSで大バズり間違いなしな新作水着をオーダーメイドで準備したよ!新作トレンドの宣伝のためにお着替えお願いね」
 高そうな紙袋を差し出しつつ、物言わぬ永代を太陽機から投棄したエヴァリーナだが、ユキは後退。
「こ、今回は遠慮しようかな……」
「なんで!?」
「ノーチェさんのやつ際どいんだもん!服はまだしも、水着はちょっと……」
 頬を染めて目を逸らすユキへ、エヴァリーナは端末片手に迫る!
「大丈夫!セントールの絶対領域は馬脚の太股か人体馬体の繋ぎ目か、貧乳の水着は大きく見せるべきか小さを際立たせるか、で熱い議論が交わされたりもする訓練されたフォロワーしかいない安全なSNSだから!」
 強引に簡易試着室へと連行されるユキを横目に、ブリジットは早急な降下を試みるが。
「あ、もちろんブリジットちゃんのもあるよ。人馬の新部門も順調でね、水着もたくさん準備できたからまたまたモデルお願いね。狭いの苦手なんでしょ?大丈夫!その為に太陽機から男の人を排除したんだから!!」
「そんな物着せられてたまるか!!」
 とっ捕まったブリジットだが、ポン、と下半身が半分消滅……人化である。
「こちらの姿になってしまえば、人馬水着など着せられま……」
「あ、人派姿用のもあってね?」
「何故ある!?」


「そろそろ焼けて……」
 ゴッ!BBQ中の鳥さんの頭に永代がヒット!
「な、何が……」
 ガッ!膝まで埋まった鳥さんに旅行鞄が命中、衝撃で開き、散らばるのは細布……これユーフォルビアの私服じゃなかったっけ?
「ていっ」
 グッ!ユーフォルビアがクーラーボックスを縦にフルスウィング!腰まで埋まっていた鳥さんが砂浜の餌食に!
『教祖様ー!?』
「バーベキューと聞いてやって来ました!」
 ササッと散らばった服を片付けて、黒いビキニでバカンスモード全開のユーフォルビアが敬礼。話題を逸らして服が散らばった事実をもみ消したいようだ。
「我々は水着なんざ見たくない!とっとと帰れ!!」
「昨今は室内プールもあるけれど、海という舞台ではこの時季にしか着れない水着を否定してしまうのは勿体ないのではなくて?夏の海という非日常を舞台に、常とは異なる愛する人の姿を見るのは心躍るものよ」
 その声は背後からかけられた。振り向けば、パラソルの下でビーチチェアに寝そべり、アルベルトにオイルを塗らせているアウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)。太陽機にいないと思ったら……!
「私の夫は普段着でもそれはもう素敵だけれどシンプルな水着姿では彼自身のスタイルや魅力がより引き立てられていて夏の海で開放的に走り回っている姿は可愛らしくて泳いでいるとそれはもう水も滴る良い男という言葉がピッタリだし何より水着でこうして肌で直接触れ合う感触はとても幸福感をもたらしてくれるものだわこの時季の北海道はまだ肌寒いとは言うけれど彼という太陽よりも輝く存在がそこにいればそんな事は些細な問題でむしろ肌寒さを理由に身を寄せ合いさざ波のオーケストラに耳を傾けながら二人で沈みゆく夕日を眺めるの日が沈めば花火なんかもいいかもしれなわねもちろん派手なのはなしよマナー的にも問題があるし何よりあまり大きな音は二人の間にいらないわ波のコーラスと砂の足音のアンプロンプチュ定まらない砂音と決して乱れる事のないリズムが奏でる二人だけの特別な音色そこに彼が紡ぐ愛の言葉さえあればえぇ分かっているわアルベルトは言葉を話せないと言うのでしょう甘いわ真の愛は言葉なんて必要ないの静かな海と二人の音に包まれ月だけが照らす浜辺で……」

 ※アウレリアの愛は終わりがないため以下略。

「これだからリア充はッ!!」
 信者のメンタルが逝った!?
「食おうぜ、同志……愛は無くても、肉はあるじゃないか」
 と、別の信者が焼けた肉を皿にあげた時である。
「でもせっかく来たんだし、一緒に海で遊びましょ?」
 曽我・小町(大空魔少女・e35148)の手が差し出された。
「えっ……」
 黒い生地に白いフリルで縁取ったボトム、黒フリルに白フリルを重ねて肩紐で吊るす様なスタイルのオフショルダービキニに、白黒薔薇の髪飾りをつけた小町。ついその手を信者がとってしまった瞬間、ぐいと引き寄せられてハグ。
「さぁ行くわよ準備はいいわね!?」
「え?」
 水着少女に抱きしめられて混乱している信者だが、小町は翼を広げてフライングオンザシー、かーらーの。
「エンジェル・ローリング・クラッシュ!!」
 頭から落ちたー!?
「さー服が水を吸って大変な事になるわよ。ホントに水着要らない?要るわよね?」
 自分だけ海上に出てきて、滞空して信者の顔を覗き込もうとする小町だが……。
「あら?」
 プカァ……信者は目を回してた。不意打ちで海に落されたら、そりゃねぇ?
「しょうがないわねー」
 ぷらーんして帰還する小町を前に、信者がガクブル。
「やはり水着は恐ろしい……!」
 なお、信者が震えてる隙に皿にあった焼肉をグリが食べちゃったのは秘密だ!


「水着に当たりが強いなら、それなりに審美眼もあるんだよな!?」
 期待する眼差しのクロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)がソロキャンテントを建てると、去年の水着コンテストの広告を引っ張り出し。
「まだ今年の夏本番に着る水着は決めてないから、どんなのにしようか悩んでるんだ。昔着たやつを着てみせるから、意見やアドバイスが欲しいな!」
 返事も聞かずにクロウはテントの中へ。次に姿を見せた時は。
「まずはタイヤ柄ビキニで」
 フィルムスーツの上から、モノクロストライプのビキニ姿を見せたらすぐ引っ込んで。
「こっちがパーカー&シンプルな白ビキニの組み合わせ!」
 黒のスーツの上に、白のビキニで、黒のパーカー。パンダかな?
「去年着たこれはアメリカの牧場娘をイメージしたサロペット+ビキニ!……改めて見たらビキニ多い!」
 くるりと振り向けば背中を露出させるが、スーツで肌は見せない健全感……いや暑そうにしか見えないな!?
「肌に張りつくから、着たり脱いだりが大変で……たはは」
 笑ってごまかすクロウに対して、信者の反応は。
「もう、脱げばいいんじゃないかしら?」
「……えっ!?」
 オカマ口調の信者にクロウはドン引くが、信者曰く。
「そのウェットスーツ、ずっと着てるくらいにはお気に入りなんでしょう?なら、それを押し出せばいいじゃない」
「いやコレ普段着兼戦闘服なんだけど……」
 不服そうに引っ張るクロウに、信者はノンノン。
「だったらなおさら競泳水着みたいにカットして肌を見せなさい。でもエロさを求めちゃダメよ?品が無くなっちゃう」
 ホワイトボードに競泳水着の絵をかき、信者がいう事には。
「競泳水着は水の抵抗を計算して作られているの。結果として、カットが際どくなったり、肌の露出が増えたりするけれど、全ては効率の為だから美しくあるのよ」
「へー……それ、どっから持ってきたの?」
「これ?教祖様が……ってそうよ教祖様は!?」
 信者が我に帰ると……。
「いいかな君達!」
 薬袋・あすか(彩の魔法使い・e56663)が焼肉を口に詰め込んだハムスタースタイルで説教してた。
「BBQは真冬の家の庭でも出来るが水着は真夏の浜辺かプールしか着れない超希少なものなんだお肉旨いな」
 もぐもぐ、塩ネギロースもいいがペッパーベーコンもいい。塩胡椒のギャップにあすかが舌鼓を打ちつつ。
「それを奪うだなんて、なんて酷い奴らだこっちの野菜もいけるぞ」
「でしょ!?スーパーの人にお願いして、色つやがいいのをとっておいてもらったの!絶対に外せないと思って、折角だから選んでもらっちゃったわ!」
  小町お勧めのナスは春ナスとかいう代物。ナスってーと秋が美味いっていうけど、春に出てくるナスは実が柔らかくて食べやすいんですって。
「コンガリ焼いたらすりおろした生姜と醤油で……」
 ジュワァ……網の上で香ばしい香りと素蒸気が上がる。焼き上がってなお柔らかいナスをクルクル巻いて、ぱくり。
「んー!やっぱりBBQにはお野菜もないとね!」
 小町が御満悦な所で、あすかさん、続きいいですかね?
「あ、そうだった。己が着ずともイケメンや美女が着てるのを見るだけで目の保養になる持ち込んだ辛味噌で味変だ」
「わざと外側を焦がしたピーマンに、味噌を塗って……」
 小町が調理する横から、クロウがニョキ。
「ちょっとあすか!?全部食べようとしてない!?自分にもお肉ー!!」
 説得かBBQかはっきりしよう!?
「はーい、お魚追加ねー」
 アーシャ・シン(オウガの自称名軍師・e58486)が網に魚を追加。釣ったばかりの魚をワタ抜きしてから串を通し、チリチリ。表面が泡立って来たらひっくり返して、塩を振る。
「カーッ!やっぱり釣りたては鮮度が違うわよね!!」
 焼きあがったらかぶりついて、ビールをぐいーっ。昼間っから晩酌の様相である。
「そりゃね!その為の水着でしょう!」
 蓮華を模した美しい水着でありながら、スポーツグラサンかけて釣り竿片手に海へざぶざぶ、ビールを煽りながら釣ったら戻って焼いて……水着である必要性は一体どこに?
「暑いうえに砂浜じゃねーか。このまま膝くらいまで海に浸かって、涼みながら酒のアテを狙うってわけよ」
 駄目だこいつ、既に酔ってるのか北海道の冷たい水に浸かって……いや待て、一般的な浜辺的にはあってるのか……?
「おい、ビーチのドレスコードは水着だ。まざりたいなら水着着な」
「いや、これ元々俺らのなんだけど……」
「あぁ?」
 信者の方が正しいんだけど、アーシャの視線の前に沈黙。BBQセットを横取りされるという不憫な結末に……その横で。
「ブリジットちゃん、信者達を救う為には君の水着姿も必要なんだ、全員を救う為には一人でも多くの素敵な水着姿の子が必要なんだ!君が普段邪魔と思ってる物がもしかしたら、人の助けに使えるかもしれない……力を、貸してくれ!」
 この茶番だよ。
「これ以上あんな恰好をさせられてたまるか!!」
「既に着た後!?」
 と、ここで永代がクルッと信者の方を見て。
「おんにゃのこがエロい格好をして、それを眺められるだけでも水着の価値は充分!そこに、お洒落にかける乙女心が見えたりするとそれはそれで良いよねん!!」
『何故俺らに言う!?』
 信者と肩を組み、背中側から地獄でジワジワ炙る永代曰く。
「野郎は皆エロ好きなんだよ……いい子ぶってないで本性出せよ……そしてブリジットちゃんに再びの水着姿を披露させるんだ……!」
「暑い!ていうか熱い!!」
 欲望しかない永代だが。
「そんな君達にはいコレ!」
 ピンクをベースに胸元に白い生地をあしらい、レースで縁取られたセパレート水着、その裾に桜を散らした姿のエヴァリーナが、端末に写真を映して。
「水着の必要性は、これで十分!」
 黒い編紐のようなデザインで、隠せているのか怪しいビキニで胸元を隠すから逆に全裸に見えるユキの写真や、緑のセパレートにパレオを巻いて、必死に麦わら帽子で顔を隠すブリジット(人派)の一枚、白のビキニに黒のシースルーなラッシュガードを羽織って震えるユキに、水色フリルの花柄チューブトップにマリンブルーのスカートで、日傘をさして隠れようとするブリジット(人馬派)……そろそろ怒られるんじゃないかな。
「ハイ論破!BBQ!!」
 途中で飯食いに行きやがったなエヴァリーナ……。
「で、アルベルト、あなたはそこで何をしてるのかしら?」
 信者と永代に混じって写真を見ていたアルベルトがビクッ!いや待て違うんだ……と両手を振ってあたふたする夫の手を掴んだアウレリアは怒りのあまりに震えていた……ただし、頬を膨らませて。表情そのものはあまり変わらない、少し不器用な彼女なりの感情表現にアルベルトは衝撃で吹っ飛びそうになるが、むしろアウレリアに引き寄せられて。
「……」
 機嫌を損ねた子どものように、ただ睨みつけてくる妻を抱き寄せて、夫はそっと頬を重ねるのだった。


「んー!お肉もお魚も美味しー!!」
「早く食べないと全部食べられちゃう……」
 エヴァリーナが焼いたそばから食べてしまう為、鞄一杯に肉を詰めてきたにも関わらず、危機感を覚えるユーフォルビアが隙を見て牛肉とトウモロコシの串をもぐもぐ。
「よーしタコが焼け……」
「いただきまーす!」
 アーシャが丸まったタコをとろうとしたが、寸前でエヴァリーナがシュバッ!
「……俺の獲物を横取りするたぁいい度胸だな!?」
「美味しいものは速い者勝ち」
 キリッ。キメ顔のエヴァリーナだが、タコはアーシャが釣ったものであり完全に悪役である。
「いいぜその喧嘩買ってやんぞゴラァ!!」
 アーシャが魚を網にドバァ、からの焼き上がりを見極めかっさらう、居合BBQが始まってしまい……。
「こんな事もあろうかと、ってね」
 クロウが廃材から作ったジャンク調理キットを広げてプチBBQ。
「さすがにあの中で一緒に食べられる気はしないわね……」
 荒ぶる二人を横目に、小町がトレーに残った肉の欠片と刻んだキャベツを炒め、中華麺とソースを投入。
「あすかもオヤツ食べる……って何事?」
 網焼きドーナツを作っていたクロウが振り返ると、蝶のブローチをあしらった白いビキニに、トロピカルパレオを巻いたあすかがボール片手にブリジットと対峙。
「ブリジットさんマラソンぶりー。あの時は引き分けたけど、今回はそうはいかないよ」
「なんだそれは?」
 サクッ。
「アッー!?」
「ビーチバレーって言ってね……」
 鳥さんを始末したブリジットをあすかが眺めて。
「水着は?」
「二度と着るかあんなもの!」
 真っ赤になったブリジットに、ドーナツをもひもひするクロウから「えー!」。
「海に来たなら水着になろうよ!この日差しで鎧はきついでしょ?ほら、色々持ってきたんだ!それに強い人ほど防御より身軽さを考慮して布地が少ないんだよ!」
「ん?呼んだ?」
 小町と焼きそば食べてたユーフォルビアがきょとり。
「いや、一理はあるがな……!」
「恥ずかしいのは分かるけど、水着は水辺の戦闘服!重い鎧は逆に危機を招くわ。個人的にはハイネックビキニとか似合いそうかなって!」
「わ、私の体躯では着られないし……」
 クロウが水着を取り出し、追い詰められるブリジット。と、ここであすかが。
「僕に負けるのがそんなに怖いの?」
 ぷっちん☆
「上等だ……寄越せ!」
 クロウから水着を受け取り、カッ!光に包まれたブリジット。すると隣には組み立てられた人馬甲冑を残し、髪を三つ編みにして黒のハイネックビキニに身を包んだ姿に。
「覚悟しろよ大食い女め……!」
「ブリジットが胃も器も小さいだけでしょ?」
 焼きたての牛肉串を頬張りながら指先でボールを回すあすかと、腕組みして覇気を纏うブリジット。決戦の火蓋が、切って落とされ……。
「あ、ブリジットさん人参は好き?」
「……少しくらいは、頂こう」
 ない。小町の計らいで先延ばしになったが、その後二人は熾烈な争いを繰り広げる事になる。その様子を目撃した永代曰く。
「やっぱ揺れるおっぱいも揺れないおっぱいも最高だよねん!」
 彼がお星様になる五秒前のコメントだった。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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