●危なすぎる
しん、と静かな深夜の住宅地。
そのうち、少しばかり大きな邸宅のひとつから、煌々と明かりが漏れていた。
中にいるのは10人の男女。
そして彼らが熱い視線を注ぐのが――鳥の人だ。
「オレ、ワガシ、スキ」
おいどうなってんだ。
すげー片言だよ! 和菓子好きとか言いながらすげー片言だよ!
「ワガシ、メッチャスッキャネン」
しかも似非関西弁だよ!
和菓子が好きすぎて日本に来ちゃいましたみたいな、テレビの外国人みてーになっちゃってるよ!
「ワガシマジサイキョウ。アマサモクドクナイシパクパクタベラレチャウヨ。ヨウガシヨリダンゼンオイシイ。ウマレカワルナラワガシイッタク」
「大将! 落ち着いて!」
「しっかりしろ馬鹿!」
「ぶべらっ!?」
信者たちに肩を揺さぶられたり顔パンされたりして我に返る鳥さん。そのまま水ぶっかけられたり扇風機あてられたりと既視感がパない光景を経て、鳥さんはテーブルに並んでいる和菓子類を見下ろした。
鮮やかな色彩が、繰りひろげられていた。
花を模した赤や紫の練りきりや、真っ白な大福、軽やかな串団子や涼しげな葛饅頭、その色合いの中にあってシンプルな羊羹やどら焼きはきっちり絵面を締めてくれている。
さっと三色団子を取ると、鳥さんはうっとりと観賞した。
「この素朴なフォルムと、目にも鮮やかな色彩……和菓子ってほんと魅力に溢れてると思うよ。しかも食べてもめっちゃ美味しいし。そう思わん?」
「いやー思いますよ」
「なんかこう派手じゃなくて、落ち着けるんすよねー」
「ねー。あ、いっぱいあるから食べて食べて。なくなっても作り置きあるし、それもなくなったら俺が作るからさ。じゃんじゃん食べちゃおーよ」
『よっしゃーー!!!』
鳥さんの許しを皮切りに、各々和菓子を食いはじめる信者たち。
深夜だっつーのに、恐れ知らずな連中ですよ。
●鳥の形をした和菓子職人が現れただって?
「それじゃあ……食べに行こっか?」
「そうですね!」
事件の予知が語られるや否や、御手塚・秋子(夏白菊・e33779)と笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)がハイタッチではしゃぎだす。
なるほどそういうことなんだな、と深夜に参集した猟犬たちは察した。
食うやつ。
これ食うやつや、と。
「ビルシャナのもとには10人の信者さんがいますけど、彼らには和菓子以外のおいしいものをあげれば大丈夫だと思います! 洋菓子でもいいですし、コンビニ菓子とか、普通にお肉とかでもたぶんいけます!」
「美味しいものあげるだけでいいなんてすごい楽だねー。これは早くお仕事が終わって、いっぱい和菓子を食べられる気がする……」
「ビルシャナを倒す前に、たくさん作ってもらってもいいかもしれません!」
「それすごくいい……!」
わいわい、と地味にひどいことを話し合うねむちゃんと秋子さん。
これから殺るけど和菓子作って、って冷静に考えるとすごいこと言ってるよ?
「和菓子楽しみだなー。いっぱい持って帰ろう」
「残しても仕方ないですから、みんなで綺麗に片付けちゃってくださいね! あ、でも夜遅いですから色々と注意したほうがいいかもしれません!」
ハッ、と思い出したようにお腹をポンポンするねむちゃん。
かくして、猟犬たちは深夜の和菓子会とかいう背徳に臨むことになるのでした。
参加者 | |
---|---|
愛柳・ミライ(明日を掴む翼・e02784) |
ヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020) |
新条・あかり(点灯夫・e04291) |
久遠・薫(バウム至高明王・e04925) |
七宝・瑪璃瑠(ラビットバースライオンライヴ・e15685) |
御手塚・秋子(夏白菊・e33779) |
アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846) |
朱桜院・梢子(葉桜・e56552) |
●突撃
夜の住宅街に、からころと響く下駄の音。
「『これで彼氏もイチコロ☆夏の和菓子講座』ってここだっけ?」
鳥邸の前でくるりと振り向いたのは、新条・あかり(点灯夫・e04291)だ。
正確に言うならば、浴衣姿でめっちゃ夏ってるあかりだ。
「ここでいいんじゃないですか? たぶん」
「だよね」
適当に答えた久遠・薫(バウム至高明王・e04925)の返事を聞いて、前方を見上げるあかり。
愛柳・ミライ(明日を掴む翼・e02784)は夜闇に目立つ長い銀髪をかきあげた。
「ワタシ、ワガシ、スキ」
片言だった。
「だから、この時間に食べるのもやむなし。きっと」
自分を言い聞かせてもいた。
しかし、だ。彼女は独りではなかった。
「わかるよミライさん。スイーツは24時間OKだよね」
ふっ、と小粋な表情を浮かべるヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020)。
最近暴走から救われたばかりっつー2人が、目と目を合わせる。
「病み上がりって甘いもの食べたくなりますよね……!」
「深夜のスイーツパーティーと聞けば、血が騒ぐよね……!」
強く頷きあう2人である。
「和菓子ー♪ いっぱい和菓子食べよう……特保のお茶あるし!」
家の門扉を開けつつ、特保への絶対的信頼感を匂わせるのは御手塚・秋子(夏白菊・e33779)だ。なお根拠はない模様。
「開いたー」
「じゃあ行きましょ!」
「おー! なんだよ!」
秋子が開けた門扉へ、和装の朱桜院・梢子(葉桜・e56552)とゴスロリ浴衣の七宝・瑪璃瑠(ラビットバースライオンライヴ・e15685)が突っこむ。
「和菓子食べ放題の会場はこちらかしら!」
「お邪魔します、なんだよ! 突撃他人の夜食菓子、なんだよ!」
装いとは裏腹に豪快なムーヴで居間に雪崩れ込む2人。
そしたらっすね。
「見ろ! アジサイとカタツムリー! 殻のトコは最中使っテイイカンジ!」
「ふおお……さすが教祖!」
アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)が、信者と一緒に鳥さんの和菓子でキャッキャしていました。
「ンー、白餡の甘さがお上品……和菓子サイコー!」
それどころか練り切りを口いっぱいに頬張る始末である。
完全に和菓子党員になっちまってるレプリガールが、仲間たちの視線に気づくのはそっから1分後のことだった。
●洋菓子はいいぞ、ラーメンもな
「夜中にお邪魔しますはなくない?」
「ソウだぞ! ウチらは和菓子ヲ渡す気はネー!!」
猟犬たちにやいのやいの言ってくる鳥さん&アリャリァリャ。
「すっかり溶け込んでるわね……」
「いったい何が……っと、そこを気にしてる場合じゃないよね」
アリャリァリャさんの信者ムーヴに感心する梢子の横で、ヴィルフレッドがコンビニ袋を取り出す。
中身は買いこんできたオリジナルスイーツやアイス、ジュース等々。
「貴様! これ洋菓子やないか!」
「うん。でも見てよ。洋菓子も見た目が凝ってるの結構あるんだよね。ムースケーキに顔を付けて可愛いかったり、彩りを工夫して落ち着いた印象を出したりね」
「何……?」
ヴィルフレッドの見せる菓子に信者たちが興味を示す。
さしもの和菓子党員も眼前に別の菓子をちらつかされては食いつくしかなかったようだ。
「こんびにっていいわよね! いろんなすいーつが買えて!」
梢子もまたコンビニ袋を手に持って、ススッと信者らのそばに。
しかし当たり前だが、袋の中身はヴィルフレッドとは違う。
「夏と言えば恋しくなるわよね……あいすが! そして今は夜! となればお酒じゃないかしら!」
どんっ、と酒のボトルを置く梢子。
「こいつ……なんてアダルティな!」
「あいすにお酒かけても美味しいのよねぇ……特にばにらあいすの焼酎がけはおすすめ! 意外な組み合わせだけどこれが本当に美味しいのよ……うーん、たまらない!」
スプーンをぱくっと咥えた梢子が「んー♪」と頬を押さえる。
そのあまりの幸福オーラに、信者たちは狼狽し、後ずさりした。
「くっ、なんと美味そうに……!」
「教祖! 和菓子パワーでヤツラをギャフンするんダ!」
「わかったー!」
アリャリァリャの呼びかけに張りきって応じる鳥さん。
「ふおおおお!」
「教祖の手羽にかかればコンナのも出来ルー!」
巧みな手さばきで餅を伸ばす鳥さんを囃すアリャリァリャ。
「次は日本のソウルフード! 醤油煎餅ダ!」
「あいよー!」
「和菓子はチョコにだって対応できル! チョコどら揚げで行こう教祖!」
「ひーはー!」
「プリンアラモードは日本発祥、つまり和菓子!」
「そうかもしれないー!」
脱線がひどい。
露骨に誘導するアリャリァリャさんもアレだし、気づかない鳥もアレだった。
信者たちもね、心配そうにヒソヒソしてましたよ。
「あれもう洋菓子なんじゃ……」
「洋菓子っていいよね」
「!?」
放たれた声に信者が振り返る。
立っていたのは、あかりだ。その足元にはクーラーボックス。
そこから取り出されたるは――小さなカップ容器たち。
焼きプリンだった。
「プ、プリンだと……!」
「焼きプリンの懐かしい味わいも捨てがたいよね……手作りだから不格好だけど、良かったら」
「しかも少女の手作りィィ!!」
最高に苦悩する信者たち。
彼らを尻目に瑪璃瑠は「いただきますなんだよ!」と焼きプリンをもぐっ。
「プリン美味しいんだよ!」
「よかった。どんどん食べてね、瑪璃瑠さん」
「じゃあボクからもカステラのお返しなんだよ!」
「カステラ……また洋菓子……」
顔を曇らせる信者。
瑪璃瑠はきょとんとした。
「洋菓子? 違うんだよ? 実はカステラって和菓子なんだよ!」
「な、なんだってーーー!!?」
もたらされた驚愕の事実。おののく信者。
「てっきり洋菓子かと……」
「よく誤解されてるけどね! でも日本でできたんだよ! なら和菓子だよね、こういうのみたいに!」
すかさず甘納豆チョコやらクリームどら焼きを繰り出す瑪璃瑠。
「他を否定するのは、和菓子の未来と可能性を閉ざすことになるんだよ!」
「そんな歴史が……」
むむむ、と信者たちが瑪璃瑠の意見に考えこむ。
「悩ましいですよね」
悩める彼らの背中をさすさすしてあげる薫。
優しい目つきをしながら、シャドウエルフは言葉を継いだ。
「世の中には美味しいものがたくさんありますよね」
「ほんとだよ……」
「でもバウムクーヘンが至高なんですけどね!」
「新たな火種が!?」
ブッコミに定評のある薫さん、今日も元気にバウムをブッコむ。
「芯棒に生地をかけながら焼くことにより独特の模様を作るドイツのケーキです。ベースとなる材料もシンプルで小麦、バター、卵」
「は、はぁ……」
「もっちりふんわりした食感と卵と小麦の風味、バターのコクなどが味わえる一品です。生地にブランデーを混ぜれば大人の方はより楽しめますね。至高ですね」
「だいぶ端折ってない!?」
「結論への飛躍がすごいよ!?」
「さぁ、皆さんバウムを食べましょう?」
「しかも話を聞かない!?」
「怖ぇよ……両手にバウム持ってにじり寄ってくる人怖ぇよォ!?」
両手持ちダブルバウム明王からずりずりと後退する信者たち。
だが、彼らの注意はすぐに別のものに奪われた。
「豚骨焼豚ラーメンできたよー」
「ラーメン!?」
キッチンからニッコニコで戻ってきた秋子が、ラーメンをテーブルの上に置いたのだ。
「貴様こんな時間にラーメンなど……!」
「チョコポテチも作ってきたんだけど食べる?」
「ノアァァァ!!?」
しれっとチョコポテチを齧る秋子。背徳が過ぎるそれに信者たちが頭を抱える。それを見下ろしながら秋子はずるずるとラーメンを啜った。
「特保がなければ危なかった……」
「深夜ラーメンだなんて……♪」
片手に持つお茶に感謝を禁じ得ない秋子。そして隣にいるミライはさも当然のようにラーメンをずぞぞぞやってる。
でも仕事も忘れちゃいません。
ラーメンを啜りながら空いた手で荷物を漁り、ホイルの包みを取り出すミライ。
「和菓子とはなんたるやを知るには、自然の甘さを知ってこそなのです! というわけでどうです焼き芋?」
「え、今?」
「もう夏やけど……」
「季節外れの今食べるのがいいんですって!」
キラッ、とウインクかますミライさん。
彼女の押しは強かった。抗いきれなかった信者たちは大人しく焼き芋をもぐり。
「あ、美味い」
「ですよね☆ 他の皆さんが勧めてるのも美味しいですよ?」
「んー……じゃあ試してみよっかな」
「そーだねー」
次々に和菓子以外のブツを食いだす信者たち。
彼らがみな目を覚ますのに、そこから1分もかからりませんでした。
●和菓子ぱーちー
「謀られたー……」
膝と手をつき、がっくりしてる鳥。
気づいたら独りだからね。ショックだったよね。
ヴィルフレッドと瑪璃瑠は、わざとらしく鼻で笑った。
「和菓子が一番だなんてそもそも無理がある話だったんだよ」
「そうなんだよ! 和菓子なんて一番にはなれないんだよ!」
「そ、それは聞き捨てならない!」
がばっと起き上がる鳥さん。
「和菓子超うめーから!」
「むぃ! そこまで言うんだったら君のお菓子でボクたちの目を覚まさせてみろなんだよ!」
「そんなの朝飯前だって!」
「ちなみにボクはピンクの目のウサギさん型と金の目のウサギさん型に弱いんだよ!」
「なるほどわかったァ!」
瑪璃瑠の口車に乗せられ、鳥さんが和菓子を作りはじめる。
「いや和菓子和菓子いうけど和菓子は酷暑対策できないじゃん。アイスとかシャーベットみたいな冷たいお菓子あるの? ないでしょ?」
「あるって!」
「葛餅とかあんみつのこと言ってる? ダメだよあれ不味いじゃん」
「うめーって! ちょっと待ってて!」
ヴィルフレッドに煽りくらった鳥さんがウサギさんと並行して葛餅の用意を始める。
「どうだァ! ウサギさんと葛餅!」
「綺麗なウサギさんなんだよ!」
「ぷるぷるの葛餅美味しいー」
「すごいなぁ。何でも作れるんだね」
まんまと和菓子にありついたヴィルフレッドと瑪璃瑠が舌鼓を打つ。横で見ていたあかりはキラキラと憧憬の眼差しを鳥さんに送った。
「僕、海亀を模した和菓子を作りたいんだけれど教えて貰えないかな?」
「海亀? 別にいいよ。こっちおいでー」
「いいの? ありがとう!」
鳥さんに手招きされ、てこてこ隣のポジションに入るあかり。
「実は恋人にプレゼントのお返しがしたいんだよね。海亀モチーフの帯留めだったから、海亀っぽいものが贈れたらいいかなって」
「へー」
普通に和やかトークすら始めるあかりと鳥さん。
それを眺めながら、ミライはテーブルの上でシャカシャカ抹茶をたてていた。
「牛乳とお砂糖……ああ、和三盆いいの使ってるんですからこれ入れましょう☆」
「そんなものどこから持ってきたんですか」
「台所から拝借してきました☆」
横で作業を覗いていた薫のツッコミに、屈託なく笑うミライ。
「これで和菓子に合わせるお茶の準備は万全です♪ あ、薫さんも飲みます? 緑茶とか玄米茶、牛乳とかコーラとかポテチ用意してますけど……」
「では緑茶貰いますね」
「はーい♪」
「はい、豆大福と草餅ねー」
「ありがとうございます大将」
ミライから緑茶を、鳥から頼んだ和菓子を受け取る薫。
「和菓子至高を訴えるだけあって、美味しいですね」
「専属のシェフがついたみたいで楽しいですよね☆ あ、私も豆大福と草餅もらえます?」
「あいよぉう!」
「饅頭も美味シイ……どら焼きモ美味しイ……」
もぐもぐと草餅を食う薫の隣で、はいはーいと手を上げて鳥さんにオーダーをぶっこむミライさん。さらにその隣ではアリャリァリャがポイポイと鳥さん印の和菓子を口に放りまくっている。
完全にパーティーの情景である。
「これからの季節は水羊羹にわらび餅、つるりとした口当たりのものが食べたいわねぇ……」
「おっけー!」
「ああそれと、夏といえば若鮎! 求肥のもちもち感が好きなの。あれもお願いできる?」
「若鮎承りましたー!」
梢子さんなんてめっちゃいいように使ってる。
和菓子をぺろりと食う姿はまさに甘いもの好き。間髪入れず次弾を頼んでゆく姿に葉介(ビハインド)はもう何も言えなかった。何も言わずに隅っこで緑茶を啜っている。たぶん眠い。
「そうそう、麩まんじゅうって作れるかしら?」
「麩まんじゅうね。いま作るー」
「お土産にも持って帰りたいからいくつか笹の葉で包んでくださる?」
「ふむふむー」
「袋詰めしておくね、梢子さん」
「ありがとう、あかりさん!」
言われるまま麩まんじゅうを作る鳥さん。パパッと葉で包んだそれを袋にまとめて土産セットを生産してゆく。あかりさんも手伝いました。
一方、テーブルの向かいでは秋子さんが真剣な顔で和菓子を撮っていた。
「くっ、これが鳥さんの技術力……!」
慎ましくも美しく仕上がった葛餅や桜餅、和三盆や紫陽花の練りきりを夢中で撮影する秋子。最初は『技とか盗めるかな……』と鳥さんが作るさまを凝視していた秋子だったが、いざ菓子が出来上がってからはずっとこんな調子だった。
「結局全然盗めなかった……送信」
夫にあてつけの画像を送り、端末を仕舞う秋子。
で、気を取り直して食べるじゃん?
「うまー」
一瞬にして秋子の顔がとろけた。ていうか溶けた。
「和菓子のこのもちもち感だよ……」
とか言いながら頬がもっちもちになってた。
かと思えば、ぴたりと止まる頬。
目前に、中に金魚(練りきり)が泳ぐ錦玉羹が出てきたからだ。その出来栄えにさしもの秋子もしばらく観賞するしかなかった。
「ごめんね金魚……」
そして何事もなかったようにもぐもぐした。
で、ひとしきり腹が膨れたあと。
「ふな焼きとか鶯餅とかお土産に作ってもらえるかな? ほら、うちの人も和菓子染めにできるよー」
「それ名案ー」
やっぱりいいように鳥をノせて、土産もゲットしました。
●えぴろーぐ
数十分後。
「ひ、ひいっ……!」
鳥さんは縄でぐるぐる巻きにされていた。
そしてそんな鳥さんの前に立つ――ホッケーマスク。
「鶏肉が入ったスイーツも結構あるもんだね。鳥肉入りのアップルパイとか、柑橘系ソースのチキンソテーとか」
惨殺ナイフをちらつかせるホッケーマスク。
てか、あかり。
鳥さんの良い生徒になってたあかりさんです。
「どーしてこんなことを……」
「――あとはカザンディビって、知ってる? トルコのお菓子でさ。鳥のひき肉入りのプリンなんだよね」
「ビルシャナになり切っタ人間はもう戻れネーカラナ」
「ひ、ひぃぃぃ!!?」
あかりにスッと並ぶアリャリァリャ。
その手にはチェーンソー剣が『ぶぃぃぃん』している。
ひどい、絵面だった。
「やめるんだ……うら若き少女がそんな――」
「「それ☆」」
「アアァァァーーーーーッ!!!?」
夜の住宅街に響く断末魔。
きっと向こう数日は近所の噂になったと思います。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年6月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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