女の子の旬は小学生まで!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「……俺は常々思うんだ。女の子の旬は小学生まで! それ以上は恋愛対象外である、と! だって、そうだろ? 他の奴等は、ババアだ、ババア! ハッキリ言って、無理! 絶対に無理っ! そんなモノで興奮する訳が無い! むしろ、鳥肌モノだろ? 寒気がする……!」
 ビルシャナが廃墟と化したビルに信者達を集め、自らの教義を語っていた。
 信者達はビルシャナによって、洗脳されており、目をグルグルさせながら、『小学生サイコー』と答えを返した。

●セリカからの依頼
「盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが確認されたのは、都内某所にあるビルの中。
 この場所にビルシャナが信者達を集め、イケない妄想を膨らませているようだ。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 信者達は洗脳状態に陥っているため、小学生が好きだと思い込んでいるが、実際にはノーマル。
 誘惑されれば、確実に反応してしまうため、説得するのは難しくないようだ。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
アルーシャ・ファリクルス(ドワーフのガジェッティア・e32409)
渡会・雪(微睡みの月下香・e44286)
ノノ・サーメティア(オラトリオの巫術士・e67737)

■リプレイ

●都内某所
「なんか、つい最近少年バージョンの鳥を処理した記憶が……」
 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)は複雑な気持ちになりながら、廃墟と化したビルにやってきた。
 ビルシャナは信者達を集め、女の子の旬は小学生までだと訴え、廃墟と化したビルの中で何やら如何わしい妄想を膨らませているようである。
 そのためか、ビルシャナ達が拠点にしているビルも、以前まで如何わしい行為が行われていた場所で、いかにも何かやっていそうな感じで、怪しげな雰囲気が漂っていた。
「……と言うか、この鳥やべー奴なのでは……。だって、堂々と犯罪宣言している訳だしさ。絶対に関わっちゃ駄目な相手だよね?」
 アルーシャ・ファリクルス(ドワーフのガジェッティア・e32409)が、色々な意味で危機感を覚え、全身に鳥肌を立たせた。
 おそらく、街で見かけても、絶対に目を合わせてはいけない相手。
 万が一、目が合ったとしても、母親に注意をされて、視線を逸らさなければイケないような相手であった。
「確かに、小学生が旬とか、要するにロリコン宣言じゃない。『おまわりさん、こいつです』な鳥なのね~。まぁ、若い子が好きっていうのは、なんとなくわかるけれど、その対象が若すぎたりするのはどうなのかなー……」
 ノノ・サーメティア(オラトリオの巫術士・e67737)が、何処か遠くを見つめた。
  出来る事なら関わりたくはないものの、相手がビルシャナである以上、放っておく訳にはいかない。
 例え、ビルシャナが歩く猥褻物であったとしても、倒すまでは帰れなかった。
「でも、いまのところは騒いでいるだけで、未遂……なのですよね?」
 渡会・雪(微睡みの月下香・e44286)が、気まずい様子で汗を流した。
 念のため、小学生の制服を着込んできたのだが、ビルシャナにとっては、御馳走、イタダキマスである。
 それが原因で嫌な汗が溢れ出し、全身の震えが止まらなくなった。
 しかも、制服がぱっつんぱっつんしているせいで、身体のあちこちが悲鳴をあげていた。
「ある意味、夏の風物詩なのでしょうか。何だか違う気もしますが……。夏になると、いっぱい湧いているような感じですね」
 そんな中、めぐみが事前に配られた資料に目を通し、心底嫌そうな顔をしながら、イラッとした様子でこめかみをピクつかせた。
 その感情が怒りである事を認識した時、ビルシャナに対する殺意が芽生えた。
「まあ、いいや。このモヤモヤは全て鳥にぶつければ……」
 そう言って、めぐみがとてもイイ笑顔を浮かべながら、廃墟と化したビルに足を踏み入れた。

●ビル内
 廃墟と化したビルの中は、すえたニオイが漂っており、思わず仰け反ってしまうほど臭かった。
 それが原因で、目には見えない結界が張られているような錯覚に陥ったものの、ここで逃げる訳には行かなかった。
 そのため、ケルベロス達は勇気を振り絞り、見えない結界を払い除けるようにして、奥に進んでいった。
 その先には、禍々しい程イカ臭い扉があり、恐る恐る開くとビルシャナ達がいた。
 ビルシャナ達は部屋の中で如何わしい妄想を膨らませていたらしく、今にも通報されそうなほどヤバイ空気を身に纏い、一斉にケルベロス達をガン見した。
「うわぁ……」
 その視線に気づいたアルーシャが、身の危険を感じて仰け反った。
 これはヤバイ。間違いなく、ヤバイ。
 こんな状況でなければ、回れ右をして帰っているような状況である。
「ぐへへへへへ……」
 一方、ビルシャナ達は、まるで品定めをするようにして、頭のてっぺんから爪先まで舐め回すように視線を送っていた。
「あんまり近づきたくないしなー」
 ノノがドン引きした様子で、後ろに下がっていった。
 だが、ビルシャナ達は、既にノノをロックオンしており、そのまま撃ち落とす勢いで、イケメンスマイル(ビルシャナ目線)を浮かべていた。
 ただし、ノノにとっては気持ち悪い一団が、一斉にニチャア……と笑みを浮かべたようにしか見えず、気分が悪くなっただけだった。
「学校の友達とはぐれてしまったの。この辺りで女の子見なかった?」
 そんな空気を察した雪がノノを守るようにして前に立ち、子供らしい演技でビルシャナに探りを入れた。
「そうか、そうか。それは困った。だったら、ここでお友達を待つとイイ。もう少ししたら、来るからね。それまで、一緒に……遊ぼうか?」
 ビルシャナが物凄くゲスな笑みを浮かべながら、雪の肩を抱き寄せた。
 その途端、ビルシャナの汗ばんだ手の感触が、制服を通じて伝わってきたが、ここで怪しまれる訳にもいかないため、必死に作り笑いを浮かべながら、子供のフリをした。
「……うん、おにいちゃん、あ・そ・ぼ♪」
 そこに助け舟を出すようにして、めぐみがラブフェロモンを薄く出し、ビルシャナを誘惑するようにして擦り寄った。
「おお、これは可愛い子ばかりだな。いいぞ、おじさんが遊んであげよう。まずは……プロレスごっこだ!」
 ビルシャナが犯罪ギリギリのダーティなスマイルを浮かべ、めぐみに襲い掛かろうとした。
 まわりにいた信者達も何故かズボンを脱ぎ、色々な意味でヤル気満々になっていた。
「それにしても、暑いね」
 そんな中、アルーシャが服をパタパタさせ、見えそうで見えない感じで、ビルシャナ達の注意を引いた。
 それが引き金になって、信者達が一斉にクイっと腰を引き、みんな前屈みになった。
「だったら、服を脱げばいい!」
 それとは対照的に、ビルシャナはノリノリな様子で、アルーシャの服を脱がそうとした。
「へ、変態……」
 それを目の当たりにしたノノが、思わず言葉を吐き出した。
 既に我慢の限界。
 なるべく言うまいと思っていたが、それもここまで。
 まるでゴミを見るような視線を送りつつ、ジリジリと後ろに下がっていった。
「おじさん、きも~~~~い、近寄らないで~~~~」
 その途端、めぐみが手のひらを反すようにして、ビルシャナを拒絶するようにして突き飛ばした。
「何か勘違いをしているようだが、俺達は変態じゃない。むしろ、紳士さ。つまり、君達の味方さ!」
 ビルシャナが無駄にイケメンスマイルを浮かべ、鋭く尖ったクチバシを輝かせた。
 まわりにいた信者達も、同じようにイケメンスマイルを浮かべたものの、元がイケメンではないため、通報レベルでヤバかった。
「そんな事を言いつつ、心の中で女の子の旬は、小学生までって思っているのよね? それって、単なるロリコン宣言じゃない?」
 すぐさま、アルーシャがビルシャナ達の前に立ち、揺るぎない事実を突きつけた。
「それが、どうした! いまさら気づいたところで手遅れだ!」
 ビルシャナがフンと鼻を鳴らし、信者達に合図を送った。
 その指示に従って信者達が、逃げ道を塞ぐようにして、ケルベロス達の後ろに陣取った。
「……と言うか、これでも私、14なんだけど……。小学生が対象なんだから、私は対象外よね? その割には、みんな反応しているようだけど……」
 アルーシャが呆れた様子で、ビルシャナ達に視線を落とした。
「な、何か勘違いをしているようだが、これは違う! お前以外の奴等に……反応しているだけだ!」
 その視線に気づいたビルシャナが、恥ずかしそうにしながら、小さくコホンと咳をした。
 まわりにいた信者達も、アルーシャから視線を逸らし、ビルシャナの言葉に同意するようにして、力強く何度もコクコクと頷いた。
「でも、めぐみは20歳なんだけど、それでもいいの?」
 その間に、めぐみが全力でラブフェロモンを放出させ、ビルシャナ達に問いかけた。
「んあ、マジか!?」
 これにはビルシャナも、ドン引きしたのか、ハトが豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべた。
「で、でも、俺達が興奮していたのは、お前じゃない! こ、この娘だ!」
 それを誤魔化すようにして、小太りの男性信者が、ノノの事を指差した。
「……私は17だよ」
 そこに追い打ちをかけるようにして、ノノがキッパリと断言をした。
「……えっ?」
 そのため、小太りの男性信者が、キョトン。
 ビルシャナと一緒に、キョトンである。
 そして、一斉に雪をガン見。
「ちなみに私は19です。こうなった以上、他人のご趣味に付き合う必要なんてありませんね」
 雪が制服を着崩し、深い溜息を洩らした。
「……」
 そのため、信者達は真っ白。
 まるで抜け殻の如く虚空を見つめ、口をパクパクさせて、放心状態。
 完全に騙されていたのか、みんな揃ってお手上げ状態。
「うぐぐ……、俺を騙したな!」
 その途端、ビルシャナが怒り狂った様子で、ケルベロス達に殺気を向けた。
「……とは言え、無垢な蕾を穢す様なイケナイ思想のビルシャナさまにはキツイお仕置きが必要ですね。鳥肌……晒しちゃいましょうか」
 そう言って雪が躊躇う事なく、ビルシャナに攻撃を仕掛けていった。

●ビルシャナ
「ええい、ふざけた真似をしやがって! ならば、お前達を小学生に変えてやる! この超絶強力なビームで、な!」
 次の瞬間、ビルシャナが殺気立った様子で、ケルベロス達にビームを放ってきた。
 それは相手を小学生に変える危険なビーム!
「こ、これは……!」
 そのビームをモロに喰らった雪が、身体に違和感を覚えた。
 それは単なる気のせいだったのかも知れないが、まるで自分の体が小学生の頃に戻ってしまったような錯覚に襲われた。
 それが原因で気持ちまで小学生になりつつあるのか、考えまで幼くなっているようだった。
「ククククッ、見たか! これが俺の力だ! やっぱり、小学生は最高だ! それ以外はババアだ、ババア!」
 ビルシャナが勝ち誇った様子で、ニンマリと笑った。
「いまババアって言いましたか? めぐみを見て、ババアって!」
 めぐみが凍るように冷たい視線を送り、ビルシャナをボコって、ボコって、ボコりまくった。
「い、いや、別にお前の事を言ったわけでは……。だったら、ほら……俺のビームを浴びればいい! そうしたら、お前も……小学生だ!」
 ビルシャナが穢れのない円らな瞳で、めぐみを説得しようとした。
「だったら、台所のGみたいに、ボコボコ沸かないでください。いますぐ……消えろ!」
 次の瞬間、めぐみの放ったパンチが、ビルシャナの顔面を捉えた。
 それはビルシャナにとって、予想外の一撃であったため、抵抗する間もなく軽やかに宙を舞うと、天井に当たった反動で、そのまま床に突っ伏した。
「ま、待て! みんな、落ち着け! 話せば分かる! みんな俺のビームで小学生に……」
 それでも、ビルシャナは自らの考えを改めず、ケルベロス達を説得しようとした。
「ハツー!」
 その言葉を遮るようにして、アルーシャが破鎧衝を仕掛け、文字通りビルシャナのハートをキャッチした。
「うごっ!」
 それはビルシャナにとって、地獄の痛み。
 明らかに、自分が求めていたモノではなかったため、何か言いたげな様子で、クチバシをパクパクさせていた。
 だが、そこから言葉が発せられる事はなく、血の泡だけがブクブクと溢れていた。
「……と言うか、ロリコン宣言してる以上、鳥には消えてもらわないとね。社会的にも」
 ノノが『汚物は消毒だ!』と言わんばかりのノリで、ビルシャナに熾炎業炎砲を放った。
「グギャアアアアアアアアアアアアアア!」
 その一撃を喰らったビルシャナが悲鳴を上げながら、必死に炎から逃げようとした。
 しかし、その炎はビルシャナが消し炭と化すまで荒れ狂い、命の灯と共に消え去った。
「……小学生と限定しなければ良かったのにねー」
 ノノが複雑な気持ちになりつつ、ビルシャナに視線を落とした。
 だが、ビルシャナにとって、相手が小学生である事は、譲れない条件であったのだろう。
「俺達は一体……」
 その途端、信者達が我に返って、目をパチクリさせた。
 この様子では、自分の身に何が起こったのか、全く理解していないのだろう。
 必死に今まで何をしていたのか思い出そうとしているようだが、数日分の記憶が欠如しているのか、狐に化かされたような表情を浮かべていた。
「皆さまの心の内に思う旬の女性像……思い出してくださいね。何なら私がお付き合いしますので……」
 そんな中、元通りになった雪が含みにある笑みを浮かべ、信者達に対してイケナイ約束を取りつけた。
 同じように、めぐみも男性信者達を誘うと、そのまま夜の街に姿を消すのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月8日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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