吠えろ、リボルバー!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
 廃墟と化したビルに、子供の玩具が転がっていた。
 それは玩具の銃で、リボルバータイプ。
 その中に一発だけ弾が入っており、引き金を引くと、爆音が響くようになっていたようだ。
 しかし、持ち主の子供が飽きてしまったのか、この場所に捨てられ、自分ではどうする事も出来ず、朽ち果てていったようである。
 それに引き寄せられるようにして現れたのは、蜘蛛型のダモクレスであった。
 蜘蛛型のダモクレスは、玩具の銃に入り込み、機械的なヒールで家電製品っぽいダモクレスに変化させた。
「バキューン、バキューン、バン・バン・バン!」
 次の瞬間、ダモクレスが奇妙な鳴き声を響かせ、廃墟と化したビルの壁を突き破り、グラビティ・チェインを奪うため、街に繰り出すのであった。

●セリカからの依頼
「四季城・司(怜悧なる微笑み・e85764)が危惧していた通り、都内某所にある廃墟と化したビルでダモクレスの発生が確認されました。幸いにも、まだ被害は出ていませんが、このまま放っておけば、多くの人々が虐殺され、グラビティ・チェインを奪われてしまう事でしょう。そうなってしまう前に、何としてもダモクレスを撃破してください」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ダモクレスが現れたのは、廃墟と化したビル。
 この場所に捨てられていた玩具の銃がダモクレスと化してしまったようである。
「ダモクレスと化したのは、パラボラアンテナです。このままダモクレスが暴れ出すような事があれば、被害は甚大。罪のない人々の命が奪われ、沢山のグラビティ・チェインが奪われる事になるでしょう」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
 資料にはダモクレスのイメージイラストと、出現場所に印がつけられた地図も添付されていた。
 ダモクレスは巨大な蜘蛛のような姿をしており、グラビティ・チェインを求めて攻撃を仕掛けてくるようだ。
「とにかく、罪もない人々を虐殺するデウスエクスは、許せません。何か被害が出てしまう前にダモクレスを倒してください」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ダモクレス退治を依頼するのであった。


参加者
ルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)
ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)
香月・渚(群青聖女・e35380)
笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)
兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)
四季城・司(怜悧なる微笑み・e85764)
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)
霧矢・朱音(医療機兵・e86105)

■リプレイ

●都内某所
「まさか僕が危惧していたダモクレスが本当に現れるとはね」
 四季城・司(怜悧なる微笑み・e85764)は仲間達と共に、ダモクレスが確認されたビルにやってきた。
 ビルは廃墟と化してからしばらく経っているため、あちこちが老朽化しており、今にも崩れ落ちてきそうな感じであった。
「また、おもちゃのダモクレスが悪さしてるのか。おもちゃもこやつらにかかれば立派な凶器じゃな」
 ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)が、何処か遠くを見つめた。
 おそらく、玩具自体に悪意はない。
 しかし、ダモクレスと化した以上、このまま放っておく訳にもいかなかった。
「でも、リボルバー銃はかっこいいから、私も憧れちゃうなー」
 笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)が、残念そうに肩を落とした。
 だが、誰かの命を奪うのであれば、話は別。
 例え、どんなに格好良かったとしても、見過ごす訳にはいかないだろう。
「……リボルバーかぁ。とってもカッコいいよね、ボクも好きだったよ」
 香月・渚(群青聖女・e35380)が、少し寂しそうな表情を浮かべた。
 それが人の命を脅かす存在になってしまったのだから、気持ちは複雑のようである。
「確かにおもちゃの拳銃は子供たちに人気でもありますよね。しかし、ダモクレス化して本当に火を放つ様になるなら、危険ですので放ってはおけません……!」
 ルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)が、警戒した様子で廃墟と化したビルに足を踏み入れようとした。
「リ・ボ・ル・バァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
 次の瞬間、ダモクレスが廃墟と化したビルの壁を突き破り、ケルベロス達の前に降り立った。
 ダモクレスは殺気立った様子で、耳障りな機械音を響かせ、ケルベロス達を威嚇した。
「これが私にとっての初めての依頼ね。ちょっと緊張するけど……頑張るわ!」
 霧矢・朱音(医療機兵・e86105)が、自分自身に気合を入れた。
「バキューン、バキューン! バッキュウウウウウウウウウウウウウウン!」
 その事に気づいたダモクレスが、ケルベロス達にビームを放ってきた。
「ええ、皆の為にも必ず勝利を勝ち取って見せましょう」
 兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)がビームを避けるようにして、ダモクレスと間合いをとった。
「あんたが暴れていられるのも、今のうちだけ! あたし達はあんたを倒しにきたケルベロス……夕陽の8人っ、マグニフィセントエイトよー!」
 そう言って佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)が仲間達と一緒にポーズを決め、ダモクレスの前に陣取るのであった。

●ダモクレス
「バキュ・バキュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!」
 だが、ダモクレスの勢いは止まらない。
 興奮した様子で咆哮を響かせ、再びケルベロス達を狙って、ビームを放ってきた。
「……幻影よ、みんなを護る力となって下さい!」
 すぐさま、ルピナスが分身の術を発動させ、チラつく分身の幻影を身に纏った。
「あなたに誰も殺させたりしないわ」
 それに合わせて、朱音がビームを避けるようにして、その場から飛び退いた。
 間一髪でダモクレスのビームを避けたものの、先程まで朱音がいた場所の地面が削れ、幾つもの配管が剥き出しになっていた。
「一見、安全そうな家電も奴らにかかれば危険なものに変わって困るのじゃ。とりあえず、これ以上悪さが出来ないようにするため、ここで大人しくさせるしかないのう」
 その隙をつくようにして、ミミがダモクレスに破鎧衝を炸裂させ、高速演算で構造的弱点を見抜き、痛烈な一撃で破壊した。
「リ、リ、リィィィィィィィィィィィィィ!」
 その一撃を喰らったダモクレスがバランスを崩し、大量の破片を撒き散らしながら、ケルベロス達に向かってきた。
「さぁ、行くよドラちゃん。サポートは任せたからね!」
 その間に、渚がボクスドラゴンのドラちゃんに声をかけ、次々とダモクレスに攻撃を仕掛けていった。
「バ、バ、バキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!」
 だが、ダモクレスが全く怯んでおらず、再びケルベロス達を狙って、強力なビームを放ってきた。
「こっちの火力の方が、絶対に上だと思うよー! 嘘だと思うんだったら、喰らってみる?」
 それと同時に、氷花がグラインドファイアを仕掛け、ローラーダッシュの摩擦を利用し、炎を纏った激しい蹴りでダモクレスの装甲を剥いだ。
「いくら強力なビームであっても、当たらなければ意味がありませんね!」
 それに合わせて、紅葉が仲間達と連携を取って、ダモクレスを囲むようにしながら、大器晩成撃を炸裂させた。
「リボ、リボ、リ・ボ・ル・バァァァァァァァァァァァァァァ!」
 即座にダモクレスがリボルバー型のアームを伸ばし、ケルベロス達めがけて銃弾をぶっ放した。
「螺旋の力を、甘く見ない方が良いよ」
 それを迎え撃つようにして、司が螺旋氷縛波を仕掛け、氷結の螺旋を放って、ダモクレスのアームを凍りつかせた。
「これで逃げる事が出来ないわね。遠慮なく喰らいなさい!」
 次の瞬間、レイがスターゲイザーを放ち、ダモクレスのアームをへし折った。
「リボ、リボ、リ・ボ・ボォォォォォォォォォォォォォォォ!」
 しかし、ダモクレスはまったく気にせず、再びリボルバー型のアームを伸ばし、ケルベロス達めがけてぶっ放した。
「そのアーム……邪魔ね!」
 朱音がイラついた様子でプラズムキャノンを放ち、圧縮したエクトプラズムで大きな霊弾を作って、ダモクレスのアームを吹っ飛ばした。
「……今のうちに治療をしてしまいましょう」
 ルピナスが間合いを取りつつ、仲間達の様子を窺った。
 仲間達はダモクレスの流れ弾を喰らって、ダメージの程度は違うが、みんな傷ついているようだった。
「それじゃ、回復しておくね」
 渚が躍動の歌(ヤクドウノウタ)を発動させ、生き生きとした元気な歌を歌い出した。
 それに合わせて、ドラちゃんも一緒になって、それっぽく楽しそうに歌い出した。
「……と言うか、あのビル……今にも崩れそうに見えるのじゃが……。戦いが終わるまで、崩れないかのう。万が一、崩れた場合は笑えないのじゃが……。念のため、覚悟しておいた方が良さそうじゃのう」
 そんな中、ミミが複雑な気持ちになりつつ、乾いた笑いを響かせた。
 本音を言えば、ここでヒールを使って、廃墟と化したビルを修復したいところだが、ダモクレスが絶えず襲い掛かってくるため、そこまでの余裕はなかった。
 そのため、テレビウムの菜の花姫が困った様子で、ミミのまわりをオロオロとしていた。
「リボ、リボ、リボボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」
 それと同時に、ダモクレスが興奮した様子で、リボルバー型のミサイルを発射した。
 それは雨の如く降り注ぎ、アスファルトの地面に落下して、次々と爆発していった。
「随分と面白い攻撃をしてくるね。でも、駄目だよ、当たらなきゃ。そうじゃなきゃ、僕達を傷つける事なんて出来ないから……」
 司がミサイルの軌道を読みつつ、ダモクレスを誘うようにして、軽々と舞うようにミサイルを避けた。
 それがダモクレスには信じられなかったのか、司の後を追うようにして、ミサイルが爆発を起こしていた。
「それなら、いまのうちに……って、相変わらず重いわね。これって、こんなに重いモノなの!? みんな軽々と持ち上げている気がするんだけど……。何かおかしいわよね、これ! 絶対に、おかしい……!」
 そんな中、レイがルーンアックスを振り上げようとしたものの、予想以上に重かったため、戦闘どころではなくなった。
「だったら、任せて! さぁ、これに耐えきれるかな?」
 その間に、渚がドラちゃんと連携を取りつつ、ダモクレスにグラインドファイアを放った。
 続いてドラちゃんがボクスブレスを放ち、ダモクレスの逃げ道を塞いだ。
「雪さえも退く凍気を、食らえー!」
 それに合わせて、氷花がイガルカストライクを仕掛け、杭(パイル)に『雪さえも退く凍気』を纏わせ、ダモクレスのボディを凍りつかせた。
「大丈夫ですか、すぐに治しますので!」
 その隙をつくようにして、ルピナスがフローレスフラワーズを発動させ、戦場を美しく舞い踊り、仲間達を癒やす花びらのオーラを降らせていった。
「華麗なる薔薇の舞を受けてみなよ」
 次の瞬間、司が薔薇の剣戟を発動させ、幻の薔薇が舞う華麗な剣戟で、ダモクレスを幻惑した。
「一体、何処を見ているの」
 それに合わせて、朱音がチェーンソー斬りを仕掛け、チェーンソー剣の刃でダモクレスを斬り裂いた。
「これで、灰にしてあげますよ!」
 それと入れ替わるようにして、紅葉がグラインドファイアを仕掛け、ダモクレスのボディを炎に包んだ。
「リボルバァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
 それでも、ダモクレスが捨て身の覚悟で、ケルベロス達に突っ込んできた。
「コ、コアじゃ! コアを狙うのじゃ! いくぞ、菜の花姫。わらわと一緒に時間を稼ぐのじゃ」
 ミミが菜の花姫に声を掛け、ダモクレスに攻撃を仕掛けていった。
 その指示に従って、菜の花姫がテレビフラッシュを仕掛け、ダモクレスを牽制した。
「……と言うか、まっすぐこっちに来ているんだけど! と、とにかく何かしておかないと……。いくわよートルネード投法!!」
 それと同時にレイがスーパー神風デリンジャーアタック!(イザノトキノゴシンジュツ)を仕掛け、空高く舞い上がり、懐から取り出したデリンジャーをぶん投げ、ダモクレスのコアを破壊した。
「リ、リボォォォォォォォ」
 その一撃を喰らったダモクレスが断末魔にも似た機械音を響かせ、崩れ落ちるようにして機能を停止させた。
「ふう、終わったかな? みんな無事だった?」
 氷花がダモクレスの沈黙を確認した後、仲間達の無事を確認した。
 仲間達は多少なりとも怪我をしているようだが、大怪我をしている者はいなかった。
「皆さん、お疲れ様でした」
 そう言って紅葉がヒールで崩れそうになっていたビルを修復した後、ホッとした様子で溜息を洩らすのだった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。