決戦! 螺旋業竜~赤の女王

作者:森高兼

 『地球』が見える。
 途轍もなく巨大なドラゴンの『螺旋業竜スパイラス』は地球を目指し、上位の竜達と共に宇宙を進んできた。彼の竜は『竜業合体』で数多の同胞を犠牲に誕生した巨竜だ。
 やがて地球の衛星軌道上に入ると、スパイラスが最終目標として落下軌道を『日本』へと定める。
 かつて『スパイラル・ウォー』にて、慈愛龍が率いるドラゴン軍団は『惑星スパイラス』に隔離された。そこで少数の上位竜以外が星の全てを喰らい、精鋭に星を渡らせるために繰り返し竜業合体を行って生み出されたのがスパイラス。
 移動特化で戦う力こそ無いが、スパイラスが日本に落下すれば多大なる被害を免れないだろう。
 ケルベロスの出現以降に初めて襲う地球の人々を大虐殺することにより、上位竜達はグラビティ・チェインの枯渇と過酷な大移動で弱まった力を回復できる。
 上位竜の1体たる『カーディナル・クイーン』が、金色の瞳に地球を焼きつけた。その眼には炎のような赤き体色と同様に激しく燃える感情が宿っている。
 カーディナル・クイーンは名が表す『赤の女王』の由来である体色を進化で一度たりとも変えてこなかった。本来の名は忘れて久しい。星渡りで弱体化しながらも飽くなき『進化』の執念が彼女を奮い立たせている。
 進化を渇望して進化を貪欲に追い求め続ける……それがカーディナル・クイーンなのだ。
 カーディナル・クイーンの眼光が地球に接近するにつれてさらに、さらに鋭さを増していく。
 進化の糧に満ちていそうな地球に思いを馳せ、カーディナル・クイーンは一層荒ぶる心を抑えられなくなるのだった。

 サーシャ・ライロット(黒魔のヘリオライダー・en0141)が大事に際して集ったケルベロス達に微笑みかけてくる。
「先の戦い、本当にお疲れ様だ。第二王女ハールを撃破したおかげでエインヘリアルと攻性植物による同時侵攻の危機は回避できた。それは僥倖だろう」
 次が本題らしく、サーシャの表情は硬くなった。
「大阪の地下探索では……ある情報が得られた」
 それは『竜業合体』という荒業について。
「現在、地球にはドラゴンの軍勢が本星と惑星スパイラスから迫っていることを予知している。最初にやってくるのは惑星スパイラスの軍勢だぞ」
 惑星スパイラスにおける竜業合体は、サリナ・ドロップストーン(絶対零度の常夏娘・e85791)が危惧していた。それが現実のものとなったのだ。
 天文台に協力を要請したのは黎泉寺・紫織(ウェアライダーの・e27269)とエマ・ブラン(白銀のヴァルキュリア・e40314)で予知に必要な情報を得ている。
 予知は死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)が注意喚起しておいたNASAに解析されており、事の詳細は確認できた。
 サーシャは少し難しい顔をしながら、ふと資料に目を落とした。
「奴らも随分と無茶はしたらしいな」
 慈愛龍が率いていたドラゴンは竜業合体で殆ど失い、上位竜もグラビティ・チェインの枯渇で力を損なっている。
「だが螺旋業竜スパイラスが日本に落とされてしまえば、大規模な犠牲者が出る。そして、奴らは元々の力を取り戻すだろう」
 すなわち、圧倒的な力によって迎える地球の終焉。
 考え込むように数秒目を閉じたサーシャが、今度は皆を見据えてくる。
「勝機は今しか無い。衛星軌道上の出現ポイントは割り出してある。ケルベロス全体の目標は『螺旋業竜スパイラス』の撃破だ。そのために、君達はまず『カーディナル・クイーン』というドラゴンを討ってくれ」
 戦地が宇宙であっても、ケルベロス達が戦うのに支障は無い。戦いの舞台には宇宙装備のヘリオンで向かう。
 螺旋業竜スパイラスに至るまでに皆の障害となるのはカーディナル・クイーンのみ!
 サーシャはカーディナル・クイーンの情報が纏められている資料を置いた。
「カーディナル・クイーンの行動については単純明快だ。攻撃を当てた上で傷も癒す」
 全部の攻撃に回復の副次効果が備わっている。強者が使えば効果的な範囲攻撃が1つであるのは幸いと言うべきか。
「まぁ、『進化』という属性があるかはともかく。常に進化を狙っているような攻撃の数々だな。長期戦が可能であればいくらでも対処のしようはあるが。今回はそういうわけにもいかない。『12分』以内にスパイラスの攻撃に移ってくれ」
 もしも皆が間に合わず、それが他のチームと合わせて『5』チームになってしまうとスパイラスを完全に撃破できない。それは地球への衝突を意味する。
 ケルベロス達に絶対負けられない戦いがあるのはいつものことだ。
 説明は済んだようで、サーシャが今一度1人1人に目を合わせてくる。
「攻撃と回復を同時にしてくる相手、今回の状況では厄介な相手に思うだろう。それでも、私は君達の勝利を信じているぞ」
 最後は皆に凛とした笑みを浮かべてきた。


参加者
ティアン・バ(冥穹・e00040)
メイア・ヤレアッハ(空色・e00218)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
フィー・フリューア(歩く救急箱・e05301)
レスター・ヴェルナッザ(凪ぐ銀濤・e11206)
ルベウス・アルマンド(紅い宝石の魔術師・e27820)
奈梨木・綾(大槌の鬼・e60889)

■リプレイ

●鮮烈の赤
 眼下に見える地球の命運をかけた決戦の時まで……間もなく。
 足場は無い宇宙にて皆と隊列を組み、ティアン・バ(冥穹・e00040)が敵を牽制する陣の真ん中で思考を巡らせる。
(「進化の属性、赤い体……まさかな」)
 カーディナル・クイーンに訊きたい事はあるものの、無駄骨に終わりそうで問うつもりはない。
 レスター・ヴェルナッザ(凪ぐ銀濤・e11206)は憎き竜種族との対峙を前に、右腕の銀に輝く獄炎を盛らせながらも逸る心を抑えていた。最も心を許すティアンや仲間達を絶対に守るためだ。
 付け根から半分くらいターコイズブルーの髪色と同様で後は白い天使の翼を持つメイア・ヤレアッハ(空色・e00218)が、翼を休めて無重力に身を任せる。
(「平和になったらまた来たいなぁ」)
 もふもふのボクスドラゴン『コハブ』は仲間を援護するメイアの側を離れていた。可愛い妹みたいな彼女のお願いで仲間を守る前線にいる。
 敵軍の接近に伴い、シルフィリアス・セレナーデ(紫の王・e00583)が護衛に備えてライトニングロッド『カラミティプリンセス』を振るった。光の奔流に包まれてひらひらドレスの魔法少女へと変身するとお決まりのポーズ。
(「魔法少女ウィスタリア☆シルフィ参上っす」)
 フィー・フリューア(歩く救急箱・e05301)は仲間に治療を施す隊列の後方でカーディナル・クイーンを見上げた。
(「随分と遠いとこ御苦労様だけど。決して到着出来ないくらい派手派手にお出迎えに来てあげたよ、おあいにくさま」)
 ケルベロスという獲物に歓喜し……カーディナル・クイーンが大口を開けてくる。やはり猛攻タイプらしい。牙を振り下ろしてきて戦いの火蓋が切られる。
 シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)は攻撃を避けると敵の背中を蹴った。敵が弱っているのは確か。だが皆とて相応に強くなってきているはずだろう。
 戦いの流れをつかむべく、ティアンが攻めるシルを中心にケルベロスチェイン『舫』を展開した。
(「油断はできない」)
 虚空に描かれた魔法陣がレスター達に寄り添うように加護を与える。
 ドレスの裾を翻したシルフィリアスは、カラミティプリンセスをシルに向けた。先端の宝石から戦闘能力を向上させる電気ショックを飛ばす。
(「あちし達がそう簡単に通しはしないっすよ」)
 奈梨木・綾(大槌の鬼・e60889)がシルフィリアスに続こうと、肩を並べて戦うルベウス・アルマンド(紅い宝石の魔術師・e27820)に先んじて行動に出る。
(「まずはお前の動きを……封じさせてもらうぞ!」)
 七色に輝くハート型のドラゴニックハンマー『マジカル・レインボーハート』を砲撃形態に変形させて狙いを定めた。竜砲弾の衝撃でカーディナル・クイーンの動きを鈍らせる。
 メイアは後衛陣に黒き鎖で守りの力を付与した。
 疲弊しているカーディナル・クイーンを無表情で見据え、小さな体のルベウスがバスターライフルを構える。
(「貴女の赤が、私の故郷を侵すことはない……ここで消えてもらうわ」)
 タイミングを見極めて凍結光線を発射し、それを浴びた敵の左腕より熱を奪った。
 後衛陣に羽毛を撒いてくるカーディナル・クイーン。シルフィリアスのおかげでルベウスには被弾しなかった。
 レスターがオウガ粒子、ティアンが光の『蝶』でシルの集中力を高めておく。
 綾の飛び蹴りを経て、カーディナル・クイーンは再び牙でシルに襲いかかってきた。
 多量の血がシルの双眸に映る。加護も得た壊撃に強い防具をねじ伏せる最大級の威力で攻撃をくらってしまったのだ。
(「わたし達の下には地球が……」)
 袈裟懸けに抉られた体の激痛に歯を食いしばって耐えた。
(「あの子と一緒に過ごして、未来を紡いでいく場所が……」)
 悲しくても忘れられないある者との記憶だって刻まれている。
(「大切な……幻なんかじゃないんだよっ! あんなもの落とさせてたまるかっ!」)
 シルは愛用のエアシューズ『白銀戦靴』で風のように宇宙を駆け、肉迫したカーディナル・クイーンの牙に電光石火の蹴りを見舞った。
 フィーには城ヶ島でドラゴンに殺された仲間達がいる。それ以降……ドラゴン戦は積極的に参戦してきた魔医であり、誰よりも早くシルの怪我の処置に回った。
(「翠は安寧を齎す色……何にせよ安全第一、ってね?」)
 謎の薬瓶から翡翠色に光る液体を撒き、シルの足元に盾を思わせる魔法陣を薄らと浮かび上がらせる。重ね掛けされている治癒術の効果で、傷の見た目は綺麗にした。
 もう仲間を失わないため、フィーが黄緑の瞳でレスターにアイコンタクトする。
 過去に目の前で妻と娘を失うという悲劇に遭っているレスターは、獄炎の燃える勢いを強めた。戦闘で傷つくことは当然とはいえども、小柄なシルの怪我は見るに堪えなかったのだ。そんな彼女に獄炎の一部を託し、回復のついでに防具を修復しておく。
(「戦れるだろう、まだ」)
 シルの武具は獄炎によって一時的に破壊力を増した。

●女王は星海に嗤う
 メイアは前衛陣を手厚く守護しようと黒き鎖を伸ばした。
 しかし、カーディナル・クイーンが陣を回り込もうとしてくる。
(「標的を変えてきたか」)
 レスターは竜を憎む『ドラゴニアン』だ。仲間のために竜翼を力強く羽ばたかせて宇宙を泳ぎ、カーディナル・クイーンに捕まりかけたフィーを庇った。
 マインドリングから光の剣を具現化すると、シルがフィーの始末を優先したカーディナル・クイーンの腹を斬りつける。
(「わたしはまだまだ元気よっ!」)
(「焦っているの、かしら」)
 赤い天使の翼を持つルベウスは、カーディナル・クイーンの死角より接敵した。煌めきと重力を宿した飛び蹴りを炸裂させて即座に後退する。
 カーディナル・クイーンが硬質化する赤い羽毛を振り撒いてきた。コハブが守った綾以外の後衛陣を切り刻んで生命力を回収していく。
(「驚異的な攻撃力だな」)
 闘気で如意棒をヌンチャク型に変化させ、レスターはカーディナル・クイーンの牙にヒビを入れてやった。
 カーディナル・クイーンが執拗にフィーを襲撃してくる。
 光る後ろ足に撫でられ、眩暈を覚えるフィー。ティアンが彼女に光の『蝶』を送る。
(「僕がピンチになってきたねぇ」)
 フィーは榛の枝を銀と柘榴石で飾ったライトニングロッド『cardium』を自身に向けた。生命を賦活する電気ショックで力が溢れ出す。
 敵にはシルフィリアスの雷が迸り、綾が敵を蹴って距離をとった。
 カーディナル・クイーンの羽毛が乱舞し……コハブがフィーの正面に飛行して代わりにくらう。体を張った瞬間はメイアも目撃していた。
(「コハブ、頑張ってるね」)
(「わたしも頑張らないとっ」)
 シルは少し短いゾディアックソード『風精の涙』を掲げた。レスターの獄炎が淡い碧色の刀身を照らす。カーディナル・クイーンとの間合いを詰め、腹部の傷に影のごとき斬撃を繰り出した。
 著しく体力を消耗しているフィーに、レスターが獄炎を届ける。
 髪にグラビティを発動し、シルフィリアスは髪の束の先端に牙を生やす口を出現させた。
(「行くっすよー」)
 カーディナル・クイーンの動きを阻害する髪の束は伸縮自在だ。さらにカラミティプリンセスから光と共にエネルギーの塊を放射する。
 カーディナル・クイーンは直接レスターに牙を剥いてきた。今すぐにシルやフィーを戦線離脱させることは諦めたらしい。単体攻撃は守護者でも……3度くらえば危険だろうか。
 フィーが守りを固める治療術でレスターに応急処置する。
 エアシューズのローラーに摩擦熱を発生させるため、綾はカーディナル・クイーンの体の上を走った。
(「私たちは退く訳にはいかない!」)
 火花を散らせて足に炎を纏うと、敵の右腕を蹴って火を灯す。
 カーディナル・クイーンが顔色の悪いレスターを後ろ足でつかんできた。彼の生命力を貪って無造作にぶん投げる。
 遠退いていくレスターの意識。
 その時、2つの手に背を押されたような気がして目を見開いた。竜翼で体勢を直して戦場に舞い戻る。魂を奮い立たせてくれたのは亡き家族だったのだろうか。
(「赤が燃え尽きる様はさぞ綺麗だろう……お前の死をこの目に焼き付けるまで倒れてなどやらん」)
 それが本当は難しいことを承知の上だが、凄まじい気迫でカーディナル・クイーンと睨み合う。
(「狗の貪欲さを知らんのか? 進化の糧になるのはお前だ」)
 以後の戦局がどちらに傾くにせよ、敵に貴重な一手を棒に振らせたのは最高の成果だった。
 シルがバトルオーラ『黄龍の心魂』の力を拳に集めていく。
(「みんな、大丈夫かな?」)
 レスターの危機は激戦になっている証拠だ。己の状態も危うくて各所で戦う仲間の無事を祈りながら、音速を超える速さでカーディナル・クイーンの鼻先に殴りかかる。
 ティアンは経過時間を確認してみた。
(「……9分」)
 終盤戦ではフィーを除く全員が攻撃に転じる。カーディナル・クイーンの攻撃力は不安要素で、『舫』を用いて掻き斬るように牙のヒビを範囲拡大させた。

●破滅のカウントダウン
 シルフィリアスが髪の束を操って敵を翻弄する。
(「そろそろ10分になっちゃう……」)
 ケルベロスチェインから精製した時空凍結弾で、メイアはカーディナル・クイーンに射撃した。
 綾の飛び蹴りが決まった直後、10分に設定しておいたアラームが光る。
 無難に全体攻撃を選択したカーディナル・クイーンが、レスターを戦闘不能させてきた。コハブが彼を戦場外に流す。
 シルは両手をカーディナル・クイーンに突き出した。
(「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」)
 増幅魔法で巨大な魔力砲が完成して敵の腹部に命中する。
(「この魔法でずっと駆け抜けてきたんだ」)
 追撃に際して砲撃の反動に対応するため、背中に1対の青白い魔力翼が展開された。
(「これが、わたしの限界突破の一撃……全部持ってけーっ!!」)
 威力を増加させた魔力砲は敵の腹部を削り取る。敵に対して意趣返しの一撃になった。
 バスターライフルの砲口に時空凍結弾を装填させ、ルベウスもカーディナル・クイーンを砲撃する。
(「まだ消えないの、ね。早く消えてほしいわ」)
 魔術の酷使が精神に影響するせいで、心の声でも言葉に淀みがなくなりかけていた。
 シルフィリアスがカラミティプリンセスを華麗に回してポーズを決め、先端の宝石より宇宙に雷を轟かせてカーディナル・クイーンを痺れさせる。
(「がんがんいくっすー」)
 あくまでもノリだ。それでも本人に意図はなくたって仲間の緊張を解したかもしれない。
 せめて重傷を避けられるように、フィーはシルを治療した。
 マジカル・レインボーハートにドラゴニック・パワーを噴出させ、綾が加速したハンマーを振り回してカーディナル・クイーンの頭を横から叩く。
(「ガンガン行くぞ!」)
 2度目のアラームが11分を報せた。
 ついにカーディナル・クイーンの牙でシルが倒れる。
 ルベウスが魔力を込めた宝石を取り出した。それは触媒だ。
(「轍のように芽出生せ……彼者誰の黄金、誰彼の紅……長じて年輪を嵩塗るもの……転じて光陰を蝕むるもの……櫟の許に刺し貫け」)
 詠唱によって光と金属の中間である存在の魔法生物が作り出された。赤い瞳がカーディナル・クイーンを捉え、物理法則を無視の速度で敵にダメージを残して光の粒子となる。
 綾が蒼いオーラで球を作り、球体を打つ体勢になった。
(「遠く彼方まで、この打球を受けてみる事だな」)
 マジカル・レインボーハートを渾身の力で振り切り、シルの魔力砲で開けられたカーディナル・クイーンの傷口にクリーンヒットさせる。
 そして、12分……最終警告の光が点灯した。

●降るは竜か、星か
 カーディナル・クイーンがフィーを屠ろうと強襲してくる。
(「させないっすよ」)
 バックステップができるようにカーディナル・クイーンに立ちふさがり、シルフィリアスは吸われる生命力を加護で最小限に止めた。
 ティアンがカーディナル・クイーンと視線を交える。相手の特徴はどうしても頭に浮かぶボクスドラゴンと似ていた。
(「……似ているだけの別のドラゴンなら、重ねるのはどちらにとっても失礼だろう」)
 先程使われた綾のグラビティを幻影にて再現する。ダメージ自体は彼女の力量に依存だ。
(「夢のつづきを。いつまでも。いつまでも」)
 仕留め切ることはできず、友人達に攻撃を繋ぐ。
 真空の宇宙で凍える歌を謳いながら、メイアが掌に集めた冷気を小瓶の硝子のように成形した。それらを凝縮した魔弾を指先に宿し、カーディナル・クイーンを指し示す。
(「ねぇ、撃ち抜かせてくれるよね?」)
 射出された魔弾がほうき星を連想させる尾を引いて真っ直ぐと進んだ。敵に当たると弾けて光が散らばっていく。
 肘から先をドリルのように回転させたフィーは、託されていたレスターの獄炎で回転の出力を上げた。
(「君の力も借りるよ」)
 よく目立っている腹の傷にドリルを穿つ。それはカーディナル・クイーンの致命傷になった。
 ティアンがカーディナル・クイーンの最期を静かに見届ける。
 死すらも何か意味があると思い込んでいるのか、カーディナル・クイーンは不気味に笑ったまま宇宙の闇に消え去った。
 作戦の最後はスパイラスの撃墜だ。
(「総攻撃開始っすー」)
 髪の束に現れた口をスパイラスに差し向けたシルフィリアスが、カラミティプリンセスよりエネルギーの塊を放射する。
(「お前も受けてみな」)
 綾はマジカル・レインボーハートを強振してスパイラスに蒼いオーラの球を打ち込んだ。
(「コハブ、お願いね」)
 スパイラスに時空凍結弾を撃ったメイアの後に、コハブが思い切りブレスを吐く。
 フィーはバトルオーラ『にじいろこんぺいとう』からオーラの弾丸を生み出し、虹色の星が弾ける弾丸をスパイラスに喰らいつかせた。
 丁度いいサイズのデブリを見かけ、ティアンが攻撃用の礫としてスパイラスに当てる。
 ルベウスは宝石を触媒に創造した凶暴な魔法生物をスパイラスに解き放った。
 スパイラスの各所で一斉攻撃が行われ、多数の爆発が起こる。それによって半分が消滅すると、もう半分も爆発で分離して小型の破片になった。
(「壊さなくていいのかしら」)
 心の声で完全に言葉の淀みが無くなっているルベウス。じきに戻るだろう。
 皆の破壊担当分は粉砕できているようで、破片が流星群として大気圏に落ちていく。
 ヘリオンは安全確認を済ませるとやってきた。目覚めていた2人が皆を出迎え、作戦の完全成功を喜び合う。
 さぁ、全員揃って凱旋だ。ケルベロスの活躍で星を降らせた地球へ。

作者:森高兼 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月4日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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