決戦! 螺旋業竜~天使にヘイト・ソングを……

作者:土師三良

●魔竜のビジョン
 ドラゴンが青い星を見下ろしていた。
 複数の頭にあるすべての目で。
 大きなドラゴンだった。
 とても大きなドラゴンだった。
 あまりにも大きすぎて、ドラゴンだと認識するのが難しいほどだ。
 だが、それは間違いなくドラゴンだった。
 そして、周囲に浮かぶ三十ほどの小さな影もすべてドラゴンだった(もちろん、この場合の『小さな』というのは件の巨大ドラゴンと比較した場合の話である)。
「おお!」
 影の一つが声を発した。
 細長い体に何対もの翼を有した、赤黒いドラゴン。どの翼も飛膜が破れ、ひどい有様になっている。
 翼の共通点は他にもあった。上部の鉤爪に、ミイラ化したドラゴンの首が突き刺さっているのだ。ハンティング・トロフィーの類なのか、あるいは同胞たちを弔っているのか、あるいはただの装飾に過ぎないのか。
「美しい……実に美しい……」
 巨大なドラゴンと同様、その赤黒いドラゴンも青い星に顔を向けていた。顔に目らしきものは見当たらないが、視覚はあるらしい。
「美しき星の民よ。この『失楽園の熾天使』を恨むがいい。憎むがいい。哀れむことも許そう。貴様たちにはその権利がある。もっとも――」
『失楽園の熾天使』なるドラゴンは穴だらけの翼を激しくはためかせた。
「――権利を行使する間もなく、塵と化してしまうだろうがな」

●音々子かく語りき
「要塞ヤルンヴィルドの戦いに大阪城地下の探索、どちらも大変だったでしょうね。本当にお疲れさまです。第二王女ハールの死によって、エインヘリアと攻性植物の同時侵攻はきっと回避できたはずですよー」
 ヘリポートの一角に並ぶケルベロスたちをヘリオイライダーの根占・音々子が労っていた。
 だが、彼女がケルベロスたちを招集したのは労うためだけではない。
「大阪城地下を探索していた方々が得た情報によりますと、ドラゴン勢の本星にいる連中が竜業合体を以て地球に向かっているそうです。それだけでも大変なことですが、動いているのは本星のドラゴンだけじゃないんですよー。惑星スパイラスで置いてけぼりをくらってた慈愛龍たちもとんでもないことをしでかしたんです」
 その『とんでもないこと』を以前から危惧していたのはサリナ・ドロップストーン(絶対零度の常夏娘・e85791)。
 そして、黎泉寺・紫織(ウェアライダーの・e27269)、エマ・ブラン(白銀のヴァルキュリア・e40314)、死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)などが協力を要請していた各地の天文台やNASAの活動によって、サリナの危惧が現実になったことが確認された。
「なんとですね、慈愛龍たちはよりにもよってスパイラスそのものと竜業合体しやがったんですよー! おまけに地球への移動もほとんど終えていて、もうすぐ衛星軌道に到達するんです!」
 慈愛龍は強力な軍団を率いていたが、その大半はスパイラスとの竜業合体で失われている。残された少数のドラゴンは竜業合体せずにスパイラスに追随してきたが、地球までの過酷な航行によってグラビティ・チェインが枯渇し、戦闘能力が大きく損なわれているらしい。
 しかし、だからといって、安心はできない。
「竜業合体した惑星スパイラス――螺旋業竜スパイラスを慈愛龍は質量兵器として使用するつもりです。衛星軌道上から日本に落下させて、『ドッカーン!』と一度に数千万人の命を奪い、それによって得た膨大なグラビティで力を取り戻そうって魂胆なんですよ。慈愛龍とは名ばかりのえげつないやり口ですよねー」
 幸いなことに慈愛龍たちが出現する衛星軌道上のポイントは既に割り出している。
 もちろん、そこに赴くための『足』もある。
 月の戦いでも活躍した宇宙仕様ヘリオンだ。
「というわけで! 宇宙仕様ヘリオン『ヴァスティ号』改め『スペース大ヴァスティ号』で皆さんを衛星軌道上までお送りします! そこで螺旋業竜スパイラスを迎撃してください!」
 螺旋業竜スパイラスは戦闘力を有していない。
 しかし、破壊するのは容易なことではないだろう。
 スパイラスと竜業合体しなかったドラゴンたちに守られているからだ。
「スパイラスを護衛するドラゴンは慈愛龍を含めての三十体ほど。一体に一チームをあてる形で迎撃します。皆さんのチームの標的は『失楽園の熾天使』と名乗るドラゴンです。これがまた凶悪な見た目の奴でしてー。翼が破れまくったりしてるんですけど、それは地球に来るまでの間にボロボロになったわけじゃなくて、最初からそんな感じだったみたいですね」
 前述したように、生き残ったドラゴンたちは弱体化している。『楽園の熾天使』もまた例外ではない。しかし、戦意までは失われていないはずだ。彼らや彼女らにとって、この戦いの勝利で得られるものは大きく、ここに至るまでに失ったものもまた大きいのだから。
 もっとも、それはケルベロスにとっても同じことだ。
「では、行きましょう!」
 説明を終えると、音々子を空を指さした。
「宇宙に! 地球を救うためにー!」


参加者
青葉・幽(ロットアウト・e00321)
大弓・言葉(花冠に棘・e00431)
百丸・千助(刃己合研・e05330)
水瀬・和奏(フルアーマーキャバルリー・e34101)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)
水瀬・翼(地球人の鎧装騎兵・e83841)

■リプレイ

●百丸・千助(刃己合研・e05330)
 デカぁぁぁーいっ!
 ……と、声を張り上げたいところだけど、どうせ誰にも聞こえやしない。
 ここは宇宙だからな。
 で、なにがデカいのかっていうと、こっちに迫ってくる惑星兼ドラゴンだ。
 その名も螺旋業竜スパイラス。
 あまりにもデカすぎるもんだから、視界に収まらないし、その後ろにあるだろう綺麗な光景――星々が瞬く宇宙も見えやしねえ(『真空だから、星は瞬かないよ』とかいう野暮なツッコミには耳を貸さねえぞ)。
 ジョーシキテキに考えたら、これほど大きな代物が衛星軌道まで接近してる時点で地球はメチャクチャになってるはずだけども、よく判らないなんやかやのおかげで今のところは被害はゼロ。とはいえ、ぶつかっちまったら、もうお終いだ。
 終わらせたりしねえけどな。
『遠路はるばる、ご苦労様だ。その執念には敬意を表するぜ。でも、おまえたちの思い通りにさせるわけにはいかねえんだ!』
 聞こえないことは承知の上で俺は叫んだ。スパイラスの周囲を舞っているいくつもの光点のうちの一つに。
 いや、光点に見えたのはさっきまでの話。今は、姿がはっきりと判る距離まで近付いてやがる。
 赤黒い体から何本ものボロボロの翼を生やした、ゾンビじみたドラゴンだ。
 俺はまた叫んだ。
 そいつの名を。
 それに俺自身の名も。
『いくぜ、失楽園の熾天使! 百丸流が百丸・千助、推して参る!』

●青葉・幽(ロットアウト・e00321)
『いや、私こそ推して参ろう』
 突然、頭の中で声が響いた。
 たぶん、それは熾天使の声。自分の思念を相手の心に届けることができるみたい。千助がなにか叫んだようだから(当然、アタシには聞こえなっかったけど)、それに答えたのかもね。
『敵意に満ちた歓迎に感謝する。敵意には敵意を以て応じよう』
 とかなんとか抜かす熾天使に二人のケルベロスが飛び込んだ。一人は、千助と同じく人派ドラゴニアンのカーラ。もう一人はオラトリオの言葉。
『長旅、お疲れ様なのー』
 あ? 言葉のアニメ声が聞こえてきた。熾天使が中継してるのかな? テレパシーのラジオ局ってところね。
『でも、残念ながら、ここが終着地! 地獄まで引きずりおろしてあげるの!』
 勇ましい(けど、やっぱりアニメ声の)叫びをあげて、言葉は敵にパイルバンカーを食らわせた。
『地獄に落ちることはない。私のいる場所は常に地獄なのだから』
『そういう中二病な台詞には中二病な台詞を返してやんよ。おまえはまだ――』
 余裕を見せる熾天使にカーラが斬りつけた。チェーンソー剣のように変形したガジェットで。
『――本当の地獄を知らねえ!』
 ガジェットの刃が走った後から赤黒い血が吹き出し、凍り付いて無数の結晶に変わった……と、思ったら、それらはすぐに溶け消えた。
 白い靄を浴びて。

●カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)
 白い靄の正体は、熾天使が吐いたブレス。
 俺はそれに巻き込まれそうになったが、無傷で済んだ。モフモフな尻尾を生やしたアカギツネの人型ウェアライダーの兄ちゃんが庇ってくれたからだ。
『それ、イケてるぜ』
 俺の相棒たるガジェットを褒めながら、その兄ちゃん――自称『怪盗ステラ』は戦術超鋼拳を敵に叩き込んだ。
 同時に銀狼の人型ウェアライダーも銃で攻撃。
『止まれ! いや、止めてみせる!』
 元・警官のリューディガーだ。
 泥棒の狐とお巡りの狼に続いて攻撃を仕掛けたのは和奏。どでかいアームドフォートを装着した鎧装騎兵だ。そのアームドフォートから分離したいくつかの砲台みたいな機械が熾天使を取り囲み、次々と砲弾をブチこんでいく。
 砲弾以外の物も飛び始めた。後衛の翼が解き放ったヒールドローンの群れ。ちなみに翼の顔は和奏にそっくり。なにせ、双子の弟だからな。
『あまり無茶するなよ、和奏』
『翼こそ、前に出すぎないで』
 と、姉弟がやりとりをしている間に幽が熾天使に突っ込んだ。
『そっちが推して参るっていうなら、こっちは押し出してやるっての!』
 アームドフォートだけじゃなくて、バスターライフルにつけたスラスターを活用して姿勢を制御し、何度も方向を変え、熾天使を叩いては離れ、また接近して叩き……と、一撃離脱を繰り返す幽。
『誓ったからね! アイツに!』
 アイツ? 誰のことだ?

●リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)
 見覚えのあるサーコート(『アイツ』の遺品を仕立て直した物だろう)を翻して、幽がまた熾天使の懐から離脱した。一連のヒット・アンド・アウェイはそれにて終了のようだが、敵への攻撃が止んだわけではない。
 幽と入れ替わりに千助が肉迫したのだから。
 俺は大運動会でおなじみのジェットパックを背負っているのだが、千助はその種の道具を装備していない。霊力のようなものを噴出して移動しているらしい。
『おらぁ!』
 熾天使の鼻先に千助のスターゲイザー(今回のように戦場が宇宙の場合、なんとも皮肉な名前に思えるな)が命中した。
 しかし、熾天使も負けてはいない。ひしゃげた鼻を突き出して、千助の足に食らいついた。
 いや、食らいつこうとした。
 顎門に挟まれたのは千助ではなく、ミミックのガジガジ。咄嗟に主人を守ったのだろう。
 勇敢なるミミックは熾天使に噛みつかれた状態のまま、その名に相応しいガブリングで反撃した。
『むぅ!?』
 上顎に牙を突き立てられ、思わず口を開けてガジガジを離す熾天使。
 その隙を衝き、和奏が惨殺ナイフで斬りつける。
『あんな物を地球に落とすなんて……ただの虐殺じゃないですか』
 熾天使の体に傷が生じ、すぐに凍りついた。和奏の用いた技は達人の一撃だったらしい。
『絶対、そんなことはさせません』

●水瀬・翼(地球人の鎧装騎兵・e83841)
『いや、『ただの虐殺』ではない。意義のある虐殺なのだ』
 熾天使は平然と言ってのけた。
『おまえらの意義なんか知ったことかよ』
 と、言い返したのはステラさん。
『どんなことをしてでも、そんな『意義』とやらはへし折ってやるぜ。地球には――』
 ステラさんは敵の側面に回り込み、獣撃拳を打ち込んだ。
『――大切な友達がいるんだからな』
『右に同じ』
 フェアリーレイピアを手にしたリューディガーさんが反対側から破鎧衝を見舞った。
『同じじゃないでしょー。リューディガーさんの大切な存在というのは友達じゃなくて奥さんのことなんだから。アツいね、ひゅーひゅー』
 言葉さんがリューディガーさんを茶化してる。簒奪者の鎌で熾天使を斬り裂きながら。
 まあ、俺も『右に同じ』なんだよな。
 大切な人がいる。
 守りたい人がいる。
『絶対、守ってみせる』
 自分自身に発破をかけて、俺はフローレスフラワーズを舞った。前衛の何人かに残ってるブレスの後遺症を消し去るために。
 無重力の状態で踊るのは難しかったが、効果はあったらしく、花片のオーラが四方八方から(普通なら上からだけだろうけど、宇宙空間では上下もなにもないからな)降り注いできた。
 その実体なき花吹雪の向こうで和奏がこちらをちらりと見た。心配げな眼差し。
 でも、心配しているのは俺も同じだっての。
 そもそも、どうして俺がケルベロスになったと思う?
 おまえを守るためだぞ。

●ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
 戦闘開始から八分経過。仲間はまだ一人も倒れていないが、熾天使もまだ健在。ゾンビみたいな外見のくせして、なかなか頑強な奴だ。
『ガジェット、万能。ガジェット、万歳。宇宙での戦闘もなんのその!』
 ガジェット賛歌とでも呼ぶべきものを口にしながら、カーラが熾天使に猛攻を加えている。いや、猛々々々攻って感じかな?
 ガジェットへの愛には共感するけども、自分の負傷にまったく頓着しない前のめりな戦い振りは見てて冷や冷やするぜ。まあ、そうやって無茶ができるのも、治療役や盾役を信頼しているからこそなんだろうけど。
 その信頼に応えてみせる! ……なんてことを思ってるのかどうかは判らないが、我が相棒のノッチが皆の間を縫うようにして飛び回り、清浄の翼で傷を癒していく。それにしても、黒いウイングキャットが宇宙ではばたく様というのは、なかなか絵になるな。うん。
 じゃあ、俺も信頼に応え、なおかつ絵になる光景ってのを展開しようか。
『受け取れーい!』
 華麗なフォームでルナティックヒールを全力投球。
『受け取ったぜ!』
 光球を背中に浴びた千助が斬霊刀を振るい、熾天使の傷口を斬り広げた。
 その傷口めがけて、ボクスドラゴンのぶーちゃんがミサイルさながらに突っ込んでいく。
 これまた絵になる光景だ。なにやらキラキラしたものがぶーちゃんの体から舞い散って、軌跡を描いているんだから。

●大弓・言葉(花冠に棘・e00431)
 超がつくほどビビり屋のぶーちゃんがボクスタックルで果敢に攻め立ててるのー。
 知らないうちに成長したのね……なんて、思わずほろりとしちゃったけど、当のぶーちゃんはほろりというレベルを通り越して、ガン泣きしてるし。果敢に攻めているのは事実だけど、ビビり癖が完全に治ったわけじゃないみたい。
 なんで泣いてるのが判ったのかというと、ぶーちゃんの顔の辺りからキラキラしたものが散っているから。あれって、結晶化した涙だよね。そういえば、聞いたことがある。『宇宙ホタル』という綺麗な現象があるらしいけど、その正体は宇宙飛行士のおしっ……げふんげふん!
『どうした? この程度か?』
 あー、熾天使がまたなにか言ってるー。『この程度』なんてほざいてるけど、私たちの攻撃(もちろん、ぶーちゃんのボクスタックルも含むからね)はけっこう効いてるように見えるわよ。
『アンタこそ、その程度なの?』
 と、幽ちゃんが挑発に応じた。ブースターを思い切り噴かし、熾天使の横を駆け抜けざまにアームドフォートの突起でズバっと破鎧衝!
 でも、熾天使は痛みを感じていないのか――、
『ふはははははは!』
 ――不適な笑い声をわざわざテレパシーで伝えてきた。
『いいぞ。もっと、恨め。もっと、憎め。怒りをぶつけろ。竜を討つに相応しい者になるがいい。かつての私がそうであったように!』
 わけの判らないことを言ってんじゃないわよ。
 べつにキミのことは憎んでも恨んでもないっての。
 でも、倒ぉーす!
 地球のためにね!

●水瀬・和奏(フルアーマーキャバルリー・e34101)
 この戦いにはタイムリミットがあります。
 残された時間はわずか二分ほど。
 しかし、二分で充分です。
 熾天使に残された命もあとわずかでしょうから。
『俺たちの『この程度』を思い知ったか!?』
 カーラさんがチェーンソー剣型ガジェットで熾天使の表皮を斬り刻んでいます。ガジェットから伸びるロープやアンカーに拘束されているため、熾天使は逃げることができません。
 そのような状況ではカーラさんもまた逃られませんが、きっと逃げるつもりなどないのでしょう。熾天使の何対もの翼に刺さっていた武器――ドラゴンの干し首めいたものが解き放たれ、そのうち一つが襲いかかってきたにもかかわらず、敵を斬り続けています。
 なんにせよ、干し首がカーラさんを傷つけることはありませんでした。
『おっと! 私のぱっちりお目々が黒いうちは通さないわよ!』
 言葉さんが自分の身を盾にして、行く手を塞いだからです。
 それを見届けた後、私は振り返りました。
 新たに視界に入ったのは翼。
『……』
 翼は無言で頷きました。
 私も無言で頷き返し、正面に向き直りました。
 そして、グラビティ『流星の嵐(メテオストーム)』を再び発動させました。

●再び、翼
 アームドフォートから分離した浮遊砲台が熾天使を包囲した。和奏が最初に熾天使を攻撃した時と同じような光景だが、今度の浮遊砲台の数は二倍。
 なぜなら、俺も『流星の嵐』を発動させたからだ。
 覚悟しろ、熾天使!

●再び、カーラ
 熾天使に絡みつけていた縄やアンカーを切り離し、腹を力いっぱい蹴りつけ、その反動で離脱。
 次の瞬間、双子の弟妹の放った何十発もの砲弾が熾天使に次々と命中した。
『『定命者の仲間に入れてください』とも言えねえような奴らに――』
 余った縄の切れ端で腕の一部を縛りながら(そうしないと千切れちまいそうなほどダメージを受けてんだ)、俺は叫んだ。
『――くれてやるもんは一個もねえんだよぉぉぉーっ!』

●再び、ステラ
 そうだ。くれてやるもんか。
 怪盗の俺から、大切なものを……友達を盗み出そうなんて……。
『そんなこと、できるわけないだろう! させるわけないだろう!』
 砲弾の雨が止むと同時に俺は蹴りを見舞った。スターゲイザーじゃなくて、『Burlone meteora(悪戯な流れ星)』だ。
 その名のとおり、地上からは流星に見えるかもな。

●再び、千助
 霊力を解放し、即座に圧縮。そいつを愛刀『葦切』に纏わせ、刃にした。長くて広くて薄い光の刃だ。
『最初に『敬意を表する』と言ったけど――』
 熾天使のドテっ腹を蹴り抜いたステラの軌跡をなぞるようにして、俺は突き進んだ。
『――あれは嘘じゃないぜ』

●再び、リューディガー
 とてつもなく大きな光の刀身が文字通り一閃し、熾天使は胴斬りにされた。
 しかし、まだ息耐えていない。首のある側が激しく動いてる。
『たいした生命力だな。だが、仕留めてみせる!』
 タイムリミットのある戦いは今回が初めてじゃない。かつて、熊本城でも似たような状況で戦った。
 あの時は熊本城の破壊を許してしまったが……敗北を繰り返してなるものか。
『命に代えても!』

●再び、幽
『もっかい言わせてもらうけどね! アタシは誓ったのよ!』
 推進剤が切れた増槽を切り離し、それを蹴りつけて熾天使に突進。
 リューディガーの残像剣を食らった熾天使(の上半身)に破鎧衝の追撃をお見舞いしてやった。
『地球に住む定命者たちを守る、と!』
 そう、誓ったのよ。
 アイツに……。
 レリのバカに……。

●再び、言葉
『ががががが……』
 熾天使のテレパシーが言葉(私のことじゃないわよ)になってない。中二病っぽい台詞で強がる余裕はもう残ってないみたい。所詮はエセ天使ね。ふふーん。
 三対の翼と燃える腕(主成分:地獄)を持つこの私を差し置いて熾天使と名乗るなんて――、
『――一億年はやーい!』

●再び、和奏
 言葉さんのデッドエンドインパクトが炸裂し、熾天使は宇宙の塵に変わりました。
 一分を残して戦闘は終了。
 ただし、これは前半戦に過ぎません。
 翼がこちらを見て、ハンドサインを送ってきました。中継役の熾天使が死んだので、もう声は聞こえませんが、なにを伝えたいのか判っています。私だけでなく、他の人たちも。
 私はハンドサインを返し、進み始めました。
 後半戦の敵に向かって。
 巨大なる螺旋業竜スパイラスに向かって。

作者:土師三良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月4日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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