え? パンの香りで白飯いけないんですか?

作者:星垣えん

●五感で味わう
 嗅いでいるだけで、腹が空いてくる。
 閑静な住宅地の一角。奥まった場所にひっそりと佇む家屋には、焼きたてのパンの香りが満ち満ちていた。
「さあ、たくさん焼いてきたぞー☆」
 大きなトレーを持って現れる鳥の人。持参したのは無論パンである。
 そして食卓に座して待っていたのは、言わずもがな鳥さんの熱烈な信者である。
 テーブルに並べられてゆくパンの鮮やかな焼き色、芳醇な香りに彼らは喉を鳴らした。
「美味そ……」
「あーカツサンドあるー」
「これなんかチーズが絡まって見るからに強い……!」
「ふふ、いいでしょ。焼きたての香りは暴力だよね」
 今にもパンに手を伸ばしそうな信者たちを見て、自慢げに笑う鳥さん。
 ――ここまで見るとパン大好き芸人の方々なのかな、と思ってしまうことだろう。
 だがそうでないということは視覚的に明らかだった。
 鳥さん及び信者たちの手には、ほかほか炊き立ての白米があったからである!
「それじゃあみんな! いただきまーす!」
『いただきまーす!!!』
 元気よく挨拶する鳥たちは、すんすんと鼻を鳴らしてパンの香りを堪能。
 そして鼻腔に残る余韻を味わいながら、白飯をかっこんだ。
「いやーご飯がすすむなぁ!」
「パンの香りと一緒に味わう米は最高ですね!」
「でしょ? やっぱり俺の見立てに狂いはなかったんだよ!」
 賛辞を浴びせてくる信者たちに、鳥さんが胸を張る。
「パンも美味しい。お米も美味しい。ならばパンの香りでお米を食えば最強に美味しい……そんな当たり前のことにどうして今まで気づかなかったんだろーね!」
「やーまったくですな!」
「最強! まさに最強タッグですよパンと米は!」
 うっはっは、と大笑いが食卓を包みこむ。
 テーブルに置いたパンを嗅覚で楽しみながら、男たちががっがっと白飯を口にぶちこんでいるさまは、そりゃもう目も当てられない光景でしたよ。

●回収作戦ですね
「パンで米を食うのカ……やるナ!」
「感心するところではないと思うのですが……」
 ガタッ、と机の席を立ったアリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)に、予知情報を読み上げたイマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)が静かにツッコむ。
 どうしてヘリポートに机を置いているのか。
 そこらへんの疑問はとりあえず放って、猟犬たちはイマジネイターからもたらされた説明を整理した。
 焼きたてパンの匂いで白飯3杯いける鳥が自宅に信者を集めている。
 なんかもう絵面とか怖いので普通に片付けてきてほしい。
 まとめるとそんな感じだった。
「ビルシャナの言い分は『お米に最高に合うのはパン』というものです。この教義に染まった信者たちを改心させるには、ほかにお米に合うものを薦めてあげるのが一番かと思います」
「こっちのほうガ美味いゾ! って言っテやればいいんだナ!」
「はい。皆さんが熱くプレゼンすることができれば彼らも目を覚ますはずです」
「お米のおかず選手権……いけネー。お腹が空いてくル!」
 じゅるり、と口元を拭うアリャリァリャ。
 ついでに、彼女は気になっていることをイマジネイターに訊いてみた。
「鳥さん家には焼きたてのパンがタクサンあるみてーダガ……それはウチらで貰ってっていーのカ?」
「好きにしてもらって構いません。香りに違わず美味しいパンのようですから、皆さんで美味しく食べてくださいね」
 ふふ、と微笑むイマジネイター。
 アリャリァリャは、そんな彼女の腕をがしっと掴んだ。
「そうと聞いちゃのんびりシテられネー。出発進行するゾ!」
「え、あ、ちょっと、アリャリァリャ……?」
 ぐいぐいぐい、とヘリオンへ連行されるイマジネイター。
 かくして、猟犬たちは焼きたての美味しいパンを貰いに行くのだった。


参加者
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)
武蔵野・大和(大魔神・e50884)
遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)

■リプレイ

●はらぺこ道中記
 鳥さんのおうちを目指して歩く猟犬一同。
 昼下がりの住宅街をスキップするエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)は、360度どこから見ても上機嫌だった。
「パン食べる~♪ お米も食べる~♪」
「エヴァリーナちゃん、すごく嬉しそうねー」
「もっちろん! 家だとお米は1日8キロ、パンは50斤までって言われてるけど、鳥さんちなら問題ないからね。たくさん食べるんだ~」
 あらあらと微笑む心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)に振り返ったエヴァリーナが、また鼻歌まじりのスキップを始める。
 他方、武蔵野・大和(大魔神・e50884)の表情は珍しく厳しかった。
「パンをおかずにご飯を食べるなんて、パン屋としては許せないです!」
「まあねー。ご飯は何でも合うけど流石にパンと合わせるのは無いわー。パンはパンで食べたいもの」
「そうですよね!」
「え、ええ……」
 同感して軽く頷いた遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)に、凄むかの如く顔を近づける大和。篠葉をたじろがせていることに気づく様子もない男はパンにかけてはガチである。
「ご飯のおかずがパンですか……ダメですね」
「ご飯のおかずがパンなんて……ダメなのです」
 ふぅ、と冷笑するかのように肩を竦めるのはシフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)と八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)だ。
 まるで示し合わせたようなシンクロを見せた2人は、言った。
「ご飯に合うのは野菜ですよ。野菜を食べましょう」
「ご飯にはお肉なのです! ごはんもパンもおいしいのですが、あこはおにく派なのです!! お肉のついでに炭水化物をとるのです!!」
「言ってることが正反対ですわ!?」
 前を歩いていたルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)が思わず振り向く。
 シンクロしてるのは外側だけだった。
 2人並んで歩いていられるのがただの奇跡だった。
「野菜派とお肉派ガ……ッテことハ美味い野菜と美味いお肉があルってコトだ。こいつハ厳しイ戦いになりそーダナ……」
「アリャリァリャ様?」
 なんか独り神妙な顔してるアリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)を、ちらと見るルーシィド。
 アリャリァリャはなぜか、特大のライスボールを持っていた。
「それはいったい……?」
「現場はトンデモねーハラペコ空間になルはずダ。そしタらウチは説得に使ウ食材を食べチマウかもしれネー。だかラとりあエズご飯もってキタ」
「な、なるほど……!」
 得心がいったルーシィドが、ぽんと手を叩く。
 この説明で納得してもらえるって、大丈夫なんだろうか。

●これが推し
「かぐわしきパンの香りぃ……」
「米にマッチしますなぁ」
 籠いっぱいのパンを見つめて、男たちが米を喰らっている。
 そんな恐ろしいリビングを見せられて、ママみの強い括が黙っていられるわけもなく。
「みんな大丈夫? 栄養バランスとか考えてるー?」
「バランス? 何を馬鹿なことを。というかどなた?」
「あのね……」
 嘴に米粒くっつけた鳥をさらりとスルーして、信者たちへ顔を向ける括。
「鰻屋さんや焼き鳥屋さんの店の前で匂いをかいで白ご飯……みたいな貧乏話は聞いた事があるけど、別にそういう訳でもないのよね? ならパンの匂いを嗅ぐだけで満足しちゃうなんてもったいないわ!」
 そう言って、ぱたぱたキッチンへ向かう括。
 戻ってきた彼女が持っていたのは小ぶりな鉄鍋だった。中にはエビやホタテやキノコたっぷり入っていて、煮えた油でくつくつ揺れている。
「これは……アヒージョ?」
「そうよー。お酒のおつまみにも良いのだけど、パンとの組み合わせも最高なのよー? パンに具をのせて食べたりも出来るし、交互に食べても良いわね! それに何と言っても残ったオリーブオイルをパンにしみ込ませて食べるのがホント美味しいのよ!」
「そ、そいつぁ……!」
 アヒージョの匂いに、つい身を乗り出す信者たち。
「もちろん、美味しいのはアヒージョだけではありませんよ」
 括の言う食べ方を想像して胃袋を疼かせる彼らに、大和もまた近づいた。
 その手に持つものは――海苔の佃煮(瓶詰め)である。
「それはご飯に合うやつ……!」
「そうです。熱いご飯にはもちろん、冷たいお茶漬けもおすすめです。だけど、こちらもアヒージョと同じくパンとの相性がいいんです。それを今から証明します!」
 やたら意気込んだ大和が、籠の中から食パンをピックアップ。
 そこに佃煮をバターナイフで薄く塗り、長ネギとピザ用チーズをふりかける。それをトースターで焼いてくれば香ばしい佃煮チーズトーストの完成である。
「ほうほう。こんなアレンジレシピが……」
「これだけではありません! こっちは佃煮のバタートースト! もうひとつ佃煮アボカドトーストもあります!」
 いつの間にやら調理していたっぽい佃煮トーストを出す大和。
 薄くひろがる佃煮の上に溶けるバターは香り高く、アボカドトーストのほうは佃煮に混ぜてあるワサビがぴりっとアクセントになっている。
「どうですか、これが海苔の佃煮の可能性です!」
「んー意外な美味さ……」
「海苔の佃煮……あるのか?」
「い、いやいや待――」
 信者の心の揺らぎを察した鳥が立ち上がりかける。
 ――が、それをあこが食卓に乗っけた大皿が阻む!
「あこの一押しは! 汁だくの牛皿なのです!!」
「牛皿……!?」
「だ……だっくだくやないか!」
 ガタッ、と席から立つ信者たち。
 食卓に姿を見せた山盛りの牛皿は、底に汁の池ができるほどにだっくだく。箸でつまめば長くカットされた柔らか牛肉が伸びあがってきて、信者たちは白飯の上に乗っけたい欲求に駆られる。
「あ、あかんでこれは……!」
「このたっぷりの汁感と絡むお肉! そして醤油酒みりんを合わせた和食の塩辛さでごはんの甘みを存分に活かしてゆくスタイルなのです! もうおかわりするしかないのです!」
「くっ、やめろぉぉ!」
「オプションでお味噌汁とお新香をおつけすることで最強クラスの和食コンボをキメてゆくのです!」
「う、うああああ!!」
 畳みかけるあこに屈した信者が、茶碗に牛肉を乗せてしまう。
 だがしかし、そこで黙っていられないシフカ。
「待ってください。お米に合うものはお肉や油物ばかりではありません。野菜だって調理しだいではお米に合うのですよ」
「野菜が米に……!?」(信者)
「合うのです……!?」(あこ)
「お米に合うのですよ」
 2回繰り返したシフカが、持参した数々の野菜料理を並べる。
 具体的に言うと、あこの牛皿を外側にのかすようにして並べる。
「大学芋のような甘い野菜料理、キムチのような辛い野菜料理……野菜と肉と組み合わせて野菜炒めやロールキャベツなんかにするのも良いでしょう。お肉や油物や炭水化物だけでは健康に悪いです。いま挙げた4種の他にも、幾つかつまめる野菜料理を用意していますので是非食べてください」
「キムチ以下はワンチャンあるとして大学芋が合うとは思えないんですけど……」
「え? 大学芋で白飯いけないんですか?」
「いけるんですか!?」
 眼をぱちくりさせやがるシフカにビビるしかねえ信者たち。
 と、そこであこが牛皿を食卓の中央に押し戻す。
「野菜よりお肉なのです! お肉でごはんを食べるのです!」
「何言ってるんですか、あこさん。野菜のほうが美味しいに決まってます」
「いいえ! お肉がいちばんなのです!」
 わーわー、と互いの主張を譲らない2人。
 やがて2人は言い合いに疲れてぜぇぜぇすると、ぐるっと信者たちへ眼を向けた。
「野菜です……野菜を食べるのです……」
「お肉です……お肉を食べるのです……」
「ひ、ひいいっ!?」
 シフカとあこに迫られた信者が、圧に震える。
 いちおう言っとくとね、軍配はあこちゃんに上がったそうです。

●これぞ推し
 室内にじうじうと、肉の焼ける匂いが漂う。
「お肉をジューッてする音と立ち上る香り……! これだけでご飯いけちゃうよね……」
 エヴァリーナが食卓にホットプレートを置いて、独り焼肉を決行していた。
 タレをつけた肉を茶碗の白飯に乗っけるエヴァリーナ。その1杯を1秒でシュッと食うと、常識外れの大食い女は最速でおかわりをキメる。
 ――というのを信者たちは見せられていた。
「人んちでどうして焼き肉ができるんや……」
「焼き肉はパンにも合うんだよね。トマトとチーズとレタスも挟んで……うん、おいしー」
「こいつホットサンドメーカーまで!!」
 焼き肉サンドをエヴァリーナがはむっと頬張る。
 これ以上ないほどに傍若無人である。
 しかしね、これが彼女だけでないのが猟犬の恐ろしいところなんだ。
「ジュワァーっと揚がる音! 黄金色に輝く衣! ご飯もパンもすすむゥ!」
 アリャリァリャも、卓上フライヤーで串揚げ祭りをぶっ放していた。
 揚げたての牛カツ串をぱくっと口に入れて、悪食大食少女は聞こえよがしに喜ぶ。
「イイ感じレアな赤身の牛カツがタマラネー! こっちのエビナスビはトロトロ茄子とプリプリ海老が眩しい……繊維の奥からジュワっと溢れ出す油と和な香りがタマラネー畳ー!」
「なんて美味そうに食いやがるんだ……!」
「あぁ、畳は意味がわからんが!」
 ごくっ、と止まらぬ唾液を飲み込む信者たち。
 アリャリァリャは、豚やホタテの串カツを切ってみせた。
「衣はパン粉ダカラ、キサマラの教義的にもセーフダゾォ……揚げタテの断面モ見せてやル……ホォラ……」
「や、やめろォォ!!」
「あ、私のカレーに串カツ分けてもらっていい? 揚げ物とカレーがあればご飯何キロでもいけちゃうっ!」
「いいゾ! ウチにもカレーくれ!」
「おめーら普通に食事してんじゃねえええ!!!」
 ナチュラルにシェアしはじめたアリャリァリャとエヴァリーナに、鳥さんがキレる。
 だが。
「人の家で非常識でしょうが! よそでやりなさいよお願いだから!」
「じゃあご飯ください!」(エヴァ何とかさん)
「どうして!?」
「アスファルトの串揚げも美味イ……」(アリャ何とかさん)
「食べ物じゃない!?」
 無駄だった。聞く耳なさすぎる2人にどうしようもねえ鳥だった。
 その隙に、篠葉は信者たちの前に1杯の茶碗を持ってゆく。
 こんもり盛られた白飯の頂点に乗っているのは、つやつやなタラコ!
「タレコって、ご飯のお供は勿論パンもパスタもいける万能選手よね。ホカホカの白いご飯にぷりぷりのタラコを乗せれば、うーん最っ高! いくらでも食べれちゃうわ」
「こ、こいつこれ見よがしに頬張りやがるぜ……!」
 米とタラコを食べて頬を押さえる篠葉を見て、信者の腹が鳴る。
 しかも篠葉の攻め方はそれだけではなかった。
「せっかくパンもあるし、タラコとバターでタラコフランス的にして食べちゃおうかしら……あーこれも美味しい!」
「パ……パンにまで!」
「バターたっぷり塗りやがってぇ……!」
「ついでにとんかつも揚げたから卵でとじてカツ丼にしちゃったわ」
「どこからとんかつが!?」
 急に出てきたほっかほかのカツ丼に驚愕する信者たち。
 前触れなく披露したそれを、篠葉は一切の迷いなく口に運んだ。
「ん~! JK的に可愛さポイントが低めなのはアレだけど、その分胃袋にはダイレクトに訴えかけるパワーがあるわよね」
「腹が、腹が空きやがる……!」
「ここにきて定番のカツ丼とは……!」
「ホォラ、ソース串カツ丼なラあるゾォ……」
「ひいいっ! また串カツの人が!?」
 横からぬるっと、串カツ丼を提供してくるアリャリァリャに震える信者たち。だが目線はカツ丼や串カツ丼から離れない。
 これは頃合い。
 ルーシィドは満を持して、ずっと肩にかけていたクーラーボックスを下ろした。
 中から出てきたのは――鮭の刺身。凍った鮭の刺身である。
「これこそがお米を光り輝く神の領域へと押し上げる最高のおかず……わたくし一押しの、鮭のルイベ漬け、ですわ!」
「ルイベ漬け……!?」
 耳慣れない単語に驚く信者たち。ちなみに『ル』は溶ける、『イベ』は食べ物を意味するのだが、そんなことよりルーシィドさんがすごいドヤ顔なんです。
「北海道でとれたぷりぷりの生鮭を、お刺身用に凍らせて、同じくぷちぷちのイクラとともに特製の醤油ダレで和えた、旨味のハーモニー! お米とともに食べることで、名前のままにお口の中で舌がとろけて、2つの味がもたらす幸福の階段をどこまでも登ってしまうでしょう!」
 激推しすぎて怒涛の勢いで喋ってしまうルーシィドさん。
 何を隠そう、彼女はルイベ漬けを知ってから定期的にネット注文してしまうほどドハマリしているのである。全幅の信頼なのである。
「少し冷めたご飯に乗っけるのが良いと思いますわ。もしくは冷え切ったご飯でお茶漬けにしてもいいかと!」
「これは明らかに美味い……箸が勝手に伸びてしまう……!」
「お茶漬け……食べたい!」
 輝かしいルーシィドのルイベ漬けに囚われる信者とエヴァリーナ。
 こぞってそれを米に乗っける彼らの眼に、もはや鳥さんのパンなど映ることはなかった。

●団欒
「ルイベ漬けのお茶漬け、美味しー」
「括のアヒージョも美味イな! 鳥のパンとすゲー合う!」
「あらあら、ありがとうねー。ご飯のおかわり欲しかったら言うのよー?」
「「おかわり!」」
 食卓に陣取って料理という料理を吸ってるエヴァリーナ&アリャリァリャに、括がお母さんよろしく白米をよそっている。
 鳥さんを秒で殺った一同は、当たり前のよーに鳥さんちのテーブルを囲んでいました。
 もちろん、鳥さんのパンも遠慮なく食っている。
「……美味しいじゃないですか。お店に出しても普通に通用しますよ、これ!」
「焼きたての香りがいいわねー。もっちりして美味しいー」
「レタスやチーズを用意してきましたので、サンドイッチにしてみましょうか」
 鳥パンを味わった大和がその出来に瞠目する横で、篠葉がジャムとバターをたっぷり塗ったトーストを齧り、ルーシィドがいそいそと食材や道具を並べる。
 そして、あこもベル(ウイングキャット)とともに忙しく、パンを持参した袋に詰め詰めしていた。
「ベル、余ってるパンをしっかり回収するのです! 明日の朝ごはんなのです!」
「……」
 せっせと回収するあこを、若干冷めた眼で見守るベル。そんなに慌てなくても、とあこのムーヴに呆れているのだろう。
「パンですか。私も少しぐらい持って帰りましょうかね」
 持参した野菜スティックをぱきっと齧り、白飯盛った茶碗を持つシフカ。
 箸をさっと差し入れた彼女は、ほかほかの米を頬張った。
「やはり野菜とお米は合いますね。あ、心意さんにおかわりお願いします」
「…………」
 茶碗を差し出してきたシフカを、ソウ(括のウイングキャット)がジト目で見つめる。
 いやあ、生野菜で白飯はレベル高いっすよ。

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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