落花

作者:崎田航輝

 街路の花壇も並木も、花を散らせてゆく春の終わり。
 風に舞う花びらは儚くも鮮やかで、景色を美しい色合いに彩ってゆくようだった。
 けれど人々は、そこへの憂いも感嘆も浮かべない。呆然と見上げる表情にあるのは驚きと、訪れるであろう死への絶望。
 ビルが崩れ、轟音が響く──その只中にひとつの巨影が立っていた。
 それは長々と道に影を伸ばす、鋼の人型。両腕に長大な銃器を着けた姿で、逃げ惑う人々をぐるりと見回している。
『足掻こうとも、変わらない。限りある命は、最後には全て消えゆく』
 今まさに散って死にゆく、この花々のように、と。
 巨大な銃身を構えたその人型は弾丸を乱射して。数多の命を貫き、亡骸と瓦礫を積み上げていった。
 劈く悲鳴も、鋼の表情を変化させることはない。
 静寂が訪れるほどに、慈悲のない殺戮を続けたその巨影は──いつしか現れた魔空回廊へと、静かに消えていった。

「ダモクレスの出現が予知されました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「現れるのは巨大ロボ型の個体。大戦末期に封印されたもので、仲間のダモクレスによって復活させられるようです」
 魔空回廊を通じて、その仲間達に回収される予定なのだろう。
 放置すれば街は破壊され、死者が多数出てしまう。だけでなく、ダモクレス勢力の戦力増強にも繋がってしまうことになるだろう。
「それを防ぐために、撃破をお願いします」
 出現場所は市街地の中心。
 敵は出現から7分後に魔空回廊によって撤退する。こうなると追うのは困難になるため、撃破はその時間までに行う必要があると言った。
「人々の避難は事前に行われますので……皆さんは戦闘に集中して頂ければと思います」
 敵は全長七メートルの巨体を持っている。
 機動力も相応にあるので、こちらも高層の建物などを利用して戦うと良いかも知れません、と言った。
「尚、敵は戦闘中、一度だけフルパワーの攻撃を行ってくるようです」
 敵自身も反動で傷を負うようだが、その分威力は高いだろう。
「銃器を利用した広範囲の攻撃と推測されます。警戒を欠かさないようにしてくださいね」
 皆さんならば勝利できるはずですから、とイマジネイターは声音に力を込める。
「健闘を、お祈りしていますね」


参加者
ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)
呉羽・律(凱歌継承者・e00780)
キルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)
瀬部・燐太郎(殺神グルメ・e23218)
月岡・ユア(皓月・e33389)
ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)
山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)

■リプレイ

●花翳り
 晩春を香らす花吹雪が、風を鮮やかに彩る昼下がり。
 街に見えるのは美しい景色──だがその色彩に昏き影をかける巨体が、街に地鳴りを響かせていた。
 地を踏みしめて顕れたそれは、金属の躰を鈍く光らせる人型──ダモクレス。銃身をゆらりと持ち上げて、今まさに破壊をせんとする、が。
「さて、今日は粗大ごみの日だっけかな……」
 ビル上、巨影を見下ろす位置から呟く影が一人。
 地獄と混沌揺らめく両腕を伸ばす、瀬部・燐太郎(殺神グルメ・e23218)。
 文字通りに“処分”を始めようとするように。『例のあのひん曲げるやつ』──瞬間、手を握るとぐにゃりと空間を歪曲させていた。
 同時に力の流れを逸らすバリアを逆向きに形成、捻る力場で装甲を軋ませながら巨体を閉じ込めていく。
 ダモクレスは、突如の強襲に反応が遅れた。
 一瞬後には顔を此方に向かせるが、その頃には後方より迫る姿が在る。
 建物上より靭やかに跳びながら、オウガメタルのノクを腕輪状態から流動させている呉羽・律(凱歌継承者・e00780)。
 その流体を鞭のように撓らせ、巨体に自らを引き寄せながら──。
「さぁ、戦劇を始めようか!」
「──ああ」
 応えて逆側のビルから跳躍するのがジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)。
 真っ直ぐに漆黒の戦斧を掲げると──遅れて此方の存在を察知した巨体へ、赫く赤の瞳で至近から見据えて。
「我が嘴を以て……貴様を破断する!」
 宣戦の言葉と同時、膂力も重量も速度も全てを威力に転化するように。強烈な斬打を叩き込み傷を刻んでいた。
 その残響も消えぬ内、律が追撃。流星が昇るかの如き蹴撃で微かに傾がせる。
 ここまで僅か一瞬。
 ダモクレスは踏み留まりながら、視線を巡らせて。
『──定命の存在……』
 声を零し、ようやく自身を包囲する番犬が居ることに気づいていた。
「巨大ロボ、か」
 と、ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)は冷気を連ねて氷の鎖を生成しながら、改めてその巨影を眺めている。
「これって所謂『男のロマン』……ってやつ、かな?」
「……ロマン……、ああ」
 仄かな声に、同意の色の浮かべるのは月岡・ユア(皓月・e33389)。
「ロマンっていう人を僕は1人知ってるよ……」
 脳裏には、この戦場にはいない人を思い浮かべて。
 その人であれば、きっと楽しい顔をするのだろうと想像しながら──ユア自身は黒翼で鋭く風を掃いて翔んでいた。
 ラグエルも既に燦めく魔法円を描き、仲間へ護りの加護を付与している。
「とりあえず今は……撤退される前にきっちり倒さなきゃね」
「そうだね。しっかり倒してあげようか──ユエ」
 ユアが呼びかけると、双子妹のビハインドがそっと唄を響かせて。機械の心を囚えると、そこへユアが連撃、翻って月を描く蹴りを打った。
 後退しながらも、巨影は銃口を向ける。
『短き命が、抗うか。花と同じく、散って終わるというのに』
「──花が散るのは、花びらの役目が終わっただけじゃん」
 と、響く淀みない声音は、山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)のもの。怯むでもなく、視線と声を返しながら。
「そこから実がなって種ができるんだから、命の始まりなんだよ。ま、定命ならではの命のリレーって感じだよね」
「そう。花は散っても、また来年に咲く事が出来る」
 カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)もまた頷いて。けれど、と穏やかな深紫の瞳に淀まぬ意志を込めた。
「人の命は失ったら戻らないんだ。だから此処で人を死なせる訳にはいかないよ」
 刹那、差し向けた杖より明滅させた破魔の御業を仲間の躰へと宿していく。
「さぁ、援護するから攻撃は任せたよ」
「──了解」
 応え、灰の髪を風に靡かせるのはキルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)。巨影の頭部を見据える位置から、槌砲を構えていた。
 ダモクレスはそれに気づき踏み寄ろうとする。
『……、無為さを解さぬ、愚行を』
「愚行、か。今日滅ぶ自分自身の身を棚に上げてお説教とは、随分能天気なお人形じゃないか」
 と、キルロイは言って、退かない。
「──あまりにも愉快過ぎて反吐が出るな」
 既に狙いは定まっているから、だけではなく。
 そこにあるのは冷徹なまでの敵意。刹那、巨大な爆炎を上げて砲撃を放ち、顔面に苛烈な衝撃を撃ち込んでみせた。
 巨影も腕を伸ばして弾丸を乱射してくる、が。
「藍ちゃん、行くよ!」
 跳んだことほが自ら壁になると、傍らのライドキャリバーも高速駆動してビルの縁から飛び出して。射撃を受け止め後ろに通さない。
 痛みの多くを請け負ったことほは、自身を一喝するよう気合を入れて傷を吹き飛ばす。直後にはカシスも杖に弧線を描かせ、放った治癒の光でことほの体力を保たせた。
 だがダモクレスは銃口を下げず、連撃の様相を見せている。
 自身の勝利を疑わぬように。弱き命を憐れみすらするかのように。
 だから燐太郎は声を投げた。
「そうだな、弱い者いじめは楽しいよな」
 自分を強者と思い込んでいるやつを踏みにじるのは特に、な、と。
 皮肉は機械の心に届いたろうか、巨腕の銃身が燐太郎を捉える。けれど燐太郎は下がらない、下がるはずもない。
「譲るかよ」
 婚約者をデウスエクスに奪われた過去。守れなかった己の非力。決して消え得ぬ怨念と悔恨が、燐太郎を地獄の走狗として何処までも駆り立てるから。
 巨大な弾が雨のように注ぐ、その中を掻い潜る燐太郎は狙撃銃で一撃。氷気を纏った光の塊を放ち胸板を貫いた。

●命
 時間が三分の経過を告げる。
 穿たれた跡から火花を零しながら、ダモクレスは番犬達を見回している。金属の貌に浮かぶのは、番犬達の抵抗姿勢への微かな不可解さだろうか。
『……あくまで足掻くか。泡沫の命なら、最後には消えるだけだというのに──』
「君の言う通りさ……」
 月彩の瞳を向け、ユアはそっと胸元を押さえる。
 あがこうとも、有限たる命は最後にはすべて消える。儚くて短くて、悲しきものだと。
 それは短き命の自分には確かに響く言葉で。
 戦うべき目標を失った今、このダモクレスの様に命を散らす敵に向き合っては、番犬の務めを果たす日々を送る──そんなユアにはその全てを否定できない。
「……でも、短き命をその武器で散らして良いかと言われればそうじゃない」
 花の様に美しくて、儚いから有限の命は尊くて。
「最後に絶望がなっていたとしても、僕ら死を求める者が散らしていいわけがない」
「ああ、その通りだ」
 律は静やかに応えながら、ビルからビルへ走り抜けて風を切って跳んでゆく。
「ヒトであれ花であれ全て消えゆく定めであろうとも、その刹那に慈しまれるべきものだと俺は思う。だから──貴様が慈悲を示さないのであれば」
 ──我等も慈悲なく貴様を冥府へと導くだけ。
 刹那、言葉を体現するよう欄干へノクを結びつけ、速度をつけて巨影の零距離へ迫った。
 ダモクレスは銃口で狙いをつける、が、
 その眼前に、不意に黒色の靄のヴェールがかかる。
 それはラグエルが己が内より揺蕩わせた、狂気の片鱗。
 日々戦いをこなしていても、ガス抜きが必要と自覚する程には黒々としたものが内奥には渦巻いている。
 故にその一端を、破魔の力の形にして仲間へ分け与えていたのだ。
 血を滾らす程の加護を、受け取ったジョルディは律と共に接近。
 弾丸が飛んで来ようとも、斧と大盾で弾き返して──勢いのままに一閃、痛烈な斬撃で胸部を捌いてみせた。
「今だ」
「ああ、判っているとも」
 応えた律も同時に蹴りを打てば巨影が傾ぐ。
 そこへ機を合わせ、ユアも天高く翔び上がり──蒼空に月を浮かべるが如く、眩い魔法球を放ち鋼鉄の躰を削り取っていた。
 重なる衝撃に、巨体は大きくよろめく。
 だがそこから反撃に移らず、姿勢を低くしたまま保っていることに気づけば──。
「……弾籠め、いや、射撃のエネルギー自体を溜めてるんだ」
 キルロイは即時にそれを理解し視線を巡らす。
「全力攻撃だ! 注意してくれ!」
「みたいだね」
 と、見て取ったカシスも全員へハンドサインを送り警戒を促す。ラグエルも皆が反応したのを確認すると、瓦礫の陰へ。
「ここなら多少は安全かな」
「それじゃー、お邪魔するね」
 ことほも素早く滑り込みながら、同時に防御態勢も取っていた。そうして皆の準備が整うと──僅かに遅れて、ダモクレスが銃口を左右に広げ、発砲。
 轟音と共に巨大な光線の如き連射を全方向に放っていた。
 ビルを易々と破砕する衝撃は、瓦礫を雨のように降らす。一瞬後には粉塵が辺りを満たしていた、が。
「……皆、大丈夫ー?」
 砂煙を晴らす、淡い光を大地に輝かせながら、ことほが皆を見回す。完全な回避は叶わなかったが、それでも及んだダメージをしかと受け切っていたのだ。
 皆もそれぞれに健常な返事を返せば──ことほはそのまま『桜の樹の下』。地に宿る癒やしの力を桜の樹へ変え、光の花吹雪で自身と前衛を癒やしていく。
「あと少しかな」
「任せて、あとは俺が回復するから」
 カシスも言って杖を天に掲げて。魔力を天に昇らせると眩い雷雲を招来。ぽつ、ぽつ、と──清らかな慈雨を降らせ始めた。
 その内に爽やかな小雨となったそれは──辺りを煙らす粉塵ごと、皆に残った傷を濯い祓っている。
 ラグエルも同時に剣を奔らせ、氷晶で宙に星座を描き。煌々と輝く光によって護りの加護を成し、戦線の強固さを保っていた。
「こちらは万全みたいだね。敵は……」
 と、ラグエルが仰ぐ巨影は──火花と共に破片を零して弱体化の様相を見せている。
 それでも修復をすればいいとばかり、自己回復と弾丸の装填をし始める、が。
 そこへ閃く光の直線。燐太郎が銃から狙い澄ました射撃を放って巨銃の一端に罅を刻み込んでいた。
 取り出した稲荷を食べ始めるのは、自身の余裕を以て挑発してみせるため。
「まさか、お前さん、自分だけは死なないとでも?」
 言葉に視線を誘われたダモクレスは、燐太郎へと矛先を向けるが──。
「無駄なことだ」
 そこへ既に、キルロイが冷気に燦めく戦輪を構えていた。刹那、大きく振り抜きながら投擲し、氷色の刃に宙を奔らせて。
 目にも留まらぬ速度で一撃、突き抜ける斬撃で巨影の片腕を斬り飛ばす。

●爽風
 時計のアラームが一瞬の静寂に響き渡る。
「残り二分だ!」
 ジョルディが告げれば皆は頷き、再び巨影へと向き直っていた。
 ダモクレスは──逃げ延びようとするより、ただ機械的な殺意を此方へ向け続けている。
 だからユアはそっと声を紡ぐ。
「──消えゆくから命を散らしてゆくの? それとも、花々の様に散っていくから、悲しいと思ってその銃口を向けるの?」
『無為は、無。それを示すだけ』
 響く機械の声に、心は無くて。
 翳す銃口だけが意志を形にするから、ユアはそう、と呟いて。
「君が銃口を向けるなら。僕は、君を滅ぼす」
「ああ。──断罪の時間だよ」
 カシスは蛍の如く輝くエナジーの粒子を漂わせ、無数の剣へと成していく。それは罪を浄化する光の刃、『断罪の千剣』。
「無数の刃の嵐を受けよ!」
 瞬間、縦横に奔るその輝きが機械の躰を抉り裂いていく。
「さぁ、皆も!」
「ああ」
 頷く燐太郎も、揺らめく混沌を巨影の内部で爆破。炸裂する衝撃で巨体を揺らがせた。
 そこへ疾走するのが唸りを上げる藍と、追随することほ。
「合わせるよ、藍ちゃん!」
 エンジンをふかして応えた藍が、焔を纏って足元へ突撃すれば──よろめく巨影にことほも一撃、如意棒で刺突を見舞ってその脚を払ってゆく。
 膝をつくダモクレスを、ラグエルは立ち上がらせない。地面より這わせた氷で、躰を縫い止めている。
 これ以上狂気は顕にしないつもりではあったけれど。
 攻めると決めれば元より容赦するつもりもないから──『氷華咲檻』。侵食する鋭き氷で鋼の脚をもずたずたに斬り裂いた。
「後は皆に任せるよ」
「判った」
 応えるキルロイはフロントサイトを向けると、極限まで集中力を高めて引き金を引く。飛び抜ける衝撃は『聖女を穿つ魔弾』──無慈悲な程の破壊力で胸部を貫いた。
 傾ぐ巨体へ、ユエが煌めきを宿した花吹雪を零すと──ユアはそこへ『歌葬曲』。
 ──機械仕掛けの君。花の様に散って終え。
 月夜の風の如き声音で、死せる魂への葬送の調べを編む。
 斃れゆく機械へ、ジョルディはスナイパーキャノンを向けていた。
「行くぞ……ターゲットロック!」
 瞬間、砲身を轟かせて四連射。剛速の砲撃が鋼の巨体に逆十字の痕を抉り込むと、律が同時に息を吸い込んで。
「冥府の王、そして番人からの“手向けの花”だ。聴け!」
 朗々と響かせるのはテノーレの歌声。深き呪詛の旋律は、刻まれた痕を拡げて内部から圧力を生み出して。
「鉄鴉連奏! 魂の狂葬曲(ソウル・ラプソディ)!」
 ジョルディの声音が劈くと同時、巨大な光がダモクレスの中に燦めく。
「そして爆ぜよ!」
「──第三楽章”弾末魔”!」
 瞬間、閃光が巨大な爆発となって巨体を散り散りに吹き飛ばしていった。
「終演!」
 ジョルディが律と武器を打ち合わせる頃には──その機械の人型は跡形もなく、塵と化していた。

 土煙が晴れた後には、穏やかな空が覗いていた。
「終わったか」
 キルロイが呟き銃を収めると、皆も戦いの態勢を解く。そうして軽く息をついて、互いの無事を確認した。
 律もジョルディと見合う。
「無事だな、相棒」
「勿論だ」
 ジョルディが応えれば、律も頷き、それから周囲を見渡す。
 戦場となった範囲はさほど広くならず済んだものの、崩れた建物は少なくなかった。
「随分と街も破壊されたね」
 カシスも言って、ぐるりと視界を巡らせている。
 それだけ見れば荒れた景色、ただ、それは被害が建造物だけで済んだという、勝利の証左と言える光景でもあった。
「とりあえず、ヒールはしっかりとしておこうか」
「私も手伝うね」
 ことほも歩み出し、その怪力を活かして瓦礫を次々に撤去し始める。
 燐太郎も修復作業に加わり、道や車両も直して元の景色を取り戻していった。
 そうして美しい街並みが見えるようになれば──ユアは一度だけ、戦場だった場所を振り返って。後はただ静かに立ち去っていく。
 広がる平和な景色を、ラグエルはうん、と見回してから頷いていた。
「これで皆が元の生活に戻れるね」
「そうだな」
 何よりだ、と。
 キルロイもダモクレスが消え去ったその家並みを見つめる。
 そして人々へ無事を告げれば──長い時間を置かずに人通りも戻り始めてきた。その光景を暫し眺めてから、キルロイは歩み出す。
 見上げれば、風に花弁も踊っている。
「俺達も帰ろうか」
 カシスが言えば皆が肯いて。春の終わりの景色を背に、帰路についていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年5月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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