新月の星

作者:崎田航輝

 月の隠れた夜は空が冥く、星が一層輝いて見える。
 それは街明かりに照らされた場所でも同じで──いつもは星の見えぬ都会の只中でも、この日はビルの間から覗く夜天に無数の光が煌めいていた。
 人々はそんな僥倖に与るように、道々で空を見上げて星を楽しむ、筈だった。
 突如、景色が大きく揺れて轟音が響き渡る。
 道行く人々が見たのは、罅が入って砕け散るビルと──その陰に顕れていた巨大なシルエット。
 のそりと立ち上がり、粉々になった破片を振り払う金属の人型、ダモクレス。全身鎧の如き姿で、星を仰いだかと思うと──刃を振るって全てを破壊し始めていた。
 まるで星の邪魔になる光も命の灯火も、あらゆるものを消し去ろうとするように。漆黒の巨鎧は建物を粉砕し、人を斬り裂いて暗闇を齎していく。
 そしていつしか魔空回廊が開くと、巨鎧はその中へ消えてゆく。
 生き残った人々の噎び声が聞こえる中、暗い街を星灯りばかりが照らしていた。

「集まって頂きありがとうございます」」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、ダモクレスの出現が予知されました」
 大戦末期に封印されたもので、仲間のダモクレスによって復活させられるようだ。魔空回廊を通じて、その仲間達に回収される予定なのだろう。
「放置すれば街は破壊され、死者が多数出てしまいます」
 それだけでなく、ダモクレス勢力の戦力増強にも繋がってしまうことにななる。この悲劇を防ぐために撃破をお願いします、とイマジネイターは皆を見回した。
「出現場所は市街地の中心です」
 敵は出現から7分後に魔空回廊によって撤退する。こうなると追うのは困難になるため、撃破はその時間までに行う必要があるのだという。
「今回は人々の避難は事前に行われます。建物も後でヒールできますから、皆さんは敵の撃破に集中して頂ければと思います」
 敵は全長七メートルと巨体。現場は高層ビルなどが立ち並ぶ環境でもあるので、高所などを積極的に利用して戦うと良いかも知れません、と言った。
 尚、敵は戦闘中、一度だけフルパワーの攻撃を行ってくるという。
「敵自身も反動で傷を負うようですが、その分強力でしょう。広範囲に及ぶ攻撃と思われます」
 警戒を欠かさないようにしてくださいね、と言った。
「皆さんならばきっと勝利を掴めるはずです。健闘をお祈りしていますね」


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)
ペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)
ディミック・イルヴァ(物性理論の徒・e85736)

■リプレイ

●星穹
 天に無数の光が耀く夜に、轟音が響き渡る。
 地鳴りと共に出現したのは、闇色の人型。
 金属鎧を纏ったダモクレス──その姿を、ステラ・フラグメント(天の光・e44779)はビルの上から見つめていた。
「おお、またデカくていい感じのヤツだな!」
「ちょっと、怖いですね……」
 と、隣の建物から呟くのは兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)。大人しい心には、夜をも翳らせる巨影の兵器は否が応でも威圧を感じる、それでも。
「人々の為にも、ここで怖気づくわけにはいきませんね」
 言ってぎゅっと拳を握れば、ステラも頷く。
 ガジェット使いにとっては、逆にその巨大機械は興味の対象でもあるけれど。
「この怪盗ステラ。この名にかけて──星を見る人々を害することは許せないぜ!」
 瞬間、コートを棚引かせて跳躍。
 夜空に躍り出ると鮮やかに旋転し、星灯りを拳に纏い一撃、光の軌跡を描く打突を叩き込んでいた。
 衝撃に一歩下がった巨鎧は、兜を動かし番犬を見遣る。
 それから一度だけ空を仰ぎ──視線を戻すと、星の光の邪魔を排除しようとするように刃を握っていた。
「んうー……星がきらきらは、ほわほわか」
 そこへ怯むでもなく奔り込むのは、伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)。ぽつりと呟きながらも砲口を向けて。
「こっちもどかーんで、ぴかぴかだぞ」
 表情はほわりと薄いまま──爆煙と共に撃ち出すのは『ポッピングボンバー』。花火の如く、虹の如く。カラフルな火花を炸裂させて足元を穿っていく。
 微かに揺らぎながらも、巨鎧は反撃の剣を振るった。
 暴風の如き波動は鋭く重い。が、そこへ心を晴らすような明るい声音が響く。
「回復は任せてね!」
 それは翼を広げて翔び立つマイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)。
 摩天楼を縫いながら、柔らかに夜を泳ぎ。空中で踊るようにふわりと翻ると──扇から仲間の立ち位置へと淡い光を落とす。
 その輝きを円陣と成すことで、破魔の力を宿しながら傷も祓っていった。
 一撃で薙ぎ払えなかった存在は、巨鎧にとっては想定外だったろうか。微かに様子を窺うように、兜は此方を見つめる。
 そこへ正面から、尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)は向き合っていた。
「よお、旧式。もう、星は見ねえのか?」
 綺麗だぜ、と。
 声と笑顔に親近感を含むのは、自身もまた元旧式のダモクレスだったから。
 破壊を目的に造られた存在同士、単なる他者ではない。故にこそ心は、破壊よりも別のものを共有したがったろう。
 けれど巨大な騎士は空を見上げず、地上の光へ刃を振り上げていたから。
「もったいねえな」
 広喜は云って──自身も退かず戦いへ参する。
 差し出した手より風に舞うのは、青い折り紙で作った紙兵。ひらひらと、ふわふわと。その揺蕩いが前線の体力を保ち、強固な加護も与えていた。
「──さあ、派手にぶち壊そうぜ」
「ええ……!」
 応える紅葉はそれに勇気を得るように、ひた走って跳躍。
「この炎で、焼かれてしまいなさい!」
 蹴り上げるように赤熱する焔を放ち、鎧の一端を灼け焦がしてみせる。
 くすむ黒色の金属を目にして、ディミック・イルヴァ(物性理論の徒・e85736)は成程、と声を零していた。
「大戦末期時のダモクレス、確かに旧式のようだ」
 言いながら、自身の腕を軽く翳す。銀灰の躰は、グランドロンとして過日より長く働いていた機械そのもので。
「はは、私にとっても旧式同士、ということになるかねぇ」
 ならばと、金属音と共に一歩前へといでていた。
「アスガルド製として対抗してみようじゃないか」
 瞬間、後背に接続した八識システムを駆動。
 内部より循環させたエネルギーを光ファイバーに通し阿頼耶識を生成、眩き円環から膨大な光を発現させて後方の仲間にも破邪の力を施した。
 ステラの黒猫、ノッテが夜風を扇いで防護を広げれば戦線の準備は万全。
 再び攻撃を目論む巨鎧へは、既にジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)が駆け出していた。
「近くで見れば見るほど、俺の武器と似てるじゃねェか」
 仰ぐ敵の刃は漆黒の剣。
 そしてジョーイが抜き放つのもまた鋭い冥刀。刃の大きさや、扱う人間の体躯こそ違えど──。
「上等だ! どっちの攻撃が強ェか力比べだ!」
 負けるつもりはジョーイには皆無。瞬間、振り下ろされた剣へ真っ向から刀を振り上げて衝撃を逸らしてみせた。
 質量の塊の如き衝撃は、確かに腕を痺れさす。だがジョーイはそこで下がらず踏み込んで、稲妻を伴った刺突を見舞っていた。
 巨鎧は間合いを取ろうと下がる。だがそれこそが好機と、ビル上から跳ぶ影があった。
「そら、少々隙を作らせて貰うぞ」
 それは白いフードを靡かせながら、刀を抜くペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)。
 刹那、速度のままに奔らせるその刀身もまた白色。
「食らえ」
 まるで澄んだ夜に耀く月光を、剣先で描いてみせるように。流麗な斬閃で巨体の関節を斬り裂き体勢を崩させていた。
「今だ」
「んうー、りょーかい」
 応えて跳び上がるのは勇名。
 放った鎖を建物の縁に引っ掛けて自身を引っ張ると──幾つものビルを経由して高空へ。巨鎧を見下ろす位置を取って一撃、直下へ拳を打ち込み兜を穿っていく。
「よし、行くぜ!」
 巨影がよろめいた、その一瞬に声と共に星が降る。
 それは高所から跳び降りたステラ。彗星の如く宙に光を刷いて、蹴撃を叩き下ろし鎧の一端を砕いていった。

●反撃
 番犬達の時計が時間を刻んでゆく。
 響いた短音のアラームに、ディミックはふむと頷いていた。
「これでもう三分。早いものだねぇ」
「傷ついてはいるが、まだ敵が斃れる様子はなさそうだな」
 ペルは巨体を仰ぎ、呟く。
 吐いた息は敵の頑強さばかりでなく、幾度と続く勢力との戦いにも向けられたものだ。
「復活させて周ってる他のダモクレスを先に叩ければ早いのだがな──」
 そうもいかないか、と。
 緩く首を振るのは、今は目の前の戦いに集中すべきと識っているため。
「一先ずは、迅速に解体してやろうか。時間も惜しいからな」
「あァ、そうだな」
 と、応えるジョーイの相貌に焦りはない。
 寧ろだらだらと長引かせるよりは気が楽だと、握る刃には力が籠もるばかり。
「逃げられる前にケリをつけるぜ」
「うん、ここで逃がしちゃったりは絶対にできないからね!」
 マイヤもこくりと頷いて周囲を見渡した。
(「ひとつひとつ煌く星のような灯りが、わたし達を応援してくれてるんだ」)
 だからこそ皆の暮らしを、この街を守らなくちゃ、と。羽ばたいて皆と共に敵を囲い込んでゆく。
 巨鎧もあくまで抵抗姿勢。だが、ペルが素早くその脚を払ってみせると──ジョーイも跳躍、巨体が振り上げていた腕を、冷気を纏った斬り上げで弾いていた。
 生まれた隙に、ディミックは至近から大槌を振り抜いている。
 黒い宝珠を核に魔力を滾らせるそれは、打撃と共に闇色の凍気を放って巨鎧の躰を大きく軋ませた。
 それでも巨体が先鋒へ拳を振り下ろしてくるならば──。
「問題ない、私が行こう」
 ディミックがそのまま空圧を噴射。ビルを蹴って仲間への攻撃を受け止めてみせる。
 直後にはマイヤが色彩燦めくオーラを収束。眩い暖かさでディミックを癒やした。
「ラーシュもお願い!」
 力を合わせて戦線を支える、それが自分達の役目だからと。呼びかければ匣竜が紅紫の光を重ねて傷を拭っていった。
 巨鎧が連撃しようと剣を振るっても──勇名は欄干へ巻きつけた鎖を軸に宙でスイング。間合いを保って攻撃を届かせない。
 そのまま円弧の軌道で距離を詰め、打突を加えると──。
「尾方、今がちゃんす、だぞー」
「おお、ありがとな」
 ぶんぶんと手を振ってみせる勇名に、広喜は笑顔で応えて建物から跳躍。
 拳に獄炎を耀かせると、腕を突き出してそれを発射。『崩シ詠』──星空に青の流線を引いて巨鎧へ燃ゆる衝撃を刻んだ。
 蠢きながら躰を灼く衝撃に、巨体はよろめく。
 ただ、跳び回りながらつぶさに観察する広喜は──ゆっくりと後退する敵に、苦悶だけではない意図があると読み取っていた。
「準備をしてるみてえだ。来るぞ」
 頷く皆もまた、それが攻撃の兆候と勘付く。
 紅葉は早々に厚い壁を持つ建物へと隠れていた。
「皆さん、こちらです」
「うん」
 と、ステラも応じて隠れつつ敵を覗き見ている。
 フルパワーの攻撃が、実は楽しみで……烈しいエネルギーを湛える巨体にわくわくしていたのだった。
「何処からあんな出力が? あー! 知りたい!」
 直ぐ傍で見たい気持ちを抑えながら、愉しげに歯を噛み締めて。
「くぅぅー、俺のガジェッティアの血が騒ぐ!」
 見つめつつ、どうやら敵の剣の内部にエネルギー炉があるらしいことを把握していると──その内に巨鎧が剣を振りかぶる。
 そして皆が防御態勢を取った直後、巨大な剣閃が放たれた。
 光の塊がビルを寸断し、破砕していく。嵐のような衝撃が音を劈かせる中、番犬達にも確かに浅くない傷が刻まれていた。
 が、防備が整っていれば斃れるには至らない。
 崩れ行く瓦礫の中、広喜は笑顔でしかと立ち続けて。直後には煌めく向日葵を舞わせて皆を治癒。
 粉塵を払いつつ、ディミックも大地から癒やしの魔力を立ち昇らせれば──マイヤも七彩に燦めくヴェールで皆の傷を消し去っていた。
「みんな、大丈夫?」
「ああ」
 ペルは乱れたフードを直し、埃を落とす。
 それから火花を零している敵を仰いだ。
「搦手が得意かと思えば、フルパワーは派手だな。うむ、結構。だが──もう手は出し尽くしたな?」
「んう、こんどは、こっちのばんだぞー」
 と、既に残ったビルへ登っているのは勇名。高所からひらりと飛び降りると──。
「どかーん」
 焔を蹴り下ろして巨体を爆炎に包む。
 ふらつく巨鎧は強化を兼ねて自身を回復する。が、そこへステラがガジェットを突き出していた。
「中々に上手い動きだとは思うが、それは俺たちには効かないぜ!」
 瞬間、杖型の機巧を変形回転させてドリルと成し、力と体力を砕く。
「続けて頼むぜ!」
「はいっ……!」
 応えて巨鎧へ迫ってゆくのは紅葉。一歩一歩地を踏みしめる度に、歩んできた道のりを思い出すように、蓄えてきた力を魔力へと顕すように。
「行きますよ──私でも、やればできるのです!」
 蹴撃と共に光を放ち、巨体の胸部へ風穴を開けていた。

●星宵
 金属の破片が落ちて硬質な音を響かせる。
 地に手をつく巨体は、鎧をいびつに歪ませて死の兆しを見せていた。
 それでも空の星を薄らがせる地上の光を、潰えさそうとするように刃を握る──その姿を、ディミックは静やかに見上げていた。
「そちらの目的は変わらないか。ならばこちらも同じことだよ」
 故郷では星霊甲冑の力を利用する勢力に仕えていた。けれど今はそういったものの加護を得られる立場ではない。
 今自身が居るのは地球だから。人の営みのためならば──例え星の輝きが薄れても惜しくはないのだと。
 同時、番犬達の時計がアラームを鳴らした。勇名は皆を見回す。
「ごふん、たったぞー」
「皆、あともう少しだよ!」
 マイヤが皆を鼓舞するように声を上げて見せれば、ジョーイも刃を構え直して気合を入れていた。
「よっしゃ、一気に畳み掛けるぜ!」
「ええ、参りましょう──!」
 紅葉は自らが先陣を切り、包帯へ鋭い冷気を込めて。
「卓越した技術の一撃を、その身に刻み込みなさい!」
 それを振り回して強烈な斬閃を抉りこんでゆく。
 たたらを踏んだ巨大へ、ディミックは間合いを保った位置から槌を翳し──黒色の魔力塊を撃ち出して足元をひしゃげさせていた。
 異音を上げる巨体の脚へ、勇名は鎖を咬ませて引き寄せるように零距離へ。炎の滾る蹴撃を加えながら視線を横へやる。
 すると頷く広喜が大型警棒の回路へ地獄を巡らせ、青く揺らめく光と共に一撃、苛烈な刺突で関節を砕いた。
「このまま最後まで、行こうぜ」
「やってやるさ」
 声を返すジョーイは有言実行。立ち昇るオーラを纏った『鬼神の一太刀』を振るい──鎧が足掻くように振るってくる剣を両断。その体をも深々と斬り裂いた。
 同時、マイヤは空高く舞い上がっている。
「行けー!」
 刹那、耀くのは『Hexagram』の光。天から星を注がせるように、無数の光で巨鎧を包み込んでいた。
 その輝きに眩さを交えるよう、ステラはガジェットを宙へ飛ばす。
「いっけー! 俺のガジェットくん! 唸れ! ホーミング!」
 刹那、踊らせる無数の砲弾は『Danza di stelle』──星々の耀きの如く明るく美しく、巨体を貫いてゆく。
「天の光は全て友。みんな、何処かの誰かと繋がってるんだぜ。少なくとも、この星空の下では、な」
 ステラの言葉に、巨体は倒れゆく。
 そこへペルが高々と跳んでいた。
「では、本気でやろう」
 翳した拳に弾ける白雷を宿し、鮮麗なまでの光を湛える。そのまま叩き下ろす一撃は『雷光の災拳』。
「内部に浸透させるが如く──そして砕け散れ……!」
 強烈な打力で躰を砕きながら雷を駆け巡らせて、巨鎧の命を焼き尽くした。

「終わったな」
 涼しい夜風の吹く空の下。
 静寂の中でステラが武器を収めれば、広喜も頷き──勇名とハイタッチしていた。
「お疲れさんだぜー」
「んう、おつかれだぞー」
 応えた勇名は周囲を見渡し、まずは仲間のヒール。
 傷を癒されたジョーイは、肩を回して健常を確認し息をつく。
「手間ァかけさせちまって悪ィなァ。……じゃあ、瓦礫でもどかすか」
 そして崩れた建物の残骸を持ち上げて撤去し始めていた。
 紅葉もそこに歩み寄り作業に加わっていく。
「私はこの辺りへ、ヒールをかけておきますね」
「では、私も手伝おうかねぇ」
 と、ディミックも治癒の光を照射して、町並みを修復し始めていた。
 徐々に景観が回復していく中──広喜も瓦礫を運び出している。そうして元気に復興を手伝いながら、ふと空へ笑顔を向けた。
「あんま遅くならねえうちに帰らねえとなあ」
 あのダモクレスと自分の違いは、この星空の下に帰りたい場所がある事かもしれないと。消えていった敵へ思いを馳せながら、笑みを残すようにして。
 修復が終われば、ジョーイは軽く伸びをしながら──戦いを想起してよっしゃ、と声を零している。
「俺の攻撃の方が一枚上だったな……」
 それから思い出しながらも力尽きるように大の字に倒れた。
「この程度で疲れるとか……やっぱ歳かねェ……?」
 夜空を見ながらぼやき……暫しそのまま休んでいた。
 そうして皆が帰路につき始めると、マイヤも歩み出して。
「頑張ったご褒美にコンビニでも寄ろうかな。ペルも行く?」
「うむ、そうしよう」
 ペルも頷き歩を進め出す。
 夜の街に、人々と灯りが帰る。空には変わらず、眩い星々が瞬いていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年5月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。