理想のカラダに出会う夜

作者:星垣えん

●怪しいものがうろついている
 深い夜に、街は光を失っている。
 午前2時を回った街中は静けさに満ちていた。
 車が走り去ることもなく、人が歩いてゆく姿もない。
 だがそんな静寂の片隅の空き地に、不穏な物音が聞こえていた。
「ウェーーーーーーーーイト!!!」
 近所迷惑必至の大声を張り上げているのは――ダモクレスさんだった。
 なぜダモクレスとわかるかとゆーと、外観が完全にジムとかにありそーなトレーニングマシンそのものだったからである。たぶん『ウェイト』も重りのことやと思う。
「ハシレ! アゲロ! オイコメー!」
 奇怪な脚を生やし、わさわさと空き地を徘徊するトレーニングダモさん。複合的な構造を持つそのボディ(全長5m)はあらゆる者の希望を叶えてくれるだろう。
 というかできなくても何とかするだろう。ダモさんだから。
 きっと変形とかするだろう。
 効かせたいところに効かせられる――そんな素敵なトレーニングマシンで、少しなまった体を鍛えてみるとかいいんじゃないでしょうか。
「泣キ言ヲ言ウナ! 気張レ! コノ程度モデキナイデ、ヨク生キテコラレタナ!」
 ダモさんもビシビシと鞭を振って、歓迎の意を示しています。
 ちょっとスパルタかもしれませんけど、そのぐらいがちょうどいいんですよ。

●肉体改造でもひとつ
「というわけで、ダモクレスっす」
「というわけで、鍛錬にでも行ってみないか」
 だいたいの経緯を猟犬たちに伝えると、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)とヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)は全く同じトーンでそう言った。
 対する猟犬たちの表情は「あーですよねー」的な感じである。
 うん、だいたい予想できてた。
「今は空き地をうろうろしてるだけっすけど、いつ行動範囲をひろげるかわからないっすからね。人々に危害を加える前に何とか壊してほしいっすよ」
「日頃から鍛えていない者が急に負荷をかけては、体を痛めてしまうからな。そうでなくとも重量を扱う危険が伴うものだ」
 ダンテの説明にヒエルがうんうん頷いてる。
 どう考えてもトレーニングでの事故とかそーゆー話じゃないと思うが、当人はとても納得しているらしいので特にツッコミはしない猟犬たちである。
「ちなみにダモクレスがくっついているのは、多機能型のトレーニングマシンらしい。つまり体幹から四肢、下半身まで満遍なく鍛えることができるだろう。しかもダモクレスのほうで最適な負荷に調整してくれるようだ」
「口頭で伝えるだけで『がっつり筋肥大させたい』から『痩せたい!』まで全対応っすよ! 殻を破って新しい自分になるチャンスっす!」
 段々とジムの勧誘みたいになってくヒエル。隣で胡散臭いサムズアップをするダンテ。
 どうやらこれはトレーニングをするしかないようですね。
 ダモさんをぶっ壊す前に、肉体改造に挑んで自分を一新するしかないようですね。
「十分に体を鍛えられたら、あとは実戦の鍛錬をして仕事は完了だ」
「いやーお得な依頼っすね!」
「一挙両得と言っていいだろうな」
「そうっすよね! 参加しない手はないっすよね!」
 どんどん怪しい勧誘員と化してゆく2人。
 しかしタダでボディメイクができるのならば行かない手はない……ということで、猟犬たちはダンテに導かれるままにヘリオンに搭乗するのでした。


参加者
オルネラ・グレイス(夢現・e01574)
琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774)
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)

■リプレイ

●乙女たちの事情
「鍛エロー! 汗ヲカケー!」
 夜闇の中に雄々しくそびえ立つダモクレス。
 それに対峙する柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)は、水着姿であった。
「しゃーっ、やるぜぇ。夏の到来までにぜってーモテ男になる!」
「気合い入った格好ですね柄倉さん!」
「やっぱオレ形から入んねーと、テンション上がんねーからさ」
 ちょっと尊敬の感すら覗かせる華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)に、上半身が裸の男は親指を立てる。
 彼の狙いはただひとつ――ビーチで水着のおねーちゃんたちと遊びまくる!
 それだけのために、清春くんはやや肌寒さすら残る夜に素肌を晒しているのだった。そんな彼の後ろでスポドリ持って待機してるきゃり子(ビハインド)は健気。
「レッツトレーニング!」
「このマシン、やたら積極的に誘ってくるな」
 鞭をビシビシしながらにじり寄ってくるダモさんを見上げ、その熱意に感心するのはヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)だ。
「普段から鍛錬しているから困っていることはないのだが……最適な負荷に調整してくれるという機能は興味深い」
「ふーん。こういうのに興味あるのね。あたしは興味ないけど!」
 ダモさんを見つめるヒエルの横で、佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)がいかにも高慢ちきに鼻で笑う。
「ボディメイク? 理想のからだ? ふん、ぜんっぜん興味ないから!」
 金髪ツインテをふぁさぁっとやるレイ。
 そのままさりげなく己の質素な胸に手をやる。
「……ないから……」
「……何も言うまい」
 ふるふると震えだしたレイから、ヒエルはそっと顔を背けるのだった。
 一方、オルネラ・グレイス(夢現・e01574)は艶やかな笑みで灯を見下ろしていた。
「ちょうど体が鈍っていたところなのよ。鍛えなおすには良い準備運動だとは思わない? ねぇ灯?」
「そうですね! ケルベロスたる者、常に最高を超える最強の肉体を目指す必要があります! 別に冬の間に増えた体重に焦っているとかではないです!」
「灯様……コタツにやられたのですわね!」
 誤魔化したつもりでいる灯の後ろで、琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774)が両手で顔を覆う。
 うん、通ずるところがあったのだろう。
「というか美味しくお酒を飲めるお仕事だと聞いてたのですけど……まったく話と違いますわ!」
「いったい誰に誑かされたのでしょうか……!」
「思い当たるのが何人もいてわからないわね」
 騒いでる淡雪を眺める灯&オルネラ。チョロ羊認定されているなど夢にも思わぬ淡雪さんは彩雪(デブ鶏ファミリア)を抱え上げる。
「まあいいですわ! この機会にさゆきちを痩せさせ……重たっ!?」
「コケーッ!」
 腕の中で身じろぎするだけで易々と脱出してみせる彩雪。
 重量過多にも程がある丸鶏を目撃したオルネラは、傍を飛ぶノイア(ウイングキャット)の腹をつまむ。
「ノイアも久々だから訛ってるんじゃない?」
「――!」
「ノイアもお肉が……? ではもともと丸々のシアはさらに危険なはず! こうしてはいられません!」
 首を振ってオルネラに抗議するノイアから、足元でもぞもぞしてるアナスタシア(ウイングキャット)に視線を落とす灯。
「いきますよ、シア!」
「!」
 一生懸命ドーナツを食べていたアナスタシアが、びしっと敬礼する。
 灯がそのドーナツを奪い取り、まるで最初から存在しなかったかのように丁寧に仕舞ったのは言うまでもない。

●このマシン……優秀だぞ!
「おいおいダモちゃんよぉ。よろしく頼むぜマジで。オレのハーレム計画成就はお前のコーチに懸かってんだわ」
「任セロ! 軟弱者メ!」
「今の体をぐっと引き締める感じでメニュー作れよな」
 きみたち、いつの間に仲良くなったの。
 そうツッコみたいほどの至近距離で、清春はダモさんと話しこんでいた。夏のモテボディを手に入れるという意志に一分の隙もなかった。
 そして臙脂色のジャージ(学校指定)に着替えている灯も一分の隙もなかった。
「ふふふ、やる気満々ですね柄倉さん!」
「おー、灯ちゃんもかなりガチってんね」
「これが乙女の本気です!」
 平たい胸をぐぐっと張った灯が、揚々とダモさんの足元まで接近。
 それから静かに手を合わせて祈願のポーズ。
「ウエストとふともものお肉を落としたいです。なにとぞです……何でもしますから……」
「イイダロウ怠ケ者! マズハ足腰ノトレーニングダ!」
「お願いしまアーーッ!!」
 むんず、と鞭を巻きつけられて強制的に取りこまれる灯。
 少女がそのまま太腿をムキムキにするための器具にセットされるのを見届けて、清春は自分も続くと言わんばかりにダモさんの正面に回った。
「さぁ! オレも頼むぜダモちゃん!」
「貴様ハ肩回リノサイズアップダー!!」
「っしゃー!! 掴み取るぜ夏の逆三角形!!」
 吠えながら、やっぱり鞭で連行される清春。水着姿でウェイトを上げ下げする姿はナンカチガウ感がすごかったが、しかしある意味では圧倒するような凄味もある。
 ダモさん(5mのトレーニングマシン)の一角で黙々とチューブトレーニングをこなしながら、ヒエルはその熱量に感心していた。
「あれほどの集中力。余程のものを懸けているのだろうな」
「そうね。本人にとっては」
 肩にバーベルを乗っけたままスイスイ上下しているオルネラ(スポーツウェア)が、同じく清春の様子を眺めてくすりと笑う。
 この一角だけ、なんか余裕が満ちていた。
「いつもより負荷大きめだから、脚にくるわね」
「その割には淀みなく動いているようだが」
「ふふ、そうね」
 会話しながらトレーニングをこなしつづけるヒエルとオルネラ。耳を澄ませば灯の悲鳴や清春の咆哮が聞こえるというのに涼しい顔である。
「でも意外ね。結構鍛えてそうなのにチューブを使ったメニューだなんて」
「無駄な筋肉はつけたくないからな。戦闘で邪魔になる。だが負荷が軽いわけでもないぞ、こいつに備わっているチューブはどうも強度が高い」
「特別製というところかしら?」
「そのようだ」
 手足にチューブを括りつけたまま演武のように動きつづけるヒエル。動作をするたびにゴムを伸ばす力が要るため、実戦を想定した動きをしているだけで自然と必要な筋力が養われるというわけだ。
「地味なトレーニングだが、体に効いているのは感じられるな」
「シャープナ肉体ヲ作ルナラ最適ダ! サア動ケ! アト30分!」
「30分か。いいだろう」
 望むところ、と鍛錬に精を出すヒエル。
 そんなストイックマンに「お先に」と告げて、オルネラは重量を下ろし、首にかけたタオルで汗を拭いながら手近な台に豊満な胸を乗せた。
「重たくて大変なのよね。ちょうどいい高さの台があって助かったわ」
「お姉ちゃん、それは台ではありません! 実は私です!!」
 オルネラの胸が乗っていた台――もとい灯(脱出して休憩中)が、小刻みジャンプで頭上のおっぱいをばいんばいんさせる。しかし当の灯の胸部はというと絶対的サイレントモードである。
「どうしてでしょう……すごい敗北感が……!」
「みんな違ってみんな良い。そういうものよ? 灯?」
 打ちひしがれる灯を胸で撫でるオルネラ。
 その重量級のおっぱいが左右するさまをガン見していたレイは、しばし放心していた。
「……はっ!? な、何でもないわ? 何でもないのよ!」
 覚醒するなり、あたふたするレイちゃん。
 やがて自分が空気に向かって弁明していることに気づくと、慎ましい胸を持つツンデレヴァルキュリアはこほんと咳払いした。
 で、なるべく誰にも気づかれないようにすり足でダモさんに近づいた。
「ねぇあんた。理想のシェイプアップができるなら……バストアップも可能よね? どーなのよ……」
「バストアップ? モチロン可能ダ! 貧シキ者ヨ!」
「ちょっ……! 大々的に叫ぶんじゃないわよ! 察しなさいよ!!」
「シカシ胸ハサイズダケデナク、ハリモ大事! ツマリ胸筋ヲ鍛エルノダー!」
「ばっ……あたしは筋肉なんていらないのー! 天使のような可愛さが台無しに……あーーーっ」
 鞭でぐるぐる巻きにされ、ぽいっと収納されるレイ。
 巨乳になりたい13歳の声が遠のくのを聞きながら、淡雪は腕に抱いたアナスタシア(ふわもこ)を撫でる。
「格差って残酷ですわね……にしてもアナスタシア様のモフモフ最高ですわ!」
「――♪」
「コケェーーッ!!」
 喉を撫でられて嬉しそうにするアナスタシア。そして鶏の怒声。
「走レ走レェ! ソンナ丸々ト美味ソウニ太ッテ恥ズカシクナイノカ! 貴様ガ食肉デナイト言ウナラ! 走リキッテ証明シテミセロォ!!」
「コ、コケェー……!!」
 彩雪が超高速ランニングマシンの上で爆走していた。
 罵倒を浴びせられるデブ鶏の後ろには、ぐつぐつ煮える寸胴鍋が置かれている。走るのをやめたら即座に鶏ガラスープになってしまう――その恐怖で彩雪は激走し、そして自身を囮にしてシゴキを免れた主人に怨嗟をぶつけるのだった。
「さゆきちも痩せてモフモフもできて一石二鳥ですわ!」
『このダメ羊にもダイエットさせて!』
「俺には無理な相談……かもしれん」
 淡雪の足元から顔画面で訴えかけてくるアップル(テレビウム)に、目を伏せてかぶりを振るヒエル。
 なお、アナスタシアは灯に見咎められて連行されたので淡雪の幸せはすぐ終わった。

●努力
「どうして私も走らされているんですの……私よりさゆきちを……」
「黙レェ! ソノダラシナイ腹ガ許サレルト思ウノカ!」
 ダモさんにしごかれるまま走っているのは、淡雪である。
 シゴキを免れていられたのも一瞬のこと。ダモさんに捕まった淡雪は頼んでもいないのに彩雪と一緒に強制トレーニングさせられていた。
 贅肉は見逃されなかったのだ。
「高みの見物できると思ってましたのに……!」
「コケー……」
 並走するダメ羊とダメ鶏。
 その横で、清春と灯がタオルをぶんぶんと振り回す。
「へこたれんな! まだいける!」
「頑張ってる姿が素敵です師匠!」
 めっちゃ応援していた。
「淡雪ちゃんの目指す明日はそんなもんじゃねーだろ!?」
「別に何も目指してないですわ……!」
「キレてます! キレてますよ! 私の体力と集中力も切れそうですが!」
「灯様それもう応援じゃない!」
 高まるままに好き勝手言い出す2人に息を切らしながらもツッコむ淡雪は、なんだかんだ体力があるんじゃないだろーか。
 と、そこへヒエルが大真面目な顔でやってくる。
「つらいだろう。だがつらいからこそ人は変わる」
「ヒ、ヒエル様……」
 泣きそうな目を向ける淡雪。
 ヒエルは厳しい顔を崩さぬまま続けた。
「ここで頑張らねばサイズオーバーで衣替えが余分に発生し、夏には世間体で地獄行きだ」
「現実的ですわ!?」
「逆にここでやり遂げればその後に待っているご褒美の甘味や酒が最高に美味しいだろう」
「お酒が!?」
「そして、人前でも誇れる体型になれるのは……今この時しかないぞ!」
「……頑張りますわー!」
 ハムスターが回し車で駆けるように、シャカリキ走り出す淡雪さん。
 ヒエルのありがたいお言葉が沁みたのだろう。主に酒が美味いという辺りが。
 そして隣のレーンで普通にランニングに勤しんでいたオルネラさんは、そこんとこ抜け目なく察してしまう女である。
「ふふふ、頑張るのよ淡雪。走ってたくさん汗をかいたらサウナに直行よ。そのあとついでに近場の温泉に行って、冷たいビールで乾杯ね」
「俄然やる気が出てきましたワー!」
 甘い言葉でスピードアップする羊。ひっそり『飲みすぎないで……』と画面に映してるアップルはリバウンドを案じる賢い奴です。
「さて、それではそろそろトレーニング再開です!」
「おっ、またすんの? 元気だねー」
「結構休みましたので!」
 淡雪の応援を切り上げて、再びのトレーニングを開始する灯。きゃり子が持ってきたスポドリ片手に応援する清春に拳を掲げてみせると、再び足腰をいじめ抜く作業に突入。
「私も鍛えてお姉ちゃんのように! なりますよ!」
「目指せ渚のマーメイド!」
「イエス! マーメイド! 夏の渚は我らのもの!」
 おー、とやたら意気投合してる2人。
 そんな騒がしさの少し横で、レイは黙々と胸筋をトレーニングしていた。
(「バストアップよ、バストアップ! あたしの大いなる野望の一歩!! 一気にFカップとかに出来ないかしら……かがんだ時とか胸がぎゅーって寄るあれ、味わってみたいのよね」)
 伸ばした腕でチューブ(超強度)を引っ張り、前側に畳みこむレイ。
 果たしてバストアップするのかはぶっちゃけ疑問である。だがレイはダモさんの『追イコメ! 追イコメ!』という指示に従い、腕をシュッシュッと畳みまくった。
 まだまだ夢見る13歳、ですから!
(「頑張るわ! 頑張ってあたしもあんなふうに!」)
 運動を続けながら、横をチラ見するレイ。
 その視線の先では――大きな双丘が、たゆんたゆんと揺れていた。
「やっぱり走るときは大変ね」
 オルネラさんだった。
「灯に一緒に走ってもらおうかしら」
 なんかひどいことを考えながら走っているオルネラさんだった。
 その暴力的な胸は上下にひたすら揺れていて、そのムーヴからレイは目を離すことができなかったのだ。控えめに言っても理想の胸だった。
(「目指せ! 目指すのよFカップを!!」)
 絶対に踏破してみせる――。
 心に誓いを立てながら、重点的に胸を鍛えるレイちゃんだった。

●憧憬
 数十分後。
 用済みになったダモさんは普通に破壊されていた。
「これがナイスバディに近づいたあたしの実力なのよ!」
「トレーニングのおかげで蹴りの威力が上がったかもしれません!」
「コケー!」
 大破したトレーニングマシンを足蹴にして、勝鬨を上げるレイと灯と彩雪。
 鍛えた肉体と精神、あと走らされた恨みによる攻撃はとてもじゃないが耐えられるものではなかった。ボッコボコのボコだった。
「しっかし疲れたわー。なんか脚震えてっし……でもこれなら夏のモテは間違いねーわ」
「納得いく鍛錬ができたようで何よりだな」
 結局ダモさんの指示のすべてをこなし、代償として脚ぷるっぷるになってる清春に、ヒエルはぱたぱたと団扇を扇いだ。ひんやりと冷たい風が清春の火照った体を冷却してゆく。
「濃密なトレーニングの後はしっかりとクールダウンすることも大事だ」
「おーこりゃいいわ……サンキュー」
「クールダウンなら内側から冷やすのも大事よね? 冷たい飲み物はいかがかしら?」
「す、すげーところからドリンクを……いるいるー!」
 妖艶に笑みながら胸元から栄養ドリンクを出すオルネラに、目の色を変える清春。
 そして、灯とレイ。
「私もいつか……!」
「胸の間に収納を……!」
「ふふ、ほらあなたたちも」
 夢の谷間収納を――。
 そう固く誓って、灯とレイは栄養ドリンクをぐびーするのだった。

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年5月1日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。