荒ぶる光線銃ッ！

■リプレイ

●都内某所
「うわ……、何だか凄くカッコいいね！　まるで未来のロボットみたい！　これは、これでフリって感じだよね」
　エリザベス・ナイツ（焔姫・e45135）は仲間達と共に、廃墟と化した倉庫にやってきた。
　倉庫の壁は既に破壊されており、ダモクレスと化した光線銃が、耳障りな機械音を響かせながら、グラビティ・チェインを奪うため、近隣住民達に襲い掛かっていた。
「う、うわああああああああああああああ！」
　そのため、近隣住民達がパニックに陥り、悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすようにして逃げていた。
　そんな近隣住民達を嘲笑うようにして、ダモクレスが協力なビームを放っていた。
　幸い、近隣住民達が命を落とすような事はなかったが、ダモクレスが我が物顔で暴れまわっているせいで、辺りの建物が破壊され、瓦礫の山と化していた。
　そのためか、まるで怪獣映画を観ているような感覚になっているものの、それがスクリーンの向こう側ではなく、現実の出来事であったため、このまま放っておく訳にはいかなかった。
「……なるほど、レーザービームというわけだ。映画の演出上ではカッコよくて憧れるけど、戦う相手をさせられる事を考えると、たまったものじゃないね。……あんな弾道、読めるわけないじゃん」
　瀬入・右院（夕照の騎士・e34690）が、警戒した様子で間合いを取った。
　ダモクレスは光線銃の部分が砲身のようになっており、一見すると多脚型戦車のような姿をしていた。
　その影響もあって逃げ惑う近隣住民達の中には、恐怖で腰を抜かしている者もおり、全く身動きが取れず、間の抜けた声を上げていた。
「それに、SF映画の光線銃って、フィクションだからこそかっこいい気がします。弾の軌道が早過ぎて見えない実弾銃と違って、軌道が光って見やすい、というのは画が綺麗ですしね」
　伊礼・慧子（花無き臺・e41144）が自分なりの考えを述べながら、避難し遅れた近隣住民に肩を貸し、ダモクレスから離れていった。
「コウ・セン・ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ！」
　その途端、ダモクレスがケルベロス達を威嚇するようにして、強力なビームを放ってきた。
　そのビームはアスファルトの地面をガリゴリと削りながら、ケルベロス達に迫ってきた。
「う、うわああああああああああああ！」
　そのため、慧子に助けられた近隣住民が悲鳴を上げ、崩れ落ちるようにして、アスファルトの地面に両手をつくと、這うようにして逃げていった。
「コウ、コウ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウ」
　その事に気づいたダモクレスが、ガチャガチャと足音を響かせ、近隣住民に迫っていった。
「元同胞として同じように返すこともできるけど、あえて違う手段をとらせてもらおうか♪」
　そう言って小柳・玲央（剣扇・e26293）がビームの光を遮るため、バイザーを装着すると、素早い身のこなしで距離を縮め、ダモクレスに反撃を仕掛けるのであった。

●ダモクレス
「コ、コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ！」
　その事に腹を立てたダモクレスが苛立った様子で、手当たり次第にビームを放ってきた。
　そのせいで、辺りの木々が次々と倒れ、ゴミ箱の中身が吹っ飛んだ。
「さすがに、あのビームはヤバイ……。間違いなく、ヤバイ。喰らったら、絶対に痛いだろうし、軽く流す事なんて出来ないだろうからさ」
　それを目の当たりにした右院が危機感を覚えながら、ダモクレスのビームを避けていった。
「コ、コ、コウセンジュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ！」
　だが、ダモクレスは執拗にビームを放ち、ケルベロス達を追い詰めていった。
「随分と機嫌が悪いようね。やっぱり、邪魔されたから……。それとも、別の理由……？　まあ、どちらにしても、私達を狙っている事は間違いないようだけど……」
　エリザベスが身の危険を感じながら、全身防御を発動させ、全方位からあらゆる攻撃に対処する構えを取った。
　それでも、攻撃を完全に防ぐ事が出来ないのではないかと不安になってしまう程、ダモクレスの攻撃は強力であった。
「コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ！」
　その影響で、みるみるうちに辺りの景色が変わっていき、アスファルトの地面が抉れて、穴だらけになった。
「コ、コ、コ、コウセン、ジュ、ジュ、ジュウウウウウウウウウウウ！」
　しかし、ダモクレスはまったく気にしておらず、変わり果てた姿になった街の中で、耳障りな機械音を響かせた。
「確かに、これは……危ないね。最近はダモクレス勢の大きな動きはないけれど、いつその時が来てもいいようにしておく必要があるから、ここで本格的に修練も仕上げていかないと……」
　玲央が自分自身に言い聞かせながら、スターサンクチュアリを展開した。
　それと同時に、地面に描いた守護星座を光り、仲間達を守護するようにして包み込んだ。
「とにかく、まずはビームを防ぐ事から始めた方が良さそうですね」
　その間に、慧子がステルスツリーを発動させ、魔法の樹を足元から呼び出した。
「命よ……もう一度！」
　それに合わせて、エリザベスが生命の歌（セイメイノウタ）を発動させ、生命を燃やす炎を生み出し、傷ついた仲間の身体を癒した。
「コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウ！」
　その事に気づいたダモクレスが爆発的に殺意を膨らませ、地響きを上げてケルベロス達に迫ってきた。
「私の相棒（鉄塊剣）を思いきり振るいたい気分だったんだ。君は飛び道具相手の修行にはもってこいだから……お相手、お願いするよ？」
　それを迎え撃つようにして、玲央が鉄塊剣を握り締め、ダモクレスに攻撃を仕掛けていった。
「コ、コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウウウ！」
　次の瞬間、ダモクレスが耳障りな機械音を響かせ、光線銃型のアームを幾つも伸ばして、鉄塊剣を弾き返した。
「そうこなくっちゃね。私の相棒も、喜んでいるよ」
　だが、玲央も負けてはおらず、逆にダモクレスを追い詰める勢いで、鉄塊剣を振り回した。
「コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウ！」
　ダモクレスも光線銃型のアームをブンブンと振り回し、物凄い勢いで玲央に迫っていった。
「何だか近寄り難い雰囲気だけど……。やっぱり、邪魔をしたら、悪いかな？？？」
　その雰囲気に飲み込まれそうになりながら、エリザベスがゴクリと唾を飲み込んだ。
「コ、コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウウ！」
　そんな空気を察したダモクレスが、まわりにいたケルベロス達を巻き込む勢いで、光線銃型のミサイルを次々と飛ばしてきた。
　光線銃型のミサイルはケルベロス達を威嚇するようにして、レーザー光線を当てつつ、アスファルトの地面に落下して大爆発を起こした。
　その影響で地面に開いた穴が、さらに大きくなっていき、身体の半分が埋まってしまう程の深さになった。
「君の攻撃も全て、私のリズムに取り入れてあげるね？」
　それと同時に、玲央がリズムを刻むようにしながら、光線銃型のミサイルを避け、鉄塊剣を扇に見立て剣舞のように振るって、ダモクレスにブレイズクラッシュを叩き込んだ。
「コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウウウ！」
　しかし、ダモクレスはまったく怯んでおらず、光線銃型のアームを振り回しながら、強力なビームを放ってきた。
「これ以上、仲間達を傷つけるようなら、俺も容赦はしないよ……！」
　その行く手を阻むようにして、右院が仲間達を守るようにして、紳士的な騎士としてカッコよく振舞い、レゾナンスグリードでブラックスライムを捕食モードに変形させ、ダモクレスを丸呑みした。
「コ、コ、コウセンジュウウウウウウウウウウウ！」
　その途端、ダモクレスが強力なビームを放ち、間一髪でブラックスマイルから逃れた。
「ふふ……、釘付けにしてあげる♪」
　それに合わせて、玲央が炎祭・彩音煙舞（マスクレタ）を発動させ、両腕の地獄から青い炎を分ける形で展開すると、青い爆竹を作り上げて、足元から鮮やかに火花を散らし、ダモクレスを足止めした。
「私達を敵に回した事が、そもそもの間違いでしたね」
　次の瞬間、慧子がドラゴニックミラージュを仕掛け、掌からドラゴンの幻影を放って、ダモクレスを焼き捨てた。
「コ、コウセン……ジュ……」
　その一撃を喰らったダモクレスがブスブスと煙を上げ、崩れ落ちるようにして動かなくなった。
「まだ動きそうな感じだけど……大丈夫よね？　いきなり動き出したり……しないよね？」
　エリザベスが不安げな表情を浮かべ、ダモクレスだったモノに近づいた。
　ダモクレスは今にも動きそうな雰囲気であったものの、先程の攻撃で完全に機能を停止させ、ピクリとも動かなかった。
　それでも、何かの拍子に動き出しそうな程、原型を留めていたため、動く事がない事が分かった後も、警戒心を解く事が出来なかった。
「それじゃ、倉庫の片づけを始めようか。光線銃だけじゃなく、ビーム剣もありそうだし……」
　そんな中、右院が仲間達に声を掛け、倉庫の中を片付け始めた。
　倉庫の中はダモクレスが暴れまわったせいで、ボロボロになっていたものの、ヒールを使えば修復する事が出来そうな感じであった。
　その中には光線銃だけでなく、作中に登場していたビーム剣や、宇宙船などもあり、それが未開封のまま、綺麗な形で残っていた。
　この様子では、メーカーが倒産した後も、処分される事なく、倉庫に放置されていたのだろう。
　その大半が売れ残ったもののようだが、だからと言って悪いデザインとは思えなかった。
「これとか、バスターライフルとして転用できそうですね」
　その間に、慧子がヒールを使って、破壊された場所を修復すると、奇抜な形の光線銃を手に取った。
　それは作中で敵が使っていたものだが、なかなか魅力的なデザインであった。
　おそらく、このまま持ち帰ったとしても、誰かが文句を言うような事はないだろう。
　そして、ケルベロス達は倉庫のまわりをヒールで修復した後、その場を後にするのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年4月6日 難度：普通 参加：4人 結果：成功！
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