ビルシャナは白の下着こそ至上と説く

作者:紫村雪乃


「女性の下着の色は?」
 街外れの倉庫の中。大きな声が響きわたった。
 声の主。男ではあるが、それは人間ではなかった。汚れた羽根に覆われた、鳥の化け物である。ビルシャナであった。
 そして、彼の前には異様な雰囲気を持つ十数人の集団があった。年齢は様々であるが、全員、男である。
「白」
 男たちがこたえた。信者である。
「そうだ。女性の下着は白に限る! それ以外は不要!」
 ビルシャナが喚く。そして命じた。
「純白の下着こそ至高! それ以外の下着を剥ぎ取り、白の下着をまとわせるのだ!」
「おお!」
 信者たちが叫び声をあげた。


「鎌倉奪還戦の際にビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はいった。
「悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が、今回の目的。このビルシャナ化した人間が周囲の人間に自分の考えを布教している所に乗り込む事になります」
「どのような考えなの?」
 問うたのは和泉・香蓮(サキュバスの鹵獲術士・en0013)という名のサキュバスであった。輝くような半裸の姿を惜しげもなくさらしている。
「女性の下着は純白こそ至高。それがビルシャナ化した人間の考えです」
「白の下着、ねえ」
 香蓮は薄く笑った。世も人も様々であるように、下着も様々であるのが良いのだ。
「ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、ほうっておくと一般人は配下になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれません」
 セリカはいった。ビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのようになってしまう。そうなれば厄介であった。
「インパクトのある主張、ねえ」
 悪戯っぽく香蓮は笑った。彼女の脳裏にあるのはサキュバスらしい考えだ。白以外の下着を見せつければいいというものであった。
「ビルシャナさえ倒せば一般人は元に戻ります。配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 香蓮の思惑など知らず、セリカはいった。
「ビルシャナの戦闘方法は?」
「破壊の光を放ちます。さらには炎も。そして経文を唱え、相手の心を乱します」
 周りにいる人間の数は十ほど。配下となった場合、多少は強化されるようであった。
「教義を聞いている一般人はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのはインパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれません」
 セリカはいった。やはり下着を見せつけ、挑発すればいいのだと香蓮は思う。
 ただ懸念すべきこともあった。下着を見せつけた場合、信者たちがどう出るかだ。
 信者にしてみれば誘われているも同じであろう。たまらず襲おうとする者もいるかもしれなかった。
「まあ、邪魔な信者たちをおさえておくためにも、彼らの相手をするのもいいかもしれないわね」
 うふふ、と香蓮は艶っぽく笑った。


参加者
日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)
アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)
シャルロッテ・シュトレリッツ(月ニ狂ヒシ獣・e12526)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)

■リプレイ


「女性の下着の色は?」
 街外れの倉庫の中。大きな声が響きわたった。
 声の主。男ではあるが、それは人間ではなかった。汚れた羽根に覆われた、鳥の化け物である。ビルシャナであっあ。
 そして、彼の前には異様な雰囲気を持つ十数人の集団があった。年齢は様々であるが、全員、男である。
「白」
 男たちがこたえた。
「そうだ。女性の下着は白に限る! それ以外は不要!」
 ビルシャナが喚く。そして命じた。
「純白の下着こそ至高! それ以外の下着を剥ぎ取り、白の下着をまとわせるのだ!」
「おお!」
 信者たちが叫び声をあげた。
 その時だ。倉庫の入口から四つの人影が飛び込んできた。
 日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)、アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)、シャルロッテ・シュトレリッツ(月ニ狂ヒシ獣・e12526)、盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)。ケルベロスであった。
「待ちな!」
 蒼いドレスをまとった冷然たる美貌の女が叫んだ。アルメイアである。
「何だ、貴様らは?」
 ビルシャナがケルベロスたちを睨みつけた。ふふん、と蒼眞は嘲笑う。
「誰でもいい。それより、つまらない説法はやめるんだ」
「つまらない説法だと?」
「そうだ。女性の下着は白だけに限るって……随時と拘りのない奴らだな。一口に下着といってもパンツなのかブラジャーなのか、パンツならパンティなのかドロワーズなのか、それこはそ褌なんかもあるけど、ただ白であればいいのか?」
「白であればいいのだ。すべからく白であればいいのだ」
「はん!」
 アルメイアが鼻を鳴らした。
「何の拘りか知らねーが、大体なんで下着の色まで他人に指図されにゃならねーんだ。何色だっていいだろうが」
「そうですわ!」
 華奢な少女が叫んだ。ジャージ姿であるのだが、隠しきれぬほど実った乳房が布を苦しそうに押し上げている。シャルロッテだ。
「あの、白も好きですが……私はこういうのも好きですわ」
 シャルロッテはバッグを開いた。中から取り出したのは、布の面積が異常に少ない黒の下着である。
 下着を手に、シャルロッテは信者たちを見回した。恥ずかしそうに頬を紅く染めているが、その銀瞳に宿っているのは狂的な飢えの光であった。


「白の下着もふわりは好きたけどー」
 妖精を思わせる可愛らしい少女が口を開いた。巫女姿であるのだが、袴ではなくミニスカートであるために、すべすべした太股と白の下着が覗いてしまっている。
「おおっ」
 信者たちがどよめいた。目がふわりの下半身に吸い寄せられている。
 当然だ。ふわりのような美少女の下着など、そうそう拝めるものではない。
「女の子にはいろんな色が似合うの!」
 そう告げると、ふわりは物陰に身を隠した。しばらくして姿をみせたふわりの肉体は妖しい黒の下着に包まれていた。
「女の子にはいろんな色が似合の!」
 そういいながら、ふわりは彼女に似合う可憐なピンクの下着に着替えた。ほう、と信者たちから溜め息がもれる。
「やめろ!」
 ビルシャナが叫んだ。すると、その前にアルメイアが立ちはだかった。
「変態鶏! ジャマすんなぁ!」
 アルメイアが携えているギターが折りたたまれ、変形。それは回転鋸型の芝刈り機となった。
「死ねえ、変態鶏! 貴様を綺麗サッパリ伐採してやる!」
 アルメイアが芝刈り機で薙ぎつけた。ビルシャナの身を覆う霊的防護ごと切り刻む。ビルシャナの黒血と汚れた羽毛が舞い散った。
「ぎゃあ!」
 悲鳴をあげると、ビルシャナは飛び退った。放つ光がアルメイアを焼く。
「変態鶏でもデウスエクスってわけかよ」
 怪光の威力に驚愕しつつ、それでも蒼眞は抜刀した。信者たちのことは無視し、ビルシャナのみを標的として襲いかかる。空の霊力をまとわせた一閃がビルシャナの傷をさらに切り広げた。
「くそっ」
 ビルシャナが再び怪光を放った。が、光は蒼眞に届く前に散りしぶいた。シャルロッテのミミックが防いだのだ。
 同じ時、シャルロッテが頭上にのばした指先に、満月にも似た光球が現出していた。癒しの力を秘めたエネルギー塊だ。
「癒やしは任せてくださいませ。思う存分、お働きを!」
 アルメイアめがけて光球を放つシャルロッテ。彼女が口にした言葉は激励ーーではない。叱咤であった。徹底的な利己主義者であるシャルロッテに他者を思いやる心はない。
「ちいっ。信者たちよ。ケルベロスどもを殺すのだ!」
 ビルシャナが命じた。が、信者たちは動かない。彼らの目は、下着に包まれた桃のような尻をいやらしく突き出すふわりの肉体に吸い寄せられていたのだった。


 誘うように、ふわりが尻をくねらせた。それが限界であった。
 信者たちがふわりに襲いかかった。その瑞々しい肉体を覆う小さな布切れを一気に剥ぎ取る。ふわりの輝くような裸身が露わにされた。
「ああん。慌てなくていいのー。ふわりのこと、好きにしていいからー」
 ふわりが信者たちに微笑みかけた。淫らな、しかし可憐な笑みだ。
 信者の一人がふわりの口を吸った。舌を差し入れ、ふわりの口腔内をなめまわす。さらに他の信者たちがピンク色の乳首、そしてへそ下の敏感な秘肉に舌を這わせ、転がし、吸い始めた。
「ああん。舐めるだけじゃダメなのー。もっとふわりのこと、愛してほしいのー」
 くぱぁと濡れた割れ目を開き、ふわりがおねだりした。信者たちだけでなく、仲間の目にも大事なところをさらしているが、気にした様子はない。いや、むしろ愛されている様を見て欲しかった。
「いっぱい可愛がってやるぜ」
 信者の肉棒がふわりの秘肉を貫いた。めちゃくちゃに突かれ、かき回され。気が狂いそうな快感にふわりは身悶えた。
「ああん! いいのー。こっちにも入れてえ!」
 ふわりは尻のすぼまりを開いてみせた。肉体がいやらしいことをして欲しくてたまらなくなっている。
 その願いに答え、信者がふわりの尻穴に肉棒を突き入れた。尻に激痛が、続き強烈な快感が走り抜ける。
「あ、ああ。あそことお尻でこすれていいのー」
 二穴を犯される様を大勢に見られ、見せつけ、ふわりは悶えた。
「きもち、いい……いいのぉ……あっ、ああん」
 信者たちの太いものを根元まで嬉しそうに咥え込みながら、それでも足りないとばかりにふわりは信者たちの肉棒を掴んだ。
「ああん。たくましいのがいっぱいなのー。あそことお尻はいっぱいだから、お口で愛してあげるのー」
 愛おしそうにふわりが肉棒に口づけした。くびれや裏筋に舌を這わせる。たまらず信者たちが腰の動きを速めた。
「あああっ! 射精して! ふわりのなかにいっぱい射精してえ!」
 ものすごい快感に背中を反らせながら、ふわりは絶叫し、絶頂をむかえた。同時に、信者たちもまたのぼりつめ、ふわりのなかに白濁液をぶちまけた。


「くそっ。信者どもめ、何をしている!」
 ビルシャナが炎を放った。蒼眞の身が焼け、人の肉の焦げる無気味な臭いが漂った。
「ーー焼肉」
 じゅる、とシャルロッテが唾を飲み込んだのは秘密だ。誤魔化すようにシャルロッテが蒼眞を癒やす。
「助かる」
 蒼眞が芸術的ともいえる斬撃を繰り出した。さらにアルメイアもまた舞いの如き華麗な一撃を放つ。
「ええい、邪魔だ!」
 怒号を発するビルシャナの目からまたもや怪光が迸り出た。が、それは再びミミックによって防がれてしまう。さすがにミミックは昏倒してしまったが。
「よくもやってくれましたわね!」
 一瞬で間合いをつめると、シャルロッテはゾディアックソードを薙ぎおろした。
 無造作とも見える一閃。が、剣には星座の重力が秘められていた。とてつもなく重い一撃にビルシャナが吹き飛ぶ。
「はっ!」
 瞠目したアルメイアが声をもらした。繊細清楚な外見のシャルロッテが、まさかビルシャナを吹き飛ばすほど重い一撃を放つとは思っていなかったからだ。
「やるじゃねえか」
「つい、うっかり」
 シャルロッテが気恥ずかしそうに笑った。が、その目が笑っていないことにアルメイアは気づいていた。
「うっかり、か。よくいうぜ」
 苦く笑うと、アルメイアはビルシャナに視線をむけた。
 次の瞬間である。ビルシャナの身が爆発した。
 恐るべし。アルメイアは思念を凝縮させることにより、対象を爆破することが可能な超能力者なのだった。
「う、うう」
 ビルシャナはよろめいた。もはや瀕死の状態である。が、それでも死力を振り絞り、ビルシャナは怪光を放った。
 迸る白光は、さすがに強力無比だ。アルメイアですら避け得ない。
 怪光がアルメイアを撃った。凄まじい衝撃にアルメイアの肉体が軋んだ。ドレスが裂け、薄いブルーの下着が覗く。
「ちっ、やりやがったな!?」
 アルメイアがビルシャナを睨みつけた。たまらないのは蒼眞である。なまじふわりの裸身を見ているだけに、アルメイアのそれも想像してしまうのだった。
「下着よりも、脱がせて、その奥を見る方が重要なんだが」
 アルメイアの下着から無理やり視線をもぎ離すと、蒼眞は刃をたばしらせた。霊力によりあらゆるものを切断する威力を与えられた一撃が空間ごとビルシャナを斬り裂く。ビルシャナの断末魔の叫びが倉庫を震わせた。


 戦いは終わった。信者たちはビルシャナの魔力が解けたのか、それともふわりを犯したことが気まずいのか、早々に倉庫から逃げ出してしまっている。あとには、白濁液にまみれ、息も絶え絶えになっているふわりのみ横たわっていた。
「白の下着、か」
 剥ぎ取られて地に落ちているふわりの下着を見やり、ぼそりと蒼眞はつぶやいた。
「清潔感があるし、清楚な感じがしていいよな、やっぱり。スカートめくりやらで初めて見る女の子のパンツなら大抵は白だろうし。懐かしさみたいなものもあるのかもな」
「しかし」
 アルメイアはビルシャナの亡骸を一瞥すると、
「ああいうのがアタマになって意識統合とかされたらどーなんだろうなあ」
「もしかするとユートピアとは、そのようなものかもしれませんわね。恐ろしいですけれど」
 シャルロッテは小さく身を震わせた。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年4月7日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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