春の甘夏

作者:崎田航輝

 心地良い風の吹き抜ける初春。
 仄かに暖かくも爽やかな空気に、甘酸っぱい芳香を漂わす園があった。
 眩いほどの橙色の、瑞々しい果実を生らすそこは甘夏みかんの農園。春に旬を迎えるその果実は、今が食べ頃とばかりに鮮やかな色を見せている。
 実際、丁度収穫時期でもあり──新鮮な果実が近くのカフェを始め、様々な所へと直送されているさなかでもあった。
 と──そんな農園を見下ろす空から、不意に降ってくるものがある。
 それは謎の胞子。
 ふわふわと、園にある果樹に取り付くと、一体化。俄に蠢き出していた。
 農園の者や、道行く人々は突如這い出たその影に驚愕して逃げ出そうとする。
 けれど異形となったその果樹は、獲物は全て喰らいつくすというように。人々へと襲いかかり、その命を刈り取っていった。

「攻性植物の出現が予知されました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
 とある農園では、丁度甘夏が旬を迎えているという。攻性植物となってしまうのはその果樹なのだと言った。
 シルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)はそう、と微かに眦を下げる。
「警戒していた通りのことが起こってしまったみたいね」
「ええ。ただ、シルフィアさんのお陰で察知できたことで、この凶行を防ぐことが出来ます」
 是非皆さんの力を貸してください、とイマジネイターは声音に力を込めた。
 現場は大阪市内。
「爆殖核爆砕戦より続く流れが、未だ絶えていないということでしょう」
 攻性植物は、立ち並ぶ果樹の間から出てくる。
 無論、人を狙うだろうが……今回は警察や消防が避難活動を行ってくれる。こちらが現場に到着する頃には、丁度人々は逃げ終わっていることだろう。
「私達は敵の撃破に集中すれば良いのね」
「ええ。農園の中の広いところで待ち伏せ、戦闘をすると良いでしょう」
 それによって被害も抑えられますから、とイマジネイターは続ける。
「無事に勝利できた暁には、皆さんも旬の味を楽しんでいっては如何でしょうか」
 近隣にカフェがあるのだが、そこが丁度農園の甘夏を使ったメニューを提供している。
 パウンドケーキやタルト、チーズケーキやパンケーキに……コンポートやクレープシュゼット、マフィンなども揃っており、色々な形で味わえるといった。
 シルフィアは頷きを返す。
「そのためにも、先ずは敵を倒さないとね」
「皆さんならばきっと勝利できますから。ぜひ、頑張って下さいね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)
ヴァルカン・ソル(龍侠・e22558)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)
シルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)
ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)

■リプレイ

●春園
 春めいた涼風に入り混じる、淡い薫り。
 農園を訪れたエニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)は、その果実を望みながら空気をいっぱいに吸い込んでいた。
「んー……! 甘夏の香りが食欲を掻き立たせてくれますわね!」
「ふむ。確かに……芳しい」
 静かに頷くヴァルカン・ソル(龍侠・e22558)も、艷やかな橙色を見やりながら呟く。
「きっと丹精込めて作られたのであろうな」
「ええ。農家さん達が心を込めて育てたことが、見ているだけで伝わってくるようです」
 と、翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)も麗らかな陽を溶かした銀朱の瞳に、並ぶ木々を映しながら。
 その視線を、ふと一点に留めていた。
「それをこれ以上荒らされないためにも……参りましょう」
 見据える木立の間。
 そこから這い出る巨影が垣間見えていた。
 異形と化した、甘夏の果樹。蠢くように根を動かし、得物を求めて前進している。
 はためく枝葉に揺れる果実。キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)は戦いの姿勢を取りながらも、ふと声を零した。
「……香りが、より広がりそう……」
「その猶予すら与えぬさ」
 ヴァルカンはすらりと澄んだ刃を抜く。
 翠に溢れる眺めは景観としても美しくて、故郷を思い出す──故にこそ。
「無粋なデウスエクスよ。貴様らにくれてやるものは、ここには何一つ無いと知れ」
 刹那、地を蹴って低空を翔けると一刀、雷光纏う鮮烈な初撃を一体へ見舞った。
「皆々も続いてくれ」
「勿論ですわ。敵はさっさと処分して、世間より一足先に美味を堪能したいものですの」
 故に手加減不要、と。エニーケも高速で駆け、紅の両刃斧で敵陣を薙いでいく。
 狂樹達はその衝撃で敵意を顕にし、這い寄ってきた。
 が、その毒手よりも疾く吹き抜ける風が一つ。
「まだまだ、好きにはさせナイよ」
 彩雲色の髪を靡かせながら、拳を握り込むキソラ・ライゼ(空の破片・e02771)。神速の打突で空気を撓ませると、強烈な振動を生み出し敵を押し止める。
「さ、次だ」
「了解です!」
 真っ直ぐな声音と共に、素疾く駆け抜けるのはジェミ・ニア(星喰・e23256)。
 白雪の髪をふわりと揺らして跳ぶと、刃に閃光を湛えて跳躍。眩い稲妻を落とすかのよう、苛烈な突き下ろしを加えてみせた。
 枝を裂かれながらも、その一体は酸を飛ばす、が。
「通させはしないとも」
 ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)が脚部に圧力をかけ、生まれた反動で剛速を得て疾駆。
 敵の面前へ入ると、機巧の巨躯を以て衝撃を真っ向から引き受ける。
 直後には風音が蔓を踊らせ、色彩溢れる花々を咲かす。滴る甘露が傷を癒やし、護りの加護を与えると──。
「シャティレ、支援をお願いね」
 風音のその声に鳴いて応えた匣竜が花薫る春風を吹かせて仲間を防護。
 キリクライシャも生命力溢れる枝葉を伸ばし、黄金の林檎を結実させて。甘く爽やかな薫りで後方に護りを広げた。
「……これで、問題はないはずよ」
「攻撃は任せてね」
 と、軽く蹄を鳴らすのはシルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)。拍を取るように息を整えると、美しい声音でメロディを紡ぎ出していた。
 自身の危惧していた敵が相手だからこそ。共に戦ってくれる仲間のためにも、負けることは出来ないから。
『──』
 悠久を謡う旋律を異形の精神にまで響かせて、力強くも妖艶に敵陣を縛り付けてゆく。
 その一瞬に、ディミックは腕部機巧を輪転させて鎖を射出。一体の幹を締め付けて抑えていた。
 他方の二体は俄に動き始めてもいる、が。
「そちらも頼めるかねぇ」
「ええ」
 ディミックに応えたエニーケが、オーラで生成した戦旗を掲げていた。
「植物にも感情があるのでしたわね。どんな怖がり方をするのかレイシストたる私に見せてくださいな♪」
 ほら涙が止まりませんわよ、と。
 大きく旗を振るうと、比類なき勇壮さが拭えぬ畏怖を与える。『ヴィクトリアフラッグ』──薙ぎ払う衝撃も相まって、敵は反撃の威勢を失った。
 その間隙に、キソラが赤焼けの焔を抱いた蹴撃を一体へ叩き込み。
「あと、頼むな」
「……ええ」
 頷くキリクライシャが蔓を滑らせ一撃。巨樹を砕いて四散させた。

●決着
 青空に葉の擦れる音が響く。
 二体に減じた狂樹は、未だ殺意を衰えさせずに激しい嘶きを劈かせていた。
 その獰猛な姿にジェミは仄かに眦を下げている。
「しかし、美味しい甘夏さんが何ということでしょうか……」
「樹に罪はねぇンだけどなぁ」
 キソラも微かに息をついていた。
 食べ物は大切にする性分でもあるが故に、実のなる樹を攻撃するのは今でも些かの抵抗はあるから。
 けれど、それと手を緩めることは別の話。
「ま、見過ごすワケにゃいかねぇしな」
「……そうですね」
 風音も一度瞑目しながら、すぐに澄明な視線で見据える。
 甘夏の木々も、人々を襲う事は望まなかっただろう。それでも数多の命を護るためには。
「しかと止めましょう」
「うむ。そうさせてもらうとするかねぇ」
 頷くディミックは赤色硫化水銀の結晶を媒介に、魔力を巡らせ眩く輝かせていた。
 刹那、光に招かれたのは烈しい砂嵐。
 鉱石魔法『海鳴る辰砂』──渦を成す紅き熱狂は、欲望を暴き立てるように理想郷の姿を魅せる。同時に砂塵へ崩れ去ることで心を砕き、魂に消せぬ傷を刻みつけた。
 よろめく一体へ、ジェミも奔っている。
 白熱するエネルギーを煌めかせ、刃へ圧縮し凝集。放つ裂帛の一撃は『Egret』──白鷺が翔び抜けるよう、鮮麗で熾烈な斬閃を繰り出していた。
 傾ぐ樹木へ、エニーケは既に陰から砲塔を向けている。
「あなた達には間引きが必要ですのよ。大人しく処分されてくださいな」
 両脇両腰、四つの砲口から放たれる火力と光の応酬が巨樹を空中へ煽った。
 そこへキソラが降らすのは『彩焔ノ玻璃』。
 刺せ、と。仰ぐ空から注ぐそれは焔宿す玻璃の針。凍てる尖端が炎ごと命の温度を奪い、その一体を朽ちさせた。
 残る一体は退かず果実を揺らしている。
 その挙動をじっと見つめたキリクライシャは……傍らのテレビウム、バーミリオンへ向いた。
「……リオン、念のためにあなたも傘を」
 応じたバーミリオンがオランジェット柄の傘を、キリクライシャも花模様の一本を開くと──直後に敵が果実を発射。弾けた甘夏が果汁を飛散させる。
 ぽたぽたと傘から垂れる雫を見つつ、キリクライシャは傘を下げた。
「……防げたみたいね」
「すぐに癒やしますね」
 それでも衝撃による傷が残っていると見れば──風音がそっと息を吸い、清らかな唄声を風に乗せていた。
 『花と春の二重唱』──花と春の女神が歌い踊る様を描くその歌は、心を踊らせ、命の喜びを呼び込むように。花の色彩も舞わせながら心身を癒やしきった。
 戦線が万全となれば、シルフィアは蹄を鳴らして駆け始めている。
「さぁ、突撃だよ、その身体を粉砕してあげる!」
 風の唸りを伴って、空気を壁をも突き破る速度で一撃。強烈な打突で巨樹の幹に罅を入れていた。
 連撃で、シルフィアは零距離から魔法の知恵の輪を解き放ち。
「竜の雷よ、敵を痺れさせよ!」
 畝る雷光の塊を放って巨樹の挙動を封じ込めていく。
 生まれた隙に、ディミックが光ファイバーより阿頼耶識を顕現。後光の如き光の流線を舞わせて枝葉を粉砕していけば──。
「さあ、次の一撃を」
 そのディミックの声に頷くキリクライシャが『林檎剥』。果実の皮を削ぐように、刃で樹皮を斬っていた。
 ふらつく敵へエニーケが電動刃“神斬鋸”を駆動。幹を寸断すると──倒れゆく巨樹に、ヴァルカンが獄炎を立ち昇らせている。
「これで、終わりとさせてもらおう」
 波打つ地獄が変貌するのは炎の巨龍。
 『獄炎・昇龍』──宙を翔けて顎で敵を捕らえたそれは、滾る牙で一撃。巨樹を砕き、跡形もなく燃やし尽くした。

●甘夏
 仄かな香りが鼻先を擽り、テラスの外には緑豊かな景色も見えた。
 戦闘後、農園を修復した番犬達は早速カフェを訪れている。ヴァルカンは席につくと、メニューを眺めてからケーキとタルトを注文した。
「これは確かに、甘夏が存分に使われているな」
 テーブルに置かれた皿を見て、切れ長の瞳に感心を浮かべる。
 ケーキはたっぷりのクリームと共に、瑞々しい橙色がふんだんに挟まれていた。タルトは艷やかな果実で生地が覆われ眩しいほど。
 早速一口食べると、甘いクリームに新鮮な酸味が良く合って。タルトは果汁とはらりとほどける生地が相性抜群だ。
「美味だな」
「こちらも、とても美味しいですわよ」
 と、傍の席ではエニーケも実食中。とことん味わおうと複数の品を並べ、その甘味を愉しんでいるところだ。
 ナイフで切りつつ口に運ぶパウンドケーキは、ほわりとした口溶けが美味。
 リキュールの効いたコンポートは大人の味で、シャーベットはさっと溶けて甘酸っぱさが吹き抜ける爽やかな味。
 他にもケーキ類を食べつつ、果汁のドリンクにも満足げな頷きを見せていた。
 ヴァルカンも気になった品は頼みつつ──土産も一緒に選ぶ。
 エニーケは気づいて視線を向けた。
「お土産ですの?」
「ああ。妻へ買っていこうと」
「宜しいですわね。これなどオススメです」
 と、エニーケは持ち帰りやすいパウンドケーキ等を勧める。
「今度お店にも誘ってあげるとよろしいですの」
「それも良いかも知れないな」
 ヴァルカンは頷きつつ、勧められたものと二、三の品を購入。綺麗に包んで貰い、帰路につくことにした。

 ジェミはお品書きを広げ、瞳をわくわくと燦めかせていた。
「どれも美味しそうですね……!」
「ああ、ホントだ。迷うくらいだな」
 と、隣に着くキソラも、色彩豊かな写真に視線を右左。美しい盛り付けに感心を抱き、見たことのない料理に驚きも見せている。
 同席するシルフィアも心同じく頷いていた。
「どれにしようかな。あ、甘夏を使ったパンケーキとか美味しそうだね」
 そして気に入ったものがあれば、注文。
 ジェミもまた、んー、と悩んでから……紅茶とチーズケーキを頼んだ。
「じゃ、オレはコッチから」
 と、キソラは軽食からナッツパイとサラダを注文。少しの後、テーブルにやってきたそれをじっと見つめた。
「見た目も綺麗だな」
 パイはかりっとしたきつね色に焼かれ、仄かな甘夏の果汁が爽やかな香気を感じさせる。
 サラダはアボカドと海鮮に早摘みの果実と果汁を加えて、シトラス風味に仕立てられていた。
 それを目で楽しみ、写真に残したら早速一口。
 パイは小気味好い歯ごたえで、サラダは酸味が快く。甘いものが苦手なキソラも自然の甘味は楽しめた。
「故郷は蜜柑の産地だけど、ソレとは全然味も違うよなぁ」
「柑橘系は似てるけど全部違うのが良いですよね!」
 と、ジェミは甘夏のジャムを紅茶に落としている。
 甘酸っぱいものが大好きなジェミにとっては、甘夏も勿論好物。故に一口すすると、立ち昇る香りにほう、と幸せな吐息をしていた。
 チーズケーキはたっぷり果汁が練り込まれ、表面のソースも綺麗なオレンジ。フルーティーな香りに誘われ口に運ぶと、滑らかなチーズの舌触りに酸味がベストマッチだ。
「美味しいです……!」
「パンケーキも美味しいよ」
 シルフィアもはむりと口にしつつ、笑みを浮かべている。
 パンケーキは生地に果汁が含まれていて、ほわほわの食感に丁度よい酸味が映えていた。
 生クリームと一緒に果実も添えられていて、一緒に食べると甘味と瑞々しさが相まってどんどん食が進んでしまう。
「それも美味しそうですね! シェアしません?」
 ジェミが言えば、シルフィアも頷いて交換しつつ。同時にお持ち帰りメニューもジェミはしっかりチェックしていた。
「こういう美味しいものは家族にも食べさせたいよね……。お土産、何が良いかな?」
「食べたの美味しかったし、それを買って帰ろうよ」
 シルフィアが応えると、ジェミは頷いてチーズケーキを選択。勿論パンケーキも一緒に買うことに決めると、シルフィアもそれを買うことにしていた。
 キソラもメニューを見つつ、成程と頷いて。
「何か持ち帰るのもイイかもな」
 どのお土産にしようかと、ゆっくりと考え込むのだった。

 風音はシャティレと一緒にメニューを選び中。
「甘夏の料理、見た目にも綺麗で美味しそうですね──」
 色味の綺麗な品々に瞳を遊ばせつつ、気になったものが見つかれば。
「クレープシュゼットと……シャティレはタルトにしてみる?」
 ぴゃう、とシャティレが応えるのでそれを注文。
 果実の皮と果汁で美しい橙になったクレープと……沢山の甘夏できらきら光るタルトを見て微笑んだ。
「甘夏の味と穏やかな春の空気、楽しみましょうか」
 早速頂くと、クレープシュゼットはカラメルの甘味と甘夏の風味が優しい生地に溶け込んで美味。
 シャティレは宝石のように綺麗な甘夏の果実に興味津々で──それを生地と一緒にはむりと齧れば、翼をぱたりと揺らがせ上機嫌を表していた。
 ふふ、と風音はそんなシャティレに笑みかけて。
 暫し、春風の中でゆったりと時間を過ごしていった。

「……マフィン。これに、しましょうか……」
 席についたキリクライシャは、メニューの美味しそうな写真にそわそわ。早速注文して、マフィンをそっと口に運んでいた。
 爽やかな香りに、しっとりとした口当たり。甘味と穏やかな酸味が広がって、紅茶を飲むと後味に魅了される。
 それをお土産にすることに決めると、他にもと再度お品書きを見やる。
「……果実感を楽しむなら、どれがいいかしら」
 視線を隣に移すと、バーミリオンが傘を示していた。
「……オランジェット? 甘夏で?」
 それに頷いてみせるバーミリオン。
 キリクライシャは最初、あるだろうかと疑問だったけれど……お持ち帰りメニューに名が連なっているのを見れば、すぐに購入して。
「……後で、食べましょう」
 綺麗に包んで貰ったそれを手に、帰り道についていった。

「成程、多彩な品があるのだねぇ」
 ディミックはメニューに並ぶ名に物珍しげだ。
 まだまだ地球に下りてより日が短い事もあり、食の場でも新しい発見の日々。
 故に今日も例外でなく、熟考した後──素材そのままの魅力があるタルトと、逆に良く活かされたものとしてクレープシュゼットを注文していた。
「うむ」
 これは確かに、と。
 タルトを食べると、溢れる果汁の新鮮さに、果実そのものの美味を感じ。クレープシュゼットを口にすれば、皮と果汁、リキュールで逸品に仕上げられた手腕に感嘆した。
 甘酸っぱさに存分に舌鼓を打った後は、お土産も選択。
「ここはやはり、甘夏がいいねぇ」
 日持ちがするとも聞いていたから、果実を箱入りで購入して。これで暫くは美味の続きを楽しめるだろうと、暖かな陽の下を帰路に向かっていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 1
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