暴走カメラを撃退せよ!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
 恥ずかしい写真ばかりを撮っていたカメラがあった。
 そのカメラは、あるエロ仙人(自称)が愛用していたモノだったが、彼が亡くなった事で倉庫に放置されたまま、深い眠りにつく事になった。
 そこに蜘蛛のような姿をした小型ダモクレスが現れ、カメラの中に入り込んだ。
 それと同時に、機械的なヒールによってカメラが作り変えられ、家電製品っぽい雰囲気のダモクレスに変化した。
「エロ・エロ・エロロロォォォォォォォ!」
 次の瞬間、ダモクレスが奇妙な鳴き声を響かせ、倉庫の壁を突き破ると、その場にいた一般人達に襲い掛かっていくのであった。

●セリカからの依頼
「盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)が危惧していた通り、都内某所にある倉庫でダモクレスの発生が確認されました。幸いにも、まだ被害は出ていませんが、このまま放っておけば、多くの人々が虐殺され、グラビティ・チェインを奪われてしまう事でしょう。そうなってしまう前に、何としてもダモクレスを撃破してください」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ダモクレスが現れたのは、都内某所にある倉庫。
 この倉庫にはエロ仙人が収集したお宝コレクション等もしまわれているが、親族にとっては存在自体が黒歴史と言った扱いのようである。
「ダモクレスと化したのは、恥ずかしい写真ばかりを撮っていたカメラです。このままダモクレスが暴れ出すような事があれば、被害は甚大。罪のない人々の命が奪われ、沢山のグラビティ・チェインが奪われる事になるでしょう」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
 資料にはダモクレスのイメージイラストと、出現場所に印がつけられた地図も添付されていた。
 ダモクレスは巨大な蜘蛛のような姿をしており、グラビティ・チェインを求めて攻撃を仕掛けてくるようだ。
 しかも、様々なアングルから恥ずかしい写真を撮ろうとするため、色々な意味で注意をしてほしいという事だった。
「とにかく、罪もない人々を虐殺するデウスエクスは、許せません。何か被害が出てしまう前にダモクレスを倒してください」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ダモクレス退治を依頼するのであった。


参加者
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)
フォルティ・レオナール(桃色キツネ・e29345)
リンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)
サリナ・ドロップストーン(絶対零度の常夏娘・e85791)

■リプレイ

●倉庫前
「この場所は何だか怪しげな雰囲気がプンプンするの!」
 盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)は警戒心をあらわにしながら、仲間達と共にダモクレスが確認された倉庫にやってきた。
 この倉庫はエロ仙人を自称していた老人が所有していたモノで、『この世のエロをすべて集めてきた!』と言わんばかりにエログッズが外まで溢れていた。
 そのため、一見すると秘宝館と見紛うほど怪しく、色々な意味で近寄り難い雰囲気が漂っていた。
 それが原因でエロ仙人の家族から黒歴史として扱われているらしく、倉庫にあったモノも処分される事なく放置されているようである。
 そのおかげであって、誰も近づく者がいないものの、ダモクレスが倉庫から飛び出したら、最後……。
 グラビティ・チェインを求めて、街に繰り出してくる可能性が高いため、何としても阻止する必要があった。
「あぁ、なんてーか……鳥になりそうな人の愛用品だったみたいなんだねー。持ち主の生前の趣味が変わることなく引き継がれちゃったかー……。でも、これに襲われちゃうのはフツーの人は遠慮したいとこだろうね。だって、自分の恥ずかしい写真を撮られる最期ってことだから……」
 フォルティ・レオナール(桃色キツネ・e29345)が、何やら察した様子で乾いた笑いを響かせた。
 事前に配られた資料を見る限り、ダモクレスは相手を恥ずかしい格好にした上で、写真を撮りまくっているらしく、ふたつの意味で相手を絶望のどん底に突き落とし、グラビティ・チェインを奪っているようである。
 そのため、例え命が助かったとしても、社会的には死を迎えているような状況に陥ってしまうため、何としてもダモクレスの暴走を食い止める必要があった。
「……というか、エロカメラの倉庫って、超ヤバくない? 見るからに怪しいと言うか、通報されても、文句を言えないよね……?」
 そんな中、リンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)が、気まずい様子で汗を流した。
 一言で言えば、倉庫と言うより、秘宝館。
 しかも、自分の性癖を包み隠さず、曝け出しているため、家族達にとっては、地獄以外の何物でもなかっただろう。
 それだけ、エロ仙人(自称)に金と権力があったのかも知れないが、家族の間で黒歴史扱いされている事を考えると、尊敬に値する人物で無かった事は間違いない。
「ひょっとして、お祭りでカメラを担いでくるような人だったのかな? 空気を読まずに撮影するようなマナー違反の人だったのかも……」
 サリナ・ドロップストーン(絶対零度の常夏娘・e85791)が水法被に褌で、何処か遠くを見つめた。
 そもそも家族に迷惑をかけるような人物なのだから、キチンとマナーを守っていたとは考えにくい。
 そんな人間であれば、わざわざ秘宝館の如く、自分の性癖をまわりに晒したりする訳がないのだから……。
 それでも、変態紳士の間では、名の知れた人物であったらしく、それなりに慕われているようだ。
「ボウ・ボウ・ボウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
 次の瞬間、ケモノにも似た機械音を響かせ、ダモクレスが倉庫の壁を突き破り、ケルベロス達の前に姿を現した。
 ダモクレスはクモのような姿をしており、複眼の部分がカメラのレンズの如く、不気味な光を放ってギョロめいた。

●ダモクレス
「何だか物凄く視線がいやらしいんだけど……」
 その途端、サリナがダモクレスの視線に気づき、警戒心をあらわにした。
 ダモクレスは身を屈めるようにしながら、複眼をギョロギョロさせ、ローアングルからサリナの股間を凝視していた。
 それはまるでエロ仙人(自称)の意志がダモクレスに憑依したのではないかと思ってしまう程、卑猥で不気味ッ!
「まずは私で一枚どうー!?」
 そんな中、フォルティが行く手を阻むようにして、ダモクレスの前に陣取った。
「ボウ・ボウ・ボウッ!」
 その挑発に乗ってサーフィンをするような勢いで、ダモクレスが一気に距離を縮め、カメラアームを使って、フォルティの両手両足をガッチリと掴み取った。
「……えっ?」
 これにはフォルティも驚き、反射的に悲鳴を上げたものの、ダモクレスは全く気にせずカメラアームを巧みに動かし、恥ずかしいポーズを取らせて、カメラのシャッターを切りまくった。
 そのポーズは選りすぐりの変態紳士だけが分かる高レベルなモノ。
 一見すると、普段着のまま恥ずかしいポーズを取らされているだけなので、インパクトに欠けるのだが、選りすぐりの変態紳士であれば、それだけで御飯を3杯イケるほどのエロスを秘めていた。
 おそらく、この場にエロ仙人(自称)がいれば、涙を流しながら拝み始めた事だろう。
 そのエロスは一般人にはまったく理解する事が出来ないものの、選りすぐりの変態紳士達にとっては、全米が泣いたレベルでハイレベルのモノだった。
「悪い事をしたら、ダメなのー!」
 それを目の当たりにしたふわりがジグザグスラッシュを発動させ、ナイフの刃をジグザグに変形させた後、ダモクレスのボディを斬りつけた。
「カメ・カメ・カメェェェェェ!」
 その一撃を喰らったダモクレスがバランスを崩し、フォルティを放り投げるようにして手放した。
「……これは油断できない相手だね」
 その事に危機感を覚えたサリナが、即座に紙兵散布を発動させ、団扇で扇いで霊力を帯びた紙兵を大量散布し、仲間達を守らせた。
「でも、大丈夫。これでもママだからね、そう簡単には倒れてやらないよ!」
 それに合わせて、フォルティがダモクレスをジロリと睨みつけて、焔に包む瑪瑙(ファイヤーアゲート)を発動させた。
「それじゃ、ちょっとトラウマになってもらおうかなぁ♪」
 リンスレットが能天気な笑みを浮かべ、ダモクレスにトラウマボールをブチ当てた。
「ボウ・ボウ・カメ・カメ!」
 その途端、ダモクレスが悲鳴にも似た機械音を響かせ、ビクビクと身体を震わせた。
 おそらく、何か悪夢を見ているのだろう。
 その悪夢から逃れるようにして、手当たり次第に身体をぶつけ、あちこちのパーツを飛ばしながら、近くにあった消火栓にぶつかった。
 それと同時に大量の水が噴水の如く噴き出し、ケルベロス達の身体が、びしょ濡れになった。
「うわ……、びしょびしょ」
 その水をモロに浴びたサリナが、ボディラインが透けるほど身体を濡らして、たじろいだ。
「カメ・カメ・カメラァァァァァァァァァァァァア!」
 それに気づいたダモクレスが興奮した様子で、ありとあらゆるアングルから、シャッターを切って、切って、切りまくった。
 幸い、不自然な煙と、謎の光が味方してくれたものの、ダモクレスの暴走は収まらず、カメラアームをワシャワシャさせ、ふわりの身体を持ち上げた。
「この恰好はダメなのー! 見えちゃイケないところが、みんなに丸見えなのー!」
 ふわりがカメラアームに両脚を掴まれ、開脚状態のまま恥ずかしいポーズを撮られまくった。
「まぁ、別に何も感じないけどねぇー。それに、ここで嫌がったら、余計に興奮するだけだと思うし……」
 フォルティもカメラアームで自由を奪われ、恥ずかしいポーズを取らされたものの、許容の範囲内であったため、精神的にはノーダメージであった。
「カメ・カメ・カメェェェェェェェェェェェェ!」
 だが、ダモクレスは、大興奮ッ!
 フォルティが下着を身に着けていなかったため、暴走全開フルスロットルとばかりに爆音を響かせた。
「やっぱり、エロ仙人さんが憑依しているのかなぁ? 絶対に、そうだよね? だって、アームに使い方が、凄くいやらしいし……!」
 それを目の当たりにしたリンスレットがドン引きした様子で、ダモクレスに螺旋掌を仕掛け、螺旋を籠めた掌で軽く触れ、ダモクレスにタメージを与えた。
「だったら、絶対に成仏させてあげないとね……!」
 次の瞬間、サリナが舞い踊るようにしながら、団扇を構えてスパスパとダモクレスのボディを斬りつけた。
「……これで迷わず成仏してね」
 それに合わせて、フォルティが旋刃脚を仕掛け、ダモクレスを蹴り飛ばした。
 その拍子に、ダモクレスの腹部があらわになったため、ケルベロスが連携を取って、木っ端微塵に破壊した。
「それじゃ、倉庫を見学なのー! みんな、出発なのー!」
 すぐさま、ふわりがゴキゲンな様子で、倉庫の中に入っていった。
「うわ、これは……」
 その途端、サリナがドン引きした様子で、エロ仙人が遺した遺産を見上げた。
 それは変態紳士達にとっては御宝であったが、普通に見れば歪んだ性癖の集大成。
 思わず、表情が御通夜になってしまうほど、アレなコレクションが、ケルベロス達の前にズラリと並んでいた。
「せっかくだから、これを使って撮影会をするのー!」
 ふわりがイケない道具を握り締め、仲間達に声を掛けた。
 倉庫の中にはイケナイ道具だけでなく、卑猥なコスチュームも沢山あった。
 そのため、ふわりの脳裏がイケナイ事で埋め尽くされ、妄想の中で恥ずかしいポーズを取った状態で、沢山のオトコ達に囲まれ、写真を撮られまくっていた。
「ねぇ、こっちにはエロ紳士達の連絡先があるわよぉ♪ せっかくだから、みんな呼んじゃう? ここで撮影会を始めちゃう?」
 リンスレットが机の上にあった手帳を見つけ、仲間達の返事を待たず、連絡をし始めた。
 変態紳士達が上機嫌な様子で答えを返し、自分達の神器(?)を携えて、倉庫に集結する事を約束してくれた。
「ところで、さっき撮られた写真は、どうなったんだろ? まさか、この中……? この中にあるの!?」
 そんな中、フォルティがダモクレスのブラックボックスを見つけ、気まずい様子で汗を流した。
 おそらく、写真は、この中。
 だが、蹴っても、踏んでも、叩いても、ブラックボックスの中から、写真を撮る事は出来なかった。
 その間に、変態紳士達がイイ笑顔を浮かべながら、倉庫に集結するのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月23日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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