ホワイトチョコを、ぶっかけるこそ至高である!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「俺は常々思うんだ! ホワイトチョコを、ぶっかけるこそ至高である、と! だって、そうだろ! これからの時代、ミルクより、ホワイトチョコだ! そのため、俺はホワイトチョコを買い占めた! もちろん……大人買いだ! そして、俺は……この施設をホワイトチョコレートの楽園に変えた! それは俺にとって……いや、お前達にとって楽園ッ! 楽園そのものだ! だからこそ、俺は言いたい! ホワイトチョコを、ぶっかけるこそ至高である、と! そして、お前達には、その資格がある、と!」
 ビルシャナが廃墟と化した施設に信者達を集め、自らの教義を語っていた。
 施設の中はホワイトチョコにまみれ、むせ返るほど濃厚な甘いニオイに支配されていた。
 その中でビルシャナ達はホワイトチョコをぶっ掛け合い、恍惚とした表情を浮かべていた。

●セリカからの依頼
「フラジール・ハウライト(仮面屋・e00139)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが拠点にしているのは、廃墟と化した施設。
 この施設はビルシャナによって、ホワイトチョコまみれになっており、侵入者を見つけると、問答無用でホワイトチョコをぶっ掛けてくるようだ。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 信者達は洗脳されており、ビルシャナの言葉を鵜呑みにして、ホワイトチョコをぶっ掛けているようだ。
 だが、どうしてそんな事をするのか、よく分かっていないため、ホワイトチョコより魅力的なモノを示せば、彼らの洗脳が解ける事だろう。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
フラジール・ハウライト(仮面屋・e00139)
彼岸花・深未(サキュバスの鹵獲術士・e01205)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
レイシア・アクエリアス(穿つ雪兎・e10451)
ティーフォリア・ルキアノス(サキュバスの刀剣士・e28781)
リシュティア・アーキュリア(サキュバスのブラックウィザード・e28786)

■リプレイ

●施設前
「あっまーい! 何、これ……。すっごく濃厚……。匂いが立ち込めるような所にも行ったことあるけど、これはこれでキツイわね……!」
 リシュティア・アーキュリア(サキュバスのブラックウィザード・e28786)は仲間達と共に、ビルシャナが拠点にしている施設の前にやってきた。
 ビルシャナがホワイトチョコをぶっ掛ける事こそ至高であると訴えているせいか、施設全体がホワイトチョコのニオイに包まれており、思わずむせ返ってしまうほどだった。
「いやぁ、なんてーか、甘いねっ! まぁ、ぶっかけるのはいいとして、なんでチョコなのやら? しかも、ホワイトチョコ限定って」
 ティーフォリア・ルキアノス(サキュバスの刀剣士・e28781)が、思わずツッコミを入れた。
 そもそも、ホワイトチョコである必要性が、皆無。
 もしかするとホワイトデーに関係しているのかも知れないが、ビルシャナだからの一言で解決してしまう問題である事は間違いなかった。
「……と言うか、チョコはかけるものじゃないろうて……」
 フラジール・ハウライト(仮面屋・e00139)が、ゲンナリとした表情を浮かべた。
 それでも何となくビルシャナの意図が分かるため、溜息ばかりが漏れていた。
 もちろん、こちらの予想に反して、マトモな理由がある可能性もゼロではないが、ビルシャナという時点で夢も希望もないのが、現実であった。
「それ以前に、食べ物で遊んではいけません……! これは絶対に懲らしめておかないと……!」
 そんな中、彼岸花・深未(サキュバスの鹵獲術士・e01205)が女子用スクール水着姿で、自分自身に気合を入れた。
 この時期、少し寒かったりするのだが、これもビルシャナを倒すため。
 全身ホワイトチョコまみれになる事を覚悟しておかねばならないのだから、仕方のない事だった。
 それでも、負ける訳にはいかない。
 負けられない戦いが、そこにあった。
「白い……白い……。れいしあ……白いの……好き。……周り……沢山、さきゅばす……れいしあ、はりあう……はりあう……」
 レイシア・アクエリアス(穿つ雪兎・e10451)も白いバニーさん姿で、ヤル気満々。
 今にも飛び跳ねそうな勢いで、敷地内に入っていった。
「……とは言え、チョコだと、火傷しそうですね……」
 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)が、事前に配られた資料に目を通した。
 色々とツッコミどころが満載ではあるものの、相手はビルシャナ。
 『細けぇ事はイイんだよぉ!』と言わんばかりに、スルーすべき事案なのだろう。
「まあ、白い何かの場合は……美味しく頂きますかねぇ」
 そのため、めぐみも何やら察した様子で、含みのある笑みを浮かべた。
 そんなめぐみを眺めながら、ナノナノのらぶりんが呆れた様子で、深い溜息を漏らすのだった。

●施設内
「これは……正面突破しかない、かな」
 施設内に足を踏み入れたフラジールは覚悟を決めた様子で、ビルシャナに突っ込んでいった。
「侵入者だ! 容赦をするな! ぶっかけろ!」
 それを迎え撃つようにして、ビルシャナが信者達に指示を出し、大量のホワイトチョコをケルベロス達にぶっ掛けた。
「……ちょこ、熱い……。冷やす……冷やす……」
 その事に危機感を覚えたレイシアが、慌てた様子でアイスエイジを発動させた。
「ぬわあっ! 怯むな! やれ、やれ、やれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
 これにはビルシャナも驚き、間の抜けた声を上げ、まわりにいた信者達を嗾けた。
 その指示に従って、信者達がレイシアに、ホワイトチョコをぶっ掛けた。
「チョコ……少し熱いけど……甘い……」
 その途端、レイシアがホワイトチョコまみれになりながら、美味しそうにペロっと舐めた。
 身体に掛かったホワイトチョコは、あっと言う間に固まってしまったが、甘くて美味しく病みつきになる味だった。
「みなさん、ホワイトチョコを人にかけて何が楽しいのですか?」
 そんな中、めぐみがビルシャナ達に対して、生暖かい視線を送った。
「ああ、楽しいね! 楽し過ぎて、色々なところがたぎっちまう! だからこそ、やめられねぇ!」
 ビルシャナがまったく悪びれた様子もなく、ケモノのような叫び声を響かせた。
「そもそもチョコは食べるものだろう。ホワイトチョコといえど、ホワイトデーといえど、食べるものだろう!!」
 フラジールが呆れた様子で、深い溜息を漏らした。
「それは違うな。ホワイトチョコは、ぶっかけるモノだ! こんな風に、な!」
 ビルシャナがゲスな笑みを浮かべ、ホワイトチョコをかけて、かけて、かけまくった。
 それは、まさに……ケモノ。
 いや……ケダモノだった。
「……何やら、けしからんのです……チョコならミルクチョコの方がおいしいのです! それに……チョコまみれよりもチョコの像に変えられる方が良いと思うのです! ……あれ?」
 それを目の当たりにした深未が、嫌悪感をあらわにした。
 しかし、途中で何か違うと思ったのか、自分の言葉に違和感を覚えた。
「だったら、もっとぶっ掛けてやる!」
 ビルシャナが開き直った様子で、深未にホワイトチョコをぶっ掛けた。
 それだけでビルシャナは達してしまったようだが、信者達は何処か不満げ。
 何やら悶々とした様子で、ソワソワとしている感じであった。
「もしかして、物足りないのですか? それなら、めぐみがミルクそのものを受け止めてあげてもいいですよ?」
 そんな空気を察しためぐみが、信者達の気持ちを代弁した。
「い、いや、その……」
 だが、信者達はビルシャナの目があるせいか、戸惑いムード。
 本心がムクムクと反り立っている状況でも、本音を言う事が出来なかった。
「ねぇ……、もっと楽しい事しましょ♪」
 それでも、リシュティアはまったく気にしておらず、信者達に流し目を送った。
 そのため、信者達は生唾ゴックン。
 何やらイケない妄想を膨らませ、ハアハアと息を荒くさせていた。
「だから、ちょっと別室に行かない? そっちで誰にも邪魔されずに思う存分に、しちゃおう?」
 ティーフォリアもラブフェロモンを使い、信者達を別室へと誘った。
 こうなると、信者達も冷静な判断力を失い、下半身が本体とばかりの勢いで、ティーフォリアの後をついていった。

●ビルシャナ
「……って、駄目だろうが! せめて俺も仲間に……と言うか、駄目なんだって! ミルクより、ホワイトチョコ……そう約束したじゃねーか! それなのに、お前らだけ楽しみやがって! 畜生! 俺もミルクが……うううっ!」
 ビルシャナが不満そうにしながら、信者達が入っていった部屋の扉を、激しくノックした。
 そこにあるのは、激しい……嫉妬!
 なんだかんだ言いつつ、イイ思いがしたかった事は間違いないため、かなり必死な様子でドアノックをしまくっている様子であった。
「さっきから、凄く煩いのですが……」
 そんな中、めぐみがムッとした様子で、部屋から顔を出した。
 しかし、その手はミルクで汚れており、濃厚なオスのニオイをドレスのように纏っていた。
「……俺も仲間に入れてくれ!」
 その途端、ビルシャナがめぐみを押し退ける勢いで、部屋の中に入っていこうとした。
 この時点で『教義、何ソレ、美味しい?』状態に陥っているのか、下半身メインの行動に移っているようだった。
「教義が教義なんだし、ダメに決まっているでしょ。いわゆる、アレ。だがお前はダメだってやつよ」
 その行く手を阻むようにして、リシュティアがビルシャナの前に陣取った。
 それでも、ビルシャナが、室内をガン見。
 そこに広がるのは、桃源郷。
 信者達が全裸で入れ乱れて、ミルクパーティの最中だった。
「それにホワイトチョコをかけあうより、ミルクをかける方が良いでしょ?」
 ティーフォリアがリシュティアに抱き着き、自分の胸を押し当てながら、ビルシャナに対して答えを返した。
 次の瞬間、男性信者達が大量のミルクをぶっ掛け、ふたりに真っ白なドレスを着せた。
 それはネットリ、ドロドロとしていたものの、男性信者達は全身ミルクタンクと化しているのか、『いつでも満タン』と言わんばかりに元気ハツラツであった。
「ほら、もっとかけて! 白いの、いっぱい! 皆のミルク、私達に一杯頂戴?」
 そのニオイにウットリしながら、リシュティアが男性信者達を挑発した。
 それに応えるようにして、男性信者達が一斉にミルクシャワーを放出ッ!
 途端にドクドク、ネットリしたものが、ヴェールの如く、ふたりを包み込んだ。
「だから、俺も……混ぜてくれ!」
 ビルシャナが何かに取り憑かれた様子で、必死になって部屋の中に入ってこようとした。
「だから、邪魔をしたら、駄目だから……!」
 それを迎え撃つようにして、ティーフォリアが蹴炎舞(シュウエンブ)を仕掛け、アクロバットな動きから炎を纏った蹴りを放った。
「痛みの限界を超えるかもしれないけど、鳥だし、別にいっかー」
 それに合わせて、リシュティアが風刃裂罅(フウジンレッカ)を仕掛け、触れた物を切り裂くほどの竜巻を発生させ、ビルシャナのモノを切り刻んだ。
「……!」
 その拍子にビルシャナがカッと両目を見開き、悲鳴を上げる事さえ出来ず、両手で股間を押さえた。
 しかし、まったく血が止まる事はなく、足元に血溜まりが出来た。
「あまり見たい光景じゃない、な……」
 それを目の当たりにしたフラジールが、反射的に口元を押さえた。
「うぐぐ……許さん! 許さんぞおおおおおおおお! こうなったら、お前らみんな纏めて……ホワイトチョコまみれにしてやる!」
 ビルシャナが殺気立った様子で、ゲモノのような叫び声を上げながら、ありったけのホワイトチョコをケルベロス達にぶっかけた。
 それは、一言で言えば、八つ当たり。
 辺り一面がホワイトクリスマスと言わんばかりの勢いで真っ白に染まり、ビルシャナの血ですら、真っ白になる勢いだった。
「あ、あの……ちょっと……! 息が……!」
 それと同時に、深未が大量のホワイトチョコを浴び、チョコで出来た人形の如く身体が動かなくなった。
「悪い事をしたら、駄目……」
 その事に気づいたレイシアが、ホワイトチョコの塊を拾い上げ、ビルシャナめがけてぶち当てた。
「はっはっはっ! それで御仕置きしているつもりなのか? だったら、甘いな、甘過ぎだ! もっと、来い! ドンと来い!」
 それを真正面から受け止め、ビルシャナが勝ち誇った様子で、高笑いを響かせた。
「分かった。本気……出す……」
 その気持ちに応えるようにして、レイシアがフロストレーザーを放って、ビルシャナの身体を撃ち抜いた。
「……!」
 その拍子に、ビルシャナが豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべ、クチバシを激しくパクパクさせた。
「女の子に火傷をさせようとしたのですから、自分も火傷する覚悟はできてますよね。どこぞの皇帝さんも『人を焼いていいのは焼かれる覚悟があるやつだけだ』って言ってましたし」
 その間に、めぐみが一気に距離を縮め、イイ笑顔を浮かべながら、ブレイジングバーストで、ビルシャナの身体を炎に包んだ。
「ぎゃあああああああああああああああああああ!」
 これにはビルシャナも悲鳴を上げ、狂ったように辺りを転がった。
 次の瞬間、ホワイトチョコの焦げたニオイが辺りに広がり、それと混ざるようにして香ばしいチキンのニオイが漂った。
「祖なる龍よ、激闘を斬り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!」
 それと同時に、フラジールが終焉・壊(エンドブレイカー)を仕掛け、己の武器を媒介に白き龍を具現化させ、幻の雪が舞う華麗な攻撃で、ビルシャナの身体を斬り裂いた。
「うぅ……、酷い目に遭いました。しばらくチョコは口にしたくないかもです……」
 そんな中、深未が魂の抜けた表情を浮かべ、崩れ落ちるようにして座り込んだ。
 まるで全身パックをしたかのように、ツヤツヤになっているものの、何か違う気がするため、その気持ちは複雑な様子である。
「これ、お土産に持って、かえる……。どれも美味しいから、おねえちゃんも、よろこぶ」
 それとは対照的に、レイシアは御機嫌な様子で、ホワイトチョコを集めていた。
「それにしても、鳥は何がしたかったんだか……。もしかして、鳥の言ってることってアレな方面だったのだろうか……?」
 ティーフォリアが、ある結論に至り、険しい表情を浮かべた。
「鳥が言ってることなんてどうでも……頭が逝ってるようなものだし……。考えないのがいいことよ、ティー?」
 その不安を掻き消すようにして、リシュティアがティーフォリアを連れ、部屋の中に入っていった。
「それなら、私も加わるとするか……。上からでも、下からでも、気が済むまで……。何なら胸も使っていいし、腋でも、脚でもいいぞ……」
 フラジールも花のニオイに誘われるミツバチの如く勢いで、そのまま宴に加わるのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月18日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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