黒のニーソックスこそ至高である!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「俺は常々思うんだ! 黒のニーソックスこそ至高である、と! 故に、俺は宣言する! この地を黒の二―ソの楽園にする、と! まず、その手始めに近所の学園から攻める! 決行は数日中。俺達の手で生徒全員を黒ニーソ一色に染めてやろうじゃないか!」
 ビルシャナが廃墟と化した施設に信者達を集め、自らの教義を語っていた。
 どうやら、ビルシャナ達は人類黒ニーソ計画の第一歩として、近所の女子高を襲うつもりでいるらしい。
 そのため、頭の中は黒ニーソ一色。
 それ以外のモノは、脱がして、剥ぎ取り、引き千切り、黒ニーソを穿かせる事しか頭になかった。

●セリカからの依頼
「クロミエ・リディエル(ハイテンションガール・e54376)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが拠点にしているのは、廃墟と化した施設。
 この場所でビルシャナ達は、イケない妄想を膨らませ、近所の女子高を襲撃しようとしているようだ。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 信者達は洗脳されているだけなので、ビルシャナの言葉が偽りである事を分かれば、元に戻るようである。
 ビルシャナ自身は黒ニーソ以外に興味がないと言っているため、それ以外のモノに興味を持つような事があれば、信者達の洗脳も解ける事だろう。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)
タキオン・リンデンバウム(知識の探究者・e18641)
クロミエ・リディエル(ハイテンションガール・e54376)
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)
ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)
 

■リプレイ

●都内某所
「またくだらねー教えを説くカスどもが出てきやがったな」
 柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)は呆れた様子で、廃墟と化した施設にやってきた。
 ビルシャナは黒のニーソックスこそ至高であると訴え、近所の女子高を襲撃するため、何やら妄想を膨らませているようである。
 そのため、ビルシャナが拠点にしている施設は、怪しさ全開。
 いかにも悪の秘密基地と言わんばかりに、不気味な雰囲気が漂っていた。
「まさか私が危惧していた教義を唱えるビルシャナが本当に現れるとは……。これは私が責任取って、対処してあげないとね」
 クロミエ・リディエル(ハイテンションガール・e54376)が、色々な意味で危機感を覚え、自分自身に言い聞かせた。
 このまま放っておけば、女子高が襲撃されるのは、確実ッ!
 そうなれば、取り返しのつかない事態になってしまうため、何としても阻止する必要があった。
「これまたマニアックな嗜好をしたビルシャナもいるものですね」
 タキオン・リンデンバウム(知識の探究者・e18641)が、事前に配られた資料に目を通した。
 ビルシャナ達にとって、黒のニ―ソックスは、生きる糧。
 それ故に、いくらあっても、足らないレベル。
 むしろ、黒のニーソックスで、世界が埋め尽くされるくらいが丁度いいと思い込んでいるため、女子高の襲撃を計画している節があった。
「確かに最近のアニメや漫画では、黒のニーソックスを履いてるキャラは人気が高いですが、現実と空想を混ぜ込んではいけませんわね」
 そんな中、カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)が、深い溜息を漏らした。
 おそらく、ビルシャナ達は妄想全開フルスロットル。
 理性の留め金が外れて、暴走一直線と言った感じの状況であった。
「それにしても、随分と変わった外観を趣旨とする教義だね……。脚部装甲のこだわりは大事だが、行き過ぎは実に良くない。機能美というものは時と場合によって最適解が異なるからね」
 ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)が、自分なりの考えを述べた。
 ビルシャナ達が、どのような経緯を経て、このような考えに至ったのか分からないが、どちらにしてもスタンダードな考えではない。
 故に、異常。
 既に、手遅れと言った感じであった。
 そして、ケルベロス達は警戒した様子で、廃墟と化した施設に足を踏み入れた。

●施設内
「いいか、お前ら! これから、俺達が行うのは、紛う事なき正義ッ! ある意味、これは聖戦だッ! 故に、怯むな、躊躇うな! 正義は我らと共にある!」
 施設の中ではビルシャナが信者達を前にして、自らの教義を語っていた。
 信者達は洗脳されている影響で、ビルシャナの言葉を鵜呑みにしており、誰も反論しようとしなかった。
「随分と黒のニーソックスに思い入れがあるようですが、ボーダー柄ソックス(横縞模様の靴下)も良いと思いませんか? この縞模様、足がより一層綺麗に見えて、お洒落のアクセントになります。ボーダー柄なら色も多種多様にありますし、カラフルな組み合わせはより一層、その人の魅力を引き立てる物だと思いませんか?」
 そんな中、タキオンがビルシャナ達の注目を集め、ボーダー柄ソックスの良さを語り始めた。
「……ボーダー柄か」
 ビルシャナが険しい表情を浮かべ、タキオンに視線を送った。
 おそらく、タキオンかボーダー柄のソックスを穿いていれば、違った反応を見せたかも知れない。
 ビルシャナ的には、相手が男性であれ、女性であれ、問題なし。
 重要なのは、穿いているか、穿いていないか、と言う事のようである。
 それ故に、新たな世界の扉を開くほどの説得力を秘めていたものの、現物を見ていないせいか、いまいちイメージする事が出来ないような感じになっているようだ。
「それなら、ルーズソックスをオススメしますわ。ニーソックスも足を綺麗に見せる素敵な物だと思いますけど、ルーズソックスも昔は流行っていて、とても人気のある靴下でしたのよ。そして、ギャルっぽい可愛いデザインで、今でも再流行の兆しがみられる、素敵なソックスだと思いませんか? さぁ、皆さんもニーソックスを脱いで、ルーズソックスを履いて<その素晴らしさを実感してみて下さいませ!」
 そんな空気を察したカトレアが、ビルシャナ達にルーズソックスを配っていった。
 その途端、信者達がルーズソックスを穿いた自分自身を思い浮かべ、あからさまに嫌そうな表情を浮かべた。
 この様子では、洗脳されている影響で、黒のニーソックス以外のモノに、拒絶反応を示すようになっているのだろう。
 ビルシャナのみ、ルーズソックスを穿こうとしていたが、信者達の視線に気づいて、何事もなかった様子で小さくコホンと小さく咳をした。
「……さて、私では着用できないから美少女フィギュアを用意したよ。黒ニーソが好みということは、ある程度脚フェチであることを踏まえて……私が提案するのはメカブーツだ、それもニーソ丈の」
 そんな中、ディミックがビルシャナ達の顔色を窺いながら、フィギュアを使ってメカブーツの良さを強調した。
「おお、これは……!」
 ビルシャナが興奮した様子で、ディミックからフィギュアを受け取った。
 フィギュアはギリギリで黒のニーソックスの食い込みが見えており、ビルシャナがローアングルからガン見する程のシロモノだった。
 まわりにいた信者達も興味津々のようであったが、メカブーツメインと言うよりも、黒の二―ソックスメインと言った感じであった。
「ところで、テメェら、足だけでいーのかよ。大事なのは顔じゃね? ……ま、それはいーけどよ」
 それを目の当たりにした清春が、ゲンナリとした表情を浮かべ、呆れた様子で溜息を洩らした。
 実際に、ビルシャナ達は足ばかりを見ており、顔には全く興味がない様子であった。
「……何が言いたい」
 ビルシャナがフィギュアをローアングルから眺めつつ、鬼のように険しい形相を浮かべた。
「そりゃニーソックスは可愛い子がつけりゃ魅力的っしょ。だけどな、隠されたところを暴きてえのが男の性ってやつじゃね? けっきょく脱がせんだし……。「それによ。すらーっと伸びて綺麗なのは生足っしょ! 女の子側としたって自信あるから出すんだっつーの。それをわざわざ隠しちまうなんて、むしろ失礼じゃねぇか?」
 清春がビルシャナ達の顔色を窺いながら、含みのある笑みを浮かべた。
「そんなモノには、興味がない」
 ビルシャナがムッとした様子で、大袈裟にフンと鼻を鳴らした。
 まわりにいた信者達も、全く興味がない様子で、同じようにフンと鼻を鳴らした。
「ハァ? 興味が無い? 嘘だろ、マジで! ほら、見よっ、この神々しいおみ足を! すらーっと伸びて綺麗な生足を見て、無反応って事はないよな? 女の子側としたって自信あるから出すんだっつーの。それをわざわざ隠しちまうなんてむしろ失礼じゃねぇか。これでもニーソックス最高とか言えんのか!? あー?」
 清春がビルシャナ達を煽りながら、いかにクロミエの足が魅力的なのか、興奮した様子で力説し始めた。
「清春さんも言ってるように、やっぱり女の子の魅力は生足にあると思うんだよ。さぁ、私の生足を見てごらん、このスラリとした足こそ女の子の魅力が表れるものだと思うよ。皆も、ニーソックスで足を隠さないで、自信を持って生足を披露すれば良いと思うよ」
 クロミエがビルシャナ達の興味を引きつつ、生足をスラリと見せた。
 その途端、ビルシャナ達が両目をカッと見開き、クロミエの生足をガン見した。
「……ん? んああ! ちょっと、待て! 駄目だ、駄目、駄目! 俺は違うぞ。生足になんて興味が無い!」
 そう言ってビルシャナが激しく動揺した様子で、自分の本心を偽るのであった。

●ビルシャナ
「生足になんて興味が無い……? その割には、みんな生足を凝視しているようですが……」
 タキオンが呆れた様子で、ビルシャナ達に生暖かい視線を送った。
 その視線に気づいた信者達が、ビクッと体を震わせ、動揺した様子で、激しく目を泳がせた。
 だが、途中で冷静になって『生足が好きで何が悪い!』という考えに至ったのか、そこに躊躇いは感じられなかった。
 それどころか、『いままで黒のニーソックスにこだわっていた理由が分からない!』と言わんばかりに、クロミエの生足をガン見していた。
 この様子では、洗脳が解け始めているのだろう。
 ビルシャナが何を言っても、完全に無視を決め込み、ガン見であった。
「ええい、こうなったら、お前らみんな纏めて黒ニーソにしてやる!」
 ビルシャナが殺気立った様子で、強力なビームをディミックに放った。
 その影響でディミックが、黒のニーソックス姿になった。
「……ところで、これは誰得なのですか?」
 ディミックが複雑な気持ちになりながら、ビルシャナ達に問いかけた。
「……」
 だが、ビルシャナ達は、無言。
 自分達で恐ろしいモンスターを生み出してしまったと言う自覚があるのか、激しく目が泳いでいた。
「どうやら気づいてしまったようですわね、自分自身の過ちに……」
 カトレアが何やら察した様子で月光斬を仕掛け、ビルシャナの身体を斬り裂いた。
「うぐ……! 俺は間違っていない。間違ってなど……」
 ビルシャナが口から大量の血を吐きながら、再びビームを放とうとした。
「もうビームは撃たせないよー!」
 その事に気づいたクロミエが、ヴァルキュリアブラストを仕掛け、光の翼を暴走させる事で、全身を光の粒子に変えて、ビルシャナに突撃した。
「その傷口を、更に広げてあげますわよ!」
 それに合わせて、カトレアが絶空斬を仕掛け、空の霊力を帯びた武器で、ビルシャナの傷跡を正確に斬り広げた。
「ぐ、ぐわああああああああああああ!」
 次の瞬間、ビルシャナが断末魔を響かせ、大量の血を撒き散らしながら、崩れ落ちるようにして息絶えた。
「うーん、やっぱりこの季節、生足は寒いかも……」
 その途端、クロミエが寒そうにしながら、ブルッと身体を震わせた。
「……という訳で、女の子のみんなは生足を……」
 そんな中、清春がまったく空気を読まず、両手をワシャワシャとさせた。
 しかし、仲間達の視線は、ブリザード。
 その視線で身も心も凍り付き、清春が反射的に手を引っ込めた。
「まぁ要は、衣服は人に強要するものではなく、本人が似合う物を選ぶべきですね」
 そう言ってタキオンが清春を見つめ、乾いた笑いを響かせた。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月17日
難度:普通
参加:5人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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