プラントワーム ザ・モンスター

作者:ハル


「――――――――!!」
 ウネウネと、怪物はまるで海を泳ぐように地面を掘り進めていた。
 口と思わしき部位から複数本の触手が突き出て、粘着質な液体を時折吐き出しながら、土壌を貪り喰っている。
 都市伝説において、一部でまことしやかに囁かれたとされる怪物。その名も、プラントワーム・ツーテール。
 その姿を見た者は、きっと沸き起こる生理的嫌悪感を抑えきれないだろう。
 まさに、モンスターパニック映画に出てくる怪物そのままの姿であった。

 ――カツ、カツ、カツ。
 ふいに、地下空間に足音が響く。

 不思議な事に、プラントワームは単独では行動していないようなのだ。
 周囲には、ドラゴン勢力に由来する骸骨と植物を組み合わせたような、プラントワームとはまた毛色の違う化物が10体近く徘徊していた。

 怪物達は一心不乱に目指す。
 より昏き地下へ……。


「実は――大阪城の攻性植物勢力が、大阪城の地下に巨大空洞を生み出している事が判明しました。この空洞は、攻性植物の新たな拠点として活用するつもりで生み出されたもののようです」
 山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)が告げた言葉に、ケルベロス達が驚いた顔を見せていた。攻性植物勢力の支配地域の拡大については、状況に応じて即座に潰し、喰い止める事ができていたと、誰もが思っていたからだろう。
「わたし達も、油断していました。ですが、間一髪、事前に動きを察知する事ができました。この成果は、大阪城周辺の地下鉄状況を厳重に監視してくれていた君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)さんに依る所が大きいですね。彼がいなければ発見が遅れ、手遅れになっていたかも……。君乃さんには感謝、ですね!」
 攻性植物達は、地下を掘り進める事に特化した巨大攻性植物『プラントワーム・ツーテール』を使い、今も、地下拠点の拡大を進めている。
「地下拠点は、既に地下鉄路線のすぐ下まで拡張されてしまっています。そこで、この際地下鉄の路線を爆薬で破壊し、今も拠点を掘り進めているだろう敵の頭上から奇襲をかけようという作戦が立案されています」


「皆さんにはTNT火薬を支給致しますので、それを持って大阪城周辺の封鎖された地下鉄路線に向かってください。その後、予定地点で爆薬を爆発させ、地下鉄と繋がっている敵拠点に進行、作業中のプラントワーム・ツーテール及びその護衛と接敵次第撃破してください」
 プラントワーム・ツーテールは、全長20mと、かなりの巨体を誇る。しかし拠点工事に特化しているため、知能や戦闘能力はそこまで高くはないようだ。
「プラントワーム・ツーテールは、かなり数が少なく希少な攻性植物との事です。撃破して数を減らす事に成功すれば、以降、このような隠れて拠点を作成するといった攻性植物の目論見を打ち砕く事が可能となります」
 大阪城周辺の地下鉄を爆破するという行為には、若干の抵抗がある者もいるかもしれない。
「ですが、このような巨大空洞を生み出された以上、将来的な大阪城周辺奪還後は、大規模な修復工事が必須。ですので、思い切って、派手にやっちゃってくださいませ!」
 また、プラントワーム・ツーテール撃破後は、速やかな撤退を願う。
「……今回は本当に危険が間近に迫る事態でした。グランドロン城塞を破壊後、動きが弱まってきたと、すっかり思わされていましたね。だからこそ、この情報を活かし、攻性植物勢力の思惑を阻止せねばなりません!」


参加者
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
ステイン・カツオ(砕拳・e04948)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
ステラ・ハート(ニンファエア・e11757)
アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)
折平・茜(モノクロームと葡萄の境界・e25654)
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)

■リプレイ


(「グランドロン救出の隙を突かれた形になりますかね」)
 イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)は、妖刀の柄を握りしめていた。ケルベロス陣営の油断。最悪の場合は、甚大な被害が出ていたかもしれない状況。
「地上でバンブーソルジャー、地下はプラントワーム。用意周到って感じなのですね……予知出来て良かったのです」
「まこと、その点に関しては胸を撫でおろしたのう」
 TNT火薬の設置を終えた機理原・真理(フォートレスガール・e08508)とステラ・ハート(ニンファエア・e11757)が小声で囁き合いながら、皆の顔を伺う。
 ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)は、黙々とアームドフォートの砲塔部位へ搭載した投光器と同調させているフィルムスーツのチェックを行いながらも、視線にハッキリと頷いて応えた。

 やがて――ドガァァァァン!!

 TNT火薬が点火され、衝撃波が現在地である地下鉄構内を薙ぎ払う。舞い上がる粉塵。黒々とした煙は小型なれどキノコの形を形成し、威力の程を物語っている。
(「さぁ、仕事の時間よ。大阪城に蔓延るのみならず、地下深くでも悪巧みをしている迷惑な雑草共を駆除する、ね」)
 巨大空洞への進入路を確認したアウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)が、言外にそんな心情を込め、GO! のハンドサインを。
 通常ダメージ無効の彼女らは、この凄まじい爆発の中、精々が灰に煤ける程度。
 そして、真っ先に反応したのはステイン・カツオ(砕拳・e04948)だ。夜目を持つ彼女は風穴に何の躊躇もなく飛び込み、先導役を務める。
(「危険な役目を担ってくれるステインさんの援護を!」)
 その後を少しだけ間を置いて折平・茜(モノクロームと葡萄の境界・e25654)が。他の仲間達も続く。
(「今のボク達、とーってもロックデース! ――と、静かに、我慢、我慢デス!!」)
 シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)は、降下しながら頭に装着したライトの位置を調整しつつ、静かにしないといけない時こそ大声を出したくなってしまう不思議を実感する。音の振動さえ検知されるかもしれないため、少なくとも接敵までは、シィカは意識して口を噤んでいるつもりのようだ。
(「都市伝説で語られていた怪物、な。こういう時は学術的に希少……そんなお題目の元、標本にすべきなんだろうが、お生憎我々は学者ではなく戦士だ。なにより――」)
 ジークリットが、共に降下中のステラに視線をやる。
(「――プラントワームか……。もしやこの先にいる奴こそが、母様の姉上を喰ったのと同個体かえ? 母様の姉上は、突如地面が陥没した際に触手で連れ去られたらしいが……」)
 ステラ表情には悲しみとも苦しみ、そして強い決意が入り混じっていた。

 高所からの落下はケルベロス達にとっての日常であるが、作戦の都合上、ステインが膝を限界まで折り畳んで着地の衝撃と振動を殺す。
「――――――!????」
 それでも、プラントワームには当然の如く探知されたようだ。地下の底、少しだけ離れた巨大空洞内で、最初に振動を感知しただろう爆発地点を見上げていたブラントワームが、その巨大で醜悪な頭部をステインに向けようとしていた。
 だが、主敵は全長20mを超える巨体。小回りには欠ける。
「それでは遠慮なく、ぶっ潰させていただきます」
 侵入に気づかれた以上、これ以上口を噤む必要もないだろう。口を開かずとも、身動ぎするだけで位置情報は全て筒抜けなのだから。
 ゆえにステイン達は、プラントワームが行動するより早く、護衛の植性竜牙兵が隊列を整えるよりも迅速に先手を取り、強襲する。
(「どのみちあとでじっくり修復しなきゃなんねえんだ。派手に暴れて拠点を台無しにしてやろうじゃねえか」)
 高速で回転したステインが、Dfと思しき手直にいた護衛に突撃した。
「今が好機なのです! ―――私の火力で、薙ぎ払ってやるです」
「盛大に燃やしてやるデース!!」
 真理はランタンの光度を上げ、自身と結合したアームドフォートから火炎放射を放ち、ミサイルポッドを展開する。
 次いで放たれるは、シィカのドラゴンブレスだ。
 瞬間、昏い地下内を火炎と絨毯爆撃が一気に紅へと染め上げた。
「銀天剣、イリス・フルーリア―――参ります!」
「この地下の暗さでさえ貴方達には生温い。夜よりも暗く、永劫よりも深い地獄の底へと沈めてあげるわ」
 凛々しく名乗りを上げるイリスが腰に巻き付けたライトを、アウレリアが暗視ゴーグル越しにプラントワームを視認し、それぞれ念のために最低限まで絞っていた光量を上げる。
 互いに狙いは当然ながらDf。仲間内での意思疎通は取れている。
 アウレリアの制圧射撃が敵前衛に迸り、
「光よ、かの敵を縫い止める針と成せ! 銀天剣・弐の斬!」
 光を集め、収束圧縮させて成した一本の大きな針。イリスが妖刀「紅雪散華」を振るうに合わせ、針が骨を軋ませる護衛に投擲される。光の鎖が縛りつけ、まずは一体を消滅に追いやる。
「ふん、怪物といえど、思わぬ襲撃に遭えば狼狽えるのだな」
 何分、表情や顔色が存在しない者共だ。しかし、強襲で既に一体の壁役を失った隊列には乱れが見て取れた。そんな無様を晒す敵を、ジークリットが鼻で笑う。
「風よ……悪しき地竜を打ち倒せ! 烈風!」
 代償は、無論敵自身に贖ってもらわねばなるまい。練られた重力の鎖が剣の刀身を纏い、ジークリットの斬り上げと共に真空の刃となって打ち出される。強力な一撃は、列攻撃を浴びているDf護衛を早くも危機的状況に追い込もうとしていた。
「護衛の植性竜牙兵の武装、あれには警戒が必要ですね。やはり、敵の弱体化を狙うのが効果的ですか」
 茜達が事前に得た情報通り、護衛の武器にはエンチャントを破壊する力が込められていると伺えた。だからこそ、茜は相手の消耗と弱体化を優先し、高速演算で導き出した護衛の弱点に痛烈な一撃を見舞う。
「然り、じゃな」
 そしてステラも、その意見には同意する。
「うまく余ら自身にエンチャントを付与できる相手ではないが……だからこそ今しかないとも言えよう」
 同時に、より盤石な態勢を整えるなら今しかない。何より、派手に敵を攪乱――成功するかはともかく――してみるのも悪くはない。
 ステラが、味方前衛の背後にカラフルな爆風を発生させた。
 ケルベロス陣営は超攻撃的布陣で戦闘に臨んでいる。短期決着が必須な以上、大幅な減衰は覚悟してでも火力は欲しい。


 ドンッという鈍い音と共に、茜の手足が羊のそれに獣化し、護衛のDfへと拳が叩き込まれる。
(「同個体かはともかく、実感が湧かぬよ」)
 母と母の姉、さらにその友人と因縁のある可能性を有すプラントワームと相対するステラには、それが正直な気持ちだったのだろう。
 だが――。
「守護する花よ。どうか地上の者たちが安心して過ごせるように、仲間が存分に戦えるように!」
 ――プラントワームが悲しみを振りまく存在であるならば、その根元から断つまで。
 ステラが、毒を受けたアウレリアに、月と太陽の力を宿す純白の白蓮を咲かせて癒しを与える。
 その時、何かに反応したプラントワームが、地中に潜って消えた。
 視線をやれば、仲間の行動に影響を及ぼさぬ様に注意を払いながら、イリスが巨大空洞内を積極的に駆けている。
「さすがに速いですねっ!」
 敵を捕食すべく地中に潜ったプラントワーム。時折、駆けるイリスのすぐ背後の地中が盛り上がり、今にも破裂しそうな殺意を彼女に叩きつけてくる。
「……今までもこのように影で人々を襲い、悲劇を撒き散らしていたのですかっ……!」
 ケルベロスならばともかく、一般人はこんな怪物に襲われたら一溜りもない。
 と、イリスは反射的にその場から飛びのいた。次の瞬間、地中から大量の触手を大口から突き出したプラントワームが飛び出してくる。
「フルーリアさん、大丈夫です!?」
「はい!」
 幸い、イリスは無事だ。真理は援護に向かいたいが、
「ハート様! 竜牙兵がそちらを狙っております!」
「――ッッ、このぉ、邪魔ですよ……!」
 敵の動向を探っていたステインの指摘通り、ステラ目掛けて護衛の植性竜牙兵達がプラントジャベリンを手に突貫を仕掛けてきている。咄嗟に庇いに入った真理の黒革のライダースーツが貫かれ、内部の機械部位の一部が露出した。
「ステインに真理よ、感謝するぞ!」
 ステラが朗らかさを宿す漆黒の瞳を向けて感謝を告げるが、敵は彼女達に息を吐く暇すら与える気はないらしい。
「アルベルト!」
 アウレリアが声を張り上げる。
 すかさずビハインドであるアルベルトが、さらなる突貫を受け止めた。
 それにより、ようやく敵の攻勢が落ち着いた所を、アウレリアが真紅の刀身を持つナイフで斬りかかる。
 さらに炎を纏って突撃したプライド・ワンが追撃を行い、3体目のDfを轢き殺した。
 敵――特に護衛の目的は明らかだ。ステラというケルベロス側の命綱を排除し、泥沼の消耗戦に持ち込もうという狙い。これにプラントワームが相応の知性を有していれば極めて厄介だったが、幸いにもそうではないため、プラントワーム自体はケルベロスの布陣に効果の薄い溶解液での攻撃も行ってくれるのが有難い。
 隊列を整えた現状敵戦力は、Crのプラントワーム・ツーテールに加え、護衛はDf1、Cs3、Md3。
「キミで最後デース! 冥途の土産に、ボクから歌のプレゼントデスよー!!」
 シィカが、愛用のギターを掻き鳴らす。「幻影のリコレクション」が奏でられ、4体いたDfの全てを排除する事に成功した。
「地竜、次はお前の番だ!」
「――――――――!!」
 壁役がいなくなり、一つの枷から解き放たれたケルベロス。ジークリットは装甲鎧を盾にプラントワームの間合いに飛び込むと、弱点部位と見られる柔らかそうな口内へと剣を突き立てる。
 真理の神州技研製アームドフォートから主砲が一斉発射され、反転して攻勢に出たイリスによって、炎を纏った蹴りが強かに打ち付けられた。
 さらに、ステインの大地を割り、揺るがさんばかりの強烈な一撃が、Cs一体を捻り潰す。
 高火力勢の猛攻。
 が、すぐに後衛の護衛達が、赤薔薇の癒しをプラントワームへと捧げる。
 プラントワームは列とはいえMdからの2倍ヒールと、攻撃精度向上支援を得て、ケルベロス達を屠らんと猛り狂う。
「血の記憶より来たれ、ゆらめく刃よ――此の爪に裂かれし者、癒しの願い叶うと思うなかれ! call――Flamgriffe!」
 獣の巨椀へと片腕を変化させた茜が、五指から鎌の如く鋭い鉤爪を煌めかせ、治癒困難な傷をプラントワームへと刻む。
「くっ、奴のエンチャントをブレイクしてやりたい所じゃが、余の方も手が足りん!」
 ここに来て、ケルベロス側もヒール不足に陥っていた。
 機を見てアウレリアもオーラを溜めている。
 苦境を跳ね除けるべくシィカも高らかに歌うが、列ヒールに効果が期待できない以上、ステラが手を休めている暇はない。ウィッチオペレーションも織り交ぜながら、ステラは懸命に戦線維持を。
「むむっ、ボクはこっちの援護の方がいいデショウカー!?」
 ならばと、シィカが対デウスエクス用のウイルスカプセルを投射する。
 とにかく、一刻も早くプラントワームを仕留める必要がある。
「私に任せておけ! 断ち斬らん、その悪しき加護を……ゾディアックブレイク!」
 星座の重力を剣に宿したジークリッドの一閃が、2つのエンチャントを吹き飛ばした。
「安心して。こちらでも対処は可能だから」
 見事なコンビネーションでアルベルトがプラントワームを金縛りにかけ、「如何なる魔力も神威も、一発の弾丸の前には無力だと教えてあげる」動きの止まった的をアウレリアの超精密射撃が射貫く。
 だが、後衛の護衛が只管に赤薔薇の癒しを連発し、中衛の護衛が牽制を仕掛けてくる。見切りにも注意を払わないといけないため、プラントワームは列ヒールでは到底癒しきれない深手を負いながらも、徐々に攻撃の精度を上げていく。
 真理が、執拗にステラを狙う中衛護衛の突貫を阻止。
 しかしついに――プラントワームの巨体でのしかかられた茜が、当たり所が悪く不運にも倒れてしまう。


 ケルベロス達は茜を下がらせながら、それでも攻める他に道はない。
(「っ、プライド・ワンのヘッドライトが!」)
 真理が振り返ると、戦闘不能者が出た事で、激しいスピンを繰り出すプライド・ワンのヘッドライトが赤く光っていた。何よりも、Dfとして傷を負う真理を心配しているのだろう。
 真理は心配をかけないよう、普段以上に表情を殺す。そして、ハエトリグサの如き形態に変型させた攻性植物を嗾けた。
 ――と、こちら以上に消耗しているらしいプラントワームが、唐突にケルベロスに背を向けた。それは逃走というよりは、生存本能を刺激されての敗走の兆候!
「行かせませんデス! ここから先は通行止めデース!」
 だが、回り込んだシィカが属性の付与された拳で殴りつけ、地中に潜ろうとしたプラントワームを無理やり引き摺り出す。
 ジークリットの烈風が、猛威を振るう。
「ほんまふざけやがってほんまもうほんまァァァ!!」
 ステインが魂の叫びを上げながらドス黒い鬱憤の籠った渾身の右ストレートを叩き込んだ。プラントワームへぶつけるべき悪意ではないかもしれないが、たまっている全てを込め。ついでに、もう数か月後に彼女が迎える恐ろしい誕生日への黒い情も纏めて!
 手応えありだぜ? そう言わんばかりにステインがニヤリと嗤う。
「さあ紅雪、食事の時間です!」
 裂帛の勢いで踏み込むと、イリスの刀――紅雪が紫のオーラを放ち、プラントワームの魂を啜る。
 そして、イリスはステラを振り返った。彼女が何か抱えているだろう事は、悲しみの情に敏いイリスは察していたから。
「後悔のないようにね……」
 アウレリアが告げ、アルベルトと共に、死に体ながら激しく抵抗する中衛のCsを抑える。
「うむ! 悲しみに暮れる顔はもうたくさんじゃ!」
 ステラの痛烈な一撃が、プラントワームにトドメを刺す。
 そしてその勢いのまま、ケルベロス達は護衛の竜牙兵を撃滅に導いた。

 蓮の花――ステラは自身の桃色睡蓮に触れると、そこに母の悲しみと不安が和らいでいく心地、母の亡き姉の面影を感じた。
「撤退でございます」
 だが、ともかくは速やかな撤退。ステインの言に、皆が頷く。
「用意しておいて損はなかったかもしれないな」
 ジークリットは広大な地下空間を見渡しながら、アリアドネの糸を確認する。そして、茜が重症ではない事に安堵すると、体力の全回復にはもう数分かかるだろう彼女に肩を貸した。
 そうしてケルベロス達は、この昏き地下から脱出するのであった。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。