地下を掘り進む巨大ワーム

作者:なちゅい


 大阪市地下。
 現状、大阪城は攻性植物の拠点となっているが、その地下を外側へと掘り進めようとする巨大な物体があった。
 それは、2つの尾を持つ巨大なミミズのような生き物。
 先からいくつもの口の付いた触手で土壌を貪り食い、空洞を少しずつ広げていく。
 そして、その周囲には、多数の骸骨の姿が多数あった。
 一見すれば、竜牙兵を思わせる容姿だが、鎧の代わりに植物を纏っている。
 足元から多数の根が生え、腕からは武器のように多数の触手が巻き付き、頭蓋の窪んだ片目からは何かの植物の花が咲く。
「…………」
「…………」
 ドラゴンの牙を苗床として生み出されたその護衛達はやはり攻性植物なのか、声を出すことなくじっと周囲の警戒を続け、敵対勢力に備えていた。
 それらの骸骨達に守られ、巨大なミミズはただひたすら土を掘り、喰らっていく。
 少しずつ、少しずつ、自分達の縄張りを広げていくように……。


 攻性植物勢力に新たな動きがあり、ケルベロス達の注目が集まっている。
「どうやら、大阪城の地下に巨大空洞を作り拠点を広げているようなんだ」
 ヘリポートでは、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は集まるケルベロスへと事件について説明を行う。
 きっかけは、大阪の地下鉄で最も深い位置にある『大阪ビジネスパーク駅』の地下鉄路線陥没。
 この駅は大阪城最寄りの駅の一つで、完全に攻性植物の勢力圏だったのだが、大阪城周辺の地下鉄の状況を厳重に監視していた君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)の働きにより、事件が発覚した。
「彼が居なかったなら発見が大きく遅れ、手遅れになっていたかもしれないね」
 ケルベロスが地上で、大阪城周辺で事件を起こしている攻性植物を倒していることもあり、勢力拡大を防ぐことはできている。
 そんな状況もあって、攻性植物勢力は地下から拠点の拡大を図っている。
「現状、攻性植物達は、地下を掘り進める事に特化した巨大攻性植物『プラントワーム・ツーテール』を使い、今も地下拠点の拡大を進めているよ」
 地下拠点は、地下鉄の路線のすぐ下まで拡張されており、地下鉄の路線を爆薬で爆破すれば、拠点を掘り進める敵に奇襲をかける事が出来るだろう。

「作戦の流れはこうだね」
 依頼に参加するケルベロス達は爆薬を持ち、大阪城周辺の封鎖された地下鉄路線に潜入する。
 予定地点で爆薬を爆発させ、地下路線と繋がった敵拠点へと侵攻。
 掘削作業を進めるプラントワーム・ツーテールと、護衛の植性竜牙兵の集団を撃破したい。
「プラントワーム・ツーテールは全長20mもあるけれど、拠点工事に特化した個体で、知能や戦闘力は高くないようだね」
 敵対する者にはクラッシャーとして、その巨体で押し物したり、先端から生やす触手で噛みついたり、分泌する溶解液を飛ばしたりして攻撃を仕掛けてくる。
 また、護衛の植性竜牙兵は10体。ディフェンダー5体、ジャマー3体、スナイパー2体という布陣が事前に分かっている。
「いずれもグラビティは同じだよ。攻性植物として蔓触手形態と光花形態。それに、竜の力を籠めた斬撃を放ってくる」
 戦場は敵拠点に潜入して繰り広げられる形となる。その状況も踏まえて手早く片付け、その場から脱出してほしい。

 現状、地上での攻勢は弱まっている感もある攻性植物だが、まさか地下を使って侵攻を進めていたとリーゼリットは語る。
「でも、相手の動きを察知できたのは僥倖と言えるね」
 今のうちに、この作品の要であるプラントワーム・ツーテールを撃破してほしい。
 リーゼリットはそうケルベロス達へと願い、説明を締めくくったのだった。


参加者
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)
君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)
服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)

■リプレイ


 大阪市地下。
 今回編成されたケルベロスのチームは、とあるデウスエクス討伐の為、封鎖された大阪市の地下鉄の路線へと侵入していく。
 地下深い場所に加えて電気は通っていないこともあり、線路上を歩くメンバー達は各自明かりを所持して前方を照らす。
 セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)は邪魔にならぬようにと攻性植物の先端に明かりをつけ、全体を俯瞰できるよう植物を伸ばす。
 おかげで手に持つより広範囲を照らすことができ、メンバーも助かっていたようだ。
「地下鉄、敵の格好の侵攻ポイントだと思っていタ」
 ところで、今回の事件における立役者とも言うべき君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)も今作戦に参加してくれている。
 なんでも、巨大なミミズの如き攻性植物「プラントワーム・ツーテール」が地下の土壌を少しずつ食らいながら空洞を広げ、勢力の拡大をはかっているという。
「はぇー、気っ長な話じゃのお……」
 あまりに地道な敵の計画に、服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)は呆気にとられてしまう。
 ただ、この攻性植物勢力の行為に、危機感を募らせるメンバーも多い。
「デウスエクスども、なんつーもんを地下の方に仕込んでやがるんだ……」
 何度か依頼などで大阪に来る度、カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)はなんとなく嫌な感じがあったと言う。
「むぅ、こんなのが地下から街に襲い掛かって来たら、すごい被害が出るところだったよ」
 事前に察知できて良かったと語るリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)は無表情のまま安堵の言葉を口にする。
 それもあり、この作戦の参加メンバーはもちろん、それ以外のケルベロスからも眸へと感謝の言葉が向けられていたようだ。
 しかしながら、早い発見こそできたが、依然として脅威となる状況には変わりない。
「そろそろでしょうか」
 カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)は仲間達へと、地中を這いずるような音が聞こえることを伝える。
 事前に知らされていた地点へとたどり着いた一行はそれぞれ、所持する爆薬を線路上に仕込んで。
「おっしゃ、ドーンっていこうぜっ」
 常時笑顔を浮かべる尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)だが、この一時ばかりは一層瞳を輝かせ、起爆していく。
 ドオオオオオォォォォ……ン。
 激しい爆音が地下の空洞に響き渡る。
 路線の地面が崩れることによって起こる土埃をもろに浴びた華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)は気にする素振りもなく飛び込む。
「それじゃ、ばーんと突入です!」
 頷く眸を始め、ケルベロス達は線路に開いた穴へと照明を向けて飛び降りていく。
「おい、向こうだ」
 腰につけていたランプで周囲を照らしていた広喜がすぐさま敵の位置を確認し、割り込みヴォイスで仲間達へと呼び掛ける。
 そこには、突発的な出来事に戸惑う攻性植物の集団の姿が。
「……!?」
「ナンダ、ナニガオコッタ……!」
 護衛に当たる植性竜牙兵の集団は突然起こった爆発に驚き、戸惑っていた。
「…………?」
 そして、土を食べていたプラントワームも異変を感じ取って土を食べるのを止め、震動する空洞で落ちてくる小さな岩や土塊を感じて頭上を見上げる。
「地下掘削特化型の個体か。面白え」
「アレが……プラントワーム……きもちわるーい!」
 その討伐対象を前に広喜が興味津々に語った後、素直に嫌悪感を口にした灯へと、仲間達の視線が一時集まったのを彼女は感じて。
「あっ、いえ、私は歴戦のケルベロスですし、全然動揺してませんけど! ええ!」
 地下深くでも、ノリと勢いフルスロットルな灯はさておき。
「ようやく見つけた。こんなに沢山いるとは思わなかったけれど」
 尾ひれがついたのはともかく、都市伝説の元はコレだろうとセレスティンは推測する。
「確かに植物の根って、地中を進むの得意そうですけど……植物っていうより完全に芋虫ですよね」
 カルナはミミズ状の敵を見据え、早速奇襲をかけるべく向かっていく。
「悠長なことじゃが、見逃す道理はない!」
「これ以上、大阪の地下を好き勝手移動させないよ」
 続き、からからと笑う無明丸、ぶっきらぼうな態度のリリエッタが続く。
「好き勝手も支配もさせやしねえ。まとめて駆除して、燃えるゴミとして片付けてやンよ!」
 さらにカーラが叫ぶと、ようやく植性竜牙兵達が敵襲に気付いたようだったがもう遅い。
「さぁ! いざ尋常に……勝負ッッ!!」
「姑息な侵攻、見逃しはしなイ。殲滅ダ」
 チームの火力である無明丸と眸が一斉に、植性竜牙兵達へと攻撃を仕掛けていくのである。


 突然の爆発、そして強襲。
「「ワームヲ守レ!!」」
 攻性植物達は襲い来るケルベロスに虚を突かれ、迎撃が遅れてしまう。
「わはははははははっ! わはははははははは!」
 そんな敵をぶっ飛ばすことしか頭にない脳筋な無明丸は眼前の敵数体の顔面目がけ、グラビティ・チェインを籠めた「天輪刀」を次々に思いっきり打ち込んでいく。
 無明丸はしっかり、撃破対象のプラントワーム・ツーテールも捕捉して斬撃を刻み込む。
 さすがにそれだけで倒せる相手ではないが、彼女はなおも楽しそうに敵へと刃を振るっていた。
 刃を浴びた敵へ、今度は広喜が機械の四肢からポッドを展開して攻性植物達へと大量のミサイルを浴びせかけていく。
「眸が見つけてくれた敵だ。一匹だって逃がしゃしねえ」
 プラントワームを討伐するのはもちろんのこと、彼は植性竜牙兵も全滅させるつもりだ。
 そして、その背には同じく突出し、前のめりに敵陣へと機械起動式ガトリングガンで嵐のごとく弾丸をばら撒く眸の姿があった。
「相棒、護りは任せタぞ」
 全幅の信頼を寄せる唯一無二の相棒同士の2人だからこそ、敵陣に出ても安心して立ち回ることができると眸は考える。
「背中は任せとけ」
 眸の存在を直に感じ、広喜もテンション高く敵と交戦していた。
 その後方では、眸のビハインドのキリノが爆発に伴って周囲に散らばる土塊や瓦礫を的確な狙いで敵前衛へとぶつけていく。
 同じく後方には、若い子達が存分に戦えるように全力で癒しをとセレスティンが支援する。
 自身の腕に絡みつく攻性植物が実らせた果実で仲間達を照らしながらも、セレスティンは薄暗い視線をプラントワームへと向けていた。

 ようやく、護衛達も布陣を組んでプラントワームの守りへとつくが、先手を取られてしまった状況では一度態勢を崩されてはなかなか思い通りに戦うことができない。
 ケルベロス達は一気に切り崩し、触手をばたつかせるプラントワームの討伐を目指す。
「お前達なんて凍っちゃえ!」
 阻害役として敵陣を見据え、リリエッタは構えたライフルから冷気を籠めた弾丸を射出する。
「ブリザード・バレット!」
 リリエッタの弾丸は着弾と同時に冷気の嵐を噴出し、敵陣を氷に閉ざさんとしていく。
「しっかり皆さんを守るんですよ」
 その手前では、灯が人なつっこい相棒へと呼び掛ける。
 翼猫シアは可愛らしく鳴き、攻め来る護衛達の触手や竜の力を籠めた斬撃をその身で受け止めてくれていた。
 そんなシアと共に、灯はチームの壁となるのだが……。
「うごうごしてるー!」
 丁度、手前にいたプラントワームから溶解液を受けてしまって。
「粘液べたべたー!」
 動揺しまくりの灯ではあるが、ケルベロスとして逃げ出すことはせず、輝く黄金の果実を振る舞っていく。
 その中には、仲良しなカルナの姿がある。
 数で勝る敵が攻勢に出始めたことで、片目に咲かせた花から放たれた光線がカルナの体を貫通したことに、灯はそわそわしてしまう。
(「カルナさんはええと、強いから。大丈夫だって」)
 普段、カルナはマイペースさすら感じさせる性格だが、そこは歴戦のケルベロス。
「一匹たりとも逃しませんよ」
 カルナは次元圧縮によって大気を急激に凍らせ、8本の凍てつく刃を牙のようにして仲間達の攻撃で傷つく敵へと喰らいつかせる。
「このまま闇に沈みなさい」
 氷牙に噛み砕かれた護衛は全身を崩し、纏わりついていた植物も枯れてしまう。
 なおも火力となるカーラが竜のブレスを吐き掛け、敵陣を炎に包む。燃えるゴミどころか、燃えカスになりそうな勢いだ。
「まだまだいくぜ!」
 カーラがなおも敵陣へと火の玉をぶち込むべく「Gadget Rod」を振り上げようとしたところで、無明丸が空の霊力を纏わせた刀を敵へと突き付けて。
「さあ! いざと覚悟し往生せい!」
 無明丸は一度振り下ろした刃を大きく切り上げ、護衛となる盾役1体を叩き切った。
 まだまだ残る敵。巨体の攻性植物を見上げ、彼女は渾身の力でぶっ飛ばそうと考えるのである。


 大阪地下に穴を掘るプラントワームの撃破に当たり、邪魔な護衛の植性竜牙兵の討伐を進めるケルベロス一行。
 盾役がある程度減った後は、こちらの動きを止めてくる阻害役の討伐を進めていて。
 リリエッタは敵中衛の数を見て氷結輪を飛ばし、先程とは別の形で冷気の嵐を巻き起こす。
 その嵐によって護衛の1体が凍り付き、動かなくなってしまった。
 ところで、交戦の最中、セレスティンが怪しげな反応を見せていて。
 ――地面が陥没して、触手が私の大切な天使を連れ去ってしまった。
 治療士の杖を手に大自然の力を借り、淡々と回復に当たるセレスティンはプラントワームの触手を見つめ、都市伝説となった事件を思い返す。
 ――大切な人を飲み込んだ憎たらしい触手。瓜二つじゃないか。
 癒しの効力に反し、セレスティンの視線はひどく冷めていた。

 ケルベロス達は声を掛け合いながらも、交戦を進めて。
「そちらにいっタぞ、相棒」
「おう」
 嬉々として返事する広喜が背中に生やした翼のオーラを噴射して突撃し、阻害役の体を炎に包んで燃やし尽くしてしまう。
「そっちからもくるぞ」
 蔓草が絡んだ刃で切りつけようとしてくる敵へ、ビハインドのキリノが金縛りで強く縛り付ける。
 そして、眸は碧焔増幅回路ナックルリングから出現した光の剣を地獄の炎で包み、殴るように敵を斬り裂いて残骸の蔓草部分を燃やす。
「次の目標ハ……」
 1体撃破した眸が改めて、巨大なミミズ状の敵、プラントワームを見据えると、広喜がそいつの前に飛び出して。
「力比べしようぜ」
 正面からそいつの押しつぶしを受け止める広喜は口元を吊り上げる。興味対象だが、彼は躊躇なく叩き潰す構えだ。
 そこで、邪魔してくる盾役が弱っていると判断したカーラが竜の力で自身を強化する。
 空洞の天井まで跳び上がったカーラは全身にオーラを纏い、その盾役へと突っ込む。
「ふっとべッッ!!」
 ダイブしたカーラが敵をなぎ払い、さらにオーラが巨大な龍となって敵を喰らいつくす。
 まだ植性竜牙兵は残っているが、本命のプラントワームの攻略を加速させる。
 すでに、前線の護衛と合わせてワームへと攻撃は加えているが、さすが全長20mもの巨体を持つ相手はなかなか倒れてくれない。
 リリエッタは前線に盾役2体とワームがいることを受け、再び放った氷の弾丸による嵐を浴びた盾役が崩れたのを見て、攻撃パターンを変えた。
「うねうね気持ち悪い触手はちょん切っちゃうよ」
 リリエッタは氷結輪を刃として利用し、相手の触手を切り裂きにかかる。
 眸も広喜と共に列攻撃を繰り返していたが、単体攻撃に切り替えてプラントワームを集中して攻め立てていく。
 2人は息を合わせて攻撃を行い、広喜がその体躯で押し潰さんとしてきたのを受け、ビハインドのキリノの投げつける土塊の直後、広喜が反撃で遠隔爆破し、眸がマインドソードで切りかかった。
「甘く、鋭く、爽やかに」
 傷つく仲間を見れば、翼を羽ばたかせて邪気を払う翼猫シアの隣で灯がグラビティで生成した爽やかな林檎が弾け、爽やかな香気とキラキラの光で気分転換してくれる。
 時折、ワームのカバーに出てきていた盾役が弱ってきたことを受け、カルナは稲妻を纏わせた槍を手に飛び込む。
 カルナは魔法使いであり、魔法を使った後方からの火力支援が得意……なはずなのだが。
 敵前線の数が減るまでは自身のドラゴンの尾を叩きつけ、今回も近距離戦を仕掛ける彼は敵の貫いた護衛の身体に稲妻を駆け巡らせて倒してしまっていた。
 これで邪魔な盾役もいなくなり、ケルベロス達はプラントワームの討伐を加速させる。
 カーラが降魔の拳での回復を織り交ぜながらも電光石火の蹴りで敵の動きを制していくと、それまで回復に動いていたセレスティンが攻撃に動く。
「彼女を飲み込んだ触手が憎い。憎い憎い憎いにくいにくイ」
 たった一度だけでいい。もう、誰も奪わせはしない。
 その瞬間、セレスティンの祈る言葉は彼女の髪を黒く染めるほどの呪詛のようになり、白く鋭い骨が幾度も相手の巨体へと突き刺さっていく。
 怯む巨大ワームは触手を伸ばして噛みつこうとしてくるが、無明丸が一気に力で攻め立てて。
「ぬぅあああああああーーーッッ!!」
 彼女は思いっきり天輪刀で相手の触手を切り裂き、さらに敵先端を大きく切り裂き、大量の体液を流し出す。
「………………!」
 プラントワームは苦しみ悶え、自ら掘った穴の中でのたうち回っていたが、やがて力尽きて全身を枯らし、地響きを立てて崩れ落ちていったのだった。


 討伐対象を撃破し、植性竜牙兵は2体。
 勢いはケルベロスが勝り、その討伐は加速する。
 カーラの降魔の拳が光花を煌めかせた1体を撃破し、空の霊力を纏わせた天輪刀で最後の狙撃役を切り裂いた無明丸は刃を収めて拳を突き上げる。
「わははははっ! この戦い、わしらケルベロスの勝ちじゃ! 鬨を上げい!」
 朗々と勝利宣言する彼女の傍で、眸と広喜が満面の笑みで拳を打ち合わせる。
 作戦成功に喜ぶメンバー達だが、ここは敵の領域内だ。
 幸い、倒れたメンバーは不在だったこともあり、飛べるメンバーがリリエッタの用意したロープを使い、各自が自力で地下鉄の路線まで速やかに戻っていく。
 眸は爆破地点と掘り進められた道の様子を記憶し、セレスティンら先に上ったメンバーに続いてロープを上る。
 一方、カルナは自身の翼で羽ばたきながら、プラントワームの死骸を見つめて。
「こんなサイズが地下で蠢いてたら、遠からず大阪城ごと沈んじゃいそうですよね」
 このトンネルを逆にたどれば、攻性植物の本拠地にたどりつくのだろうかと考えながら、カルナも爆破した穴へと飛んでいく。
 先に上った灯は仲間達が上ってくるのを待つ間、身体が土まみれになっているのに気づいて。
「帰ったらシャンプーですね」
 しかしながら、翼猫シアはそんな灯の言葉にイヤイヤしてしまうのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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