ほう、今度の鳥はチョコレートケーキを許せないと?

作者:星垣えん

●ちょこちょこちょこ
「おいひい……」
「生地もクリームも最高……!」
 なめらかな艶を放つ、チョコレートブラウン。
 触れるのも憚られるそれにフォークを差し入れ、口に運ぶ。しっとりした口当たりから濃厚な甘さがひろがり、喉を通るころにはもう幸せしか感じられない。
 チョコレートケーキ。
 実にポピュラーなその洋菓子が、都内に隠れる洋菓子店の看板商品だった。
 シンプルにチョコレートクリームを塗りまわしたホールケーキから、もったりしたミルクチョコレートのサンドケーキ、素朴なブラウニーやらココアが香るパウンドケーキまで……。
 そのどれもが、たまらなく美味かった。
「あーこれはもう1品頼んじゃうぅぅ……!」
「太る……! 絶対太るやつ……!」
「もういい、太ろう。太ってから痩せよう」
 裏町に立つ質素な店に詰めかけた女子たちは懊悩しつつ、しかし最終的には追加で注文をしてしまう。中には半ば悟りをひらく者までいる始末だ。
 そんなものだから、洋菓子店は連日盛況なのである。
 ――しかし、賑わうからこそ奴が来る!
「チョコレートケーキ!? 馬鹿が! チョコレートとケーキは分けて楽しめぃ!」
 どたーん、と扉をひらいて!
 意味不明なこと言ってる鳥さんが転がりこんできたぞォォ!!

●チョコレートケーキを食べに行こう
「なるほど……チョコレートケーキですか」
「美味そうっすよねぇ……」
 タブレットをするする操作しながら、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)と黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)が真剣な顔で話しこんでいる。
 そのやりとりを見るだけで猟犬たちは魂で理解した。
『なるほど食えるんだな?』
 と。
『しっとり濃厚なチョコレートケーキを思う存分に味わえるときが来たんだな?』
 と。
 猟犬たちがそんな期待をこめた視線を向けると、シフカとダンテは純然たる笑みを浮かべながらゆっくりと頷いた。
「ビルシャナが洋菓子店を襲撃するらしいです」
「チョコレートケーキが美味しいお店らしいっすよ! これはもう言わなくてもわかるっすよね!」
 説明がくっそ雑。
 けれどそれだけで十分だった。
 洋菓子店を襲う鳥さんをサクッと葬り、そのあと普通に楽しんでくる!
 そういう簡単なお仕事なのだろうとは言われずともわかったからだ。念のため「信者とかいる?」って訊いたら「いないっす!」って返事が来たので間違いない。
 猟犬たちは、思いっきりガッツポしました。
「お店にはいろいろなチョコレートケーキがあるみたいですね。お子さんが嬉しい甘々のミルクチョコ系からビターな大人向けまで……あ、想像しただけでお腹がすいてきました」
「チョコレートケーキの楽園っすね……おっと涎が垂れてしまうっす!!」
 すりすりとお腹をさするシフカ、口元をワイルドに拭うダンテ。
 そして各々、財布を握りしめる猟犬たち。
 鳥を殺ってくる仕事だって憶えているのだろうか。そう思うしかねーほどどいつもこいつも欲望にまみれていらっしゃった。
 だが無理からぬことである。
 なんせ、無限のチョコレートケーキが待っているのだから!
「さぁ行くっすよ、皆さん! ヘリオンにGOっす! 絶品チョコレートケーキのパーティーに突撃っすー!!」
「お土産も買わないとですよね。何がいいかなあ」
 逸る気持ちを口にしながら、わーっとヘリオンに走ってゆくダンテ&シフカ。
 かくして、猟犬たちはチョコレートケーキを食べに行くことになりました。


参加者
モモ・ライジング(神薙桃龍・e01721)
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)
マロン・ビネガー(六花流転・e17169)
朱桜院・梢子(葉桜・e56552)
遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)
白樺・学(永久不完全・e85715)

■リプレイ

●さらば鳥
 静かな通りに面した洋菓子店。
 そのド真ん前で、朱桜院・梢子(葉桜・e56552)は鬼気迫る顔をしていた。
「来て、お金……!!!」
 鬼気迫る顔でマネーギャザを発動していた。
「あー小銭が出てくるー」
 梢子の隣で同じく両手で輪っかを作っている柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)。
 全力。店に挑むにあたって2人は真剣だった。真剣すぎて入店退店してく人たちがヒソヒソ話をしている。
「2人とも頑張ってるわね」
「未成年でなくても、お財布は厳しいのです?」
 店の表に出ているベンチに腰掛けて、集金なさってる方々を見つめる遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)とマロン・ビネガー(六花流転・e17169)。
 2人の視線をちくちくと感じるビハインドたち――葉介ときゃり子はそれぞれ相方の横でおろおろしている。そーゆーのやめてよ感。
「あー人通りが少ないからペースが悪いなー」
「でも財布の足しになるわ、番犬でよかった……!」
 が、まるで意に介さない清春と梢子。実際誰かが困ることはないからね。なら気兼ねすることはないってスタンスだったよね。
 どんどん集まる小銭の音を聞きながら、マロンは辺りに目を配った。
「それにしても、鳥さんには早く来てもらいたいのです」
「ね。早くチョコケーキ食べたいわ!」
 振り返って店内を覗く篠葉。すでにスイーツ大好き狐っ娘の意識はチョコレートケーキの楽園へと引っ張られているようである。
「チョコレート……甘く、そして時にほろ苦いチョコレート……いいですね、最高ですね」
「おあずけをくらっている状態はつらいです~っ」
 シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)とセレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)に至っては引っ張られすぎて、外壁のガラスウィンドウに張りついていた。
 あぁ、待ちきれない。
 今か今かと、猟犬たちは鳥さんの襲来を願うのでした。

 で、数分後。
「うおお! チョコレートケーキ許さじ!!」
 盛大な足音と咆哮をあげて、鳥が猛ダッシュでやってきた。
「来ましたね」
「来ましたね~」
 パッ、と壁から離れるシフカとセレネテアル。
 通りの向こうから鳥さんが立てる砂煙はぐんぐん近づいてきた。
 刀を握るシフカ。
「洋菓子店など潰してくれる! チョコレートとケーキは分けて――」
「邪魔です」
「ぎゃあああああ!!?」
 ぐさー、と鳥のどてっぱらに突き刺さる雷刃突。
 走る勢いのまま鳥さんはごろごろと転がった。
「おのれ! すでにチョコレートケーキ派の罠が――」
「台詞が長いです~っ」
「ぐあああーーー!!?」
 垂直で落ちてきたセレネテアルの蹴りが炸裂。
 鳥さんは腹を押さえて左右にごろごろ。
「よし、総攻撃ね!」
「意味不明なこと言ってる鳥はさっさと処しちゃいましょ!」
「今のうちに袋叩きですー」
「ギャアーーッ!?」
 わーっ、と群がって鳥さんを総がかりで攻める梢子、篠葉、マロン。
 漫画的な砂煙が昇ってくのを、清春と白樺・学(永久不完全・e85715)が眺める。
「んー。元気な女の子っていいよなー」
「これは元気という範疇に入るのか……?」
 荒ぶる女子勢を見て悦に浸る清春に、首を傾げる学。
 そんな主を見物しながらケーキを食う助手(シャーマンズゴースト)。
「いや貴様は働けぇぇぇ!!!」
「!?」
「いや『!?』じゃないわァァァ!!!」
 すごい怒られた。
 しれっと店内でサボってたからね、無理もないね。
 ちなみにそうこうしてる間に、ボコられ中の鳥さんはどうだったかというと。
「そんなにチョコレートケーキが許せないなら、銃弾でも食べてなさいよ」
「いやそれはちょっと死ん――」
「えいっ」
「モンドウムヨウ!?」
 モモ・ライジング(神薙桃龍・e01721)によって口の中に銃弾をぶちこまれ、何事もなかったかのように消滅していた。

●ウキウキしやがって
 種々のチョコレートケーキが並ぶショーケース。
 そのド真ん前で、梢子は鬼気迫る顔(本日2回目)をしていた。
「バレタラシイデーは過ぎたけれど、やっぱりちょこれいとは王道よね! とりあえず全部お願いするわ!」
「全部!?」
 一切の曇りない笑顔で言い放つ梢子。ビビる店員。
 ケーキを吟味していたっぽい表情は何だったのか。
「仲間がすみません。全部なんて困りますよね。私はそこまで常識外れではないので安心して下さい」
「は、はぁ……」
 梢子さんの無法を笑顔で詫びつつ、自身もケーキに視線を落とすシフカ。
「このケーキをお願いします。あとこれとそれ。あれもいいですね。こっちの四角いやつもお願いします。これも。ここからここまでもいいですか?」
「ほぼ全部としか言えないんですけど!!?」
 ケーキを取りつつ思わずツッコむ店員さん。
 どの口で常識人ぶるのか。きっと彼女はそう思ったに違いねえのです。
 一方、セレネテアルは思案げな顔である。
「チョコって単体でも十分美味しいんですけど、それだけだと結構口の中で味が濃くなって沢山食べられないのですよね~!」
「は、はい……」
「でもチョコレートケーキであれば、ムースや生地が良いクッションになって濃過ぎなくなりますし、食感も変わって食べ易くなります~!」
「そうですね……」
「という事で~、これとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれをお願いしますっ!」
「すいませんもう1度お願いします!!」
 ゲシュタルト崩壊を起こしそうなオーダーに、慌ててメモ紙を用意する店員。可哀想な彼女は数分かけて書き記した。要約すれば『だいたい全部』だった。
 そんな3人を横から見ていたモモ。
「張りきってるわね……」
「金に糸目はつけねえなのですー」
 自分の財布をぎゅっと握るマロン。手応えは薄い。とても梢子やシフカみてーなダイナミック注文はできそうもない。未成年の悲しみ。
「でも沢山あるのなら挑戦したいのです。というわけで一口サイズのプチアソートセット的なメニューは有りますかね?」
「ございますよー」
「じゃあお願いします!」
 即答のマロン。
 鼻歌混じりでテーブルに駆けてくマロンを見送ると、モモは改めてケーキたちを眺める。
「いろいろあって、目移りしちゃうね。何にしようかな……」
「けど、こうやって何食べようか悩む時間から最高に楽しいのよね」
「あ、それはわかるかも」
 中腰になってケーキひとつひとつを観賞する篠葉に、うんうんと頷くモモ。
 そうして女子勢が頭を悩ませてる一方、学はもうテーブルについていた。皿に乗っているのはジャーマンケーキだ。
 立派なホールケーキを助手と一緒に味わう学は、体に染みわたる甘さに唸った。
「ほぅ……なるほど、良いな。想像以上に甘いが、それでいてしっかりと旨い。主張が強いのに飽きが来ないとは、作り手の腕が良いのだろうな……」
「――!」
「おい貴様、ペースが早いぞ。僕も食べることを忘れるなよ」
「!?」
「いや驚くところなどひとつもないだろうが!!」
 なんですと的な顔しやがる助手に釘を刺す学。
 と、そこへ清春がやってきて、座るや否やため息をついた。
「はぁ~~……」
「む、どうした柄倉」
「いや店にいる客の女の子とかに声かけたんだけど、オール拒否だったんだわー」
 あー、と胸が反るほど椅子にもたれかかる清春。
 説明しよう。清春くんはとにかく可愛い女の子が大好きなのである。ついでに野郎が大嫌いなのだけど、学と普通に喋ってるのはこのグランドロンが割と男くさくないからですね多分。
 きゃり子がぱくぱくケーキを食べるのを一瞥すると、清春はつまらなさそうな顔でチョコケーキを口に放りこんだ。
「これくらい甘々な女の子、どっかにいねぇかなー」
「ケーキのように甘い女の子……?」
 果たしてその意味するところは、と少し考えてしまう学だった。

●ウマウマしやがって
 フォークで押せば、ふわりと戻ってくる。
 そんな軽やか食感のシフォンケーキを頬張って、梢子とマロンは幸福顔をしていた。
「このちょこれいとしふぉんふわふわ……! 口当たりが最高!」
「軽い甘さが素晴らしいのです。次に食べるレアチーズケーキとのコントラストも効くのですー」
「それよね! 軽いけぇきの次は濃厚けぇき……味わいが違うものを交互に食べれば飽きないわ! いくらでも食べられそう!」
「ふーん、そういう考え方もあるのね」
 梢子たちの会話を聞いていた篠葉が、もぐっとチョコタルトを食べる。
 さんざ悩んでいた篠葉の前には、所狭しとチョコケーキが並んでいる。ザッハトルテやオペラ、ガトーショコラにフォンダンショコラ、果てはチェック柄の愛らしいサンセバスチャンケーキまでまで。
「甘さは正義! ということで私はとにかく食べたいものを選んできたわ!」
「力強い顔ぶれね……いいと思うわ!」
「明日の体重計が恐ろしいのですー」
「体重? 大丈夫! 明日からダイエットするから!」
 遠くどこかを見つめて、ザッハトルテにフォークを差しこむ篠葉。
「鼻に抜けるカカオの香りに、まったり甘くって濃厚なチョコの風味と甘酸っぱいジャムの風味……あー、最高」
「へぇ、このざっはとるてってじゃむが入ってるのね!」
 そういえば自分も頼んでいた、とザッハトルテを食べる梢子。そんな2人を横目にマロンはオペラをぱくっ。
「高級感に溢れる名前に見合った美味しさですね!」
「この洋酒の香り……ちょっとオトナな気分になるわねー」
「おぺら? 気になるわ分けてもらっていいかしら!」
 オペラをぱくぱく食べるマロンと篠葉に、仔犬の眼差しで皿を差し出す梢子さん。その素晴らしい食い意地に隅っこにいる葉介は色々と諦めました。
 一方、わいわい盛り上がる3人の横では、モモやセレネテアルもまたチョコレートケーキを味わって話に花を咲かせていた。
「あ、このチョコとバナナのパウンドケーキも美味しい」
「風味が絶品ですね~。しっとりして食べ応えもあります~。これは頬張るしかありませんっ!」
「クルミとスパイスの香りがいいアクセントになってるわよね。カルダモンか……オールスパイスかしら?」
 むぐむぐ、と香り豊かなパウンドケーキに舌鼓を打つ2人。濃厚な後味を渋めの珈琲でリフレッシュさせると、続けてシンプルなチョコケーキも口に運ぶ。
「ん~……! 美味しいですっ♪」
「本当、どれも美味しくて困っちゃうわ……」
「こんなお店があったなんて……もう、これじゃまた来るしかないじゃない」
 山と並べたチョコケーキを腹に収めつつ、セレネテアルとモモにしみじみ頷いてしまうシフカ。平時から心がけている敬語がすっかり消え失せている。
「甘い……おいしい……しあわせ……♪」
 しかもどんどん顔が蕩けてゆくシフカ。
 こいつ、ケーキを食うたびに言語能力が1レベルずつ下がっていってやがる……。
「そういえば私、ムースケーキも頼んでいたんです~。ムース型はスプーンを入れる時の切り抜き感と口に運ぶ優雅さがたまらないんですよ~! 良ければ皆さんもどうですか~?」
「ムースケーキ? 美味しそうね」
「もちろん食べます! くださいセレネテアルさん!」
 思い出したようにムースケーキを前に持ってくるセレネテアル。蕩けるような食感にセレネテアルもモモもシフカも夢中になって味わった。
 さらに、モモは本命として頼んでいたガトーショコラにもフォークを伸ばす。
「……うーん、最高。口の中で濃厚な甘味がしっとりと蕩けてくわ!」
「滑らかな見た目に、甘さ控えめで口に入れると柔らかく解ける食感、漂う香り……贅沢に上品な大人の感じです……!」
 もむもむと口を動かして賛同するマロン。彼女が別途ついてきたホイップクリームを乗せていると、清春と学も横から顔を出してくる。
「へー、ガトーショコラも美味しそうだね」
「ああ。良ければ一口もらえるだろうか」
「いいわよー。多めに頼んでおいたし」
 大きめの皿に乗ったガトーショコラたちを差し出すモモ。
 すると、さらに横から別の皿を差し出された。乗っているのは無数のフォンダンショコラと、添えられているバニラアイス。
 それを見せて、篠葉と梢子は思わせぶりに微笑んでいた。
「このフォンダンショコラも皆でシェアしちゃいましょう」
「とろとろで美味しいわよ! だからその……がとーしょこらもいただいていいかしら!」
 チョコケーキの宴に加わるフォンダンショコラ。
 かくして最強の布陣となったことで、女子陣のテンションは否が応でもMAXになっていた。あれもこれもとチョコケーキが飛び交う卓上は賑やかすぎて目が回るって感じだった。
 眼前で繰りひろげられるそれを、清春と学は静かに見物していた。
「すげー女子会って感じがすんな」
「ふむ、言わんとするところは何となくわかるぞ」
 ホットココア飲んで一息つく清春に、ケーキを摘まみながら答える学。
 フォークで刺しては口に消えてくそれを見て、清春はふと思った。
「……そーいえばグランドロンって味覚あんのか?」
「ん、ああ、一応僕は味も分かるように造られているぞ。生身のものと同じ感覚かどうかは定かでないが……そうズレはない、はずだ。この店の品も美味と感じるしな」
「へー」
 シェアされたフォンダンショコラを取りながら、雑に返事する清春。
「そも味覚で言えば、だ。こいつこそ、きちんと備えているのか甚だ疑問で……」
 隣の助手を指差した学が――ぴたっと止まる。
 彼の目は捉えていた。
 なんかむぐむぐ動いてる助手の顔を。
 そして奴の手元で空になっている、ジャーマンケーキの皿を。
「……貴様。今し方まで8割は残っていたケーキ、会話の隙に全て食ったな……?」
 無言でむぐむぐを続ける助手。
 無言で肩を掴んでゆさゆさする学。
 無言で始まる取っ組み合い。
 やがて寝技合戦みたいになる学と助手を眺めて、清春は隠しもせず笑った。
「いいねーケンカだケンカ。やれやれー」
「いや、止めてあげたほうがいいんじゃないの……?」
「見ていて面白いしいいんじゃない?」
「火事と喧嘩はなんとやらなのですー」
 囃し立てる清春の横から、心配あるいは遊興の眼差しを送るモモとシフカ。マロンはそんな2人の間からひょこっと顔を覗かせて、大本命として残しておいたチョコモンブランをぱくっと口に入れた。
「これも美味しいのです……あ、お土産も買わないとですね」
「あーそうね」(モモ)
「忘れちゃいけないわね」(シフカ)
「たくさん! たくさんけぇきを持ち帰らないとよね!」(梢子)
「お金は用意しましたからね~。買いこみましょうっ」(セレネテアル)
「私はブラウニーにしようかなー」(篠葉)
「俺もいちおう買っとっかなー」(清春)
「――!」(学の財布を持って走り出す助手)
「いやふてぶてしいにも程があるわァァ!!」(全力で追っかける学)

 かくして、猟犬たちのチョコでケーキな1日は平和に終わった!

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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