●都内某所
「俺は常々思うんだ! 腹パンこそ至高である、と! 嘘だと思うんだったら、ドンと来い! どんなに腹パンしても、俺は絶対に屈しないぜ! 何故なら、俺はドMだからなァ! さぁ、どんどん来い! お前達もヤッてほしいんだったら、イイ感じで腹パンをしてやる! だから、遠慮をするな! ドンと来い!」
ビルシャナが廃墟と化した施設に信者達を集め、自らの教義を語っていた。
信者達はビルシャナに、腹パン。
その一撃を喰らったビルシャナが、ヘヴン顔。
信者達も、それを見て、ビルシャナから、腹パンを喰らい、同じようにヘヴン顔を浮かべていた。
●セリカからの依頼
「皇・絶華(影月・e04491)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
ビルシャナが拠点にしているのは、廃墟と化した施設。
信者達はビルシャナに腹パンしつつ、自分も腹パンしてもらい、幸せな時間を過ごしているようである。
ただし、信者達は洗脳状態に陥っているため、腹パンを気持ちよく思っているだけなので、実際にはグッタリ状態。
最悪の場合は、洗脳が解けたのと同時に、ばたんきゅーである。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
信者達の洗脳を解くためには、ビルシャナに腹パンをして、ヘヴンの向こう側を見せる必要があるようだ。
ビルシャナ自身が腹パンに痛みを感じ、恐怖する事によって、洗脳を解く事が出来るようである。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。
参加者 | |
---|---|
除・神月(猛拳・e16846) |
チェリー・ブロッサム(桜花爛漫・e17323) |
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513) |
不動峰・くくる(零の極地・e58420) |
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164) |
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251) |
ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736) |
ジャスティン・アスピア(射手・e85776) |
●都内某所
「……互いに殴り合う、か。心身を鍛える名目であれば良いが、己が趣向を満たす物であるならば論外だな」
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)は、仲間達と共にビルシャナが拠点にしている施設にやってきた。
ビルシャナは腹パンこそ至高であると訴え、信者達と一緒に朝から晩まで腹パン三昧のようである。
「ううむ……、どう解釈すれば良いものか……」
ディミック・イルヴァ(グランドロンのブラックウィザード・e85736)が複雑な気持ちになりつつ、事前に配られた資料に目を通した。
何とかビルシャナ達の気持ちを理解しようとしたものの、ツッコミどころが満載であるため、頭の中がショートしそうになった。
「……と言うか、この鳥ヤバくない? 普通に危害を加えているし……」
チェリー・ブロッサム(桜花爛漫・e17323)が、ドン引きした様子で口を開いた。
だが、ビルシャナは、極度のドM。
信者達も洗脳によって、ドM回路がフル稼働しているため、痛み=キモチイイのようである。
「いや、マジでヤベエだろ!? 単なる変態どころか、ド変態じゃねえか!」
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)も、思わずツッコミを入れた。
清春自身、殴るのは好きでも、殴られるのは嫌い。
そのため、ビルシャナの考えを全く理解できないものの、理解したところで幸せにはなれないだろう。
「ビルシャナのしょうもなさと洗脳力の厄介度は聞いているんだが……ひたすら腹を攻撃すればいいのか?」
そんな中、ジャスティン・アスピア(射手・e85776)が、気まずい様子で汗を流した。
色々な意味で、引っかかる事ばかりだが、ビルシャナ的には平常運転。
何ひとつおかしなところが無いようなので、あえてスルーするのが、大人の対応のようである。
「……たくっ! 随分と威勢の良いドM共がいたもんダ♪ どんだけ耐えられんのか今から楽しみだゼー」
除・神月(猛拳・e16846)が指の関節を鳴らしながら、含みのある笑みを浮かべた。
ビルシャナ的には、むしろウェルカムな状況のため、躊躇う事なく腹パン。
問答無用で腹パンと言った感じのようである。
「……私、あまり筋力に自信がないの、これくらいはないと、物足りない筈よね」
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)も、何やら察した様子で、ナックルバスターをシッカリと握り込んだ。
これで打撃は、バッチリ。
腹パンどころか、腹ボコ……もしくは、一撃必殺あの世逝きと言った感じになっていた。
「まあ、殴るだけの簡単な仕事……と考えれば気も楽でござるな」
そう言って不動峰・くくる(零の極地・e58420)が、何かを悟ったような表情を浮かべ、仲間達を連れて施設の中に入っていった。
●施設内
「……随分と盛り上がっているようでござるな」
施設に足を踏み入れたくくるは、ビルシャナ達の姿を目の当たりにして、気まずい様子で汗を流した。
ビルシャナ達は代わる代わる腹パンをしており、みんな締まりのない笑みを浮かべていた。
(「……目が虚ろになって随分と憔悴しているようだな。互いに殴り合っていれば無理もない。では、一計を案じよう」)
ジークリットが何やら察した様子で、信者達に視線を送った。
信者達は完全に洗脳されており、頭の中が腹パンでいっぱいになっているようだった。
「それにしても、こんな事をして飽きないのかしら」
そんな中、キリクライシャがポツリと……だが、ハッキリと言葉を発した。
「……何が言いたい」
ビルシャナがムッとした様子で、激しくこめかみをピクつかせた。
「こんな事をして、楽しいの?」
キリクライシャがナックルダスターをシッカリと握り締め、ビルシャナに腹パンを叩き込んだ。
だが、腹パンし慣れていないため、むしろマッサージに近かった。
「おいおい、マジか! 正気か! もっと来いよ、ガツンとさ!」
ビルシャナが拍子抜けした様子で、ケルベロス達を挑発した。
まわりにいた信者達も、ドンと来いと言わんばかりに、ポージング。
みんなイケない妄想を膨らませ、ほんのり頬を染めていた。
「どうやら、腹パンされるのが好きみたいだし、全力でぶん殴っても大丈夫だよね?」
そのため、チェリーがヤル気満々。
ビルシャナの腸をぶち撒ける勢いで、ルナティックヒールで自分の攻撃力を上げ、赤河拳聖の鉄拳制裁(セキガケンセイノギガントアーム)で血を固めて巨大な拳を作り出し、問答無用で腹パンした。
「うご……ご……!」
その途端、ビルシャナが両目をカッと見開き、ハトが豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべたまま、クチバシをパクパクさせた。
だが、ビルシャナは極度の……ドM!
激しい痛みが快感となって、全身を駆け巡り、惚けた表情を浮かべて、全身をビクつかせた。
「……!」
それを目の当たりにした信者達も一斉に達し、恥ずかしい水溜りを作って崩れ落ちた。
「……今度は俺の番だ!」
ビルシャナが内股になりつつ、両脚をカタカタと震わせ、ニンマリとした笑みを浮かべて、チェリーに腹パン!
「……んあ!?」
その一撃を喰らったチェリーが、目を丸くさせた。
だが、痛みと共に全身を駆け巡ったのは、例えようがない程の気持ちよさ。
思わず甘い声が漏れてしまう程の気持ちよさに、チェリーがビクビクと身体を震わせた。
「イイだろ、この感覚……」
ビルシャナが眩暈にも似た感覚に襲われながら、チェリーの肩をぽふりと叩いた。
「とりあえず、ビルシャナに腹パンすれば良いのかな?」
そんな中、ディミックが察した様子で間合いを詰め、かなり低い姿勢からの立ち上がり、抗神拳で全身から激しい光を放ちながら、激しいアッパーカットを繰り出した。
それはビルシャナにとって予想外の腹パン(?)であったが、考えを巡らせるよりも速くディミックからグランドロン光線が放たれた。
そのため、ビルシャナは全身黒焦げになりながら、香ばしいチキンのニオイを漂わせて、グッタリ。
『とっても美味しく焼けました』とばかりに、こんがりであった。
「つーか、グランドロンとか拳が金属だぜ。それにオウガの力なら素手だって下手すりゃ死ぬんじゃね。快楽に生きんのは大賛成だけどよ、死んじゃ味わえねぇくらい、テメェだってわかっていただろ? ……って、駄目か」
清春がビルシャナを見下ろし、深い溜息を漏らした。
ビルシャナの口からは魂が抜け出ており、清春と目が合って元気よく『ウェーイ』と手を上げていた。
「どうやラ、教祖様はイッちまったようだゼ! お前達も、そろそろイキたい頃だロ? お望み通り、全力の腹パンで鳴かせてやんヨ♪」
その間に、神月が男性信者の中で一番ガタイのイイ相手を腹パンの相手として選び、イイ笑顔を浮かべた。
「おいおい、冗談は勘弁してくれ。お前の腹パンじゃ、俺は逝けないぜ!」
男性信者が小馬鹿にした様子で、神月の前に陣取った。
完全に油断しているのか薄笑いを浮かべており、神月の実力を過小評価しているような感じであった。
「とりあえズ、パンツ以外全部脱ゲ」
そんな空気を察した神月が、男性信者を見つめて、含みのある笑みを浮かべた。
「い、いいだろう」
その言葉に動揺しつつ、男性信者がそそくさと服を脱ぎ、両手を後ろに回して身構えた。
「それジャ、お楽しみといこーじゃネーカ♪」
神月が拳をギュッと握り締め、渾身の腹パンを繰り出した。
「うご……ご……」
その途端、男性信者が腹を押さえたまま目をパチクリとさせ、崩れ落ちるようにして座り込んだ。
本音言えば、泣き叫ぶほど痛かったのだろう。
洗脳されていた影響で、痛みが快感に変わっているはずだが、それすらも超越する程の痛みが走ったせいで、すっかり我に返っている様子であった。
しかし、理性よりも痛みの方が勝っているため、状況を把握する事よりも、痛みから逃れる事を優先しているような感じであった。
「なかなか、しぶといじゃネーカ。まァ、一発で沈むほどヤワだと思っていなかったけどな」
神月がニヤリと笑って、再び腹パン。
男性信者は涙目になっていたが、必死に痛みを堪えているようだった。
「それじゃ、他の奴はどうだ。腹パンされるのが嫌なら、する方でも構わないが……。さあ……、来い!」
ジークリットがアーマーをパージし、フィルムスーツ姿になった後、腕組みをしながら信者達をジロリと睨みつけ、剣気解放と眼光による凄みで、信者達を挑発した。
「……!」
そのため、信者達はジークリットが巨大化したような錯覚を覚え、恐怖で体を震わせた。
だが、逃げる訳にはいかない。
そんな選択肢は存在していない。
故に、信者達は捨て身の覚悟で腹パンを仕掛け、鉄壁の如く頑丈な腹筋に拳を潰され、次々と悲鳴を響かせた。
「んぐぐ……俺は一体……」
その間にビルシャナが目を覚まし、朦朧とする意識の中で、ふらりと立ち上がった。
しかし、全身こんがり、チキン風味。
美味しさをギュッと閉じ込める感じで、全身火ダルマになっていたため、かなり弱っている様子であった。
「おいおい、まさかこれで終わりじゃねえよな? オレは優しいから、殴ってくれっつんなら、心を鬼にしてぶん殴ってやるよ」
その事に気づいた清春が、野球のスイングをするようにしながら、獣の骨をブンブンと振り回した。
「ちょっ、ちょっと待て! 俺が好きなのは、腹パンであって、それは違う!」
ビルシャナが色々な意味で危機感を覚え、脂汗をダラダラと流し始めた。
「あー? 腹パンすればいいんだろ? だったら、間違ってねえから大丈夫だって! せっかくなら最高の腹パンお見舞いしてやんよ。バックスタンドまで一直線な」
清春がバッティングセンター気分で、ビルシャナに腹パン。
どちらかと言えば、腹バンであったが、細かい事は気にしない。
一方、ビルシャナは鳩が豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべて、沈黙状態。
既に御通夜とばかりに、真っ白に燃え尽きていた。
「おいおイ、まさかこれで終わりじゃねーよナァ……♪」
そんな中、神月が物足りない様子で、男性信者に擦り寄り、腹筋の割れ目を指でなぞった。
その途端、男性信者のモノが元気に反り立ち、物欲しそうに涎を垂らした。
だが、起き上がる気力が無いため、神月に弄ばれているような感じになっていた。
「うぐぐ……、まだだっ! まだ、終わっちゃいない!」
ビルシャナが虚ろな表情を浮かべ、ケルベロスの前に陣取った。
肉体的には限界寸前であるため、気力だけで立っているような状態。
それでも、ドM回路フル稼働で、ヤル気満々になっていた。
「つまり……覚悟が出来ているって事か」
そう言ってジャスティンがスターサンクチュアリを発動させ、地面に描いた守護星座を光らせ、仲間達を守護するのであった。
●ビルシャナ
「行くぞ、喰らえ! 腹パンビーム!」
ビルシャナが半ばヤケになりつつ、腹パンビームを放ってきた。
それは腹パンと同じ破壊力を持った強力なビーム。
「うくっくっ! 凄くイイ……こんなに気持ちいいなら、ビルシャナにも腹パンしてあげなきゃ! 全力で!」
その一撃を喰らったチェリーがウットリした様子で、拳をギュッと握り締め、再び赤河拳聖の鉄拳制裁(セキガケンセイノギガントアーム)を繰り出した。
「でも、殴る方にも持続力が必要ね。その点これなら手段が増えると思うの」
それに合わせて、キリクライシャがスターゲイザーを仕掛け、ハイヒールでビルシャナの股間を踏んだ。
その間、テレビウムのバーミリオンが、凶器攻撃でビルシャナに腹パン。
股間踏みと腹パンの奇妙なコラボによって、ビルシャナが新たなステージに旅立った。
「……って、ちょっと待て! 股間は駄目だろ、股間は!」
その途端、ビルシャナがハッと我に返って、ケルベロス達にツッコミを入れた。
「なら腹パンをすればいいのか? こんな感じで……」
ジークリットが何やら察した様子で、ビルシャナに破鎧衝を炸裂させた。
しかし、そこは鳩尾。
そのため、ビルシャナがクチバシをパクパクさせ、何か言葉を吐き出そうとした。
だが、そこから洩れるのは、呻き声。
あまりの痛みで、口から言葉が出てこない。
「よほど気持ちが良かったようだね。それなら、本気で行くよ……!」
ディミックが再び抗神拳を仕掛け、ビルシャナに腹パン。
「だったら、ビルシャナの身も心も折れるまで腹に叩き込むだけだ」
それに合わせて、ジャスティンがメリケンサックを装着し、戦術超鋼拳を仕掛けて、ビルシャナの腹をぶち抜いた。
そのため、ビルシャナは悲鳴を上げる事さえ出来ず、血溜まりの中に沈んでいった。
「あー、運動したら腹減ってきたな……がっつり重いもんでも喰うか」
清春が深い溜息を漏らした後、グゥッと腹の音を響かせた。
とにかく、がっつり。
肉が食べたい気分のようだ。
「うっ、ボクもなんだかお腹痛くなってきた……」
それとは対照的に、チェリーがグッタリとした様子で、その場に座り込んだ。
「それジャ、あたしはこいつらを連れて帰らせてもらうゼ! みんな痛みに耐えテ、よく頑張ってかラ、御褒美をやらないとナ」
神月が妖艶な笑みを浮かべ、信者達の股間に触れた。
その途端、信者達が恥ずかしそうに声をあげ、ほんのりと頬を染めた。
「まあ……これにて、一件落着でござるな」
そう言って、くくるが複雑な気持ちになりつつ、何処からかキセルを取り出し、ホッとした様子で煙を吹かせるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年3月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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