●にゃんにゃんにゃん
冬の向こうから、春の匂いがやってくる。
そう肌で実感できるほど草原は穏やかだった。厳しい寒さも失せはじめたことで辺りには俄かに緑の香りが流れている。
風に撫でられた草が、音をたてて擦れあう――。
その中に、ねこさんはいた。
「――」
ぐたっと横たわって虚空を見つめているそれは、本物のねこさんではない。
猫の姿を模したロボット玩具だ。使い古されて汚れたボディは長いこと誰かに愛でられただろうことを確信させるが、草の中に捨て置かれた姿には哀愁しか感じられない。
用済みとなったねこさんは人知れず朽ちるだけだった。
しかし、だ。
ふわりと吹く風に紛れて、超小型ダモクレスが降ってきた。
ひらひらと舞った極小の蜘蛛っぽいそれは右に左にと不安定に落ちてきて、すぽっとねこさんに着地して――。
「ンニャー」
健やかなねこさんになった。
ダモクレスと合体したねこさんのボディはピッカピカ。およそ動物らしくない光沢がその硬質ぶりを表しているが、それにしても顔をなでたりペロペロ毛繕いしたりするさまは紛うことなき猫である。
立派に復活を果たしたねこさんは、草の上を無心で駆け回った。
「んにゃーーお」
時折さびしげに辺りを見回して鳴くのは、遊び相手を探しているのだろうか。
●言う順番って大事
「ねこさんですか」
「ねこさんだ」
かざした猫じゃらしをフリフリしているエレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)とザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)が、くっそ無意味な問答をしている。
招集されるなりソレ見せられた猟犬たちは確信した。
『またダモクレスさんが出やがったな……』
と。
一同の顔色から心中お察しになってくれたっぽい王子は、そのとおりだ、とか言いながら猫じゃらしを振り向けた。
「草原に捨てられていたねこさんの玩具ロボにダモクレスがとりついたのだ。放っておけばいずれグラビティ・チェインを得るために人々を殺しまわるのは必然……だからおまえたちにはすぐに現地に向かってほしい」
「人々の命を守るのが我々ケルベロスの使命……やらないわけにはいきません」
王子の言葉に頷くエレス。
しかし両手に大量の猫缶を抱えている。
ねこさんにあげるためとしか思えない缶詰を保持しておられる。
やらないわけにはいきませんって餌の話じゃねえかァァァァ!!!
「では討伐対象のダモクレスの話に入ろう。まず奴は猫だ」
さらりと説明モードに入った王子が、既出の情報でドヤ顔を作る。
知ってるからね? 猫なのはもう知ってるからね?
「遊び相手を探して草原を気ままに歩き回っている。ニャーニャーと小さく鳴きながらな……」
おい庇護欲をかきたてるのはやめろ。
壊しに行くからね? これからその気ままなねこさんを壊しに行くからね?
「何か目の前にちらつかせたら、ふらふらと寄ってくるかもしれん。興味津々に猫パンチしてくる姿も想像に難くない」
だからやめろ王子!
聞けば聞くほどすごい倒しづらくなって――。
「体長は2mある」
でけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!
最初に言えよ!! 通常サイズのねこさんで夢想してた時間を返しなさいよ!!!
「大きなねこさんと遊べるなんて楽しみですね」
猟犬たちの反応をよそにしれっと巨大猫を受け容れているエレス。
その両腕には、通常の数十倍サイズの猫じゃらし(イミテーション)が収まっとる。
「では行きましょう。ねこさんが私たちを待っています!」
「よし、ヘリオンに乗るのだケルベロスたちよ! 草原でねこさん(2m)と楽しんでくるといい!!」
力強い圧を放つエレス&王子。
かくして、猟犬たちはビッグねこさんとキャッキャ戯れることになるのだった。
参加者 | |
---|---|
メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015) |
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532) |
ジェミ・ニア(星喰・e23256) |
小柳・玲央(剣扇・e26293) |
葛之葉・咲耶(野に咲く藤の花のように・e32485) |
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004) |
エレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308) |
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433) |
●あれはねこさん
「にゃおー」
呑気な鳴き声が草原に響いている。
「みぃー」
体をめいっぱい丸めて、くしくしと顔を撫でている。
穏やかな草原の真ん中で巨大ねこさんはくつろいでいた。公衆電話ボックス並みのサイズ感は結構シュールだったが遠目に見る分には可愛さしかなかった。
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)が屈託ない笑顔で、隣にいるメリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)の袖を引っ張る。
「ねこさん! ねこさんかわいいね、おねえちゃん!」
「うん、ねこはいいよね、可愛いよね」
興奮気味に話してくるシフカの頭を撫でるメリルディ。
ちなみに『おねえちゃん』とか言ってるけど血縁とか皆無である。なんなら同い年だし正確を期せば誕生日が早いシフカのほうがおねえちゃんである。
だのになぜ幸せそうな姉妹シーンになってるかっつーと。
「……はっ!? ま、また頭のネジが……」
覚醒したかのように目を見開くシフカ。
説明しよう!
シフカさんは可愛いものを見るとバグる!
「よかった。戻ったんだねシフカ」
「はい、すみません。どうにもああいう可愛いのを見ると……かわ、かわいい……ねこさんかわいい!」
「あっ、シフカがまた!」
メリルディと話していても5秒で3歳児になってしまうシフカたん。こればかりはメリルディが施したBS耐性でもダメでした。
「23歳が3歳になっちゃうなんて、強敵な猫ちゃん……!」
「恐ろしいのです……ねこさん恐ろしい子なのです……!」
ケルベロスの精神さえも乱すねこさんの攻撃に、葛之葉・咲耶(野に咲く藤の花のように・e32485)と八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)は戦慄の表情を浮かべる。あとそわそわしている。
どう見ても心奪われている2人である。
「ふふふふふふふふふふふふふーーーっねこさーん!!!」
仲間たちがなんやかんやしてる間に、猛然と駆けだしたのはジェミ・ニア(星喰・e23256)だ。自宅でも三毛猫さんと楽しく暮らしてる猫好きは、ねこさんに駆け寄るや否や手作りのぬいぐるみを地面に放った。
「ほらねこさん! ネズミさんですよ!」
「んにゃー!」
括りつけた紐を操り、ネズミさんを操作するジェミ。眼前でちらちら動くそれをねこさんはついつい追っかけてしまう。
離れてく大きな尻を見ては、どっちかと言えば犬派の咲耶も頭を抱えた。
「うぅ、今までで一番戦いにくいダモクレスさんだよぉ……」
「恐ろしいのです……ねこさん恐ろしい子なのです……!」
ふらりとよろめく咲耶を支えて、ごくりと喉を鳴らすあこ。ところでその台詞は気に入ったの、と後ろのベル(ウイングキャット)の視線が冷たいのデス。
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)は、しなやかに駆けてくねこさんを見て唸った。
「この大きさで懐っこいとなると……ケルベロス以外が構うと、なかなか大変なことに、なりそう」
「そうだね。私たちで何とかするとしようか」
少し横に歩いてきた小柳・玲央(剣扇・e26293)が、くすりと微笑む。
直径1mはある大玉を、頭上に抱え持ちながら。
「大玉……」
「猫様と言ったらボールだと思ってね」
クールにウインクさえ決めやがる玲央。普通であれば「そんな状態で言われても」とツッコむところであろう。
しかしオルティアはそれどころか、頷いた。
「あの子と遊べるのは私たちだけ……心ゆくまで、遊んであげよう……!」
「ええ、遊びましょう。私たちはそのために来たんですから」
エレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)が大きな胸の谷間に手を入れ、何かを取り出す。
「とりあえず、食べられるか試してみましょう」
猫缶だった。
「それはいいね」
「そうしよう、そうしよう……」
異議なし、と揃って頷く玲央とオルティア。
開封したやつを近くに置いといたら、すぐに「にゃーん」と寄ってきました。
●これもねこさん
「ほーら捕まえてごらーん!」
「にゃーー!」
草原を駆け回るジェミとねこさん。
ずどんずどん、とねこさんが地面を踏むたびに世界が揺れるのはともかくとして現場には穏やかな時間が流れていた。
「ふふふ、元気ですねねこさん!」
器用にネズミさんぐるみを操りながら、巨大ねこさんと戯れて幸せになるジェミ。
しかし問題がないわけではない。
操作してるネズミさんぐるみだが、度重なる猫ひっかきによりボロボロでした。
「そろそろネズミさんが耐えられませんね……」
「なら今度はこれで猫様と遊んでみようか」
「玲央さん!」
綿がはみ出てるネズミさんを不安げに見るジェミの横に、颯爽と現れる玲央。
「ほーら猫様ー、ついじゃれたくなるボールだよー?」
「んにゃ?」
巨大ねこさんに笑顔で歩み寄る玲央の両手には、大玉転がしのボールやまんじゅう型BIGクッション(ボール)、棘付きの鉄球(ボール)が抱えられていた。
ものは言いようだった。
「気に入るのはどれかな? ほーらとってこーい♪」
「にゃーん!」
「あーボールを追う姿も可愛いー!」
ぶんっ、と玲央が投じたボールたちを見上げ、走り出すねこさん。そのしなやかな走り姿(2m)を見てジェミは胸にキュンキュンするものを感じた。
けれども、ボールの方向へ走ったねこさんはすぐには帰ってこなかった。
なぜならば――。
「ねこさん! ねこさん! こたつ! こたつ!」
「みゃーお?」
転がるボールを追った先に、シフカとこたつがあったのだ。
のんびりしていて良き、と思った人もいるかもしれない。
ところがどっこい、こたつは2mのねこさんも余裕で滑りこめる小屋みてーなサイズ感なのである! シフカたんが天板で飛び跳ねられる大きさなのである!
「にゃーーん!」
眼前に立ち塞がる巨大こたつに、全力で滑りこむねこさん。
で、すかさずシフカもこたつ布団の中に入る。
「ねこさん! ねこさんいらっしゃい!」
「にゃー……」
シフカに全身ですりすりされながら、うとうとするねこさん。
こたつ布団からはみ出た尻を、メリルディとあこは見つめた。
「これ本当にダモクレスなのかな……無防備すぎない?」
「ぽかぽかのこたつがあっては丸くならずには……って、あこはねこさんではないのです!」
キリッ、とノリツッコミするあこ。
そう、彼女は虎のウェアライダーだ。猫ではない。猫よりも立派で強い虎なのだ。
――しかし、目の前のねこクレスを見てあこは思った。
「ねこより虎のほうが小さいなんて……!」
がくーん、と地面に手をつくあこ(約130cm)。
どう見てもねこさんのほうが立派だった……。
だがあこはそれしきで心折れる娘ではない。すぐさまむくっと起き上がると、しばらく呼吸を整えてから意を決してこたつの中に突撃した。
「あこが……あこ自身がねこおもちゃになるのです!!」
「にゃにゃ!」
「さぁねこさん、存分にあこで遊ぶのです! 大丈夫ですよ、今のあこはディフェンダーなので猫ぱんちされてもがぶりといかれても平気でアーッ」
「あ、あこ……!」
飛びこんだ瞬間、目をキュピーンとさせたねこさんに引っ掴まれるあこ。ボール遊びの球のようにぐりぐりなでなでされるのをメリルディは見ていることしかできなかった。
というか多分、助けたらあこに怒られたと思う。
「にゃー!」
「よしよしなのです……!」
「すごい楽しそう!」
もみくちゃにされるあこさんは、笑顔でした。
「ちょっと羨ましいかも……」
「こうしてはいられませんね。メリルディさんもよろしければこれを」
「あ、ありがとう」
ねこさんの戯れに見入っていたメリルディに、巨大猫じゃらし(2本目)を差し出すエレス。
「じゃあ、振ってみよう……」
すでに巨大猫じゃらし(3本目)を装備しているオルティア。
3人の剣士はこたつで丸まってるねこさんにそろーっと近づき、思わせぶりに巨大猫じゃらしをふりふりした。
「ほらほら、ねこさん」
「ゆらゆらしていますよー」
「どうかな、興味とかは……」
前から右から左から、三方向から攻め立てるエレスたち。巨大なこたつの傍で黙々と振っている姿は儀式的な雰囲気を感じなくもない。
さんざんむにむにしたあこをポイ捨てすると、ねこさんは振り返った。
「にゃーん!」
「ねこさん待ってー!」
「ねこさんとシフカが出てきた!」
「か、かわいいですね……!」
ひっついてたシフカもろとも飛び出してきたねこさんが、しゅしゅっと猫じゃらしに前脚を伸ばす。その真っ正直な反応にメリルディもエレスもとてもほんわかした。
「もっと揺らす……頑張って、捉えてみて」
「にゃにゃん!」
「ほらもっと、こっち……こっち……」
「にゃにゃーん!!」
オルティアがちらつかせる猫じゃらしへねこさんの連続ぱんち。正直殴られたいとか思ってしまう愛らしい一撃をひらひらりとかわして、オルティアは巧みにねこさんを運動させる。
仲間たちから少し離れて作業していた咲耶は、その光景にため息をついた。
「うぅ、やっぱり見れば見るほど戦いにくくなるんだよぉ……」
はわわ、と胸を昂らせつつクッソでかい柱を「よいしょ」と立てる咲耶。
どのぐらいでかいかと言うと、橋脚の域に片脚突っこんでるぐらいである。
しかもそれを数本ほど並べている咲耶なのである。
ジェミは普通に首をかしげた。
「咲耶さん、これはいったい……?」
「あっ、キャットタワーだよぉ。巨大ねこちゃんが遊んでも大丈夫っ」
ぶいっ、とピースする咲耶。
確かに10mは軽く超えてるだろうタワーはねこさんが乗っても問題なさそうである。
というかほぼビル。
「どうやってこんなものを?」
「それは葛之葉印の御札の力と怪力無双でねぇ。例えばこの御札はー」
「にゃーん!!」
「「あっ、ねこさーん!」」
ジェミの質問に張りきってセールストークを返した咲耶だったが、ぴょーんとねこさんがタワーに飛び移った瞬間、御札もばらまいてねこさんに夢中になってしまうのだった。
●それがねこさん
「ねこさん、私に追いつけるかな……?」
「にゃーん!」
「ねこさんもオルティアも、速いね。がんばって」
草原を駆け回るオルティアとねこさん。あとねこさんの背の上のメリルディ。
……さっきの章とほぼ状況が変わってねーじゃねーか!
「私の元へ、手が届くか、否か……勝負しよう……!」
「ねこさんダモクレスとセントール、どっちが速いのかは気になるね」
「にゃん!」
風を切るような最高速度で、ねこさんの周りをぐるぐる駆けるオルティア。それを捉えるべくねこさんとメリルディもくるくると向きを変えつづける。そのうちメリルディは酔うかもしれない。
原っぱに腰を下ろして見物していたジェミは、だらしなく頬を緩める。
「ねこさん……でっかいねこさん。あの動き、あの鳴き声……かわいいなぁ」
「うん、本当に……おうちに持って帰りたいぐらいだよねぇ……」
三角すわりでこくこくと頷く咲耶。動き回るねこさんを目で追う彼女は、さっきから何度もため息をついている。
「うぅぅ、あのねこさんを倒さなきゃいけないなんて心苦しいよぉ……!」
「わかる! わかります!」
あー、と俯いて頭を押さえる咲耶。そんな彼女の肩を抱いて涙目になるジェミ。
仔猫を拾ってきたら親に『元の場所に帰してきなさい!』と言われてしまった姉弟……と説明されれば納得するしかねえ絵面でした。
涙をふいたジェミが立ち上がる。
「よし! また遊ぼうか、ねこさん! 僕も足の速さには自信あるんだよ」
「あ、あたいもせめて楽しく……ねこさんと……!」
よろよろと咲耶も立ち上がると、2人揃ってねこさんのもとへダッシュ。そのまま走ってるオルティアと一緒になって「わーい」とねこさんの周りをぐるぐるしました。
そんな平和空間の5mほど横には、あこが大の字で寝ていた。
「さすがのねこさんなのです……節々が痛いのです!!」
くわっ、と仰向けのまま凄むあこ。
ポイ捨てされてからも体を張ってねこさんとじゃれあっていたあこさんは、度重なる猫ぱんちと舌ぺろぺろによってボロボロになっていました。
「だ、大丈夫ですか? あこさん?」
「心配無用なのです! ご飯よ、出ろ!」
心配して見下ろしてくるエレスに答え、ぴょこっと跳ね起きるあこ。手元に召喚したツナ缶(!)をまぐまぐ食べて回復したあこは、相変わらずくるくる回ってるねこさんを見やった。
「もう一度、にゃんこおもちゃになるのです……!」
「あこさん……」
「あこが、あこ達が、おもちゃなのです!」
止めようとするエレスの手を制して、ねこさんに向かってゆくあこ。
数秒後には猫ぱんちで地面に叩きつけられ、むにむにお尻で潰されていた。
「あっという間にねこさんの下敷きに……」
「猫様の下敷き? なんて楽しそうなんだ……」
もう手しか見えないあこを見ながら、ちょっと羨むエレスと玲央。
当のねこさんはあこを潰しながら、目の前でふりふりされるシフカの猫じゃらし(通常サイズ)に夢中になっていた。
「ねこじゃらしだよ、ねこさん! ふりふり!」
「にゃー……」
猫じゃらしに合わせて首を左右させるねこさん。
その背後に、エレスはこーっそり近づいていた。
「普通のねこさんでは抱っこが限界……ですがこの硬くて大きいねこさんなら!」
しゅばっと跳躍してねこさんに飛びつくエレス。
少しねこさんはびっくりしたが、エレスは構わずむぎゅーっと抱きしめる。
「力いっぱい抱き着けるなんて夢のようです……」
「あーいいなー! シフカもぎゅってするー!」
「抱き着いても許してくれるんだね猫様……なら私も!」
「にゃーん!?」
ぴょいーんと抱き着き、ねこさんのつるつるボディに頬ずりするシフカと玲央。最初から乗っかってたメリルディも加えれば総勢4名でしがみつく格好である。
が、ねこさんは嫌な顔ひとつしないでくれていた。
「にゃーん」
「ねこさんはおおらかなんだね」
「やはり、ねこさんはかわいいですね……!」
「シフカ、ねこさんすきー!」
「さすが猫様だね……どれ、そんな猫様には私のストールを……」
ねこさんにくっついてまったりするメリルディ、エレス、シフカ。玲央は自身のストールを外すとねこさんの首にするすると巻いてみた。
するとどうだろう。
ねこさんにライオンのような立派な鬣が――。
「うん、なんか違うね……」
「にゃん?」
付きはしなかった。
完成したのは首にストール巻いたねこさんでしかなかった。
「まあ、よく考えればそうだよね」
「でも可愛いからいいと思う」
「そうですね。オシャレしてるねこさんもかわいいです」
「ねこさんひらひらー!」
ねこさんの首元で踊るストールをつんつんして、笑いあう玲央たち。
とてもあたたかい一幕だった。
なお、その時間があたたかすぎたため、倒すときに皆がそれぞれ胸を痛めてしまったのはここだけの話ね?
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年3月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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