死と蒼の競演

作者:なちゅい


 東京・八王子市に広がる、通称『東京焦土地帯』。
 そこはかつて、群生する死神『ザルバルク』の発生によって、人類が放棄せざるを得なかった場所。
 その死神が焦土地帯を取り戻そうと、攻撃を仕掛けてきていた。
 死神の部隊は黒い全身鎧を纏った勢力。剣を握った方は人型で、両手斧を握った方は人馬の姿をしている。
 言葉すらほとんど紡がずに淡々と戦うその不気味なその集団は、『死翼騎士団』と呼ばれている。
 死神を迎え撃つのは、昨年この地の奥に突如として出現した、剣が無数に集まってできたかのような巨大建造物『磨羯宮ブレイザブリク』から出てきた身長3mほどある青い鎧を纏った戦士達。
「なんとしても、この地を護り抜け!」
「「了解!」」
 小隊を編成するこの巨躯の戦士達は、エインヘリアルの集団『蒼玉衛士団』だ。
 督戦兵が一般兵へと指示を飛ばし、一般兵は銃剣を使い、死神勢力を蹴散らそうとしていた。
 だいたい20程の集団同士が交戦を行い、それぞれが武器を操って敵を切り裂き、撃ち抜き、倒していく。
 ほぼ互角とも思われ、双方が倒れ行く中、徐々にエインヘリアルが流れをつかみ、死神の数を減らしていく。
 最後の『死翼騎士団』が倒れたところで、生き残った『蒼玉衛士団』が勝どきの声を上げて。
「これなら、サフィーロ王子もお喜びになるだろう……!」
「「おおおおお!!」」
 生き残った督戦兵が歓喜の声を上げると、傷つく一般兵3人も士気高く吼え、磨羯宮ブレイザブリクに向けて帰還していくのである。


 ヘリポートにて。
 デウスエクスに新たな動きがあったということで、集まったケルベロス達へとリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が状況説明を行う。
「東京焦土地帯で大きな動きが確認されたよ」
 エインヘリアルが磨羯宮ブレイザブリクによって支配している東京焦土地帯に、死神の軍勢が攻め込んで戦いになっている。
 攻め込んだのは大剣を所持する黒翼の女性、シヴェル・ゲーデンが率いる『死翼騎士団』という死神の集団で、東京焦土地帯を守る第9王子サフィーロの『蒼玉衛士団』と小競り合いを繰り返しているようだ。
 この戦いは、東京焦土地帯で行われており、一般人の被害者などは出ていない。
「うまく立ち回って敵戦力を減らしたいところだね」
 そこで、この戦いに横槍を入れて、全てのデウスエクスを撃破する作戦を取りたい。

 戦場は先も告げた通り、東京、八王子の焦土地帯だ。
 ほとんど建物が吹き飛んでしまっており、瓦礫があちらこちらに散乱している中での交戦となる。
 戦況としては、ブレイザブリクから出陣した蒼玉衛士団が、東京焦土地帯に攻め込んだ死神の軍勢を迎撃しているといった状況だ。
「死翼騎士団は18体。歩兵、騎兵9体ずつで編成された部隊だね。対する蒼玉衛士団は、督戦兵1体と一般兵3体で構成された小隊5つで構成されているよ」
 死翼騎士団は歩兵がバスタードソードを、騎兵はルーンアックスを操る。
 一方の蒼玉衛士団は、督戦兵がオーラと剣を合わせた攻撃を、一般兵が銃剣の形をしたゾディアックソードを使うようだ。
「予知によれば、両者の交戦の結果、蒼玉衛士団の小隊1つが残った状態で戦いが終わることを確認しているよ」
 戦いが終われば、エインヘリアル達は磨羯宮ブレイザブリクへと撤退するようだ。
 基本的には敵に見つからぬよう瓦礫に潜み、戦況を窺いつつ機を狙って敵を叩きたい。
 また、自分の手で両者を討伐したいというなら、戦いの途中で介入も可能だ。
「ただ、両者との共闘は不可能だから、三つ巴の戦いになるよ」
 死神もエインヘリアルも敵が死ぬまで戦おうとはするが、逃げる敵を追うことはしない。
 この為、撤退はいつでも可能なので、覚えておきたい。

 一通り状況説明を終え、リーゼリットはさらに補足する。
「死神が東京焦土地帯に侵攻しているということは、彼らにとってこの地には何かあるのかもしれないね」
 現状、エインヘリアルが占拠しているこの場所に、何かあるのだろうか。
 そんな疑問はさておき、今は敵戦力を削ることに注力したい。
「それでは、よろしくお願いするよ」
 リーゼリットは改めて、この作戦への参加をケルベロス達へと願うのだった。


参加者
大弓・言葉(花冠に棘・e00431)
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
折平・茜(モノクロームと葡萄の境界・e25654)
エマ・ブラン(白銀のヴァルキュリア・e40314)
綾崎・玲奈(アヤカシの剣・e46163)

■リプレイ


 東京都の西に広がる焦土地帯。
 この地で起こったデウスエクス2勢力の争いに介入する為、ケルベロス一行は隠密行動をとりながら近づいていく。
 作戦に当たって、メンバー達は白銀の胸甲と白黒基調の戦乙女風衣装を着用したエマ・ブラン(白銀のヴァルキュリア・e40314)の提案もあり、以前、磨羯宮決戦で得られた知見、行動の注意点など、東京焦土地帯の情報を共有していた。
 そして、仲間内で決めた「敵発見」のサインが互いに交わされ、それぞれが繰り広げられる戦いをじっと見守る。
(「焦土地帯に一体何が……」)
 テイカカズラの花を髪に咲かせたオラトリオ、大弓・言葉(花冠に棘・e00431)は事前に聞いていた状況を直に確かめようと、この場にやってきていた。
 この場へと攻めてきているのは、黒い鎧を纏った死神の部隊『死翼騎士団』だ。
「「…………」」
 不気味な死神の剣歩兵に斧騎兵は一切言葉を発せず、命令の通りに全身して蒼い騎士へと刃を振るう。
 赤い鱗の竜派ドラゴニアン、据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)は尻尾のふさふさした部分を手のように変化させ、ハンドサインならぬテールサインで「止まる」を示す。
 隠密気流を使う言葉は、同じサインを返しながらも別の物陰に潜伏する。
 それを確認した赤煙は、顎に手を当てて唸る。
(「死神がこの土地に拘る理由は何でしょうね」)
 彼は隠密行動の為、東京焦土地帯の瓦礫に合わせた迷彩服を着た上で気流で身を包む。
(「エインヘリアルなら、ゲートの場所ですからわかりますが……」)
 赤煙が考えるように、この場に侵攻してくる集団を迎え撃つは、蒼い鎧を装着したエインヘリアル達。
 この地へと現れた磨羯宮『ブレイザブリク』を支配する第九王子サフィーロが率いる『蒼玉衛士団』だ。
 その戦いを、ケルベロス達は物陰から見つめる。
 灰色の髪に三白眼で眼光鋭い相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)は敵のポジション把握に努め、何か面白い事喋ってないか注意して耳を傾けていた。
「なんとしても、この地を護り抜け!」
「「了解!」」
 ただ、そんな一言に、竜人は露骨に不機嫌そうに顔を顰めて。
(「護り抜け、ねえ。盗人猛々しいってのはこういう事を言うんだわな」)
 地球人の土地に割り込んできたエインヘリアルの発言に対して苛立ちを見せていた。
(「死神とエインヘリアルの小競り合いが始まってから、あちこちで戦ってるけど……」)
 エマもまた、その戦いを……とりわけ、勝者になると予知されているエインヘリアルを注視して。
(「ここでも、エインヘリアルの野望は阻んでやるんだから」)
 種族の……ヴァルキュリアの誇りを抱き、エマはこの任務に……デウスエクスの殲滅に当たる。
(「蒼玉衛士団だけになるまで待って、漁夫の利を取るわよー!」)
 そんな言葉の意気込みも、この場に来る前に叫んだもの。
 今は両陣営のデウスエクスに見つからないよう、言葉は瓦礫の陰にこっそり息を潜めている。
 もっとも、彼女の連れていた熊蜂風のボクスドラゴン、ぶーちゃんは目の前の争いを眺めて「ふええ……」といった感じで小刻みに体を震わせていたが。
(「死神にとっても、エインヘリアルにとっても、双方に譲れない戦いがあるのですね」)
 紫色の長髪を揺らす妖剣士の少女、綾崎・玲奈(アヤカシの剣・e46163)は迷彩柄のマントを羽織り、身を低くして瓦礫に身を隠す。
 そんな玲奈もまた無暗に音を立てぬよう気遣いながら、双眼鏡を手にして。
(「ですが、私達ケルベロスにも譲れない信念があるのです」)
 死神とエインヘリアルの交戦を見続け、玲奈は真剣な表情で思う。
 確実にこの戦いに勝利する為、ケルベロス達が選んだ作戦は両勢力の漁夫の利。
 この戦いに決着がついた地点で残った敵を倒すと、メンバーは皆、認識を同じくしている。
「…………」
 もう少し近づくべく、赤煙が「進む」のサインを出す。
 彼は後続メンバーが孤立せぬよう、移動速度、隊列にも気を配る。
 それに合わせ、角を生やした羊の人型ウェアライダー、折平・茜(モノクロームと葡萄の境界・e25654)が移動していく。
 隠密に適した防具特徴を持たぬこともあり、茜は仲間達に状況把握を任せて2勢力の戦闘が終わるのを待つ。
(「見つかったら、覚悟決めなきゃね!」)
(「そうですね……」)
 エマのそんな意思表示に、茜は小さく首肯する。
 とはいえ、現状、相手は手にする武器で互いを傷つけ合うばかりで、近場に隠れるケルベロスにその刃先が向けられることはない。
「…………」
「死神め、成敗してくれる!」
 そんな死神とエインヘリアルの戦いの成り行きを、6人のケルベロスと3体のサーヴァントは固唾を呑んで見守るのである。


「…………!!」
「ぐあああああっ!!」
 切り倒された死神が消え、身を裂かれたエインヘリアルがコギトエルゴスムとなっていく。
 ケルベロス達は一定の距離を保って身を隠したまま、戦いの成り行きを静観する。
 戦いはやがて、エインヘリアルが流れをつかんで。
「一気にゆくぞ!」
「「了解!」」
 残る『蒼玉衛士団』は勢いに乗り、『死翼騎士団』の体を切り裂き、霧散させてしまう。
 死力を尽くす死神達もまたエインヘリアルの身体を切り裂き、道連れにしようとするが、せいぜいコギトエルゴスムとするのが精いっぱい。
 程なく戦いは予知の通り、エインヘリアルが防衛という形で決着することになる。
「これなら、サフィーロ王子もお喜びになるだろう!」
「「おおおおお!!」」
 残ったのは、やや後方に位置していた1小隊……督戦兵1体、一般兵3体のみだった。
 歓喜する彼らの虚を突くように、赤煙が「進む」のサインを出してから、一斉にエインヘリアルの前へと姿を現す。
「残念ですが、八王子は死神だけでなく私たちにとっても『奪われた土地』です」
「ケ、ケルベロス……!」
 戦いの勝利から一転。思わぬ強敵の登場に、『蒼玉衛士団』は苛立ちを見せる。
 折角、死神を撃退して手柄を得られると思ったのに。彼らの考えはそんなところだろうか。
「このまま貴方がたに渡すわけにはいかないのですよ」
 そこで、エマが何か情報を引き出そうと尋ねる。
「たかが死神の騎士団相手に苦戦する部下しかいないんじゃ、サフィーロ王子も頭が痛いだろうね」
「何……!?」
 勝利したとはいえ、『蒼玉衛士団』は部隊の半数以上が倒れた状況である。
「そんなんだから、別の王子が派遣されてくるんじゃないの?」
「ぐぬぬ……!」
 督戦兵がエマの追及に対して悔しそうに歯噛みする。
 状態はかなり苦しいはずだが、サフィーロ王子に任されたこの地の防衛の為、まして王子を愚弄されては彼らも黙ってはいない。
「総員、かまえええ!」
 エインヘリアルは手にする長剣や銃剣の形をしたゾディアックソードを、こちらへと差し向けてくる。
 ケルベロス側も戦闘態勢は万全。
「さぁ、ネオン。共に戦いましょう」
 玲奈は連れていたボクスドラゴンに声をかけ、抜いた喰霊刀を構えると、敵の小隊長、督戦兵が叫ぶ。
「貴様らなどにこの地は渡さん! ゆくぞ!」
「「イエッサー!」」
 八王子が自分らの土地だとすっかり思い込んでいるおめでたい連中を、髑髏の仮面を装着した竜人は睨みつけて。
「よし殺す」
 彼は右腕を竜のそれへと変化させ、すぐさま攻撃へと移ったのだった。


 残るエインヘリアル『蒼玉衛士団』は、いずれも中後衛のメンバーばかり。
 手前の督戦兵がキャスターであると見抜いていた竜人は、その後ろの狙撃手となっていた一般兵へと狙いを定めて。
「竜を死神と同じだと思うなよ」
 言いがかりレベルの因縁で闘争心を燃やす竜人は、竜の黒き腕で敵を強く殴りつけて相手を煽る。
 すると、殴られた一般兵は銃剣を構え、星座の重力を宿した一撃を叩きつけようとしてくる。
「おい」
 竜人の呼びかけにテレビウムのマンデリンが飛び出し、敵の斬撃を受け止めてくれる。
 マンデリンはそのまま画面で応援動画を流し始め、傷つく自身に癒しをもたらしていた。
「攻撃を重ねましょう」
 赤煙は自ら定めていた優先撃破ポジションの敵がいなかったことを受け、竜人が攻撃した敵目がけて砲撃形態とした竜鎚より砲弾を叩き込んでいく。
 言葉もまた狙撃兵となるその一般兵を狙うが、手前で遊撃に当たり、雷のオーラを纏わせた剣を突き付けてくる督戦兵が邪魔な存在。
 そいつの一撃は身震いする箱竜ぶーちゃんが受け止め、属性注入でメンバーの強化に当たる。
 痛みにまた怖がるぶーちゃんだったが、それでも相手すべき敵の数がかなり少なくなっていたことに幾分か安堵していたようだ。
「デウスエクスを憎んだりはしてないけど、容赦もしないからね!」
 隠密行動で大人しくしていたこともあり、言葉はここぞとぶりっ子アピールして両腕から時空凍結弾を撃ち出す。
 狙った一般兵へと言葉が攻撃を命中させれば、彼女と少し前の依頼で一緒になっていた茜が仲間の為にと九尾扇を手にして。
「敵陣の奥から……、一気に……」
 手前の督戦兵はふらふらしながら遊撃を行っており、邪魔な存在ではある。
 ただ、この場は遠距離攻撃で確実に後ろの一般兵を叩くべきと茜は考え、布陣から陣形を見出して仲間達に力を与えていく。
 エマはオリジナルグラビティを放つ合間に、妖精弓も手にして。
「だいたいロケット弾撃ってたから、弓を射るなんてすごく久しぶりな気がするよ」
 ちゃんと当たるかと不安がりながらも、エマは素早く射放った矢は狙った一般兵の体を貫く。
 そいつに向けて、玲奈も狙いを定める。
 連れていた箱竜ネオンが回復役として属性インストールを使って癒しを振りまく傍で、玲奈は精神を集中させて。
「遠隔爆破です。その身を吹き飛ばしてあげますよ」
 次の瞬間、一般兵の身体が突然爆発して吹っ飛ぶ。
 玲奈のサイコフォースを浴びて仰け反るように倒れたエインヘリアルは白目を向いて崩れ落ちていったのだった。


 その後も、ケルベロス達は順調に目の前の敵を攻め立てる。
 交戦直後の状態を突かれたエインヘリアル達は多少、個々の実力がケルベロスを上回っていても、状態が悪ければいかんともしようがないようだった。
「ファイアー!」
 エマが発射するロケットランチャー。
 着弾と共に巻き起こった爆発を浴びた一般兵は同僚と同じく爆ぜ飛び、その命を散らしていく。
「残る一般兵を仕留めにかかりましょう」
 赤煙の声で、優先撃破対象を見定めたメンバー達はさらにそいつへと攻撃を加えていく。
 しばしの交戦の後、追い込んだ一般兵が銃剣から星座のオーラを発射する。
 それを受け止めた竜人はガンを飛ばしながらも、ガネーシャパズル「戯画」を手にして怒れる女神カーリーの幻影を襲わせる。
「ひ、ひいいいいっ!!」
 その攻撃に耐えられなかった一般兵は半狂乱になり、泡を吹いて崩れ落ちていった。
「つよい〈確信〉」
 闘技仲間である竜人の鮮やかな攻めに、言葉が可愛い仕草をしながらも感嘆する。
「ぐ、このままでは……!」
 遊撃を行う小隊長の督戦兵も、手をこまねいていたわけではない。
 一般兵が星座のオーラで凍らせたケルベロスに空のオーラを纏わせた長剣で切りかかるなど、効果的な攻めも見せてはいた。
 だが、やはり死神とのダメージが大きすぎたのだろう。
 一般兵を倒したケルベロス一行が攻め込むことで、督戦兵はすぐに苦しそうな表情を見せ始めていた。
 そこに、箱竜ぶーちゃんがブレスを吐き掛け、流星の蹴りを喰らわせた言葉が動きを止める。
「……具現化するは魂の異形……その爪牙をもって……命の炎、戴きます……!」
 茜は詠唱の後、異形の羊を呼び寄せて食らいつかせていく。
 督戦兵の魂の熱を奪い取って刹那燃え上がらせ、その凍り付いた跡目がけてエマが飛び込む。
「戦乙女の槍の冴え、とくと味わうといいんだよ!」
 稲妻を帯びた超高速の突きを繰り出し、凍った体を砕いて督戦兵に大きなダメージを与えつつ、全身に駆け巡る痺れを与えていく。
 それでも強引に動こうとする敵へ、跳び上がった玲奈が襲い掛かる。
「この飛び蹴りを、避けきれますか?」
「ぐうっ……!」
 痺れで動けぬ督戦兵に、玲奈は流星の蹴りを浴びせかけてその動きをさらに制する。
 そのタイミング、箱竜ネオンの属性注入で傷を塞いでもらった竜人へ、督戦兵は複数の刀剣を解き放つ。
「くらえええ!」
 前線メンバーへと浮遊する刀剣が浴びせかけられ、浅くない傷を皆が追っていき、仕事人気質なテレビウム、マンデリンが応援動画を流して態勢を立て直そうと躍起になっていた。
 ただ、督戦兵も力を振り絞ってのグラビティ。
 肩で大きく息をする状態の敵へ、竜人は再度ガネーシャパズル「戯画」を取り出し、今度は竜を象った稲妻を解き放つ。
 それに全身を灼かれた督戦兵へ、赤煙が大鎌を手にして敵の体を寸断してしまう。
「サフィーロ王子……お許しを……!」
 懇願するような呻きを上げ、青い鎧を纏ったエインヘリアルは焦土へと沈んでいったのだった。


 焦土地帯から消える剣戟音。
 死神は全て消え失せ、その死神に倒されたエインヘリアルはコギトエルゴスムと化してしまった。
 ケルベロス達は確認し合い、仮面を外した竜人や言葉がメインとなってそれらの宝石を全て破壊していく。
 茜は自身で倒した敵がいなかったこともあって、コギトエルゴスムを持ち帰ることもなかったようである。
「どちらかの増援が来るかもしれません。早めに撤退しましょう」
 その作業を手早く進める中、赤煙が仲間達へと促す。
 また死神が侵攻してくるかもしれないし、防衛の為エインヘリアルが外に出てくるかもしれない。
「こんなところに長居は無用だからね。それじゃ、帰ろっか!」
 エマに同意したメンバー達は撤収を決め、焦土地帯を離れていくのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月3日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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