邪神植物トソース誘引作戦~バレンタインの『底』力

作者:質種剰

 大阪府は、駅へ隣接するようにいくつも建っているショッピングビルの一角。
 老舗の百貨店では、2フロアを使ってバレンタイン商戦を展開していた。
 バレンタイン博覧会。
 国内や海外ブランドの有名店が軒を連ねて、目玉が飛び出るお値段のお洒落なチョコを買わせようと懸命に宣伝していた。
 クマやウサギなど動物の顔を模したチョコ、花束や救急箱、トートバッグなど日用品を模したパッケージのチョコなども売っていて、どれも大層可愛らしい。
「見て、これアクセサリーのハイブランドちゃう? チョコレートもあるんやー♪」
「うわっ、たっか!」
「その価値あんねんてきっと。箱可愛いし買おうっと♪」
「箱目当て!? 中身関係なし!!?」
 会場のそこかしこでは、バレンタインの本命チョコや義理チョコ友チョコ、果ては自分用チョコを買いにきたカップルや友人グループ、家族の分を買いにきた主婦で溢れかえっている。
「大丈夫大丈夫、中身全部あげるから♪ 本命チョコやで」
「それ本命チョコちゃうやん、チョコ処理係やん!」
「逆! アンタに勝手に箱捨てられる前に、こっちが回収してんの!」
 あるひと組のカップルも支払いを済ませて、楽しそうに軽口を叩きながらエレベーターで降りていったが。
 ギョロロロロっ!!
 建物の外へ出た瞬間、チョコレート色の触手が大量に絡まり合ったような風貌の化け物が、何本もの触手の先端についた瞳でこちらを睨みつけてきたのだ。
 邪神植物『チョコレイ=トソース』である。
「きゃ…………ッ!」
「うわわわわわ……」
 カップルの男女は声にならない悲鳴をあげ、恐怖で足がすくんだのかその場から動けず、しまいには腰を抜かしてしまう。
 邪神植物トソースは触手を巻きつけて男女を捕まえ、そのまま触手の根元に隠れた牙を剥いて、バリバリと貪り喰らった。
 ——ぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅ。
 そして、2人を完全に腹に収めた刹那、いきなり数多の触手が伸びては千切れて身体ごと分裂。
 最終的には8体にまで増えたのだった。


「大阪城の攻性植物に、また新たな動きがありました」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・cn0031)が、集まったケルベロスたちへ説明を始める。
「季節の魔力のひとつである『バレンタインの魔力』の強奪を目的に、強力な攻性植物が大阪都市部を無差別に襲撃するみたいなのであります」
 襲撃してくる攻性植物の名は、邪神植物『チョコレイ=トソース』。
 バレンタインを楽しむ男女を食い殺してバレンタインの魔力を強奪しては、その場で分裂を始めて繁殖を済ませると、更なる犠牲者を求めて再び移動開始するという。
「それゆえ、被害者が出ると鼠算式に数が増えに増えて、大阪都市圏は壊滅してしまうのであります」
 かけらはそう念を押した。
「そんなわけで、邪神植物トソースはバレンタインの魔力が高まった場所へ転移して襲撃を繰り返す性質があります」
 この性質を利用し、ケルベロスのカップルが囮となってバレンタインの魔力を高めれば、邪神植物トソースを大量に誘き寄せる事ができるだろう。
「どうか、皆さんでバレンタインの魔力を高めて、邪神植物トソースの大量撃破をよろしくお願いいたしますっ」
 ぺこりと頭を下げるかけら。
 バレンタインの魔力を高めるのは恋人同士でなくても大丈夫だが、その分本気を出さないと充分な効果は発揮できないようだ。
「邪神植物トソースは、その無限ともいえる増殖力で、ユグドラシルとアスガルドの国境地域の防衛を行っていた強力な攻性植物であります……」
 最後にそんな情報を口にして、かけらは首を傾げた。
「……そんな前線の防衛戦力を引き抜いたということは、もしかしたら、攻性植物とエインヘリアルとの戦争に何か変化があったのでありましょうかね」


参加者
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
ピジョン・ブラッド(銀糸の鹵獲術士・e02542)
皇・絶華(影月・e04491)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)
月白・鈴菜(月見草・e37082)

■リプレイ


 ケルベロスたちはチョコレート博覧会とコラボしているカフェのテラス席へ陣取って、トソースの襲撃を待ち構えていた。
「ねぇ、ローレ。騎士のピンクの瞳を釘付けにしたのはどんな方?」
 セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)は、店員たちも予め避難させることを慮ってか、用意したお茶菓子をテーブルへ広げていた。
「それは……」
 ローレライ・ウィッシュスター(白羊の盾・e00352)もテーブルへうきうきとクッキーやお煎餅を並べていたが、ふと何かに気づいて、
「ふんっ」
 気合いを入れて全身から殺気を噴き出し、人払いに努めた。
「彼とは、師団で何度かお話をして」
 ケルベロス以外周りに誰もいなくなったカフェテラスで、照れながら語るローレライ。
「その中で一緒に模擬戦をする仲になって……」
 皆が興味津々に聞く中、ローレライは恋人と付き合う前に行った模擬戦を思い出す。
「そしてある時に師団で告白してくれて……って感じなのよ」
 互いが互いを守るための剣と盾であることには変わりなくても、それを磨くために全力でぶつかる模擬戦が、ローレライは昔から好きだった。
「この間のクリスマスにプロポーズしてくれたのよ。嬉しかったなあ」
 夜景の見えるレストランで指環を嵌めてもらったプロポーズの瞬間を始め、彼と過ごした想い出の全てが幸せだと改めて感じるローレライ。
「セレスさんの好きな人、どんな人なの?」
 存分に惚気て気恥ずかしくなったのかはたまた満足したのか、ローレライ瞳を輝かせてセレスティンへ水を向けた。
「私は、彼の誕生日にたまたま通りすがっただけなのよ」
 そこは、恥じらうローレライを可愛く思って眺めていたセレスティンだけに、自身は全く臆せず嫋やかに微笑む。
「だって、あまりにも自然豊かな家だったから思わず魅入ったの」
 うっとりした声音で語るセレスティンだが、想い人の名を出そうとしない辺り、恋人同士でない可能性も窺える。
「最初はそれだけ……だったのだけれど」
「えー、気になる気になる!」
 ますます目をキラキラさせるローレライ。
「程なくドミノ会場で再会したわね。その時よ、ローレと意気投合したのも」
「ああ!」
「なんとなく彼は好意気づいていたから、気にはしていたわ。で、いざお話ししてみると不器用なりにすごく真面目な人でね」
 自然豊かな家に住まい、ドミノ会場で景気良く振る舞っていた『彼』。
「時にあの人の明るさが、私の背中を押してくれるの」
 セレスティン自身決して口には出さないものの、この場で彼の話をするのへは覚悟が必要だったらしい。
「それだけですごく嬉しいことなのに、あの人はさらに時間をくれたの。えぇ、たくさんの時間をくれる人よ」
 かように覚悟を決めて一途に想い続ける相手。共に過ごせる時間が増えることを至上の喜びだと笑って。
「でも一番嬉しいのは……ここは秘密」
 勘の良い人なら、セレスティンの想い人が誰か——そして自然豊かな住まいの真実も、察せるかもしれない。
「これが女子会か!」
 こちらはこちらで目を爛々とさせて話に聞き入っていた皇・絶華(影月・e04491)がもっと聞きたいとばかりに恋バナをねだる。
「ミリムはどうなのだ?」
「え? 完全に女子会?」
 ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)は急に話を振られて最初こそわたわたと戸惑っていたが、
「馴れ初めは4年前、ちょうど今と同じバレンタインでしょうか」
 元より肝の据わった性格のためか、頭で纏めてから話し出せば案外すらすら言葉が出てきた。
「一生懸命彫って作ったものの硬いチョコを食べて褒めてくれて、しかも労ってくれてから、少しずつお付き合いを……」
 もう長い付き合いになる恋人のことであっても、話すだけでやはり照れてしまうぐらいには、今も熱々らしいミリム。
「その、今年も彼に渡すチョコの試作品の数々をお茶請けに持ってきました!」
 と豪語する彼女曰く、普段とは違う特別な想いを込めて形にしたチョコ菓子だとか。
「形は多少おかしいですけれども、彼の事を考えながら作りました」
 フリーズドライのイチゴを包んだ甘酸っぱいチョコや抹茶を混ぜたほんのり苦いチョコ、柔らかい生チョコやサクサク食感のチョコクランチなどなど。
「日頃の想いを込めた味のチョコ……ど、どうでしょうか?」
 ミリムが自信と不安が綯交ぜの心持ちで持参した試作品チョコを、皆楽しそうにつまんでいく。
「うん、個性的な味で旨いな!」
 実際どれも美味しかったのだが、開口一番に絶華が褒めるとどうしても信憑性が薄れてしまう。
「……美味しいわ、とても……きっと喜んでもらえるんじゃないかしら……」
 日頃無口な月白・鈴菜(月見草・e37082)まで、フォローのつもりでも無いだろうが口を開いて、ミリムのチョコを褒めた。
「どうやって渡そうか考えると、胸がキュッとします」
 その上、綺麗にラッピングしたチョコの完成品を懐に忍ばせているミリムなので、いざ恋人へそれを渡す時のことを今から想像しては、幸せそうに笑うのだった。


「お返しに私も与えたい所だが、私が用意したチョコはチョコレイ=トソースに与えると決めている」
 一方、絶華はそんなことを言って、
「……それは……残念ね?」
「……よかった……」
 彼をよく知るセレスティンや鈴菜へ密かに安堵の息をつかせていた。
「……男の人は……どんなチョコが欲しいものなの……?」
 うっかり洩らした本音を誤魔化すように鈴菜が問えば、絶華から日頃の言動にそぐわないぐらいまともな答えが返ってくる。
「チョコの種類や組成なぞどうでもいいのではないか。私は誰がくれたかが重要だと思うぞ」
「……誰がくれたか?」
「ああ。私は……以前にある者からチョコを貰ったのだが……その時は凄くこう……心拍数が上がったのを覚えている」
 言いながら、ちらとセレスティンへ気まずそうな視線を向ける絶華。彼女の身内へ何やら思うところがあるものか。
「私の弟も女好きであったが……弟共々親戚の姉上様に世話になっていたな。やはり憧れてたし……結婚した時には……とても心が苦しかったのを覚えている」
 そんな自分のほのかな想いを隠すように、過去の失恋話を披露した。
「私もあいつが……好きだったのだろうか」
 恋愛話があまり得意でないと自覚する絶華だが、女子会という場の雰囲気に流されてか、大分口が滑らかになっていた。
「……誰がくれたかが重要……」
 鈴菜は絶華のアドバイスを噛みしめるべく呟いて、既に人通りの殆ど絶えた雑踏へ目をやる。
「……恋人達を見ても……別に爆破したいなんて思わないのだけど……?」
 所属旅団の団長が誰かからチョコを貰って喜んでいる姿を想像すれば、
「……彼なら……爆破したくなるわね……」
 その怒りの源が何かまではわからなくても、相手によって沸き起こる感情が違うということは鈴菜も理解できた。
「……彼も……チョコを贈れば喜んでくれるのかしら……?」
 加えて、あげる側を自分に置き換えてみると、期待やら不安やらますます理由のわからない感情が我知らず溢れて、
「……人の厚意を無碍に断るような性格ではないと、分かっているつもりだけど……」
 何故こうも心が乱れるのだろうと戸惑う鈴菜であった。
「お紅茶をどうぞ。クッキーも良ければお召し上がりくださいね」
 他方。保温水筒から紙コップへ紅茶を注いで、甲斐甲斐しく配っているのはイリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)。更にお茶請けのチョコチップクッキーも振る舞っている。
 凛とした佇まいと上品さを兼ね備えた、見るからにお淑やかなオラトリオの女性だ。
「ありがとう、イリス。チョコチップクッキー、紅茶の良い香りによく合うね」
 マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)が嬉しそうにクッキーを食べながら、笑顔でお礼を言う。隣を見るとアロアロもクッキーを摘んで上機嫌だ。
「皆も、ミリムやゼツカみたいにバレンタインの思い出とかある?」
「私の恋人はちょっと強面で、出会った時も少し怖いなと思ってたんですけど」
 懸命に女子会を盛り上げんとするマヒナの意図を汲んで、イリスは控えめに、そして少しばかり恥ずかしそうに口を開いた。
「段々と彼が本当は優しい人なんだと気付いて……。それからいつの間にか、好きになってましたね」
 現にイリスの恋人は本人が認めるほど喧嘩っ早く粗野な人物らしいが、その反面人情にも厚く、天邪鬼ではあるものの根は熱血漢だとか。
「バレンタインのチョコも毎年喜んで受け取ってくれますし、とても素敵で大事な人です。今年も喜んで貰いたいですね♪」
 そんなふうに、イリスへ感謝の念と深い愛情を口にさせるぐらい彼女の恋人が好人物であることは、話を聞いている側にもよく伝わっていた。
「イリスの恋人さんも、イリスに想ってもらえて幸せだね。もちろんイリスも」
 マヒナは心からの賛辞を述べたが、その実、内心ではかなり緊張していた。
(「誘き寄せのためとはいえ、目一杯いちゃつけなんてハードル高い……!」)
 いかに芯の強い性格であってもやはり人前でいちゃいちゃしたりするのは苦手らしく、顔から火が出そうだと苦悩するマヒナ。
「ワタシ達にとっても、バレンタインは特別な日なの」
 だが、意を決してバレンタインの思い出を語り出すと、なんとか舌もうまく回り始めた。
「そうだね。バレンタインがこんな特別な日になるなんて、日本に来た頃は思いもしなかったなぁ」
 ピジョン・ブラッド(銀糸の鹵獲術士・e02542)の方は恋人よりまだ余裕があるのか、自らトソース誘引という大義名分を笠に着て、マヒナが遠慮がちに組んでいた腕へ強く力を込める。
(「普段は人前ではあまりしないんだけどね、こういうの」)
 それだけピジョンの目にもマヒナの緊張が見てとれたのかもしれない。イチャつくフリをして彼女を励ますところに、彼の優しさが表れている。
「ワタシが告白したのが3年前のヒーリングバレンタインで」
 マヒナはそれぞれの想い出を振り返りながら、頬が熱くなるのを抑えられない。
 それは自分たちの馴れ初めを話す気恥ずかしさだけでなく、
『好きです、付き合ってください! ……と主人に伝えてください……』
 想い出そのものが別の意味で羞恥心を思い起こさせてくれるからだったりする。
「それで去年のバレンタインに……プロポーズ、されて……このエンゲージリングはその時に貰ったんだ」
 けれども、新月も間近の月の無い夜から始まった2人の想い出の数々は、どれも大切なものに変わりはなくて、
「調査隊の任務の時も、この指輪が心の支えになってくれたな……」
 左薬指の指輪が見えるように手を掲げれば、自然と笑みがこぼれた。
「そうだ、ピジョン、婚約の記念に指輪のお返しをしたいんだけど……何か欲しいものある?」
 ピジョンは、そんな彼女の手へ自分の手を重ね、手の温もりを味わうように指全体を絡めて応じる。
「婚約のお返し? そうだなぁ……何がいいかな」
 思案する間もずっと指をしっかり絡めたまま手を握られていたので、マヒナは気もそぞろになって、
「……?」
 爪で背中をつんつんしてくるアロアロにも、無言であしらうしかできない。
「んー、色々考えたけどマヒナがいれば十分だな」
 屈託のない笑顔を向けるピジョンへ照れたマヒナが反応するより早く、周りの女性陣から歓声が上がった。


 そして、黄色い歓声が嫌悪の悲鳴に変わるまで、僅か数秒。
 いつのまにかテラスの周りを邪神植物トソースの集団が埋め尽くしていたからだ。
「う、わー……」
 奴らのぎょろっとした瞳の圧に気圧されて、ピジョンが目を逸らしそうになっている。
「邪魔よ邪魔、みーんな邪魔なのよ」
 セレスティンは、先程までのお淑やかな物腰はどこへやら、ドラゴニックハンマーを強く強く握りしめては何人たりとも寄せつけぬ怨念じみたオーラを噴出。
「立ち向かう脅威? なんのこと? 勝手にそこで自爆なさい」
 すかさず召喚した枯骨たちに、好きなだけ物語を喋らせてやった。
 壮絶な死にざまのリアルなストーリーが戦場中に木霊する。何せ寄ってきたトソースは数限りないので、一度に葬り去る個体数は少しでも多い方が良い。
「私はここよ!」
 ローレライもさっきと打って変わって男勝りに、トソースの群れへ突撃する。
 Twilight Crimson Flameの刀身が影の如く密やかに1体の急所を掻き斬って、死へ至らしめた。
「狂王顕現!」
 ミリムも手早く紋章を描いて、狂気恐怖を司る王を一時的に顕現。
 怨嗟の呪力伴う狂王の哄笑を響き渡らせて、トソースらが幻覚に攻め立てられるまでに奴らの精神を追いつめ、そのまま息の根をも止める。
「攻性植物とエインヘリアルの間に何があったかは知りませんが、楽しいバレンタインを邪魔させるわけには行きませんね!」
 と、冽刀「風冴一閃」に風の霊力を纏わせ、虚空を斬り裂くのはイリス。
 竜巻はまるで意思を持っているかの如くトソースを追尾し続け、渦中に収めた奴らを纏めて斬り刻んだ。
「頭上注意、だよ?」
 マヒナは震えるアロアロを背中で庇いながら、トソースの頭上へココナッツを落とす。
 ごちんと痛そうな音を立てて幻影のヤシの木から丸い実が直撃、確実にトソースへトドメを刺した。
「やっぱマヒナ最高だなー」
 胸中をうっかり口に出しつつ、チョロに火の玉を吐かせるのはピジョン。
 燃え盛る火の玉はトソースの群れの中心部へ飛ぶと、一気に爆発して燃焼範囲を広げた。
「……バレンタインの魔力、集まってよかった……」
 台本担当の団長へ相談した甲斐もあったと、鈴菜は翼から聖なる光を放射。
 トソースらの『罪』を直接焼き尽くすと共に、奴らにしか見えない幻も倍加させていく。
「分裂するとはなかなかのパワーだ! だが貴様らにはまだ圧倒的なパワーが足りん!」
 絶華は何故だか嬉々として、トソースに勝るとも劣らぬ目玉の塊——外宇宙的存在を召喚。
「バレンタインの魔力を以てパワーアップするなら、我が圧倒的なパワーのチョコで強化されるのが道理だろう!」
 と外宇宙的存在の手でトソースらへカカオ10000%&漢方チョコを無理やり食わせて回った。
「さぁ! 歓喜と共に味わい! その身に圧倒的なパワーを宿せぇ!」
 ただでさえ、傷つこうが攻撃してこようがその一挙手一投足の全部が気持ち悪いトソースだったが、
「……何故しおしおしているんだ貴様らぁ!?」
 絶華のチョコに身も心も破壊し尽くされて次々息絶えていく様は、いかに怪物でもいささか哀れである。
 ともあれ、邪神植物トソースの群れ150体弱、無事討伐完了。
「なかなかのパワーだし良い生薬かもしれんからな」
 そしてトソースより何より恐ろしいのが、奴らの萎れた残骸をせっせと拾い集める絶華であった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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