プロレスラー「マスク・ザ・オーク」に挑戦せよ!

作者:塩田多弾砲

 シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)は、リングに立っていた。
 そのきっかけは、夜の住宅街を彼女が散歩していたことから。
 とある建物の前を通りがかったら、そこはシャッターが全開だった。
 中から触手が伸びて来たのは、一瞬。巻き付かれ、建物内に放り込まれ、明かりが点く。
 彼女は気付いた。自分が『プロレスのリング上』に放り出された事を。
「えっ!? ……な、なにが……っ!?」
 そして、
『……ようネエチャン。俺と一発、一勝負しねえか?』
 シフカをリングに放り込んだ張本人が、入り口を背にして立っていた。
 マスクマンレスラーの格好をした、オークがそこにいたのだ。背中から伸びているのは、筋肉質のニシキヘビを思わせる太い触手。
 間違いなく『オーク』。ゲートは破壊されており、新しく地球に出現できず、新たな個体も増やせはしないデウスエクス。
 地球に残存している一体に相違あるまいが……。通常のオークは、締まりのない肥満体。しかし目前のオークは、精悍な筋肉質の体型と体格をしていた。
 シフカはずっと前に遭遇した、ミダスとかいう逞しい猪のようなオークを思い出していた。
「……悪いけど、お断りよ」
 立ち上がり、突き放そうとしたシフカだが、
『悪いがな、俺の挑戦、受けてもらうぜ! 俺は……おめぇのようなネエチャンと絡むのが好きなんでなあ!』
 目前の『プロレスラー』は、シフカにロープの反動を用いて体当たり。リングに叩き付けるようにして倒してしまった。
「ぐっ……はああっ!」
 いきなりの攻撃に、回避できなかったシフカ。オークはその隙に、彼女を担ぎ上げた。
 そのままオークは、逆さまにしたシフカの両足を広げ、触手と手でホールド。シフカの両手首にも、触手が巻き付きホールド。そしてシフカの頭部と首は、オークの肩口に乗せられ、触手がそこにも巻き付きホールド。
 シフカを逆さにして、大股開きにして、両足、両腕、首を固定した状態で……、
 オークはリングのコーナーポストに上り、そこから高く、大空を飛ぶように跳躍した。
『喰らいな!「ケルベロスバスター」!』
 強烈な落下速度とともに、そのままリングに、尻餅をつくようにオークは着地し……、
「ぐっ! ……あああっ!」
 その衝撃で、シフカの首と背骨、股に、ダメージが同時に襲い掛かり、激痛が叩きつけられた。
(「だ、だめ……立てない……」)
『おら、どうした! プロレスで戦ったことは無えようだな! ほれ、今度は……』
『チキンウイング・フェイスロック』を、シフカはかけられた。背後から片腕をひねり上げられ、ハンマーロックと呼ばれる形にきめられた。
 さらにオークは、もう片方の腕で、シフカの顔と首に巻き付き、締め上げる。
「あ、あぐううっ!」
 先刻以上に、関節が、首と腕とが痛めつけられる。逃れようと思っても、オークの両腕はそれを許さない。
『おおっと、苦しいか? そのままおとなしくしたほうがいいぜ。これから触手で……犯してやるからな』
 オークの言う通り、触手がシフカの身体を撫でまわし始める。
(「や、やめ……」)
 抗う事も、悲鳴を上げる事も、あきらめて快感を受ける事も出来ない。
 ダメージとともに、いつものオークよろしく犯してくる。痛みを伴う快感に目覚めそうになる。
『人呼んで「辱め固め」! 痛みと快感、どっちでイッても構わねーぜ!』
 シフカの耳に、ヒールレスラーのようなオークの哄笑が響き……それは、彼女から意識を奪いつつあった。

「あーっと、皆さん緊急事態ッス! シフカさんが襲われました! それも……襲ってるのは『オーク』ッス!」
 ダンテが、緊急に君たちを呼んでいた。
 彼が説明するに、シフカを襲うオークは……『プロレスラー』の姿をしているとの事だ。それも、マスクマンの。
 そいつの肌は茶褐色で、強靭そうな表面はなめした皮鎧のよう。身体つきはたくましく、筋肉質。
 着用しているのは、手足首に巻いた赤色のバンドと、赤地に白のトランクス、そして赤いマスクのみ。まさに『覆面プロレスラー』以外の何者でもない。
 が、マスクから露出している鼻は豚のそれ。そして背中からは、オークの証たる触手が生えている。
 本職のマスクマンレスラーの中に混じっていても、触手以外の違和感は全くない……と、ダンテは述べた。
「急いで連絡を取ろうとしたッスが、連絡をつけることは出来なかったッス! 一刻の猶予も無いッス。シフカさんが無事なうちに、なんとか救援に向かってくださいッス!」
 シフカが襲われたのは、今は閉鎖されている『弱小プロレス団体の道場』。
 内部にリングが放置され、電気も通ったまま。
 そこにシフカは、オークプロレスラーに連れ込まれ、無理やりプロレスで対戦させられた……という次第。
 周囲には人もおらず、人家もないので、派手に戦っても大丈夫ではあるが……、
 オークレスラーは、普通に戦ったら、危機に陥ると逃走する。
 ではあるが、本人はプロレスを気に入っている様子なので、こちらの方もプロレスで挑戦すれば、受けて立ち、最後まで逃げずに戦うというのだ。
 しかし、プロレス技をかなり巧みに用いるとも。
 リングロープや触手で、リング上を縦横無尽に動き回り、空中殺法を放つのみならず、普通のレスリング技も心得ており、組み付いても、関節技でも戦える。
 もちろん、触手も用いる。
「あと、このオークレスラーッスが。挑戦者が男性だったら、不利になるとすぐ逃走するッスが、女性だったら、たとえ不利になっても最後まで逃走せずに戦うみたいッス。なので今回は、女性推奨って事にしますッス」
 要は、このオークレスラーには。女性ケルベロスがリング上にて、プロレスで挑戦し勝利する。それが相手を逃がさず、確実に倒せる方法だというのだ。
「ただし、プロレスラーとはいえオークはオークッス。その……オークの案件でのいつものように、オークに襲われていろいろされる事は避けられないでしょうッスから、そのあたりは覚悟しといてほしいッス」
 とにかく、すぐに駆けつけない事には、シフカを救えない。
「皆さん、シフカさんを救い、このオークプロレスラーを倒して欲しいッス!」
 もちろんだ。オークなど、すぐにも倒す。
 おそらくプロレスを用いての戦いになるだろうが、相手がそういった戦い方を望むなら、プロレスで挑戦し、プロレスで倒してくれよう。
 白いリングのジャングルへ向かう虎のように、君たちは闘志を燃やし始めた。


参加者
フラジール・ハウライト(仮面屋・e00139)
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
柚島・クレア(地球人の巫術士・e18505)
獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)
草薙・美珠(退魔巫女・e33570)
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)
ホニゥニ・コルピラーレ(眠り羊は夢を見る・e50586)
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)

■リプレイ

●ラウンド1、ファイっ!
『悪いがな、俺の挑戦、受けてもらうぜ!』
 オークが、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)に襲い掛かろうとしたその時。
「待ちなさーい!」
 声が、その場に響いた。
『あ? 誰だ!』
「レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)です! ちょっとそこのオーク! シフカさんに変わって、まずは私たちが相手になってあげましょう!」
 マイク片手に、巨大な両胸を持つシャドウエルフが宣言した。
「私たちもいるわ!」
 と、獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)が言い放つ。
「……改めて見ても、汚らわしい相手ですね。醜い事この上ありません」
 柚島・クレア(地球人の巫術士・e18505)も呟き、
「ええ。そして、これから行われる試合も、プロレス……と言えるかどうか」
 相槌を打つは、アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)。
 皆は、ここに来る直前の事を思い出していた。

「いい? 元プロレスラーとして、最低限のルールと、『お約束』と……プロレスがどういうものかという基本を、レクチャーしておくわね」
 経験者である銀子から、皆は基本的なルールやお約束を教えられていた。
 相手はオークと言えども、実際に素性を隠して覆面レスラーとして巡業もしていたらしい。ならば……こちらもプロレスの試合で挑戦する事を宣言すれば、相手はおそらく乗ってくるだろう……と、銀子は予測していた。

 そして、その銀子は。
「……はっ!」
 レオタード状の忍者衣装をリングコスチュームのように着こみ、リングイン。
「マスク・ザ・オーク! 私たちケルベロスプロレスラーがお相手する! 一対一で、交代で戦う事を提案するわ!」
 その提案に、オークは、
『面白れぇ。その勝負乗った! ……だが、俺からも条件がある』
 と、返してきた。
『戦ってる最中、他の奴らが助けに入ったり、乱入したり、いきなり交代は無しだ。でなきゃ俺は、このままこのネエチャンを食わせてもらうぜ』
「……それでいいわ。私たちの挑戦、受けるのね!」
『おう! レフェリーはいるのか?』
「私が」
 アンヴァルが挙手し、ここに……試合が始まった。

「……それでは」
 アンヴァルが……オークに対し、挑戦者となるケルベロスらのアナウンスを開始した。
 ……オークがいきなり希望したので、即興だが。
「全選手入場!」
 一番! 美乳、爆乳、超巨乳の三階級制覇! 戦いは全階級自分のモノ!
 シャドウラビット・レイファ!
 二番! 怪力ならばこいつが怖い! ニッコリ笑って即粉砕!
 パワー・オブ・キューティ、ホニゥニ・コルピラーレ(眠り羊は夢を見る・e50586)!
 三番! 無表情な仮面の下の、秘められた実力がベールを脱ぐ!
 冷酷冷徹キラー魔女、フラジール・ハウライト(仮面屋・e00139)!
 四番! 清純清楚な戦う乙女! イケない悦びに目覚めたのはないしょだ!
 純情可憐シャーマニックガール、草薙・美珠(退魔巫女・e33570)!
 五番! 犯罪者との戦いで磨いた、実戦警察戦闘術! 暗黒街をも震える実力!
 デンジャラス・ライオンレディ、獅子谷・銀子!
 六番! 美しければ強いのは当たり前! 戦闘対策は完璧だ!
 ミストレス・オブ・シャドウ、シフカ!
「……私たちに、勝てるかオーク!」
『来やがれ!』
 レイファが改めてリングイン、クレアがセコンドにつき、
 ゴングが鳴った。

●ラウンド2、アーユーレディ?
「うおりゃあああっ!」
 レイファは忍者らしく、アクロバッティングな動きでリング上を飛び跳ね、ドロップキックを放つ。
 よろけたオークへ、ロープの反動で、手刀を叩きこむレイファ。
 ロープの反動を利用し、一撃、二撃と、確実に打撃を与えるレイファ。
「なかなかやるわね! いいわよ!」銀子は興奮し、
「すごいです! 頑張ってください!」美珠も応援を。
 しかし、三度目で触手に捕まってしまった。
『やるじゃねえか、今度はこっちの番だ!』
 レイファを正面から抱え上げ、ボディ・スラム……でリングの上に投げ落とす。
「ひっ!」
 よろけつつ立ち上がるレイファだが、再びボディ・スラム。
「ああっ!」
『ふん、『こっち』はどうだ……?』
 両手足を触手で押さえつけ、その身体を触手で撫でまわしつつ……、
 オークは、レイファの身体から、コスチュームを引きちぎった。
(「今だっ……!」)
 露わになった、股間とお尻、そこから……ブラックスライムが、飛び出し、レゾナンスグリード……捕食モードとなって丸呑みしようとする。
 が、
『甘えぜ!』
 スライムより早く、触手が動き、レイファの身体を投げ飛ばした。
 そのまま、ケルベロスバスター。
「あっ! ああああっ!」
 すかさずフォール。レイファは激痛で動けない。
『……1、2、3!』
 アンヴァルの3カウントにより、レイファは敗退。
『へっ、胸のでかさは悪かねえが、まだまだだな。次、来い!』
 その声に従い、ホニゥニが。
「いくよーっ!」
 リングインし、ガードを固め、チョップとキックを放つ。オークはそれを、筋肉の塊である手足に胸板、腹筋とで受けるが、
『つ、つええ! こいつはキクぜ!』
 二撃、三撃と受けるたび、よろけて来た。
「ホニゥニさん! その勢いで攻撃して!」
 セコンドのクレアの言う通り、オークは押されている。
 ミミック・安眠マクラもまた、ガブリングで同時に攻撃する。が、触手が巻きつくと、
『邪魔だ! 消えな!』
 そのままリング下へと放り投げられた。
「安眠マクラ! このぉっ!」
『あの箱野郎の、後を追わせてやるぜ!』
 ホニゥニとオークが、がっちりと組み合う。
 パワーとパワーは、ほぼ互角。……否、ホニゥニのパワーの方が上。
 力押しして、そのままねじ伏せようとした時。
 ホニゥニは……、
 触手が、服の下に潜り込むのを許してしまった。
「! しまっ……ああああ!」
 服の下で、敏感な両胸と脇と、下腹部へと触手がはいずり回る。力が抜けたホニゥニの身体の後ろへと、オークは回り込み、脇から両肩を固めた。さらにオークは、両足でホニゥニを開脚させ、触手で固定。
 残った触手で、ホニゥニの身体からコスチュームを引きちぎる。
『オラ、恥ずかしい場所が丸見えだぜ?』
 と、触手で弄られる彼女を、周囲に見せつけるように。
「や、やめ……あひぃっ!」
 更に、触手が下半身の穴に突き入れられ、両胸も絞るように刺激され、
「あああああっ!」
 吹き出し、リングを汚し……、
「……9、10!」
 アンヴァルのダウン10カウントで、再びオークの勝利。
『ほれ、キレイキレイにしねーとなあ』
 と、ぐったりしている彼女の頭を押し付け、髪の毛で彼女が漏らしたものを拭かされる。
「くっ……」
「これは……ちょっとまずいかも、ね」
 シフカと銀子は、オークのレスラーとしての実力の高さに、いささか焦りを覚えていた。

●ラウンド3、バトルスタート!
 三回戦は、フラジール。
「……っ! はっ!」
 降魔真拳が胸板に直撃し、旋刃脚がみぞおちへと決まる。
『おぅ! うぉぅ! どうした、もっとこい!』
 が、オークには効いていない様子。……いや、やや足下がおぼつかない。
(「効いている、なら!」)
 ラッシュを叩きこむ。このまま畳みかけ、勝利を……、
 そう思った矢先、
「っ!」
 オークが攻勢に転じた。いきなり組み付き、
『はーっ!』
 いわゆる、ジャーマンスープレックスをかけ、フラジールの身体をリングへと沈めたのだ。
「立って! 次の攻撃が来るわよ!」
 リングの外、コーナーポストからクレアが警告するが、
 遅かった。開脚した状態で逆さにされたフラジールは、両腕を触手で、両足をオークの手で固められ、ホニゥニと同様に屈辱的な体勢に。
 そしてコスチュームの下に、触手が入り込み、肉体を凌辱する。
「ん……くっ……うんっ……あっ……」
 辱められてもフラジールは、派手に喘がず、顔に出さない。が、
『ふん、我慢してんのか? いやらしい穴を、むき出してやる』
 局部の布が引きちぎられた。そこに触手が這い、無理やり……前後にねじ込まれる。
「………っ!」
 口には触手が。めちゃくちゃに三つの穴をかき回され、
「ぷはっ……おっイグッ!」
 吹き出し、大きくびくびくすると……彼女も果てた。
『なんだ、潮だけじゃなく、母乳も噴き出したのか。ったく、ムッツリだな。……オラ、次来い!』
「いい加減にしてください! 豚妖魔になど負けません!」
 美珠が、リングに入ると、
『……おめーの事は知ってるぜ。オークに犯されたがりの淫乱巫女だろ? その期待、たっぷり応えてやるぜぇ~』
 下品に笑った。
「なっ……ふざけないで下さい!」
 と、美珠は突撃。
 掴みかかるオークを、逆に巴投げで後方へ投げ飛ばす。
『うぉっ!』
「触手にさえ気を付ければ、所詮は下級妖魔! 負ける要素はありません!」
『そいつはどうかな!』
「え? ああっ!」
 先刻投げた時、触手が袴を緩めていたのだ。その隙に抱え上げられ、
「だめっ! 逃げて!」
 銀子の叫びは届かず、コーナーポストからケルベロスバスター!
「ああっ!」
 大きく開脚した体勢で、美珠の全身、関節に、衝撃と激痛、多大なるダメージが与えられる。
 二度、三度と繰り返され、
 触手が同時に、服の結び目を解き、下着は引きちぎり、
「え? きゃああっ!」
 全裸の状態で、開脚し担ぎ上げられている事に気付く美珠。
 開いた両足の、その場所。露わにされた前と後ろの穴が、触手で弄られ、その様子を周囲に見せつけられている。
 両胸も同様に、なぶるように愛撫。
「ひゃっ、ひゃああんっ!……いやっ、出ちゃうっ!」
『おおっと……おうおう、下級の豚妖魔にお漏らしさせられ、悦んでるとはな。噂以上の淫乱巫女だぜ』
 オークは体勢をとき、美珠を立たせると、ロープに投げつける。
 その反動で、美珠が戻ってくるところに……まるでルチャのように、オークは美珠の身体に飛びつき、空中に投げ飛ばすと。
 自身も空中で美珠をキャッチ。そのまま、
『オラっ、俺のを最奥で味わいな!』
 空中で、いわゆる、屈曲位の体勢で、オークは自分のものを、美珠にあてがい、
 着地の勢いで、美珠の中に挿入し、最奥へと突き入れた。
「あっ! ああああああっ!」
 快感に、絶頂。力を失った美珠はフォールされる。
「美珠さん!」
 カットしようとリングインするが、
『最初の条件、忘れたのか!?』
 そう言われ、動けない。その間、アンヴァルが、
「か、カウント3! 勝者、オーク」
 これで、四人。
 銀子は、自分の目論見が成功するとは、思えなくなっていた。

●ファイナルラウンド、レディー・ゴー!
「くうっ……」
 五人目は、そのまま銀子が。
 エルボードロップを食らわせ、よろけたところをドロップキック。
 それを二撃、三撃と食らわせ、オークはフラフラになるが……、
(「プロレスの実力、かなりのものね……そ、それだけじゃなく……」)
 触手が掠り、お尻も撫で上げ、感じてしまっていた。
「このっ!」
 その昂ぶりを否定せんと、銀子もルチャのようにコーナーポストからオークに飛びつき、肩車されるようにオークの肩に乗った。
 そのまま、前方に回転。リングに叩き付ける!
「ウラカン・ラナ! どうだ!」
 フォール! カウント、1、2……。
『……今のは効いたぜ!』
 惜しくも2で復活。そして、
「お返しだ!」
 倒れ込んだオークが、自身の手足と触手を用い、銀子の手足を絡めて固定。銀子は天井を仰いだ状態で釣り上げられた。強制的に大股開きにさせられ……弓なりに身体を反らされたポーズを取らされる。
 いわゆる、『ロメロスペシャル』というプロレス技。
「あぐっ! ぐ、ううううっ……!」
 そして、開脚したコスチュームの隙間から、触手が入り込み……内部を愛撫する。
「あっ! あっあっ だめぇっ!……ああああっ!」
 股部分の布地を千切られ、お尻に触手の先端が抜き差しされる。
(「だめ……ギブ……できない……」)
 痛みと快感がないまぜになり、そのまま……、
「あああああっ!」
 果てた。
「銀子さん!」
 セコンドに徹していたクレアが、銀子に駆け寄るも、
『おいおい、選手じゃネエ奴がリングに上がるな。もっとも……俺としっぽり濡れてえんなら話は別だが』
 オークが下品に抱き寄せる。
「なっ! いやっ! 放して!」
「離れなさいっ!」
 アンヴァルが強引に引きはがさんとする。しかし、
「レフェリーのネエチャンよぉ、オメーも見ててムラムラするぜ。俺のデカいのを食らいたいか?」
 と、もう片腕で抱き寄せる。
 触手が、二人の胸やお尻や下腹部へと這い回るが……、
「……柚子島さんとアンヴァルさんを放しなさい。まだ一人、私との戦いが残っているわよ」
『……ちっ』
 シフカに睨まれ、二人を放すオーク。
「戦闘準備完了……では、行きましょうか」
 最後の戦いのゴングが鳴り、オークは組み付こうとしたが、
「……遅い」
『なっ!』
 明らかに、オークの動きが鈍っていた。シフカはそこに畳みかける。
「うぃーっ!」ロープの反動を利用した、雷刃突のラリアット。
「それっ!」絶空斬の、ボディプレス。
「はっ!」よろけたオークへ、コーナーポストに上ってからの、月光斬のムーンサルトプレス。
 それらを受け続けるオークは、
『ぐっ! ……立てねえ……』
 とうとう、膝をついた。
「……先刻から、皆さんの攻撃全てを『防御せず、受けていた』のは、観察して分かりました。あれだけダメージを続ければ……ダメージも蓄積されるというもの。それでは……」
 止めですとシフカは言い放ち……左腕の鎖を放った。
 それはオークに固く絡みつく。シフカはそれを、
「引き寄せ、断ち切る! 殺技伍式、『鎖引・Fuろッ釘』(サツギゴシキ サイン・フロッティ)!」
 右手の手刀が、オークの首に叩き込まれ、断ち切った。

●次の興行、ご期待ください
 かくして、事件は解決……。
 したものの、
「あ、あの……体が、火照って……」
 レイファが、すがるように周囲に目を向ける。
「大丈夫ですか? けがは……」
 クレアが身体を撫でてくれる。その愛撫に、さらにびくびくしてしまうレイファ。
「はあっ、また……犯されていいようにされちゃったわね」落ち込みモードの銀子。
「ええ……でも……」
『久々の豚妖魔、気持ちよかったです』などと言いそうになった自分を、美珠は戒めた。
「ですが、レスラーとしても強敵でしたね」
「ええ。普通に戦っても、苦戦する相手だったかと」と、アンヴァルとフラジールは頷く。
「でも、みんなのおかげで助かったわ。ありがとう、みんな」
 シフカの言葉が、皆の中に響いていった。

 そして、ホニゥニは。
「色々汚しちゃったし、綺麗にしておいたほうがいいよね」と、モップを取り出し、清掃し始めていた。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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