澄風に紅

作者:崎田航輝

 そよ風に爽やかな薫りが混じり、人々の笑顔が溢れていく。
 自然の景色も多い街路の一角に、果樹の立ち並ぶ園があった。今まさに紅々と色づいた果実が生っているそこは──リンゴ農園。
 旬が秋から始まるものも多いリンゴだが、この農園の収穫期は冬。空気がしんしんとした冷たさを抱く中、その紅は瑞々しい甘味を蓄えて食べ頃を迎えるのだ。
 農園では果実の直売だけでなく、併設されたカフェでリンゴを使ったスイーツが存分に味わえる。
 果実たっぷりの香り高いタルトタタン、カスタードがまろやかなアップルパイ。
 ふわふわ生地のアップルクーヘンや、クリームとコンポートを添えたパンケーキやスコーンも人気で──飲み物も果汁のジュースにサイダー、シードルまで揃い踏み。
 お土産にジャムやパイも買っていけるから。訪れる人々は皆が楽しげに、リンゴ尽くしのひとときを過ごしていた。
 と──そんな長閑な青空から、降ってくるものがある。
 それは謎の胞子。
 ふわふわと、園にある果樹に取り付くと、一体化。俄に蠢き出して、整然と並ぶ木々の間を抜け出していた。
 それに気づいた人々は、驚きの声を上げるけれど。時既に遅く、狂樹と化したリンゴの木はその只中へ襲いかかっていった。

「攻性植物の出現が予知されました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
 とある農園では、丁度リンゴが旬を迎えているという。攻性植物となってしまうのはその果樹なのだと言った。
 ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)は静かに呟く。
「警戒していた通りですね」
「ええ。ミントさんの情報提供のお陰で、人々の被害を未然に防ぐことが出来ます。その機会を逃すわけには行きませんから」
 是非皆さんの力を貸してください、とイマジネイターは声音に力を込めた。
 現場は大阪市内。
「爆殖核爆砕戦より続く流れが、未だ絶えていないということでしょう」
 攻性植物は、立ち並ぶ果樹の間から出てくる。
 無論、人を狙うだろうが……今回は警察や消防が避難活動を行ってくれる。こちらが現場に到着する頃には、丁度人々は逃げ終わっていることだろう。
「私達は敵の撃破に集中すれば良いんですね」
「ええ。広いところで迎え討つことが出来ますので、農園に被害を出さず終えることが出来るでしょう」
 ですから、とイマジネイターは続ける。
「無事に勝利できた暁には、皆さんもリンゴを楽しんでいっては如何でしょうか」
 農園のカフェでは、リンゴを使ったメニューが多く味わえる。
 ジャムや果実などお土産も揃っているので、様々な形でリンゴを楽しめるだろう。
 ミントはこくりと頷いた。
「そのためにも、敵をしっかりと撃破しましょう」
「皆さんならばきっと勝利できますから。健闘をお祈りしていますね」
 イマジネイターはそう言葉を結んだ。


参加者
空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)
ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)
伊礼・慧子(花無き臺・e41144)
ルイーゼ・トマス(迷い鬼・e58503)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)
山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)

■リプレイ

●甘風
 さらさらと緑が揺れて、爽々とした薫りが吹き抜ける。
 立ち並ぶ果樹を遠目に、ふわりと降り立ったキリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)は──静かな安堵の息をついていた。
「……広い場所があってよかった」
 人は勿論、林檎が欠けるなんて絶対に避けたかったから。
 だからこそ、と見つめる先にあるのは──果樹の間から這い出る影。
「胞子は……ケルベロスと共存できない子達は、悲しいわ」
 それは異形と化した、三つの巨体。
 根で地を咬みながら、獲物を求める樹の怪物。
「リンゴの攻性植物ですか」
 ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)は紫水晶の瞳に巨影を映し呟く。
 自身の危惧していた敵が実際に現れるのは、意外だという心持ちもあった。
 ただ、そのおかげで守れるものもあるというのならば。
「此処はしっかりと敵を倒しましょう。親友も、加勢して下さいましたし」
「……ん」
 と、向けられた視線に頷くのは空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)。
 黒絹の髪を薫風に揺らすと、星灯りを抱く剣を抜き放って。
「折角のリンゴ農園を、荒らされたくは、ないから……守るの、頑張ろう……」
 夜のように静やかな声音で、しかし生み出す煌きは眩しく。空より降ろした星の加護で仲間に護りを与えた。
 同時、ミントは青薔薇の花弁の如き鮮やかな光弾を撒き、敵を牽制。
 その隙にキリクライシャが蔓に陽色の光を結実させ中衛に護りを広げると──。
「こちらも先ずは護りに徹しよう」
 ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)が避雷針へ鮮麗な光を宿している。
 弾ける雷の欠片は散逸せず、凝集されて眩い盾を編む。その輝きが分厚い壁となり後方の仲間を防護していた。
 目線の合図で、箱竜のボクスは既に飛翔。白橙に燦めくブレスを敵の一体へ放っている。
 別の二体は分かれて挟撃を狙っていた、が。
「させるわけには、いかない」
 その真横方向から、鋭い風が奔り寄る。
 槍を握りながら蹄を鳴らす、オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)。
 敵陣を一直線状に視界に捉えると浅く跳んで回転。円弧の斬閃で三体共の根を斬り裂いて見せた。
 それでも一体が芳香を撒いてくるが──。
「心配要らないわ。すぐに吹き飛ばしてみせるから」
 と、山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)が身に温かな煌きを宿している。
(「ふっふっふ、華麗なる私のケルベロスデビューを飾るチャンスだわ!」)
 ついでにスイーツも楽しめるなんて、一石二鳥。
 なれば全力を賭さない理由はなく。手元から発した光で皆を包み、苦痛を癒やしながら護りも強固にしていった。
 キリクライシャのテレビウム、バーミリオンも治癒の閃光を瞬かせれば体力は万全。
 同時に伊礼・慧子(花無き臺・e41144)も星剣を握って流麗に舞うように。剣線で星座を描いて、中衛へ加護を重ねて強めていた。
「このまま防御を固めきってしまいましょう」
「うむ」
 と、頷いて髪に留めた十字架へ手を添えるのはルイーゼ・トマス(迷い鬼・e58503)。
 小さく唇を動かして、紡ぐのは蒼風の如き調べ。実る自然を、息づく命を祝福する美しき聲で皆の魂へ護りの力を与えていく。
 そのまま別の唄へと旋律を移らせて──悠久を詠う歌声で敵陣を縛り付けた。
 三体の動きが鈍れば、攻勢を緩める由もない。
 慧子はくるりと回って手を差し伸べると、雪色の光を招来する。
 それは『クリスタル・カレイド』──雪結晶の形をした吹雪の精霊を喚ぶ力。吹き抜けた冷気が敵の根元を氷に閉ざしてしまえば。
「今です、一斉に」
「……ええ」
 キリクライシャが燿く砲を放ち一体を後退させる。
 煽られた巨樹へ、ミントはフリルを揺らして距離を詰めていた。
「この炎で、焼き林檎にしてあげます!」
 刹那、靴を覆う茨に業炎を宿すと蹴撃。爆発的な威力で敵を炎に包み込んでいく。
「とどめはお任せします」
「判った」
 倒れる一体へ、高い跳躍から舞い降りるのがオルティア。すらりと伸びた脚を躊躇わず直下に振り下ろし、蹄で幹を貫き一体を四散させた。

●決着
 異形の果実が揺れて、風に香り混じらせる。
 二体の巨樹はゆらゆらと蠢いて変わらぬ殺意を表現していた。その威容も漂う香りも、全てが元とは変わり果てているようで、慧子は嘆息する。
「旬の果樹が変質してしまうのは……いけません、実にいけませんね」
 折角の美味でもあるわけだから、と。
「でも、三本で済んで良かったというべきでしょうか……いいえやっぱりだめです、りんご……勿体ない……」
「眺めるだけでも、農園の方々が育て上げた苦労が窺い知れるというものだからな」
 ビーツーは果樹が立ち並ぶ方へ視線を奔らせて呟いていた。
 沢山の恵みを実らせてくれる木々達、だからこそ。
「襲撃など許すわけにはいかない。此処で、お引き取り願おうか」
「……ん」
 オルティアも果樹の方を見て、敵へと視線を戻す。
「冬の寒さで、甘味を増した、果実……後でしっかりと、本当にしっかりと、いただくから」
 だからどうか、今は安らかに倒れてほしい、と。
 真っ直ぐな気持ちで奔り抜けながら、冷気に燿く杭を一体の体へ打ち込んでみせた。
 嘶きと共に生まれた一瞬の隙、そこへことほが奔らせるのはライドキャリバーの藍。
「今のうちに、真っ直ぐ突撃よ」
 応えた藍は駆動音を唸らせながら疾走し、速度と重量をぶつけて巨樹を宙へと飛ばしていた。
 ことほ自身は黄金の角をそこへ伸ばして一体を連続で穿ち貫いていく。
 枝葉を吹き飛ばされて瀕死の敵へ、ルイーゼは花を象るパズルを翳していた。
「これで、散ってくれ」
 そっと語りかけるように言うと刹那、眩い煌きを発散させる。
 それは無限の花弁が舞い散るかのような雷光。鮮やかに巨樹を取り巻くと、爆破の如き衝撃の大輪を生み出して一体を消滅させていた。
 残る一体が反撃の蔓を振るって来ても──無月が自身を盾にして受けきってみせると、すぐ後にはビーツーが清らかに澄んだ光を瞬かす。
 それは『雷激癒流』──穢れなき雷光。
 ルイーゼの体を螺旋を描いて通り抜けたその輝きは、免疫を活性させることで痛みも懊悩も吹き飛ばしていた。
 ことほが涼風を呼び込むように治癒の気流を吹かせれば、慧子も細腕を伸ばしてそこへ魔力の塊を乗せる。温かな感覚を与えたそれは優しく負傷を拭い去っていた。
「では反撃にいきます」
 皆の無事を確認できれば、慧子は前方へ疾駆。下段に構えた刃を両手で握ると、疾風の速度で剣閃を奔らせる。
 枝葉を裂かれる巨樹は、揺らぎながらそれでも尚暴れようと藻掻いていた。
 けれどキリクライシャはそれを許さず、魔力を自身の記憶に反応させる。すると林檎樹の幻影が敵の上空に生まれた。
 風もなく揺れたそれが顕現させるのは、真っ赤な林檎。『林檎落』──天頂から衝撃を齎したそれは巨樹を痺れさせて動きを止める。
 その一瞬に、ミントは無月と視線を合わせていた。
「では、畳み掛けましょう」
「……行こう」
 二人で肯き合うと、まずは無月が翼で飛翔し巨樹へ一息に肉迫。星の彩を抱く重鎗を踊らせるように振るって連撃を見舞う。
 燦めく斬閃が敵を刻むと、そこへミントが銃を向けていた。
「大空に咲く華の如き連携を、その身に受けてみなさい!」
 瞬間、ばら撒く無数の弾丸が斬撃の間を縫って命中。衝撃の花を咲かせてゆく。
 最後に息を合わせ、ミントが射撃をすれば──そこへ無月が刺突を重ねて。
「わたし達の力、刻んで果てて……!」
 弾ける『華空』の衝撃が、美しくも熾烈に巨樹を粉砕。跡形も残さず消滅させた。

●紅果
 長閑な農園に、人々の賑わいが帰ってくる。
 戦場の傷を癒やした番犬達は、すぐに周囲に無事を報告。程なくして農園も営業再開の運びとなっていた。
 カフェも開かれているから──番犬達がそれぞれ歩み始めると、ミントも向かう。
「折角ですから、私達も頂きに行きましょう」
「ん……」
 小さく応えるのは同道する無月。林檎のような赤屋根の、可愛らしいその建物に入店すると、早速席についてメニューを見た。
 写真はどれも美味しそうで甲乙つけがたいけれど。
「アップルクーヘンっていうの、食べてみたい……」
「美味しそうですね。では私もそれと──後は採れたての、リンゴの果実を」
 ミントも決めて注文すると、少しの後には品がやってくる。
 テーブルに置かれたアップルクーヘンは……バームクーヘンのように筒状に焼き上げた生地に、たっぷりの果実が入ったもの。
 早速二人で一口食べると、ほわりとした生地にも林檎が練り込まれていて、豊かな甘味と上品な酸味。
 中の果実はいい具合に火が通っていて、しっとりとした食感だった。
「美味しいですね」
「……うん」
 ミントの言葉に、無月は頷きつつあむりと食を進める。
 一緒に頼んだ飲み物は、シンプルにジュース。果汁百パーセントだけれどしつこくなくて、さらりとした口当たりで爽やかな風味だった。
「ジュースも、美味しい……」
「ええ、本当に。生の果実も、瑞々しいですよ」
 と、カットされた果実をミントが勧めると、無月はそれもしゃくりと実食。小気味いい歯ごたえで、果汁が口の中に溢れるようで美味だ。
「ふう、一仕事終えた後のリンゴは格別ですね」
 ミントも一緒に食べて、改めて息をつく。ゆったりとした空間の中、二人は暫しそうして寛いでいった。

 静々と席についたキリクライシャは──まずは焦らず視察から。
 ゆっくりメニューを開くと、それを真剣にじっと眺めていた。
「……予想はしていたけれど、沢山あるのね」
 写真を見ているだけでも、期待感が高まる彩り。そのどれもが見目に美しく、味も良いことが窺える。
 一緒に席についた慧子も、少々悩ましげだ。
「直売ならではの鮮度を楽しめるのは、やはりジュースでしょうか……」
「飲み物も、多く揃っているのだな」
 と、横の席ではビーツーもまた興味深げ。洋菓子、特に果物系が好物の身にとってはよりどりみどりといった心境でもあった。
 迷うのはことほもまた同じ。
「これだけあると悩んじゃうけど……」
 呟きつつ、それでもお品書きの中をさまよう視線は一点に吸い付けられる。
「やっぱり林檎が主役のタルトタタン……このあたりを狙おうかな」
「では俺はアプフェルショーレと、林檎のコンポートを」
 ビーツーが注文をすると、慧子もジュースの他にケーキなどを頼んでいた。
 キリクライシャはそんな皆を見つつ、一つには決めかねていたけれど……。
「……盛り合わせがあるのね。なら、これで……」
 人気のメニューを合わせたものがあったのでそれを注文。
 さらに皆でシェアしようということにもなり──種類を食べたいキリクライシャには大歓迎なのだった。
 早速、品々がやってくると……ことほはタルトタタンを見て感心の声音だ。
「見た目もきれいね」
 たっぷりの果実が敷き詰められたそれは、仄かな紅色が美しい。香りは芳ばしさもあって食欲を唆られ、一口食べてみると蕩ける林檎とバターの風味が濃厚だった。
「おいしい!」
「こちらも美味しいです!」
 慧子はきつね色が綺麗な林檎ケーキを食べて満足の面持ち。
 共に頼んだ林檎ジュースはまた格別だ。林檎だけから作られたそれは透き通った色合いで爽風のような香り。飲むと甘すぎずにさっぱりとしている。
 慧子は長い間保存しておいたものでなくて、採れたての爽やかなものが好み。故にこのジュースは抜群だった。
「こちらも、美味だ」
 と、ビーツーはアプフェルショーレを飲んで頷く。濃すぎず、炭酸も丁度良く、快い口当たりで楽しめた。
 林檎をまるごと一個使ったコンポートは、早速切り分けてボクスにあげる。ボクスは柔らかな食感と芳醇な甘味に満悦なのか、美味しそうに食べ進めていた。
 そんなケーキやコンポートをシェアしてもらいつつ、キリクライシャは一口ごとに目をきらきら。
「……美味しいわ」
 勿論自分の盛り合わせにあるアップルクーヘンやパンケーキも食べつつ。しっとり生地の甘味や林檎クリームを食べるたびに記憶に留めながら、バーミリオンにも言葉をかけていた。
「……リオン、記録しておいて」
 その最中にも決して手は止まらず食べ続ける。
 キリクライシャからシェアしてもらったものを、ビーツーや慧子も食べて頷いていた。
「アップルクーヘンは美味だな。ボクスも気に入ったようだ」
「パンケーキも美味しいです」
「そうだ、これだけ色々あるんだし、食べ終わったらお土産も見ていきましょ?」
 と、ことほが言えば皆も頷き食後にお土産探し。
 キリクライシャはアップルパイにタルトタタンにロールケーキ、買えるものは全種類手にとっていた。
「……私とは違うレシピの味、ゆっくり確かめたいものね」
「干し林檎はあるかしら? あれ好きなんだけど、なかなか売ってなくて……」
 言いつつ、見回すことほもそれを見つけて購入。最後まで林檎を楽しんで、上機嫌に店を後にしていった。

「さあ、われわれもリンゴを楽しませていただこう!」
「ん……リンゴ尽くし、味わい尽くそう……!」
 隣り合った席についたルイーゼとオルティアは、早速わくわくとメニュー選び。
 目に飛び込む美味しそうな名前と写真に、オルティアは視線を迷わせた。
「アップルクーヘン……気になる。タルトタタンも……気になる」
 正直、全部気になる。
 何故なら採れ立ての果実を使ったら、どれも絶対おいしいのだから、と。
「難題……!」
「そのあたりはきっと全部おいしいぞ」
 と、ルイーゼは知らなさそうなものについては教えてあげていた。
 それは自分のメニューはある程度決まっているからだ。元よりアップルパイに惹かれてこの仕事を受けたのはひみつであるが故に。
「タルトタタンとの食べ比べもしてみたいな……」
「タルトタタン……やっぱり食べたい」
 と、オルティアも悩みつつ、最後にはそれにアップルクーヘンとサイダーを加えて注文。
 早速アップルクーヘンを実食すると、優しい生地とさくりとした林檎が良く合った。タルトタタンは存分に果実の甘味が味わえる。
「おいしい……リンゴの香りがふわっとして、甘味も口の中に広がっていく……!」
「ん、本当だ」
 ルイーゼもタルトタタンを食べつつ、パイも頂く。生地が仄かにぱりっとしていて、たっぷりの果汁と好対照で美味だ。
 オルティアはそれも気になっている様子。
「おいしそう……あの、ちょっと一口分交換したりとか、その……あの……」
「勿論。美味しいものは、誰かと分け合うとより一層美味しくなるからな」
 より美味しく食べるために、お付き合いいただけると嬉しい、と。
 ルイーゼが微笑むと、オルティアも表情を華やがせて。互いの品を交換して、甘く豊かな時間を過ごしていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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