グリゼルダの誕生日~詩人の秘密は夜更けまで

作者:秋月きり

「流石にそろそろサプライズはいいよね?」
 それはとある日のヘリポートでの事。リーシャ・レヴィアタン(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0068)の台詞に、グリゼルダ・スノウフレーク(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・en0166)は「はて?」と小首を傾げた後、得心したと微笑を返す。
 定命化したのは4年も昔の2016年の事。そこから3度の誕生日を経て、此度、グリゼルダは21歳の誕生日を迎えるのだ。
「それでは、折角なので……」
「うんうん。了解了解。グリゼルダのやりたい事があるなら、それをしましょう」
 二つ返事の安請け合いも、気心知れた仲であるが故。
 無論、この子ならば無茶を言わないと、信じているからだ。
 だが、それでも、グリゼルダの『やりたい事』を聞いたリーシャは思わず、喫驚してしまう。
 提案そのものは、問題のある物でも無い。立派な淑女に成長したグリゼルダに、その資格はある。確かにあるのだが……。
「お酒を飲んでみたいのです」
「そ、そうね。成人して一年経っているもんね」
 むしろ、今まで飲んでなかったのか。
 それが一番の驚きだった。

「グリゼルダの誕生日にバーに行きましょう」
 リーシャの言葉に、返ってきたケルベロス達の反応は様々だった。
「いや、私が飲みたいわけじゃなくてね。グリゼルダがそう言う雰囲気を味わってみたいそうなの」
「はい」
 付け加えられたヘリオライダーの言葉を、素直に肯定するグリゼルダであった。
「みんなで行くバーは、いわゆる『ショットバー』と呼ばれている、まー、ごく一般的なバーよ」
 カウンター席でも、テーブル席でもいいし、お酒が飲めなくてもノンアルコールドリンクで楽しむ事も出来るわ」
 お酒は二十歳になってから。例えケルベロスであっても、それは変わらない。超人であるが故、酔いとは無縁な体質かもしれないが、だからと言って飲酒が認められる訳ではない。
 定命種である以上、年齢制限は絶対なのだ。
「でも、雰囲気を楽しむ事が出来るわ。ドリンク以外のおつまみ――じゃなかった、サイドメニューもあるし、バーテンダーさんにお任せのノンアルコールカクテルを作って貰うのも可能よ」
 お茶やジュース、軽食などで少し大人なアフタヌーンティーとしゃれ込む事も可能なようだ。
 勿論、二十歳以上であればアルコールメニューを楽しむ事も出来る。加えて、様々なお酒を混ぜたカクテルを楽しめるのはバーならではだろう。
「だから、せっかくなんで、紳士淑女を目指してみるってのはどうかなって思うんだ」
 騒がず燥がず、静かに楽しむ。それこそ、映画やドラマに映る夜の世界のように。
 会話等も静かに盛り上がる方が良い。カードゲームに興じたり、簡単なボードゲームに一喜一憂したり。そんな大人な夜を楽めれば、嬉しいです。
 それがグリゼルダの弁だった。
「みなさん。一緒に楽しみましょう」
 今宵、21となる戦乙女は、微笑を浮かべる。
 さぁ、夜の帳の一幕、皆で楽しもうじゃないか。
 静かな微笑は、そう誘っている様でもあった。


■リプレイ

●詩人の秘密は夜更けまで
 冬の夜の訪れは早い。すっかりと夜闇に支配されたバーの片隅で、グリゼルダ・スノウフレーク(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・en0166)はこれから始まる宴に思いを馳せていた。
(「大きい、ですよね」)
 スツールに腰を下ろし、木目調のカウンターに指を這わせる。分厚く、そして、大きい。指先に伝わる感覚は、冬の外気よりも温かで、それでいて優しい物だった。
(「止まり木、と言う意味だそうですね」)
 Barとは止まり木の意だと、誰が教えてくれた事だったか。
 だったら、こんなに大きな止まり木を欲する存在は、只の鳥ではないだろう。余程の欲張りか、それとも……。
(「フレスベルグならばこれぐらいの大きさが必要でしょうか」)
 想像してクスリと笑う。全てを見守ると言われる巨鳥がもしも、この場に現れたのであれば、目の前のカウンターは爪先程度。休める場所では無いと文句を言いそうだ。
 微笑はいつしか、静かな微笑みへと転じていく。
 止まり木は未だに静か。約束の時間までもう数刻。その頃合いに、店内は賑わいを見せる事になるのだろう。
「さて、どうなります事やら」
 賑やかなのも嫌いでは無いが、此度のコンセプトは大人の休息。思い思い、静かな時間を過ごす事になるだろう。
 それが嬉しくて。
 なんだか気恥ずかしくて。
「ふふ。楽しみです」
 夜はまだまだ帳が落ちたばかり。
 その時が待ち遠しくて、戦乙女は微笑に揺蕩う。
 今は未だ、その時にならねど、と。

 カランコロンとカウベルの音が鳴る。
 ギィッっと重い扉を開き、入店してきたのは一組の男女――絵に描いたような美男美女のカップルだった。
 三番目と四番目の客となった水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)、そしてヴィヴィアン・ローゼット(びびあん・e02608)は並んでカウンター席に腰を落ち着ける。
 ちなみに一番乗りはグリゼルダ本人で、二番目の客となったリーシャ・レヴィアタン(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0068)は、グリゼルダの席の隣で、既に頬を染め、ゆっくりとショートカクテルを楽しんでいる。
「グリゼルダちゃん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます」
 定命化して4年。誕生日そのものも4回目のイベントだ。長くもあり、短くもある歳月が刻まれた時間は、『誕生日とは祝う物だ』との感覚をグリゼルダに常識として刷り込ませる迄に至っていた。
「今日はデートですか。羨ましいです」
「ふふ。お誘い、ありがとうね」
 花開いた微笑は、心の底から今を楽しんでいるように見受けられる。
 それ以上の野暮は言いっこなし。すすーっと席に戻るグリゼルダに、目礼と、鬼人の頭が下がっていた。
「それじゃあ、乾杯、と」
「はい。乾杯。……ふふ。綺麗なピンク色」
 鬼人自身はウィスキーのロックを。ヴィヴィアンにはスプモーニを勧め、グラスを交わす。
「あ、飲みやすくて美味しい……!」
「少しずつ、ゆっくり飲めば大丈夫だからな」
 彼女にとっては初めてのバー。初めてのお酒だ。苦みと甘みを内包したお酒の味はどうだろう。いつか、こんなお店で飲もうと思っていた、は鬼人が心の内に抱く秘め事だ。
(「いつかは、か」)
 恋人付き合いを始め、いくつもの『いつかは』を繰り返してきた。そして、それは今後も変わらないだろう。
(「鬼人は大人だなぁ……」)
 そんな彼の所作を見送るヴィヴィアンの視線は、キラキラと輝いていた。
(「なのに、私は淑女に程遠いなぁ……」)
 頬が熱いのは酒精の所為か、夜の雰囲気に飲まれた所為か。
 だが、その何れでも問題ないとも思ってしまう。
 彼が傍に居る。それが何よりも大切な事であった。

 大人とは何だろう? どう言う振る舞いが大人なのだろう?
 誕生日への祝いと共に、ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)が浮かべた疑問は、グリゼルダも悩ましき物であった。
 そんなミリムの前には小包のチョコレート盛り合わせ、そして、青い液体が注がれたロンググラスが並べられていた。
 ライチの芳香、そしてグレープフルーツの酸味がこの距離でも感じられる。
「20歳を超えたら大人だとか、成人式を超えたら大人とか、そういう答えを求めていないのは分かるわ」
「そうですよねぇ……」
「だよねぇ」
 クスリと笑うリーシャに、二人の頷きが重なる。
 二十歳の年月を超えれば大人と認められるのがこの国の有様だけれども、年を重ねるだけで大人と認められる訳でもない。
「これは私の意見なんだけど、大人になりたいと思っている内は子供かな?」
「「だったら」」
 ならば、大人とは? との問いに、リーシャが浮かべた笑みは、むしろ、苦笑の色に染まっていた。
「子供に戻りたいと感じだしたら、大人なのかもね」
「……そんなものですか」
 お酒が飲みたい。大人な時間を過ごしたい。そう唱えた戦乙女の声は、不服そうな響きを帯びていた。
「グリゼルダさんのイメージは、武の志とか、食べ物とか、そう言う方面ですね」
「多分、みんな、同じよ」
「それは、致し方有りませんが」
 ミリムがクスリと笑えば、憮然と、しかし諦観を込め、グリゼルダが笑う。それを見守るリーシャの眼差しはどこか、温かげにも寂しげにも揺れていた。

「グリゼルダ殿、21歳のお誕生日おめでとうございマス」
 幸多き一年となりますように、との祈りの言葉と共に隣のスツールに腰を下ろしたのはエトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)であった。
 穏やかに揺れる蒼穹の髪と同じくらいの穏やかな表情は、薄暗いバーにおいても、所在が判るほど輝いている。
 その穏やかな微笑を形成した唇が、別の言葉を、問いを紡ぐ。――楽しまれていますカ? と。
「ありがとうございます。とても、楽しくお酒を頂いています。エトヴァ様は如何ですか?」
「それは、とくト」
 マティーニが注がれたショートグラスを片手に、エトヴァは軽く頷く。
 静かなお店の雰囲気も、手品師の様にシェイカーを振るうバーテンダーの手際も、何もかもが久々の体験で、そして、楽しい。
 今宵がバーの初体験と言う彼女に、自分が感じる楽しさが伝わればいいと祈ってしまう。
「さて。今夜は良き夜。グリゼルダ殿、リーシャ殿も……宜しけれバ、カードにお付き合い願えますカ?」
 取り出したトランプに、興味津々の表情が向けられる。
 ああ彼女はこうして初めてを覚え、そして成長していくのだと感じてしまう。
「あら? 私はブラフ系、強いわよ」
「表情に出ちゃって駄目なんですよね。私。……あと、リーシャ様。予知能力は反則です」
 ヘリオライダーはにふりと笑い、戦乙女はペロリと舌を出した後に釘を刺す事を忘れない。
 ないないと、手を振る彼女にふっとエトヴァは笑みを零し、手元のトランプをシャッフルする。
「それでハ、行きましょうカ」
 遊戯は白銀の眼差しに導かれるがままに。
 静かな夜は、ゆるりと更けて行った。

●詩人の夜は蜜酒と共に
 酒と言えばドワーフ。それは何処の逸話だったか。
「グリゼルダさん、誕生日おめでとうございます! しかし21歳の誕生日にお酒とは……」
 イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)の祝辞は和やかな笑顔とと共に。紳士然した彼に指摘されると、少しだけ頬が朱に染まってしまう。
「お酒を嗜まれる方皆様、なんだか、楽しそうで」
「成る程。確かに見本が近くに居るとそうなりますよね」
 良い見本か悪い見本か。言及しないのは彼なりの優しさだったのかも知れない。
「でも……楽しいですね」
 皆と語り合い、同じ時を過ごす事こそが楽しいと呟いた後、得心したと頷く。
「だから、お酒を飲むのですね」
「ええ。大人は照れ屋なのですよ」
 ただ集まるにも口実がいる。誰もが純粋ではいられず、だが、それもまた、愛おしい物だ。
「ま、何かあった時の為に、私はノンアルコールカクテルを頂きますがね」
 オレンジとレモンのジュースをベースとしたノンアルコールカクテルを傾けながら、イッパイアッテナは片目を閉じる。同に入ったウィンクに、グリゼルダも微笑で返す。
「何もトラブルは無いと思いますが……ありがとうございます。イッパイアッテナ様」
「どういたしまして」
 紳士は最後まで紳士である。悪戯っぽい笑みの奥で、飲料と共に言葉を飲み込んでいた。

「グリちゃん、21歳の誕生日おめでとうっ!」
「この一年が良い物になりますように」
 神白・鈴(天狼姉弟の天使なお姉ちゃん・e04623)の元気な祝辞に、アリア・ハーティレイヴ(武と術を学ぶ竜人・e01659)の静かな声が重なる。
「私もお酒、初挑戦なんだよ」
 4ヶ月前に20歳を超えた鈴は嬉しげに、朱色のグラスを傾ける。酒杯を交わす事がとても嬉しくて仕方ないと言う様子だった。
「はい。乾杯です」
 受け止めるグリゼルダのグラスは、レモンとジンジャエール、そして蒸留酒のカクテルで満たされていた。
 煽るよりも軽く口に含む程度に。唇と口腔を楽しませるのもお酒ならではの楽しみだ。
「ただ飲むだけだと悪酔いするよ」
 朱酒が満たされたワイングラスを片手に、アリアが微笑む。年齢は下でも酒飲みとしては先輩だ。先達の教えは大切だと、グリゼルダも鈴も、倣ってチーズを口に運ぶ。
 カクテルとワイン、そしておつまみ。会話に花が開けば、やがて酒精が三者を満たしていく。
「はふぅ。吐く息が暖かいです。ぽわぽわします……」
「だ、大丈夫ですか? 鈴様?」
 超人たるケルベロスは毒や身体異常に強い。だが、そこに付随する痛みや気持ち悪さを覚えない訳でもないのだ。アルコールと言う異物が体内に入れば、酔っ払う事だって起こりうる。
「大丈夫です。大丈夫。美味しいの、ありがとうございます……」
 最後は夢見心地に。ムニャムニャと紡がれた言葉は、睡魔に抗えなかった証拠だろう。
 酔いと共に眠りへ誘われるのも、酒精の魔手である事は間違いない。
「まぁ。起きたら家に連れて帰るよ。今は寝かせて置いて上げよう」
 自分は酒に強いから大丈夫、と笑うアリアの目は、朗らかな優しさに染まっている。
「お願いしますね」
 ただこの柔らかな時間を邪魔したくないと。
 グリゼルダはそっと席を立つ。
 少しだけ後ろ髪が引かれる思いなのは、楽しい時間が過ごせたからだ、と思う事にした。

「もう、グリゼルダさんにはもうグリゼルダたんと呼べませんのね……」
 エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)は珈琲ミルク然としたロンググラスを揺らしながら、心の内を吐露する。
「ええっ?! いえ、そんな……」
「大人で、淑女である貴女にもう『たん』と呼ぶなど、私には致しかねる行為ですわ」
「え。えっと。エニーケ様、既に酔ってらっしゃる……?」
 朱に染まった表情は、明らかな酔客だったが、それでも目は未だ正気の色を保っている。どうしようかと視線を周囲に向けるが、助けを求められそうな人はいなかった。何れも皆、周囲との会話を楽しみ、大人の夜を満喫していた。
「今日のお召しものもなかなかに素敵ですの。普段の鎧姿も良いですが……あちらとはまた違う大胆さです」
「イブニングドレスは少々、心許ないですよね」
 騎士鎧を正装とするグリゼルダだが、それ以外の格好に抵抗がある訳ではない。今、身に纏う夜会服といい、水着といい、必要があれば様々な格好をしているのだ。
 ちなみに、そんなグリゼルダが抱くカクテルだが、バナナリキュールをベースとしたクリーミーなショートカクテルであった。エニーケの持つ酒精同様、甘さに定評のある代物である。
「甘味は大正義ですわね」
「ええ」
 クスリと笑うエニーケは、やがてトロンとした視線と共に言葉を紡ぐ。
 誕生日おめでとうの祝辞は、いつもの言葉と共に紡がれていた。
「今年もよしなに……グリゼルダたん」
「あー。その、エニーケ様……?」
(「呼び方などは人それぞれと言いますし、別に改める物ではないのでは……?」)
 喉元にまで出かかった言葉を飲み込む。
 エニーケの意図に気付いてしまったのだ。
 これは彼女なりの区切りなのだろう。大人は照れ屋だと先程、言われたばかりではないか。
 だから、それを素直に受け取る事にした。
「はい。エニーケ様も、良い一年を」

 そして、夜は更けていく。
 成人したら飲みに行こう。アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)が霧山・和希(碧眼の渡鴉・e34973)と交わした約束が遂に果たされる夜がやってきたのだった。
 緊張を露わにする和希に、アンセルムは微笑し、注文を紡ぐ。
 オーダーは、青いカクテル。
「それって……」
「数少ないボク達の共通点、だよね」
 やがて出てきたそれは、鮮やかな潟湖を思わせる青色の飲み物であった。シャンパングラスに注がれた海の中、透明度の高い氷が泳ぐように揺れている。
「ああ、素敵ですね。こういうの」
 乾杯の合図と共に、一口、口に運ぶ。
 柔らかく、さっぱりと。それでいて、揺蕩う酒精は喉と舌を潤し、なめらかにしてくれる。
「キミとこうやって話がしたかったんだ。沢山、ね。和希」
「ええ。僕もです。アンセルム」
 囁くように。囀るように。昔、現在、そして、未来。これからの事、今からの事と、語る物語は多く、共にする酒精は尽きる事が無い。
 それでも、終わりはやってくる。穏やかな睡魔が二人の間に漂い出した頃合い、アンセルムはふっと嘆息する。
「またいつか2人で飲みに行こう。こうして穏やかに楽しみながら、キミと沢山話がしたいんだ」
「ええ。是非。いつか『また』一緒にこんな風に過ごせるように……!」
 『いつか』と、アンセルムは言った。
 『また』と、和希は返した。
 曖昧な約束では無く、それが日常にしていくものだとの言葉に、アンセルムは思わず顔を綻ばせてしまう。
 顔が熱いのは、酒精の所為だけではあるまい。
「いつか、また」
 席を立つ二人の言葉に、見送る戦乙女はふっと笑みを零す。
 その緑の瞳が羨望に揺れていたのは、気のせいでは無いだろう。

 宴は終わりを迎え、人気の無くなった店内で、グリゼルダはふぅっと嘆息を零す。
 息が熱い。頬が熱い。戦後の高揚感にも似た何かが、心地よい疲労が全身を満たしている。
「楽しかった、ですね」
 初めてのお酒だった。初めての酒宴だった。此度も味わう事が出来た『初めて』だった。
 ああ、楽しかったなぁと思う。
 それは定命化したからこその楽しみ。それらは皆に仲間と迎え入れられ、そして、味わう心地よい時間の数々だ。
「ありがとうございます。皆様」
 次はどんな『初めて』を味わうのだろう。それを思うだけで、胸が高鳴ってしまう。……多少アルコールの所為でもあると思うが、まぁ、間違っていない。
「さて」
 立ち上がり、会場となったお店の方に挨拶と、そして。
「ムニャムニャ……。もう、飲めない……」
「帰りますよ、リーシャ様」
 この姉のような母のような友人をどうしてくれようか。
 最後に紡がれた破顔は、実に困った表情であった。

作者:秋月きり 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月11日
難度:易しい
参加:10人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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