雪宵のメロディ

作者:崎田航輝

 はらりはらりと降る雪が、月明かりに燦めく夜。
 野原は白に満たされていて、まるで世界全体がうっすらと輝いているよう。今宵は風も無く、ただ空気ばかりがしんしんと冷えて深い静謐を抱いていた。
 ──と。
 その中でまるで眠りについているように雪に埋もれている物がある。
 それは精緻な細工のオルゴール。
 美しい箱の内に電動モーターを含むそれは、駆動すると円盤と据えられた人形が巡り、まるで絵本の世界のような一幕を垣間見せてくれるもの。
 嘗ては可愛らしいメロディで歌い、誰かを喜ばせていたであろう機械──だが今は外も内も壊れていて旋律を奏でることはない。
 ただ白色に降られる中で静かに横たわるのみだった──このままであったならば。
 ふと、野原をかさりと這ってくる影がある。
 それはコギトエルゴスムに機械の脚の付いた小型のダモクレス。オルゴールに辿り着くとその内部へと侵入。一体化してその姿を変化させ始めていた。
 ローブを纏って杖を握るその姿は、まるでオルゴールの中にあった魔術師の人形。
 ころころと美しいメロディで歌うそれは──命を得たことを喜ぶかのように。いつしか野原を歩み出し、人のいる街へと踏み込んでいった。

「雪、だな」
 寒空のヘリポート。
 静かに降るその白色を、ルイーゼ・トマス(迷い鬼・e58503) は仰いで呟いていた。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はええ、と頷く。
「今日は一段と寒いようですけれど……その中でも特に冷える夜の野原で、ダモクレスが出現することが予知されました」
 それはとある街に面した場所。そこに放置されていたオルゴールに、小型ダモクレスが取り付いて変化してしまうのだという。
「これを察知できたのは、ルイーゼさんの情報提供のお陰です。危険な存在ではありますが、今ならば被害が出る前に対処をすることも出来ますから──」
「ならば、行かなければならないな」
 ルイーゼが言うと、イマジネイターは頷き──ぜひ力を貸してください、と皆へ述べた。
 ダモクレスとなったオルゴールは、野原から市街を目指そうとする。
「皆さんはそこへ駆けつけ、戦闘に入ってください」
「周りに、人通りはないのだな」
「はい。少々雪が降っている程度で足場も悪くはないので、戦いに集中できる環境と言えるでしょう」
 視線を向けるルイーゼに、イマジネイターは応えて言った。
 ルイーゼは頷いて、ふと呟く。
「オルゴール……捨てられて、いたのだろうか」
「それは分かりません。落としものか、捨て置かれてしまったのか……それでも、誰かに望まれて音を奏でていた時もあったはずですから」
 そんな機械に悲劇を生ませないためにも……皆さんの健闘を祈っていますと、イマジネイターは静かに言葉を結んだ。


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)
櫟・千梨(踊る狛鼠・e23597)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
ルイーゼ・トマス(迷い鬼・e58503)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)
ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)

■リプレイ

●白い夜
 純白が月の彩を抱き、仄かな金色に輝く。
 野原を覆ったその煌めきは、歩むと足元で柔らかく融けていって──。
「雪は、つめたいけど、ほわほわ。なんでか、なー」
 伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)は手のひらでもそれを掬いながら、感触を味わうように歩を進めていた。
 見回せばそこは雪の絨毯が無限に広がった世界。その清廉さに、ルイーゼ・トマス(迷い鬼・e58503)は“せんせい”のいる場所を思い出す。
「こちらはあまり積もらないからな」
 少し久しい気分だ、と。呟きながら、しかしそこでふと言葉を止めた。
 それは、ころりころり、と。
 静謐の中に響く音色が聞こえたから。
 櫟・千梨(踊る狛鼠・e23597)は腰に吊るした灯りを前に翳してその正体を照らす。
「元オルゴールのダモクレス、か」
「寒さ故でしょうか、音がよく通りますね」
 ローゼス・シャンパーニュ(赤きモノマキア・e85434)は耳を傾けながら、その姿を見据えていた。
 それは金属的な艶めきを帯びた──魔術師の人形。
 歌う音色は硬質ながらも優しく聞こえるけれど。勇名はそこに、拭いきれぬ敵意もまた感じている。
「……んうー。オルゴール、しってるぞ。うたう機械だ。たたかう機械じゃない、はずなんだけど、なー」
「もう、とっくに変わっちまってるんだ」
 さくりと雪を踏んで、レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)は魔銃をその手に握る。
 あの存在がもう敵でしかないと識っているから。
「奇跡の復活、さぞかし喜びの歌を高らかに歌いてートコだろーが。もう、おしまいさ」
「ええ。魔法を謳う絡繰りもその響きも、淡い雪の中より外へ出すことはできません」
 故に迷いなく。
 ローゼスは蹄を鳴らし、加速。先陣を切り、剛速を以て魔術師へと接近した。
 そのまま周囲を旋回しながら兵装から光源を投下して──。
「雪夜に紛れ込むことは許さぬ。貴様はこの光の中で討ち果たそう!」
 夜陰の全てを照らし出しながらも、同時にさらなる耀きを星剣で描いていた。
「ケンタウロスの星の座よ、我らへの妨げを払いたまえ!」
 円陣となったそこへローゼスが最後に剣を掲げると、眩い光が加護となり仲間を包む。
 魔術師は一瞬遅れて此方に気づいた、が。
 歌を聴かせようとしたその動きが不意に止まる。それは這い寄る影が、魔術師の喉元を抑えているからだった。
「あなたの恐怖は……歌えずまた眠りにつくこと、ですか」
 それは羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)が織り成す『まつろう怪談』。オルゴール自身が抱く恐怖を具現し挙動を阻む。
 魔術師が一瞬惑うと、その間に紺は隣を向いて。
「玲央さん、今のうちに」
「うん、ありがとう」
 藍の瞳に蒼の視線を返すのは、小柳・玲央(剣扇・e26293)。
 剣を抜くと、魔術師の歌より自身のリズムで夜を満たすように、星月の下で剣舞を踊っていた。
 滑らぬようにとヒールが高めの靴は避けている。それでも足先まで艶やかに見えるのは、所作が端麗なため。
 そのうちに星の瞬きまでもが拍に追従し、守護の恵みを仲間へ齎した。
 そこへ勇名も剣を振るって星屑を撒けば──。
「きらきらー。……これで、みんな、星で、ぴかぴか」
「Gut.それじゃー、攻めさせてもらうか」
 頷くレンカは銃口へ膨大な魔力を集束する。刹那、空間が撓むほどの衝撃の奔流を撃ち出し魔術師を穿った。
「次、頼むぜ!」
「……ん、了解した」
 と、声音と共に夜に影が駆ける。
 目を留める事も困難な程の速度で、雪上を駆けゆくオルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)。
 すべらかな雪にも足を取られず、一瞬で魔術師へ肉迫すると一閃。顕現させた光の刃で曲線を描くように斬撃を見舞っていた。
 痛烈な衝撃に後退した魔術師は、それでも歌を返してくる。
 それは冬を描く旋律。千梨は灯りにも似た温かな魔力で皆を護りながらも、その音の透明さに得心する思いだった。
 ルイーゼの調査で見つかった敵。そこに縁を感じるとまでは言わないが、美しい音色の品だったのだろうと想像はしていた。
 それが事実だったと、今確かに判った気がしたから。
 この音を誰かの為に奏でてきたオルゴールが、今は此処に一人。
(「事情は判らんが、そうだな」)
 共に誰かが歌っても良いかも知れないと、ふと思った、その折。
 澄み渡った声が皆の耳朶を撫ぜる。
 見ると微かな冬風に白雪の髪を揺らせて、ルイーゼが歌を歌っていた。
『──』
 髪に留めた十字架のデバイスを左手で触れながら、紡ぐ声音は六花の結晶のように澄明で。残響までもが美しく、仲間の苦しみを払っていく。
 皆の体力が保たれれば、玲央は魔術師が歌を再開する前に。
「次はこちらの舞台だよ」
 とん、と、次のパートへ移る合図をするように跳躍。月明かりを背に、淡い逆光と共に降下して鮮烈な蹴撃を加える。
 魔術師が前方へ傾いだ隙を、逃さないのがオルティア。薄紅の花を咲かす植物を鞭の如く撓らせると、魔術師を捕らえて地へと衝突させていった。

●旋律
 少しだけ強くなった雪に、音がしんしんとエコーする。
 ゆっくりと起き上がった魔術師は、躰に破損を残しながらも歌を奏で続けていた。その音色だけは、やはり魅力的で。
「オルゴールって素敵ですよね」
 紺はふと呟く。
「聴き慣れていると思っていたはずの音色でも、不思議と心を癒してくれて……」
「……ん」
 と、オルティアは小さく目を伏せて頷きに代える。
(「人形が巡る、オルゴール……」)
 それが誰かを、何かを破壊するかもしれないことが、どこか哀しく思えて。
 表情の見えぬの人形を、玲央も見つめて声を零した。
「人の愛を知っていたなら、そのまま定命化を……なんてことあったのかもね」
 愛以外も知ってしまったから、ダモクレス化を受け入れてしまったのかも知れない、と。
 このオルゴールが如何な道を辿ってきたかは判らない。それでも破壊の衝動に向かう理由を思わないではいられなかった。
 ただ、あの人形の心が如何なものであったとしても。
「人に聞かせるための、見せるための、音楽で。人を殺めてしまうの、では。在り方から、もう……歪んでしまう」
 オルティアは呟き一歩前へいでる。
 だからこそ此処で止めてあげよう、と。
 その言葉に紺も頷いた。
「ええ。誰かに喜ばれる存在のままで終わらせてあげるのが……その音に癒やされた、私からの感謝の印ですから」
 真っ直ぐに人形へ銃把を向けて、行うのは走り出している玲央を支えること。
 音を奏でる存在へは、玲央はきっと自分以上に思い入れが強い。だからせめて彼女が最高の剣舞で戦場を舞えるように、と。
(「音色も玲央さんの舞台も、できれば戦いなしに楽しみたかったですけれど」)
 今はただ、出来ることを。瞬間、一直線に光を閃かせて人形の足元を挫く。
 言わずもがな、その心遣いを感じた玲央は、生まれた隙を逃さぬように。魔術師の手を引くように体を寄せて鋭い打突を加えた。
 後退する魔術師へ、オルティアは既に疾駆。眼前へ迫ると軸足から回転し、強烈な蹄を叩き込む。
 破砕音と共に人形の肩口が砕けた。
 それでもころりころりと金属の音色が止まないのを聴いて、ルイーゼは小さく呟く。
「あくまで、謳いたいのだな。気持ちはわかるよ。痛いほどに」
 ルイーゼにとって自身の歌は『大切な人』を守るための祈りだ。守れるなら、自分が傷ついても構わない。生死だってどうでもいい。
 故にこそ謳えない己に意味はなく、謳を止めるわけにはいかないのだ。
 自分と人形はそこが、似ている。
「でもお前の歌はもう人間に聴かせられない」
 だからここまでだ、と。
 ルイーゼはハーモニーを響かせながら、メロディラインを自身の歌へ引き取ってしまう。
 敵の音色に合わせて、戯れに歌を口ずさんでいた千梨は──自身の音痴さとルイーゼの声を聴いて、柔い息を吐く。
「……やはりルイーゼの歌が良い」
 清らかな響きは、邪を打ち消して自身を護る感覚もあるから、それも一層頼もしく。
 その心地にありがたく甘えながら、千梨は『絡繰レ無』。御業で紡いだ糸を巡らせて、魔術師の体を敵自身が知らぬ内に絡め取っていた。
 生まれた間隙に、レンカは軽く手を払って地に魔力を這わせている。
 陽炎の如きそれが足元を浚うと、魔術師はいつの間にか灼けた靴を履いていた。
「気をつけな。ちょっとばかり、熱いぜ」
 直後、業火に見舞われたが如き灼熱が人形を襲う。
 『純白なる魔性の姫君』──その魔術に囚われた躰は、望まざるとも懊悩のステップを踏む宿命を負った。
 魔術師は全てを雪に閉ざそうと、結晶舞い散る歌を歌う。
 けれど吹き荒ぶ白色を、奔ったローゼスが身を以て受け止めてみせると、すぐ後には勇名が眩い光をその手に輝かせていた。
「いっぱいなおす、ぼくのしごと。ほわんほわん」
 陽光の如き煌めきを湛えたそれは、温かな温度を揺蕩わせて。
 勇名が言葉と共にふわりと放つと、光はローゼスに溶け込んで同化。優しい心地と共に傷を癒やしきっていた。
「んう、これで、へーき」
「迅速な治療、かたじけなく」
 真摯に声音を返したローゼスは、既に反撃に駆け始めている。
 魔術師は間合いを取ろうと下がるけれど──。
「雪の上とて逃れられぬぞ! 我が槍の冴えを見よ!」
 直線上を加速して、雪に足を取られぬまま接近。
 相手が横に逸れようとする動きにすら、蹄鉄のスパイクと兵装のピックを地に刺して対応して。素早く回転し、槍の一撃で躰を貫いた。

●静謐
 音の大小がばらつき、音階が乱れゆく。
 オルゴールだった魔術師は、歌を全う出来なくなりつつあった。
 近づく死に、抗うように音を鳴らす人形を、レンカは暫し見つめていたけれど──それでもすぐに言葉をかける。
「幕引きは、最後まで丁重に手伝ってやるよ」
 仮にも魔法を扱う者の形をしているのなら、同志として。
 だから安心しな、と。言いながらゆっくりと歩み寄っていた。
 魔術師はそれでも歪んだ歌を歌おうとする、が。
 千梨が絹で編まれた小鳥へそっと術力を与えると、吹き抜ける風から槍騎兵が顕現。魔術師へ慈悲無き刺突を打って怯ませた。
「ルイーゼ」
「ああ」
 応えた少女は細腕をのばし、花のパズルを翳す。
 そこから生まれた花弁状の白雷は、咲き乱れるように散っては弾け、人形に自由を与えない。
 次いで、二人に息を合わせるように砲身を向けるのが勇名だった。
「ずどーん」
 ぽつりと、仄かに間延びした声で繰り出されるのは小型ミサイル。『ポッピングボンバー』──煙を棚引かせて人形の足元に着弾すると烈しく炸裂。色鮮やかな火花が踊ってその動きを縫い止めていく。
 その好機に、紺は刃を奔らせて傷を刻みながら、素早く玲央へ射線を譲った。
 それは玲央に狙いがあると把握したから。
「ありがとう」
 短く返した玲央は、自己の内で稼働するセキュリティソフトのデータをもとにマルウェアを生成。炎弾と共に撃ち込んだ。
 そうしてシステム的な弱体化をした上で、自身のコードも流し込み接続を試みる。
 それはダモクレス勢力の活発化を危惧しての情報収集。何か少しでも、得られるものがあればと考えてのことだったが──。
(「判ることは多くない、みたいだね」)
 見えたのは幾つかの断片的な風景。或いは、嘗ての人形が見たであろう景色。
 人形自身は過去を思うでもなく、ただ歌だけを歌おうとする──が、ローゼスがそれを許さない。
「胸部装甲展開、照準合わせ……放て!!」
 声と共に顕にした砲身に光を集束し発射。眩い程の熱量で魔術師を吹き飛ばした。
 音の欠片が小さく響く。そこへオルティアは『蹂躙戦技:穿群蛮馬』──風を巻き起こす魔術で至近に迫っていた。
(「オルゴール──綺麗な音色に、巡る人形……とても、良いもの」)
 人と共に在れなくなっても、その良さは変わらない。
 実際に見て、聞いて、自分にはそう思えた。
「だからこそ、あなたの歌は、今日ここで、お終い」
 誰かを傷付ける、その前に──善いもののままで、と。
 繰り出す斬撃が魔術師の命を絶っていく。
 同時、跳んだレンカが輝く刃を振り上げていた。
「Gute Nacht.──おやすみ」
 着地と同時に振り下ろす斬閃が葬送の一撃。深々と切り裂かれた魔術師の人形は、ゆっくりと倒れてそのまま動かなくなった。

 雪だけがはらはらと降る、静謐の時間が帰ってくる。
 夜空は僅かにだけ月明かりの角度を変えて、未だに冷い空気を漂わす。暖かな服装の前を合わせ、白い吐息と共に千梨は振り返った。
「終わったな」
「ああ」
 ルイーゼは少しだけ、倒れた人形を見つめている。
 躰の殆どが破損したそれは、金属と樹脂の亡骸だ。
 ローゼスはヒールをして最大限形を修復し、ネジを巻く。するとほんの少しだけ、あの歌と変わらぬ美しい旋律が流れた。
 おそらく本来の音色──けれどそれも段々と静まって、二度と鳴ることはなかった。
「もう修復は、出来ないですね」
「完全に壊れちまったんだな」
 レンカは見下ろして呟く。
 こういう時、レンカは本来心を大きく動かさない。
 けれど懐古趣味なところもあって、オルゴールのようにアンティークなアイテムは好きだ。それに自分の好みの物でもあったから……瞳は少しだけ、寂しそうでもあった。
「……みんな、怪我は、ない、かなー」
 勇名は疲労で眠気を覚えながら、それでもそれぞれの無事を確認する。
 皆と共に頷きを返す紺は、周囲を見回していた。
「では、少しだけ、直せるところを直しましょうか」
 景観に崩れた所は殆どない。けれど地面だけは多少荒れていて、それが戦いが決して楽なものではなかったことを示してもいた。
「手伝うよ」
 玲央が手を貸すと、紺は礼を言ってヒールを始める。皆も作業に加わり、一帯を美しい景色へと保っていった。
 視界が雪色だけになると、オルティアは静謐の中で空を仰ぐ。
(「なんだかとても、静か」)
 音も眠ってしまったような夜だと感じられて。
「だから余計に、さっきの歌が……響いた、のかな」
 あたたかな空気というわけじゃないけれど。これはこれで嫌いではない、と。ゆっくりと歩を進めていった。
「……雪、か」
 レンカも歩き始めながら、見上げる。
 頬に触れる冷たさに、その純な白色に。
「もう見飽きたもんだと思ってたけど。何だか懐かしー気持ちになってくるもんだぜ。こっちでは割と珍しーからかな」
 それともノスタルジックな歌を聴いちまったからかな、と。
 視線を下ろし、雪を踏んで進みながら暫し、その音色を心に反芻していた。
 全ての音が鳴り止んだ、雪宵のしじま。
 ルイーゼは一度だけ、戦場だったそこへ振り返ってから──また静かに歩み出していった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。