ゴスロリメイド服の女の子こそ至高！

■リプレイ

●廃墟と化した洋館前
「どうやら、この場所のようでございますね」
　テレサ・コール（黒白の双輪・e04242）は、仲間達と共にビルシャナが確認された洋館にやってきた。
　ビルシャナはゴスロリメイド服こそ至高であると訴え、洗脳した女性信者達にゴスロリメイド服を着せ、自らの欲望を満たしているようだ。
　そのため、洋館自体もゴスロリメイドをモチーフにしており、黒を基調としたデザインが印象的であった。
「まさか、わたくしが危惧していた教義を広めるビルシャナが本当にいたとは……。これは必ずしも、対抗してあげないといけませんね」
　ルピナス・ミラ（黒星と闇花・e07184）が色々な意味で危機感を覚え、拳をギュッと握り締めた。
　ビルシャナの洗脳によって、女性信者達の数が少しずつ増えているため、このまま放って置く訳にはいかなかった。
「ビルシャナも色んな教義を唱えていて、本当に迷惑だね」
　エステル・シェリル（幼き歌姫・e51474）が、呆れた様子で溜息を漏らした。
　それでも、今回は同行者の中に知り合いが多いため、いつもと比べて心強かった。
「……ゴスロリメイド服かぁ。ボクもゴスロリメイド服には興味あるけど、ボクには似合わないかな？」
　香月・渚（群青聖女・e35380）が不思議そうに首を傾げ、ゴスロリメイド服を着た自分の姿を思い浮かべた。
　想像してみると、意外に悪くない。
　例え、無理やり着せられたとしても、これならば動揺する事もないだろう。
「ボクはRカップだから、ゴスロリは似合わないかな……」
　それとは対照的に、峰谷・恵（暴力的発育淫魔少女・e04366）が、ゲンナリとした表情を浮かべた。
　そんな状況でゴスロリメイド服を着ても、お互いにションボリ。
　……誰も幸せになる事が出来ない流れである。
「……役得だねぇ、こいつぁ役得だぜ」
　そんな中、柄倉・清春（大菩薩峠・e85251）が、幸せそうな表情を浮かべた。
　おそらく、これも日頃の行いがいいため、運命の女神が御褒美をくれたのだろう。
　気のせいか、背後で死亡フラグの女神達が、荒々しく息を吐きながら、順番待ちをしているような錯覚を覚えたものの、とりあえず気づかないフリをして、やり過ごす事にしたようだ。
「……とは言え、何故ゴスロリメイド服、というものだけなのかのぅ。他のメイド服でもいいと思うのじゃが……。メイドの仕事する服じゃし、着る者がいいと思ったものが一番じゃろう？」
　ミミ・フリージア（たたかうひめさま・e34679）が、自分なりの考えを述べた。
　それだけ、ビルシャナ達はゴスロリメイド服が好きなのかも知れないが、他の服を排除するような流れになっているため、無視する訳にも行かなかった。
「確かに、ゴスロリメイドって、フリフリしてて可愛いと思うけど、他の服も素敵だって事を教えてあげなきゃね」
　そう言って日下・魅麗（ワイルドウルフ・e47988）が仲間達を連れて、施設の中に入っていった。

●施設内
「いいか、お前ら！　ゴスロリメイド服こそ至高！　つまり、お前ら、最高！　お前らこそ、世界の中心だ！」
　施設の中ではビルシャナが女性信者達を集め、自らの教義を語っている最中だった。
　女性信者達は洗脳状態に陥っており、ゴスロリメイド服を着たまま、ビルシャナの言葉に耳を傾けていた。
「ゴスロリメイド服だけが至高と言うのは、大袈裟ではないかぅ？　今時どれか一つしか選べぬというのも不便じゃろ？　違うメイド服が似合う者、好きな者も、また至高だと思うのじゃが……」
　ミミがビルシャナ達の前に立ち、腑に落ちない様子で問いかけた。
「いや、違う！　絶対に違う！　何故なら、ゴスロリメイドに勝るモノなし！　それ以外は紛いモノ！　つまりゴミ！　ゴミ以下だ！」
　その途端、ビルシャナが烈火の如く怒り狂い、ケモノの如く吠えまくった。
「それは言いすぎだと思うけど……。そもそも、メイドの本質は、ご主人様に仕える気持ち……、それが一番大切なんだよ？　奉仕の気持ちがあれば、どんなメイド服でも関係ないと思うけど……。むしろ、一つの種類のメイド服に拘ってしまうと、大事な奉仕の気持ちの方が疎かにならないかな？」
　それでもエステルは怯む事なく、ビルシャナ達にメイドの本質を再確認させた。
「それこそ、大きな間違いだ！　何故ならゴスロリメイド服こそ世界の中心！　すべての基本になるものだ！」
　ビルシャナが興奮した様子で、自分の正当性を訴えた。
　どうやらビルシャナは頭のネジが何本か吹っ飛んでいるらしく、自分の間違いを決して認めようとしなかった。
「何か勘違いをしているようだけど、メイドの基本と言えば、古くから存在するヴィクトリアンメイドだから！　ゴスロリメイドみたいな可愛さよりも、上品な清楚さが溢れるヴィクトリアンこそ、本当のメイド服の根本となるものだと思うんだよねー！　沢山用意して来たから、皆も着てみてね！」
　そのドサクサに紛れて、魅麗が女性信者達の服を、するりと脱がそうとした。
「……って、待て、待て、待てえええええええええええええ！　これを脱がしたら、駄目だ！　絶対に……駄目だ！」
　その事に危機感を覚えたビルシャナが、傍にいた女性信者達を抱き寄せた。
　しかし、女性信者達は、キョトン。
　いまいち状況が飲み込めていないのか、ハテナマークでいっぱいになっていた。
「別に他の服で着飾っても良いじゃろう？　どうせ着るなら、外出する時にも着れるものの方がいいと思うのじゃが……。わらわじゃったら、ドレスを着るかのぅ……。それに、いろいろな服で着飾るのは女の子の特権じゃ。わらわは好きな服を着て楽しめればそれが一番じゃと思うのじゃ。こうやってたくさんの服の中からわらわに一番似合う服をみつけた時は嬉しくてのぅ。いっぱい服も持ってきたし、好きなだけ着てみるといいのじゃ」
　その間に、ミミが無防備な女性信者達に駆け寄り、何事もなかった様子で服を脱がせようとした。
「だから、駄目だ！　頼むから、止めてくれ！」
　ビルシャナが慌てた様子で、女性信者に飛びついた。
「それなら和風メイドは如何でしょうか？　和服の奥ゆかしい感じと、メイドの献身的な感じを併せ持った、とても素晴らしいメイド服です。さぁ、皆さんも和服メイドを着て、その素晴らしさを実感して下さい！」
　その後ろでルピナスが女性信者達を集め、和服メイドを着せようとした。
「だから、そこ！　ゴスロリメイド服を脱がすなァ！」
　ビルシャナがイラついた様子で振り向き、超強力なビームを放ってきた。
「……と言うか、９歳でMカップ、ロリータに興味持った頃には手遅れだったボクはどうなるのさ！　下手にスタイル良かったり、顔立ち大人びてる人はゴスロリに限らず、ロリータファッションが似合わないんだよ！　それよりも、自分の持ち味を活かす格好して、自分の嗜好に合う相手探すのが大事でしょ！　なんで、それが分からないの！」
　それに気づいた恵がケルベロスコートを脱ぎ捨て、フリル付き黒ビキニの水着メイド姿になると、素早い身のこなしでビームを避け、ビルシャナをブン殴った。
「こ、こ、殺す気かああああああああああああああああ！」
　その一撃を喰らったビルシャナが両目をカッと見開き、涙目になって吠えた。
「んじゃ、ヌギヌギしよーじゃん？」
　その隙をつくようにして、清春が女性信者達にイケない事をするため、両手をワシャワシャさせた。
「あ、あの……でも、ビルシャナ様が……その……」
　眼鏡を掛けた女性信者が、あたふたとした様子で、ビルシャナと清春を交互に見た。
「いやよ、いやよも好きのうちーってねぇ！」
　清春がニンマリとした笑みを浮かべ、眼鏡を掛けた女性信者にダイブした。
「だから、駄目だって……言っているだろうがあああああああああああああああ！」
　それを迎え撃つようにして、ビルシャナが清春の顔面をブン殴った。
　次の瞬間、清春が豪快にぶっ飛び、大量の鼻血で虹を作った。
　それはキラキラと輝いており、清春の笑顔が薄っすらと浮かんでいた。
「ちょっと強引になっちゃうけど、それっ！」
　その間に魅麗が女性信者達に迫り、勢いよくゴスロリメイド服を脱がせていった。
　それと同時に、女性信者達の洗脳が解け、次々と悲鳴が響いていった。
「ねぇ、見て！　中華風の服装をメイド服に改造したチャイナメイド、それこそメイドの鑑では無いかな？　チャイナ服のセクシーさと、メイド服の可愛さを兼ね備えた存在……、それこそ至高だと思わない？」
　それに合わせて、渚が女性信者達にチャイナメイド服を見せ、満足した様子でビルシャナに見せた。
　魅麗もヴィクトリアンメイド服を女性信者達に着せ、何処か誇らしげに胸を張った。
「確かに、悪くありませんね」
　テレサも和風メイド服に着替え、ビルシャナの前で、クルリと回った。
「いや、だから……駄目なんだって！　ゴスロリメイド服こそ至高だァァァァァァァァァァァァ！」
　ビルシャナが両目を血走らせ、テレサにジリジリと迫っていった。
「ならば……これで問題ありませんね」
　テレサがゴスロリメイド服に着替え、ビルシャナ達の前に立った。
「まあ、それなら、問題は……いや、ある！　大ありだ！　いつの間にか、俺の信者が違うメイド服を着ているじゃねぇか！」
　ビルシャナがツッコミの鬼と化し、女性信者達をビシィビシィと指差した。
「やれやれ、ここまで頭が固いとは……。ならば、御仕置きじゃな」
　そう言ってミミがキリリとした表情を浮かべ、ビルシャナに攻撃を仕掛けていった。

●ビルシャナ
「ぐぬぬ！　お前達さえいなければ、こんな事にはならなかったのに！」
　ビルシャナがギチギチと歯を鳴らし、再び強力なビームを放ってきた。
「この状況で、八つ当たり！？　本当にビルシャナって頭が悪いね！」
　その攻撃に気づいた恵が寸前でビームを避け、クイックドロウで反撃した。
「だったら、どうする！　納得が出来ないのなら、俺を止めてみろ！」
　ビルシャナが再びビームを放つため、全身の筋肉を隆起させた。
　その間、女性信者達は、オロオロ、あたふた。
　どうしていいのか分からず、身体を強張らせているようだ。
「皆さんの安全は保証します。……ですから、後ろに下がっていてください」
　そんな空気を察したテレサが、ライドキャリバーのテレーゼと連携を取って、女性信者達を守るための壁になった。
「さぁ、行くよ、ドラちゃん。サポートは任せたからね！」
　その事を確認した後、渚が躍動の歌（ヤクドウノウタ）を使い、生き生きと元気よく歌う事で仲間達を元気づけた。
　それに合わせて、ボクスドラゴンのドラちゃんが、仲間達を守るようにして陣取った。
「クククククッ、無駄だ！　お前ら、全部……消し炭だ！」
　ビルシャナがニヤリと笑い、強力なビームを放とうとした。
「このナイフをご覧なさい、貴方のトラウマを想起させてあげますよ！」
　次の瞬間、ルピナスが惨劇の鏡像を仕掛け、ビルシャナのトラウマを具現化させた。
「さて、貴方のトラウマはどんな感じなのかなー？」
　エステルも惨劇の鏡像を発動させ、同じようにビルシャナのトラウマを具現化させた。
　具現化されたトラウマは、サディスティックな女性達。
　ビルシャナと、どういった関係があるのか分からないが、口汚く罵りながら、彼のハートを砕いていた。
「う、うわあああああああああああああああ！」
　それを目の当たりにしたビルシャナが恐怖でパニックに陥り、ビームを放つ事も忘れて悲鳴を上げた。
「エクトプラズムよ、敵の動きを止めちゃってね！」
　その隙をつくようにして、魅麗がプラズムキャノンを仕掛け、圧縮したエクトプラズムで大きな霊弾を作って、ビルシャナの身体を吹っ飛ばした。
「身勝手な教義は、ここまでだよ！」
　それと同時に渚がグラインドファイアを放ち、ビルシャナの身体を炎に包んだ。
「ぐぎゃああああああああ、身体が燃えるぅぅぅぅぅぅぅぅううう！」
　その熱さでビルシャナがパニックに陥り、逃げるようにして走り回った。
「重い拳を、受けてみろー！」
　その行く手を幅ようにして、魅麗がビルシャナの懐に潜り込み、近距離から獣撃拳を叩き込んだ。
「これで終わりじゃ」
　次の瞬間、ミミが破鎧衝を仕掛け、高速演算で敵の構造的弱点を見抜くと、痛烈な一撃でビルシャナの心臓を完全に停止させた。
「それにしても、本当にメイド服って色々な種類があるのですね」
　そんな中、ルピナスがメイド服を手に取り、しみじみとした表情を浮かべた。
「わらわもメイド服を着てみるかのぅ」
　ミミも興味津々な様子で、メイド服を選び始めた。
「それじゃ、俺が着替えを手伝っ……うご！」
　そう言って清春がニンマリ顔で女性信者達に迫り、仲間達に背後から殴られ、ボコボコにされるのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年1月26日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 4
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