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神奈川県鎌倉市。
冬のとある1日、忙しない雑踏の中、突如として地面が輝く。
せり上がるようにして地面から姿を現したのは、大仏を思わせるダモクレス。
グオオオオオォォォ……!
その表情はまるで仁王の如く。
叫ぶ声は怒気をはらみ、全てを破壊せんと後光を煌めかせる。
「うわあああああっ!!」
「逃げろ、殺されるぞ!!」
近辺にいた人々が逃げようとしても、大仏ロボは地響きを起こして逃げる人々の足を鈍らせる。
グオオオオオォォォ……!
怯んだ人々目がけ、ダモクレスは全身から展開したポッドよりミサイルを乱発していく。
グラビティ・チェインの枯渇を感じたらしい大仏ロボはこの場で収集に当たり、さらに大量の人の命を奪うべくグラビティを行使していくのである。
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巨大ロボ型ダモクレスの出現を受け、ヘリポートへと集まるケルベロス達へとリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が一礼する。
「来てくれてありがとう。……早速だけれど」
挨拶をそこそこに、彼女は依頼の話を始める……のだが、その前に。
「超巨大仏像ロボが出たのデスネ?」
今回の1件の予知に当たっては、スノードロップ・シングージ(抜けば魂散る絶死の魔刃・e23453)の予見が大いに役立っている。
リーゼリットは頷いてから、改めて口を開く。
鎌倉の街に出現した巨大ダモクレスはグラビティ・チェインが枯渇しており、戦闘力が大きく低下している。
その為、この大仏ロボは人々の集まる場所へと移動し、人々の命を奪ってグラビティ・チェインを補給しようとするようだ。
「この場合、人の集まる場所……鎌倉駅だね」
力を取り戻した大仏ロボは、体内に格納したダモクレス工場でロボ型やアンドロイド型のダモクレスの量産を開始してしまう。
放置していれば、大きな被害が出ることは必至。是が非でも止めたいところだ。
「ただ、出現してから少しすると、一度ダモクレス勢力が回収に動くようだよ」
出現から7分後、上空に魔空回廊が開いて大仏ロボは撤退する。
そうなれば、撃破が不可能となってしまうので、短期決戦に臨んで確実に討伐してしまいたい。
「改めて、今回討伐すべきは、大仏ロボの情報だけれど……」
全長7mあるこの巨大ダモクレスはクラッシャーとして立ち回り、コアブラスター、マルチプルミサイルに加え、破壊の光を発したり、地響きを起こしたりしてくる。
グラビティ・チェインの枯渇もあって全体的な性能や攻撃力は低下しているので、うまく立ち回れば問題なく倒せる相手のはずだ。
「ただ、フルパワーの一撃だけは注意が必要だよ」
戦闘中1度だけ使う強力な一撃は、ダメージを与えた相手だけではなく、大仏ロボ自身にも大きな反動ダメージを与えるらしい。
続いて現場だが、ダモクレスの出現の予知を受けて避難勧告が出される。
破壊された街はヒールで修復できる為、ある程度の街の破壊はやむなしと判断して、ダモクレスを確実に討伐したい。
「民家も多い場所だね。建物の屋根を使えば、効果的に戦えると思う」
たった7分の間の戦いだ。考えられる最大の力を持って、ダモクレスと対したい。
そこで説明を区切ったリーゼリットは事前に用意していたのか、スマートフォンで鎌倉の街についてケルベロス達に示す。
とりわけ、最近定命化したばかりのアイスエルフ、タイタニア、セントールに配慮してのことだろう。
「鎌倉というのは、日本においても歴史ある街なんだよ」
事後、ヒール作業などを追えた後なら、観光地巡りをしてみるのもいい。
鎌倉と言えば大仏と連想する者も少なくないだろうから、直に見に行っているといいだろう。
「以上だね。それでは、巨大ダモクレスの討伐、よろしく頼んだよ」
この1件をケルベロスへと託し、リーゼリットはヘリオンの離陸準備に動き始めるのだった。
参加者 | |
---|---|
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889) |
武田・克己(雷凰・e02613) |
ソフィア・エルダナーダ(災厄の狂奔・e03146) |
ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339) |
神宮寺・結里花(雨冠乃巫女・e07405) |
タキオン・リンデンバウム(知識の探究者・e18641) |
スノードロップ・シングージ(抜けば魂散る絶死の魔刃・e23453) |
浜本・英世(ドクター風・e34862) |
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神奈川県鎌倉市。
ケルベロス一行が降り立ってすぐ、この地の地面が光り輝き出す。
「な、なんだ……!」
「逃げろおおお!!」
地面からせり上がってきた巨大な影に、この地の人々は驚き、戸惑い、慌てて逃げ始める。
グオオオオオォォォ……!
声を上げ、怒り猛る声を上げるは巨大なダモクレス、なのだが……。
「あの顔は金剛力士像かな? いや、それっぽくしただけなのだろうとは思うけれど」
肩までかかる銀髪眼鏡のレプリカント男性、浜本・英世(ドクター風・e34862)は敵のデザインを注視する。
「ダモクレスの美的センスって、一体……」
ウェーブのかかった赤髪の女性ドラゴニアン、ソフィア・エルダナーダ(災厄の狂奔・e03146)もダモクレスの姿に些か呆れ顔だ。
「ロボとか外装具の浪漫は、まあ分かる。分かるけど、はた迷惑が過ぎるのよねー」
現れたのは、仁王の如き形相をした仏像型のロボットだった。
「仏像ロボ……罰当たりな、とでも言えばいいのだろうか」
鉱石の如き色の鱗を持つドイツ出身のドラゴニアン、ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)はクリスチャンであるが、仏という存在が神と同様に人を救う存在なのだろうと推察していた。
「やれやれ。大仏型のダモクレスか」
イギリス人とのハーフである長身の男性、武田・克己(雷凰・e02613)は一つ嘆息して。
「ダモクレスだってのに、大仏ってのはちとおふざけが過ぎるんじゃねぇか?」
克己が呼びかけるも、ダモクレスはミサイルを放ってこちらを牽制してくる。
「ミサイル撃ってくる大仏とか、どういうギャグだよ」
ジャブ程度の一撃で本格的なものではなさそうだったが、灰色の髪を逆立たせたやや強面の青年、相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)が眼光鋭く、敵へと視線を向けていた。
「ありがたい存在の筈なのですけど、破壊を繰り返すだけのダモクレスが大仏の姿を借りるなど、罰当たりですね」
攻撃を仕掛けてきた大仏に、緑の長髪に眼鏡をかけたレプリカント、タキオン・リンデンバウム(知識の探究者・e18641)もまた、地球の人々の信仰心を弄ぶかのようなダモクレスの思考に冷ややかな反応を示す。
随分と罰当たりなダモクレスに対し、神宮寺・結里花(雨冠乃巫女・e07405)は巨大な木槌「白蛇の咢」を手にして。
「まあ、どんなデザインであれ、デウスエクスならばぶち壊すしかないんすけど……」
「あのフォルム……。一回叩き斬ってみたかったデス」
結里花をオネエサマと呼ぶ金髪に自身と同じ名前の花を咲かせたスノードロップ・シングージ(抜けば魂散る絶死の魔刃・e23453)が嬉しそうにはしゃいで魔刀に手をかける。
「今日は斬り放題デスネー。ヒャッハー!」
なんでも、スノードロップは結里花の本家にある像はダメだと言われて、斬るのを諦めたという過去があるらしい。
「成程……一度ぶった斬ってみたかった……。はぁ……」
「うん? オネエサマ、何でそんな渋い顔しているデス?」
嬉々とする義妹、スノーことスノードロップの姿に結里花は溜息をついて。
「お前、神宮寺は神社かつ寺の一族なのですよ。仏様も信仰しているの。分かりますか?」
「ンー……堅苦しい話はなしネー。アーハイハイ、ちゃんと聞いてるデスヨ―。大丈夫デスヨ-、オネエサマ」
話半分のスノードロップに、結里花は首を振る。
とはいえ、今はあの不敬な大仏ロボを破壊するのが先。
「……ま、輪廻もねえように、きちっとぶっ壊してやるから安心しな」
そう相手に言い放った竜人を始めとした仲間達がすでに応戦態勢に入っていることもあり、スノードロップも駆け出す。
「一緒に遊びマショ、オネエサマ。ロボ倒すのは早い者勝ネー」
今回はスノードロップの態度に目を瞑ることにした結里花だったが。
「貴女はもう少し真面目になりなさい。分かりますね、スノー」
なおも言い聞かせようとしたその言葉は、スノードロップは聞こえていないようだった。
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グオオオオオォォォ……!
すでに、巨大ダモクレス……大仏ロボは暴れ始めているが、7分経つと魔空回廊が開いて回収され、撤退してしまうという。
タキオンが腕時計のタイマーを残り1分のタイミングで鳴るようセットしている間に、大仏ロボは輝く後光を放ってくる。
破壊の光から仲間を護るべく、髑髏の仮面で顔を隠した竜人やソフィアらが率先してその光を受け止めた。
「大体よぉ。仏様が殺してたら、仕方ねえだろうが」
明らかに相手が気にくわないといった口調の竜人の横から、メンバー達が攻撃を仕掛ける。
7分で仕留める為、一行は攻撃重視の布陣を編成して短期決戦を目指す。
敵の後光を日本刀「直刀・覇龍」の刀身を鏡として防ぎに当たっていた克己だったが、完全には防げず衝撃を受けてしまう。
「大仏だってんなら、もう少し有難みのある顔をしてほしいもんだね」
克己は正面から飛び出し、雷の闘気を纏わせた覇龍の刃で鋭い突きを繰り出す。
痺れを与えて動きを止めたいところだが、僅かでは効果を見込めないこともあり、克己はその痺れを大きくすべく刃をさらに振るっていく。
「紛い物には迅速に、浄土にご退場願わねばなるまい」
大仏ロボの後光を前線で凌いだビーツーと箱竜ボクスはアイコンタクトで意思疎通し、攻撃に出る。
ビーツーが足元へと、熱量として高めたグラビティを撃ち込んで。
「……足元注意だな」
大仏ロボ出現時に散らばった瓦礫へと、彼は炎を纏わせる形で巻き上げる。
さらに、箱竜ボクスが自らの火山属性の力を高め、白橙色のブレスを吐きかけることで、ビーツーと共にダモクレスを強く足止めする。
まさに、主従のコンビネーションと言えた。
そんな前線で戦うメンバーの回復支援として立ち回るタキオン。
彼はライトニングロッドから電気ショックを飛ばし、チームの火力となる克己の力を高めていた。
「慈悲など持ち合わせぬ紛い物……時間もない事だし、遠慮なく潰させて貰おう」
英世は仲間達とは違った方向でダモクレスを攻めることにしており、阻害役として程よい距離からバスターライフルを構え、凍結光線を発射していく。
装甲が凍れば、その分ダメージが入りやすくなる。
「デハ、アタシの魔剣で鉄くずに変えてアゲマショウ」
スノードロップは嬉しそうに大仏ロボへと飛びかかって。
「とっておきを見せちゃるデース!! わが声に従い現れヨ!! 抜けば魂ちる鮮血の刃!! ダインスレイブ!!」
最初から全力全開で魔刀を抜く……と思いきや、彼女は鹵獲魔術によって紅の魔刃を出現させ、渾身の力で巨大な相手へと切りかかっていく。
そこ目がけ、結里花が木槌を大砲として構えて。
「さて、足を止めさせていただきます」
ダモクレスの右足へと直接轟竜砲を叩き込み、動きを止めていく。
「ビルシャナも大概だが、あえてそのカッコしてるテメエのその度胸は買ってやるがな」
お釈迦様に怒られそうなビジュアルの敵が気にくわない竜人は先程の反撃にと、砲撃形態とした竜鎚「竜鳴」の方向をダモクレスへと向けて。
「よし殺す」
爆音と共に飛ばした砲弾を仏像ロボの左足に命中させ、歩みを止める。
「おい」
竜人に呼ばれたテレビウムはこくこく頷きつつ、手にした凶器で殴り掛かっていく。
そこに、プリプリと尻尾を振るソフィアが続いて。
「曉天に吼える赤き龍、熾天を背負う白き龍、曇天創る蒼き龍、嵐天轟く黒き竜」
自らの中に眠る竜の力を限定的に解き放つソフィアは、それを掌へと集中させて。
「我が底より湧け猛き牙、ほむらに咲いて……ほむらよ盛れ!」
集まった力は赤き工場となり、咆哮の如き轟音を伴って仏像ロボを攻め立てる。
全力で力を叩き込むケルベロス。
グオオオオオォォォ……!
だが、仏像ロボも非常に頑丈に作られているらしく、堂々とした態度で立ち塞がるのだった。
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過行く時間の中、ケルベロス達は全力で仏像ロボの破壊を目指す。
英世がバスターライフルからエネルギー光線を発して弱体化に当たり、敵の力が弱まったのを感じた英世は再度、凍結光線発射の準備へと移っていた。
「サア、叩き斬れ、血染めの白雪」
力が弱まった敵に、スノードロップが魔刀「血染めの白雪」で呪詛を乗せた斬撃を見舞っていく。
「鎌倉には、可愛い喫茶店や某有名サブレあるし、そこ壊されたくのよね!」
さらに、ソフィアが竜となった爪で仏像ロボを力任せに叩きつけ、早くも相手の巨体を揺らがせていた。
グオオオオオォォォ……!
しかし、敵も踏みとどまり、今度は怒りに任せてか両足をばたつかせ、辺り一帯に地響きを起こす。
ケルベロス達は体勢を立て直しつつも、攻撃の勢いは止めずに。
「その怒りの面、泣きっ面に変えてやるよ」
跳躍して地響きから逃れた克己はグラビティを変え、攻撃を繰り返す。
「木は火を産み、火は土を産み、土は金を産み、金は水を産む!」
大地の気を集約し、克己は「覇龍」で連続して切りかかる。
「護行活殺術! 森羅万象神威!!」
最後に、彼は互いの気を融合させ、敵の巨体を十字に切り裂く。
爆破四散する気を浴びた仏像ロボはなおも倒れる様子を見せぬが確実にその体は傷んできていた。
「ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ。雷の右!!」
右手に因達羅の御業を卸した結里花は、雷属性の魔力撃を渾身の力で放ち、ダモクレスに強い衝撃を与える。
だが、敵はなおも全身のポッドからミサイルを射出してきた。
再び、竜人が自身のテレビウムと守りに動く中、箱竜ボクスに仲間の護りを託したビーツーは仲間の攻撃がほぼ当たると判断し、持ち替えた手斧を光り輝かせて重い斬撃を叩き込む。
「薬液の雨よ、仲間を清めて下さい」
タキオンはミサイルによって痺れる仲間の正常な状態に戻そうと、薬液の雨を降らして癒しをもたらす。
その作業を一通り終えたタキオンだったが、ぞくりと寒気のようなものを感じて。
「フルパワー攻撃……来ます」
グオオオオオォォォ……!
見れば、仏像ロボの胸部が展開し、そこに強力な力が集まる。
結里花へと向けられたその破壊光線。
その前に飛び出したのは、ソフィアだった。
「あ、ああっ……!」
その身が弾けそうになるほどの威力に、ソフィアは崩れ落ちてしまう。
身を挺した彼女の行動を無駄にせぬ為にも、結里花は「白蛇の咢」を叩きつけていく。
退避していた克己は再び敵の前に身を晒す。
仲間をあっさりと倒す威力。克己はその強さに気分が高揚して。
「風雅流千年。神名雷鳳。この名を継いだ者に、敗北は許されてないんだよ」
空の霊力を帯びた覇龍の刃で切りかかる克己は、一気に倒さぬようギリギリの戦いを臨む。
ただ、空に浮かぶ魔空回廊が仏像ロボの回収の為に口を開き、この戦いが長引くことを許さない。
「残り1分です」
腕時計のアラームが鳴り、仲間へと残り時間がないことを告げたタキオンが腕の先を回転させて殴り掛かっていく。
後は、前のめりに攻撃あるのみ。
近隣住民に申し訳なさを感じながらも、翼を羽ばたかせて民家の屋根に上ったビーツーが敵の頭上へと斧を叩きつける。
もう、仏像ロボは全身がボロボロになっており、グラビティ・チェインも残り少ないはずだ。
英世はメス等無数の刃物を出現させて。
「開いてあげよう。元に戻す必要もないだろうからね」
それらの刃物を魔術で操作し、英世は大仏ロボを解体するように傷を抉り、回路を切り裂く。
「ダインスレイブ!!」
さらにスノードロップがダモクレスにとどめをと、紅の魔刃で敵の全身を切り裂いていく。
グ、オオ、オオォォ……。
ついに、膝をつく仏像ロボ。だが、その視線は魔空回廊へと向いている。
「いいから、さっさと死んどけや、なぁッッ!!」
威力を重視し、竜人が選んだのは縦薙ぎに振るうドラゴニアンの尾。
大きくしなった尾は大仏ロボを頭上から叩きつける。
まるで脳震盪でも起こしたかのように、崩れ落ちる大仏ロボ。
紛い物の仏を象ったそれは、見るも無残に崩れ落ちていく。
それを確認したからか、ダモクレス勢力が開いていた魔空回廊も閉じていったのだった。
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仏像ロボを撃破したケルベロス一行。
戦場となった通りを、ビーツーは見回して。
「さすがに、陥没などあっては大変だからな」
彼は箱竜ボクスの属性注入で道路の穴を埋めていき、タキオンと英世が周囲へと薬液の雨を降らせて手早く修繕していく。
一息ついた英世は改めて、往来に観光客の姿も見え始めた鎌倉の街を見回す。
各自、行きたい場所が違うこともあり、一行は現地解散することに。
「それじゃ、観光しつつ土産物でも見て回るとするかな」
英世は鎌倉のメインストリートをのんびりと歩くことにする。
「サブレ! サブレ! 鳩の形のさ! ぶ! れ!!!」
一方で、先程の戦いで戦闘不能にまで陥ったはずのソフィアはテンション高く、土産店を見て回っていた。
周囲の観光客や店員がやや引いていたのを察した彼女は、しゅと縮こまって。
「旦那とー、師団で仲良くしてくれてる人の分とー」
少し大人しくなった彼女はたくさんの人の土産にと、鳩の形をしたサブレを買い込んでいたようである。
そんな騒がしさとは無縁の場所で、喫茶店に入った竜人は暖房の効いた店内で紅茶を頼む。
疲れていたのか、彼はその一杯を口にしている間に居眠りし始めていた。
観光していたビーツー、タキオンは高徳院へと向かい、入場料を払って本尊の鎌倉大仏に近づく。
青空の下に坐する大仏……阿弥陀如来像を見上げるビーツーは、火気厳禁とあってローブを纏わせた箱竜ボクスを腕に抱く形で共に参拝する。
日本の文化に敬意を払うビーツーだが、物珍しそうにあちらこちらを見回していた。
一方、タキオンは悠然と座して見下ろす大仏と視線を合わせて。
「やはり、本物は壮大ですね」
その姿に彼は思わず感嘆し、しばしの間見とれていたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年1月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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