嫉妬に狂い恋人たちを爆破しようとする者たち

作者:塩田多弾砲

「さて、新たな年はどういう年にしたいです?」
「んー、あなたの好きなようにしてほしい♪」
 と、三箇日も過ぎ、仕事始め。
 だが、真百合ヶ丘神社……の分社である、鬼百合ヶ丘神社では、まだまだ初詣の参拝客の数は絶えない。
 ここは本社同様に、女性同士のカップルの縁結びで有名だが、同時に普通の男女のカップル、および年の差カップルにとっても、縁結びできる事でちょっと有名。
 故に、並んでいる黄野奈々子と梅原優華の高校生二人もまた、イチャコラしつつ並んでいた。
 が、二人の番になったその時。
『爆破してやる!』
 と、薄汚い灰色の鳥を思わせる、怪人の姿が。
 その後ろには、種々雑多な人間たちの姿が、怪人に率いられるかのように立っていた。
『いちゃつく者どもの存在は許さん! このような連中に、存在価値などあるか!? 答えよ!』
『『『無し! 無し! 断じて無し!』』』
『然り! 故に、この者どもに対し、慈悲は必要か!?』
『『『無し! 無し! 断じて無し!』』』
『優しさ? 思いやり? 仮にそれらを以て好いた相手に接したところで、相手はこちらに好意を抱くか? 抱くわけがない! 違うか!』
『『『是! 是! そのとおり!』』』
『ならば答えよ! 好意など抱かれぬ我々の目前で、好意を見せつけるこの者どもにふさわしき審判は何か!?』
『『『破壊せよ! 爆破せよ! 抹消せよ!』』』
 と、無駄な暑苦しさと熱気とをまき散らしつつ、怪人および率いられた人々は、
「え? ちょっと!」
「い、いやあああっ!」
 奈々子と優華、その他カップルたちに襲い掛かった。

「去年の……11月くらいだったわね。『姦淫全てを否定』するってビルシャナが、とあるショッピングモールに出現した事件が発生し、ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)さんたちによって解決しました。今度もまた、同じような事件です」
 新年早々、セリカが予見したのは、『カップルの存在を否定』というビルシャナの事件。
 要は『いちゃつく二人組の存在が気に入らん。だから爆破してやる』というもの。
 ただし、その『爆破』は、物理的なそれ。暴力や殺害をもいとわぬ方法で、カップルを攻撃するという、実に身勝手かつ危険なもの。
 それゆえに、この連中をなんとかしなければならない。
 ビルシャナは、ヒクイドリや七面鳥のような姿をしているが、その顔面には七面鳥同様に肉のこぶが出来ており、お世辞にも美しいとは言えない面相をしている。
「まあ、いつもの通り。この嫉妬に凝り固まった信者たちを説得し、ビルシャナを倒して頂きたいわけです」
 例によって、賛同している信者たちは一般人ゆえ、ビルシャナの主張を覆すインパクトのある主張をし返せば、無力化させる可能性もある。
 でなければ、ビルシャナのサーヴァントのような扱いになり、彼らも戦闘に参加するはめに。
 ビルシャナさえ倒せれば元に戻るため、救出は可能だが、配下が多くなれば戦闘にそれだけ不利になる事は言うまでもない。
「今回のビルシャナは、ビルシャナ閃光と八寒氷輪、孔雀炎を放つ事ができます。そして、信者たちは『自分が好意を寄せても、それに相手は答えるわけがない。だから自分は暴力的に相手に接していい』『それゆえに、自分ができないイチャコラを見せつける普通のカップルの存在が許せん』という考えを有しているようです」
 まさに、身勝手極まりないが、
「……でも、同時に『それ以外の方法を知らない』という憐みも、どこか感じ取れました。説得する際には、そういう点も念頭に置いた方が良いかもしれません。それから……」
 独り身ゆえか、思い込みも激しくなっている様子も垣間見えました……と、セリカは付け加えた。
 彼らの数は10人以上が確認できた。その年齢層は、下は10代、上は3~40代くらい。男女の比率は五分だが、女性も男性も、外見はいまいち美しくはない。中には磨けば光りそうな者もいるが、多くは冴えない面相と服装とのこと。
「……まあ、新年早々迷惑な連中ですが、理屈だけでは説得できないでしょうし。インパクトのある説得で、彼らを止めて下さい。ビルシャナは救えませんけど、これ以上の被害拡大を防ぐために、こちらの撃破もお願いします」
 もちろんだとばかりに、君たちは立ち上がる。新年一月になって、嫉妬に狂うなど迷惑以外の何物でもない。
 とっとと止めようと、君たちは決意も新たにするのだった。


参加者
赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)
秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)
ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)
湯上・伊織(ゆがみちゃんは歪みない・e24969)
弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)
草薙・美珠(退魔巫女・e33570)
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)

■リプレイ

●まちカド(にある)神社
『鬼百合ヶ丘神社』。
 その境内には、待機する二人の巫女の姿が。
「……さてと、準備は完了。あとは待つのみですね」
 その巫女の、胸が巨大な方ことレイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)は、掃除をしている。
 もう片方の、胸が小さい方こと草薙・美珠(退魔巫女・e33570)は、
「あ、あの……本当に……しなくちゃあだめ、でしょうか……?」
『美少女』に、後ろから抱きしめられていた。
「……『だめ』だね。ふふっ、照れてるの? かわいいなあ……」
 若干の『意地悪』を込めて、彼女……に見える『彼』、湯上・伊織(ゆがみちゃんは歪みない・e24969)は、美珠の耳元で囁く。いつもと違い、今は男装姿。
「それは、そうですが……」
 そう、事前の打ち合わせで……伊織と皆とで話合い、決めていた。
 四人は二組のカップルを装い、ワザと衆人環視の中でいちゃついて注目を集める。
 ビルシャナが出現したら。信者たちの目を引き参拝客を逃がす。
 現に、もう一組はイチャコラしている。
「あ、あの……くっつきすぎ、では……」
 赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)は、伊織と異なる、少女そっくりの女装した美少年。
「だめですよっ、もっといちゃいちゃらぶらぶしないとっ」
 秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)が、いちごに自分の腕を絡めている。こちらの二人は、女性同士のカップルにしか見えない。
 参拝客らの注目を集め、結乃は得意げ、いちごは恥ずかしげ。
 それを見て、美珠は思っていた。おそらく、自分も赤面してるのだろうと。
「あらあら、美珠さんったら赤くなっちゃって。うふふっ」
 神社境内の木陰には、
「……それにしても、私とあの子のためにあるような、素敵な神社よね。ここは」
 コートを羽織った、弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)が。
「……はふ。寒いけど……まあ、後で彼女と露出調教デートができれば……ふふっ、楽しみね」
 よこしまめいた想いが、寒さを軽減させていた。
 別の場所では、
「さてと、そろそろかしら、ね」
 ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)と、
「……独り身が長かったから、思い込んじゃったのかしら?」
 リフィルディード・ラクシュエル(刀乱剛呀・e25284)とが、異なる場所で待機。

「さて、新たな年はどういう年にしたいです?」
「んー、あなたの好きなようにしてほしい♪」
 数刻後。
 ケルベロスの皆は確認した。黄野奈々子と梅原優華とが、参拝者の列に並ぶのを。
 そして、
『爆破してやる!』
 非モテ連中も、姿を現した。

●恋する喪男喪女(非モテロイド)
 彼らの前に、
「ま、まってくださいっ……あっ!?」
 いちごと、
「待ちなさい! 邪悪な鳥妖魔は、退魔師として退治します! ……ひゃああっ!?」
 美珠とが、立ちはだかる。
 二人の語尾の『あっ!?』『ひゃああっ!?』は、
 それぞれ、結乃と伊織とが絡みつき……その体を愛撫し始めたため。
「ゆ、結乃さん、何を……んむうっ?!」
 いちごは結乃に唇を奪われ、舌が口内に入れられ……蹂躙され蠢く。
『なっ……お、女の子同士……だと……』
『ゆ、許せん! 許せんが……』
『ど、どれだけケシカランか、少し確認せねば……!』
 などと、信者らはじっくりとその様子を見始めた。
『おいお前ら! いちゃつく者どもを爆破するのではないのか!?』
 ビルシャナが喚き散らすが、従う者などいない。
「やっ、伊織さん、そんなところ……ひゃあんっ!」
 こちらの二人も、注目を集めていた。
「ほら、こっちに任せておけば、大丈夫……」
「で、でも……あううっ! あんっ!」
 れろっ……とうなじを舐められ、巫女服を脱がされ、下着も脱がされる。
『『『おおおおーーーっ!』』』
 それに夢中になる信者ら。
「えっ? そ、そんな……あああっ!」
 伊織が続けて愛撫し、それを受け、びくびく反応する美珠。
(「作戦開始前に……神様からも、『伊織とやらの指示通りにしろ』と言われてますし、これも、作戦のはず!……ああっ!」)
 そう思い、耐える美珠だが……、
「あっ! ……あああっ!」
 片足を上げられ、潤った部分へ。伊織の固く立ったものが……貫いた。
『『『キターッ!』』』
 もう、ビルシャナの言葉など聞こえていない。信者内の男性三分の一は、すでにかぶりつき。
『き、貴様ら! くそっ。なら、こっちは……』
 次の三分の一は、
「んっ……あっ……む、胸を……」
「うふふっ、いちごお嬢様……かわいいっ」
 ぺろぺろと、いちごの首筋にくちづけ、胸元を開け……彼の両胸に舌を這わせつつ、結乃はいちごのスカートの中に手を入れていた。
 スカートで周囲から隠しつつ、いちごの……あの部分を掴み、優しくしごく。
「だ、だめ……結乃さん、だめですっ……ああっ!」
 いちごと結乃。二人の絡みに、こちらもかぶりつき。
『お、おのれっ! お前らもか!』
 ふと見ると、既に襲おうとした対象……参拝客は、すでに他四名のケルベロスたち、ミスラ、リフィルディート、永凛、レイファの手により、避難完了していた。

●「パラダイスにイこうぜ」と花びらの音頭を踊る
『ぐ、ぐぬぬ……わ、我々は、こんなものに、心動かされは……』
 とかなんとか言いつつ、残った男性信者は全員前かがみ。
『そ、そうよ! こんなものに動揺なんて……』
 という女性信者らも、動揺の色は隠せず。
 そんな彼ら彼女らに対し、
「まったく……独り身の寂しさはわかりますが、こんなことするのは言語道断です!」
 レイファは憤り、
「独り身が長かったから、鳥に悪感情を増幅されちゃった感じ?」
 と、リフィルディードが続く。
 彼女らの指摘に、
『う、うるさいうるさい! 我々は正しいのだ! そうだろうお前ら!』
 駄々をこねるビルシャナ。
『そうだ! どうせ俺らが何したところで、好意を向けて交際してなどくれはしない! ならばブン殴る! そうするしか……こっちを向きなどしない!』
『そうよ! あたしだって! 不幸せな自分が、男を殴って何が悪い!』
 まだ洗脳が解かれぬ(というかカップル二組の痴態に心奪われぬ)信者らが、わめきたてた。が……、
「……では、これなら、どう、ですか……」
 ミスラが、そのわめきたてた男性信者らの前で、
 服を脱ぎ捨て、自ら……裸になった。
 そして、30代くらいの男性の前にひざまずき、
『な、何を……あっ、くっ……』
 そのまま……奉仕しはじめる。体臭にむっとするも、構わずミスラは行為を続けた。
「……見てるだけで、満足ですか?」
 ある程度続け、見入っている周囲の男性信者に、誘う様に声をかける。
『ま、待て! お前ら! だまされるんじゃあ……』
 ビルシャナの言う事など聞く耳持たず、すぐに多くの信者が群がり始める。
 ミスラの肉体に、砂糖に群がる蟻の如く、信者たちはたかり始めていた。

 その近くでは、見ているのを続行中の一団。
「ひっ……!」
 無きに等しい両胸を、結乃は、いちごに舐められ、絶頂する様を見られていた。
「そ、そうです……最初は優しく……じ、焦らすように……ひゃああっ!」
「こ、こうです……か?……んちゅっ」
「あんッ! はぁ……じょ、上手、ですぅ……ああああっ!」
 結乃は、自分の女の子の部分を、いちごが愛撫するのを感じ取った。身体が痙攣し、派手に反応してしまう。
 そして、自身も……いちごの胸を愛撫し返す。
 二人に注目している信者たちもまた、ビルシャナの言葉など聞く耳持たなくなっていた。

 ミスラと、結乃・いちごの様子を横目に見つつ、伊織に貫かれていた美珠は……、
「やっ、だめ……あああああっ!」
 絶頂し、黄金色の聖水を噴出させていた。
「みんなも、女の子と『こういうこと』、したいんでしょ? じゃあ……『お裾分け』♪」
 と、伊織はそのまま離れ……信者らへ美珠を差し出した。
「美珠ちゃん……神様の言ってた通りに、ね?」
「……は、はい……?」
 伊織からそう囁かれた美珠だったが、
(「お裾分けって、何ですか? 聞いてませんが……」)
 疑問を覚えつつ、信者に声をかける。
「……え、ええと。好意を寄せれば、きっと相手もそれに応えてくれます! ですから皆さん、諦めずに隣人を愛しましょう……って、えええっ!?」
 そう言うと、信者らの目つきが変わり……、
 彼らは、裸の美珠を押し倒し、群がったのだ。
「い、いやっ! 見ないで下さい……ああっ!」
 二人が、両胸の先端に吸い付いた。
『ち、小さいけど……敏感だ……』
『おー、もう先がびんびん』
 更にもう一人が、股間に顔を埋め、舌を這わせる。
「……あっ?! あーーーーっ!」
 そのまま、背中を反らせつつ、美珠は絶頂してふたたびお漏らしを。
 そして、下腹部と、お尻と口に、信者たち自身をあてがわれ……三つの箇所を同時に、突き入れられる。
 更に、両手にも別の者たち二人のものを握らされ……。
 更なる絶頂に染められつつ、美珠は何度も快感にさらされ続けていた。

●私(たち)にモテ期が舞い降りた?
「……あの、そこのあなた方」
 そして、リフィルディードは。躊躇している40代の男性たちへと声をかけていた。
「私が考えるに、あなた方は思い込んでるだけ。だから……『ちゃんとした格好』すれば、イケてる人も出てくると思うのだけどなぁ」
『な、何を……』
 とまどう男性らに、リフィルディードは、
「……まず……ご自分から『相手されない』ような格好してるでしょう?」
 指摘しつつ、新たな服を取り出した。
「頭……髪形もちょっと、失礼するね」
 言いつつ、しっかりセットしはじめる。
「気持ちが『後ろ向き』だから、それが恰好にも現れちゃうんだよ。だから……『独り身のまま』だなんて思っちゃうんじゃない? ほら……」
 整え終え、鏡を差し出すと、
『こ……これが、俺?』
 どこぞのちょい悪オヤジ的な、しかし小粋に決めた男の姿が、そこにはあった。
「あら……なかなかやるじゃない」
 それを見ていた永凛は、コートを脱ぎ、裸体を見せつけるように立っていた。
「さて、それじゃこちらも……『説得』させてもらおうかしら」
『な、なによ! そんな綺麗な身体を見せつけて……ああっ、妬ましい! どうせ『そうやって嫉妬するから悪い』とか言うんでしょ!』
 叫ぶ女性信者。しかし永凛は、それに動じず、
「いいえ……『妬む』ことの、どこが悪いのかしら?」
『え?』
 言い放っていた。
「『妬み』は、他人の幸せを見つける『センサー』のようなもの。それ自体を否定する気は無いわ」
 それに……と、言葉を続ける。
「『嫉妬』も、また美徳よ? 他者を攻撃するんじゃあなく、『相手の良い点を認め』、『自分を高める』ために使うのなら、ね」
『ね……妬んでも……悪く、ないっていうの……?』
 予想外の言葉を言われ、驚愕を隠せぬ女性信者たち。
「ええ、そうよ。ネガティブな感情や想いは、人と関わる事で必ず生じるもの。だけど、人と接していないと、それは悪い方向に肥大化してしまうのよ。今のあなたたちのように、ね」
『で、でも……』
「……他人からの評価を怖がる気持ちは分かるけど、人と接する事が無ければ……『ずっと一人のまま』よ?」
『……でも! どうすれば……』
「とにかく人と接しなさい。私で良ければ相談に乗るわよ? でなければ……」
 永凛は、歩み寄った。
「でなければ……自分に自信を持てる『長所』も、改善すべき『短所』も分からないまま、ずっと一人でいるしかなくなるわよ?」
 彼女たちは項垂れるのみ。もうビルシャナに賛同する者は、居なかった。
『ぐっ……お、お前ら……簡単に篭絡されおって……がはっ!』
「……他の人たちの迷惑だから、消えてね?」
 そして、
 リフィルディードの『撃刃の型(ゲキジンノカタ)』を受け、ビルシャナは引導を渡されていた。

●……そして、『不穏な予想外』から始まる一年
 状況は終了。ヒールもほぼ必要なく、ケルベロスらは退散……、
 などと済むわけがなく、レイファは神社の巫女たちと楽しんでいた。
「信者の人たち……あんっ……わ、私の事、襲ってくれなかった……あああああっ!」
「へえ……胸大きいのに、感じやすいんだ。優華とどっちが変態かなあ」
 と、黄野奈々子は、神社の裏にある小屋にて。いつもの縛りプレイに興じていた。
「な、奈々子の好きなようにして……♪ あああああっ!」
 責められる優華とともに、レイファは。ワザと裸になり……ともに縛られ、激しく辱められる。
「助けてくれたお礼に……たっぷり、イジめてあげる♪」
 乱暴にされ、優しくされ……、
「ああああああっ♪」
 レイファは絶頂を何度も味わい、失禁しつつ気絶するのだった。

「うう、伊織さん、酷いです……」
 近くのホテルでは。
 シャワーを浴び終えた美珠が。
「ごめんごめん。じゃ、いじめた分……」
 伊織にベッドに押し倒され、
「……また、私に染めてあげる♪」
 再び、快感をその身に受けるのであった。

 そして、同じホテルの別室には。
「……私の中に……沢山、出していいからね」
 裸になったリフィルディードと、先刻の男性とが、
「自信を……持てるまで……あっ……相手……してあげる……あああっ!」
 肌を重ねていた。

「結乃さん。さっき……気持ち、良かったですか?」
 その頃、いちごは、
「うんっ! ……こんな形でなく、もっと、ちゃんと教えてあげたいな」
 結乃の手を取り、帰路に。
 いちごの秘密はばれなかったものの……やはりちょっと、危なかった。
 今度は……二人きりの時に……、
 互いにそう考えていた事は、二人は知る由も無かった。

 そして、ミスラと永凛は、
「……麗奈、ちゃん……」
「麗美、一体何が……?」
 メイドが押す車椅子に乗せられた麗美と、付き添っている麗奈に、出くわしていた。
 だが、
 麗美は……生きる気力が消えたように、無反応。
 麗奈は……何かを恐れているような、怯えを見せていた。
「……永凛お姉様、ごきげんよう。今日は……ごめんなさい……」
 そう言って、離れようとしていた。
「……お嬢様方がお世話になっている、ケルベロスの皆様ですね? 初めまして」
 メイドも挨拶する。心労なのか、彼女もやつれていた。
「申し訳、ありません……当家では今、旦那様と奥様が亡くなり、お嬢様たちも大変な状況になっておりまして……」
 今日は、麗美のリハビリを行っているのだという。
「……近いうちに、皆様にご助力をお願いしたいと思います。今日は……介護の予定がありますので、どうかお引き取りください」
 では……と、頭を下げ、その場から去っていく一行。
「麗美、何が……」
 ミスラと、
「麗奈ちゃん……」
 永凛。
 彼女らがそれぞれ愛する相手に、何があったのか。
 こんな『予想外』の始まりに、戦慄する二人だった。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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