ケーキの神は苺ショート!?

作者:坂本ピエロギ

 都会の喧騒を離れた郊外に、一軒の洋菓子店がある。
 駅からバスで十数分、そこから更に徒歩で数分。ともすればアクセスに手間取る立地にもかかわらず、その店は開店と同時に客の賑わいで溢れるのだ。
「いらっしゃいませ。本日はチョコケーキがお勧めとなっております」
 そう言って店員が示すショーケースの中には、宝石のように煌びやかなケーキと洋菓子が折り目正しく並んでいる。
 漆塗りの黒檀を思わせる、官能的な佇まいのチョコケーキ。
 焦がし砂糖の艶やかなキャラメライズが香る、苺のミルフィーユ。
 濃厚なクリームをクッキー生地の皮で包んだ、どっしり重いシュークリーム、等々。
 お気に入りを選んだら、お茶をお供に素敵なひと時の始まりだ。さて、まずは何から手をつけようか。
「ふふっ。やっぱり最初は、お勧めのチョコケーキが――」
『待てええええええええええいっ!!』
 女性客の一人がテーブルのフォークを手に取ったまさにその時、店のドアがけたたましい音と共に吹き飛んだ。
 次いで乱入してきたのは、ビルシャナとその信者たちである。
『苺ショート以外のスイーツは絶対認めない! 有象無象の菓子は全部滅べ!!』
 こうしてビルシャナたちは店員と客を店から叩き出すと、陳列されたケーキを次々に叩き潰していくのだった。

「ビルシャナが……ビルシャナが美味しい洋菓子店を襲撃するっすよおおお!」
 この世の終わりのような表情を浮かべ、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)はケルベロスたちの前で肩を落とした。
「ううっ、チョコケーキが……アイスケーキが……」
「事件が起きるのは街外れにある洋菓子店。そこを明王と4人の信者が襲うというのね?」
 そう言って相槌を打つのは、今回の事件を的中させたローレライ・ウィッシュスター(白羊の盾・e00352)だ。
 ダンテはそれに涙をこらえながら頷いて、
「エクレアが……シュークリームが……」
「敵は『苺ショート以外のスイーツ絶対認めない明王』。大したことない弱敵だから1分もあれば片付くだろう。でも洗脳された信者たちに罪はないから、説得して正気に戻してあげてほしい、そう言いたいのね?」
「その通りっす……説明感謝っす、ローレライさん……!」
 やっと調子を取り戻したダンテが、話を引き継いだ。
 現場は既に避難誘導の準備が進んでおり、ケルベロスが着く頃には無人となっている。
 そのため、説得と戦闘に集中してあたることが出来るだろう。
「お店のケーキや洋菓子を、皆さんが愛情込めて好きなように好きなだけ食べれば、信者さんたちも必ず正気に戻るっす!」
 店内には『ケーキ』と名前がつくもの、さらにはプリンやシュークリームなどの洋菓子も揃っている。敵の出現までには多少の余裕があるので、ゆっくり菓子を選べる……もとい、戦いの準備を進められるだろう。
「陳列されてるお菓子はぜんぶ皆さんの自由っす。お店の人から許可はいただいてるんで、どんどん食べて信者を説得して下さいっす!」
 そうして説明を終えたダンテは、さっそくヘリオンの搭乗用ハッチを解放した。
「苺ショートしか食べられない、そんな世の中はつまらないっす! 皆さん、ビルシャナの撃破をよろしく頼むっすね!」


参加者
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
リィンハルト・アデナウアー(燦雨の一雫・e04723)
ニュニル・ベルクローネス(ミスティックテラー・e09758)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ミルファ・イスト(美幼女ガンナー・e85339)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)

■リプレイ

●一
 洋菓子店の中は、シンと静まり返っていた。
 綺麗に整えられた店内、ショーケースに並ぶのは煌びやかなケーキや菓子。
 リィンハルト・アデナウアー(燦雨の一雫・e04723)は、ウイングキャットのミントと共に、その眺めを食い入るようにじっと見つめていた。
「ケーキって最高だよねぇ。こんな美味しい食べ物を考えついた人、天才だと思うの」
「見てリィンハルト、この苺ミルフィーユとっても美味しそうだよ」
 ニュニル・ベルクローネス(ミスティックテラー・e09758)は苺のミルフィーユを皿に載せ、見せびらかすように掲げて見せた。濃厚なクリームを挟むのは、紙より薄いパイ生地の層。鎮座する瑞々しい苺は、見る者を虜にして離さない。
「素敵だね。遠慮無くいーっぱい頂いちゃおう♪」
 リィンハルトはそう言って頷き、ニュニルと一緒にケーキを選び始める。
 いっぽう小柳・玲央(剣扇・e26293)は選んだ品々をテーブルに運び、ビルシャナたちを迎える準備を進めていく。
「スイーツとくれば美味しい飲み物も外せないね。今日は紅茶にしようかな」
 そんな玲央のラインナップは、珈琲系のケーキがメイン。
 オレンジピールの欠片を宝石のようにちりばめたもの、砕いたヘーゼルナッツをふんだんに使ったもの。いずれも珈琲とは相性抜群だ。
「ふふ。信者さんたちもファンになってくれるといいな」
 玲央はかつてカフェ系の自動販売機型ダモクレスだった女性だ。そのため珈琲にも拘りがあり、もてなしの準備にも余念がない。
「どれも美味しそうだね。ローレとミルファはもう決めた?」
 ショーケースをまじまじと眺め、リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)は旅団仲間の二人に尋ねた。
「もちろんよリリエッタさん。私はこれ!」
 そう言って皿を掲げたのはローレライ・ウィッシュスター(白羊の盾・e00352)。今回の依頼を的中させた少女だ。
 彼女のチョイスは洋菓子店オススメのチョコレートケーキ、それもホールケーキ丸ごとという贅沢なもの。隣でテレビウムのシュテルネが抱える皿にはミルクレープとモンブラン、カタラーナにマカロンと、美味しそうなスイーツが勢揃いだ。
「うゆ。ミルファはね、これなの」
 一方、ミルファ・イスト(美幼女ガンナー・e85339)が選んだのはチーズケーキ。
 オーブンでじっくり焼き上げたベイクド、フルーツを添えたレアチーズ、優しい口当たりが特徴のスフレ……シンプルながら風格を感じさせる品々は、食べる者に間違いのない美味を約束してくれるだろう。
「ケーキに罪はないの。滅べなんて言うやつはお仕置きなの」
「むぅ。リリはプリンが食べたい気分かな」
「プリン……その選択肢もあったわね」
 3人揃ってお気に入りの菓子を選ぶローレライたち。
 その光景を、セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)はテーブル席から微笑みと共に見守っていた。
(「ふふっ。眼福だわ」)
 少女のさざめく声を聴きながら、セレスティンはお茶会の支度を進めていく。
 ティーポットにカップ、そしてストレーナーにスプーン。瓶に詰めた蜂蜜は、ストレートにもミルクティーにも合うものを。
「素敵なお茶会になるといいわね」
 こうして準備を整えたセレスティンの向かいには、菓子の山を前に身悶えるセントールの少女がひとり。
 オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)である。
「地球美味しいもの多過ぎる、ずるい」
 オルティアはスイーツが好きだ。
 初依頼はスイーツビュッフェで、それからも苺タルトにチーズケーキにお饅頭にお汁粉にと、数々の依頼に出向いてはスイーツを堪能するほどスイーツが好きだ。
 そんな彼女のチョイスは焼きたてのアップルパイと大きなシュークリーム、そして本命はローレライと同じチョコホールケーキだった。
「お腹が苦しい戦いに、なるかもしれないけれど……必ずや、解決を……!」
 そんな誓いを胸に仲間たちと共にテーブルに着いた、まさにその時。
 店の外から、何やら声が聞こえてきた。
『苺ショート以外のスイーツは認めない! 有象無象の菓子は全部滅べ!』
 乱暴に開かれるドア。
 乱入するビルシャナと信者たち。
 かくして、ケルベロスの戦いは幕を開けるのだった。

●二
「うわぁ、このケーキ美味しいね~♪」
『なにっ!?』
 ニュニルが放つ第一声に振り向いたビルシャナは、ケルベロスたちのテーブルを占領するスイーツが、教義に外れるものばかりである事を見抜いたようだった。
『お前たち! 苺ショート以外のケーキを食べるのは許さん!』
「えー? そんなの無理だよぉ」
 怒り狂うビルシャナに、チーズケーキを手にしたリィンハルトが頬を膨らませる。
「苺ショートも美味しいけど、それ以外駄目だなんて勿体ないよぉ」
「そうそう。このミルフィーユも美味しいよ?」
 ニュニルはそう言いながら、旅団友達のリィンハルトに微笑みかけた。
「まあ無理強いは良くないよね。ボクたちはこっちをいただこう♪」
「そうしよう。僕はチーズケーキをね」
 リィンハルトがフォークを伸ばしたのは、お気に入りのフロマージュ。
 ニュニルもまた、取っておきの苺ミルフィーユをぱくりと頬張った。
「おいし~い♪ ボクら、本当に幸せ者だね♪」
「ねえニルちゃん、チーズケーキ食べない?」
「本当に? わ~い、ありがとう♪」
 ケーキをシェアしたニュニルの傍、クマぐるみのマルコから飲み物を貰うリィンハルト。そうして彼はミルフィーユを一口頬張って、
「ああ、クリームの優しい甘さと苺の酸味が……幸せだなあ」
 幸せの吐息をしみじみと吐く。
 そんな二人とは対照的に、信者たちの顔には明らかな動揺が生じていた。
 ――何あれ。
 ――すっごく美味しそう。
 ――苺ショート以外にも、あんな美味しそうなケーキが?
 お互い顔を見合わせる信者らに、ミルファはチーズケーキの欠片を頬につけたまま、花の咲くような笑顔を向ける。
「ねえ、信者さんもミルファたちと一緒に食べよなの」
「ど、どうしようかな……気にはなるけど……」
 目線を泳がせる女性信者の言葉に、ミルファは肩を落とす。
「ミルファが嫌いなの? 嫌いだから食べてくれないの?」
 しょんぼりした上目遣いで見上げるミルファに、もはや反論の言葉さえ失う信者。そこへニュニルとリィンハルトが加わる。
「こんなに素敵なお菓子を食べないなんて勿体ないよ。損してるよ?」
「そうそう。素敵なケーキは苺ショートだけじゃないよ」
「ねえ、このティラミスなんてどう? 一緒に食べようよ♪」
「そ、それでは遠慮なく……!」
 早くも信者が白旗を上げるのを見て、オルティアとローレライ、リリエッタは密かに快哉を叫ぶ。
(「やった」)
(「やったわ」)
(「もくもく」)
 残る信者は三人。続いて説得に回ったのはセレスティンと玲央だ。
「苺を使ったスイーツなら、私はタルトがお勧めね」
「私のお勧めは珈琲ケーキ。信者さんもどうかな?」
 温かい紅茶をお供に、苺タルトを優雅に食するセレスティン。その横で、玲央もケーキにフォークを伸ばす。
「苺サクサク苺サクサク、あぁ、魅惑のハーモニー……! ケーキを一つに絞るだなんて、なんて残酷なことを」
「このケーキも美味しい。ナッツが沢山で幸せだね」
 タルトの生地に真っ赤な苺を敷き詰めた苺タルト。
 珈琲と相性の良いヘーゼルナッツを惜しげなく散りばめた珈琲ケーキ。
 もはや信者たちの目は、二人のスイーツに釘付けだ。だが、説得はまだ終わらない。
「見て、このチョコケーキを。ふわふわしっとりの生地にツヤッツヤのコーティング。中身がとろーり溢れるフォンダンショコラ……! どう、一緒に召し上がってみない?」
「こっちのオレンジピールを使ったケーキもお勧めさ。オレンジって、珈琲とも相性がいいからね。あ、紅茶のお代わりはどう?」
 そんなセレスティンと玲央の言葉に、二人目の信者が陥落した。
「苺タルトと珈琲ケーキ……あと紅茶も、ください……!」
「ええ、大歓迎よ。ね、玲央さん」
「もちろん。紅茶にミルクは入れるかな?」
 残るは、あと二人。

●三
「ミルファは約束を守りますなの。だから、一緒に食べるの」
 説得した信者の膝に乗り、ミルファは苺タルトをもぐもぐと頬張り始めた。
 リリエッタはそんな彼女に、そっとお裾分けを差し出す。
「ミルファ、リリのプリンも食べる?」
「ありがとうなのー!」
 そうしてリリエッタは三人目の説得を始める。
 彼女が選んだのはプリンアラモード。器の中心に鎮座した大きなプリンに、色とりどりのフルーツを侍らせて、生クリームで飾り付けた逸品だ。
「ぷるぷるのプリン、とっても美味しいよ。苺やオレンジ、キウイにサクランボ、フルーツいっぱいの欲張りセットだよ」
 リリエッタのプリンを凝視する信者に向かって、シュークリームを手にしたオルティアが更なる追い打ちをかける。
「認める、認めない、そんなことを叫ぶ前に、まずは味わわないと、損……!」
 トロッとしたクリーム。濃厚なバニラの香り。それらを厚めの生地がしっかり受ける。
 オルティアの味蕾がまたひとつ、地球の甘味を知った喜びに震えた。
「次は、アップルパイを」
 焼き立てサクサクのパイ生地の中には、甘いリンゴ。しっかり丁寧に火を入れたことで、果実のそれよりも遥かに甘みと風味が凝縮されている。
 そして――。
「さあ、本命の、ケーキを……!」
「ええ。行ってしまいましょう」
 テーブルの上に並ぶのは、オルティアとローレライのチョコホールケーキがふたつ。
「さあ切るわよ。切ってしまうわよ」
 自分の好きなように切ったケーキを好きなだけ食べる――真っ新なケーキにナイフを入れながら、ローレライの背筋は背徳の快感に痺れた。
「見なさいビルシャナ、ここには真の自由があるわ。苺にナイフが当たる心配のない、好きなようにケーキを切れる自由が……!」
「美味しいものの前には、誰もが無力。己の心には、素直に従うべき……」
 ローレライとオルティアは、カカオ香るチョコケーキを一思いに頬張った。
 ただただ無となって、紅茶をお供に、ケーキを味わうことだけに全てを注いだ。
 信者は口を開けてその姿を拝むしかない。あらゆるケーキを残らず味わいつくさんとするその姿は、ビルシャナの説法よりも雄弁に彼らの心をうった。
「降参だ……」
 三人目が白旗を上げて脱落。
 そうしてローレライは仲間たちと甘味をシェアし、最後の攻勢に移る。
「オルティアさん、ミルクレープは食べたことある? 生クリームたっぷりで最高よ」
「こ、これは悪魔の味……食べる者を堕とす魔性のスイーツ……!」
「玲央さん。このモンブラン、珈琲と合わないかしら?」
「これはいいね。クリームとメレンゲが、栗の味を引き立てて……うん、素晴らしい」
「ふふ、そうでしょう?」
 誇らしげに胸をはるローレライに、セレスティンが自分の額を指さした。
「ローレ、ここにクリームついてるわよ?」
「えっ!?」
「もう。冗談に決まってるじゃない」
 つい意地悪をしてしまったと微笑むセレスティン。ローレライはほんのり頬を染めつつ、ビルシャナに無言で示してみせる。
 ケーキは美味しい。だが、こうして仲間たちと好みを分かち合えば、その味は更なる輝きを放つのだと――。
「ああ……こんなに沢山のケーキを前に、苺ショート以外食べられないなんて!」
 そんな教義は嫌だと天を仰ぐローレライの前に、とうとう最後の一人も降参した。
「お、俺にもそのケーキを……!」
「ふふっ、もちろんよ」
「さあ、甘い一時を、一緒に……」
 少女たちの背に後光を見たかのように、手を合わせて拝む元信者。
 一方、たまらないのはビルシャナだ。
『ぐぐぐ、どいつもこいつも苺ショートの素晴らしさが分からぬとは……!』
 そんなビルシャナに、首を傾げたオルティアが尋ねる。
「私の食べるチョコケーキも、定義上はショートケーキ。これに苺を乗せれば、それはもう苺ショートと言えるの、では……?」
『うっ』
 オルティアは言う。
 ショートケーキとは「スポンジを土台に、ホイップクリームを用いた」ケーキだと。
 俗にイメージされる苺ショート――白いクリームと真っ赤な苺を用いたカットケーキは、数あるショートケーキのひとつでしかないと。
「ということは、貴方の教義は苺ショートの一種さえも排斥しているの、では……?」
『うぐぐっ』
「つまりビルシャナ。苺ショートの本当の敵は、あなた自身……!」
『あばばばばばば』
 ビルシャナは泡を吹きかねない勢いで悶絶した。
 こうなっては仕方がない。かくなる上はケルベロスどもを抹殺するしか――そう思った矢先、彼の腕をリリエッタとセレスティンがしっかりと押さえた。
「ねえ、ちょっとリリたちと外で話そう?」
「お店を巻き添えにはしたくないものね。ローレ、ドローンの準備は?」
「万全よ。任せて」
『あれれー?』
 そのままビルシャナは二人に引きずられて行き、オルティアと玲央によってドアの外へと蹴りだされると――。
「ルー、力を貸して! ――これで決めるよ、スパイク・バレット!」
「あら、お誘いが来ているようよ?」
「まーちゃん、あーちゃん、あいつを大地のシミにしてやるの」
『ちょ、待っ、あんぎゃあああああああああ!!』
 リリエッタとセレスティン、そしてミルファの集中砲火を浴びて爆発四散。
 そうしてニュニルとリィンハルトの二人は軽く掃除でもするように、平和が訪れた店の前をヒールで修復していく。
「さあクロノワ、ちゃちゃっと直しちゃおう」
「店が無事で良かった。ミンちゃん、ヒール手伝って」
 魔法で生成したテディベアで、道を繕うニュニル。
 ウイングキャットたちの清浄なる風と共にリィンハルトのフローレスフラワーズが舞い、修復は1分足らずで完了した。

●四
 店の営業再開までは、まだ少し時間がありそうだった。
 ケルベロスたちは撃破完了の報告を伝えると、今一度ショーウィンドウを眺め、お土産のケーキを選んでいく。
「美味しそう。みんな喜んでくれるかな」
 ローレライは友達と恋人に、それぞれチョコと生クリームのケーキを。
「ローレのお土産だもの、喜んでくれるわ。私もチョコケーキを貰おうかしら」
「リリも、食べられなかったケーキを買っていくよ」
 セレスティンは家族に、リリエッタは寮のみんなに。
 ミルファが買うのは、ダンテへのお裾分けだ。
「エクレアにシュークリームに……沢山テイクアウトなの」
 一方オルティアはというと、スイーツタイムを満喫するリィンハルトと肩を並べ、残ったケーキへフォークを伸ばし、
「良く、食べた。お腹がギブアップを、言い渡して来ている……から」
 ――次は、別腹に詰めよう……!
 意気揚々と第二ラウンドへと取り掛かる。
 こうしてケルベロスたちは、帰還までのひと時をのんびりと過ごすのだった。

作者:坂本ピエロギ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 1
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