●魔空回廊を破壊せよ
「グラディウスにチャージが完了しましたので、ミッション破壊作戦を行います」
集まったケルベロスたちに、石田・芹架(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0117)は告げた。
「ここから先の説明は過去のミッション破壊作戦と同様なので、今までに参加されたことがある方は聞き流してくださってかまいません」
グラディウスはかつてデウスエクスから奪取したものだ。
外見は長さ70cmほどの光る小剣だが、通常の武器として使うためのものではない。
デウスエクスの移動手段である魔空回廊を攻撃することができる武器なのだ。
「これを用いることによって、デウスエクスに支配されているミッション地域を解放することができます」
そこには、一方通行で戦力を送り込み続ける強襲型魔空回廊が存在する。デウスエクスをいくら倒しても、戦力を追加されるだけでミッション地域を解放することはできない。
解放するためには、グラディウスで中枢となる魔空回廊を破壊するしかないのだ。
「なお、グラディウスは一度使用すると、数週間から数ヶ月の再チャージが必要になります。何度も作戦を連続して行うことはできません」
そのため、どこの回廊を狙うかは、現在の状況も踏まえてケルベロスたちで話し合って決めて欲しいと芹架は言った。
次いで、芹架は作戦の内容を説明し始めた。
「ミッション破壊作戦においては魔空回廊上空までヘリオンで移動し、高高度から降下攻撃を行うことになります」
中枢にある魔空回廊は容易く接近できる場所ではない。地上を移動して向かおうとすれば、必ず敵に阻まれる。
高高度からの降下攻撃ならば、デウスエクスといえども防ぎようがない。
魔空回廊は半径30mほどのバリアで守られており、このどこかにグラディウスを触れさせることで攻撃が行える。
「この時、魂の叫びをあげることでグラディウスの効果は高まります。こめた想いが強ければ強いほど、高い威力を発揮するでしょう」
想いが強く、さらに運にも恵まれれば1回で破壊できることさえあるのだ。
「もちろん必ず今回の攻撃で破壊できるとは限りませんが、グラディウスによる攻撃のダメージは蓄積していきますので無駄にはなりません」
最大でも10回ほど降下作戦を行えば壊せると芹架は言った。
「グラディウスによる攻撃が終わった後は、敵地の真ん中に降りることになります。破壊の成否に関わらず、速やかに撤退してください」
生還することはもちろん、貴重なグラディウスを持ち帰ることも重要な目的となる。
バリアへの攻撃時には大きな爆炎と雷光が発生するので、それに紛れて逃げることが可能だと芹架は言った。
もっとも、中枢を守る敵は精鋭だ。爆炎や雷光で混乱させても完全に無力化はできないし、立ち直るのも早い。
敵を避けて移動しても、どこかで必ず遭遇してしまうだろう。
「しかし、混乱が残っているうちなら敵は連携をとって攻撃してくることはできないはずです。遭遇してしまった敵を早々に撃破すれば、撤退を継続することが可能です」
もし戦闘に時間がかかれば、敵は態勢を立て直し、連携をして攻撃してくる。
撃破せずに撤退することはできないため、暴走してでも道を切り開くか、あるいは降伏するしかなくなるだろう。
短期決戦で敵を撃破することが最も重要となる。
なお、攻撃する地域ごとに現れる敵の特色があるので、攻撃する場所を選ぶ際の参考にするといいだろう。
「ミッション地域の増加は止まったようですが、これまでに支配された場所から敵が撤退するわけではありません」
住んでいる場所や働く場所、思い出の場所などを奪われた人々は今もいる。
取り戻すことができるのはケルベロスだけなのだ。
芹架はそう言って、頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079) |
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414) |
牙国・龍次(狼楽士の龍・e05692) |
レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278) |
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412) |
田津原・マリア(ドクターよ真摯を抱け・e40514) |
帰天・翔(地球人のワイルドブリンガー・e45004) |
副島・二郎(不屈の破片・e56537) |
●古き城を目指して
ヘリオンは日本海側へ向けて高速で飛んでいた。
目指すは北陸、福井県の坂井市。
エインへリアルによって支配された城を目指しているのだ。
「見えてきましたよ。丸岡城です」
帰天・翔(地球人のワイルドブリンガー・e45004)が丁寧な口調で仲間たちに呼びかける。
「エインへリアルたちもいるようだな」
山羊の王マーコールと同じ角の下から、レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)の漆黒の瞳が遥か下をながめた。
「人様の星の城を牛耳って、一国一城の主気取りってか? 盗人猛々しいにもほどがある」
愛用の帽子に軽く手をかけ、水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)が吐き捨てる。
「エインヘリアルともよくよく考えたら長い因縁だよな。ま、だからこそ敵の拠点は確実に減らさないと、だな」
悪そうな顔に、さらに凶暴そうな笑みを浮かべて牙国・龍次(狼楽士の龍・e05692)が言った。
「そろそろ到着か。それじゃ1つ、今回の攻撃がうまく行くか占ってみるとするかね」
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)が高速移動するヘリオンの中でも手元を狂わせることなくコインを弾く。
受け止めたそれを覗き込む。
「……表だ。幸先いいな。今回はうまくいきそうだぜ」
仲間たちに見せた後、泰孝はすぐにそのコインをしまい込む。
「そりゃよかった。なら、占い通りの結果になるように、全力で叫ぼうぜ!」
ヘリオン内に、レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)の元気な声が響いた。
泰孝の足下で、彼のウイングキャットが呆れたようなしぐさをした理由に、気づいた者は何人いただろうか。
『またか』と言いたげなしぐさに、少なくともレヴィンは気づいたそぶりを見せなかった。
「けど、できれば今回で解放したいですな」
田津原・マリア(ドクターよ真摯を抱け・e40514)が言った。
「丸岡城は霞ヶ城ゆう別名があるんですよ。満開の桜の中に浮かぶ幻想的な姿がその由来やそうですよ。地元の人達もその姿をとても愛しています」
関西風のイントネーションでマリアは語る。
「今回で解放出来たら、桜の頃には十分に間に合うと思うんです。地元の人に愛する城のええ姿、見せてあげたいです」
その言葉に、仲間たちの多くは頷いているようだった。
今や、ヘリオンはもう中枢の上空にさしかかっていた。
副島・二郎(不屈の破片・e56537)は、無言でエインへリアルに支配された城を見下ろしていた。
「花見……か」
陰気な声で呟く。
(「ただの武力にすぎない俺はもはや花など待ちはしないが、楽しみにしている者は多いのだろうな」)
マリアの真剣な表情に目を向けてから、グラディウスを握って己の武力の使い道を確かめる。
8人のケルベロスたちが、1人、また1人とヘリオンから飛び出していく。
その中で、二郎もまた空中へ身を躍らせた。
●城を奪い返せ
ヘリオンから飛び出すと、いまだ現存する丸岡城の天守が空からも見えた。
二郎とマリアにとって、それは2度目の光景だった。
丸岡城にはすでに1度攻撃が行われているが、2人はその時にも参加していたのだ。
「……また来たぞ、武将気取り共」
陰気な声で二郎が告げる。
前回は有効打を与えたものの破壊はできなかった。
今回も必ず壊せるとは限らない。
「城は元々人を護るもの。時代が移り変わっても……今も、人の心を支えているのだろうよ。そんな場所を利用し人を蹂躙するなど、許すわけにはいかん」
死んだはずの、ただの武力にすぎないはずの自分の心にまだ怒りが残っていたことを彼は感じとり、それをグラディウスを握る手にこめた。
「さあ、ここは返してもらうぞ」
言葉と共に最初の爆発が広がる。
煙が丸岡城を隠していく。
春になれば、きっと綺麗な景色が広がるのだろう。その風景が覆い隠されていく。
「あと三月もすれば地元の人らにとって大事な春が来るんや! その春の象徴は丸岡城の桜に包まれた姿、霞ヶ城ゆうて地元の人らの愛する景色や!」
けれど、マリアは隠れていく光景が桜に包まれている様を想像して叫ぶ。
「その大切な景色を奪って居座るアンタらは、花に集る毛虫の比やないくらいいらへんのや! さっさと退いて地元の人らにその場所を明け渡さんかい!!」
魔空回廊を守るバリアが目の前まで迫ってくる。
そこに、彼女はグラディウスを叩きつけた。
二郎が起こした爆発に重なって、煙が広がっていく。
そこへ向けて、翔も降下していった。
「確かに城は、戦うために造られました。でも今は、多くの人達の憩いの場所です!」
告げるごとに、その表情は徐々に変わっていく。
「四季折々の景色を楽しんで癒され、過去の歴史を学んで当時の人々に想いを馳せる……そんな場所なんです!」
穏やかだった顔つきと声が、怒りに満ちた暴力的なものに。
「それを……てめぇらみてーな殺戮しか頭にねー連中が我が物顔で居座って独占しようなんざ、城を造った人間や、城を楽しんでいる人間への冒涜だ!」
バリアまで降りる頃には、翔はもう完全に乱暴な性格へと切り替わっていた。
「とっとと出て行きやがれ!」
激しい叫びと共に振り下ろしたグラディウスが3度目の爆発を起こす。
次いで降下していくのは、泰孝とそのウイングキャットだ。
「オレは開放してお小遣いを貰うのが第一目的だが……」
体につかまったウイングキャットがため息をつくような動きをした。
「しかし風情のある城を改造たぁ、やってくれるな。今後の為に必要ってのもわからんでもないが、それはコッチも同じ」
とはいえ、なけなしの良心……という名のウイングキャットにせっつかれるまでもなく、やるべきことは彼にもわかっている。
「奪還報告してお小遣いを貰うついでに、その城、テメーらのお仲間との戦いに役立ててやらぁ。だからとっとと返却しやがれ!」
小遣いへと想いと、それから……いくらかの、この地への想いをグラディウスに込めて泰孝は輝く小剣をバリアへと振り下ろした。
爆発はまた広がっていき、丸岡城の姿はもはや完全に隠れてしまっていた。
徘徊しているはずのエインへリアルたちの姿も煙の向こうに消えて見えなくなる。
だが、見えずとも、彼ら相手に言いたいことは間違いなくある。
「城責めする時代間違ってるだろ! いや地球侵略が間違ってるけど!」
レヴィンの叫びは最初から飛ばしていた。
「廃城して災害で倒壊もしたけど、皆の手で修復されて今は皆に愛される公園になったんだ!」
けれど、もし聞いている者がいれば言いたいことは伝わったはずだ。
「戦う術を持たない人達から一方的に憩いの場やチェインを奪うとか、好戦的な戦闘種族が聞いて呆れるぜ! 白百合騎士団にも笑われるぞ!」
特製のゴーグルごしにまっすぐな視線をバリアへと向けて、レヴィンは弾丸のように降下していく。
「腰抜けはとっとと帰りやがれ!」
叫びと共に広がる爆炎と雷光が、またバリアと城を揺らす。
「エインヘリアルが城を拠点とするのには意味があるのであろうかな」
武人らしい声音を出したのはレーグルだ。
「どちらにしても地元の方々にとっても大切な場所である以上、速やかに開放させてもらうぞ」
敵の思想や事情は、地球のものたちには関係ないはずだ。
よく手入れされた角が、バリアを貫く勢いで向かっていく。
むろん、貫くのは手にした小剣だ。降下の速度を乗せて、レーグルは一気にグラディウスを突きだす。
「我らが大地を開放せよ!」
6度目の爆発も福井の空に広がっていく。
彼に続くのは龍次だった。
「使える人材が減ってきていて頑張ってるところわりいけど、そろそろここから離させてもらうぜ」
輝く小剣は触れさせるだけでいいことを彼ももちろん知っているだろうが、それでも無意識に龍次は剣を扱うときと同じ構えをとっていた。
きっと、誰かに指摘されれば気づいただろうが、この空中で見ている者もいない。
「解放を待っている人たちもいる。なによりここは国の重要文化財だ、余計な事する前にさっさと返してもらうぞ!」
振り下ろした小剣から、また爆発が広がった。
これまでの爆発でバリアがどれだけ傷ついているのかケルベロスたちにもわからない。
ただ、確実にダメージは与えているはずだ。
「城主ってのはな? 民の平穏を一番に考えるもんだ」
鬼人もまた、刀と同じようにグラディウスを構えていた。
「てめぇらがしてるのは山賊がやってる略奪って奴なんだよ! そんな奴らにこの土地を奪わせたままになんか、しておけるかぁ!」
煙の向こうにいる者たちにも届けとばかりに鬼人は叫ぶ。
「我流剣術、鬼砕き! 山賊共に地獄ってのを見せてやれやぁ!」
触れる刹那に、3度グラディウスを振るう。
交差する一点から、また爆発が広がった。
爆音の中で、ケルベロスたちの耳になにかが崩れる音が聞こえた。
木が折れて砕ける音。
そして、積み上げられた石が崩れ落ちていく音。
今も現存している丸岡城が砕けていく様が見えたような気がした。
着地したケルベロスたちが周囲を見回す。
城は今も過去の姿を残していた。
ただ、それを覆っているはずのバリアは、もはや完全に消え去っていた。
●落ちた城からの脱出
魔空回廊が消えても、その地にいたデウスエクスが消え去るわけではない。
ゆっくりと喜びあう時間もなく、グラディウスをしっかり保持したケルベロスたちは、急ぎその場を離れていく。
「前回来たときの退路は覚えてるんだよな?」
「……当然だ。ただ、同じルートが使えるとは限らないし、現れる敵の動きも同じとは限らん」
「そうですな。参考にはなるでしょうけど、過信はできまへん」
レヴィンの問いに、二郎やマリアが答えた。
警戒は怠らないようにしつつも、ケルベロスたちは2人に誘導されて走っていく。
その眼前に翠の槍が突きつけられたのはほどなくのことだった。
「よくも我らの城を落としてくれたな、ケルベロスども!」
翠槍戦団の精鋭は怒りの声をあげるが、聞いている暇はない。
「黙れ山賊野郎。怒ってるのはこっちのほうなんだよ!」
鬼人が両手に刀を構えて踏み込む青年の前で、エインへリアルが素早くルーンを刻む。
そこに空の魔力を帯びた無名の刀が薙ぐが、敵は揺らぎもしなかった。
鋭刃のルーンを刻んだ翠の槍が鬼人へと向くが、そこにマリアが踏み込んできた。
「防戦に回っとる暇はないんや。その加護砕いたります!」
鮮やかな青い翼を広げたマリアの爪が、鋭く変化する。
竜の爪がルーンを切り裂き、その加護を無効化していた。
「ついでに言やあ、かわされてる暇もないんだよな。だから……くれてやる、拾いな」
泰孝が金貨を虚空に放り投げた。
黄鉄鉱で作り上げた金貨は、土の上に散らばって甲高い音を立てる。
騎士はそれを拾おうとはしなかった。けれど、音を聞くだけでもすでに敵は泰孝の術中にはまっている。
放り投げた黄鉄鉱は敵の体にまとわりついて、その足を封じていた。
なけなしの良心も、深く頷きながら猫の輪を飛ばして攻撃する。
「ぶっ飛びやがれ!」
翔が放つ竜砲弾や、レヴィンの飛び蹴りが後方から重なってさらに動きを鈍らせる。
他の者たちもそれぞれ攻撃をしかけているが、そのすべてが命中したわけではない。
地獄の炎を放つレーグルの両腕を飾る縛霊手から紙兵が飛び出し、二郎が押したスイッチで仲間たちを鼓舞する爆煙があがる。
いつ消えるともわからない爆煙に隠れたままで、ゆっくり時間をかけて戦う余裕はない。
槍が鬼人を狙う。
レーグルは素早くその穂先から仲間を守った。
「……クラッシャーなのは雑兵たちと変わらぬようだな。皆、敵の攻撃力に気をつけろ」
威力を体で確かめてレーグルは仲間たちに告げる。
「だが、何度もルーンを刻まれては困るなーー奏でよ、奪われしものの声を」
デウスエクスに奪われた両腕から地獄の炎が吹き出した。
激しい炎が敵へと襲いかかり、焼いた体に呪詛を残す。
次々に攻撃を加えていく中、龍次のギターが響いていた。
「次はこの曲だ!」
追憶に囚われず進む者たちの歌を歌いながら2本のギターを合成し、流れるように光の意思と希望の歌につなげる。
その調べは敵の動きを少しずつ縛っていく。
それでも敵の攻撃力は脅威だが、レーグルと泰孝、それに彼の良心が仲間たちを守っていた。
天を衝く痛烈な一撃を、なけなしの良心が喰らう。
二郎は素早く腕をウイングキャットに向けた。
「――『正しく』在れ、我が混沌」
四肢の一部を補う混沌の水が良心へと飛ぶ。正しき者を癒し、邪な者を喰らう水は、ウイングキャットに対しては回復として働いた。
回復に支えられて戦うケルベロスたちと違い、翠槍戦団は十分に回復できずにいる。
「追い詰められたお祝いだぜ。喜びな、全弾プレゼントしてやるよ!」
レヴィンは敵の動きが十分に鈍ったのを確かめて、攻勢に出た。
箒という女の子の形見であるリボルバーから、一気に全弾を叩き込む。
財布に優しくない技だが、魔空回廊を破壊できたことを考えればお釣りが来るというものだ。
「うちの攻撃からは逃がしません」
マリアの伸ばした如意棒がさらに敵の体力を削り取る。
敵が限界を迎えたのは、それからほどなくのことだった。
死にものぐるいで放たれた槍の一撃を受けたレーグルが降魔の拳で体力を奪い返し、泰孝が気を飛ばしてさらに回復する。
「そろそろとどめの時間だぜ! 我流剣術『鬼砕き』、食らいやがれ!」
おにひとか放つ刹那の連撃が残りわずかな敵の体力を削り取る。
「ファング、ロア、ネイル! あいつがターゲットだ、行け!」
龍次が飛ばした3機のドローンが、連携でエインへリアルを追い詰める。
「締めは任せたっ!」
「ああ、任されたぜ! この世から消えやがれ!」
翔が一気に敵へと接近した。
最大まで解放した混沌の水が翠槍戦団を飲み込んでいく。
押し流された敵は、もはやなにも残すことなくこの世から消え去った。
足を止めることなく、ケルベロスたちはそのまま丸岡城から走り去った。
十分に中枢から離れたところで、レーグルが振り返る。
「これでこの地も、ようやく復興できるであろうかな」
遠くに、平穏を取り戻した丸岡城の天守が見える。
「桜……皆さんが見れるとええですね」
マリアの言葉が、まだ残る爆煙の中に流れる。
鬼人は婚約者からもらったロザリオに手を当てて無事を感謝する祈りを捧げていた。
「みんな無事に帰れたことだし、よかったらこの後、花見の前哨戦でもどうだ?」
仲間たちにそう呼びかける。
やがて咲く花を想って食事に行くのは、悪くない考えかもしれない。
提案への答えはそれぞれだったが、ケルベロスたちはおそらく皆、復興した丸岡城の姿を心に浮かべながら帰還していった。
作者:青葉桂都 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年1月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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