●アドリブで切り抜けるタイプ
年始、となればのどかな時間を過ごす家庭も多いだろう。
炬燵にこもっておせちをつっついたり、あるいはカレーを食ってまったりする。
一般的な正月の過ごし方ってやつである。
で、それは鳥さんと信者さんの場合でもだいたい同じだった。
「新年、あけましておめでとぅー」
『おざーっす』
炬燵の上座に鎮座した鳥人間のあいさつに、男たちがおざなりに返す。
寒さに負け切ってこたつむりと化した姿はまさに堕落した正月の体現。日本のどこにでもあるありふれた光景だろう。
ただひとつ、食卓の中央にたこ焼き器が置いてあることを除けば。
「新年といえばたこ焼きだ。おせちとかいうやつはゴミでしかない! 人間たる者、年の始めには皆たこ焼きを食うべきなんだ!」
しゅぱぱぱぱっ、とプレート上のたこ焼きをピックで返す鳥さん。
その手並みは鮮やかで、たこ焼き生地はどんどん綺麗に丸まってゆく。それを職人技のピックで皿に飛ばしてやると、信者たちは大歓喜した。
「やったーたこ焼きだー!」
「ひゅー! めでたいぜー!」
「そうだろう! めでたいだろうたこ焼き!」
HAHAHA、とたこ焼きを作りつづけながら笑う大将。
「まずプレートに乗った半球状の姿が、日の出を思わせる! さらにソースを乗せてやればそのさまは雪化粧された霊峰富士のごとし! 年始に食うにふさわしい!」
「おー確かに!」
「そんな理由があったんすか!」
「すごいだろう! 俺がいま考えた!!」
『す、すげええええええええええええええ!!』
堂々と言いくさった大将の答えに、異口同音に吃驚する信者たち。
アカン、年始のテンションで判断力を失っとる。
●めでたさバトル
「新年からたこ焼き……大阪ならまだしも、っていう感じですね」
「風情も何もないですね!」
ヘリポートに2人並んで、アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)と笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は凧あげをしていた。
なんか当然のように、空を泳ぐ凧を見上げていた。
これは年始で緩んでいる空気ですね。猟犬たちは一瞬で理解しました。
「おっと、皆さん来ていましたか」
「あけましておめでとうございます! 本年もよろしくです!」
とっくに猟犬たちが来ていたことに気づくとアンヴァルはするすると凧を引き戻し、ねむはまるで何もしていなかったかのように普通に挨拶してくる。
それに適当に返すと、ねむはようやく本題に入ってくれた。
新年はたこ焼きを食べるべき、と説教(?)するビルシャナが布教を進めており、このままでは全日本が大阪化してしまうかもしれない。そうなる前にビルシャナを滅☆殺。
ねむちゃんが一息に話した内容は、だいたいそんな感じでした。
凧を丁寧にしまったアンヴァルは皆に振り返り、言う。
「ビルシャナは『たこ焼きはめでたい』と屁理屈をこねて信者を納得させているみたいです。だから信者を正気に戻すにはその屁理屈をぶっ潰してやる必要があるんですよ」
ぐっと右拳を握ったアンヴァルが、左拳を同じ高さに上げる。
「屁理屈には屁理屈です。こっちも何かそれっぽい説明で食べ物を繰り出して『あれ? もしかしてたこ焼きよりめでたいんじゃね?』って思わせてやりましょう! たこ焼きに引っかかる連中ですしきっと楽勝ですよ!」
ごつん、と両拳を合わせるアンヴァル。
なるほど目には目をというやつである。真偽はともかく信者がそれをめでたい料理と思えば、鳥さんのたこ焼き教からは改宗してくれるだろう。
そうなればあとは、鳥さんをボッコにするだけですね。
「それじゃあ、みんなヘリオンに乗ってください! 新年早々のお仕事ですけど、気を抜かずにお願いしますね! 現場のたこ焼きは好きに食べちゃっていいですからね!」
「いまいち新年っぽくないですが、貰えるなら貰っておきましょう」
猟犬たちに背を向け、てくてくとヘリオンへ歩いてゆくねむ&アンヴァル。
かくして、一同はたこ焼き職人を葬りに行くのだった。
参加者 | |
---|---|
シルフィリアス・セレナーデ(紫の王・e00583) |
久遠・薫(恐怖のツッコミエルフ・e04925) |
セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642) |
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690) |
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173) |
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102) |
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433) |
シャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456) |
●たこ焼きしか見てねえ
香ばしい匂いが漂い、半液状の生地がジュウと音を立てて焼ける。
久遠・薫(恐怖のツッコミエルフ・e04925)は、真剣な顔で口をひらいた。
「お正月にたこ焼きですか」
「冷食のを揚げると、お手軽かつ美味しいですよね」
「でも、たこ焼きくるくるしてるのは楽しいけどお目出度くはないよね」
顔を突き合わせて薫とたこ焼きトークするのは、瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)とリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)である。
3人ともリラックスしていた。
鳥さんたちと一緒に炬燵を囲んで。
「どこのどいつだァーー!!」
ぽいぽいたこ焼きを返していた鳥さんが、猛然と立ち上がる。
急に知らない人が紛れこんでるからね。当たり前だね。
「まあ落ち着くっすよ」
「そうですよ~。寒くなるので炬燵布団を開けないでくださいっ!」
「いや貴様らもだよォ!」
人様の炬燵で平然とぬくぬくしているシルフィリアス・セレナーデ(紫の王・e00583)とセレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)に、もはやビビる鳥。
だが、2人の次の声を聞いた瞬間、その顔から怒りは消えた。
「たこやきがめでたいものと聞いて、それが事実か確かめに来たっす! というわけであちしにもたこ焼きひとつ」
「あ、私も欲しいです~」
「ほう、たこ焼きを! それは良い心がけだ」
嬉しそうにたこ焼き器に生地をぶっこむ鳥。
「た、隊長!?」
「ダメですよ! 生地の量にも限りが……」
信者たちは止めようとした。
だがその腕を横から何者かが止めた。
「調理中にちょっかい出すのは危ないですよ」
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)だ。
なぜかメイド服を着ている。
「メイド服……」
「正月にはメイドもいるかと思いまして」
「どうしてそう思っちゃったの!?」
「いるかいないかで言ったら、いたほうがいいっすよ!」
「それはそうかもだけど!?」
横合いから口を挟んでくるシャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456)に気圧され、結局は銀髪メイドを受け容れる信者たち。
どうやらこのまま居着くことはできそうだ。
部屋の隅っこで独り見物していたオルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)は、ほっと安堵の息をこぼした。
「たこ焼き……食べられそう……!」
●たこ焼きポテンシャル
一口大のまんまる熱々。
たっぷり削り節が乗った焼きたてたこ焼きを口に放って、シルフィリアスとセレネテアルははふはふと頬を動かした。
「美味しいっすね。タコも大ぶりっす」
「鳥さんの特製ソースも美味しいです~」
「ふふふ、さあ食え食え!」
上機嫌の鳥さんが、プロの芸当でたこ焼きを返しつづける。
たこ焼きを食いながら、シャムロックとリリエッタはピック捌きに感心した。
「これが一流のたこ焼き職人の技っすか! 返し方が鮮やかっすね!」
「くるくるすごいね。リリにもできるかな?」
「ああ、たこ焼きへの愛があればな!」
爽やかに親指を立てる大将。
猟犬たちはすっかり同志認定されていた。
――が、シルフィリアスは、口についたソースを拭きながら唐突にぶちこむ。
「ところで正月の縁起物といえばポテチっす!」
「ぬぁっ!?」
ピック操作を誤ってたこ焼きを吹っ飛ばす鳥さん。
「お、おまえ何を……」
「ポテチには伊勢海老味や鯛味、金箔付きの物もあるんすよ。縁起がいいものと組み合わせられるならポテチも縁起物っすよね。だから正月からポテチ食べるべきっす!」
持ちこんだポテチ袋を卓上にぶちまけ、ぱりぱり食べはじめるシルフィリアス。
「ほう、ポテチ……」
「ポテチも縁起物なのか……」
匂いにあてられたか、数名の信者がポテチを手に取る。
袋を見つめる彼らの横で、セレネテアルは聞こえよがしに言った。
「よく考えたら、たこ焼きって『お正月』のイメージないですよね~。神社へ初詣に行った際に出店で食べるぐらいでしょうか~?」
「た、確かに出店ぐらいかな……」
「うん……」
「ちなみに、おめでたいお正月と言うなら私は断然、お雑煮ですね~! お雑煮って言ったらもう自然とお正月が浮かぶじゃないですか~!」
「あ、それはもう正月だわ」
「むしろ正月しか食べないって感じだよね」
「それですよ~!」
正解、とばかりに信者を指差してウインクするセレネテアル。
「それに比べてたこ焼きって、ピンときませんよね~? 本当に正月の料理だったら布教するまでもなく知られている筈ですしっ」
「そう言われるとな……」
セレネテアルの言い分に、信者が真剣に頷く。
と、そこへ濃ゆい油の香りが漂ってきた。
「たこ焼きだけでは……画竜点睛を欠くんですよ!」
アンヴァル(メイド服)だった。
アンヴァル(メイド服)の手元に置かれている天ぷら鍋だった。
揚げられているのは――たこ焼き。
「そ、それは!」
「更に揚げる『揚げタコ』こそ至高であり境地」
「あ、揚げタコ……!」
「お正月にタコを揚げるのも、実は揚げタコが起源なんです」
「な、なんだってぇ!?」
適当ぶっこくアンヴァルだが、信者の反応は良好だ。卓上に身を乗り出すほどに。
アンヴァルは揚げたてのたこ焼きを右院や薫、シャムロックに振る舞った。
「さあどうぞ。外はカリカリで中はふわとろ。この奇跡のマリアージュの前には、オーバーカロリー正月太りも待ったなしですよ」
「揚げたたこ焼き……やっぱり美味しいですね」
「私は関西のトロふわが好みですが、かりトロも良いものです」
「いやーすげえ美味いっすね! おかわり良いっすか?」
「もちろんです。私はお出汁でいただきましょうかね」
わいわい、と揚げタコで盛り上がる猟犬たち。
信者たちは思わず喉を鳴らした。
「美味そうだな……」
「あぁ……」
「食べたいなら、皆さんもどうですか?」
信者たちへ向けて、揚げタコの乗った皿を差し出すアンヴァル。
彼女はそれを卓に置くと、胸の前に両手でハートを作る。
「さあ、アゲていこうぜ。AGE☆AGE☆」
『うおお! アゲアゲー!』
たまらん! と揚げタコに群がる信者たち。アンヴァルは勝ち誇った。
なお「揚げても美味しいたこ焼き最強!」という鳥の一言により、結局信者たちの目はあんまり覚めなかったとかなんとか。
●勧め方の問題
「やはりたこ焼きか」
「ああ、正月はたこ焼きだな」
なんだかんだたこ焼きを食いつづける信者。
黙々と小さい球を口に入れる彼らを見て、シャムロックは盛大に息をついた。
「大の男が新年早々ちまちまちまちまたこ焼き焼いてるなんて嘆かわしいっす! 男ならやっぱ肉っすよ! 肉!」
「肉……ってそれこそ新年早々いらないのでは?」
「なに言ってるっすか!」
だんっ、と卓を叩くシャムロック。
「肉こそめでたさナンバーワンっすよ! 例えば『ステキ』な一年が過ごせるように『ステーキ』! 焼き目が付いた肉はワイルドな男の象徴ですし、レアに焼いた肉の赤みは初日の出のようっすよね!」
「ふむ……?」
「どんな困難にも打ち『かつ』強さを授かれる『とんかつ』も最高ですし、あと『ロールキャベツ』も美味いっすよね! 外側は柔らかくも内側は力強いっていうモテ男子を表しているんすよ!」
「モテ男子……!」
「でかいな。それはでかい。だがタコもめでたいと俺たちは聞かされたが……」
シャムロックの熱弁を聞いた信者たちが、たこ焼きを突いていた爪楊枝を止める。
薫は彼らの前に移動すると、じっと目を見て語りだした。
「確かにタコは赤色の『魔除け』、墨を吐く事から『苦難を煙に巻く』、多くの幸という当て字で多幸(タコ)など様々なおめでたい意味があると言われています……ですが、あくまでそれは御節の酢だこ、旨煮であってたこ焼きではないのですよ?」
「な、なにぃ!」
「たこ焼きではダメなのか!?」
「ええ、ダメです。それに丸いから日の出と言うなら、ほかにも丸いものはあるじゃないですか」
スッ、と薫が懐から何かを取り出して……っておいまさか!?
「そう、バウムクーヘンです!」
やっぱりだったよ! 考えるまでもなく予想通りだよこの人!
「バウムクーヘンの何が縁起物……?」
「バウムクーヘンには中心に穴がありますよね? つまり先を見通す、と言う縁起物になります。丸い形は角が立たず丸く収めるという意味ですね。そして『バウム』とはドイツ語で木という単語、すなわち長寿の証拠です」
「なんか詭弁を聞かされてる感がすごいんですけど……」
「何よりよく引き出物として送られます。つまりとてもおめでたいですね。さあバウムをお食べ!」
「ぐあああーーー!?」
バウムクーヘンを両手装備した薫が、信者に襲いかかった。
逃げようとするが無駄だった。彼らにできるのは口に押し付けられるバウムクーヘンから必死に顔を逸らすことぐらいだった。
「や、やめれぇー!」
「遠慮なんて無用ですよ? ほらたっぷりと用意してますから、ドンドンお食べ?」
「怖えよ! 怖すぎるよ!」
バウムをぐりぐりしてくるバウムに戦慄する信者たち。
リリエッタがとことこと近づくと、彼らは薫から助けてもらおうと手を伸ばした。
「た、助け……」
「よく分からないけど、これ養殖じゃなくて天然物なんだって……すごいね」
「ナンノハナシ!?」
手持ちの袋から出したたい焼きを見せるリリエッタに、一斉にツッコむ信者。
これは助けてもらえない。
そう確信した信者たちに、リリエッタは温かいたい焼きを差し出した。
「昔からお正月には『めでたい』って鯛を食べてたんだよね? だから鯛の形したたい焼きもめでたいんだよ?」
「いやそりゃ鯛はめでたいだろうけど……」
「それに本物の鯛よりたい焼きの方がかわいい感じがするよね? ほら、かわいいから愛でたくなるよね? 愛でたい愛でたいだよ?」
「シャ、シャレだと……!」
「てゆーかやめろォ! 口に押し付けるのやめろォ!」
「じゃあバウム食べましょう」
「おまえはもっとやめろォォ!!」
無表情でたい焼きを顔面に押しつけてくるリリエッタから顔を背ければ、背けた先ではバウムにバウムを押しつけられる信者たち。THE地獄。
彼らの断末魔を聞きながら、右院は紙袋からシャンパンを取り出した。
「めでたい食べ物が揃いましたし、乾杯でもしましょうか。表彰台で掛け合ったりもしますよね。今します?」
「バカやめろ危ない危ない!」
「栓をこっちに向けるんじゃないよ!」
「冗談です」
信者たち(まだリリエッタと薫に挟撃されてる)に向けたシャンパンを、すっと下げる右院。そのまま信者らが食ってたたこ焼きを一瞥すると、
「そもそもシャンパンはたこ焼きとは合わないんですよね。おせち料理とかだと絶妙にオードブルめいてて相性抜群なんですけど……」
残念そうにかぶりを振った。
確かにたこ焼きにシャンパンは、別段良い組み合わせではないだろう。
しかしどこか憂うような右院の表情は、たこ焼きとの相性問題だけではなかった。
「ちなみに俺は未成年なのでこれノンアルです。日本酒もめでたい鏡開きで使うけど、ノンアルコールの樽って売ってなかったんで……未成年からすれば何がめでたいんだかって感じですね」
「お、おまえ……」
「何も酒ひとつでそこまでやさぐれなくても……」
はは、と乾いた笑いを浮かべた右院を信者たちがポンポンと慰める。何この状況。
すねる右院のおかげで静まる空気。
そこへ、隅っこでじっと黙ってたオルティアが、動いた。
「おめでたい食べ物……そんなの、簡単。地球に来たばかりだって、それくらいは、分かる。詰まる所――『ケーキ』、間違いない」
「ケーキ……?」
自信満々に言ってみせたオルティアに、信者たちが怪訝そうな目を向ける。
「だってそうでしょう。祝い事の席には、いつだってケーキが、用意されている。
誕生日? もちろんケーキ。
結婚式? そこにはケーキ。
クリスマス? 当然ケーキ。
その他諸々? 多分ケーキ」
言いきったオルティアが、炬燵の真ん中にとすんとケーキボックスを置く。
開けるとそこには――立派なホールケーキが!
「おめでたい場に、いつもある食べ物。それがおめでたくない、わけがない。だからお正月にだって、ケーキ、それこそが、正解……! なので、作ってきた」
「ケーキや!」
「ケーキだケーキだ!」
「いくつも作ってきたから、分けてあげても、いい。要る……?」
ちらり、と信者たちの表情を覗くオルティア。
信者たちは綺麗な笑顔で、お皿を持って頷いていた。
●いい日だった
鳥をサクッと殺った一同は、炬燵を囲んでいた。
「残すのも勿体ないっすからね。美味しく頂かないと」
「めちゃうまです~! これだけの腕前があれば、沢山の人々を幸せに出来たかもしれないのにっ」
「うん、本当に……新年に限るなんて言い出さなければ、みんなこれで幸せになったかもしれないね……」
せっせとたこ焼きを口に入れるシャムロックの横で、しみじみと鳥さんを哀悼(?)するセレネテアルと右院。
確かに真っ当に生きれば、鳥さんは人々に多くの幸せを与えたかもしれない。
――すぐ向かい側で、感涙せんばかりにたこ焼きを食べているオルティアのように!
「本当に嬉しい……! 食費、浮く……!」
数日分ぐらい食いだめすんのかって勢いで食いまくるオルティア。
説明しよう!
オルティアさんは地球の魅惑的な商品(可愛いぬいぐるみや美味しいスイーツ)の悪辣な誘いに負けっぱなしであり、なんかすごい金欠!
「地球に来たばかりで慣れないこともありますよね。ご苦労様です」
「あ、ありがとう……!」
アンヴァルが差し出した揚げタコを、しゅばっと摂取するオルティア。
その嬉しそうな表情を見てアンヴァルは、以前に揚げタコを食いまくったときに何着か服が着られなくなったことは黙っておこうと決めた。
「むぅ。たこ焼き丸くするの、難しい」
「初めのうちは慣れないよねー」
「こう、徐々に返すのがコツみたいだよ」
仲間たちが食いに興じる一方、リリエッタはたこ焼き器の前に陣取って、くるくるとたこ焼きをひっくり返していた。周りにいるのは彼女を見守る元信者たちである。
「じゃあこの失敗したやつはマヨネーズで俺が――」
「却下ですね。そんな人はバウムをお食べ」
「ぐああああ!?」
リリエッタのたこ焼きにマヨをかけようとした元信者が、薫の魔手にかかる。バウム至高明王でありたこ焼きにマヨ絶対許さない明王だったからね、仕方ないね。
「ふぅ、食ったっすね。それじゃ帰るっすか」
「うん。お土産のたこ焼き、早く食べさせてあげたいな」
死ぬほどたこ焼きを収めた腹をさすさすするシルフィリアスに、タッパー片手にしたリリエッタが頷く。中身は当然ながら手作りたこ焼き。
腹を満たし、土産も手にした。
充実感を覚えながら、猟犬たちは現場を後にするのだった。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年1月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 1
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