聖夜のにゃんこ

作者:崎田航輝

 しゃんしゃんしゃんと何処かで鈴が響き、いくつもの光に夜が燦めく。
 街が眩く飾られた、今宵はクリスマス。道々を歩む家族連れや友人、恋人達──そんな人々が少しだけ浮き立つ日。
「ちょっと遅くなっちゃったなぁ……」
 クレーエ・スクラーヴェ(明ける星月染まる万色の・e11631)は呟きながら道を行く。
 所用を終えたのがつい先刻。帰り道ついでに、せっかくの日だから何か贈り物でも選んでいこうかなと思ってのこと。
 ケーキとか、或いはクリスマス仕様のグッズも悪くない……なんて思いながら街並みを見た──その時。
「……?」
 ふと何かを感じて視線を巡らす。
 肌に覚えたのは不可思議な──というより、どこか見知ったような気配。
 気づけば、いつしか周囲からひとけがなくなっていて。代わりにぴょん、ぴょんと、跳んでくる一つの人影が見えていた。
「え……?」
 視線の先にすたりと降り立ったその姿に、クレーエは始めびっくりする。
 それは死神。驚いたのはどこかで会ったことがあるような気がするから、だけでなく……サンタコスのような格好をした、可愛らしい見目をしていたから。
「もしかして……猫吉?」
『さあ、一緒に猫の国へ行くにゃん♪』
 今度こそ、というように死神は手を差し伸べる。
『クリスマスプレゼントに、案内してあげるにゃん。猫、大好きにゃん?』
「にゃんこはもちろん、大好きだけど……」
 クレーエは頷きつつ、すぐに首を振る。
 それが死にいざなうデウスエクスの甘言だと判っているから。
「騙されないんだからねっ!」
 気を強く持って言うと、クレーエは武器を取って死神に対峙した。

「クレーエ・スクラーヴェさんが襲撃されることが予知されました」
 仄かな雪も垣間見えるヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、集まったケルベロス達に説明を始めていた。
「未だ予知の出来事は起きていませんが、猶予はない状態です」
 現段階でクレーエは街にいる状態。連絡も繋がらず、敵と遭遇してしまうところまでは防ぐことは出来ないだろう。
「とはいえ、今から急行して戦闘に加勢することは出来ます」
 そうすればクレーエを救うことが出来るはずだと言った。
 現場は海にほど近い街。
 クリスマスの装いで、本来は人通りもあるはずの場所。だが敵も人払いを行っているためか戦闘時には無人になるようだ。
 一般人の流入に関してはこちらが注意する必要はないだろう。
「皆さんは合流し戦闘に入ることに注力して下さい」
 クレーエを見つけることは難しくないはずだと言った。
「敵についてですが、死神のようですね」
 正体や詳しい目的は不明だが、放っておけばクレーエの命が危険なのは事実。侮れない戦闘力を持っているはずなので注意を、と付け加えた。
「死神の甘言に惑わされぬよう、気をつけて撃破を目指してくださいね」
 イマジネイターは皆へとそんな言葉を送った。


参加者
月原・煌介(白砂月閃・e09504)
セツリュウ・エン(水風涼勇・e10750)
イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)
深緋・ルティエ(紅月を継ぎし銀狼・e10812)
クレーエ・スクラーヴェ(明ける星月染まる万色の・e11631)
月岡・ユア(幽世ノ双月・e33389)
ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)

■リプレイ

●猫の夜
 きらきらと燦めく街は聖夜の彩り。
 眩い灯りを帯びた景色は綺羅びやかで美しい──なのに奔れば奔るほどひとけはなく、代わりに満ちてくるのは猫の気配だった。
「……また来たんですか」
 街へ降下して戦場を目指していた深緋・ルティエ(紅月を継ぎし銀狼・e10812)は、遥か遠方の一角にその原因を見つけて白い息を吐く。
 そこに在るのは探していた人影と──猫耳の死神の姿。
「というか、なぜ、よりによって、今日なのですか……」
「そうだねぇ……クレーエの誕生日ににゃんということだろう……」
 応える月岡・ユア(幽世ノ双月・e33389)も呟かないでは居られない。
「なんていうか、愛されてるねぇ……猫吉に。ユエもそう思うだろう?」
 ユアが瞳を向けると、ビハインドの妹もこくりと頷きを返していた。
 故にこそ、ルティエは目を細め戦意を宿す。
「好きにはさせません」
「もちろん。折角の誕生日を台無しにしちゃダメだし! 早く助けに行こう」
 ユアが言えば皆もまた頷いて。真っ直ぐにその戦場へと向かっていく。

 クレーエ・スクラーヴェ(明ける星月染まる万色の・e11631)は一歩下がって戦いの体勢を取っていた。
「それにしても、猫吉再再来だなんて──」
 呼吸を整えながら、改めて眼前の敵を見つめる。
 人型の死神、猫吉。クリスマスの装いであったり、可愛らしいのはいい。けれど──クレーエは眦を下げる。
『どうかしたのかにゃん?』
「もふもふじゃない……」
『にゃん?』
「もふもふじゃない猫吉なんて……」
 首を傾げる猫吉に、クレーエはほんのり侘びしげな声を零していた。
 脳裏にあるのはもこもこのシルエットやふわふわの毛並み。いろんな意味で変わった敵の姿に驚きを禁じえないのだった。
 反して猫吉は上機嫌だ。
『この姿の方がご案内しやすいにゃん♪ さあ、猫の国へ行くにゃん♪』
「猫の国……ううん、行かないってば!」
 クレーエが首をふるふると振る。と、意を汲むようにふわりと飛び出る姿が在る。
 長い前髪で顔を隠し、桜吹雪で足元を覆う儚げな少女──ビハインドの桜。子が親を護ろうとするかのように、しゃらりと花弁を舞わせて牽制していた。
 猫吉は後退しながらも、スライムを走らせて反撃してくる。
 猫型のそれに足をはむはむされながらも、クレーエは淡く輝く霧を明滅させて即座に治療したが──。
(「やっぱり、強いなぁ」)
 続く猫吉の攻撃は前より威力が増していて、耐え抜くのも容易で無かった。
 幸い桜のおかげで自身は支援に徹することも出来ているが──それでもきっと、長くはもたない。
 猫吉も早々に勝利を確信してだろう、ゆっくりと歩み寄る。
『さあ、沢山の猫が待ってるにゃん♪』
「──行かせないよ!」
 と、その時。宙より羽撃く黒翼があった。
 それは高速で割り込むように飛来した、ユア。
「はぁい、お待たせ! クレーエ、誕生日おめでとーう! っと!」
 心は痛むけれど、それでも全力で猫吉にキックを叩き込んでいく。猫吉が後退していくと、さらに舞い降りる影があった。
「いえーい、メリークリスマス! 誕生日もおめでとうなんだぜ!」
 聖夜の明かりにも劣らぬ眩い星灯りを、その脚に宿して跳ぶステラ・フラグメント(天の光・e44779)。くるりと翻りながら、猫吉へ強烈な蹴撃を命中させていた。
 その間にクレーエを癒やすのが月の魔法使い、月原・煌介(白砂月閃・e09504)。
「クレーエ……桜。クリスマスにまで、お疲れ様……助けになる、よ」
 柔い月灯りの如き、穏やかな声音と共に。
 空に差し伸べ印を結ぶ右手に、月光を抱かせて──描いた魔法陣から極光を生み出す。『月彩優羽』──羽毛の幻想は仄かに触れるように傷を拭っていった。
「セツリュウも、ね……」
 と、煌介が視線を向けるのが麗しき竜人、セツリュウ・エン(水風涼勇・e10750)。
 白妙の髪をさらりと揺らし、先ずは一礼して見せて。
「クレーエ、桜、初にお目にかかる。煌介の友セツリュウ・エンと申す。心一つ、助太刀に参った。宜しゅうに頼む」
 爽やかに笑うと、腕を伸ばし日輪の如き光を注ぎ治癒を進めていく。
 傷が癒えれば、イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)は攻性植物をゆらりと操っていた。
「では、護りも固めておきましょうか」
 宿主の意志に応じて蔓を伸ばしたそれは──温かな黄金の煌きを燦々と与え、前衛に加護を齎していく。
 ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)がテレビウムの菜の花姫に、癒やしの光を施させれば──クレーエも万全だ。
「これでひとまずは安心かのぅ」
「……無事で、良かった」
 ルティエが安堵の表情で歩み寄ると、クレーエはしっかりと頷いて見つめ返した。
「ありがとう。みんなも」
「誕生日おめでとう。こんな日に襲撃とは、激動のクリスマスですね」
 イッパイアッテナも言うと、クレーエは礼を述べて微笑む。
「そうだね。本当に」
「というか、毎度ながら猫の国へ良く誘われてるな、クレーエ!」
 ステラの言葉にも、クレーエは笑顔を返し、前へ向き直っていた。
「うん。俺も驚いているよ」
 視線の先には、屋根伝いに戻ってくる猫吉の姿がある。
『あとちょっとだったのににゃん。でも、みんなをご案内できる機会にゃん♪』
「案内、か。見た目が変わってもやることは変わらないようだ」
 ルティエは息をついて拳を握り込むと、風の速度で地を蹴って。
「二度あることは三度ある、とは言うけれど……今度こそお前を倒して、三度目の正直ということにさせてもらう!!」
 刹那、肉迫して銀に燦めく鮮烈な獣拳を打ち込む。
 ふらついた猫吉へ、イッパイアッテナの相箱のザラキが光纏う武装で一閃を刻みつけると、ミミも光翼で可憐に舞っていく。
「これで、下に戻ってもらうのじゃ」
 瞬間、回転蹴撃。直下へ衝撃を与えて猫吉を地面に落下させていった。

●猫戦
 サンタ帽から雪を払い、猫吉はすぐに立ち上がっていた。
 その顔にあるのは変わらぬ笑顔だ。
『ひどいにゃん。でも、まだまだ諦めないにゃん♪』
「熱心だな、猫吉」
 ステラが感心交じりに零すと、イッパイアッテナは少々疑問符を浮かべている。
「しかし、何故それほど執念深く彼を猫の国へ?」
『猫好きな人を猫の国にお招きするのは、当然のことにゃん』
 猫吉の言葉は自明の理とでもいうようだ。
 あまりに自信満々なので、ミミはふぅむと宙を仰いだ。
「猫の国……どんな国なんじゃろうなぁ。猫がいっぱいいて、もふもふだらけなんじゃろうか?」
『もちろんにゃん! もふもふもこもこの、にゃんにゃんだにゃん!』
「楽しそうじゃのぅ。子猫もいっぱいじゃろうし……」
 ミミは瞳を和らげつつも──それでもううんと首を振る。
 この死神がそんな国に連れて行ってくれはしないと判っているから。
「気になりはするがのぅ。それでもクレーエどのを無事に連れて帰らねばならぬのじゃ」
「うむ。ここで、お引き取り願わねばな」
 セツリュウがゆるりと膝を落とし、戦いの構えをとれば──クレーエはそんな皆へ改めて声を送っていた。
「ありがとう」
「クレーエはルティエの、俺たちの大事な人さ。何度だって一緒に戦ってやるぜ!」
 ステラは力強く拳を握る、と、猫吉はそれに反抗するように猫型スライムを放ってくる。
『色んな猫に触れればきっと心変わりするにゃん!』
「させると思うか」
 と、奔るのはルティエ。刃を滑らせてスライムを両断し、猫吉の零距離に迫った。
「クレーエの誕生日で大事なお祝いの日なのに、邪魔したな? またお星さまになりたいなら、そうしてやる」
 瞬間、連続で滑らす刃で猫吉の膚を裂く。
 視線を受けたクレーエも、杖から閃光を帯びた花弁を生む。同時に桜も花吹雪を踊らせれば──同一存在に由来する二重の攻撃が猫吉を包み込んだ。
『それなら今度はこれにゃん♪』
 猫吉はその中を突っ切らせるように雪猫を大量投入してくる。奔ってくる真白い群に、ユアは思わず手を伸ばしそうになった。
「あんなあざといもの使ってくるなんてっ。でも……でも! 惑わされちゃダメだよっ」
「応!」
 頷くセツリュウは護りのために前に出る。
 その姿が心強く、煌介は瞳をやわく細めていた。
「調子は、良さそうだね……新しい武器の方はどう?」
「ガジェットかや? 見ての通りだ!」
 応えてセツリュウが握るのは真珠色の優美な銃。引き金を引けば水墨の朝靄の如き、美しい霧が漂い盾となる。
 それを以て猫の突進を防御し、セツリュウは金の瞳を向けた。
「上々だのう。どうだ、別の機にでもまた、もっと良く見てみるか?」
「……メンテナンスに付き合わせる心算……だね」
 良いけど、と微苦笑する煌介にセツリュウもまた笑みかける。
「鹵獲で競う事は無うなったが──それでもまだその術、頼りにさせて貰うぞ」
「……勿論」
 判っているよ、と。煌介は聖樹の杖を振り下ろし、高い夜空から月光を引き込んで防壁と成していた。
 前線が癒えると、ミミは空を翔け抜け反撃。眩い焔を棚引かせて猫吉に蹴撃を加える。
 だが猫吉も斃れずに、ぼわんと煙を発現。此方の前衛に猫耳と尻尾を生やしてきていた。
 猫っぽくなった皆の姿に、ステラは悩ましげに腕を組んでいる。
「うーん、猫吉の攻撃は毎回可愛らしくて、ちょっとだけ揺らぎそうだぜ──!」
「うん、皆も可愛い……でも惑わされないんだからー!」
 ユアは猫耳をぴこりと動かしながら、それでも気持ちは強く。
 イッパイアッテナはその心に応えるように、植物を畝らせていた。
「猫化が進む前にすぐに治療をしましょう」
 何よりもクレーエと、彼を信頼し集まった仲間を斃れさせないために。
 そしてこの戦いの本懐を遂げられるよう、皆を護るために。
 手を伸ばしてイッパイアッテナが撓らせた蔓は、灯りに隠れた夜陰すら照らしてみせるほどの輝きを作り出して。防護を厚くし、皆を正常な姿に戻していた。
 ステラの翼猫のノッテが癒やしの涼風を、ルティエの箱竜の紅蓮が魔力の光を赫かせれば、皆が万全。
「行くよ!」
 ユアが風を切って翔ぶと、息を合わせたステラも跳躍。阿吽の呼吸で二方から挟み込む。
 猫吉は跳んで距離を取ろうとするけれど、ユアが上方から月弧の剣撃で叩き下ろせば、ステラも奔り込んで一撃。裂帛の拳で猫吉を吹き飛ばしていった。

●煌めく夜
 地を転げた猫吉は、にゃーんと声を上げながらも──そのままコタツにインして、猫と一緒にぬくぬく寛ぎ始めていた。
『はぁ~、癒やされるにゃん♪』
「くうう、炬燵羨ましいな……あれ、ずるくない?」
 着地したステラは、その光景に羨望の眼差しを向けている。
「俺もあれ入ってみたいよ。それに、あれを見てると……日帰りなら猫の国もいいと思うんだけどなぁ……ダメかな、ユア?」
「気持ちは判るけど。でもダメだなんだからね?」
 ユアもごろごろしている猫に目を取られつつも、めっ、と指を立てていた。
 クレーエもまた興味津津の様子だったけれど──ルティエがちらりと目を向ける。
「……猫の炬燵は家に帰ればあるからね?」
「う、うん。わかってるよ?」
 クレーエは仄かに言い淀みつつ──それでも心は揺らがない。
「うちのにゃんこの方が可愛いもん、誘惑なんかされないんだから!!」
 猫の国は勿論、気になるけれど。
「皆と一緒に居るためにはついて行けないから。今回もお帰り願うよ」
「そう、だね……」
 煌介も静かに頷く。
 皆と一緒にこうしてクリスマスを過ごすことは、不謹慎だけど、嬉しくも思う。
 だからこそ誰も、連れては行かせない。
「素敵な猫の国があるというなら……俺達自身で、見つけるよ。デウスエクスの手は、借りない」
 刹那、梟が飛ぶが如く素早く、鋭く。奔った煌介は靴の黒曜石を煌めかせ、星灯りにも似た冷気の蹴撃を打つ。
 コタツから外に出された猫吉を、ミミは逃さず指差して。
「みーこ、ごーなのじゃ」
 声を響かすと、応じて飛び出した猫のぬいぐるみが猫吉に組み付いた。
「今じゃ」
「では、私が」
 そこへイッパイアッテナがピッケル状の杖を煌めかせ、黒猫の姿へと解放。疾駆させて猫吉を引っ掻かせていく。
 猫吉はそれでもスライムを放つ、が、セツリュウが奔って受け止めていた。
「仲間は、やらせぬよ?」
 云いながら、細身の刀を正眼に構え『風煌雪華』。
 白き花弁の舞う中で、敵を視る眼を研ぎ澄ますと──流麗に廻り、東方演武の如き体捌きで連閃。鎌鼬にも似た鋭利な剣撃で傷を刻んでいった。
 ステラは『Danza di stelle』。猫型ガジェットに星色の砲弾を飛び交わせて猫吉を穿ちながらも──輝く光の中心にノッテを据えている。
「いいか。何だかんだ一番可愛いにゃんこは、うちのノッテだぜ!」
『猫の国……行かないにゃん?』
「当たり前だ。何度も何度も、人の旦那を狙いやがって……」
 ルティエは『紅月牙狼・雪藤』──斬撃と共に氷蔓を絡め、猫吉を大きく振り回す。
「……いい加減に……しろー!!!!」
 そのまま大空へと放り投げると──ユアが仰ぎながら『Violate』を紡いで別れの唄とした。
「猫吉……メリークリスマス。次現れる時は、一緒に楽しめると……いいね?」
 にゃーん、と飛んでゆく猫吉へ、最後にクレーエはSict《Cattus Vnenum Est》。漆黒の猫を飛び出させている。
「それじゃあね、猫吉」
 屋根から跳んだ影猫は、そのまま頭突き。
 猫吉を空の彼方へと飛ばし、消し去っていった。

 きらりと高空に星が光るのを、煌介は見上げていた。
「終わった、ね……」
「うむ。皆、無事かや?」
 静けさが戻ると、セツリュウは向き直っている。
 皆と共に頷いたクレーエは、改めて視線を巡らせていた。
「みんな、助かったよ。ありがとう」
「ん、良かった」
 ルティエが表情を和らげると、皆もまた頷いて。光と雪に彩られた景色をヒールして元の美しさを取り戻していく。
 それも済めば、ミミは菜の花姫と共に歩み出していた。
「夜も遅くなってしまったようじゃし、早く帰って寝なければのぅ」
 帰ったらクリスマスが待っている。起きていてはプレゼントも貰えないから、と。
 その姿を見て、イッパイアッテナはクレーエへ向く。
「こちらも、お祝い、でしょうか?」
「もちろん」
 ルティエは頷きクレーエに歩み寄っていた。
「さあ! 帰って暖かいとこでクレーエの誕生日のお祝いしよう!!」
「そうだね! クレーエ、まだ誕生日パーティーしてないでしょ?」
 ユアが言えば、ステラもまた小さくウインクして見せて。
「一緒にクリスマスも、な! 俺たちと一緒にでよければ、大騒ぎしようぜ! 怪盗のおもてなし、期待してくれよな」
「……うん!」
 そうしてクレーエが微笑みを見せると、皆も笑顔を返して。煌きの街の賑わいの中、共に帰り道へと踏み出していった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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