苺の前に罪人狩りを!

作者:なちゅい


 苺で思い浮かぶ名産地の一つに福岡県がある。
 今年も大きく実った苺を直に味わうべく、休みになれば人々が農園まで足を運ぶ。
 折しも、時期的には冬休みになる時期だ。それもあって、家族連れで訪れる人々も多い。
 だが、そんな農園を狙い、ビニールハウス内に天井を突き破って降り立ってくる巨躯のデウスエクスが……。
「んあ? んだ、ここは……?」
 全身に鎧を纏い、背中に2つのドラゴニックハンマーを背負った男が姿を現す。
 そいつはデリックという名の罪人エインヘリアルだった。
「デ、デウスエクス……!」
「早よ、逃げるばい!」
 慌てて逃げようとする農園主や苺狩り客に、砲撃形態としたハンマーを構えたエインヘリアルは轟砲を発射して、逃げる一家を後ろから砲弾で狙撃する。
「そう急ぐな。俺と遊んでくれよ」
 汚らしい笑顔を浮かべたその男はゆっくりと人々へと歩み寄り、勢いよくハンマーを振り上げたのだった。


 年の瀬が迫る中、ビル屋上には雪がちらつく。
「今年ももう終わるね」
 銀髪ポニーテールのリーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)は集まるケルベロス達を自らのヘリオン内へと招き入れる。
 寒空の下で説明するよりはいいと判断し、皆が座席についたところで彼女は話を始めるのだが。
「そういえば、そろそろ苺狩りの季節ですわね」
 カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)がふと口にした話をきっかけに、リーゼリットは予知を行うことに。
 すると、彼女は険しい顔でケルベロス達の元へと戻ってきて。
「罪人エインヘリアルが苺農家を襲撃する未来が視えたよ」
 できるなら、すぐにでも現場に向かいたいとリーゼリットはケルベロス達へと伝える。

 現れるエインヘリアルは1体のみ、デリックという名の鎧を着用した大男だ。
 身長3mとエインヘリアルとしては平均的な体躯を持ち、2本のドラゴニックハンマーを操り、クラッシャーとして人々の命を奪いつつ破壊活動を行う。
 農園内には農園関係者だけでなく、苺狩りに訪れた人々もいる。農園関係者と客を合わせて20人程度といったところだろうか。
「苺農園でビニールハウス内にエインヘリアルは現れるのだけれど、とれる手段は大きく2つだね」
 1つはビニールハウスからエインヘリアルを出さぬようにし、人々をハウス外へと避難させるパターン。
 この場合、誘導の手間はほとんどかからないが、苺へと被害が発生する可能性が出てしまう。
 もう1つは、敵を囲みつつビニールハウスから外へと誘き寄せるパターン。
 農園内の人々に下がるよう避難指示し、ビニールハウスを破って敵を外へと引き寄せてから戦うという手間は発生するが、最終的に苺や人々への被害はほぼなくなるはずだ。
「いずれにせよ、事後のヒールは必須とみるべきだね」
 何せ敵はハウス天井に穴を開けている現れるし、戦闘による被害は少なからず発生してしまうはずだ。
 できるだけ被害を軽減させる為、手早く敵を片付けたい。

「被害が軽微な状態で敵を倒せたなら、皆も苺狩りをすることができるよ」
 摘んだ苺に直接練乳をかけて食べることもできるし、何か料理をしてから食べることもできる。
 折角なので、美味しく苺をいただくといいだろう。
「苺の為にも、エインヘリアルは倒さないとね」
 お土産待ってるよとリーゼリットは笑顔を浮かべ、そのままヘリオンの操縦席へと向かっていくのだった。


参加者
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)
燈家・陽葉(光響射て・e02459)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
天瀬・水凪(仮晶氷獄・e44082)
ミルファ・イスト(美幼女ガンナー・e85339)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)
シャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456)

■リプレイ


 福岡県某所。
「まさか私の危惧していた事件が本当に起こるとは」
 真っ赤な髪とドレスが目を引くカトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)が堂々とした態度で苺農家の敷地内へと降り立つ。
「そっか、苺の季節かー。たしかにこの時季美味しいよね」
 そのカトレアへ、真っ白な髪と陽光の瞳を持つ燈家・陽葉(光響射て・e02459)が声をかける。
 次々降り立つメンバー達。
 白い髪、色黒な肌の小柳・玲央(剣扇・e26293)はすぐさまビニールハウス周辺の地形を確認する。
「これなら、誘導できそうだね」
 並ぶビニールハウスの手前は開けた場所になっていて、交戦できそうだ。
「年越し前の苺狩りとは、洒落ていますわね」
 馬の獣人騎士、エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)はビニールハウスの外からたくさん実った苺を見つめ、瞳を細める。
「苺の農家の無事の為に、頑張りましょう」
「うん、エインヘリアルなんかに荒らさせるわけにはいかないよね」
 意気込むカトレア、陽葉に、緑のウェーブヘアのアイスエルフ、ミルファ・イスト(美幼女ガンナー・e85339)が怒りを漲らせて。
「皆が楽しみにしている苺狩りを邪魔する、お馬鹿はとっとと排除するぜ、なの」
「ええ、年越し前に空気の読めないエインヘリアルを狩りましょう!」
 エニーケは大きく頷き、青銀の髪に勿忘草色の瞳の天瀬・水凪(仮晶氷獄・e44082)が空から落ちてくるエインヘリアルを目にして。
「……奴らに容赦などいらぬ。必ず倒そうぞ」
 明らかに嫌悪の眼差しを向け、水凪は仲間と共に敵が落ちたビニールハウスへと入っていくのである。


 ビニールハウス内に飛び込むと、そこには、鎧を纏った粗野な印象を抱かせる罪人エインヘリアルの姿が。
「んあ? んだ、ここは……?」
「デ、デウスエクス……!」
 ハウス内には20人程度が散開しており、突然のエインヘリアルの出現に戸惑っていた。
 そこへ、エインヘリアルの気をつかんだミルファが投げ飛ばそうとするが、突然の強襲にも対処した敵はさらりと避けてみせる。
 ミルファも当たるとは思っておらず、牽制として繰り出した一撃。
 その間に、彼女は割込みヴォイスで呼びかける。
「大丈夫だから、避難指示に従ってくださいなの」
 叫ぶ彼女と合わせ、複数のメンバーが敵の包囲へと当たっていく。
「このエインヘリアルは、こちらで処理する」
 包囲に加わる色黒の金髪セントール、オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)が半馬形態で駆けながら、この場の人々へと呼び掛ける。
「見た目より強くない、頭も弱い、大丈夫。どうか安心して、離れていて」
 突然の出来事に身を竦める者も多く、メンバー達はさらに呼びかけを続ける。
「ここは危険ですわ、早くお逃げあそばせ」
 隣人力を生かしてカトレアが農園関係者や苺狩り客へと呼びかける。
 また、アルティメットモードとなった陽気な人馬のセントール、シャムロック・ラン(セントールのガジェッティア・e85456)は子供の姿を発見して。
「ここはケルベロスのお兄さんとお姉さん達が頑張りますんで、パパやママの言うことを聞いて、良い子で避難するっすよ?」
 元気づけられた人々は、ハウス内の奥側の出入り口へと向かう。
「そのままそちら側から離れてね。こちらには来たらダメよ」
 玲央は拡声器を使って呼びかけつつ、避難に動き出す人々をかばうことができるよう警戒を強めていた。

 一方で、罪人エインヘリアルの誘導に当たるメンバー達は敵を取り囲みつつ、牽制する。
「ふん、ヴァルキュリアにセントール、あっちにゃアイスエルフもいるか」
 鼻で笑う罪人エインヘリアル、デリックを、左手首にソードブレイカー『main gauche』を装着した水凪が相手を威圧する。
「なんだ、俺と遊んでくれるってのか?」
「そんなに遊びたいなら、遊んであげよう。もっとも、ここじゃ狭い」
 汚らしい笑顔を浮かべる敵に応じたオルティアは、パイルバンカーでハウスの入り口側を一部破って。
「……どうせなら外で思い切り、だ。私たちと遊ぶだけの、勇気があれば、だけど」
 オルティアは相手に告げつつ、奥に向かった人々が避難する時間を稼ぐ。
 玲央も包囲に加わり、3mある相手に呼びかける。
「身長からしても、動きにくいんじゃないかな。外なら思いきり戦えるよ?」
「はあ? ここで十分だろ、早く来い」
 敵は苺など、見向きもせずにドラゴニックハンマーを手に取る。
「狭い所で戦って本気を出せなかったから負けましたー、なんて、あとで言い訳のネタにするつもりっすか?」
 ある程度、人々が離れたことで、シャムロックが近づいてくる。
「やるなら、お互い全力を出せる所でやりましょーや」
 暗に表へ出ろと、シャムロックは敵へと示してみせた。
「ほら、こっちだよ。僕達と遊びたいんでしょ?」
 よりによって苺農家を襲撃するなんてと、陽葉もまた相手を煽って。
「君、その見た目でイチゴが好きとかファンシーだったりするのかな? まぁ、そんなわけないか」
「人狩りにしか興味のないクソ罪人風情が苺狩りに興じるとは片腹痛いですわ! オホホホホ!」
「んだと!?」
 今度はエニーケが罵詈雑言交じりに笑いかけ、敵に向かって悪意を込めて中指を立てると、エインヘリアルは顔を真っ赤にしていた。
 その間も、メンバー達は少しずつ移動しながら、敵を外へと誘導する。
「ミルファの方がお前より、ずっと強いの」
「死ぬまでお相手してさしあげますから、かかってきなさいな!」
 ミルファが堂々と主張し、さらにエニーケが挑発すると、エインヘリアルはもう我慢できずに。
「やろぁ、ぶっ潰してやる!!」
 目の色を変え、そいつはドラゴニックハンマーを振り上げてきたのだった。


 一般人の避難とエインヘリアル、デリックのビニールハウス外への誘導を同時に行っていたケルベロス達。
 敵を煽っていたメンバー達は激昂した敵を外へと誘い出す。
 玲央がハウスの出入り口へとキープアウトテープで封鎖し、本格的な交戦が開始する。
「空想と妄想の力、お借りします!!」
 まずは、相手の足を止めようと、エニーケは自らの抱く空想、妄想に対する憧れ、依存をエネルギーとし、腕を十字にクロスさせてから光線を発射した。
 敵に攻撃させぬ勢いで、陽葉は『白翼の靴』で重力の蹴りをエインヘリアルへと叩きつけ、カトレアが間髪入れずに『艶刀 紅薔薇』を手に肉薄する。
「この一撃で、氷漬けにしてあげますわ!」
 その刃を大きく切り上げ、傷を刻んだデリックの胸部を凍らせていく。
 だが、怒り狂うデリックはそれだけでは凍り付くとまでは至らず。
「凍り付くのは……貴様らだああっ!!」
 ドラゴニックハンマーを大きく振り上げ、デリックはこちらへと叩きつけてこようとしてくる。
 それを受け止めたのは玲央だ。
 デリックの殴打はかなりの威力。玲央は一撃を貰ってなお、鉄塊剣を扇の如く操り、剣舞を見せつける。
「釘付けにしてあげる♪」
 リズミカルに立ち回る彼女は、地獄の炎で作り上げた青い爆竹を敵の足元へと投げ飛ばし、聴覚、視覚を奪っていく。
 水凪はこれ以上ビニールハウスに被害が出ないようにと注意を払いながらも、離れるよう誘導を続けつつ操る剣で星座の守護で仲間達を包み込んでいく。
 なおもケルベロスの攻撃は続き、4本の脚で高く飛び上がったオルティアはエアシューズで強烈な後ろ蹴りを叩きつけ、長身のエインヘリアルの態勢を崩しにかかる。
 そこで、ミルファが敵に狙いをつけて。
「ミルファの名において命ずる、雷龍よ、ビリビリに痺れさせちゃえ」
 雷属性のグラビティを込めた弾丸に、自らのグラビティを掛け合わせることで生み出した雷龍を撃ち出す。
「ぐおおおおおおおおっ!!」
「身体がでかいと当て易いぜ、なの」
 挑発するミルファに、デリックが睨みを利かせて。
「貴様らああああぁぁぁっ!!」
 全身に傷を増やすエインヘリアルは大声で叫びながら、砲撃形態としたハンマーから砲弾を発してくるのである。


 基本、エインヘリアル、デリックの攻撃は単体攻撃がメインだ。
 それもあり、ケルベロス達は前衛陣がしっかりとその攻撃を受け止めながらも癒しを行い、攻防が続く。
 今度はドラゴニック・パワーを噴射し、加速させた殴打を食らった玲央。
 後方から水凪が気力を撃ち出して回復に当たる中、玲央は爆竹と合わせて重力を宿す蹴りを食らわせ、その動きを制しようとしていく。
「調子にのりやがってえええ!!」
 完全に頭に血が上ったエインヘリアルだが、火力メインでの一撃は変わらず脅威。
 敵は2本のハンマーを変形合体し、大地を砕いて爆発を起こす。
 十分にビニールハウスまで及ばぬ距離まで敵を引き離していた一行だが、カトレア、陽葉がそれをもろに受け、その身を炎で焦がしてしまう。
 セントールランスで高速の突撃を繰り出していたシャムロックもまた、燃え上がる炎に苦しむ。
 そんな仲間の姿に、水凪が再度星座の煌めきで仲間を包み込み、癒しへと当たっていった。
 なお、その一撃、ミルファは避けていたらしく。
「へいへい、もっと腰を入れないと当たらないぜ、なの」
 挑発を繰り返す彼女は、竜鎚『べるぜえる』から砲弾を発射し、デリックへと叩き込む。
「ミルファのハンマーの方が上みたいなの」
「くそがああああああっ!!」
 もはや、激情にかられた敵はケルベロス達をぶっ潰すことしか頭にない。
 ただ、相手の獲物はハンマーだ。
 力任せに叩きつけてくるだけの攻撃で、歴戦のメンバー達を倒せるはずもなく。
 加えて、エニーケは竜騎兵銃【ランゲンカップ】から発するエネルギー光線で敵の弱体化へと当たる。
「まだまだいきますわよ!」
 今度は魔法光線を発射し、エニーケは相手にプレッシャーを与えていく。
 繰り返されるケルベロスのグラビティ。
 オルティアは心を貫くエネルギーの矢で、敵を惑わせる。
「ぐるああああああああっ!!」
 渾身の一撃を叩き込もうとしたデリックは、なぜか自らを殴りつけてしまって。
「なにいいっ!?」
「さぁ、派手にいくっすよ!」
 敵の殴打から逃れたシャムロックは戦場を駆け回り、異形の蹄を鳴らして奏者となる。
 荒々しくシャムロックが駆け抜ける度に、巻き起こる獰猛な嵐。
 それを浴びたデリックの傷口を切り広げていく。
 回復の手が不要となったタイミング、水凪が回復の手を止め、大鎌『翌檜』に多数の霊を憑依させてデリックの体を切りつける。
 毒に侵された敵目掛けて特攻していくオルティアが追撃をかけ、凍気を纏わせた杭を敵の身体深くへ打ち込んでいった。
「ぐがあああっ……!」
 苦しみ悶える敵はなおも2本のハンマーを変形合体させ、こちらへと叩き込んで来ようとしてくるが、陽葉とカトレアがその前に攻撃へと出て。
「おふざけはここまで。そろそろ倒れてもらうよ……放て!」
 ファミリアロッド【舞葉】を鶏の姿へと戻した陽葉は、そのくちばしから凍結光線を発射していく。
「その身に刻め、葬送の薔薇! バーテクルローズ!」
 そして、ワイルドスペースから星空の誓いを結んだ男性の残霊を呼び出し、陽葉の一撃によって胸部を凍らせた敵を薔薇の模様に切り裂いて。
 トドメにとカトレアは鋭い一突きを繰り出し、薔薇の花弁を散らすかの如く爆発を巻き起こす。
「こ、こんな、バカなあああああっ!!」
 白目をむいたデリックは重い音を立てて地面へと転がり、動かなくなってしまった。
 右手でハンマーを担いだミルファは仲間達に労いの意味を込め、左手でサムズアップしてみせたのだった。


 エインヘリアルを討伐したケルベロス達は、寒気がビニールハウス内へと吹き込んで苺に被害が出ないよう、手早く修復に当たる。
 エニーケは満月に似たエネルギー光球を天井に開いた穴へと投げ飛ばし、幻想で埋めていく。
 カトレアはドローンを放ち、陽葉が「ブラッドスター」を歌い、戦闘前に開けたハウス入り口の穴を塞ぐ。
 ある程度、修復が進んだ状況で、シャムロックが苺農家へと解決したことを伝える。
 オルティアが戦闘前にエインヘリアルが踏み荒らした場所へと気力を撃ち出す一方、水凪、玲央はヒールを使うことなく、農園の人達から苺の栽培方法を聞きつつ、人力で補修に当たっていく。

 その作業もある程度のところで切り上げ、農園主が来客と共に改めて苺狩りを勧めてくれた。
「自らの手で守った苺はさぞかし美味しいことだろう」
 水凪は早速、いくつか苺を摘み取って口にすると、その味に目を見開く。
「んー、甘酸っぱくて、とても美味しい苺ですわね♪」
「まさに、季節の旬の味ですわね」
 カトレア、エニーケも直接頂き、果実そのもののほのかな味に顔を綻ばせていた。
 シャムロックは練乳をかけてまろやかな味を堪能する。
「折角なので、お任せで苺を使ったスイーツも食べたいっす」
「何が出てくるかどきどきだね」
 シャムロックだけでなく、陽葉もお任せで農園関係者に調理を頼む。
 そこで、苺をそのまま食べるか、料理するべきかと迷っていたオルティアが天啓を得たようにハッとして。
「そうか……そのままの苺を食べつつ、料理も頼めば良い……!」
 選ぶなら、どちらかでなく、どちらも完璧。
「なので、その……苺大福、とか、その……食べたいなって……」
 すると、快くオルティアの希望を聞いてくれた農園関係者。
 小一時間程して彼らが運んできてくれたのは、オルティア希望の苺大福だけでなく、苺をこれでもかと生クリームと乗せたパンケーキ、タルトだった。
「わぁ、おいしそう。いただきます」
 陽葉は仲の良い仲間達と共にそれを口にして、うんと頷いて。
「イチゴが本当に甘くて酸味もあって、すごくおいしいね」
 それぞれ、スイーツとして完成された一品は苺の味に感嘆する。
 そばでは、オルティアも希望の苺大福を幸せそうに頬張っていた。
 また、他にも調理場を借りていたメンバーも。
 自ら摘んだ苺を使い、ミルファはジャムを作り、エニーケが用意していたクラッカーと合わせて皆へと振舞っていた。
 サクッとした食感と共に口の中に広がる味。仲間達にも非常に好評だったようである。
 また、玲央も同タイミングで、調理場を借りて一品作っていた。
「つぶした苺に、甘さ調節用のコンデンスミルクか練乳を混ぜて……」
 温めたミルクをミルクフォーマーで泡立て、追加する。
 さらに、刻んだイチゴをトッピングして……。
「これで、ホットの苺ラテ。新鮮な苺だから香りも充分♪」
「お姉さん、ホット苺ラテ、お代わり願えるかい?」
 仲間達へと振舞う玲央。スイーツとの相性も良く、仲間だけでなく苺狩り客にも高評価だったようだ。

 メンバー達はその後も苺の美味しさを存分に堪能し、年の瀬を過ごすのである。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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