奈落の救済

作者:崎田航輝

 建物は粉塵と化し、命は慈悲なく蹂躙されていた。
 土煙と悲鳴に満ちる街の中、人々は為す術もなく上方を仰いでいる。
 そこに在るのは残酷な神──否、神の造りもののような金属の塊だった。
 ほんの数分前に眩い光と共に地を割って現れたそれは、像にも似た人型。人々を睥睨するように見回して、長大な槍を握る──破壊兵器。
『……救いを』
 空気に響く声は歪な機械音。人々を絶望させる、死の宣戦。
『……生きることにすら迷う、矮小な命に死の救いを』
 そうして糧となり己の一部となれ、と。
 抑揚もない、機械的な言葉と共に殺戮兵器は槍を振るう。轟音と共に建物が薙ぎ倒されていくと、数え切れぬ命が藻屑となっていった。
 短い時間の凶行の後、機械の像は飛び上がって魔空回廊へと消えていく。
 街の残骸には、数少ない生き残った人々の悲嘆の哭き声が響いていた。

「ダモクレスの出現が予知されました」
 冬風も冷たさを増すヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達に説明を始めていた。
「大戦末期に封印されたもので、仲間のダモクレスによって復活させられるようです。魔空回廊を通じて、その仲間達に回収される予定なのでしょう」
 放置すれば街は破壊され、死者も多数出てしまうだろう。だけでなく、ダモクレス勢力の戦力増強にも繋がることとなる。
「これを防ぐために、撃破をお願いします」
 出現場所は中規模の市街地。
 敵は出現から7分後に魔空回廊から撤退し、追うのは困難になる。撃破はそれまでに行う必要があると言った。
「今回は人々の退避は事前に行われますので避難活動は必要ありません」
 こちらは待ち伏せをして、出現直後から戦闘に集中できる。
「ただ、敵もグラビティ・チェインの枯渇状態とはいえ相応の戦闘力はあるでしょう」
 身長は約7メートル。頑強な躰と槍の攻撃が脅威となる。
 現場は碁盤目状の道とビルが並ぶ地形。高所などを利用として戦うと良いでしょうと言った。
 尚、敵は戦闘中、一度だけフルパワーの攻撃を行ってくるという。
「敵自身も反動でダメージを受けるようですが、その分威力は高いでしょう。おそらくは広範囲に及ぶ攻撃と思われます」
 敵自身が危機的状況を自覚したときに使ってくる可能性が高い。可能な限りの警戒を、と言った。
「皆さんならば撃破も可能な筈ですから。健闘をお祈りしていますね」


参加者
キルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)
緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)
北見・燈(冬幻燈・e85469)
シルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)

■リプレイ

●巨影
 ビルを縫う気流が蒼空に吹き抜けていく。
 街に響く風鳴りに、漆黒の髪を揺らがせながら──北見・燈(冬幻燈・e85469)は高所から景色を見遣っていた。
「もうすぐ、だね……」
 目に映るのは静謐の街並み。
 人は既に退避し、今はただその時を待つだけになっている。無辜の人々が傷つく不安は無いが──。
「大きな被害が出る前に止めなければ……」
 と、藍の瞳に静かな意志を宿した、丁度その時。
 地鳴りが耳朶を打ち、大きな震動が伝わってきた。
 隣接するビルの屋上に位置する死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)は、丁度直下の地面を見下ろしている。
「……予定通りの場所に、現れそうですね」
「ああ」
 そう頷く緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)も、焔を纏う魔剣をその手に握り、鳴動の発生源へ視線をやった。
 直後、その道のアスファルトが轟音と共に砕け、巨大な影が姿を見せる。
 地を割って粉塵と共に出現する、神を象った機械像──ダモクレス。
『救いを……』
 舞い散る灰色の欠片と劈く機械音声。見るものを竦ませる威容で、自らが破壊すべきものを探して眼光を巡らせていた。
 けれど結衣の相貌の温度は変わらない。
「攻撃目標を確認……碌に心も持たない機械人形が相手か。いつもに比べたら楽な仕事だ」
「それじゃあ、始めるよ」
 小柳・玲央(剣扇・e26293)もまた、冷静にタイマーを起動させながら。戦いの始まる瞬間を告げてみせると、ふわりとビルから跳んでいた。
 腕時計は首から紐で下げ、首横の端子に外部デバイスとして繋ぐ形を取っている。これで両腕が地獄でも視認に困ることはなく──存分に戦いに集中できる。
 故に空へ踊る一呼吸の内に、玲央は剣を抜くと星灯りを招来。蒼空に星空を顕すように、リズムに合わせた剣舞を踊ってみせた。
 宙から降り注ぐ星屑が加護を齎すと、結衣も跳躍。真っ直ぐに機械像へ肉迫すると──。
「速やかに敵ダモクレスを破壊する」
 空中で輪転して一撃、鋭い蹴撃を叩き込む。
 巨体は僅かに体勢を崩しながら、此方の存在に気づいた。が、その敵意が形を取る前に──既に狙いを向ける影がある。
「先手は譲らねぇよ」
 声音に憚らぬ憎しみを滲ませて、像の頭上から見下ろすキルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)。
 その貌の目元は仮面に覆われて、決して造形の全容は窺えない。けれどその上で尚、隠せぬ美貌の呪いが機械の魂までもを囚え──その動きを鈍らせていた。
「次、頼むぜ」
「それじゃあ、私がいくわね」
 と、応えて蹄を鳴らすのはシルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)。
 半馬の跳躍力を活かすよう、低い建物の上に着地すると──すぅと息を吸い、唇から旋律を紡ぎ始めている。
 ──あなたに届け、金縛りの歌声よ。
 風に乗って響く声は、美しくも洗練された唄を編む。
 耳を傾けないでは居られないその音律が、逃れ得ぬ呪いを生み出して。『呪言の歌声』の名に違わぬ、深い呪縛がダモクレスの体を静止させた。
「お願いね!」
「ええ」
 向けられたシルフィアの視線に、ちらりとだけ返して奔りゆくのがミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)。
 シルフィアが自身に機を作ってくれることは、判っていた。だからそれを取りこぼしはしないと巨体の足元へ迫っている。
 掲げるパイルバンカーに、青薔薇が咲くが如き鮮やかな氷を閃かせて。
「雪さえも退く凍気を、その身に受けてみなさい!」
 零距離から穿つ一撃で、像の脚を凍らせ蝕んでみせた。
 微かに姿勢を歪めたダモクレスは、槍を振り回して前衛を薙いでくる。が、暴力的なまでのその衝撃から、逃げず正面に立ちはだかる影が一つ。
 相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)。体に陽炎の如きオーラを漲らせ、腕を以て強大なダメージを受け止めると──。
「倒れるかよ」
 髑髏の仮面で覆った顔から呟き一つ。
 地を大きく滑りながらも斃れず留まってみせると、直後には混沌を揺らがせて一帯を包み、自身と余波で傷を負っていた仲間までもを治癒していた。
「おい」
 と、少々乱雑に竜人に呼ばれたテレビウムのマンデリンも、すぐに仕事に取り掛かり。黙々と癒やしの光を照射することで竜人の治癒を進めていた。
「では……反撃に」
 静風の声音で呟いたのは、屋上から音もなく飛び降りる刃蓙理。
 靭やかに翻ってその手に槌を携えると、空中で二段目の跳躍をして方向変換、ダモクレスの後背を取って鋭い殴打を加える。
 巨体が傾ぐと、今度はその肩を足場にして再び跳び──白き刀を抜き連閃。斬り上げるように鉄の膚に傷を刻んだ。
 駆動音を響かせながら機械像は反撃を目論む、が。
「──させない」
 その遥か上方から燈が手を翳している。刹那、圧縮された空気が瞬間的に炸裂し、爆発にも似た衝撃で敵の手元を弾き返す。
 そこへ跳ぶのが結衣。
 低い建物に降り立っていた結衣は、一瞬で巨体の腹部へ迫ると──逆袈裟に刃を奔らせて。燃え滾る斬閃を描いて金属を溶解させ、消え得ぬ痕を像に焼き付けた。

●反撃
 とん、とん、と。
 リズミカルに高所へ移りながら、玲央は時計を一瞥していた。
「三分、経ったね」
 呟いて戦場を素早く見渡す。
 建物は崩れたものもあるが番犬は皆が健常。戦線は全く崩れていなかった。
 だが、未だ斃れる気配が無いのは巨像も同じ。
『……抗うとは、愚かなこと。だがそれも小さき存在の定め』
 声と共に睥睨する視線は矮小な者を見下ろす零下の温度。自身の死の可能性など皆無というように、槍を握ってただ平坦な言葉を響かせる。
 愚かな者を救うことこそが役目なのだ、と。
「しっかしビルシャナみてえな謳い文句だなぁオイ」
 と、仰ぐ竜人はそれにただ胡乱な顔をするばかりだった。
「何が救いかなんて決めんのは各々だよ。そういうの、押しつけがましいって言うんだぜ? お助けごっこしたけりゃ仲いい奴らとやっててくれよ」
『……、神は、命を選ばない』
 僅かに黙しながらも、神像は声を返す。全ての人間を救う権利が、己には有るのだと言ってみせるように。
 だからその傲慢さにキルロイは息を吐く。
「ただのラジコンが人様を救ってやるだと? 笑わせやがる」
 疼くのはダモクレスへの深い憎悪。顕すのは剥き出しの敵意。
 骨が軋む程に拳を強く握り締め、ビルから跳んだキルロイは、躊躇わずダモクレスの至近へ飛び込んで──。
「テメェは自分すら救えぬまま、ここで鉄屑になるんだよ!」
 瞬間、刃に鋭い氷気を纏わせて像の肩口に突き立てていた。
 弾ける火花に巨体が鳴動すると、キルロイは反撃を受ける前に別のビルへ跳んでいる。
「さあ、この隙に連撃を叩き込んでやれ」
「ええ、判りました」
 静かに応え、すぐ横の建物上を駆けていくのは燈。ダモクレスが体勢を立て直すよりも早く、キルロイと入れ違いに跳躍していた。
 そのまま抜き放つ刀の一閃は、まるで疾風のように。巨体に斬線を描き込んで傷を深めさせてゆく。
 ダモクレスが漸くそれに気づいた頃には、燈は既に別の建物。そこから多角形の対角線を描くよう、跳躍と剣撃を繰り返して体力を削り取っていった。
 破片を零しながら、ダモクレスも槍を振り上げる、が。
「……そこまでです」
 静かに、けれど業風の如き速度で迫る死の香り。
 それは建物の縁を蹴って跳び上がる刃蓙理。引き絞る腕の先、ゆるく開いた手のひらに空間が歪む程の超重力を生み出していた。
 或いはそこに初めて死の実感を覚えたか、機械像が仄かに怯んだ一瞬。刃蓙理が掌底から放つ『Terra Nova』が、敵の躰をひしゃげさせて衝撃の奔流に蝕んでいく。
 体勢を崩したダモクレスは、金属音を上げて零れる自身の破片を見つめる。
 それは確かに危機感であったろう。飛び退くように下がって距離を保ち始めていた。
 ミントはそれを見逃さない。
「皆さん、敵の様子が変わりました」
「力を溜めてるみたい。おそらく、全力攻撃ね」
 高所から飛び降りてきたシルフィアも、前傾に静止している敵を見て直感する。
 それは皆も同じ。竜人は走り出しながら皆へ声を投げていた。
「建物に隠れろ、来るぞ!」
 そうして皆が頷き陰に飛び込んだ直後、世界が発光する。溜めた力を解き放つよう、ダモクレスが光と衝撃波を同時に放っていた。
 傍のビルが破砕し、融け消える。閃光が蒼空を塗りつぶすような、眩い温度が襲いかかってきていた。
「……ったく、こんなもんか」
 が、膚に灼けた感触を残しながら、竜人は斃れない。マンデリンと共に上手く建物を壁にすることで受けきっていた。
 皆も、無事。尤も盾役には浅くない傷が残ったが──。
「さて、あとは癒やすよ」
 玲央が早くも剣を優美に振るい、舞いを演じ始めていた。
 軽やかな跫音と、刃で風に触れる響きは、静やかながら美しいリズムを刻む。
 それが世界に残った閃光の残り香も、仲間に付けられた傷痕も、総てを拭い去ってしまうように苦痛を消し去り浄化していく。
「これでもう少しかな」
「助かった。後は自分でもやっておくさ」
 竜人は腕を払うような動作で混沌を振りまくと、それに自身を取り巻かせて前衛の治癒を進めていた。
 マンデリンからも癒やしの光を浴びれば、浅い傷は即時に完治する。
「では、反撃に移りましょうか」
 直後には煙の間から、ミントが疾駆し始めていた。
 視線の先に在るダモクレスは、その全身から細かな火花を零して膝をついている。苦境を乗り越えた此方にとっては、それは千載一遇の好機。
 ミントは靴に秘めた茨の魔力で瓦礫を咬むように、高速で駆け上がって巨体の眼前を取っていた。
「炎よ、高く立ち昇りなさい!」
 刹那、躰を廻して焔を伴った蹴撃。靭やかな打力と共に燃え盛る火炎を見舞い、巨体の一端を溶解させてみせる。
 ミントが素早く飛び退くと、同時に風になるのが結衣だった。
 ダモクレスがその姿を捉える間隙すら与えず、焔の残滓と共に壁を跳ねて巨体の背後へ。二刀を握ったまま回転し、その刃の力を解き放ち滾らせている。
『──』
「遅いな」
 巨体が振り向こうとも、刃には既に渦巻く灼熱。紅蓮の剣撃が直撃し、鋼の背中を烈しく捌いていた。
 そうして着地しながら、結衣は動きは止めない。
「乗ってくれ」
 回転力を残存させたまま、刀の峰を足場のように突き出すと──頷いてそこへ走り込むのがシルフィアだった。
「借りるわね」
 声を返したシルフィアは、浅く飛び上がると蹄でそこへ乗る。
 振り抜かれると同時に自身の脚にも力を込めて高く跳躍すると、一瞬後にはダモクレスの眼前に迫っていた。
 躰を捻って背を見せたシルフィアは、一撃。
「この蹴りを、食らいなさい!」
 加速度と膂力が積算された凄まじいまでの蹴撃を叩き込み、ダモクレスの半顔を砕き潰してゆく。

●決着
 地が揺れる音と共に、機械の巨像はくずおれる。
 時間は五分が経過した状態で──未だ猶予がある事実を鑑みれば、戦況は優勢だろう。
 それでも、退くことが叶わぬダモクレスは途切れた音声を零すばかり。
『……救いが必要、だ……死、が……』
「本当に、神様にでもなったつもりかしら?」
 シルフィアは見上げて微かな呆れの色を含む。
「死ぬことが救いになる訳ないでしょうに」
「ええ。その通りです──生きているからこそ人は幸せになれるのですから」
 命を狩り、人の命を矮小と言うその機械の魂には、おそらくその思いは通じない。
 けれど人々の生きた時間を守ることでそれを実証しようと、ミントは隣にふわりと残霊を降り立たせている。
「大空に咲く華の如き連携を、その身に受けてみなさい!」
 刹那、放つ攻撃の応酬は『華空』。ミントの銃撃と残霊の刺突で、弾ける戦火を花の如く鮮烈に咲かせた。
 躰を半壊させながら、ダモクレスはそれでも抗うように腕を伸ばす。
『……人は、生すら全う出来ぬ存在。死して我が糧になればこそ──』
「『糧』と言いましたね……?」
 声と共にその視界を幾度も横切り、凩の如く接近するのは刃蓙理。
「それを言った時点であなたは神ではない……私と同じ……ただの獣です……」
 同時にただのメカなのでしょう、と。冥い言葉を落としながら槌を掲げると、一撃。
「何よりも、死は万物に平等です……」
 振り抜く打突で巨体の片腕を吹き飛ばす。
 自重の均衡を崩し、揺らぐダモクレス。シルフィアはそこへ鋭角に疾走していた。
「この突撃を、見切れるかな!?」
 声が響く頃には、猛烈なまでの刺突が命中。突き抜ける衝撃で胸部に風穴を開けている。
 敵も最後まで抵抗の槍を振るってきた、けれど竜人が跳んで防げば──玲央が地獄の熱より不可視のヴェールを作り出す。
 躰を覆ったその『炎香・月塵撫子』は、火種を滾らせ傷を焼き消滅させた。
「これで問題ないよ」
「なら、最後まで行くか」
 キルロイは己が内より生じた赤黒い劫火を棚引かせ銃剣突撃。『皆殺しの行軍』──忌むべき者を滅却せんとする一撃で巨体の片足を灰にした。
 斃れゆく巨像は、ノイズ混じりの声音を響かせる。
『……救い、を……』
「今から救ってやるからありがたく思えよ」
 竜人は両腕を黒竜のそれへと変貌させて『古竜の咢』。膨大なまで力で諸手を振るい、鉄を紙の如く破砕していく。
 燈がそこへ無数の斬撃を放てば、敵も満身創痍だった。
「あと少し……」
 響く燈の声に、それでも巨体が反抗の意志を消さないから──結衣は救いすら与えるつもりはない。
「死よりも深く冥い奈落の底に落ちろ」
 刃を振り下ろして煌めかすのは、魂を導く炎の軌跡──霊閃<解放の儀礼>。
 ──因果の鎖を断ち切る。ここで、お別れだ。
 贈る声は、消滅させる事になる魂への挨拶。
 現世と黄泉の狭間を彷徨う魂を、生命の核へとぶつけることで対消滅。跡形も残さず、その悪しき殻も内包された魂も、総てを跡形もなく消し去った。

 静寂が戻ると、ミントは皆へ振り返る。
「皆さん、大丈夫ですか。お怪我はないでしょうか?」
「ああ、こっちは平気さ」
「右に同じく、です……」
 キルロイが応えれば刃を収めた刃蓙理も頷いて、見回していた。
 敵は完全に消滅し、人的被害は皆無。時間も六分の内に終える事ができて、大きな戦果と言えるだろう。
 シルフィアはふうと息をついて、崩れた建物を見やる。
「後は街をちゃんとヒールしておかないとね」
「そうだな」
 結衣も言って修復作業を始めると、玲央も助力。皆も加わりヒールして、街を美しい景観に戻していた。
 玲央はうん、と頷き視線を巡らす。
「これで完了だね」
「では、人々に伝えて──帰還しましょうか」
 燈が歩み出すと、皆も頷きそれに続く。
 人波が帰ると街は賑やかになり元の姿を取り戻す。年の終わりに吹く爽やかな風が、穏やかで平和な空気を人々に届けていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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