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北海道小樽市。
夕暮れの街へと突然現れたのは、巨大なトナカイを思わせるダモクレスだった。
ウウゥゥゥゥ……。
低い唸り声をあげる全長7mものトナカイ。
それは、毛並みこそ本物を再現しているようにも見えるが、中身は間違いなくロボットだ。
小樽の街を歩くそのトナカイはなぜか真っ赤になった鼻を輝かせつつ、4つの足をばたつかせて地響きを起こしてくる。
オッオッ、オッオッ……!
威嚇するような鳴き声を上げたダモクレスはかなりグラビティ・チェインが枯渇していたようである。
それもあってか、人々からグラビティ・チェインを奪うべく、一層激しく暴れ始める。
闊歩する巨大トナカイは町を見下ろし、人の集まるショッピングエリアへと向かうのだった。
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クリスマスも近づくこの時期、年末とあって皆忙しい中、ヘリポートへとケルベロスが集まる。
「皆、来てくれてありがとう」
リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は微笑んでこの場のメンバーに例を告げる。
そこで、ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)がこんな話を持ち掛ける。
「大きなトナカイっぽい敵がみつかったりしないかのぅ」
それを聞いたリーゼリットがヘリオンで予知を行うと、彼女は真剣な表情で再びケルベロス達の前に姿を現して。
「うん、巨大なトナカイのロボットの出現を確認したよ」
そのダモクレスは多数の人がいる場所へと移動してグラビティを使用し、大きな被害を及ぼすようだ。
復活したばかりの巨大ダモクレスはグラビティ・チェインが枯渇しており、戦闘力が大きく低下しているが、人々の命を奪うごとにグラビティ・チェインを補給してしまう。
「力を取り戻した巨大トナカイロボは、体内に格納したダモクレス工場でロボ型やアンドロイド型のダモクレスの量産を開始してしまうよ」
また、この巨大ダモクレスが動き出してから7分経つと魔空回廊が開く。
そうなれば、ダモクレスは撤退し、撃破が不可能となってしまうので、猶予はその間しかない点を留意しておきたい。
改めて、敵は全長7mあるトナカイの姿をしたロボットだ。
クラッシャーとして、突進、赤い鼻の煌めき、地響き、口からの破壊光線といったグラビティを使用してくる。
「元はかなりの力を持つはずだけれど、グラビティ・チェインの枯渇もあって、全体的な性能や攻撃力は低下しているよ」
しかしながら、戦闘中に一度だけフルパワーの攻撃をすることができる。
このフルパワーの攻撃を行うと攻撃対象だけでなく、巨大トナカイロボも大きなダメージを被るようだ。
ダモクレスの出現の予知を受け、町には避難勧告が出される。
破壊された街はヒールで修復できる為、ある程度の街の破壊はやむなしと判断して、ダモクレスを確実に討伐したい。
「周囲のビル街を上手く利用して敵の背に乗ったり、サイドから皆で連携して攻撃を仕掛けるといいかもしれないよ」
7分の間に考えられうる強力な攻撃を叩き込み、巨大トナカイロボがダモクレス勢力から回収されてしまう前に破壊したい。
依頼の説明を終えたリーゼリットは、そういえばと思い出したことを口にする。
「小樽は夜景でも知られた街だね」
「あら、素敵ね」
依頼のサポートに当たるユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)も微笑ましげに興味を示す。
街はクリスマスもあって、イルミネーションに彩られていることだろう。
その中を歩いてもいいし、近場の山から街を見下ろしてもいい。折角だから、素敵な夜を過ごすといいだろう。
「その為にも、まずは巨大トナカイロボの撃破を頼むよ」
リーゼリットは改めてケルベロス達へと、このダモクレスの討伐を願うのだった。
参加者 | |
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ティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611) |
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011) |
片白・芙蓉(兎晴らし・e02798) |
ゼノア・クロイツェル(死噛ミノ尻尾・e04597) |
羽丘・結衣菜(マジシャンズセレクト・e04954) |
東・律(ハリボテの輝き・e21771) |
ミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679) |
長田・鏡花(アームドメイデン・e56547) |
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北海道小樽市。
辺り一面雪が積もった夕闇の街に、ケルベロス一行が降り立つ。
「フフフ、以前もサンタ的なダモクレスをアレしたけれど……」
白で統一された容姿が雪で隠れてしまいそうなウサギのウェアライダーの片白・芙蓉(兎晴らし・e02798)だが、ハイテンション故に思いっきり目立っている。
「今回は赤いおハナのなんとやらね?」
それもそのはず、今回はゼノア・クロイツェル(死噛ミノ尻尾・e04597)が団長をしている旅団「路地裏黒猫同盟」のメンバー達が多く参加している。
毎度闘技場に行く仲間が集まったこともあり、芙蓉はいいところを見せようと今回は大張り切りだ。
「この時期に大きさはともかく、トナカイが暴れるとは穏やかではナイね」
青いショートヘアのオラトリオ、目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)はクリスマスイヴを楽しめなくなると嘆息する。
「……ダモクレスって、結構四季や風流を理解しているわよね、あれ」
「クリスマスの伝説は律ちゃんには縁がないわ。しかし、トナカイは大事らしいわ」
芙蓉の素朴な疑問に、黒髪ウェーブヘアの東・律(ハリボテの輝き・e21771)が言葉を返す。
「トナカイとシカって、何が違うんだろ?」
金髪の上にヘッドフォン、そして大き目のワンピース風のサンタ服を着用した装着したティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611)が疑問を抱く。
細かい違いはあるが、トナカイはシカの一種であること。シカと違って、トナカイは雌にも角がある点が大きな差異だ。
それはさておき。
「とにかく、トナカイといえばサンタさん!」
「トナカイで大きなロボじゃったら、サンタも大きくてプレゼントも大きくないといかんのぅ」
「つまり、あたしたちがサンタさんになるのですよ」
妹のように小さい金髪ツインテールのミミ・フリージア(たたかうひめさま・e34679)に合いの手を入れてもらいつつ、ティセは胸を張る。
「ともあれ、これ以上の人口密集地への侵攻は防がねば」
真の一言に頷き、メンバー達は予知の場所へと向かっていくのである。
「さて、小樽の平和のためにみんな行くわよ!」
敵出現地点に到着し、羽丘・結衣菜(マジシャンズセレクト・e04954)は殺界を展開していく。
この近辺の一般人を遠ざけ、被害を縮小するのが結衣菜の狙いだ。
聞こえてくるサイレンは近場で警官隊が動いている証拠。
「危険が危ないよ!」
壁歩きで高所まで登ったティセは周囲へと呼び掛けを進め、その誘導に協力する。
その時、突然輝いた地面からせり出すように現れた全長7mもある巨大ダモクレスに、ミミが目を丸くして。
「クリスマスは楽しみじゃったんじゃが、これはすごいのぅ」
ウウゥゥゥゥ……。
唸るような声を上げた立派な角を生やし、鼻の辺りが真っ赤なトナカイのダモクレス。
「大きなトナカイがこの世にはいるもんじゃな」
「トナカイとはまた面白い見た目ですが、行動は全く面白くありませんね」
呑気な一言を発するミミに続き、クールな黒髪短髪のレプリカントの少女、長田・鏡花(アームドメイデン・e56547)はそのダモクレスの討伐の為、バスターライフルを手にして。
「手早く、片づけましょうか」
「援護するわ」
ユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)もまた、攻撃に当たるメンバーのサポートにとライトニングロッドを手にしていた。
チーム唯一の男性、猫耳猫尻尾付きのゼノアは、若干不愛想な態度で仲間達へと確認する。
「……こっから7分で撃破だ。準備はいいか?」
7分後には、巨大トナカイロボットは現れた魔空回廊から、ダモクレス勢力に回収されてしまう。
「7分なんてあっという間よ! 私達の絆と力を見せつけてやりましょう!」
それを再確認した結衣菜の返事を耳にし、ゼノアは携帯したタイマーをセットしてから仲間達と共にダモクレスへと攻撃を仕掛けていくのである。
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現れた巨大トナカイロボット目がけ、攻撃を仕掛けていくケルベロスと付き従う4体のサーヴァント達。
「らいどおん!」
その背へと乗り移ろうとして叫ぶティセは久々の依頼だが、彼女も旅団の仲間と一緒で安心していた様子。
ティセが敵へと密着しようとするのに合わせ、動いていたミミ。
テレビウムの菜の花姫が画面から閃光を放って敵の意識を引付けると、相手の背中へと乗ったミミがバトルオーラを纏わせた拳を叩き込み、その厚い装甲を破ろうとする。
オッオッ、オッオッ……!
鳴き始めた敵は四本の足をばたつかせ、地響きを起こしてくる。
それを堪える結衣菜がオウガ粒子を振りまき、彼女のシャーマンズゴーストのまんごうちゃんが非物質化した爪でトナカイの霊魂を殴りつけていた。
「まずは、ヤツの足元を掬ってやるか」
そう呟いた真の視線を受け、ボクスドラゴン翔之助がブレスを吐きかける。
それに気を取られていたダモクレスへ、真は急加速して突撃して。
「この攻撃が見えるか? 受けてみろ!」
ダッシュした彼女は『汞身南蛮胴具足』を纏って正面からトナカイへとぶつかり、その足を止めようとしていく。
「ヘーイ、メディックとして癒しまくってやるわ!」
敵から距離を取っていた芙蓉は唯一の回復手として、先程の地響きで体力を削られた仲間の為にカラフルな爆発を周囲へと巻き起こす。
「フフフ、月に爆煙に祭りよー! ワッショォーイ!」
夕闇の中、短期決戦に臨む芙蓉は仲間の力を高めることに重点を置き、立ち回る。
彼女のテレビウム梓紗も、応援動画で仲間の体力回復に当たってくれていた。
ライトニングロッドを手にしたユリアも電気ショックを飛ばして、この場のメンバー達の賦活へと当たる。
そのうちの1人、ゼノアは力の高まりを感じながらも、眼前の敵へと言い放つ。
「年末向きといえばそうかもしれないが……、お前のガタイは子供達にはでか過ぎる」
エアシューズに力を込めたゼノアは敵の側面へと回り込むべくサイドのビル壁を蹴って跳躍し、ダモクレス目がけて重力の一蹴を叩き込む。
猫のようにしなやかな体を持つゼノアだ。一撃を敵に見舞うと難なく地面へと着地してみせた。
ダメージを感じて蹄を鳴らしつつ、ケルベロスを威嚇するトナカイ。
「サンタさんの言うことを聞くのです」
その背に乗るティセはケルベロスの攻撃に抵抗しようとしていたのを見て、ペットボトルから噴き出し続ける水を刃とする『ペットボトルウォーターセイバー改』で緩やかに弧を描き、トナカイの体を切りつける。
さらに、ケルベロスの攻撃が続き、律が敵の手前足元付近へと張り付く。
「トナカイを真似た巨大なロボ、許すまじ」
スリーステップの範囲内にいることを意識し、素早く敵の弱点を見極めた彼女はエクスカリバールで仲間が攻撃した箇所を叩きつける。
さらに、鏡花が小柄で身軽な体を駆使し、立体軌道を描きながら、凍結光線を浴びせかけていく。
「時間がありません。どんどん行きましょう」
鏡花はこの場のケルベロス達へと呼び掛け、今度は怒りを激しい雷に変えて発していくのである。
●
トナカイの姿をしたダモクレスは角を振りかざし、突進して襲ってくる。
それらの攻撃を受けつつ、ミミは回復の合間に光の翼を暴走させて光の粒子となり、角目がけて突撃する。
衝撃こそ与えることはできたが、簡単に折れてはくれず、ミミも元の作戦通りに回復へと戻っていた。
結衣菜も敵を抑えつつ、癒しの風を巻き起こす。
「この恵みを以て、あなたを癒やすわ」
火力のある敵の攻撃の威力は大きく、結衣菜は自分と同じ列にいるミミや仲間の為、森と緑の恵みを宿した魔法の木の葉を集めて治癒を行っていた。
そうして、結衣菜ら前線が耐えてくれている間に。
「動けなくなるがイイ。ファイエル!」
真は妖精弓を構えて矢に時空を凍結させる弾丸を込めて発射し、トナカイの首から胸部を凍らせていく。
さらに、煌めくトナカイの鼻に目が眩む仲間達の為にと、芙蓉は花びらのオーラを舞わせ、目が眩んだ仲間を万全な状態へと戻す。
「フフフ、やはりこうでなくちゃね!」
「あなたの鼻は、攻撃のためにあるのじゃないのですよ」
攻撃は最大の防御。背中に乗ったままのティセは、雷を纏わせた水の刃をトナカイの身体へと突き入れる。
ダモクレスの身体に駆け巡る電撃がその装甲を破っていく。
それでも、ダモクレスが動きを止めぬ為、ティセはさらにペットボトルを握りしめる。
「残り時間は……」
刻々と過ぎる時間を気に掛ける鏡花。
彼女は相手の回路がショートしてきていることを確認し、拳打形態に変形させたガジェットを拳に装着して。
「ナックルモードに移行」
『――ready!』
「行きます―― ハイボルテージ・インパクト」
敵側面から飛びかかった鏡花はベルトからの合図で拳を打ち込み、殴打の瞬間に高圧の攻撃的グラビティを送り込む。
律もまた、確実に相手をかけらも残さないようにバラバラにすべく、精神を集中させてトナカイの体を爆発する。
それでも、ダモクレスはケルベロス達のグラビティに耐えきっており、むしろ力を高めてすらいる。
メンズブーツ「Paradiso」を燃え上がらせて蹴りかかっていたゼノアがそれに気づいて。
「来るぞ……! 気をつけろ……!」
まともに食らえば、ダモクレスのフルパワー攻撃は一溜まりもない。
ウウゥゥゥゥ……。
唸り声を上げるトナカイは大きく口を開く。
そして、高いエネルギーを破壊光線として放出してきた。
狙ったのは、最初にトナカイの気を引いたテレビウム菜の花姫。
だが、身構えるミミがテレビウムを庇いに当たり、高出力の一撃を受け止めることとなる。
「…………防いだのじゃ!」
なんとかそれに耐えきり、自らに気力を撃ちこむ。
テレビウムの梓紗が彼女の危険を察してアラートを鳴らす。
消耗の大きさもあり、結衣菜が再度魔法の木の葉を、まんごうちゃんが祈りを捧げてミミの体力を幾分か戻していく。
さらに、芙蓉が満月を思わせるエネルギー光球をぶつけて大きく癒しをもたらし、ユリアが緊急手術を施す。
すると、梓紗はジングルベルを鳴らし、危機を脱したことを皆に知らせてくれた。
それもあって、律がエクスカリバールで殴り掛かり、鏡花が『機巧武装アームドブラスター』から魔導石化弾を発射し、トナカイの体を一部石と化して動きを止めようとしたが……。
そのトナカイダモクレスの頭上に魔空回廊が出現し、時間がないことを察した鏡花がまたも雷を放出すべく構えを見せる。
「最終ターンだ……全員思い切り叩き込んでやれ!」
タイマーに視線を落としたゼノアが仲間達へと一斉攻撃を行うよう呼びかける。
消耗したトナカイは真っ赤な鼻を煌めかせ、こちらのメンバーの動きを止めようとした。
だが、ケルベロス達は前のめりに攻撃へと出て、体力を取り戻したミミが仲間の攻撃が集まる胸部目がけて蹴りを叩き込む。
続いて、ゼノアは『*氷晶之刃*』を煌めかせ、敵にトラウマを呼び起こさせる。トナカイは一体、どんな幻覚を見せつけられたのだろうか。
「破ッ!」
箱竜、翔之助のブレスの直後、主の真が無影脚を叩き込み、相手の足を止めて。
「子供たちには攻撃じゃなくて、夢を配るのです」
それまで背に乗ったままだったティセが噴き出す水の剣を振るうと、その軌跡がにゃんこの目を象って。
「必殺、にゃんこ目すらっしゅ!」
それを胴体へと刻み込まれたダモクレスは次の瞬間、爆発四散してしまう。
大きな爆発が起こると同時に、頭上の魔空回廊も消えていく。
そこで、敵を倒したティセが一言。
「そういえば、ソリがなかったのです……」
肝心なものがなかった故に、サンタ気分を満喫できずじまいだったティセなのだった。
●
無事、ダモクレスを討伐したケルベロス達。
「しっかりなおさねば、皆がクリスマスを楽しめぬからのう」
そう告げたミミは、戦場となった街を妖精靴で舞い踊る。
同じく、鏡花もまたこの場を舞い踊り、周囲に花びらのオーラを舞わせていく。
「ナイトクルーズ! ナイトクルーズ! いきましょ!」
一通り終わると、芙蓉がご機嫌な様子で仲間達へと呼び掛ける。
「フフフ、小樽運河! 小樽運河にみんなでゆくわ! 保護者、私よ!」
今回のメンバーでお姉さんである芙蓉が仲間達を引率する。
なお、律、鏡花は別に行きたい場所があると辞退していたようだ。
「ユリアクンもご一緒にどうだろう?」
「それでは、ご一緒しようかしら」
真の誘いもあり、ユリアも同伴することにしていたようだ。
「それじゃ行くわ。はぐれちゃダメよ!」
唯一の成人済みだと芙蓉が大張り切りしていることもあって、誘われたもう1人の成人であるユリアは引率を彼女にお願いしていた。
「小樽運河ね」
結衣菜はやってきたその場へと見回しつつ、仲間と共にクルザーヘと乗り込む。
小樽運河は幅20m、長さ1.14km。クルーザーで40分ほどだ。
雪の積もったレンガ造りの倉庫群と水路が目玉となる場所。夜になっていたこともあり、それらがガス灯によってライトアップされている。
「確かに運河は短いが、建物の古さというか、風情があってイイものだね」
「……日本に運河は少ないので、このような景観は新鮮だな」
その街並みに、真が感嘆するとゼノアは故郷ミラノを思い出していたようだ。
「フランスの運河は自然の中だったりするので、結構違うですね」
そう主張するティセだが、日本生まれ日本育ちで実際の運河は見たことがないらしい。
その間、律はイルミネーション輝く街を見回す。
ベンチに座った彼女はクルーザーに乗る仲間達を目にし、今日の出来事を思い出しつつ瞑想していたようだ。
鏡花は1人、荷物を背負って天狗山へと向かっていた。
「……実は以前ネットで見た夜景に感動したといいますか」
山頂の展望台と到着した鏡花は、購入してきたカメラや三脚など撮影機材を組み立てていく。
彼女は温かい飲み物を口にしつつ、道中考えた設定を試しつつ、目の前の広がる光景をファインダーへと収めていく。
「街の灯……恒星の欠片を集めてきたみたいな景色、です」
イルミネーションで煌めく小樽の街を見下ろす鏡花。
それらの光を、今は自身の手で護れることを実感し、彼女はシャッターを切る。
現像は後になるが、まだまだ構図も設定も甘いと鏡花は自覚していたようだった。
さて、クルージングを終え、小樽運河の光景を楽しんだメンバー達。
芙蓉がノリノリで記念撮影し、レンガ倉庫を背に集合した1枚。
「ここ自体も名所なんだけど、やっぱりせっかくだから食べ歩きしたい!」
「時間があったら、観光しながら買い物をしたいのぅ」
何か良いお店無いかなと結衣菜が希望を出すと、ミミは買い物をいっぱいしてから早く寝たいと主張する。
「プレゼントがもらえるかもしれぬからのぅ」
「ミミさんに繋ぐ? フフフ、道はこちらよ……!」
ここでも、芙蓉が自信満々に案内する。
いくつか店を回って買い物していると、ティセが空腹を覚えたようで晩御飯を食べたいと話す。
「海が近いし、海産物が美味しそう!」
「……折角だ、晩飯もここで済ませていくか。奢るぞ」
少し考えていたゼノアの一言で、仲間達は大盛り上がり。
「あまり高くないものなら……」
「奢りですか? お寿司が好きです」
ゼノアが付け足した一言が仲間達には聞こえなかったのか、ティセの主張に続いて口々に食べたいものを主張する。
高い料理ばかり催促する仲間達に、ゼノアは思わず嘆息してしまうのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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