廃地の花

作者:崎田航輝

 林沿いに建つ空き家の傍に、花園の跡があった。
 とはいっても、そこは“園”と呼ぶ事も憚られる見目をしている。
 生えるのは雑草だけで、花々はその殆どが枯れていて。朽ちた茎や葉の残骸が風雨に晒された跡が、無残に干からびているばかり。
 道行く人々の噂話では、嘗て住んでいた人が作った畑で、色とりどりの花に溢れた景色だったこともあったらしい。
 が、今ではその者も引っ越してしまって誰もいない。手入れする人間を失って、畑は徐々に荒れていったのだろう。
 人の手によって植えられた命は、時に人によって放棄される。
 花は物言わない。
 ただ誰にも手を差し伸べられず。墓ですらない棄てられた場所で、じっとそれを受け入れるだけだった──が。
 ふと、空からふわりと漂うものがある。
 それは謎の胞子。
 ひらひらと宙を降りてくると、園にある数少ない生きた花に取り憑いていた。
 その花は──弟切草。おそらく元が丈夫な花だから、今まで生き延びていたのだろう。
 それでも夏を過ぎて長いため既に花弁はなく、朽ちるのを待つのみだったが──胞子にとりつかれたことでそれは一変した。
 毒々しいまでに鮮やかな大輪を咲かせ、蔓は不気味に畝る。根で地を咬むように、蠢く体はいつしか園を抜け出していた。
 そこに宿るのは忿怒か、或いは哀しみにも似た感情だろうか。
 異形と化した弟切草は、道の先に喰らうべき命──人間の姿を見つけると、獰猛に襲いかかっていった。

「ずっと放って置かれていた花……少し、寂しいですね」
 静かな冬風の吹くヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロスへそんな言葉をかけていた。
「それでもそれがデウスエクスになってしまうのであれば、倒さねばなりません」
 話は、攻性植物の出現が予知された事件のこと。
 現場は大阪市内。爆殖核爆砕戦より続く流れが、未だ絶えていないということだろう。
 放置しておけば人命が危機に晒される。確実な対処が必要だろうと言った。
「戦場となるのは畑の近くとなります」
 平坦な土地であり、戦うのに苦労はしないだろう。
 また、今回は警察や消防が避難誘導を行ってくれる。こちらが到着して戦闘を始める頃には、付近にいる人々の避難も終わる状態になるはずだといった。
「皆さんは到着後、討伐に専念すれば問題ありません」
 それによって周囲の被害も抑えられるはずだといった。
「それがどんな存在であろうとも、人に仇なす敵であることに違いはありません」
 ですから是非、撃破を成功させてきてくださいね、と。イマジネイターはそう言葉を結んだのだった。


参加者
フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
奏真・一十(無風徒行・e03433)
霧島・絶奈(暗き獣・e04612)
ルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)
天司・桜子(桜花絢爛・e20368)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)

■リプレイ

●残花
 さわさわと揺れるのは花ではなく、木立の枝葉ばかりだった。
 近づくにつれて視界に入るその畑は、花の残骸が無造作に横たわっていて──奏真・一十(無風徒行・e03433)は宵色の瞳を静かに閉じる。
 いかに侘しくとも、ひとの居た証のある風景は美しい──それでも。
「……ひどいありさまである」
「朽ちてくモンも嫌いじゃねぇけどネ」
 冬の温度に彩雲の髪を揺らしながら、キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)も小さく肩を竦めていた。
 けれどそこに唯一動くものを見つければ視線を向ける。
「無理に生かされるンじゃ無粋も過ぎるってヤツだ」
 見据える先にあるのは──園から這い出す巨影。
 鮮やかにすぎる大輪を生す、黄色の花。
「弟切草……」
 オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)は呟き自身の手を小さく握る。
 その名と、兄が弟を斬り殺したという逸話。美しさにそぐわぬ謂れに、怖いという感情も湧いてくる、でも。
「その話でも、今も……花自身は何も悪いことはしていないのに」
「そうですね。攻性植物にさえならなければ、穏やかに過ごしていたでしょう。少なくとも、無理に戦場に駆り立てる必要はない筈です」
 霧島・絶奈(暗き獣・e04612)は言いながら、それでももう遅いことを知っている。
 その花は──獰猛な殺意に塗れ、命を求める本能を顕にしているから。
「無き筈の再びの盛りというものでしょうかー」
 フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)はほんのりと小首をかしげて、凪のような声音を零している。
「とはいえ残念ながらその花をー、人目に晒すわけにも参りませんのでー。これも年明け前のー、お掃除ですわねぇー」
 そうしてゆらりと踏み寄ると、一瞬前までのフラッタリーはそこには無かった。
 瞬間、前頭葉の地獄が活性されサークレットが展開。眩い程の金色瞳が開眼すると──顔に豹変した狂笑を顕す。
「今hIト度ノ、殲滅nO戦ヲ……!」
 額に隠した弾痕から地獄を迸らせながら、無数に舞わせるのは呪力に溢れた紙の兵。
「──汝ラ此処ヨrI出ルKoトヲ能wAズ」
 ばさりと音を劈かせ、作った陣で輪を成して柵を組んでいた。
 それが紛うことなき宣戦。
 花が敵意の吼え声を聞かせる中、相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)もいの一番にその面前へ奔り込んでいる。
「先手は、もらうぜ!」
 居並ぶ敵は実に六体。
 人の丈をもすら超える異形の威容に、しかし泰地は怯む様子など垣間見せない。自らの肉体こそが自信の糧というように、半裸に裸足、躰一つで飛び込んでいた。
 敵は盾役による厚い護りを擁している、けれど此方の狙いは中衛。
 足を突っ張り、敵陣の渦中へ踏み込んだ泰地は──盾役を掻い潜り狙う一体を片手で掴み、もう片手で強烈な打突。まずはその花へ重い衝撃を与えた。
 後退した花は自然、僅かにだけ距離が開く。けれどその一瞬すら猶予を与えずに、狙いを定める少女の姿があった。
 菫のような淡い紫の髪を、嫋やかに揺らがせて。手をかざして虚空を明滅させるルピナス・ミラ(黒星と闇花・e07184)。
「──無限の剣よ」
 淑やかな声音と共に、現れるのはエナジーから創造される無数の刃。
「我が意思に従い、敵を切り刻みなさい!」
 刹那、飛び交い翔け抜けるそれは『暗黒剣の嵐』。名に違わぬ斬閃の奔流は、敵を縫って中衛の一体だけに突き刺さり全身に傷を刻み込んでいく。
 この間に敵の前衛も動き出している、が。
「させねぇサ」
 キソラが腕を振るうと暗雲が湧き上がり、無彩の鎖が踊った。『凍雲ノ紲』──撓る連鐶が絡み付けば、三体の動きが奪われる。
 それでも中衛の個体が蔓を振るってくるが──そこへひらりと桜色のスカートを棚引かせ、滑り込むのが天司・桜子(桜花絢爛・e20368)。
 淡紅の槌をくるりと廻し、絡め取るように衝撃を抑え込んでいた。
「治療は、任せてくれ」
 と、一十が燦めく光を顕現させて桜子の傷を輝きで拭い去っていけば──傍らの小竜、サキミも飛び立っている。
「サキミも、助力を頼むぞ」
 聞こえるその声には、鳴き声を返したりはしなかったけれど──サキミの動きは迅速。水色に赫く光を与えて桜子を癒やしきっている。
「ありがとう。それじゃ、桜子は補助を手伝っておくねー」
 二者に柔らかな笑顔で言った桜子は、桜枝より創った武器から花を咲かせ、春の陽のように麗らかな光で加護を齎し仲間の護りを一層厚くしていた。
 戦線に憂いが無くなれば、オルティアは攻勢へ。半馬の体から生まれる速度で一気に敵陣の中枢へ奔っている。
 それでも盾役の一体が中衛の庇いに入ってくるが──。
「そのくらいは、織り込み済み」
 オルティアは構わず盾役へ痛烈な蹴りを打ち、吹き飛ばした。
 開いた射線に、槌を向けているのが絶奈。
 この戦いは、花が寄生されて本来の命を失ったことは、全て攻性植物の身勝手によるもの、ならば。
「早々に排除しましょう」
 やるべきことはそれだけと、些かの躊躇いもなく砲口より爆炎を上げて、花の根元を焼き尽くす。
 傾いだ巨花へ、疾駆するのはルピナスだった。
「まずは、一体ですね」
 抜き放つ刃が、まるで宵空に星が踊るような煌めきの軌跡を描く。美しく、そして鋭く。奔る斬撃が中衛の一体を散らせていった。

●獣
 一瞬訪れた静けさも、濁った咆哮に流されてゆく。
 残存する敵は未だ五体を数え、響く嘶きで凶猛な殺意を表現していた。
 そこに廃墟に咲く小花の面影は垣間見えず──キソラはゆるく首を振る。
「……余計なことしてくれるよな」
 廃墟は好きだ。故にこの廃れた花園を侘しくは思っても、キソラにとってはそれはそれで一つの姿に違いなかった。
 けれど狂花となったこの敵は、その廃地すら踏み躙ってしまいかねない存在だから。
 ルピナスもそっと肯く。
「弟切草は、綺麗な花ですのでわたくしも好きですけれど。こうして攻性植物になってしまったからには、もう選択の余地はありませんね」
「そういうことだな」
 泰地はふぅっと呼吸を一つ整えて、四肢に力を籠め直す。
「これ以上、大阪城勢力の影響圏拡大はさせない。何より一般人に被害が出る前に、仕留めるぜ!」
 自身の力を以てその未来を掴み取るという、真っ直ぐな声音。
 異形の弟切草はそれに鋭い殺意を返すよう、狂音で前衛を奮い立たせていた。が、敵が得た力を発揮するより疾く、風に紛れるように桜子が跳んでいる。
 軽やかに、けれど烈しく。くるりと躰を返しながら脚を踊らせると、鋭い疾風を巻き起こして敵の加護を砕いていた。
「さあ、皆も今のうちだよー」
 その声に応えて泰地が奔り、狙いをつけるのは盾役の一体。
 他の花の壁になっていたことで体力を減らしている、その状態を見逃さず──泰地は『ハウリングキック』。音速を超える疾さで脚を唸らせ、強打を加え突き飛ばした。
 よろめきながらも、狂花は忿怒を顕すように耳障りな声を上げる。
 絶奈は光の円陣を多重に展開しながらそれを見つめていた。
「弟切草の花言葉の一つは『恨み』でしたか。確かに人の手によって植えられながら、棄てられ忘れられたのであればそう思うのも仕方ないでしょう」
 ですが、と。
 微笑していた顔に上塗りするのは、鋭利な程の狂的な笑顔。それこそが、闘争を好む狂戦士としての本質の一端。
「攻性植物は彼らの代弁者ではありません。故に、遠慮なく排除します」
 ──今此処に顕れ出でよ、生命の根源にして我が原点の至宝。
 ──かつて何処かの世界で在り得た可能性。『銀の雨の物語』が紡ぐ生命賛歌の力よ。
 詠唱の刹那、燿くのは槍にも似た光。
 DIABOLOS LANCER=Replica──至近から飛ばされたそれは、永劫の命を穿ち貫いて盾役の一体を完全に消滅させていく。
 敵数が四体となると、皆はさらに次手を譲らず攻撃を継続。絶奈の視線を受けたテレビウムが、中衛の一体へ打撃を加えていた。
 後退した花は、そのまま下がって体勢を直そうとする、けれどその面前へすたりとキソラが降り立っていた。
「悪ぃケド、逃さねぇから」
 吸い込まれそうな瞳はまるで冬の空。花が一瞬判断に遅れたその頃には、キソラはその手に錆びた黒の鉄梃を握っていた。
 ゆるりと掴みどころのない動きは、同時に無駄のない挙動。敵が認識するより疾く、横一閃の衝撃が花の一端を引き裂いていく。
「そろそろかな」
「ん、とどめは刺す」
 静かに言ったオルティアは、蹄で拍を打って一息に距離を詰めていた。
 瀕死の巨花は這うように逃げようとする、けれど全ては遅い。オルティアが奔り出したその時点で、既に花の四方は感知魔術の網の中なのだから。
 躰が僅かにそれに触れれば、オルティアの『蹂躙戦技:舌鼓雨斬』──意識するよりも早い一刀が襲い、花は両断されて消えていった。
 残る花達は反抗の意志を露わにするように猛り、花粉を振り撒いてくる。
 現実を覆う幻の手、だが──先頭へと飛び出たフラッタリーがその衝撃を受け止めてみせると、直後には頬を花の香りのする風が撫でていた。
「心配はない。これで全て、幻を消し去ろう」
 それは声と共に一十が風に交じらせる、花弁の舞い。
 地を軽く踏む度に、花風は花嵐と変遷し。荒れ地にいつかの彩りを感じさせるかのような芳香で、フラッタリーを含む前衛の意識を澄み渡らせていった。
 これまで築いてきた防護も厚ければ、不調が残る不安は皆無。ルピナスは早くも反撃体勢を取り、細指で指し示すように空間に陽炎を揺らがせている。
「──御業よ」
 声に応えるように揺蕩うそれは、ルピナスの意のままに動く意志と力の塊。碧の瞳で見据えたルピナスは、敵の残る盾役へと指を差し向けた。
「敵を鷲掴みにしてしまいなさい!」
 不可視の挙動を取る御業は、瞬間で肉迫。その花を縛り上げるように拘束する。
 そこへ駆け込むのが桜子だ。
「このハンマーで、叩き潰してあげるよ」
 有言実行、槌を振り上げると敵が動けぬうちに一撃。花の天頂から直下に衝撃を叩き込み、花弁を押しつぶしてみせた。
 花を失っても、弟切草は尚凶暴に抗う。だがそれよりも荒々しく、それよりも獰猛に。至近に迫って躰を掴み上げるのがフラッタリー。
「獣ヨ叫ベ。草木灰ト成Si、諸共ヲ八裂ゾ」
 獣と堕した花よりも、獣らしく。
 自ら飢餓衝動を喚起して、具現した黒き爪牙で見舞うのは『Non dimenticare ソノ掻キ毟リヲ』──暴力的なまでの連撃でその一体を毟り、削り、斬り裂いて絶命させた。

●静風
 二体を残すのみとなった巨花は、僅かに気勢を失ったように低く轟く音を零している。
 訴えか、哀しみか、或いはそれでも怒りの感情を残しているのか。
 花の心は判らない。
 けれど人へ向けられたその感情を、一十は受け止めるように呟いた。
「ひとが植え、ひとが棄てた。ならば最後はひとが摘もう」
「もちろんだ。やるぜ」
 泰地は拳を強く握り込み、真っ直ぐ接近していく。
 敵の攻撃役は、蔓を振り回し泰地へ抗おうとした。けれどそれより早く、空気の爆縮が植物を襲う。
「其nO躰モ、膚モ魂Mo迄モ、全tE粉塵ト成セ」
 それは滾る獄炎を靡かせて手をのばすフラッタリー。炸裂する衝撃がその一体の蔓を粉々に破砕した。
 その隙にルピナスは刃を陽光に煌めかす。
「このナイフに、貴方のトラウマを映してあげますよ!」
 意識に差し込まれた鏡像は、如何な色を持っていたか。苦悶に蠢く弟切草は、反撃も忘れて体をうねらせる。
 その零距離に泰地が入っていた。
「これで終わりだ!」
 両の拳で間断なく放つ連続打撃は、爆発的な衝撃を生み出して──茎も根も全てを吹き飛ばし一体を消滅させた。
 残る一体は、退かず蔓を暴れさせる。それは桜子に浅くない傷を齎すが──すぐ後には一十が金の鍵束から一本を手に握っていた。
「荒療治だが堪えてくれ、大丈夫だから……」
 傷に差し込み引き抜くことで、行使するのは『創痍施錠』。開いたものを閉じるように、負傷を跡形もなく縫合していく。
 奔り出したキソラはそこへ視線をやった。
「カズ、行くか」
「──ああ」
 肯く一十も、キソラに合わせ反撃へ。眩い雷光を宿した刺突を花へ見舞うと──キソラも槍を突き出し衝撃を重ねてゆく。
 花は自己回復を試みた。けれどオルティアが即時に破魔の斬撃。茎を裂いて敵の力を打ち砕く。
「後は、任せたい」
「ええ」
 応えた絶奈は、真横に引き絞った槌で殴打。大ぶりの直撃で花をへし折った。
 そこへ桜子が手を突き出す。
「桜の花々よ、紅き炎となりて、かの者を焼き尽くせ」
 はらはらと溢れてくるのは桜の花弁。
 見惚れる程に美しいそれは、一瞬後には滾る炎となる。『紅蓮桜』──鮮やかに燃え盛る花弁の滝が、最後の花を灰にした。

 花園の跡に静寂が訪れる。
 木々がさざめく音ばかりが響く中、絶奈は武器を収めて皆へ振り返っていた。
「終わりましたね」
「そうですわねぇー」
 と、いつしかゆったりとした空気を帯びていたフラッタリーは──荒れた畑を見下ろすと、紙兵を撒いてヒールを始めていた。
「こうー、綺麗な感じにお掃除してくださいましー」
 指示は両手をあでやかに振って行う。その心が紙兵に伝わっているわけではなかったけれど──少しずつ土が綺麗になり始めてはいたろうか。
 一十も少ししゃがみ、掃除を始める。弔いというわけではないけれど、荒れ放題では単純に見栄えが悪いと思ったのだ。
「花園は造れぬにしても、平らな空き地には戻せよう」
「ああ、そうだな」
 キソラも頷き、弟切草の残骸を見ていた。
「物騒な花言葉っつうが──だからってその通り終える事もナイだろうからな」
 誰も傷つけずに終われたから、最後は本物の花の欠片として消えていけばいい、と。
 オルティアも頷いて手伝う。元より荒れ畑なら不要かもしれないけれど、これ以上放るのはかわいそうだと思ったのだ。
 もののあわれ、という考え方もあると最近勉強はした。
(「でも……私はやっぱり、枯れゆく花より咲き誇る花の方が、いいから」)
 勿論、一度枯れた花は、死んだ花は、決して蘇らないと知っている。
「……ごめん」
 だから小さく呟いて。
 せめて忘れないからと約束して、荒れ地を綺麗にした。
 畑の外側も修復していたルピナスは、作業を終えて一息つく。
「これでするべきことは出来ましたね」
「攻性植物も後を絶たないよね。根本的な解決策があればいいのだけど」
 助力していた桜子は、そう言って、殆ど更地になった畑を見つめていた。
「そうだな。ただ、この戦いで皆が無事だったことは良かったと思うぜ」
 泰地が言えば、皆もそれぞれに頷く。
 そうして泰地が人々へ無事を告げ、平和が戻ると──皆は帰路へついていった。
 無人の更地に満ちるのは静謐。ただ、いつかには無かった柔らかな風が吹いていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 0
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