聖夜のグランドロン救出戦~細穴突破作戦

作者:雪見進


「宇宙での戦い、お疲れ様でした〜」
 連続で続く激しい戦いを突破いしてきたケルベロスたちを尊敬の眼差しで見つめながら、説明をしているのはチヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)。
「それに対して、大阪城に集まっている人たちが動きを見せている様子です」
 これまで様々な妖精種族がケルベロス側へと感情を寄せる様子を警戒し、四隻のグランドロンを防壁のように変形させ、大阪城を囲んでいる。その図を描き説明を続けるチヒロ。
 そして、それを支配しているのは、エインヘリアルの第四王女レリだ。その王族の威光により、ケルベロスたちの説得が届かない状況となっている。
「ですが、チャンスもあります!」
 その第四王女レリの威光を取り除いてしまえばいいのだ。
 大阪城を取り囲むグランドロンの長城は、第四王女レリの白百合騎士団と、シャイターンの三連斬のヘルヴォール率いる『連斬部隊』。さらに攻性植物のユグドラシル戦力が防衛にあたっていて、そのまもりは堅い。
「ですが、差し伸べてくれる『手』もあります」
 グランドロンがコギトエルゴスムでありながら手助けをしてくれます。グランドロンの堅固な長城に人が通れる程度の抜け穴を作ってくれるのだ。
「この穴を利用して、敵の指揮官を奇襲する事が可能です!」
 この奇襲を成功させ、第四王女レリの威光を失わせられれば、グランドロンはケルベロスの説得を受け入れてくれるだろう。

「ですが、無論簡単な作戦ではありません」
 ホワイトボードに描いた図に、マグネットで有力敵の場所をポイントしていく。その数は10個。
 『第四王女レリ』、親衛隊を率いる『絶影のラリグラス』、城内警備部隊指揮『閃断のカメリア』、外敵の警戒部隊指揮『墜星のリンネア』、レリ配下の螺旋忍軍『紫の四片』、副城主『三連斬のヘルヴォール』、連斬部隊員『ヘルガ』『フレード』『オッドル』『ヒルドル』の計10体。
 全てを倒す必要は無いかもいれないが、そこから様々なほころびが生まれ、作戦が失敗してしまうかもしれない。

「今回は、救出したグランドロンのコギトエルゴスムの影響なのか、グランドロンの長城内の敵の様子を詳細に予知する事が出来ました」
 新たに図を描き、説明を続けるチヒロ。それ故に、他の白百合騎士団の一般兵やユグドラシル勢力と戦う事なく、有力敵を奇襲する事が出来る。
 ただ、敵の戦力は膨大である為、有力敵の撃破に失敗し、敵が態勢を整えてしまえば作戦の遂行は困難となるので、即時撤退を行う必要があるだろう。
「加えて、作戦に参加出来る人にも限りがあります」
 大人数で襲撃しては、この奇襲は成功しない。作戦に参加するチームは15チームで、10体の有力敵に対応する事になる。
「詳細な作戦については、皆さんにお任せします」
 隠密で大阪城に近づく方法、抜け道を使った潜入時の行動、自分のチームがどの敵を狙って行動するかの選択、敵との戦闘方法、援軍などへの対処方法、作戦に失敗した場合の撤退手段など、様々な状況を想定して行動を考える必要があるだろう。
 これ以上は現場を知らないチヒロがあれこれ口を出すのは無駄だろう。

「エインヘリアルの第四王女レリとは多くの縁がありました……」
 過去を邂逅しながら、一呼吸置くチヒロ。
「その結果、どのような結末になるのかは、全て皆さんにかかっています。よろしくお願いします」
 自分の気持ちは口にせず……いや、チヒロ自身も、どういう結末を望んでいるのか分かっていないのかもしれない。
 だから、後をすべてケルベロスの皆へと託すのだった……。


参加者
ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
源・那岐(疾風の舞姫・e01215)
愛柳・ミライ(宇宙救命係・e02784)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)
七宝・瑪璃瑠(ラビットバースライオンライヴ・e15685)
エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280)

■リプレイ


 ここは大阪城周囲に城壁のように展開させられたグランドロンの外壁部分。そこへ、多数のケルベロスたちが班を組み、潜入を行おうとしていた。
「帰ってきましたね、ここに」
 小さく呟くのは、エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280)。彼女はアイスエルフ。以前はこのグランドロンの中にいた。
「蘇らせて頂き、手厚く保護頂いたにも関わらず、出奔し、こうして打倒の為、舞い戻った私たちは、不義理な種族でしょうか?」
 ここでは妖精種族にとって様々な事があった。その上で、この場に戻る事に様々な想いがこみ上げているのだろう。
「……そんな事はありません)
 そんなエレインフィーラにそっと声をかける愛柳・ミライ(宇宙救命係・e02784)。
(「私たちを導いてくれた恩人の皆様と共に」)
 声をかけてくれたミライと、他のケルベロスたちの恩に答えるように、一瞬だけ想いを馳せ……。
「そうですね。手を取り合えぬなら、せめてその誇りの中で制圧して差し上げます」
 その言葉は『氷』と『制圧』を司る妖精・アイスエルフとしての覚悟だろう。
 対して言葉をかけたミライだが、内心では言葉に出せない想いがあふれていた。
(「私が本当に助けたかったのは、誰かのために一生懸命な人だから……でも、拗れちゃったの。もう、元には戻らないの」)
 その想いと共に、そっと自分の手を見る。
「ここで決着を……」
 そんな決意を口にするミライ。それをそっと支えるようにフローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)が肩に手を添える。
「私も覚悟を決めました」
 フローネも白百合騎士団には様々な思い入れがある。それも、今日決着を付けるのだ。
「ったく、クッソ面倒くせェなァ……」
 そんな場で響くジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)の声。その言葉はガサツだが、この場にいる者は皆分かっている。ジョーイがそんな者ではない事を。あえて、緊張を解すためなのだろう。
「ともかく、作戦を確認しましょう」
 『決意』や『覚悟』は必要だろうが、今はまだ潜入前。今から緊張の糸を張り詰めては、本番で切れてしまう。源・那岐(疾風の舞姫・e01215)はジョーイの言葉で落ちついた皆に作戦を確認しながら、隠密気流を展開させる。
「ペレ、頑張ろうね!」
 作戦を確認しながらボクスドラゴンのペレとハイタッチをするノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)。
「グランドロン、信じているよ!」
 七宝・瑪璃瑠(ラビットバースライオンライヴ・e15685)を共に戦う仲間と信頼している瑪璃瑠。さらに隠密気流を形成する。念のための処置だ。
 準備が出来たところで、グランドロンの城壁へと近づくケルベロスたち。
「お願いグランドロンちゃん、力を貸して」
 ミライの願いの言葉と共に、大阪城の城壁と化したグランドロンに小さな、人が1人通れる程度の穴が空く。それは、コギトエルゴスムの状態でも、ケルベロスへと力を貸してくれたグランドロンのおかげ。しかし、意志は感じられるものの、会話等はまだ出来ない。その為、この城壁グランドロンを支配しているエインヘリアルの第四王女レリを倒す必要がある。
「さあ、協力してくださるグランドロンさん達の為にも、未来の同胞をお迎えする為にも、頑張りましょう!」
 シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)が小さな声で決意を口に出す。その言葉は優しい願い。そのまま、先頭でグランドロン内部へと入り、周囲を警戒し斥候としての役割を担うシア。事前のマップを手に、手際よく進む。
 途中で、白百合騎士団員やシャイターンの妨害に会うこともなく、目的地へと到着する。
 ヘルヴォールは強敵。他、2班が別の方向からこの場に集結する手筈になっている。
「さあ、行きましょう!」
 シアの合図と共に、グランドロン救出の戦いが始まった!


 最初に動いたのはノーフィア。なんと、堂々と正面から現れる。
「久しぶりだね、ヘルヴォール遊びに来たよ」
 そして、普通に挨拶をした。
「あぁん!」
 ノーフィアの能天気な声に、獣のような声で反応するヘルヴォール。異常な状況に即座に反応するも、それにシャイターンの部下は反応が遅れる。
「え……?」
 一瞬、あっけにとられた瞬間に、他のドアから侵入するケルベロスたち。あまりに堂々と正面から入ってくるのだから、注目が集まり他への反応が遅れた。
 その隙を逃さず、斬りかかる影がある。シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)だ。
「随分と探したわよ、ヘルヴォール。……この日を、ずっと待っていたわ。さあ、終わらせましょう」
「あたしに恨みを持ってるやつかい? 昔の殺し合いなんて、いちいち覚えていられねぇな」
 シフカの言葉から強い因縁を感じさせる。しかし、当のヘルヴォールはシフカを気にしている様子は無い。しかし、内心ではこの異常事態の方へ思考を巡らせているのかもしれない。
 グランドロンの中枢部分へと、途中で一切の情報を残さず、この場所へ24人のケルベロスが一斉に奇襲出来る状況。
 ケルベロスとの戦いも長いが、その中でも最悪の状況が目の前にあるのだ。過去の因縁とかに気を配っている状況ではないだろう。

 他班の動きに合わせて、奇襲を仕掛けるケルベロスたち。
「クッソ、面倒くせェ……」
 気だるそうなぼやきと共に放たれたジョーイの攻撃は言葉とは裏腹に、最速の一手となる達人の一撃。
「戦いの歌をはじましょう?♪」
 ミライは追憶に囚われずに、前に進む力を歌声に乗せて響かせ。さらに、星型のオーラと共に蹴り込むフローネと氷柱を放ち貫くエレインフィーラ。
「この場を制圧して差し上げます!」
 そこに合わせ、フェアリーレイピアの先端から、那岐とシアが合わせて、花の嵐を放ち、周囲で戸惑っていたシャイターンたちを一掃する。
「血と殺し合いが好きなヒトが、血と殺し合い意外で好いたヒトがいた。あのギアツィンスさんが命を懸けて仕えたヒトがいた。そのことを、ボクたちは忘れない」
 様々な想いと共に、瑪璃瑠の右目がピンク色に光、そして左目が金色に輝く。その光と共に、無機物と同調し、精神を安定させる瑪璃瑠。
 一瞬の奇襲で、ヘルヴォールの周囲にいたシャイターンたちが一掃された。
「……」
 奇襲は成功した。この場で立っているデウスエクスはヘルヴォール一体。そんな状況に、憮然とした態度を見せる。
「……てめぇら……」
 苛立ちか憤慨か、それが入り混じった感情を見せるヘルヴォール。
「黒曜牙竜のノーフィアより、三連斬のヘルヴォールへ、剣と月の祝福を! 一人に二度告げるのは久しぶり!」
「だから、いちいち覚えてねぇっ!」
 部下たちを倒されたからだろうか、それとも血気盛んな性格故か、叫ぶヘルヴォール。この同時展開している作戦。小さな綻びから、失敗に終わる可能性もある。その為に、各班がやるべきことをやる!
 この場に集まった24人のケルベロスたちに迷いは無い。
「さあ、この前の続きといこうか!」
「共に参りましょう!」
 声を合わせ、轟竜砲弾を撃つノーフィアとエレインフィーラ。さらに、ジョーイが冥刀「魅剣働衡」を構え、超高速で周囲の机などを物ともせずに突撃する。
「ハール王女の策謀、貴女ならある程度は読めていたのでしょう? レリ王女が進む道、貴女が真摯に説けば、変わったのではないですか!」
「ねえ、ヘルヴォール。誰の為に戦うの?♪」
 真意を問うフローネと共にミライも歌声を響かせる。
「……うるせぇ!」
 二人の言葉は、ヘルヴォールに届いたのだろうか……それとも、全く届いていないのだろうか。一瞬の沈黙が何かを感じさせる。
 続けて攻撃を繰り出すケルベロスたち。途中でシャイターンの乱入はあるものの、適時対応し実質的に24対1という状況で徐々にヘルヴォールを追い詰めていくのだった……。


「邪魔をするなぁ!」
 突如、激しい殺意を見せるヘルヴォール。そもそも、『防衛指揮官』とかに向いている性格ではないのだろう。この状況は、レリと何らかの『縁』があって引き受けている役割。しかし、状況を考えれば考えるほど、出来る事は無い。ヘルヴォールが取れる選択肢は目の前のケルベロスを全滅させ、レリの救援に向かう事だけだろう。
 『切れた』ヘルヴォールが、殺気を込めた笑みを浮かべながら、凄まじい勢いで斬撃を放ち始める。三連斬……いや、何十、何百倍もの斬撃を無数に放つ!
「紫水晶の輝きにかけて、させません!」
「この力は大切な世界の為に!」
 反射的に動いたのはフローネと那岐。先に展開したのはフローネのアメジストシールド。しかし、降り注ぐヘルヴォールの斬撃に、砕ける。
「風よ、力を貸して……」
 その砕けた紫水晶の破片を風に乗せ、神楽を舞い斬撃を受け流す那岐。しかし、それも一瞬。すぐに無数の斬撃に押しつぶされそうになる。
「アメジスト・シールド、最大展開!!」
 一瞬の間に、再び紫水晶の盾を展開するフローネ。しかし、やはり一瞬で砕ける。
「さあ、共に舞いましょう!!」
 砕けた紫水晶を風と共にさらに身に纏い、紫銀の輝きを放ちながら、仲間たちを守る。
「私も一緒だぁぁぁ!!♪」
 想いの根幹は分からずとも、ヘルヴォールの願いは一つ。第四王女レリなのだ。
 それが分かっただけでも、ミライにとっては気持ちが通じる。大切な誰かの為の想い。それは、どんな種族であっても通じる願い。それが分かったから……でも、それでも決着を付けないといけない。だから、泣き叫びながら、声を枯れさせながらも、歌声を響かせる。
「約束したでしょ? ずっと一緒だって……♪」
 少女の歌が放たれた斬撃を鎖で縛り、威力を減衰させていく。
「まだ……だぁ!」
 それでも、ヘルヴォールの放つ攻撃を打ち消すに至らない。
「ヘルヴォールさん、とびきりのラストダンスを私達と踊りましょう?」
 そんな降り注ぐ斬撃を背景に、那岐の神楽舞に合わせるように、優雅な踊りを披露するかの如く、動くシア。
「ただ、一輪……」
 その姿はヘルヴォールの攻撃で傷だらけ。しかし、それでもそっと一輪の花を捧げるように静かにダンスを踊り、フェアリーレイピアを構える。その姿が激昂しているヘルヴォールと非常に対照的に映える。

 次の瞬間、一瞬の空白が生まれた。そこで動いたのは、ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)。
「貴様だけは逃がすわけには行かぬ……必ずやここで討つ!!」
 ジョルディは狙撃用のキャノン砲を展開し、超高速で銃弾を放つも、視線すら向けずに避けるヘルヴォール。
「これは前に隠していた私の奥の手、受けるがいいさ!」
 しかし、そこに勝機を見たノーフィアが切り札を切り、他のケルベロスたちが一斉に攻撃を開始する。
「私を連れてってくれるって……♪」
 ミライの歌声がヘルヴォールへと束縛の鎖となり放たれる。
「我、流るるものの簒奪者にして不滅なるものの捕食者なり……」
 さらに攻撃を重ね、避ける余地を減らすべく、ノーフィアが詠唱を始める。
「ちょい、耳塞いどいてくれや」
 その後ろでジョーイが大きく息を吸い込み『ため』を作る。
「視界を塞ぐ吹雪の中、氷塊に映るあなたの畏れを呼び覚まします」
 さらに、攻撃を重ねるエレインフィーラ。冷気を踊るように回転させ、局地的な吹雪を呼びヘルヴォールを包む混む。
「リミッター限界突破! 廻れ、廻れ、夢現よ廻れ!」
 攻撃を重ねる仲間を支援すべく、緋眼のメリーと金眼のリルを夢現輪廻させ現実を改竄する夢を作り出す瑪璃瑠。
「すぅ~っ……AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGH!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 凄まじい叫び声が戦場を走る。その悪魔の叫び声は3オクターボ高いCの音。それが斬撃を蹴散らかしながら、ヘルヴォールへとシャウトされる。
「然れば我は求め訴えたり、奪え、ただその闇が欲する儘に」
 ジョーイの悪魔の叫びに続き、ノーフィアの詠唱が完成し、ヘルヴォールの背後に立体で構成された魔法陣が形成され、超重力場を展開させる!
「くっ!」
 ジョルディの一手から、総攻撃を仕掛けるケルベロスたち。その攻撃が、シフカへと道をつ作る。
「今だっ! シフカ嬢!」
「ええ……因縁はここで断たせてもらうわ!」
 動きの止まったヘルヴォールの首に、鎖が絡み付く。そのまま、シフカは渾身の力を込めて、ヘルヴォールの身体を振り回した。
「今すぐ此処で死に絶えろ……! 殺技肆式、『鎖拘・Ge劉ぎャ』!」
 彼女の憎しみの大きさを示すような凄まじい攻撃が繰り広げられる。それを邪魔する者は誰も居ない。
「さあ、年貢の納め時よ、ヘルヴォール!」
 シフカの最後の一撃がヘルヴォールの全ての力を……奪い去る。
「……レ、リ……」
 そのまま、最後に言葉を残し消えていくヘルヴォール。その最後の言葉から溢れる想いはか『友情』か『忠義』か……。いや、そんな言葉で表せないような言葉と共に消滅してくヘルヴォールだった……。


 その直後だろうか、周囲が大きく揺れたかと思うと、周囲の壁がコギトエルゴスム化していく。そして、まるで助けを求めるかのように、ケルベロスの元へと集まってくる。
「さあ、私たちと一緒に!」
 集まってくるグランドロンを迎えるように両手を広げ、共にポケットへと詰めていくミライ。
「袋を用意してきたから、こっちにも」
 ノーフィアは、こんな事もあろうかと袋を用意していた。その中にペレと一緒にどんどんコギトエルゴスムを入れて行く。
「私たちを導いてくれた恩人の元へ皆さんも一緒に!」
 さらに、凄い量を回収していくのはエレインフィーラ。集まってきたグランドロンをアイテムポケットへと入れていく。アイテムポケットなら数千個入れる事が出来る。
「協力しますわ!」
「手伝うよ!」
 シアと瑪璃瑠もそれを手伝う。一人で運べる量には限りがるが、ノーフィアの用意した袋やエレインフィーラのアイテムポケットなら、数千個単位で保護する事が出来る。動ける者たちは彼女を中心に、グランドロンの保護しながら、脱出を急ぐ。
 それを手伝おうとするフローネと那岐だが、この班の中で一番ダメージが酷い。
「これくらいしか、役に立たねェしな」
 そんな事は無いだろうが、深いダメージを負った那岐とフローネに手を貸すジョーイ。
「そんな事はありません。あなたの『ココロ』に感謝します」
「……そうです。助かります」
 フローネと那岐はジョーイの肩を借りながら、コギトエルゴスムの回収はエレインフィーラを中心に任せ、今は撤退の歩を進める。
 作戦は成功した。後は無事に戻りコギトエルゴスムからグランドロンたちを復活させる必要がある。今は最後の力を振り絞り、脱出するケルベロスたちであった……。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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