深夜営業の定食屋だった。
駐車場も含めた敷地に建つ平屋。隣接した民家はない。
店内にはカウンター席のみで、6、7人の男性が、一席ずつ空けて座っている。
ビジネススーツがほとんどで、中には企業ロゴのついたジャンパーの者もいた。
知り合いどうしではないようで、皆がもくもくと焼肉やらハンバーグやらの定食にむかっており、たまにスマホをいじるくらいだ。
深夜でも、これだけの客入りがある。夕方ならば、16脚の丸イスが、満席だ。
そんな、場所で。
扉の開閉音はしなかったのに、入店のチャイムだけが鳴った。
店員は反射的に、出入り口へと視線を飛ばして、あいさつしかかるが。
「いらっしゃ……!」
絶句したのは、3メートルもの身長をもつ、大女が立っていたからだった。
頭は天井すれすれ。赤い巻き毛に、オレンジ色のワンピースを着ていた。
右手には水晶玉を握っている。
カウンターに並んで座る男たちからは、背中側の出来事だ。
女は、クリスタルな球体に、小声で呪文を唱えると、最後のセンテンスには気合いをのせた。
「シャラ……らあぁ!」
冷たい炎が飛んで、衣服が消えたところでようやく、男は丸イスに直接お尻を乗せているのだと、悟った。
「あれれ、服が! 俺の服、どこ?!」
視線を巡らせれば、おのれの部分が丸出しなのも、わかってしまう。
「イイコト、しな~い?」
女は手を伸ばし、男の尻へと。
「女性のエインヘリアルは、ちょっと前まで確認されてなかったのよね」
軽田・冬美(雨路出ヘリオライダー・en0247)は、事件を起こす犯人として、解放された凶悪犯罪者の背景を説明する。
罪人が起こす虐殺により、恐怖と憎悪をもたらし、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせる狙いがあるというのだ。
冬美は、除・神月(猛拳・e16846)を紹介し、女エインヘリアルの行動を追えたことを感謝した。
「神月ちゃんの一言がなければ、予知できなかったのお」
「女だからっテ、『肉』をたくさん食べるヤツはいるからナー」
現場の店舗には、罪人より先に到着できる。ただし、事前の露骨な避難誘導は、かえって危険だ。さいわい、最初の一撃では、サラリーマンに怪我はないとのことだった。
「その攻撃は、ネクロオーブの『クリスタルファイア』にそっくりなの。でも、ブラックウィザードとの関係は不明で、似てるだけかもねえ」
冷たい炎でなら、服を消してしまえるだろう。
「予知の最後に、アブナイ雰囲気があったよねぇ。注意して行ってきてね。レッツゴー! ケルベロス!」
「ただの男好きなんじゃねーカ?」
参加者 | |
---|---|
機理原・真理(フォートレスガール・e08508) |
除・神月(猛拳・e16846) |
金剛・吹雪(シスコンスマホ少年・e26762) |
エル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475) |
高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948) |
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524) |
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251) |
ケイト・クゥエル(セントールの鎧装騎兵・e85480) |
●入店
バイトの制服を用意できた、ケイト・クゥエル(セントールの鎧装騎兵・e85480)は、裏口からスタッフルームに潜入した。
女子大生っぽいアルバイト店員は、はじめ怪訝な顔をしたが、今日は妙にお客が多いから臨時でシフトに入った人ね、ともらし、それ以上は追及されなかった。
カウンターに立っている中年の店員も、にこやかに同様のことを言った。
というのも、普段は無感動に定食をたいらげるだけの客たちが、近所づきあいでもあるかのように、和気あいあいとしているらしい。
「効率や回転を考えたら、相応しくないかもな。けど、たまにはこんな夜があってもいいよな」
いま来た客のオーダーをもらい、はりきった調子でカレートッピングのフランクフルトをとりに行く。
そうして、端の席についたのは、レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)だった。男装している。体型が判らないよう、幅広ズボンにダウンジャケット、眼鏡もかけていた。
レイファから数えて、ひとつおきに座っているのは、ケルベロスの仲間たち。
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)は、新社会人風のビジネススーツ。ひょっとしてバレているのか、隣のおじさんは口説きにかかっている。
除・神月(猛拳・e16846)は土木作業員ふうの赤いツナギ。女性陣はそれぞれに用意してきている。
店の雰囲気のひとつは、柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)だ。やはり、地球人はすごいと、ケイトは二足に変じている自身を思った。
もうひとつは、真似できない。出入口から一番離れた奥の席で、清春と一般人らの会話を、ほおづえついて聞いている、エル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475)。
生の乳房がふたつ、カウンターにのっている。
ケイトほど大盛りではないが、形はいい。中年店員がカレーを運んできたので、出し終った後でたずねてみると、著名人で写真もとらせてもらったという。
「全裸露出秘部露出衆人環視露出の三重露出趣味者、エル・ネフェルさんだ」
よどみなく答えて、見せられたスマホには、店の奥の壁を背にしたY字バランスが映っていた。客たちで撮影会となっている。
最前列にあるのは、接写を試みる清春の姿だったが。
この騒ぎだけでほぼ事件なのに、ピタっとおさえて人々のコミュニケーションの円滑さだけを残すあたり、さすがのサキュバスであると、感心するのである。
そうした手練もなく、油断から罪人に遅れをとったケイトだが、今回の依頼では女エインヘリアル相手に油断は絶対しない。
誓った眼前に、時空の歪みが発生し、入店チャイムが響いた。
●戦闘
高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948)が、隠密気流を解いた。
「封印部分開放っ!」
魔法ステッキの出現だけを行い、服装はそのまま。それも、男装だった。ジーンズにワイシャツ、頭には野球帽をかぶって長く白い髪を隠している。
ケルベロス女性陣の男装は、男を狙う罪人の注意を引くためのものだ。
だが、女エインヘリアルが最初に選んだのはやはり、予知で襲われたサラリーマンのビジネススーツだった。
「シャラ……らあ!」
第一被害者は、股間を押さえている。
金剛・吹雪(シスコンスマホ少年・e26762)が、厨房がわから入ってきた。
「ケルベロスっす! みなさん! 避難するっす!」
だが客を、外に逃がすか、店内に留まらせるか。
裏口はあるが、そこから脱出しても、結局は店舗の表に回らなければならず、敵に見つかれば危険な位置になる。
ケイトが、中年店員に、自分たちがお客を避難させるむねを伝える。
カウンターを越えさせて、その裏に屈んでいてもらうことにした。エルが先に乗って、腰を左右に振る。
身を乗り出していい空気が、一般人には作られていたから、容易に誘いだせる。そして吹雪とそのビハインドのハルナが、男性客たちに手を貸した。
清春はあえて、腰かけたまま、敵に後ろをとらせている。
「シャラ……らああ!」
服が消えて、お尻が丸出しになる。そこへ伸ばされた、女の大きな左手を、ガッシリと掴み返す、清春。
「ケツの趣味はねぇけどよ、裸恥ずかしがるほど純情じゃねえぞ」
イスを回転させながら、エインヘリアルへと向き直ると、ガニ股に開いた脚の間から、バッキバキにそそりたつモノを誇示するのだった。
なおも、伸ばそうとする大女の手を、ましろが氷魔法で留めさせる。
「そっちもイイ男じゃないか」
ステッキを掴まれ、水晶をかざされると、帽子がなくなって、髪がサラリと流れ出た。
「男のカッコウなのに、なんだ女か!」
裸に剥かれたましろは、杖ごとほうられ、サラリーマン風だった男とぶつかって、カウンター裏に落ちた。
逃げ遅れを装う、レイファは掴みあげられ、ダウンジャケットもろとも、衣服を消される。
メンバー中でも小柄で、大女の右腕に抱えられると、幼児がお尻叩きでもされるような、あんばいである。
「また女か。男なら、ここをイジラレると、フル勃起すんだよ。女のおまえならどうかな?」
うしろの穴を、太い指が出入りする。真ん中の穴は湿り、前の穴からは小水を噴いた。
「ひいい!」
そのまま、彼女もカウンター裏へ投げ捨てられる。
真理もビジネススーツを脱がされ、つかまった。
「またまたハズレ。それにあんたも、さっきの娘と同じか。女が好きなんだろ」
面とむかって暴露されると、無表情とはいかなくなった。真理は悔しげに顔を上気させている。
「ふーん。恋人もいる、と。妬けちゃうねぇ。アタシはやっと自由の身になったところで邪魔されてんのに、さ!」
乱暴な愛撫を受ける。
厨房の床に倒れたレイファを女子大生バイトが、励ました。
「頑張って、ケルベロスさん。わたしが支えるから」
再び仕切りを越えて戻れるよう、片膝立ちになり、腿と肩を踏むのを許した。漏れてくる黄金水さえ、浴びながら。最後に送りだしたときには、口でも受けていたかもしれない。
「ありがとう。あとでね」
レイファは、両手に手裏剣をもって腕を大きく広げ、螺旋の竜巻を起こす。イキそうになっていた真理は、大女が竜巻に挟まれたおかげで、解放された。
が、マル椅子の基部にうなだれている。
次々と脱がされる惨状に、足をすくめてしまい、いまだ逃げ出せずにいる男性がいた。
赤ツナギの神月は、その仲良くなったオヤジを、台に押し上げて逃がそうとする。
「あんちゃんは、どーすんだ」
庇って両手足を広げた構えをとられると、大女は神月のツナギの股間が膨れているのに気がついた。先端にシミすら浮かんでいる。
「おやおや、興奮して」
オーブをつかわず、顔を近づかせると。
「ウッ!」
布地を透かし、粘つく液体が発射して、女エインヘリアルの顔面にかかる。
「まあ、元気だこと、ペロッ……あぐぅ!?」
なめとったそれは、白くはなかった。『狂月感染(ルナティック・インフェクション)』、神月のグラビティだ。
染み込むことで、痛みと怒りを与える。
「せ、せーエキまで偽物とは、ふざけるのもいい加減にしろぁ!」
水晶を当てられた神月は、ツナギとサラシを失い、本当の体型を露呈した。
「あ、あんちゃんは、ねえちゃんだったのか!」
「バレちゃーしょうがねーナ。さて、赤毛のオンナァ」
神月はなおも、敵を見上げる。
「あたしらを脱がしたんなラ、そのオレンジのワンピースもバラバラに破られる覚悟は出来てんだろーナァ!」
大女は、挑発に掛かったようだ。吹雪は、オヤジを引き上げて、敵の姿をまじまじと見た。
「おわあ……本当に女性のエインヘリアルっす。キレイ」
それを、清春が咎める。
「頭ひっこめてろ、人々を守るのが、てめえの役目だろうが」
「は、はい!」
あわてた吹雪だが、嬉しさもあった。
「そうかあ、清春さん、男には冷たそうなのは、自分の早とちりだったす。仲間思いで使命感にあつくて」
いや、正解は。
オーブの服消滅魔法を、本物の男に使われるのが、もったいないから。
しかし、カウンター内にひっこんだところで、そこにも姉のハルナが見せたくない事象があるのだ。
最初に冷たい炎をくらった被害者の男性と、同じく変装を解かれたましろは一緒に転落し、裸の男女がもつれあった結果、陰茎が入ってしまったのである。
「ごめんなさいっ! 私が退きますからっ」
「こ、こちらこそ、邪魔しちゃって、うぅッ」
互いに恐縮していたら、いつのまにか騎乗の姿勢が成立してた。
ともあれ、一般人の安全の確保には違いない。
エルが、待避の完了を、皆に伝えた。
その際に、自分の撮影機材の実況アドレスを、客の持っていたスマホにいれるのを、忘れない。
「応援、お願いしますね♪」
客や店員は、今まさに行われている戦闘の映像を食い入るように見た。いったんは縮んだ部分も、膨れてくる。
その気配を感じるだけで、エルの快楽エネルギーは、さらに膨れてくるのだ。
こう見えて、自分の秘芯、秘部等々の状態を映している羞恥心があるから。
サキュバスミストがじわりと、定食屋の店内に漂う。
ケイトは、中年店員を背後にかくまって、サラダ用冷蔵庫の上に、砲撃形態に変形させたドラゴニックハンマーを設置した。
轟竜砲を撃つたびに大盛りの胸部が揺れる。
いつのまにか、店員が両手で固定してくれていた。砲撃の反動は前後の腰を密着させ、ケイトはバイト制服ごしにも、店員のフランクフルトが硬めの焼き加減になっていくのを感じるのだった。
すでに挿入し、ましろの下になっているサラリーマンが、スマホを掲げた。
「こ、これ。役に立ちませんか?」
エルの配信だ。
画面では、レイファがフォーチュンスターをかますところだった。
星の流れがキックの動きに追従している。流れというか、漏れてるんだが。
ましろには、スマホを通して戦場が見渡せ、戦う仲間の姿、敵の位置が分かる。
「や、やってみます」
ステッキを天井にむけると、そこから業炎を飛ばした。
「あ、命中ました。すごいです。そのまま、持っててください」
「良かった~。うっ、オレのも命中しそう……」
吹雪は、顔をあげた。
「その手が、あったっすか!」
改造スマホを複数個、同時に操作する。エルからの配信を、こちらにも映して。
出た、女エインヘリアルの映像。
「美しい、倒すのがもったいない……おっと倒さないと使命を果たせないっす!」
W炎上の氷版、『ダイヤモンドブリザード』を起動する。画面の上からキラキラと降ってくる金剛石。それが、現実の大女を凍えさせる。
清春が、選りすぐりの服破りグラビティを炸裂させた。
「戦術超鋼拳んんー!」
オレンジのワンピの下は、スリップ下着だった。
「バリケードクラァーッシュ!!」
フリルのついた、少女趣味的な上下で、蛮行に比すれば意外だ。
「マインドスラッシャァァアアア!!!」
画面に向かって叫ぶのは、吹雪。
「ばんざーい、大女が裸になったー! ……って姉ちゃ、ハルナやめて!」
目隠ししたビハインドに背後に立たれて目隠しされる。
そこからは、神月の責めが始まるのだった。
「さーテ、裸の付き合いといこーゼ!」
旋刃脚は、特大のひだにめり込み、バイブレーション。
「やああん! あんた上手いじゃないの。アタシもよ」
オーブを押し当てられた神月は、蒸発するほど愛液を引き出される。
「俺も行くぜ。えいーんへりあるちゃ~ん」
清春は、カエル飛びのごとき姿勢で、すでに服の脱げた身体をダイブさせるものの、直後に真理の全身に展開されたポッドからのミサイルに、次々と追い抜かれていく。
「乙女を弄んだ罪、重いのですよ」
「シャらああん!」
絶叫とも絶頂ともとれぬ声をあげて、赤毛の魔女は、ミサイルの噴射煙のなかに消え去った。
続く爆発の連続に、裸体を晒すことなく、最期をむかえたようだ。
煙に飛び込んだ清春といえば、定食屋の床に頭から落ちたらしく、丸椅子につかまり、なんとか這い上がってきていた。
エルは、おでこをさする清春のもとへ。
「『鏡の舞(ラクサット・アル・マラァ)』で、ヒールいたしましょうか」
「そうそれ、エルちゃんの踊りを待ってたんよ」
椅子に座り直し、テーブルを掌でバンバンと叩く。その位置に立ったエルは、見上げる清春にむけて腰を落としていき、彼の頭を掴んで陰部に押し当てた。
ジョロジョバッ、ジョロロ……。
「げぼがぼ、はぐぅッ!」
うめいた清春は、へなへなと力を失う。レイファは驚いて口に手をあてた。
「気絶してます! orヒールって、敵にだけダメージになるんじゃないんですか?!」
確認に、丸椅子を覗き込んだ神月は。
「服は治ってるようだナー」
「柄倉さんも、こう見えてお疲れなのですよ。片付けは私たちでやるのです」
真理は、胸元を手で隠して、提案した。
とどめになった『マルチプルミサイル・クロスファイア』の機構は、収納済みだ。吹雪はもう、厨房に散らばった食器をまとめていた。
「任せてくださいっす。手早くやるっすよ。補導されないようにおとなしく帰るっすから。そろそろ受験だし……」
●いただきます
「うんん……眠ってたのか」
飲み屋じゃあるまいし、カウンターにつっぷして寝るなど、お店に迷惑だ。頭を振って、意識をハッキリさせると、窓の外はもう白んでいた。
「詫びに、朝定食でももらうかな……あれ、ケイトちゃん、まだバイトの格好してたの?」
「ふふ。オーダー入ります! 3番さん朝定食一丁!」
ケイトは、元通りにヒールされた厨房に声をかけた。
「へーイ」
返事をしたのは、神月だ。
「いっぱイ、食べちゃったかラ、作るの手伝うくらいはしないとナー」
八重歯をみせて笑い、カウンター裏をみる。そこにはまだ、男性客と本来の店員が隠されていて、裸に剥かれていたのだった。
この一晩で、全員ぶんを頂いた。逆流せぬよう、今の格好は裸エプロン。
「私も、フランクフルトいただいちゃいましたし。あれは押し売り?」
浅いとこ責めながら、イッキに奥に来た感触が、まだケイトのナカに残っていた。
ほとんどの男たちは、絞り切ったマヨネーズ容器になっていたけれども、エルとましろの相手は、まだ、腰をふっている。
本人たちも全身、白濁液まみれ。
レイファは、女子大生と、互いの指を入れ合っていた。真理もそこへ、しな垂れかかっている。
おじさんたちには、レズショーを鑑賞されたかもしれない。
神月の声が響いた。
「はイ、一丁あがリ!」
作者:大丁 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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