●カモン! 山に!
冬の山、と聞けばいかにも険しい。
起伏ある足場は歩くだけでも体力を奪い、枯れはじめた木々の寒々しさが精神的にも圧をかけてくる。というか実際に寒い。寒すぎる。
だというのに、である。
冬山にはいつもの連中――ビルシャナさんと愉快な信者たちが集っていた!
「来たな! 山に!」
『来ましたね! 山に!』
山の中腹にて、景気のいい声をあげる鳥たち。
もはや下りるのも簡単ではなく、しかし頂上に登るのも楽な道ではない。そんな最高にやっちまった場所で、彼らはいそいそとテントの設営を始めた。
ともすれば、キャンプ場に飽きて自然の山に挑んでしまったキャンパーに見える。
しかしそれにしては鳥たちの荷物は少なかった。
というかテント以外に何もなかった。
山らしい派手な色のウインドブレーカーを着た彼らは、手ぶらだった。
なぜかとゆーと――。
「さあ……では始めるか。修行を!」
「はい! そうですね!」
「山で修行……高まりますね!」
キャンプではなく修行に来たからである。
己を鍛える。
そんな目的で入山した鳥と信者たちは、すぐに薪拾いを始めた。
「生き抜こう、この山生活を! 山籠もりをすれば体が鍛えられる! 1ヶ月ぐらい過ごせばきっと俺たちは最強だぞぉ! だって山だし!」
「そうっすね! 山ですもんね!」
「いるだけで強くなれる山スゲエエエエエエエ!!」
山の空気を吸っているゆえのハイテンションか、フーフー騒ぎながら薪を集める信者たち。
『修行=長期キャンプ』
と考えている彼らは、知らなかった。
何の装備も持っていない素人では、火を熾すことすら難しいということを!
●レッツゴーまうんてん
「これは、放っておいたら死ぬのではないか?」
「死ぬっすね!」
顎に手を添えて考えていたヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)が顔を上げると、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は実に爽やかな笑顔で親指をぐっとやった。
とても人の生き死にを語っている空気ではない。
集まった猟犬たちはそう思いました。
「というわけで、皆さんには現地の山に向かってもらいたいっすよ。ビルシャナが信者たちと絶望のキャンプを張っているんで、なんかこう良きように処して下さいっす!」
随分とアバウトな説明をしてから、また親指をぐっとやるダンテ。
信者らの目を覚まさせ、鳥を倒してくれと言ってるんだなと好意的に解釈する一同。
「信者たちはまだ完全にビルシャナの教義に染まったわけではない。山籠もりがいかにつらく、危険なものかを教えてやれば即刻、正気に戻るだろう。おそらくは火熾しにも難儀しているだろうから、説得もしやすいのではないか?」
残念なヘリオライダーの横で、ヒエルが冷静に補足する。
山にいたら死ぬで。
とかそんなことを言ってやれば、あっさり信者も鳥の教えを捨てるだろう。命大事。
「それじゃ準備ができ次第、出発っすよ! レッツゴーマウンテンっす!」
「山は冷える。防寒着をしっかり用意するようにな」
ダンテが拳を上げてヘリオンに向かい、ヒエルが猟犬らに何か着込むよう仕草を送る。
かくして、一同は厳しい冬山に向かうことになったのだった。
参加者 | |
---|---|
モモ・ライジング(神薙桃竜・e01721) |
愛柳・ミライ(宇宙救命係・e02784) |
アリシア・マクリントック(奇跡の狼少女・e14688) |
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518) |
一之瀬・白(龍醒掌・e31651) |
栗山・理弥(見た目は子供気分は大人・e35298) |
エレアノール・ヴィオ(赤花を散らす・e36278) |
カテリーナ・ニクソン(忍んでない暴風忍者・e37272) |
●熊とかキャンパーとか
静かな山中に、枯葉を踏む音が規則的に響く。
険しい足場を歩いていた愛柳・ミライ(宇宙救命係・e02784)が、おもむろに天を仰ぐ。
「海より山より空が好きだと、私は言っていたけれど。
山にだって空は繋がっているじゃないですか――」
「愛柳さん、急に何言ってるの?」
モモ・ライジング(神薙桃竜・e01721)が、至極冷静にツッコんだ。
前を歩いていた人が急に遠い目でポエムってるのだ。そりゃ心配である。
だが、それより心配すべきは信者たちだろう。
「この時期に山籠もりって……死ぬ気としか思えないわね?」
「軽々に山に入るだなんて、考えが浅いですね」
エレアノール・ヴィオ(赤花を散らす・e36278)が同意して小さなため息をつく。山奥で暮らしていた彼女は自然の厳しさを知っているのだ。
「素人を大勢引き連れて山に入るとは、ビルシャナは指導者失格だな」
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)も、鳥の浅慮に呆れ果てている。
彼がかぶりを振ると、カテリーナ・ニクソン(忍んでない暴風忍者・e37272)も頷いた。
「冬山で修行などと……強くなって注目されてイカスナオンチャン達にモテモテになりたいでござるか? こんな山では出会いなどないでござるがなぁ」
HAHAHA、と肩を竦めるカテリーナ。
「まあ、ひとつ山の怖さを教えてやろうではござらんか」
「アリシア、がんばる!」
カテリーナの言葉に、すぐ後ろを四つ足で歩いていたアリシア・マクリントック(奇跡の狼少女・e14688)が顔を上げた。
「やま、いきる、する、たいへん、おしえる!」
「そうだね。どれぐらい大変か教えれば目を覚ますだろうし」
ぐるぐるその場を走り回りはじめたアリシアに、熊の着ぐるみがにっこりと笑う。
正確には熊の口らへんから顔を出してる一之瀬・白(龍醒掌・e31651)が笑う。
「つくも、くま、ほんもの!」
「なぜそんなリアルな着ぐるみを……」
「わからないけど持ってました」
アリシアとヒエルに、熊の手をぶんぶんする白。
信者たちを説得する準備は万端だ。
そして栗山・理弥(見た目は子供気分は大人・e35298)も、準備は万端だ。
「重くて大変だぜ……」
どでかいリュックを背負って山道を歩く理弥。その中に入ってる物は寝袋やテント、アウトドア調理器具や食料や火熾しセットである。
……ソロキャンの準備じゃねえか!
●恐ろしき計画
「ふぅぅ……寒いぃぃ!」
「なかなかつかないなぁ……」
猟犬たちが見つけたとき、信者たちは案の定、火熾しに苦戦していた。
「やっぱりね……」
「そうなるのが道理だな」
ため息をつくモモとヒエル。
「俺たちが来なかったら本当に死んでただろうな、こいつら……」
「そうですね。あの人たちには感謝してもらわないと」
火熾しに失敗しつづける男たちを冷静に見つめる理弥。その横でエレアノールは慣れた手つきで火熾し。1分とかからず焚火ができあがる。
「あの子……簡単に火熾しを!?」
エレアノールのほうを見る男たち。というか火を、羨ましげに見る男たち。
しかしエレアノールの白い手が彼らの視線を遮った。
「修行者さん達は使っちゃだめですよ。これはわたくしの焚火です」
「け、けち!」
「いいだろう! 火ぐらい!」
「けちじゃないです。簡単に熾せますし、そもそも火熾しもできない人が山籠りするんですか?」
「くっ……反論しづらい!」
つんと突っぱねるエレアノールに言い返せず、ぐぬる信者たち。
火種作りを頑張っていた鳥さん、たまらず彼らに声をかけます。
「大丈夫だ! 根気があれば火はつく!」
「そう言ってかれこれ1時間ですけど?」
「うん、そうだな」
絶望して黙り込む鳥と信者たち。
そこへ、微笑みかけるミライ。
「お困りなら私も手伝うのです☆」
「て、天使!」
「天使さまやー!」
わーっ、とミライに群がって平伏する鳥と信者たち。
エンジェルだのと崇められつつ、ミライは何とか火熾しに成功する。
「ふぅ、できましたね」
「やったー!」
「ありがたやありがたや……」
「では、せっかく火がついたので焼き芋を☆」
「うおおおぉーーい!!?」
ミライが笑顔でぶちこんだ大量の芋により、火が一瞬で消えた。
少し暖かかったのも嘘だったかのように、冷えこむ信者らの体。
「寒いよぉぉ……」
「すぐに消えるような火を熾すようでは、山籠りなんて100年早いですね?」
買いこんだ肉や魚の包装をほどきながら、聞こえよがしに嘲笑するエレアノール。
ミライはしょんぼりした彼らの背をポンポンする。
「よく考えたらもう熊蟄穴なのですよ? クマさんだってひきこもる季節です」
「つ、つまり……?」
「帰りましょう? お家に。きっと――誰かがあなたを待っています♪」
微笑むミライ。その笑顔は絶望の淵にいる男たちにとってはまさに聖女。ミライさんもめっちゃ頑張って聖女感を出してた。
「……こんな話を聞いたことあるわ」
唐突に口をひらいたのは、モモ。
彼女はエレアノールの火にあたりながら、ゆっくりと語りだした。
「ある四人が真冬のドイツに旅行したんだけど、初日にご飯を急いだ結果、宿がとれなくて野宿する事になったの。でも真冬のドイツは最低気温がマイナス10度以下」
「えぇ……寒い……」
「どうしてそんな不注意を……」
モモの話に眉をひそめる信者たち。
「車とテントはあったから2人ずつに分かれて野宿する事になったんだけど、テント側の寝袋は夏用だったし、車は車で窓が半開きになってて死にかけたらしいのよね」
「テントがあっても!?」
「車中泊でも!?」
驚愕して身を乗り出す男たち。
彼らへ深刻な顔で頷くと、モモは温度計をかざしながら言い放った。
「ここの最低気温、分かってるの? 修行の前に死ぬよ!」
「こ、ここも危ないのか!?」
「早急に下山すべき……!?」
「い、いや待て待て。山を下りれば鍛錬にはならんぞ!」
帰宅に傾く信者の心を引き留めようと、懸命に言葉を尽くす鳥。
が、そのとき(ソロ用テントを組み立ててた)理弥が、ぽつりと呟いた。
「山に不慣れな男を山に連れ出し、遭難事故に見せかけて殺害する――ってトリックのミステリがあったな……」
「……んん?」
信者たちが一斉に、理弥のほうを振り向いた。
「この手口なら殺しの証拠が残らないからな。仮にお前らがここお亡くなりになったところで警察は『山を侮った人間の事故死』で片付けるだろうな……」
「お、おい……」
「そこの鳥も大量殺人企ててるのかもな……見ろよその分厚い羽毛のコート! この冬山で自分だけ生き残る気マンマンだぜ!」
「ハッ!?」
「いやいやいや! そんなことないよ!?」
理弥が指差す鳥のふわもこ具合を見て、驚愕に目を見開く信者たち。
「ろくな装備も知識も与えず冬山に連れ出す。なんて恐ろしい殺害計画なんだ……!」
「う、うわあああああ!?」
「俺たちは殺されかけて……!?」
ささーっと立ち上がる男たち。
さらに――。
「おおっと、これは!?」
大仰に声をあげたカテリーナ。
その手には、いま拾いましたと言わんばかりの薄い本(自分で用意した)があった。
「……これは修行と称して、弟子に濃厚な絡みをやらないかとホイホイついてこさせる師匠の薄い本でござるな。これがこのビルシャナの聖典とな!?」
「な、何ぃ!?」
「こいつ……俺たちの体を!?」
「違う違う! そんな本、知らないから!」
必死に無実を訴えるが、鳥の声が届くことはなかった。
●山はつらいよ
鳥を信じられなくなった信者たちは山を下りた。
しかしまだ、数名の敬虔な信者は彼のもとに残りつづけていた。
「隊長! 俺たちはついていきます!」
「おまえたち……!」
男たちの瞳に強固な意志を感じ取り、うるっとする鳥さん。
だがプチ絆シーンもそれまでだった。
「山籠もりとは、俗世間と離れ己を見つめ直す精神修練。肉体鍛錬ではない」
「えっ」
盛り上がるところに冷や水をぶっかけたのは、ヒエル。
「山の環境を使ってついでに体を鍛えたりもするが、心身ともに山籠もりに耐えられる準備ができている事が前提だ。知識や体力が無い者が山籠もりをすれば……まあ死ぬだろう」
「し、死ぬ……」
「いやでも、俺たちも覚悟がある。そう簡単には……」
「そうか。危険な動物にも問題なく対処できるのだな」
「ど、動物?」
やれやれと首を振るヒエルに信者らが尋ね返したとき――ガサッ!
近くの茂みが不自然に揺れた!
「ひいっ!?」
『おぉぉーーん!!』
「遠吠え!?」
「まさか狼が!?」
突然に聞こえた咆哮に、ビビり倒して身を寄せ合う信者たち。
よく聞けばそれが人間の少女――アリシアのものだと気づくことはできたろう。だがヒエルの前フリのおかげか、彼らは完全に判断力を失っていた。
だから茂みからアリシアが飛び出したときも、肩が跳ねるほど怯えた。
「がうっ!」
「うおおおぉぉぉ!?」
ぴょーん、と姿を見せたアリシアに揃って声をあげる男たち。
――だが、いくら動物っぽくて、口に野兎を咥えていてもアリシアは普通に人間だ。
「なんだ女の子か……」
「どうして兎を……」
「うーっ! がうーっ!!」
「ふふっ、威嚇してるのかな」
「ちょっと可愛い」
獲物を取られまいと唸って威嚇するアリシアを、ニコニコと見下ろす信者たち。相手が少女とあってその顔は余裕綽々である。
後ろの茂みがガサッと揺れても、余裕で振り返った。
熊がのそりと歩いていても余裕で――。
「うおおおおおおおおおおお!!?」
「クマアアアアアアアアアア!!?」
脚が震えるほどビビった。2mもない距離に熊である。腹でも空いてるのか低く唸りつづけている熊がのっそのっそ近づいてくるのである。
「た、たたた隊長どうしましょう!?」
「…………」
「ダ、ダメだ気絶してる!」
鳥に至ってはスタンディング失神していた。
彼らが怯え竦み、目に見えて混乱してゆくさまを熊は――リアル熊の着ぐるみを装着した白はほくそ笑みながら見物していた。
(「ふっふっふ……さぁ、ビビれビビれ!」)
「アカン……熊はアカン……!」
「あー死んだ……これ死んだわー……」
恐怖に震えた信者たちは、もはや生を諦める者も出る始末。
それを見て効果十分と判断した白は、のそのそと茂みの向こうへと引っこんでゆく。アリシアもそれに続いて消えたことで、辺りは静けさを取り戻した。
「……わかっただろう。山ではいつ死んでもおかしくないと」
沈黙を続ける信者たちへ、ヒエルは茂みを見つめながら話しかけた。
「山籠もりはそれなりの準備が必要だ。そもそも山で暮らす知識や技術がなければ鍛錬すらできないぞ。火を熾すのに1時間かけていてはろくに鍛える時間もないだろう。住み慣れない山と住み慣れた地、どちらが有意義に体を鍛えられるのか考えてみろ」
「ド正論やな……」
「確かに俺たち、ここに来てまだ火熾ししかしてないもんな……」
信者たちは真顔である。
山に来て強くなったかと言われれば、当然だがまったくそんな実感はなかった。
カテリーナは彼らの周りをぐるぐる歩きながら、静かに告げた。
「これからは、クリスマスやお正月とイベント目白押しでござる。つまりイカスナオンチャン達と懇ろになるチャンスの予感でござるよ!」
「ハッ!?」
弾かれたように顔をあげる男たち。
「しかし山に籠もっていては全部台無しでござるな。一生に一度の今年のクリスマスやお正月を棒に振り、出会いも何もないでござる……お主らは本当にそれでいいのでござるか?」
がしっ、と信者らの肩に腕を回すカテリーナ。
彼女は山を下りる道を指差しながら、囁いた。
「さあ、今から麓に降りれば、最終バスに間に合うでござるよ。
ナオンチャン達と楽しい時間を過ごせる、俗世への最終バスに」
「う、うおおお!!」
「もう行くしかねえ!!」
猛ダッシュする、男たち。
そう言われた彼らに、死と隣り合わせの山に残るという選択肢は、もうなかった。
●ふぁいやー
ぱちぱち、と爆ぜる炎。
流れ作業で倒した鳥さんはよく燃えた。木組みのキャンプファイヤーを見上げながら、エレアノールはにこりと笑う。
「最低限、役に立ってくれてよかったですね」
「キャンプファイヤー! これはもう踊るしかないのです☆」
串に刺した肉を焼くエレアノールの横で、ひとり猛然と踊りまくるミライ。カレーを火にかけている間やることがないとか言って、彼女は絶賛マイムマイム中である。
それを横目に烏賊やらホッケの開きを炙っているのは、カテリーナだ。
「ジャパニーズエンカっぽい風情でござろう?」
「アリシア、えもの、とった! これも、やく!」
「おぉ、そういえばハントしてたでござるな。では誰かに捌いてもらうでござるか」
火のそばではしゃぎまわるアリシアをなで、エレアノールたちに野兎を持ちこむカテリーナ。
一方、理弥は燃える炎を眺めつつ、カッコつけてコーヒーを飲む。
「焚火の前で静かにコーヒーを飲む……大人の男って感じだよな!」
ソロキャンプと言えばこれ。
そう信じているらしい理弥くんはかれこれ20分は続けている。大人の男に憧れすぎるあまり大人の男から離れている気がする。
「よく燃えてるわねー……そうだ、あれがあるんだった」
炎を見つめていたモモが、思い出したように荷物を漁る。
出てきたのはマシュマロ。
串に刺して焼いたそれをチョコと合わせてクラッカーで挟めば――。
「スモアの出来あがり! 皆ー、食べる?」
「あ、食べますー」
「私も! 私もいただきまーす♪」
「ではせっかくだから拙者も」
「アリシアも、すもあ? たべる!」
ばばーん、ととろとろスモアを披露したモモに殺到する女性陣。
スモアあり、肉あり、カレーあり――そんな楽しい楽しいキャンプは、わいわい賑やかに過ぎていった。
皆が食事に興じる、その一方。
自然深く、木々並ぶ空間にて、ヒエルと白は徒手の鍛錬を行っていた。
「一緒に修行してた時って、こんな事をしてたんですね!」
「ああ。竹林などの視界が通らない状況での立ち回りを考察していた」
互いに拳を、蹴りを交わしながら、会話を楽しむ2人。
ヒエルと白は友人であるが、とある戦いを経てから白にヒエルの記憶はない。同じく友人であるアリシアやエレアノールとの記憶も失っている。
だから、過去に何があったかと、白はヒエルに問うたのだ。
拳士であれば拳で語るほうが早い。
2人は木々の間を駆け抜け、攻防を繰り返す。
――が、互いに肉迫したとき、ヒエルは拳を止めた。
「やはり、その姿は鍛錬には向かないな」
「あ、そうですよね……」
自分の姿を見下ろす白。
まだ、熊だった。
着膨れがパない熊の着ぐるみだった。
いけるかと思ったけどやっぱり鍛錬する格好じゃない。
そう結論付けた2人は、それから普通にお話しとかしたそうです。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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