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鳥取県鳥取市内。
街中に突然光に包まれて出現したのは、巨大ロボ型ダモクレス。
オオオオオオオオオォォォォ!!
一声叫んだそいつは周囲を見回し、内蔵された武装を使って街を破壊しながら歩いていく。
どうやら、グラビティ・チェインが枯渇しているようで、かなり体の機能に制約がかかっているらしいが、それでも強引に動くのは、人々を倒せばそれだけグラビティ・チェインを得られるという思考があるからだろう。
ゆっくり歩きながら、ミサイルを発射し、グラビティを中和する光弾を発射する巨大ロボット。
そいつは人がたくさんいる駅を目指して歩いていく。
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ヘリポートに集まるケルベロス達。
巨大ダモクレス討伐と聞き、駆けつけたメンバー達へ、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が説明を行う。
「先の大戦末期にオラトリオにより封印された巨大ロボ型ダモクレス……まだ残っていたようだね」
それが復活して、暴れ出すという予知があり、リーゼリットはケルベロス達へと呼び掛けを行っていたのだ。
復活したばかりの巨大ロボ型ダモクレスは、グラビティ・チェインが枯渇している為、戦闘力が大きく低下している。
「でも、放っておけば、多数の人がいる場所まで移動してグラビティを使ってしまう。人々の命と引き換えにグラビティ・チェインを補給してしまうよ」
力を取り戻した巨大ロボ型ダモクレスは、更に多くのグラビティ・チェインを略奪へと動く。体内に格納されたダモクレス工場で、ロボ型やアンドロイド型のダモクレスの量産を開始することだろう。
「そんな事をさせるわけにはいかないよ」
力を取り戻す前に、巨大ロボ型ダモクレスを撃破して欲しい。
また、巨大ロボ型ダモクレスが動き出してから7分経つと、魔空回廊が開き、巨大ロボ型ダモクレスは撤退してしまう。
そうなれば、ダモクレスの撃破は不可能となる。
魔空回廊が開く前に巨大ロボ型ダモクレスを撃破したい。
敵は全長7mある無骨な姿をしたロボットで、レプリカントと同様の武装に加え、バスターライフルも所持しているようだ。
巨大ロボ型ダモクレスはグラビティ・チェインの枯渇により、全体的な性能や攻撃力が減少しているので、問題なく相手は出来ると思われる。
「ただ、戦闘中一度だけ、フルパワーの攻撃をしてくるよ」
このフルパワーの攻撃を行うと攻撃対象だけでなく、巨大ロボ型ダモクレスも大きなダメージを被るようだ。
なお、街には避難勧告が出されるし、破壊された街はヒールで修復が可能だ。
「だから、ある程度の街の破壊はやむなしと判断して、ダモクレスを確実に討伐してほしい」
ビルなどから直接グラビティを叩き込んだり、直接巨大ダモクレスに飛び乗って攻撃したりするなど、7分の間に考えられうる強力な攻撃を叩き込んで、撃破してほしい。
一通り説明を終えて、リーゼリットはこのダモクレスの一件とは別に気になることがあるそうで。
「良ければ、上手く討伐が完了したら、コーヒー店でコーヒー豆を買ってきてはもらえないかな」
「あら、それじゃ、何か見繕っておくわ」
どうやら、依頼のサポートに当たるユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)がリーゼリットの要望に応じるようだ。
それもあって、ケルベロス達もそのコーヒー店で軽食を楽もうかという話が出始める。
ダモクレスを破壊した後にコーヒーブレイクとは、なかなか洒落たひと時になりそうだ。
「それでは、よろしくお願いするよ」
リーゼリットは改めて、ケルベロス達へと2つの依頼を託すのである。
参加者 | |
---|---|
端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288) |
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815) |
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289) |
レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278) |
小柳・玲央(剣扇・e26293) |
笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390) |
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433) |
シルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488) |
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鳥取県鳥取市へとやってきたケルベロス達。
「皆、宜しく頼むよ」
頭にゴーグルを乗せたレヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)は、改めて女性ばかりのメンバー達へ明るく挨拶した。
「ああ、よろしく頼む」
長い白髪に色黒な肌のレプリカント女性、小柳・玲央(剣扇・e26293)は、アイズフォンで周辺地図を検索しつつ、呼びかけに応じる。
「此度は依頼がふたつ。どちらもきちんと成し遂げて見せるのじゃ!」
熊耳熊尻尾の端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288)は現状避難を余儀なくされている周囲の民草の為、ダモクレスの狼藉を決して果たさせないと気合十分。
なお、もう一つの依頼は、ユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)担当。ご当地コーヒー豆の買い出しである。
グオオオオオオオオォォォ……!
丁度、前方の地面が光り輝き、無骨な姿の巨大人型ダモクレスが姿を現す。
「街は破壊させない、だよね、ラーシュ! わたし達が守るんだ!」
ドレッドヘアにダリアの花を咲かせたマイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)が呼びかけたのは、相棒であり、兄的存在のボクスドラゴン、ラーシュだ。
可愛くも勇ましいその箱竜は、任せておけと言わんばかりに声を上げていた。
「人々の生活を脅かすダモクレスは見逃せません!」
銀髪のウェアライダー、ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)も人を守る為に気合十分。
「更なる被害を防ぎ、此処で逃さず壊してしまいましょう!」
ケルベロスに与えられた時間は僅か7分だが、討伐は早いに越したことはない。それだけ被害が出る可能性が減るし、何より、この後の楽しみを長く得ることができるからだ。
「巨大なロボかぁ」
その間に巨大なロボを倒さねばならないと、ピンクのツインロール、笹月・氷花(夜明けの樹氷・e43390)は確認しつつパイルバンカーを装着して。
「巨大な物はカッコいいけれど、人に危害を加えるなら放ってはおけないよ」
「うん、巨大ロボ討伐依頼、私もケルベロスになって初めての依頼だから、いつも以上に頑張るよ!」
氷花の言葉を受け、黒い馬の身体を持つセントールの少女、シルフィア・フレイ(黒き閃光・e85488)が柔和な笑みを浮かべて意気込みを見せる。
すると、同じくセントールの少女、仲間とは距離を取る金髪のオルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)は、敵の姿を確認してすぐ街を駆け始めたのだった。
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事前情報によれば、敵はディフェンダー。
ケルベロス達は攻撃手を多めに配置し、ダメージを稼ぐ作戦。
その攻撃の要となるのは、括のレーザーサイト。
彼女はジャマーという位置も利用して自らの姿をさらしつつ、自らの攻撃を起点とした連続攻撃にと役立てようと考えている。
なお、括はユリアにメディックとしての回復支援も依頼していたようだ。
また、アラーム付きの時計を持つメンバーも多い。
オルティアは1分毎になるようタイマーをセットし、経過時間の把握に活用する。
レヴィンも『月の影と夢時計』で逐一確認する構え。
マイヤ、氷花、シルフィアは5分経過で鳴るようアラームをセット。
玲央は首から紐で下げた腕時計を首横の端子に外部デバイスとして繋ぎ、5分後にタイマーをセットしてから敵へと攻撃を仕掛けていく。
グオオオオオオオオォォォ……!
機械音で低い咆哮を上げてくる巨大ロボ。
そいつへと接敵していく仲間の為、マイヤが先んじて仕掛ける。
「後、お願いね!」
ビルを使って高く飛び上がったマイヤは相手の足止めの為、エアシューズで重力を宿す蹴りを右足へと叩き込む。
そんな天真爛漫な主人を見守る箱竜ラーシュは、ディフェンダー勢から自らの属性注入を行い、敵の攻撃に備える。
実際、ダモクレスは全身からミサイルポッドを出現させ、大量のミサイルをこちらの前衛陣へと浴びせかけてきた。
ミサイルの煙幕の中、ミリムが突っ切って走ろうとし、やや出鼻をくじかれてしまっていたようである。
それを、ダブルジャンプで周囲のビルへと跳び乗っていた括が見つめており、右足の膝部分にレーザーを照射していく。
その上で、彼女もまた巨大ロボへと飛びかかり、流星煌めく一蹴を叩き込んだ。
建物の屋根に飛び乗っていた氷花はレーザーポインタを確認し、飛び降りた勢いで敵の右足へと右腕に装着した「アイシクル・インパクト」を振り上げて。
「雪さえも退く凍気を、食らえー!」
魔力の氷で出来た杭を、氷花は直接、狙った右膝へと打ち込んでいった。
戦闘に入り、ゴーグルを装着したレヴィンもダブルジャンプでビルの高所へと上っており、一気に飛び降りてレーザー照射箇所に集中攻撃をとブーツ「瞬雷脚絆」で蹴りかかっていく。
所有武器で殴り掛かる一撃だが、さすがに今回はリボルバー銃で殴ることはしなかったレヴィンである。
オルティアは自らの機動性を活かし、セントールランで戦場を駆け回る。
まずは敵の右手前から、オルティアは砲撃形態としたドラゴニックハンマーから砲弾を飛ばして右足へと叩き込む。
さすがにこれだけ連撃を浴びせれば、頑丈なダモクレスの右膝にも亀裂が走る。
「次の、ポイントを……」
オルティアはまた位置取りを行いながら、次なる攻撃ポイントを仲間達へと求めた。
一方で、丁度良い高さの建物の位置を確認していた玲央。
まずは、敵の肩目がけてダブルジャンプと偽翼を使い、敵の肩へと飛び乗っていく。
玲央はその位置で敵の装甲を剥ぐべくチェーンソー剣を扇に見立ててリズムとバランスを取り、星形のオーラを打ち込む。
街を跳び回って攻撃を仕掛ける仲間達を、シルフィアは地面から援護する。
「パズルの蝶よ、仲間の感覚を研ぎ澄ませてあげてね!」
シルフィアが懐から取り出したガネーシャパズルから、光の蝶が飛び立つ。
それは一直線に、サイドの建物上にいたミリムへと飛ぶ。
ミサイルでやや痺れを覚えていた彼女だったが、それによって浮上も取り払う。
「いきます」
両手に握る「末竜咆鎚」を大きく振り上げ、敵の背中目がけて強く打ち付ける。
その衝撃によって、打撃箇所が凍り付いていく。
括は次にその部分目がけてレーザーを照射し、次なる攻撃ポイントと仲間達に示すのである。
●
メンバー達はダモクレスへと攻撃を続け、その侵攻を食い止めにかかる。
レヴィンは相手の不意をつくようにして、高所からダブルジャンプを使い、背中へと至近距離から達人の一撃を……リボルバーの弾丸を撃ち込み、グラビティの力で凍る面積を拡大させる。
背中に2度も連撃を受ければ、巨大ロボも背後を警戒するだろう。
バスターライフルを前方へと発射したダモクレスが振り返って警戒すると、今度は正面からメンバーが敵の背を狙う。
括はビルからダブルジャンプを行って相手の背目がけ、「霊振りの巫銃」の引き金を引く。
現れた氷騎士のエネルギー体は、宙を駆けてレーザーのポイント目がけて槍を突き出し、槍が命中した部分を一層凍らせていった。
そして、一度電柱に着地したミリムは電線を伝いながら、「暴斧Beowulf」に持ち替えて跳躍し、渾身の一撃をその背に叩き込む。
グオオオォォォ……!
凍った部分に衝撃が走り、ダモクレスが叫ぶ。
玲央もまた肩、腕を足場としながら攻撃を繰り返し、今度は大鎌をその背に投げつける。
一通り足止めのグラビティを使用した彼女は敏捷のグラビティを外し、さらに攻撃を続けていく。
敵は後ろを気にかけながらも、前方をメインに攻撃を繰り返す。
ユリアが雷の壁を構築する後方から疾走してくるオルティア。
今度は勢いに任せて敵の体を垂直に駆け上がり、後ろ足のエアシューズを燃え上がらせつつ、渾身の蹴りを食らわせ、その巨体を引火させる。
そこで、オルティアのセットしたタイマーが鳴る。これが3度目だ。
今度は敵胸部が大きく変形し、エネルギー光線を放出する。
どうも試し撃ちを感じさせたとの一発。ブレスを吐きかけたラーシュが受け止める中、次なる攻撃ポイントに定められる。
自らの天使の翼で宙を滑空するマイヤは、勢いのままに攻撃へと移って。
「上を向いて、きっと願いは叶うから」
マイヤの一言を受け、昼間なのにキラキラ輝く流星が空を満たし、敵目掛けて踊るように、弾けるように襲い来る。
光に満たされたダモクレスの全身へと、無数の傷が増えていく。
「大丈夫? 皆、元気を出すんだよ!」
ダモクレスの強力な一撃を受ける仲間には、シルフィアが希望の為に走り続ける者達の歌を周囲へと響かせていた。
シルフィアが癒しに当たる間も、メンバーの攻撃は続いて。
「炎よ、高く燃え上がれー!」
氷花は「吹雪の舞踏」で空中にてステップを踏む。
すると、グラビティによって一時的に燃え上がった靴を、氷花は敵胸部へと一撃を叩き込んで引火させていったのである。
刻々と過ぎていく時間。
再び、敵は全身からミサイルポッドを出現させて、一気にミサイルを掃射してくる。
玲央やレヴィンらがそれらを堪える中、メンバー達はグラビティを繰り返し使い、攻撃を叩き込む。
しかしながら、巨大ロボは無骨な見た目通りというべきか、グラビティ・チェインが限界近い状況でも持ち前のタフさを見せつけていた。
玲央は一旦攻撃の手を止め、シルフィアやユリアに声をかけながら回復へと当たる。
「この子達がいるから大丈夫♪」
結局、玲央は身を張ってくれる箱竜ラーシュへと両腕の地獄から青い蝶を飛ばしていた。
悪しき毒を望むその蝶は、傷と共に姿を消していく。
その時だ。メンバー達のアラームが一斉に鳴り響いたのは。
回復を終えた玲央は、首から紐で下げた時計の音で時間経過を把握する。
直に、魔空回廊が開くはずだが、その前に、敵の胸部へとグラビティ・チェインが集中して。
「すごいエネルギーだね」
「フルパワー……予兆……」
兆候を感じ取ったマイヤ。オルティアは敵の視線を追ってその狙いを予測する。
その狙いは、チームで最も高い火力を出しているミリムだ。
『月の影と夢時計』で時間を確認していたレヴィンは、女性メンバーの呼びかけを受け、ビルの屋上にいるミリムの前へと移動する。
「させねぇよ!」
グオオオォォォ……!
咆哮を上げたダモクレスが胸部から放つ全力全開でのエネルギー光線。
「なにぃ!?」
正面から来たその威力に驚き、レヴィンも思わず叫ぶ。
全身をボロボロにしながらも耐えて切ってみせた彼へ、すぐさまユリアが天使の翼を羽ばたかせて救急手術を施しに向かっていた。
これで、強力な一撃は乗り切った。後は全力で相手を破壊するのみ。
「あはは♪ 貴方を皆、真っ赤に染め上げてあげるよ!」
胸部狙いは続いており、氷花は空中を舞い踊りながら、相手の胸部から腹部を「凍える夜の刃」で切りつけていく。
玲央も扇に見立てたチェーンソー剣で、胸部を深く傷つけていった。
ロボの全身のあちらこちらから煙が上がってきている状況だが、そのダモクレスの頭上に魔空回廊が現れる。
「全力でいくよ!」
ここにきて、一気に攻勢を強めるケルベロス達。
翼を羽ばたかせたマイヤが地獄の炎を纏わせた斧「Simlacrum」を叩きつけ、括もエアシューズに重力を宿して力強く胸部へとドロップキックを食らわせる。
ここまで回復に当たっていたシルフィアも助走をつけ、敵の身体へと駆け上がって。
「このまま逃がすわけには、行かないわよ!」
後ろ足で強烈な蹴りを叩き込み、シルフィアは相手の胸部の装甲を破壊する。
それでも、敵が頭上の魔空回廊を見上げている状況の中、オルティアは疾走する速度を高め、同じく敵の胸部まで駆け上がる。
握るバスタードソードに力を籠め、彼女は怒涛の超連撃を見舞っていく。
怯ませはしたが、まだ動けるダモクレスをは自らの回収を待つ態勢へと入っていた。
その挙動を確認したミリムが跳んできて。
「オルティアさん、背中貸して!」
攻撃直後の彼女の背を借り、足場とするミリム。
「えっ……?」
こんな状況の中で咄嗟に頼られてもと、戸惑うオルティアだが、ミリムは「ごめんね」とその背を借り、自らの紋章へと呼び掛ける。
「風槍よ! 穿て!」
紋章から放たれるは、女王騎士の風槍。
それらは破かれた装甲内部を貫いていき、序盤に傷つけた背中側の傷へと突き抜けていく。
すると、ダモクレスの目から光が完全に消えて。
後ろのめりに倒れていった巨大ロボは砂煙を上げ、全身を崩してしまう。
回収不可能と判断したのか、ダモクレスの魔空回廊は音もなく消え去っていった。
なお、先程のやり取りに驚いたオルティアは、しばらく意識がどこかに飛んでしまっていたようだった。
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残されたダモクレスの残骸を、マイヤが仲間や駆けつけた警官隊などと協力して片付けていく。
戦場周囲のビルや道路に生じた亀裂、破損個所は、ヒールグラビティ持ちのメンバーが総出で修復に当たる。
「ガラクタの海にある十字架は 罪を持たず消えた命らしい……♪」
氷花の歌が響く街で、括はエネルギー光球を、玲央は青い蝶、シルフィアは光の蝶を飛ばしていく。
「終わったら……疲れ、た……」
地面から抽出した魔力で周囲の亀裂を幻想で塞いだオルティアは、その場へとへたり込んでしまう。
オーロラの光を放っていたユリアは、一通り修復完了したことを確認して。
「それでは、もう一つの依頼に行きましょう」
やんわりと仲間達へと促すと、オルティアはよろよろと起き上がって。
「コーヒー、私も飲みに行こう……」
彼女もまた、仲間の後をゆっくりとついていくのである。
早速、ご当地のコーヒーショップへと入る一行。
括はきょろきょろと店内の様々なコーヒー豆を見回し、困ってしまう。
「どんなのがよいのかのぅ」
「コーヒー好きなんだけど、豆の種類とか全然分からなくて、いつもブレンド頼んでるなぁ……」
レヴィンも棚を見つめながら、色々な銘柄を確認する。
「酸味が強すぎないヤツで、何かオススメあるかな?」
そこで、コーヒーを淹れたり、給仕したりするのが得意だと玲央が出る。
彼女もブレンドに興味を示しはしていたが、それならと店内の商品を見回して。
「焙煎直後の豆がおすすめだね。そうでないなら、コロンビアなんてどうかな」
レヴィンは勧められるまま、店員へとオーダーする。
括もまた、ここは皆で請け負った仕事だから実際に試してみたいと、いくつか甘くてあったかいものと一緒に頼むことに。
「ミリムも詳しいって言ってたよね。何かオススメある?」
マイヤもまたお土産に豆が欲しいとのことで、ミリムが選んだのは……。
「この豆にしてみましょう、オススメですよ♪」
ミリムが選んだゲイシャ豆はちょっとお高目な一品だが、コーヒー愛好家が憧れる幻のコーヒーなのだそうだ。
ミリムはそれをブラックにして、玲央に淹れてもらう。
「温かい内に頂きましょう」
ズズーッ。
コーヒーとは思えぬフルーティーな味わいに、彼女は頬を緩めていた。
マイヤも進められるままに飲むのだが、ブラックが苦くて飲めない為、ミルクを入れてマイルドに。
「お豆によって味や深み? ……が変わってくるんでしょ?」
まだマイヤには味はよくわからないものの、コーヒーの香ばしさは好みだとのこと。
「ほわってするよね」
普段、ジュースを好んで飲むマイヤだが、このひと時だけは大人になった気分を感じていた。
「私もコーヒーは大好きだよ。あ、ミルクと砂糖は多めね」
氷花も一緒になって、その味わいを楽しむ。
「コーヒー……ブラック……」
さらにその隣、邪魔になると判断して人形態となっていたオルティアは、じっと見つめた後、おもむろに一口。
「……う」
かなり苦いと感じていたらしく、砂糖とミルクをちょっとずつ入れ、一口を繰り返していたようだ。
その後、ミリムは運ばれてきたパンケーキを美味しそうに食べ始める。
傍では同じく、括やユリアも熱々も甘いパンケーキを幸せそうに食べていたし、初依頼を終えたシルフィアも一息ついていた。
そういえばと、レヴィンはいつの間にか豆を購入していたユリアに気づいて。
「結局、何の豆を買ったんだ?」
「これね」
それは、鳥取砂丘の砂で焙煎したまさに、ご当地の一品。
程よい苦みにかかわらず、後を引かないすっきりとした後味が特徴的なのだとか。
「それも飲んでみるのじゃ!」
興味を抱いた括は、さらにおかわりを頼んでいた。
ところで、オルティアはまだコーヒーが満足のいく味にならないらしく。
「…………もう、ちょっと……」
結局、かなり白さが増し、砂糖によって甘くなったカップを口にして。
「……ん。コーヒー、美味しい」
そんな子供舌の彼女にほっこりするメンバー達。
仲間達の視線を受け、オルティアは身を引きつつ甘いコーヒーをすすっていたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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